特許第6457360号(P6457360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457360
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】仮想通貨を用いた送金システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/10 20120101AFI20190110BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20190110BHJP
   G06Q 40/02 20120101ALI20190110BHJP
【FI】
   G06Q20/10
   G06Q20/06
   G06Q40/02
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-178330(P2015-178330)
(22)【出願日】2015年9月10日
(65)【公開番号】特開2017-54338(P2017-54338A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2017年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】515249293
【氏名又は名称】株式会社アトムソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(74)【代理人】
【識別番号】100060575
【弁理士】
【氏名又は名称】林 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 宗弘
【審査官】 上田 威
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−276692(JP,A)
【文献】 再公表特許第2011/148874(JP,A1)
【文献】 特開2008−242570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の顧客端末と、該顧客端末に入力された仮想通貨の送金指示又は売買注文を受け付ける市場サーバと、前記仮想通貨の市場を管理する管理サーバと、を備え、前記顧客端末、前記市場サーバ及び前記管理サーバは通信可能に構成された仮想通貨を用いた送金システムにおいて、
前記市場サーバは、
前記仮想通貨と第1のフィアット通貨又は第2のフィアット通貨のいずれかとの板情報が記憶された板情報DBと、
顧客毎の前記仮想通貨及び第1のフィアット通貨又は第2のフィアット通貨のいずれかの残高情報が記憶された顧客情報DBと、
前記顧客端末に入力された送金元の顧客から受金先の顧客への送金指示を受け、送金元の顧客の第1のフィアット通貨で前記送金指示の送金額に応じた前記仮想通貨を成り行き買いする自動成行買い手段と、
前記仮想通貨を成り行き売りして第2のフィアット通貨を得る自動成行売り手段と、
送金元の顧客の残高情報に送金指示に応じて第1のフィアット通貨の残高を減少させる送金情報反映手段と、
受金先の顧客の残高情報に送金指示に応じて第2のフィアット通貨の残高を増加させる受金情報反映手段と、
を備えていることを特徴とする仮想通貨を用いた送金システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想通貨を用いた送金システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、仮想通貨を用いた送金システムが知られている。特許文献1には、送金先に対する送金元からの送金を電子マネーとして受け取り可能な送金システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−94061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、仮想通貨の一種である暗号通貨が電子決済や電子送金等で用いられ、現金に代わる決済手段、送金手段として認知されつつある。暗号通貨は、現金に対応したフィアット通貨を介して売買される。
【0005】
このような暗号通貨を送金システムの顧客(ユーザ)間で送金する場合には、まず、送金元の顧客が、暗号通貨の送金に先立って、現金を入金した後にフィアット通貨で暗号通貨を買わなければならない。また、暗号通貨を受け取った送金先の顧客は、送金された暗号通貨を売ってフィアット通貨を入手し、このフィアット通貨を現金に交換した上で現金を指定口座に出金することにより現金を得る。そのため、暗号通貨を用いた送金は手続が煩雑になりがちであるという問題があった。
【0006】
そこで、仮想通貨の送金を簡便に行うために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は、この課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために提案するものであり、請求項1記載の発明は、複数の顧客端末と、該顧客端末に入力された仮想通貨の送金指示又は売買注文を受け付ける市場サーバと、前記仮想通貨の市場を管理する管理サーバと、を備え、前記顧客端末、前記市場サーバ及び前記管理サーバは通信可能に構成された仮想通貨を用いた送金システムにおいて、前記市場サーバは、前記仮想通貨と第1のフィアット通貨又は第2のフィアット通貨のいずれかとの板情報が記憶された板情報DBと、顧客毎の前記仮想通貨及び第1のフィアット通貨又は第2のフィアット通貨のいずれかの残高情報が記憶された顧客情報DBと、前記顧客端末に入力された送金元の顧客から受金先の顧客への送金指示を受け、送金元の顧客の第1のフィアット通貨で前記送金指示の送金額に応じた前記仮想通貨を成り行き買いする自動成行買い手段と、前記仮想通貨を成り行き売りして第2のフィアット通貨を得る自動成行売り手段と、送金元の顧客の残高情報に送金指示に応じて第1のフィアット通貨の残高を減少させる送金情報反映手段と、受金先の顧客の残高情報に送金指示に応じて第2のフィアット通貨の残高を増加させる受金情報反映手段と、を備えている仮想通貨を用いた送金システムを提供する。
【0008】
この構成によれば、仮想通貨の送金に際して、顧客自らが仮想通貨の売買を行う必要がなく、フィアット通貨に基づいて送金を行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る仮想通貨を用いた送金システムは、送金に際して、顧客自らが仮想通貨の売買を行う必要がなく、フィアット通貨ベースで簡便に送金を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例に係る仮想通貨を用いた送金システムを示す構成図。
図2】本人専用ページにログインする手順を示すフローチャート。
図3】現金をフィアット通貨に両替する手順を示すフローチャート。
図4】フィアット通貨で仮想通貨を買う手順を示すフローチャート。
図5】現金を出金する手続を示すフローチャート。
図6】通常の国際送金の手順を示すフローチャート。
図7】送金元の顧客による仮想通貨の買い注文及び送金先の顧客による仮想通貨の売り注文を省略した、国際送金の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、仮想通貨の送金を簡便に行うために、複数の顧客端末と、顧客端末に入力された仮想通貨の送金指示又は売買注文を受け付ける市場サーバと、仮想通貨の市場を管理する管理サーバと、を備え、顧客端末、市場サーバ及び管理サーバは通信可能に構成された仮想通貨を用いた送金システムにおいて、市場サーバは、前記仮想通貨と第1のフィアット通貨又は第2のフィアット通貨のいずれかとの板情報が記憶された板情報DBと、顧客毎の前記仮想通貨及び第1のフィアット通貨又は第2のフィアット通貨のいずれかの残高情報が記憶された顧客情報DBと、顧客端末に入力された送金元の顧客から受金先の顧客への送金指示を受け、送金元の顧客の第1のフィアット通貨で送金指示の送金額に応じた仮想通貨を成り行き買いする自動成行買い手段と、仮想通貨を成り行き売りして第2のフィアット通貨を得る自動成行売り手段と、送金元の顧客の残高情報に送金指示に応じて第1のフィアット通貨の残高を減少させる送金情報反映手段と、受金先の顧客の残高情報に送金指示に応じて第2のフィアット通貨の残高を増加させる受金情報反映手段と、を備えていることにより実現した。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の一実施例に係る仮想通貨を用いた送金システム1について、図面に基づいて説明する。図1は送金システム1を示す構成図である。
【0013】
送金システム1は、顧客端末2と、市場サーバ3と、管理サーバ4と、を備えている。送金システム1は、現金に対応するフィアット通貨で仮想通貨(暗号通貨)を売買し、仮想通貨を顧客(ユーザ)間で送金可能なものである。具体的には、現金及びフィアット通貨は国毎に異なるが、フィアット通貨で売買される仮想通貨は世界共通であり、顧客は、為替レートを気にすることなく24時間いつでも仮想通貨を送金することができる。
【0014】
顧客端末2は、入力部21と、表示部22と、通信部23と、を備えている。顧客端末2は、コンピュータ、携帯電話、PDA等である。入力部21は、例えば、キーボード、マウス又はタッチパネル等である。表示部22は、例えば、ディスプレイである。
【0015】
市場サーバ3は、1国に1台設けられている。市場サーバ3は、設置された国の現金に対応するフィアット通貨を発行する。市場サーバ3は、処理部31と、記憶部32と、通信部33と、を備えている。なお、以下の説明では、国毎に設置された市場サーバを総称する場合には、参照符号3を付し、それぞれの市場サーバを区別する場合には、参照符号の末尾にA、Bを付して区別するものとする。
【0016】
処理部31は、例えば、CPUやメモリ等を有する。処理部31は、自動成行買い部31aと、自動成行売り部31bと、送金情報反映部31cと、受金情報反映部31dと、を備えている。
【0017】
記憶部32は、例えば、ハードディスク装置やフラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置である。記憶部32は、後述する板情報DB32a及び顧客情報DB32bを備えている。
【0018】
通信部33は、通信部23とネットワーク5を介して通信可能に接続されている。
【0019】
管理サーバ4は、処理部41と、記憶部42と、通信部43と、を備えている。処理部41は、例えば、CPUやメモリ等を有する。記憶部42は、例えば、ハードディスク装置やフラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置である。記憶部42は、後述する板情報DB42a及び顧客情報DB42bを備えている。通信部43は、通信部33とネットワーク5を介して通信可能に接続されている。
【0020】
市場サーバ3の板情報DB32a及び管理サーバ4の板情報DB42aには、フィアット通貨毎の仮想通貨の買い方と売り方の注文状況に関する板情報が記憶されている。
【0021】
市場サーバ3の顧客情報DB32bには、市場サーバ3が設置された国の顧客に関する顧客情報が記憶されている。顧客情報としては、例えば、顧客の氏名、法人名、住所、メールアドレス、電話番号、FAX番号等の顧客特定情報、顧客の金融機関に関する口座情報、及び現金、仮想通貨及びフィアット通貨の残高情報等である。
【0022】
管理サーバ4の顧客情報DB42bは、全ての市場サーバ3の顧客情報DB32bと同期されており、全顧客に関する顧客情報が記憶されている。
【0023】
次に、送金システム1の作用について、図面を用いて説明する。
【0024】
図2は、顧客が送金システム1を利用するにあたり、顧客毎に設定された本人専用ページにログインする手順を示すフローチャートである。顧客は、本人専用ページ内で所定の処理を行うことにより、入金、両替、売買、送金、出金等を行うことができる。
【0025】
まず、顧客端末2が、顧客の入力部21を介した入力操作を受けて、市場サーバ3に対してログイン画面の送信を要求し(S10)、市場サーバ3は、ログイン画面を顧客端末2に送信すると(S11)、ログイン画面が表示部22に表示される(S12)。
【0026】
ID、パスワードが入力部21を介して入力されると(S13)、市場サーバ3が、入力されたID、パスワードを顧客情報と照合し、本人確認を行う(S14)。入力されたID、パスワードの組み合わせが顧客情報と一致しない場合(S14のNo)、市場サーバ3は、エラー画面を送信し(S15)、エラー画面が表示部22に表示される(S16)。
【0027】
入力されたID、パスワードの組み合わせが顧客情報と一致する場合(S14のYes)、市場サーバ3は、本人専用ページを送信し(S17)、本人専用ページが表示部22に表示される(S18)。
【0028】
図3は、現金をフィアット通貨に両替する手順を示すフローチャートである。
市場サーバ3は、現金の入金を確認すると(S20)、顧客情報DB32bの現金の残高情報に入金額を反映する(S21)。
【0029】
次に、顧客の入力部21を介した入力操作を受けて、顧客端末2は、現金をフィアット通貨に両替する両替指示を市場サーバ3に送信する(S22)。両替指示には、両替するフィアット通貨の枚数等が含まれる。なお、通常、フィアット通貨と現金との両替比率は1対1である。
【0030】
市場サーバ3は、両替指示が適正か否かを判定する(S23)。具体的には、市場サーバ3は、顧客情報DB32bに記憶された顧客の現金の残高が両替指示に含まれる現金の金額以上であるか否かを判定する。
【0031】
顧客情報DB32bに記憶された現金の残高が足りない場合には(S23のNo)、市場サーバ3は両替エラー画面を送信し(S24)、両替エラー画面が表示部22に表示される(S25)。
【0032】
現金の残高が足りる場合には(S23のYes)、市場サーバ3は現金とフィアット通貨とを両替し、顧客情報DB32bに両替後の現金及びフィアット通貨の枚数を更新する(S26)。
【0033】
なお、上記の両替依頼は、現金をフィアット通貨に両替する場合について説明したが、フィアット通貨を現金に両替する場合であっても同様である。
【0034】
図4は、フィアット通貨で仮想通貨を買う手順を示すフローチャートである。
まず、顧客端末2が、顧客の入力部21を介した入力操作を受けて、市場サーバ3に対して、仮想通貨の買い指示を要求する(S30)。買い指示には、仮想通貨の買い枚数、及び仮想通貨の価額等が含まれる。
【0035】
市場サーバ3は、仮想通貨の買い指示が適正か否かを判定する(S31)。具体的には、市場サーバ3は、顧客情報DB32bに記憶されたフィアット通貨の枚数が、仮想通貨の買いに必要なフィアット通貨の枚数に足りるか否かを判定する。なお、仮想通貨の買いに必要なフィアット通貨の枚数は、買い指示に含まれる仮想通貨の買い枚数と価額の積である。
【0036】
顧客情報DB32bに記憶されたフィアット通貨の枚数が仮想通貨の買いに必要なフィアット通貨の枚数より少ない場合には(S31のNo)、市場サーバ3は、注文エラー画面を送信し(S32)、注文エラー画面が表示部22に表示される(S33)。
【0037】
顧客情報DB32bに記憶されたフィアット通貨の枚数が仮想通貨の買いに必要なフィアット通貨の枚数以上の場合には(S31のYes)、市場サーバ3は、買い指示に含まれる仮想通貨の買い枚数及び価額を板情報DB32aに反映する(S34)。
【0038】
買い注文に対当する売り注文が板情報DB32aに反映されると、買い注文は約定し(S35)、板情報DB32aから買い注文が消去され(S36)、顧客情報DB32bに仮想通貨の買い枚数、価額が反映されると共に、フィアット通貨の枚数が減算される(S37)。
【0039】
なお、上記の買い注文は、指値注文した場合について説明したが、成り行き注文であっても同様である。また、上記の実施例では、仮想通貨の買い注文を例に説明したが、仮想通貨の売り注文でも同様の手順で処理される。
【0040】
図5は、現金を出金する手続を示すフローチャートである。
顧客端末2が、顧客の入力部21を介した入力操作を受けて、市場サーバ3に対して、現金の出金依頼を送信する(S40)。出金依頼には、出金する現金の金額等が含まれている。
【0041】
市場サーバ3は、出金依頼が適正か否かを判定する(S41)。具体的には、市場サーバ3は、顧客情報DB32bに記憶された顧客の現金の残高が、出金依頼に含まれる現金の金額以上であるか否かを判定する。
【0042】
顧客情報DB32bに記憶された現金の残高が足りない場合には(S41のNo)、市場サーバ3は、出金エラー画面を送信し(S42)、出金エラー画面が表示部22に表示される(S43)。
【0043】
現金の残高が足りる場合には(S41のYes)、市場サーバ3は、出金指示に含まれる現金の金額分だけ指定口座に出金し(S44)、出金後の現金の残高を顧客情報DB32bに反映する(S45)。
【0044】
図6は、通常の国際送金の手順を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、送金元の顧客の顧客情報が記憶された市場サーバが設置された国を日本国とし、送金先の顧客の顧客情報が記憶された市場サーバが設置された国をフィリピン共和国と仮定する。また、日本国内で流通するフィアット通貨を第1のフィアット通貨JPYとし、フィリピン共和国内で流通するフィアット通貨を第2のフィアット通貨PHPとする。
【0045】
送金システム1の国際送金は、仮想通貨ベースで行われる。したがって、通常の送金手順では、送金元の顧客は、フィアット通貨で仮想通貨を買った後に、この仮想通貨を送金先の顧客に送金し、送金先の顧客が送金された仮想通貨を売って自国のフィアット通貨を買う。
【0046】
すなわち、送金元の日本国内の顧客は、図4に示す手順で、第1のフィアット通貨JPYで仮想通貨XECを買う。
【0047】
次に、顧客端末2が、顧客の入力部21を介した入力操作を受けて、日本国内に設置された市場サーバ3Aに対して、仮想通貨XECの送金指示を要求する(S50)。送金指示には、送金先の顧客の顧客情報が記憶された市場サーバの国(フィリピン共和国)、送金先の顧客の口座番号、口座名義人、並びに送金する仮想通貨XECの枚数等が含まれる。
【0048】
日本国内に設置された市場サーバ3Aは、フィリピン共和国内に設置された市場サーバ3Bに対して、送金先の顧客の口座番号、口座名義人を照会する(S51)。
【0049】
市場サーバ3Bは、送金先の顧客の口座番号及び口座名義人が適正か否かを確認し(S52)、その結果を市場サーバ3Aに返信する(S53)。
【0050】
市場サーバ3Aは、市場サーバ3Bの返信を受けて、送金依頼が適正か否かを判定する(S54)。具体的には、市場サーバ3Aは、顧客情報DBに記憶された送金元の顧客の仮想通貨XECの枚数が、送金依頼に含まれる仮想通貨XECの送金枚数に足りるか否かを判定する。
【0051】
工程S53の結果が適正でない場合又は仮想通貨XECの枚数が足りない場合には(S54のNo)、市場サーバ3Aは、送金エラー画面を送信し(S55)、送金エラー画面が表示部22に表示される(S56)。
【0052】
工程S53の結果が適正な場合及び仮想通貨XECの枚数が足りる場合には(S54のYes)、市場サーバ3Aは、送金指示に含まれる仮想通貨XECの枚数分だけ、顧客情報DB32bに記憶された送金元の顧客の仮想通貨XECの枚数を減少させる(S57)。また、市場サーバ3Aは、送金指示を市場サーバ3Bに送信する(S58)。
【0053】
市場サーバ3Bは、送金指示を受信すると(S59)、送金指示に含まれる仮想通貨XECの枚数分だけ、顧客情報DB32bに記憶された送金先の顧客の仮想通貨XECの枚数を増加させる(S60)。その後、送金先の顧客は、必要に応じて、図5に示す手順と同様の手順で、仮想通貨XECを売って第2のフィアット通貨PHPを買うことができる。
【0054】
このような国際送金は、仮想通貨XECの売買が介在するため、煩雑になりがちである。本願に係る送金システム1では、このような送金元の顧客の買い注文及び送金先の顧客の売り注文を省略した国際送金を行うことができる。
【0055】
図7は、送金元の顧客の買い注文及び送金先の顧客の売り注文を省略した国際送金の手順を示すフローチャートである。
顧客端末2が、顧客の入力部21を介した入力操作を受けて、日本国内に設置された市場サーバ3Aに対して、仮想通貨XECの送金指示を要求する(S70)。送金指示には、送金先の顧客の顧客情報が記憶された市場サーバ3Bの国(フィリピン共和国)、送金先の顧客の口座番号、口座名義人、並びに送金する仮想通貨XECの枚数等が含まれる。
【0056】
日本国内に設置された市場サーバ3Aは、フィリピン共和国内に設置された市場サーバ3Bに対して、送金先の顧客の口座番号、口座名義人を照会する(S71)。
【0057】
市場サーバ3Bは、送金先の顧客の口座番号及び口座名義人が適正か否かを確認し(S72)、その結果を市場サーバ3Aに返信する(S73)。
【0058】
市場サーバ3Aは、市場サーバ3Bの返信を受けて、送金依頼が適正か否かを判定する(S74)。具体的には、市場サーバ3Aは、顧客情報DB32bに記憶された送金元の顧客の第1のフィアット通貨JPYの枚数が、送金依頼に含まれる仮想通貨XECの分だけ成行買いに必要な枚数以上であるか否かを判定する。
【0059】
工程S73の結果が適正でない場合又は第1のフィアット通貨JPYの枚数が足りない場合には(S74のNo)、市場サーバ3Aは、送金エラー画面を送信し(S75)、送金エラー画面が表示部22に表示される(S76)。
【0060】
工程S73の結果が適正であって、第1のフィアット通貨JPYの枚数が足りる場合には(S74のYes)、自動成行買い部31aは、送金指示に含まれる仮想通貨XECの枚数分だけ成り行き買い注文を板情報DB32aに反映する(S77)。
【0061】
次に、送金情報反映部31cは、仮想通貨XECの購入に要した第1のフィアット通貨JPYの枚数を確定し、顧客情報DB32bに記憶された送金元の顧客の第1のフィアット通貨JPYの枚数を減少させる(S78)。また、市場サーバ3Aは、送金指示を市場サーバ3Bに送信する(S79)。
【0062】
市場サーバ3Bは、送金指示を受信すると(S80)、自動成行売り部31bは、送金指示に含まれる仮想通貨XECの枚数分だけ成り行き売り注文を板情報DB32aに反映する(S81)。受金情報反映部31dは、仮想通貨XECの売却により得た第2のフィアット通貨PHPの枚数を確定し、顧客情報DB32bに記憶された送金先の顧客のフィアット通貨PHPの枚数を増加させる(S82)。
【0063】
このようにして、本発明に係る仮想通貨を用いた送金システム1は、送金に際して、顧客自らが仮想通貨の売買を行う必要がなく、フィアット通貨ベースで簡便に送金を行うことができる。
【0064】
なお、上述した実施例では、日本国とフィリピン国との間の国際送金について説明したが、本発明は、国内送金や上記2か国以外の国際送金についても、同様に適用可能であることは言うまでもない。
【0065】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0066】
1 ・・・ 送金システム
2 ・・・ 顧客端末
21・・・ 入力部
22・・・ 表示部
23・・・ (顧客端末の)通信部
3、3A、3B ・・・ 市場サーバ
31・・・ (市場サーバの)処理部
31a・・・自動成行買い部
31b・・・自動成行売り部
31c・・・送金情報反映部
31d・・・受金情報反映部
32・・・ (市場サーバの)記憶部
33・・・ (市場サーバの)通信部
4 ・・・ 管理サーバ
41・・・ (管理サーバの)処理部
42・・・ (管理サーバの)記憶部
43・・・ (管理サーバの)通信部
5 ・・・ ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7