特許第6457462号(P6457462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6457462クランプアセンブリおよびクランプアセンブリを備えたクランプデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457462
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】クランプアセンブリおよびクランプアセンブリを備えたクランプデバイス
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/20 20060101AFI20190110BHJP
   B23Q 3/12 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   B23B31/20 E
   B23B31/20 F
   B23Q3/12 B
   B23B31/20 H
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-213095(P2016-213095)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2017-104974(P2017-104974A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2017年5月1日
(31)【優先権主張番号】10 2015 121 236.6
(32)【優先日】2015年12月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507082873
【氏名又は名称】オット−ヤコブ シュパンテヒニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ グライフ
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド ロッシュ
(72)【発明者】
【氏名】バルトロメウス レイサチャー ジュン.
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/090261(WO,A1)
【文献】 特開平10−118814(JP,A)
【文献】 特開昭63−047034(JP,A)
【文献】 米国特許第04997325(US,A)
【文献】 米国特許第05613692(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0149160(US,A1)
【文献】 独国特許発明第10159611(DE,C1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0025600(US,A1)
【文献】 特表2005−511325(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102004035993(DE,A1)
【文献】 特開2007−007851(JP,A)
【文献】 特表2007−505746(JP,A)
【文献】 特開2011−110686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/00−33/00
B23Q 3/00−3/154
B23Q 3/16−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンションロッド(2)を介して軸方向に可動であるクランプコーンと、前記クランプコーンの外側で周方向に互いに離間されて配置されている複数のクランプ要素(17)とを備え、機械構成部材(1)にワークピースまたはツールまたはツールホルダ(4)をクランプするクランプデバイスのためのクランプアセンブリ(3)であって、前記テンションロッド(2)の軸方向移動によって径方向外側のクランプ位置と径方向内側のリリース位置との間で可動であるクランプアセンブリ(3)において、前記クランプコーンは軸方向に互いに反対向きに可動である2つの部品(7、8)を有しており、前記クランプ要素(17)は、前記クランプコーンの前記2つの部品(7、8)を一緒に動かすことで前記径方向外側のクランプ位置に移動でき、前記クランプコーンの前記2つの部品(7、8)を別々に動かすことで径方向内側のリリース位置に移動できることを特徴とするクランプアセンブリ(3)。
【請求項2】
前記テンションロッド(2)は、前記クランプコーンの第1部品(7)に接続されている第1ロッド部品(15)と、前記クランプコーンの第2部品(8)に接続されている第2ロッド部品(16)とを有していることを特徴とする請求項記載のクランプアセンブリ(3)。
【請求項3】
前記第1ロッド部品(15)は、筒状の前記第2ロッド部品(16)内で軸方向に可動であるよう配置されていることを特徴とする請求項記載のクランプアセンブリ(3)。
【請求項4】
前記クランプ要素(17)は、前記クランプコーンの第1部品(7)の円錐状外面(10)に接触するための第1クランプ内面(26)と、前記クランプコーンの第2部品の円錐状外面(14)に接触するための第2クランプ内面(27)とを有していることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のクランプアセンブリ(3)。
【請求項5】
前記クランプコーンの第1部品(7)は、円筒状ガイド領域(11)を含んでおり、前記クランプコーンの第2部品(8)の中空円筒状ガイド部は前記円筒状ガイド領域(11)上を移動するようガイドされることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のクランプアセンブリ(3)。
【請求項6】
前記クランプ要素(17)は、円錐状平坦部によって形成されている第1クランプ外面(20)および前記第1クランプ外面(20)とは反対に傾斜し、さらに円錐状平坦部によって形成されている第2クランプ外面(23)を備えたクランプ鉤爪部の形態に設計されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のクランプアセンブリ(3)。
【請求項7】
機械構成部材(1)内に配置されているクランプアセンブリ(3)と、前記クランプアセンブリ(3)に接続されている作動装置(38)とを使用して、前記機械構成部材(1)にワークピースまたはツールまたはツールホルダ(4)をクランプするためのクランプデバイスであって、前記クランプアセンブリ(3)は請求項1からのいずれか1項に従って設計されていることを特徴とするクランプデバイス。
【請求項8】
前記作動装置(38)はハウジング(39)内に配置されているシリンダ(40)を含んでおり、前記シリンダ(40)内で、第1ピストンロッド(41)を介して前記クランプコーンの第1部品(7)に接続されている第1ピストン(42)と、第2ピストンロッド(43)を介して前記クランプコーンの第2部品(8)に接続されている第2ピストン(44)が軸方向に動くように配置されていることを特徴とする請求項記載のクランプデバイス。
【請求項9】
第1圧力チャンバ(45)が2つのピストン(42、44)間に設置されており、前記第1圧力チャンバ(45)は、シリンダ(40)を包囲するスリーブ(47)内の第1チャネル(46)を介して第1接続部(48)に接続されていることを特徴とする請求項記載のクランプデバイス。
【請求項10】
第2圧力チャンバ(50)が、前記第1ピストン(42)と、シリンダ(40)の後方端のハウジング(39)内に螺合されている後方端部品(49)の面部との間で画定されており、第3圧力チャンバ(52)が、前記第2ピストン(44)と、シリンダ(40)の前方端の閉リング(51)との間で画定されており、この場合に、前記第2圧力チャンバ(50)および前記第3圧力チャンバ(52)は第2接続部(55)と接続されていることを特徴とする請求項または記載のクランプデバイス。
【請求項11】
前記作動装置(38)は、クランプ位置で前記クランプ要素(17)を保持するクランプスプリングと、前記クランプ要素(17)を前記クランプスプリングの力に抗してリリース位置まで移動させるリリース装置とを含んでいることを特徴とする請求項記載のクランプデバイス。
【請求項12】
前記機械構成部材(1)は、回転するように取り付けられている工作機械のワークスピンドルである、駆動装置によって回転可能であることを特徴とする請求項から11のいずれか1項に記載のクランプデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワークピース(加工対象物)またはツール(工具)またはツールホルダを、請求項1のプレアンブルに記載の工作機械の機械構成部材にクランプ(締め固定)するためのクランプアセンブリ(クランプ構造体)に関する。本発明はそのようなクランプアセンブリを備えたクランプデバイスにも関係する。
【背景技術】
【0002】
テンションロッドを介して軸方向に可動であるクランプコーンと、周方向に外側で相互に離間しているいくつかの鉤爪状のクランプ要素を備えたクランプアセンブリはDE10159611C1から知られている。この鉤爪状のクランプ要素は、中空シャンクツールの対応する斜状のクランプスロープと接触するために前方端に設けられた斜状の第1クランプ面と、機械スピンドルの対応する係合面での接触のために後方端に設けられた斜状の第2クランプ面を有している。単一体として設計されているクランプコーンは、その前方端に第1円錐状クランプ面部分を有し、鉤爪状のクランプ要素の前方端と後方端の対応する内面で接触するために、その後方端に設けられた第2円錐状クランプ面部分を有している。テンションロッドの端部に配置されているクランプコーンの軸方向の移動によって、鉤爪状クランプ要素は機械スピンドルの中央軸に平行な位置で径方向外側または径方向内側に押され、中空シャンクツールのクランプあるいはリリースが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE10159611C1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、さらに効果的なクランププロセスを可能にするクランプアセンブリと、そのようなクランプアセンブリを備えたクランプデバイスとを考案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を備えたクランプアセンブリによって、および請求項の特徴を備えたクランプデバイスによって解消される。本発明の進歩した実施態様および有利な改良は従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明のクランプアセンブリのクランプコーン(クランプ円錐体)は、軸方向に互いに反対向きに移動する2つの部品を有している。一つのクランプコーンの場合と比べて、作動力はハウジング上で支持されず、クランプコーンの他方の部品に導かれる(ガイドされる)。よって、改良された効率が達成され、クランププロセスをさらに効率よく構成することができる。
【0007】
特に改良された1実施態様においては、クランプ要素は、クランプコーンの2つの部品を一緒に動かすことによって径方向(放射状)外側のクランプ位置にまで移動させることができ、クランプコーンのこれら2つの部品を別々に動かすことによって径方向内側のリリース(解除)位置にまで移動させることができる。しかし、反対に傾斜した斜面によって、1別実施態様のクランプ要素は、クランプコーンの2つの部品を別々に動かすことでクランプ位置にまで移動させることができ、クランプコーンのそれら2つの部品を一緒に動かすことでリリース位置にまで移動させることもできる。
【0008】
クランプコーンの2つの別々の部品の反対方向の移動は、クランプコーンの第1部品に接続された第1ロッド部品と、クランプコーンの第2部品に接続された第2ロッド部品とを有したテンションロッドによって好適形態で達成できる。筒状の第2ロッド部品内にて、第1ロッド部品は好適には軸方向に移動可能であるように設計されている。
【0009】
別の好適形態では、クランプ要素は、クランプコーンの第1部品の円錐状外面に接触するための第1内側クランプ面と、クランプコーンの第2部品の円錐状外面に接触するための第2内側クランプ面とを有している。
【0010】
互いに対して可動であるクランプコーンの2つの部品の適切で正確なガイドは、クランプコーンの第1部品が、クランプコーンの第2部品の中空円筒状ガイド部を動かすようにガイドする円筒状ガイド領域(円筒状ガイド部)を含んでいるという事実によって達成できる。
【0011】
クランプ要素は、例えば、円錐状面部によって形成された第1外側クランプ面と、第1クランプ面とは反対に傾斜した円錐状平坦部によって形成された第2外側クランプ面とを備えたクランプ鉤爪部の形態にも設計できる。しかしながら、クランプ要素は異なる形状を有することもできる。
【0012】
本発明は機械構成部材内に設置された上述のクランプアセンブリを備えたクランプデバイス、およびクランプアセンブリに接続された作動装置にも関係する。
【0013】
作動装置はハウジング内に配置されたシリンダを含むことができ、そこで、第1ピストンロッドを介してクランプコーンの第1部品に接続されている第1ピストンと、第2ピストンロッドを介してクランプコーンの第2部品に接続されている第2ピストンとは軸方向に移動するように配置されている。第1圧力チャンバはこれら2つのピストン間に配置でき、シリンダを包囲するスリーブ内の第1チャネル(導通路)を介して第1接続部と接続されている。第2圧力チャンバは、第1ピストンと、シリンダの後方端に設けられたハウジング内に螺合された後方端部品の前面との間で画定されており(境界が定められており)、第3圧力チャンバは、第2ピストンと、シリンダの前方端の閉リングとの間で画定されている。この場合には、第2圧力チャンバおよび第3圧力チャンバは第2接続部で接続されている。
【0014】
クランプアセンブリの作動は異なる形態でも発生する。例えば、クランプコーンの2つの部品は、テンションロッドの2つのロッド部品間で締め付けられているスプリング構造体を介して引き離されることができ、それによってクランプ要素はクランプ位置に保持される。クランプ要素をリリース位置まで移動させるため、クランプコーンの両部品は、スプリング構造体の力に抗して、電気的、空気圧的または液圧的に作動する弛緩装置を介して共に移動できる。
【0015】
機械構成部材は、回転するように取り付けられており、駆動装置によって回転可能な工作機械の工作スピンドルでよい。
【0016】
本発明の追加の詳細と利点は、図面を利用した好適実施例の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、テンションロッドとクランプアセンブリを備えたクランプデバイスの軸方向断面図を図示する。
図2図2は、軸方向の断面図で表わされた図1に図示のクランプアセンブリの詳細図である。
図3図3は、クランプ位置にあるクランプアセンブリを図示する。
図4図4は、リリース位置にあるクランプアセンブリを図示する。
図5図5は、クランプ位置とリリース位置の間でクランプアセンブリを動かす作動装置を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
機械構成部材1内の一体化されたクランプデバイスが図1の軸方向断面図に示されており、テンションロッド2は機械構成部材1内で軸方向に移動が可能であり、クランプアセンブリ3は、ツールホルダ4(破線で図示)またはツールまたはワークピースのクランプまたはリリースのためのクランプ位置とリリース位置との間でテンションロッド2によって移動が可能である。図示されている実施例の機械構成部材1は複数の部品から構成された固定機械(定置機械)要素であり、ツールホルダ4の中空コーンシャンク6を受領するための円錐状受領開口部5を含んでいる。しかし、機械構成部材1は、スピンドルハウジング内で回転するように取り付けられ、駆動装置によって回転するように駆動される工作機械等のワークスピンドルであってもよい。
【0019】
分離されて図2に図示されているクランプアセンブリ3はクランプコーンを含んでおり、クランプコーンは、軸方向に相対的に可動である2つの別々の部品7と8から成る。図2の底部に配置され、ツールホルダ4に対面しているクランプコーンの第1部品7は、円錐状外面10と円筒状ガイド領域11とを備えた円錐状クランプ領域(円錐状クランプ部)9を有している。クランプコーンの第2部品8は、第1部品7のガイド領域11上を移動するようにガイドされる中空円筒状ガイド部12と、円錐状外面14を備えた円錐状クランプ領域(円錐状クランプ部)13とを含んでいる。クランプ領域9と13の円錐状外面10と14は、2つの部品7と8上で互いに反対方向に傾斜している。クランプコーンの2つの部品7と8は、ガイド領域11とガイド部12を通じて相対的に軸方向に移動するようにガイドされる。
【0020】
テンションロッド2は軸方向に可動である第1ロッド部品15と、第1ロッド部品15に対して軸方向に可動である第2ロッド部品16とを含んでいる。第1ロッド部品15の前方端には、本例では筒状に設計されたクランプコーン15の第1部品7が締結され、クランプコーンの第2部品8は、第1ロッド部品15の周囲に同軸に配置された第2の筒状ロッド部品16の端部に締結されている。クランプコーンのこれら2つの部品7と8は、2つのロッド部品15と16を介して共に動くか、別々に動くことができる。
【0021】
周方向に互いから等間隔に離間された複数のクランプ要素17は、クランプコーンの第1部品7の円錐状外面10と、第2部品8の円錐状外面14とに配置されており、図2で図示されているクランプ位置においてクランプアセンブリ3の中央軸18に平行に配置されている。本例ではクランプ鉤爪部として設計されているクランプ要素17は、第1クランプ外面20を備えたツールホルダ4に対面した拡大前方端部(肉厚前方端部)19を含んでおり、図3で示すクランプ位置に、図1に示すツールホルダ4の中空コーンシャンク6の内部で円錐状内面21に通常状態で接触する。鉤爪状クランプ要素17は、第1クランプ外面20とは反対方向に傾斜し、かつ、円錐状平坦部によって形成された第2クランプ外面23を備えた拡大後方端部(肉厚後方端部)22も含んでおり、図3に示すクランプ要素17は、拡大後方端部22(第2クランプ外面23)によって、機械構成部材1の環状肩部25内の円錐状係合面24で支持されている。
【0022】
鉤爪状クランプ要素17は、クランプコーンの2つの部品7と8を一緒に移動させることで径方向外側のクランプ位置にまで移動でき、クランプコーンの2つの部品7と8を別々に移動させることで径方向内側のリリース位置にまで移動できる。
【0023】
図3のクランプ位置において、鉤爪状クランプ要素17は、第1前方端部19の内側に提供された第1クランプ内面26を備えた第1部品7の円錐状外面10と、後方端部22の内側に提供された第2クランプ内面27を備えた第2部品8の円錐状外面14とに接して設置される。
【0024】
図4のリリース位置において、ツールホルダ4に係合する鉤爪状クランプ要素17の前方端部19は、それらの第1クランプ内面26がクランプコーンの第1部品7の円錐状クランプ領域9の縮小後方端部(幅狭後方端部)の斜面に配置された状態に置かれ、交換のために前方端部19は径方向内側に移動し、ツールホルダ4をリリースする。クランプコーンの2つの部品7と8の円錐状外面10と14、および、クランプ鉤爪部17(クランプ要素17)のクランプ内面26と27は互いに調節され、クランプ鉤爪部17は、2つの部品7と8が一緒に押圧されると径方向外側に移動し、2つの部品7と8が別々に押圧されると径方向内側に移動する。
【0025】
スペーサ(図2に追加図示)が、クランプコーンの第2部品8に接している鉤爪状クランプ要素17の後方端部22に配置されており、それを通じて、クランプ要素17は、周方向に所定間隔で相互離間されて保持されている。スペーサは、ガイドスリーブ28内で軸方向に移動するようにガイドされた保持スリーブ29を含んでおり、保持スリーブ29は、軸方向に突出し、クランプ要素17に対面した端部にて周方向に等間隔に離間された傾斜前表面31を備えた複数の肩部30を有する。保持スリーブ29はガイドスリーブ28内で移動でき、鉤爪状クランプ要素17の方向に圧縮スプリング32によって加圧されている。保持スリーブ29の肩部30は、鉤爪状クランプ要素17の後方第2端部22の溝部33に係合し、それらの傾斜表面31を溝部33の基部の係合斜面34に接触させた状態で存在する。
【0026】
ガイドスリーブ28は後方接触面35を有しており、前方端には周方向に相互離間し、鉤爪状クランプ要素17の後方第2端部22に接触するために保持スリーブ29の肩部30同士間に延びる傾斜前方端部37を備えた複数の環状部36を有している。
【0027】
分離状態で図5に図示する作動装置38は、ツールホルダ4とは反対側の機械構成部材1の後方端に配置されており、それを通じてテンションロッド2の2つのロッド部品15と16が互いに反対方向に移動できる。作動装置38はハウジング39内に配置されているシリンダ(筒体)40を含み、その中で、第1ピストンロッド41とテンションロッド2の第1ロッド部品15とを介してクランプコーンの第1部品7に接続された第1ピストン42と、第2ピストンロッド43とテンションロッド2の第2ロッド部品16とを介してクランプコーンの第2ロッド部品8に接続されている第2ピストン44とが、軸方向に移動でき、径方向に密封される。第2ピストン44は環状ピストンとして設計されており、そこで第1ピストン42のピストンロッド41は移動するようにガイドされる。
【0028】
図5から次のように、第1圧力チャンバ45が、2つのピストン42と44の間に配置され、閉シリンダ40でスリーブ47の第1チャネル46を介して第1接続部48に接続される。第2圧力チャンバ50は、第1ピストン42と、シリンダ40の後方端のハウジング39に螺合された後方端部品49の表面との間で画定され、第3圧力チャンバ52は、第2ピストン44と、シリンダ40の前方端の閉リング51との間で画定されている。第2圧力チャンバ50および第3圧力チャンバ52は、端部品49とハウジング39との間に延びる第2チャネル53と、シリンダ40とスリーブ47との間に延びる第3チャネル54とを介して第2接続部55に接続されている。
【0029】
上記したクランプデバイスは以下のように機能する。
【0030】
作動装置38の第1接続部48が液圧による作用を受けると、2つのピストン42と44は離間し、クランプコーンの2つの部品7と8はピストンロッド41と43を介して互いに向けて移動し、テンションロッド2の2つのロッド部品15と16とクランプ要素17は図3に示すクランプ位置に入る。このクランプ位置でクランプ要素17のクランプ外面20と23は、機械構成部材1のツールホルダ4の円錐状内面21と円錐状係合面24に接し、ツールホルダ4は緊張(引張)状態で機械構成部材1の受領開口部5内に保持される。
【0031】
クランプデバイスをリリースするには、第2接続部55が液圧による作用を受け、2つのピストン42と44が互いに向けて移動する。よって、クランプコーンの2つの部品7と8は離間するように移動し、クランプ要素17が図4で示すリリース位置に到達する。この位置にて、クランプコーンの2つの部品7と8の外側に接するクランプ要素17は、それらのクランプ外面20がツールホルダ4の内側で円錐状内面21から離脱(脱係合)し、ツールホルダ4が円錐状受領開口部5から容易に外れるようになるまで、径方向内側方向に押圧される。
【0032】
本発明のクランプアセンブリは上述の実施例には限定されない。例えば、クランプ要素は球状あるいは別の適した形状を有することができる。本発明のクランプシステムは中空円錐状クランプシステムで利用できるだけでなく、鋭くテーパしたクランプシステムあるいは他のクランプシステムでも利用できる。クランプアセンブリは、多角形シャンククランプシステム(PSC)用のクランプアセンブリとして、球状クランプ要素を備えたクランプアセンブリとして、または他のツール交換システム用のクランプアセンブリとして、中空シャンクコーン(HSC)でツールを保持するよう、および、コレットの形態の鋭角コーン(SC;steep cone)でツールを保持するように設計できる。クランプデバイスはワークピースのリリース可能な保持にも適している。異なる作動装置も、クランプコーンの2つの部品を一緒に、または別々に移動させるために使用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 機械構成部材
2 テンションロッド
3 クランプアセンブリ
4 ツールホルダ
5 円錐状受領開口部
6 中空コーンシャンク
7 クランプコーンの第1部品
8 クランプコーンの第2部品
9 円錐状クランプ領域
10 円錐状外面
11 円筒状ガイド領域
12 ガイド部
13 円錐状クランプ領域
14 円錐状外面
15 第1ロッド部品
16 第2ロッド部品
17 鉤爪状クランプ要素
18 中央軸
19 クランプ要素の第1端部
20 第1クランプ外面
21 円錐状内面
22 クランプ要素の第2端部
23 第2クランプ外面
24 円錐状係合面
25 環状肩部
26 第1クランプ内面
27 第2クランプ内面
28 ガイドスリーブ
29 保持スリーブ
30 肩部
31 表面
32 圧縮スプリング
33 溝部
34 係合面
35 後方接触面
36 環状部
37 傾斜前方端部
38 作動装置
39 ハウジング
40 シリンダ
41 第1ピストンロッド
42 第1ピストン
43 第2ピストンロッド
44 第2ピストン
45 第1圧力チャンバ
46 第1チャネル
47 スリーブ
48 第1接続部
49 端部品
50 第2圧力チャンバ
51 閉リング
52 第3圧力チャンバ
53 第2チャネル
54 第3チャネル
55 第2接続部
図1
図2
図3
図4
図5