(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457527
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】ハロゲン化ジ置換ベンジルアミン類、特にハロゲン化ジアルキルベンジルアミン類の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 209/08 20060101AFI20190110BHJP
C07C 211/29 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
C07C209/08
C07C211/29
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-538017(P2016-538017)
(86)(22)【出願日】2014年12月8日
(65)【公表番号】特表2017-504583(P2017-504583A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】EP2014076822
(87)【国際公開番号】WO2015086490
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年12月5日
(31)【優先権主張番号】13196718.4
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ゼーバ,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】シユレーゲル,ギユンター
(72)【発明者】
【氏名】リツトマン,マルテイン
(72)【発明者】
【氏名】ヴアルジツツ,ラフアエル
(72)【発明者】
【氏名】フオード,マーク・ジエームズ
【審査官】
佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/017611(WO,A1)
【文献】
特開2003−026640(JP,A)
【文献】
特開平10−316629(JP,A)
【文献】
特開昭55−073640(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/125592(WO,A1)
【文献】
特表2007−532528(JP,A)
【文献】
Adimurthy, Subbarayappa; Joshi, Girdhar,A fast and highly efficient method for the synthesis of tertiary amines in aqueous medium,Indian Journal of Chemistry, Section B: Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry,2010年,49B(6),771-775
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 209/08
C07C 211/29
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
R
1は水素、C
1−C
8−アルキル、C
2−C
6−アルケニル、C
3−C
6−シクロアルキル、C
1−C
8−アルコキシ、C
1−C
6−アルコキシ−C
2−C
6−アルケニル、フェニル、ベンジルであり;
R
2、R
3はそれぞれ独立に、C
1−C
8−アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
2−C
6−アルケニル、C
3−C
8−シクロアルキル、C
1−C
6−アルコキシ、C
1−C
6−ハロアルキル、C
1−C
6−ハロアルコキシであり、
Xは塩素または臭素であり、および
nは0、1、2、3または4である。]の製造方法であって、
最初に反応媒体として、20%から50%の濃度でのアルカリ金属水酸化物を入れ、次に第1の段階A)で、下記化合物(II)および(III):
【化2】
[式中、
R
1、R
2、R
3およびXは上記で定義の通りであり、
Yは、塩素、臭素、ヨウ素、アルキルスルホネート(−OSO
2−アルキル
)またはアリールスルホネート(−OSO
2−アリール)である。]を0.9から2.5のモル比で反応させ、第2の段階B)で、式(III)の化合物1モルに対して
1から9モルの水をその反応混合物に加え、次に水相を生成物から除去することを含む方法。
【請求項2】
前記アルキルスルホネートが−OSO2CH3または−OSO2CF3であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階A)を有機溶媒の非存在下に行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
段階A)およびB)を有機溶媒の非存在下に行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記反応温度が−20℃から70℃であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
段階A)で式(II)および(III)の化合物の添加が完了したら、混合物を1から24時間後反応させることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
段階B)の次に精製段階C)を行い、ここで、有機溶媒を溶媒:粗生成物のモル比1:1から1:50で反応混合物に加えることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
鉱酸を加えることで、反応媒体のpHを0から2の値(RT)に調節することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
有機相を除去することを含み、ここで、水相を有機溶媒と混合し、溶媒:粗生成物のモル比が10:1から1:50であり、塩基によってpHを11から14の値(RT)に調節し及び水相を除去することを特徴とする、請求項8および9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
残留水、残留量の有機溶媒および残留量の式(II)の化合物の段階D)での蒸留除去を含むことを特徴とする、請求項1、2および8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
段階A)、B)およびD)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
段階A)、B)、C)およびD)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化ジ置換ベンジルアミン類、特にハロゲン化ジアルキルベンジルアミン類の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン化ジアルキルベンジルアミン類の製造は、先行技術から公知である。例えば、WO2012/139561A1には、触媒および塩基の存在下に相当するアリールおよびヘテロアリールハライドもしくはスルホネートから芳香族またはヘテロ芳香族アミン類を製造する方法が記載されている。
【0003】
US2007/0073086A1には、有機溶媒、アルカリ金属水酸化物および相間移動触媒の存在下にアリールハライドを芳香族アミンと反応させる、ジフェニルアミン類の製造方法が記載されている。
【0004】
同様に、US3,646,147Pには、触媒としてのアルカリ金属ヨージドの存在下に、アルキルクロライドを1級アミンと反応させる、3級アミンの製造方法が記載されている。
【0005】
WO2008/125592A1には同様に、o−クロロメチルフェニルグリオキシル酸エステル類の製造方法が開示されている。この文書には、2−クロロベンジルクロライドのトルエンおよび15%強度水酸化ナトリウム水溶液中溶液にモルホリンを加える、2−クロロベンジルモルホリンの合成が記載されている。
【0006】
EP0034425A1には、モノもしくはジ二級アミンから出発して、銅触媒存在下でのジ−ヨードアリール化合物とのウルマン縮合を介して当該アミンをアリール化する、三級アミン類の製造方法が記載されている。
【0007】
WO2013/017611A1には同様に、N,N−ジアルキルベンジルアミン類の製造方法が開示されている。この方法は、3:1以上のモル比でジメチルアミンおよび2−クロロベンジルクロライドを反応させることを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2012/139561A1
【特許文献2】US2007/0073086A1
【特許文献3】US3,646,147P
【特許文献4】WO2008/125592A1
【特許文献5】EP0034425A1
【特許文献6】WO2013/017611A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術に記載の方法の欠点には、高価な触媒の使用または高コストで不便なアミン除去を伴う大過剰の二級アミンの使用などがある。
【0010】
従って、本発明が扱う問題は、ハロゲン化ジ置換ベンジルアミン類、特にハロゲン化ジアルキルベンジルアミン類の新規な製造方法であって、触媒の使用が必要ではなく、反応混合物が過剰の二級アミンを含まず、最終生成物が高純度および収率で得ることができる方法の提供の問題であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、このたび、ベンジルハライドとジ置換アミン、特にジアルキルアミンとの間のモル比が比較的低いにも拘わらず、本発明による方法によって、95%以上の収率および99%の最終生成物純度が得られることが見出された。当該方法ではさらに、アミンの回収を行わずに済む。
【0012】
本発明は、下記式(I)の化合物:
【化1】
【0013】
[式中、
R
1は水素、C
1−C
8−アルキル、C
2−C
6−アルケニル、C
3−C
6−シクロアルキル、C
1−C
8−アルコキシ、C
1−C
6−アルコキシ−C
2−C
6−アルケニル、フェニル、ベンジル、好ましくは水素であり;
R
2、R
3はそれぞれ独立に、C
1−C
8−アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
2−C
6−アルケニル、C
3−C
8−シクロアルキル、C
1−C
6−アルコキシ、C
1−C
6−ハロアルキル、C
1−C
6−ハロアルコキシ、好ましくはC
1−C
6−アルキル、より好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、最も好ましくはメチルまたはエチルであり、
Xは塩素または臭素、好ましくは塩素であり、
nは0、1、2、3または4、好ましくは0である。]の製造方法であって、
最初に反応媒体として、20%から50%、好ましくは25%から45%、より好ましくは30%から40%の濃度でのアルカリ金属水酸化物を入れ、次に第1の段階A)で、下記化合物(II)および(III):
【化2】
【0014】
[式中、
R
1、R
2、R
3およびXは上記で定義の通りであり、
Yは、塩素、臭素、ヨウ素、アルキルスルホネート(−OSO
2−アルキル、好ましくは−OSO
2CH
3、−OSO
2CF
3)またはアリールスルホネート(−OSO
2−アリール、好ましくは−OSO
2Ph、−OSO
2PhMe)、好ましくは塩素または臭素、より好ましくは塩素である。]を0.9から2.5、好ましくは1から2、より好ましくは1.1から1.3のモル比で反応させ、第2の段階B)で、式(III)の化合物1モルに対して0から9モル、好ましくは1から5モル、より好ましくは1から3モルの水をその反応混合物に加え、次に水相を生成物から除去することを含む方法を提供する。
【0015】
有機溶媒の非存在下に段階A)を行うことが好ましい。本発明による方法の段階A)およびB)の両方を有機溶媒の非存在下に行うことが特に好ましい。
【0016】
本発明による方法の反応温度は、−20℃から70℃、好ましくは0℃から65℃、より好ましくは20℃から60℃である。
【0017】
本発明による方法は、0.1バールから32バール、好ましくは0.5バールから10バール、より好ましくは0.9バールから1.5バールの反応圧力で行うことができる。
【0018】
式(I)の化合物が2−クロロ−N,N−ジメチルベンジルアミンである場合が非常に特に好ましい。
【0019】
使用される式(II)の化合物が、好ましくは35%から45%強度水溶液としての、より好ましくは40%強度水溶液としてのジメチルアミンである場合が、非常に特に好ましい。
【0020】
式(III)の化合物が2−クロロベンジルクロライドである場合が、非常に特に好ましい。
【0021】
有用なアルカリ金属水酸化物は水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムであり、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0022】
本発明による方法の段階A)が式(II)および(III)の化合物を、0.2から6時間かけて最初に入れた水酸化ナトリウム水溶液に加えることを含む場合が好ましい。最初に式(II)の化合物を水酸化ナトリウム水溶液に加え、次に得られた混合物に式(III)の化合物を計量投入することが同様に可能かつ同様に好ましい。
【0023】
段階A)が、最初に式(III)の化合物および水酸化ナトリウム水溶液を入れ、得られた混合物に式(II)の化合物を加えることを含むことも可能である。
【0024】
本発明による方法の段階A)での式(II)および(III)の化合物の添加完了してから、混合物を1から24時間、好ましくは4から18時間、より好ましくは6から12時間にわたり、後反応させる場合が好ましい。
【0025】
必要に応じて、本発明による方法の段階B)での水の添加を行った後に、精製段階C)を行うことができる。これは、溶媒:粗生成物のモル比1:1から1:50、好ましくは1:5から1:20、より好ましくは1:5から1:10で反応混合物に有機溶媒を加えることを含む。これが、鉱酸、好ましくは塩酸または硫酸、より好ましくは塩酸を加えることで、反応媒体のpHを0から2の値(RT)に調節することを含む場合が、特に好ましい。その後、有機相の除去を行う。水相を有機溶媒と混合し、溶媒と粗生成物の間のモル比は、10:1から1:50、好ましくは5:1から1:10、より好ましくは2:1から1:2である。ここで、塩基、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液を加えることで、pHを11から14の値(RT)に調節する。次に、水相を除去する。
【0026】
本発明による方法の一つの好ましい実施形態は、精製段階C)を含む。
【0027】
さらなる段階D)は、好ましくは蒸留によって、生成物から有機溶媒を除去することを含む。段階C)を行わなかった場合、有機溶媒を段階D)に用いることができ、その溶媒は再度蒸留で除去する。本発明による方法での蒸留は、専ら、残留水、残留量の有機溶媒および残留量の式(II)の化合物を除去するのに役立つ。化合物(I)自体は蒸留されない。段階D)が行われたら、当該化合物(I)は高純度で得られる。
【0028】
本発明による方法が段階A)、B)およびD)を含む場合が好ましい。それが段階A)、B)、C)およびD)を含む場合が特に好ましい。
【0029】
有用な有機溶媒には、非極性溶媒、例えばトルエン、メチルシクロヘキサンまたはメチル−tert−ブチルエーテルなどがある。トルエンが好ましい。
【0030】
本発明による方法は、バッチ式および連続式に両方で行うことができ、バッチ式手順が好ましい。
【0031】
連続モードは、例えば段階A)において管型リアクターを用いて行うことができる。本発明によれば、水酸化ナトリウムを管に連続的に通過させ、次に例えばノズルまたは静的ミキサーを用いて、式(II)の化合物をそれと混合する。次に、式(III)の化合物の下流で、計量添加を行う。その添加は、サブストリームの添加を介してリアクターにおける複数箇所で行うこともできる。この場合、管型リアクターでの十分な流量を確立して、相の十分な混合を達成する必要がある。
【0032】
次に、バッチプロセスに関して、または同様に連続プロセスで、段階B)を行う。段階B)の連続プロセスでは、管型リアクターの下流末端で水を連続的に加える。ここで、管型リアクターは、それの下流で連結されている別の管型リアクターを有していても良い。相分離は、例えば連続相分離装置を用いて行うことができる。あるいは、水の添加および相分離は、ミキサー−沈降タンク装置で行うことができる。
【0033】
これの次に、段階C)を行うことができる。これは再度、バッチ式で行うことができるか、複数のミキサー−沈降タンク装置を用いて連続的に行っても良い。
【0034】
これの次に、段階D)を行うことができる。ここでやはり、蒸留はバッチ式で、または連続蒸留の形で行うことができる。
【0035】
やはり、本発明による方法を、撹拌タンクカスケードでの連続形態で行うことが可能かつ好ましい。ここで、水酸化ナトリウム水溶液および式(II)の化合物を撹拌タンク中で混合し、その混合物を撹拌タンク中に連続的に移し入れる。第2の撹拌タンクにおいて、式(III)の化合物を、連続的に前記混合物中に連続的に混ぜる。次に、この混合物をさらに別の撹拌タンクに通過させて、反応を完了させる。1からn固の直列連結された撹拌タンク(nは20である)を用いることが可能である。nは好ましくは1から10、より好ましくは1から3である。第1の撹拌タンク中、水酸化ナトリウム水溶液ならびに式(II)および(III)の化合物を水酸化ナトリウム水溶液と連続的に混合し、次に、その混合物を1からn固の別の撹拌タンク中に移すことも可能である。
【0036】
次に、当該混合物を、バッチ式または連続的に、上記で記載のように、段階B)で後処理する。段階C)およびD)またはそれら二つの段階のいずれかを繰り返すことができる。これらの段階は、連続的またはバッチ式に上記で記載の方法に従って行うことができる。
【0037】
本発明による方法によって得ることができる式(I)の化合物の高い純度により、金属化反応、例えばグリニャル反応で前記化合物を、直接およびそれ以上精製せずに用いることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
上記式で提供の記号の定義は、概して下記の置換基を表す総称を含むものである。
【0039】
アルキル:1から8個、好ましくは1から6個、より好ましくは1から3個の炭素原子を有する飽和の直鎖もしくは分岐の炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピルおよび1−エチル−2−メチルプロピルなどのC
1−C
6−アルキル。この定義は、複合置換基の一部としてのアルキルにも適用され、例えばシクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキルなど、別段で定義されない限りは、例えばアルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロアルキルまたはハロアルキルチオなどがある。例えばアルキルシクロアルキルでのように、アルキルが複合置換基の末端にある場合、最初にその複合置換基、例えばシクロアルキルのその部分は、同一もしくは異なって、そして独立にアルキルでモノ置換または多置換されていても良い。他の基、例えばアルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、ホルミルなどが末端にある複合置換基でも同じことが当てはまる。
【0040】
アルケニル:2から6個の炭素原子およびいずれかの位置の二重結合を有する不飽和の直鎖もしくは分岐の炭化水素基、例えばエテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、2−メチル−1−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,2−ジメチル−1−プロペニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−プロペニル、1−エチル−2−プロペニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−1−ペンテニル、2−メチル−1−ペンテニル、3−メチル−1−ペンテニル、4−メチル−1−ペンテニル、1−メチル−2−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、1−メチル−3−ペンテニル、2−メチル−3−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、2−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,2−ジメチル−1−ブテニル、1,2−ジメチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−1−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、2,2−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−1−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、3,3−ジメチル−1−ブテニル、3,3−ジメチル−2−ブテニル、1−エチル−1−ブテニル、1−エチル−2−ブテニル、1−エチル−3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−エチル−2−ブテニル、2−エチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル、1−エチル−2−メチル−1−プロペニルおよび1−エチル−2−メチル−2−プロペニルなどのC
2−C
6−アルケニル。この定義は、別段の定義がない限り、例えばハロアルケニルなどの複合置換基の一部としてのアルケニルにも適用される。
【0041】
アルコキシ:1から6個、好ましくは1から3個の炭素原子を有する飽和の直鎖もしくは分岐のアルキルオキシ、アルケニルオキシもしくはアルキニルオキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、1−メチルエトキシ、ブトキシ、1−メチルプロポキシ、2−メチルプロポキシ、1,1−ジメチルエトキシ、ペントキシ、1−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、1−エチルプロポキシ、ヘキソキシ、1,1−ジメチルプロポキシ、1,2−ジメチルプロポキシ、1−メチルペントキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、4−メチルペントキシ、1,1−ジメチルブトキシ、1,2−ジメチルブトキシ、1,3−ジメチルブトキシ、2,2−ジメチルブトキシ、2,3−ジメチルブトキシ、3,3−ジメチルブトキシ、1−エチルブトキシ、2−エチルブトキシ、1,1,2−トリメチルプロポキシ、1,2,2−トリメチルプロポキシ、1−エチル−1−メチルプロポキシおよび1−エチル−2−メチルプロポキシなどのC
1−C
6−アルコキシまたはブタ−3−エン−1−イルオキシおよびアリルオキシなどのC
1−C
6−アルケニルオキシまたはプロパ−2−イン−1−イルオキシ、ブタ−2−イン−1−イルオキシ、ペンタ−2−イン−1−イルオキシ、ブタ−3−イン−1−イルオキシなどのC
1−C
6−アルキニルオキシ。この定義は、別段の定義がない限り、例えばハロアルコキシ、アルキニルアルコキシなどの複合置換基の一部としてのアルコキシにも適用される。
【0042】
シクロアルキル:3から8個、好ましくは3から6個の炭素環員を有する単環式飽和ヒドロカルビル基、例えばシクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル(これらに限定されるものではない)。この定義は、別段の定義がない限り、例えばシクロアルキルアルキルなどの複合置換基の一部としてのシクロアルキルにも適用される。
【0043】
ハロアルキル:1から6個、好ましくは1から3個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基(上記で記載の通り)であって、それらの基における水素原子の一部または全てが上記で記載のようにハロゲン原子によって置き換わっていても良いもの、例えばクロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチルおよび1,1,1−トリフルオロプロプ−2−イルなどのC
1−C
3−ハロアルキル(これらに限定されるものではない)。この定義は、別段の定義がない限り、例えばハロアルキルアミノアルキルなどの複合置換基の一部としてのハロアルキルにも適用される。
【0044】
ハロアルコキシ:1から6個、好ましくは1から3個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルコキシ基(上記で記載のもの)であって、それらの基における水素原子の一部または全てが上記で記載のようにハロゲン原子によって置き換わっていても良いもの、例えばクロロメトキシ、ブロモメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロフルオロメトキシ、ジクロロフルオロメトキシ、クロロジフルオロメトキシ、1−クロロエトキシ、1−ブロモエトキシ、1−フルオロエトキシ、2−フルオロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2−クロロ−2−フルオロエトキシ、2−クロロ−2−ジフルオロエトキシ、2,2−ジクロロ−2−フルオロエトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ、ペンタフルオロエトキシおよび1,1,1−トリフルオロプロプ−2−オキシなどのC
1−C
3−ハロアルコキシ(これらに限定されるものではない)。この定義は、別段の定義がない限り、例えばハロアルコキシアルキルなどの複合置換基の一部としてのハロアルコキシにも適用される。
【0045】
アリール:フェニルまたはナフチル、好ましくはフェニル。
【0046】
本発明による方法を以下の実施例によって説明するが、これら実施例は本発明を制限するものではない。
【0047】
下記で使用される「当量」という略称は、モル当量を意味するものと理解すべきである。モル当量とは、2−クロロベンジルクロライドのモル数で割った対象成分のモル数を指す。従って、2−クロロベンジルクロライドは定義により、常に1.0モル当量で存在する。
【0048】
実施例1(本発明の方法)
段階A)および段階B):
最初に、32%強度水酸化ナトリウム水溶液405.1g(1.07当量)を入れ、35%強度のジメチルアミン水溶液469.3g(1.2当量)および2−クロロベンジルクロライド498.7g(1.0当量)を40℃で1時間かけて前記水酸化ナトリウム水溶液に同時に計量添加した。次に、その混合物を40℃でさらに6時間撹拌した。水85gを加え、二つの液相を分離した。
【0049】
有機相512.2gを得た。式(I)化合物含有量は、99.3%であった。収率は98.7%であった。
【0050】
段階C)
有機相512.2gを30℃(pH1)でトルエン84.1gおよび20%強度塩酸557.9gとともに撹拌し、次に相を分離した。有機相を廃棄した。水相をトルエン603gおよび20%強度水酸化ナトリウム水溶液(pH12)599.6gと混合した。相を分離した。
【0051】
有機相1104.6gを得た。収率は99%であった。
【0052】
段階D)
有機相1104.6gを減圧蒸留した。残留物502.9gが得られた。収率96.7%で純度99%(HPLC)で式(I)の化合物を得た。
【0053】
実施例2
段階A)、B)およびD)を含む方法(すなわち、段階C後に精製を行わない))
段階A)およびB)
最初に、32%強度水酸化ナトリウム水溶液3996g(1.05当量)を−10℃で入れ、40%強度のジメチルアミンの水溶液4125g(1.2当量)および2−クロロベンジルクロライド5005g(1.0当量)を70分かけて前記水酸化ナトリウム水溶液に同時に計量添加した。計量添加中に、温度が+30℃まで上昇した。次に、混合物を40℃でさらに12時間撹拌した。水850gを加え、次に二つの液相を分離した。
【0054】
有機相5129.6gを得た。式(I)化合物含有量は99.2%(HPLC)であった。収率は98.4%であった。
【0055】
段階D)
有機相5129.6gをトルエン849gと混合し、減圧蒸留した。残留物5086gが得られた。式(I)の化合物が、収率96.6%で純度98.1%(HPLC)で得られた。
【0056】
実施例3
モルホリンを用いるWO2008/125592A1からの方法
最初に、2−クロロベンジルクロライド200g(1.0当量)を入れ、トルエン346gと混合した。15%強度水酸化ナトリウム水溶液422g(1.3当量)を滴下し、モルホリン128.5g(1.2当量)を混合物に計量添加した。混合物を加熱還流し、終夜還流攪拌した。相を分離し、有機相を水200gで洗浄した。洗浄した有機相を共沸蒸留によって脱水し、溶媒の一部を減圧下に留去した。2−(モルホリノメチル)クロロベンゼン271gを得た。化合物純度:90.9%(HPLC)。収率:95.6%。
【0057】
実施例4
有機希釈剤を添加せずにモルホリンを用いるWO2008/125592A1からの方法
最初に、2−クロロベンジルクロライド32.9g(1.0当量)を入れた。15%強度水酸化ナトリウム水溶液69.3g(1.3当量)を滴下し、次にモルホリン21.1g(1.2当量)を混合物に計量添加した。混合物を加熱還流し、終夜還流攪拌した。次に、相を分離し、有機相を水32.2gで洗浄した。洗浄した有機相を減圧蒸留によって脱水した。2−(モルホリノメチル)クロロベンゼン36.5gを得た。化合物純度:97.8%(HPLC)、収率:84.3%。
【0058】
実施例5
ジメチルアミンに適用されるWO2008/125592A1からの方法
最初に、2−クロロベンジルクロライド32.9g(1.0当量)を入れ、トルエン55.7gで希釈した。45%強度水酸化ナトリウム水溶液23.1g(1.3当量)を水30gで希釈し、2−クロロベンジルクロライドおよびトルエンの混合物に滴下した。その混合物に、40%強度ジメチルアミン水溶液27.1g(1.2当量)を計量添加した。ジメチルアミンからの水を考慮すると、15%強度水酸化ナトリウム水溶液が生成する。混合物を還流加熱し、終夜還流攪拌した。次に、相を分離し、有機相を水32.2gで洗浄した。洗浄した有機相を減圧下での共沸蒸留によって脱水した。これによって、黄色油状物33.6gを得た。式(I)の化合物の純度:81.3%(HPLC)、収率:80.5%。