【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、付属の請求項1による硫化亜鉛蛍光体によって解決される。更に、上記課題は、付属の従属請求項4による硫化亜鉛蛍光体の製造方法及び付属の従属請求項9による前記方法により製造可能な蛍光体によって解決される。更に、本課題は、付属の従属請求項10によるセキュリティ特徴によって解決され、付属の従属請求項11による、セキュリティ文書又は重要文書及び付属の従属請求項12によるセキュリティ文書におけるセキュリティ特徴の検出方法によって解決される。
【0015】
本発明による、好適には粉末状の、硫化亜鉛蛍光体は、その特殊なエレクトロルミネセンスに加えて、強力な、従って従来のセンサーにより検出可能な、フォトルミネセンスをも示す。このフォトルミネセンスは、更に、UV励起条件の変化に伴う、特有の色変化を特徴とする。
【0016】
特に本発明による硫化亜鉛蛍光体は、特有の青色及び/又は緑色のエレクトロルミネセンスを示し、345〜370nmの波長領域における励起に際して、同様に青色の発光を示す。一方で、310〜335nmの波長領域における、より短波長の紫外線を用いた励起の場合、本発明による硫化亜鉛蛍光体は、緑色光を放射する。従って、本蛍光体は、青色又は緑色のフォトルミネセンスを放射する。エレクトロルミネセンスに依存しない、このUV励起可能なフォトルミネセンスの色変化は、本発明の蛍光体をセキュリティ特徴において使用する場合、更なる真偽判定基準として利用可能である。上述したルミネセンス反応の特異性及び複雑性は、後述する特殊な蛍光体組成と関係している。
【0017】
本発明による硫化亜鉛蛍光体は、次の一般化学式により示される:
ZnS:A
a、M
b、X
c
ここで、0<(a+b+c)<0.12;
0.0001<a<0.008;
0.6×a<b<4×a;及び
2×b<c<4×b
【0018】
AはCuを表すが、部分的にAg及び/又はAuにより代替可能である。いずれの場合も、この蛍光体は、原則として、Cuを賦活剤として含有する。好適には、AはCuのみを表す。
【0019】
MはAlを表すが、元素Bi、Ga及びInを含む群より選択される1つ又は複数の金属により部分的に代替可能である。Al並びに、必要に応じて、Bi、Ga及び/又はInは、3価のカチオンM
3+として出現する。いずれの場合も、この蛍光体は、原則としてAlを含有する。好適には、Mは、Alのみを表す。
【0020】
Xは1つ又は複数のハロゲン化物を表すが、それらは1価のアニオンX
−として出現し、元素F、Cl、Br及びIを含む群より選択される。
【0021】
イオンM
3+及びイオンX
−は、共賦活剤として機能する。
【0022】
A、M及びXのイオンが組み入れられている精確な格子位置を、決定することはできない。科学文献においても、同様の蛍光体における置換位置に関する統一見解は存在しない。従って、本発明による蛍光体の一般化学式のための、純粋に形式的な代替表記法は、
(Zn
1−a−b−dA
aM
b□
d)(S
1−c−eX
c□
e)
である。
ここで、記号□は、欠陥及び/又は格子間位置を表し、変数d及びeは、それぞれ、欠陥及び/又は格子間位置の割合を表す。
【0023】
本発明による蛍光体の一般化学式のための、代替の簡略表記法は、
ZnS:A、M、X
である。
なお、同簡略表記法においては、指数a、b及びcが表示されていない。
【0024】
上記の場合、本発明による蛍光体に特有の特性として、同蛍光体は、賦活剤として作用する銅(Cu)のほかに、常に、共賦活剤として機能する3価のカチオンM
3+及び同じく共賦活剤として機能する1価のアニオンX
−を、同時に含有する。銅及び2種の異なる共賦活剤が、硫化亜鉛基本格子中に共存することは、少なくとも常に2つの異なる励起可能な発光中心が生じるための前提条件である。これらの発光中心が、本発明によるエレクトロルミネセンス物質における期せずして発見された特殊なルミネセンス特性の要因である、と見なすことができる。
【0025】
本発明による蛍光体は、上述した特有の特性を損なわない範囲で、そして、発光強度を著しく抑制することのない範囲で、微量の別の元素を含有することができる。
【0026】
出発混合物に、アルカリ元素又はアルカリ土類元素のハロゲン化物を加えた場合、強力な洗浄にも拘わらず、最終生成物において、アルカリ元素又はアルカリ土類元素が散見されることが、実験及び分析の結果として示された。同元素が基本格子に組み込まれているのか又は洗浄不可能な不純物として蛍光体内部に存在するのかは未解明である。しかしながら、同元素が存在することによって、本発明による蛍光体の特性が変化することはない。従って、アルカリイオン又はアルカリ土類イオンの存在又は欠損は、特徴とはいえず、本発明を超えるものである。
【0027】
好適な実施形態において、本発明による蛍光体は次の組成を示す。
ZnS:Cu
a、Al
b、I
c
ここで、同実施形態において、A=Cu、M=Al、そして、X=Iである。
【0028】
本発明による蛍光体は、好適には粉末状であって、その場合の平均粒径は、好適には2〜50μmであり、殊に好適には2〜20μmである。
【0029】
本発明の更なる対象は、硫化亜鉛蛍光体の製造方法、殊に、本発明による硫化亜鉛蛍光体の製造方法である。
【0030】
効率的なエレクトロルミネセンスに加えてフォトルミネセンスを示し、UV励起可能なフォトルミネセンスにおいて確実に検出可能な色変化を示す、本発明による硫化亜鉛EL蛍光体の合成には、特殊な条件が必要である。これは、現時点での知見によれば、なかでも、ZnSマトリックスにおける少なくとも2つの活性化可能な異なる発光中心の発現及び作用が、本発明による特殊な蛍光体組成の影響を受けるだけでなく、また、調製時の諸要素からも強い影響を受ける為である、と説明できる。
【0031】
本方法は、先ず出発化合物の調製ステップを含む。反応混合物の主成分は硫化亜鉛(ZnS)であって、この基剤には、必要に応じて、所定量の硫黄(S)を添加することができる。好適には、硫黄元素が更なる出発材料として使用されて、必要に応じて、更に別の材料と共に混合されて、混合物となる。
【0032】
同様に、銅(Cu)を含有する化合物が、出発材料として調製される。本発明による硫化亜鉛エレクトロルミネセンス物質の合成のために賦活剤として必要な銅(Cu)は、原則的に、硫酸銅(CuSO
4)として、出発材料の混合物に導入される。従って、銅を含有する化合物は、好適には硫酸銅である。Agを含有する化合物及び/又はAuを含有する化合物を、追加して使用することもまた可能である。Agを含有する化合物は、好適にはAgNO
3である。Auを含有する化合物は、好適にはNa
3[AuCl
4]である。
【0033】
更に、Alを含有する化合物が調製される。付加的に、Biを含有する化合物、Gaを含有する化合物及び/又はInを含有する化合物を、更なる出発材料として調製することも、また、可能である。Alを含有する化合物とは、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)又は水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、硫酸アルミニウム(Al
2(SO
4)
3)若しくは硝酸アルミニウム(Al(NO
3)
3)のような対応する前駆体、又は硫化アルミニウム(Al
2S
3)、或いはアルミニウムハロゲン化物(AlX
3、但しX=F、Cl、Br、I)又は窒化アルミニウム(AlN)である。追加して使用することができる、Bi含有化合物、Ga含有化合物及びIn含有化合物に関しても同様である。
【0034】
更に、ハロゲン化物Xを含有する化合物が調製される。記号Xは、元素F、Cl、Br及びIを含む群から選択される、1つ又は複数の元素を表す。記号Xは、好適にはIを表す。ヨウ素(I)は、一般式で示される他のハロゲン化物と同様に、対応するアルカリ化合物(例えば、LiI、NaI、KI)、アルカリ土類化合物(例えば、MgI
2、CaI
2、BaI
2)若しくはアンモニウム化合物(NH
4I)又はヨウ化ビスマス(BiI
3)の形で使用されることが多い。従って、ヨウ素(I)含有化合物は、好適には、LiI、NaI、KI、MgI
2、CaI
2、BaI
2、NH
4I及び/又はBiI
3である。X=F、X=Cl及びX=Brに関しても同様である。
【0035】
Al、Bi、Ga又はInを含有する化合物、及び、ハロゲン化物Xを含有する化合物は、例えば、ハロゲン化アルミニウム(AlX
3)又はハロゲン化ビスマス(BiX
3)のように、同一の化合物であってもよい。
【0036】
本方法を実施するための出発材料として調製した化合物のうち幾つかは、次の熱的処理の際に融剤としても作用しうる。
【0037】
これらの調製した化合物は、必要に応じて、粉砕される。粉末状の複数の化合物は、先ずは混合されて1つの混合物となる。
【0038】
次に、前記混合物は、800〜1,200℃、場合によっては、1,300℃以下の温度において焼成されて、その結果、混合物中の複数の出発材料が反応して前記硫化亜鉛蛍光体となる。本発明によれば、混合物の焼成は、活性炭の存在下で実施されるが、その存在は、本発明の蛍光体の製造方法に必要な局所的焼成雰囲気の調節に際して、重要な役割を果たす。高温焼成プロセスは、好適には、ごく弱い還元条件下(N
2/H
2雰囲気下での焼成。但し、水素比率は6%以下)で実施されるが、しかしながら、弱い酸化条件下(停滞空気中での焼成)であっても成功する。一方、従来技術によれば、高温焼成プロセスは、還元雰囲気下、即ち、窒素及び水素からなる気体混合物の存在下において実施されることが多く、その場合の典型的な水素比率は、10%に達する可能性がある。上述したように、その代わりに活性炭が存在することにより、局所的焼成雰囲気を微調整できることは、本発明にとって有意義である。
【0039】
混合物の焼成は、好適には、窒素N
2及び水素H
2からなり、1〜6%の水素を含む弱い還元雰囲気において実施される。弱い還元雰囲気は、殊に好適には、5%の水素及び95%の窒素からなる。代替として好適には、1.5%の水素及び98.5%の窒素からなる。
【0040】
代替の好適な実施形態の場合、焼成は停滞空気下で実施される。
【0041】
混合物は、焼成プロセスにおいて、好適には、例えば石英皿又はアルミナボートといった、焼成るつぼ内に配置される。その場合、個別のるつぼにおける局所的焼成雰囲気の微調整は、次のように実施される。即ち、蓋をした焼成るつぼの内部において、充填された混合物の上方に、例えば、活性炭を入れた小型の黒鉛るつぼを用いて、活性炭が配置される。このようにして、活性炭の存在が実現され、その結果、焼成雰囲気の制御が可能となって、融剤及び/又は共賦活剤添加物の早期昇華を防ぐことが可能となる。
【0042】
存在する活性炭の質量は、好適には、硫化亜鉛の質量の0.0001〜0.1であって、殊に好適には、硫化亜鉛の質量の0.0005〜0.05である。活性炭は、好適には、黒鉛皿内に配置され、この皿は充填された混合物の上方に配置される。
【0043】
混合物の焼成時間は、2時間以上が好適である。この焼成は、好適には、850〜1,200℃の温度において実施される。
【0044】
生成した蛍光体は、その後、冷却される。続いて、この蛍光体は、一実施形態では、粉砕され、洗浄され、乾燥されて、ふるい分けが行なわれる。上述した単純な場合は、蛍光体は、更なるプロセスステップを必要とすることはなく、この時点で使用することができる。
【0045】
驚くべきことに、高温焼成後の焼成物に対して追加の銅を用いた追加ドープを行なわないことが、本発明による硫化亜鉛蛍光体の特殊な性質を形成するために、好適となりうることが判明した。従って、本発明による蛍光体の目標とするルミネセンス特性が、抜本的に複雑度を低減した方法により達成可能となる。即ち、エレクトロルミネセンス特性のみを示す硫化亜鉛蛍光体又はエレクトロルミネセンス特性を主に示す硫化亜鉛蛍光体において、従来技術では必須である追加ドープのステップを省略することができる。結果として、焼成物のその後の処理は、凝集抑止のための穏やかな湿式粉砕及び複数の洗浄プロセスにより、容易に実施することができる。従って、上述した実施形態の場合、希鉱酸による処理は実施されず、中間生成物のCuによる追加ドープは実施されず、また、希釈酸による新たな処理も実施されず、新たなアニール処理も実施されない。
【0046】
本発明方法の変化した実施形態では、高温焼成プロセス後に得られる蛍光体を、先ず中間生成物とする。この中間生成物は、更なるステップの前に冷却されて、H
2Oを用いて洗浄される。続いて、セラミックボールを使用し、コリン塩基、ピロリン酸溶液又はカリウム水ガラス溶液のような粉砕助剤を添加して、中間生成物の解砕が行なわれる。最終的に、希鉱酸を用いた処理を行なうことにより、殊に中間生成物の粉末粒子表面が修飾される。鉱酸は、好適には、塩酸により調製する。上述した実施形態の場合、中間生成物に対して、Cuを用いた追加ドープが行なわれ、その結果、目的の蛍光体が形成される。追加ドープは、Cuが、CuSO
4のようなCu含有化合物の形で、中間生成物に添加されることによって実施される。
【0047】
追加ドープされた蛍光体は、好適には200〜600℃、殊に好適には300〜500℃、の温度において、アニール処理される。アニール処理時間は、好適には、1時間以上である。
【0048】
追加ドープされた蛍光体は、再度、更に変化した実施形態における中間生成物と見なすことが可能であって、この場合、この蛍光体は、アニール処理後に希鉱酸により処理される。希釈酸は、好適には、希硝酸により調製する。希釈酸による処理の後に、同中間生成物を、新たに、洗浄し、乾燥して、アニール処理を行なう。新たなアニール処理は、好適には、200〜500℃の温度において実施され、冷却後に、修飾された硫化亜鉛蛍光体が得られる。
【0049】
調製条件の設定は、本発明による硫化亜鉛蛍光体の製造において重要である。ここに開示された製造ステップを基にして、エレクトロルミネセンス物質に特有の蛍光体特性が複雑であるにも拘わらず、且つ、調製時の諸要素による様々な影響があるにも拘わらず、必要に応じて、最適化された合成条件を、実験により容易に見出すことが可能である。そのためには、場合によって、実験室規模で実施可能な実験が、数回必要となるだけである。一方、これに関連して、本発明による蛍光体の合成方法が更なる公知のステップによって補完できることを検証することができる。
【0050】
加えて、目的とする蛍光体の適切な製造条件を見出すための調査に際して、このエレクトロルミネセンス物質の好適な特性は、800〜1,300℃の温度範囲内で選択される高温焼成プロセスの温度に依存することなく、設定可能であることが示された。しかしながら、このことは、また、同特性が、ZnSマトリックスの主に立方晶系及び/又は六方晶系の結晶構造に依存することなく、形成されることをも意味する。文献によれば、ZnSは、1,020℃未満では専ら立方晶系であり、より高温の場合は、六方晶系か又は、冷却システムの条件によっては、六方晶系及び立方晶系の結晶又は微結晶の混合物が得られる。
【0051】
上述の方法で製造した蛍光体は、一般的に、平均粒径が約2〜20μmの、良好に解砕された、粒子となる。粒度分布は、調製条件によって、制御可能及び調整可能である。本発明によるエレクトロルミネセンス物質の平均粒径は、例示した範囲に限定されない。
【0052】
本発明による蛍光体は、好適には、本発明による製造方法及び上述の特殊な蛍光体組成を特徴とする。
【0053】
本発明の更なる対象は、本発明による製造方法により製造可能な硫化亜鉛蛍光体である。この硫化亜鉛蛍光体は、好適には、本発明による製造方法の好適な実施形態により製造することができる。この硫化亜鉛蛍光体は、殊に、上述した本発明による蛍光体の特徴を示す。好適には、この硫化亜鉛蛍光体は、上述の特徴を示し、即ち、Cuが賦活剤を形成して、M及びXが共賦活剤を形成するが、その場合、Cu並びにM及びXは、硫化亜鉛蛍光体における、活性化可能な2つの異なる発光中心の形成要素である。
【0054】
本発明によるセキュリティ特徴は、1つ又は複数の本発明による硫化亜鉛蛍光体の実施形態を含む。
【0055】
本発明によるセキュリティ文書及び/又は重要書類には、例えば、銀行券、又は旅券、身分証明書若しくは運転免許証、又は切手がある。これらの書類は、本発明による硫化亜鉛蛍光体の1つ又は複数の実施形態を含む、セキュリティ特徴を有する。このセキュリティ特徴は、異なる手法によって、セキュリティ文書の表面又は内部に適用することができる。好適には、このセキュリティ特徴は、例えば、凹版印刷、オフセット印刷又はスクリーン印刷のような、適切な印刷技術を用いて、セキュリティ文書の表面及び/又は内部に適用される。
【0056】
本発明によるセキュリティ文書及び/又は重要書類において、好適には、本発明による硫化亜鉛蛍光体の他に、更に追加して、複数の電界変位要素が配置される。これらの電界変位要素は、導電性であって、セキュリティ文書内部で絶縁されている。この要素は、高い誘電率を示す。この要素は、好適には、硫化亜鉛蛍光体粒子の近傍に配置される。これらの電界変位要素は、好適には、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)及び/又は銀(Ag)のような金属粒子、或いは透明な、光学的に可変の多層膜効果色素から成る。これらの電界変位要素は、硫化亜鉛蛍光体に対して有効な局所的電界強度の向上に有益である。
【0057】
本発明の更なる対象は、セキュリティ文書又は重要書類における、蛍光体を含有するセキュリティ特徴の検出方法及び/又は認証方法である。好適には、この方法は、各々のセキュリティ文書において、本発明による蛍光体又はこの蛍光体を用いて形成されたセキュリティ特徴を検出及び/又は認証するに際して有益である。
【0058】
上記方法の1ステップにおいて、蛍光体の励起は、電界により行なわれる。従って、蛍光体は、エレクトロルミネセンス物質として励起される。よって、電界による励起の結果として蛍光体から放射される光スペクトルの青色及び/又は緑色領域におけるエレクトロルミネセンスが受光されうるかどうか、検査される。受光可能な発光シグナルの現地据付装置による確実な検出、及び、好適には高速検出、を可能にするため、好適には、励起は、蛍光体に対して印加される高周波高圧電界により行なわれる。
【0059】
本発明による方法の別ステップにおいて、蛍光体の励起は、波長領域が345〜370nmの紫外線を蛍光体に照射することにより行なわれる。よって、波長領域が345〜370nmの紫外線による励起の結果として蛍光体から放射される光スペクトルの青色領域におけるフォトルミネセンスが、受光されうるかどうか、検査される。
【0060】
更に別のステップにおいて、蛍光体の励起は、波長領域が310〜335nmの紫外線を蛍光体に照射することにより行なわれる。よって、波長領域が310〜335nmの紫外線による励起の結果として蛍光体から放射される光スペクトルの緑色領域におけるフォトルミネセンスが、受光されうるかどうか、検査される。
【0061】
本方法により、本発明による蛍光体又は対応するセキュリティ特徴が、(レベル3よりも改善された)高い検査信頼性をもって検査されるべき場合は、出現する3種の発光全てが検査されて、認証される。従って、殊に、本発明による蛍光体のエレクトロルミネセンスに追加して、エレクトロルミネセンスに依存しない、短波長又は超波長の紫外線により励起された、フォトルミネセンスの色変化が、検出されうるかどうか、検査される。上述の励起及び検出は、同時に、順次に又は交互に、実施することができる。
【0062】
変更を加えた実施形態では、レベル3の特徴であるエレクトロルミネセンスの励起を省略して、UV励起波長を切替えた結果としての、フォトルミネセンス放射の色シフトに基づくレベル2の特徴が検出される。この場合も、励起及び検出は、時間的及び空間的に分離して実施可能であり、又は、コンパクトな装置において同時に実施することも可能である。
【0063】
セキュリティ文書は、好適には、光スペクトルの青色及び/又は緑色領域においてエレクトロルミネセンスが受光され、光スペクトルの青色領域においてフォトルミネセンスが受光され、そして、光スペクトルの緑色領域においてエレクトロルミネセンスが受光された場合に、検出及び/又は認証される。これは更に、光スペクトルの青色領域におけるフォトルミネセンスが、波長領域が345〜370nmの紫外線による蛍光体の励起時に限定して、受光されたこと及び光スペクトルの緑色領域におけるフォトルミネセンスが、波長領域が310〜335nmの紫外線による蛍光体の励起時に限定して、受光されたことを前提とする。