特許第6457532号(P6457532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6457532フォトルミネセンス特性及びエレクトロルミネセンス特性を有する硫化亜鉛蛍光体、その製造方法、並びに、セキュリティ文書、並びに、セキュリティ特徴及びその検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457532
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】フォトルミネセンス特性及びエレクトロルミネセンス特性を有する硫化亜鉛蛍光体、その製造方法、並びに、セキュリティ文書、並びに、セキュリティ特徴及びその検出方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/56 20060101AFI20190110BHJP
【FI】
   C09K11/56
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-540581(P2016-540581)
(86)(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公表番号】特表2017-501274(P2017-501274A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】EP2014077491
(87)【国際公開番号】WO2015091237
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年11月22日
(31)【優先権主張番号】102013114496.9
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509168704
【氏名又は名称】ブンデスドゥルッケライ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Bundesdruckerei GmbH
(73)【特許権者】
【識別番号】503233336
【氏名又は名称】ロイヒトシュトッフヴェルク ブライトゥンゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】シュターリック、デトレフ
(72)【発明者】
【氏名】ペシュケ、マンフレッド
(72)【発明者】
【氏名】レスラー、スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】クーエン、ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】ダイヒゼル、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】クナート、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フォー、モニカ
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07067071(US,B1)
【文献】 特開昭49−039586(JP,A)
【文献】 特開2006−316105(JP,A)
【文献】 米国特許第09670406(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界により励起された場合に、光スペクトルの青色領域又は緑色領域において発光する硫化亜鉛蛍光体であって、光スペクトルの345〜370nmの波長領域における紫外線により励起された場合に光スペクトルの青色領域において発光し、光スペクトルの310〜335nmの波長領域における紫外線により励起された場合に光スペクトルの緑色領域において発光し、前記345〜370nmの波長領域における紫外線による励起時の発光は、前記310〜335nmの波長領域における紫外線による励起時の発光とは異なる、次の一般化学式を有する硫化亜鉛蛍光体。
ZnS:A、M、X但し、
Aは、Cuであって、この場合のCuは、Ag又はAuにより部分的に代替可能であり、
Mは、Alであって、この場合のAlは、Bi、Ga又はInにより部分的に代替可能であり、
Xは、1つ又は複数のハロゲン化物であって、F、Cl、Br及びIの元素を含む群より選択され、
0<(a+b+c)<0.12、
0.0001<a<0.008、
0.6×a<b<4×a、及び
2×b<c<4×bである。
【請求項2】
Cuが賦活剤を形成すること並びにM及びXが共賦活剤を形成することを特徴とする請求項1に記載の硫化亜鉛蛍光体であって、Cu並びにM及びXは、前記硫化亜鉛蛍光体において活性化可能な2つの異なる発光中心の形成要素である硫化亜鉛蛍光体。
【請求項3】
粉末状に形成されること及び平均粒径が2〜20μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の硫化亜鉛蛍光体。
【請求項4】
次のステップを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硫化亜鉛蛍光体の製造方法。
−少なくとも以下から成る混合物の製造;
・ZnS
・Cu含有化合物
・1つのハロゲンXを含有する化合物(ここで、Xは、F、Cl、Br及びIの元素を含む群より選択される。)
・Alを含有する化合物、
・元素状硫黄
−前記混合物の800〜1,300℃における焼成であって、活性炭若しくは黒鉛皿又はその両方の存在下において実施され、これにより、前記混合物が反応して硫化亜鉛蛍光体となる焼成;及び
−焼成した前記混合物の冷却;
−前記硫化亜鉛蛍光体の洗浄、並びに、必要に応じた、粉砕及びふるい分け。
【請求項5】
冷却された前記硫化亜鉛蛍光体が、先ず、中間生成物となり、続いて、更に、次のステップが実施されることを特徴とする請求項4に記載の方法:
−前記中間生成物の鉱酸を用いた腐食、
−前記中間生成物のCuを用いた追加ドープ、
−追加ドープされた前記中間生成物の乾燥、
−乾燥された前記中間生成物の200〜600℃の温度におけるアニール処理、
−アニール処理を施された前記中間生成物の希鉱酸を用いた処理、
−前記中間生成物の洗浄及び乾燥、及び
−前記中間生成物の200〜500℃の温度におけるアニール処理であって、硫化亜鉛蛍光体が得られるアニール処理。
【請求項6】
前記混合物の焼成が大気下で実施されることを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物の前記焼成が、水素比率を1〜6%とするN/H雰囲気下で、実施されることを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の硫化亜鉛蛍光体を含有するセキュリティ特徴。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の硫化亜鉛蛍光体を含有するセキュリティ特徴を用いたセキュリティ文書又は重要書類。
【請求項10】
前記セキュリティ文書又は前記重要書類における、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光体を含有するセキュリティ特徴の検出方法又は認証方法であって、次のステップを含む方法。
a.345〜370nmの波長領域における紫外線を用いた前記蛍光体に対する照射による、前記蛍光体の励起、
b.345〜370nmの波長領域における紫外線による励起の結果として、前記蛍光体から放射される光が、光スペクトルの青色領域において受光されるか否かの検査、
c.310〜335nmの波長領域における紫外線を用いた前記蛍光体に対する照射による、前記蛍光体の励起、及び
d.310〜335nmの波長領域における紫外線による励起の結果として、前記蛍光体から放射される光が、光スペクトルの緑色領域において受光されるか否かの検査。
【請求項11】
以下を特徴とする、請求項10に記載の方法:
e.電界による前記蛍光体の励起、及び
f.電界による励起の結果として、光スペクトルの青色領域又は緑色領域における光が放射されるか否かの検査。
【請求項12】
実施された検査ステップb、d又はfのいずれか1ステップにおいて、検査対象の発光が確認された場合に、各々の確認信号が発せられること特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記検査ステップb及びdにおいて、検査対象の発光が確認された場合に、レベル2確認信号が発せられること、並びに、前記検査ステップb及びd及びfにおいて、検査対象の発光が確認された場合に、レベル3確認信号が発せられること特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネセンス物質として電界により励起可能であって、更に特殊な発光特性を示す、粉末状の硫化亜鉛蛍光体に関する。本発明は、殊に、エレクトロルミネセンス色素に関し、これは従来の厚膜型エレクトロルミネセンス(交流粉末エレクトロルミネセンス、AC Powder Electroluminescence:ACPEL)の際に使用されるエレクトロルミネセンス物質とは異なる特性を有し、それ故にセキュリティ文書におけるセキュリティ特徴として好適に使用することができる。更に、本発明は、硫化亜鉛蛍光体の製造方法、並びに、セキュリティ特徴、セキュリティ文書、及び、そのようなセキュリティ特徴の検出方法及び認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末状の硫化亜鉛エレクトロルミネセンス物質及びそのACPELにおける使用は、長年に亘り知られている。エレクトロルミネセンス特性を有するZnS蛍光体には、銅(Cu)及び/又はマンガン(Mn)がドープされていることが多いが、更に追加して、共賦活剤として作用する、1価イオン又は3価イオン(例えば、Cl、Br、I及び/又はAl元素の上記イオン)を、基本格子に導入することができる。合成された材料の粒径は、一般的にはμmの領域にある。その実施形態は、いわゆるエレクトロルミネセンスシートであることが殆どであって、蛍光粒子は、コンデンサとして、2つの電極及び絶縁層の間に配置されて、110V及び400Hzの交流電界を印加した場合に、可視スペクトルにおける青色領域、緑色領域又は橙色領域の光を放射する。そのようなエレクトロルミネセンスシート又はエレクトロルミネセンス光源の実施例としては、飛行機及び自動車において、建造物において又は広告設備の製造に使用される、ディスプレイ用光源、バックライト用光源、発光素子及びマーキング素子がある。
【0003】
従来のエレクトロルミネセンスシートの製造に使用される硫化亜鉛蛍光体は、シート寿命向上のために、薄い水蒸気バリア層を備えていることが多い。マイクロカプセル化とも呼ばれるこの積層には、例えば、化学気相成長のような方法を用いることができる。個々の蛍光粒子を完全に被覆する同層の原料としては、例えば、SiO、TiO若しくはAl(特許文献1、2)、又はAl、B、Si若しくはTiの酸窒化物(特許文献3)、又はAlN(特許文献4)がある。
【0004】
マイクロカプセル型又は非カプセル型の粉末状のZnS−EL色素を、セキュリティ文書、及び、例えば、銀行券、旅券、身分証明書、運転免許証などの重要書類におけるセキュリティ特徴として使用することも、また、知られている(特許文献5)。これらの場合、偽造防止の目的で使用される硫化亜鉛エレクトロルミネセンス物質(特許文献6)は、汎用の印刷技術(例えば、凹版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷)を主に用いて、紙、樹脂、ラミネート加工された樹脂又は別の適切な素材を原料としうる、セキュリティ文書のマトリックス上又はマトリックス中に配置される。但し、その際に、従来のコンデンサ構造を目指すことはなく、また同構造を実現することもない。真偽判別のために、そのようにして用いられるエレクトロルミネセンス物質は、好適には、非接触方式で電界により励起されるが、この場合、セキュリティ文書のマトリックスにおけるエレクトロルミネセンス色素の従来とは異なる特殊な配置ゆえに、結果として得られる発光シグナルの確実な現地据付装置による検出を保証するため、そして、好適には高速検出をも保証するためには、一般的に、比較的高周波の高圧電界が必要である(特許文献7〜9)。
【0005】
エレクトロルミネセンスの励起のために印加される交流電界に関して、エレクトロルミネセンス物質に対して有効な局所的電界強度の向上は、セキュリティ文書及び/又は重要書類の適切なセキュリティ特徴において、EL色素に加えて、EL色素の近傍にいわゆる電界変位要素を配置することによっても達成することができる(特許文献10、11)。電界変位要素とは、絶縁された高誘電率の導電性色素であって、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)及び/若しくは銀(Ag)からなる金属粒子又は特定の透明な光学的可変の多層膜効果色素が使用される。
【0006】
上述した類のエレクトロルミネセンス型セキュリティ特徴は、極めて高いセキュリティレベルを有し、一般的に、いわゆるレベル3の特徴に分類される。対応するセキュリティ文書の真偽判別は、セキュリティ特徴の機能に関する特殊知識を必要とし、且つ、極めて複雑であり、そして、極めて高度な検出技術の使用を伴う。
【0007】
特許文献11に記載されているように、励起電界の有効な局所強度向上のために、即ち、その結果得られる、セキュリティ特徴におけるエレクトロルミネセンスのシグナル強度向上のために、EL蛍光体に加えて、いわゆる電界変位要素が、導電性であって光学的可変の多層膜効果色素の形態で使用され、その結果、この特徴は、レベル3の特徴の他に、対応するレベル1の特徴をも示しうる。上述した色素の光学的効果とは、観察者により認識可能な様々な光照射角度及び観察角度における色変化を指すが、真偽判別に際しての更なる特徴として、これを利用することができる。
【0008】
種々の賦活イオンがドープされたZnS蛍光体は、電磁波(例えば、紫外線又はX線)によっても又は電子線によっても、励起され発光することができる。従来、カラーブラウン管の蛍光体又は夜光顔料としての利用が知られている。但し、効率的なフォトルミネセンス、カソードルミネセンス又はX線ルミネセンスのために最適化された硫化亜鉛蛍光体は、原則として、エレクトロルミネセンスを示さないか、又は、少なくとも、使用可能なエレクトロルミネセンスを示すことはない。その逆もまた同様であり、従来技術分野における使用であっても、又は、セキュリティ文書及び重要書類における使用であっても、EL色素は、電磁波及び電子線による励起では一般的に発光しないか又は極めて弱い発光を示すのみであるが、その原因としては、異なる発光タイプでは発光メカニズムが根本的に異なること、並びに、高いエレクトロルミネセンス効率を達成するために選択された特殊なEL色素組成及び特殊な製造技術、が挙げられる(参照:Shionoya,S.;Yen,W.M.:「Phosphor Handbook」,CRC Press,1999,P.581−621)。
【0009】
硫化亜鉛エレクトロルミネセンス物質の製造は、原則として、固体化学的多段階プロセスに基づいて行なわれる。そのために、従来技術、とりわけ特許文献6、により、順を追って実施すべき次のステップが知られている:
1.粉末状の出発材料の混錬
2.900〜1,300℃の温度範囲における高温焼成プロセス
3.HO及び/又は、必要に応じて、希鉱酸による焼成物の洗浄、焼成粒子の湿式粉砕
4.所定量のCuSOを更に添加することによる中間生成物への追加ドープ
5.乾燥させた材料の500〜1,000℃の温度範囲における熱的処理
6.アニール処理後に得られた生成物の表面に析出したCuSを除去するための、HO、HCl若しくはHNOのような鉱酸による又はKCNの存在下における、同生成物の洗浄
7.乾燥させた蛍光体粉末の300〜500℃における再アニール処理。
【0010】
賦活化及び共ドープされた蛍光体基本格子の形成のために極めて重要である高温プロセスは、上述の場合、基本的に還元雰囲気において実施される。即ち、焼成は、窒素及び水素からなる気体混合物の存在下で行なわれ、その場合の水素比率は、典型的には10%以下である。
【0011】
例えば銀行券、旅券、身分証明書、運転免許証といったセキュリティ文書において、非常に革新的なレベル3のセキュリティ特徴を使用する際、必要な実験装置若しくは必要なセンサーが無くて、又は、それらの使用方法が著しく複雑で、各々のセキュリティ特徴の存在を確実に検出することが不可能となることは、デメリットである。このことは、殊に、エレクトロルミネセンス型セキュリティ特徴にも当てはまる。上述したセキュリティ特徴の使用に関する更なるデメリットとして、なかでも、環境規制又は安全条例によって、真偽判別に必要な、高周波の交流高圧電界を用いたEL色素励起の実施が許可されない、という例が挙げられる。上述した類の制約は、例えば、銀行券におけるエレクトロルミネセンス型特徴の認証に対しても適用される可能性がある。即ち、例えば、支店の紙幣選別機において、又は、銀行自動取引装置における個々人の現金引出し若しくは振込みに際して、真偽判別を行なう場合である。このような場合には、エレクトロルミネセンス型特徴が、そのレベル3の特徴とは独立した更なる特徴を示すならば、そして、同特徴が同じく真偽判別に利用しうるものであって且つレベル3のセキュリティ特徴の機能原理を損なわないものであるならば、極めて有益である。好適には、この代替手法(レベル2)による真偽判別は、使用方法が比較的単純な検出手段を用いて実施すべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5156885号明細書
【特許文献2】米国特許第5220243号明細書
【特許文献3】国際公開第00/022064号
【特許文献4】欧州特許第0938826号明細書
【特許文献5】欧州特許第0964791号明細書
【特許文献6】欧州特許第1151057号明細書
【特許文献7】欧州特許第1059619号明細書
【特許文献8】欧州特許第1149364号明細書
【特許文献9】独国特許出願公開第102008047636号明細書
【特許文献10】欧州特許第1631461号明細書
【特許文献11】欧州特許第1748903号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、上述した目的のために、エレクトロルミネセンス特性を示しつつも、これに加えて、セキュリティ特徴として評価可能な特性を少なくとも更に1つは有する修飾された硫化亜鉛エレクトロルミネセンス物質を提供することにある。更に、本発明は、そのための製造方法、並びに、この蛍光体を基にしたセキュリティ特徴、そのようなセキュリティ特徴を用いたセキュリティ文書、及び、相応のセキュリティ文書におけるセキュリティ特徴の追加された特異的性質を検出するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、付属の請求項1による硫化亜鉛蛍光体によって解決される。更に、上記課題は、付属の従属請求項4による硫化亜鉛蛍光体の製造方法及び付属の従属請求項9による前記方法により製造可能な蛍光体によって解決される。更に、本課題は、付属の従属請求項10によるセキュリティ特徴によって解決され、付属の従属請求項11による、セキュリティ文書又は重要文書及び付属の従属請求項12によるセキュリティ文書におけるセキュリティ特徴の検出方法によって解決される。
【0015】
本発明による、好適には粉末状の、硫化亜鉛蛍光体は、その特殊なエレクトロルミネセンスに加えて、強力な、従って従来のセンサーにより検出可能な、フォトルミネセンスをも示す。このフォトルミネセンスは、更に、UV励起条件の変化に伴う、特有の色変化を特徴とする。
【0016】
特に本発明による硫化亜鉛蛍光体は、特有の青色及び/又は緑色のエレクトロルミネセンスを示し、345〜370nmの波長領域における励起に際して、同様に青色の発光を示す。一方で、310〜335nmの波長領域における、より短波長の紫外線を用いた励起の場合、本発明による硫化亜鉛蛍光体は、緑色光を放射する。従って、本蛍光体は、青色又は緑色のフォトルミネセンスを放射する。エレクトロルミネセンスに依存しない、このUV励起可能なフォトルミネセンスの色変化は、本発明の蛍光体をセキュリティ特徴において使用する場合、更なる真偽判定基準として利用可能である。上述したルミネセンス反応の特異性及び複雑性は、後述する特殊な蛍光体組成と関係している。
【0017】
本発明による硫化亜鉛蛍光体は、次の一般化学式により示される:
ZnS:A、M、X
ここで、0<(a+b+c)<0.12;
0.0001<a<0.008;
0.6×a<b<4×a;及び
2×b<c<4×b
【0018】
AはCuを表すが、部分的にAg及び/又はAuにより代替可能である。いずれの場合も、この蛍光体は、原則として、Cuを賦活剤として含有する。好適には、AはCuのみを表す。
【0019】
MはAlを表すが、元素Bi、Ga及びInを含む群より選択される1つ又は複数の金属により部分的に代替可能である。Al並びに、必要に応じて、Bi、Ga及び/又はInは、3価のカチオンM3+として出現する。いずれの場合も、この蛍光体は、原則としてAlを含有する。好適には、Mは、Alのみを表す。
【0020】
Xは1つ又は複数のハロゲン化物を表すが、それらは1価のアニオンXとして出現し、元素F、Cl、Br及びIを含む群より選択される。
【0021】
イオンM3+及びイオンXは、共賦活剤として機能する。
【0022】
A、M及びXのイオンが組み入れられている精確な格子位置を、決定することはできない。科学文献においても、同様の蛍光体における置換位置に関する統一見解は存在しない。従って、本発明による蛍光体の一般化学式のための、純粋に形式的な代替表記法は、
(Zn1−a−b−d)(S1−c−e
である。
ここで、記号□は、欠陥及び/又は格子間位置を表し、変数d及びeは、それぞれ、欠陥及び/又は格子間位置の割合を表す。
【0023】
本発明による蛍光体の一般化学式のための、代替の簡略表記法は、
ZnS:A、M、X
である。
なお、同簡略表記法においては、指数a、b及びcが表示されていない。
【0024】
上記の場合、本発明による蛍光体に特有の特性として、同蛍光体は、賦活剤として作用する銅(Cu)のほかに、常に、共賦活剤として機能する3価のカチオンM3+及び同じく共賦活剤として機能する1価のアニオンXを、同時に含有する。銅及び2種の異なる共賦活剤が、硫化亜鉛基本格子中に共存することは、少なくとも常に2つの異なる励起可能な発光中心が生じるための前提条件である。これらの発光中心が、本発明によるエレクトロルミネセンス物質における期せずして発見された特殊なルミネセンス特性の要因である、と見なすことができる。
【0025】
本発明による蛍光体は、上述した特有の特性を損なわない範囲で、そして、発光強度を著しく抑制することのない範囲で、微量の別の元素を含有することができる。
【0026】
出発混合物に、アルカリ元素又はアルカリ土類元素のハロゲン化物を加えた場合、強力な洗浄にも拘わらず、最終生成物において、アルカリ元素又はアルカリ土類元素が散見されることが、実験及び分析の結果として示された。同元素が基本格子に組み込まれているのか又は洗浄不可能な不純物として蛍光体内部に存在するのかは未解明である。しかしながら、同元素が存在することによって、本発明による蛍光体の特性が変化することはない。従って、アルカリイオン又はアルカリ土類イオンの存在又は欠損は、特徴とはいえず、本発明を超えるものである。
【0027】
好適な実施形態において、本発明による蛍光体は次の組成を示す。
ZnS:Cu、Al、I
ここで、同実施形態において、A=Cu、M=Al、そして、X=Iである。
【0028】
本発明による蛍光体は、好適には粉末状であって、その場合の平均粒径は、好適には2〜50μmであり、殊に好適には2〜20μmである。
【0029】
本発明の更なる対象は、硫化亜鉛蛍光体の製造方法、殊に、本発明による硫化亜鉛蛍光体の製造方法である。
【0030】
効率的なエレクトロルミネセンスに加えてフォトルミネセンスを示し、UV励起可能なフォトルミネセンスにおいて確実に検出可能な色変化を示す、本発明による硫化亜鉛EL蛍光体の合成には、特殊な条件が必要である。これは、現時点での知見によれば、なかでも、ZnSマトリックスにおける少なくとも2つの活性化可能な異なる発光中心の発現及び作用が、本発明による特殊な蛍光体組成の影響を受けるだけでなく、また、調製時の諸要素からも強い影響を受ける為である、と説明できる。
【0031】
本方法は、先ず出発化合物の調製ステップを含む。反応混合物の主成分は硫化亜鉛(ZnS)であって、この基剤には、必要に応じて、所定量の硫黄(S)を添加することができる。好適には、硫黄元素が更なる出発材料として使用されて、必要に応じて、更に別の材料と共に混合されて、混合物となる。
【0032】
同様に、銅(Cu)を含有する化合物が、出発材料として調製される。本発明による硫化亜鉛エレクトロルミネセンス物質の合成のために賦活剤として必要な銅(Cu)は、原則的に、硫酸銅(CuSO)として、出発材料の混合物に導入される。従って、銅を含有する化合物は、好適には硫酸銅である。Agを含有する化合物及び/又はAuを含有する化合物を、追加して使用することもまた可能である。Agを含有する化合物は、好適にはAgNOである。Auを含有する化合物は、好適にはNa[AuCl]である。
【0033】
更に、Alを含有する化合物が調製される。付加的に、Biを含有する化合物、Gaを含有する化合物及び/又はInを含有する化合物を、更なる出発材料として調製することも、また、可能である。Alを含有する化合物とは、例えば、酸化アルミニウム(Al)又は水酸化アルミニウム(Al(OH))、硫酸アルミニウム(Al(SO)若しくは硝酸アルミニウム(Al(NO)のような対応する前駆体、又は硫化アルミニウム(Al)、或いはアルミニウムハロゲン化物(AlX、但しX=F、Cl、Br、I)又は窒化アルミニウム(AlN)である。追加して使用することができる、Bi含有化合物、Ga含有化合物及びIn含有化合物に関しても同様である。
【0034】
更に、ハロゲン化物Xを含有する化合物が調製される。記号Xは、元素F、Cl、Br及びIを含む群から選択される、1つ又は複数の元素を表す。記号Xは、好適にはIを表す。ヨウ素(I)は、一般式で示される他のハロゲン化物と同様に、対応するアルカリ化合物(例えば、LiI、NaI、KI)、アルカリ土類化合物(例えば、MgI、CaI、BaI)若しくはアンモニウム化合物(NHI)又はヨウ化ビスマス(BiI)の形で使用されることが多い。従って、ヨウ素(I)含有化合物は、好適には、LiI、NaI、KI、MgI、CaI、BaI、NHI及び/又はBiIである。X=F、X=Cl及びX=Brに関しても同様である。
【0035】
Al、Bi、Ga又はInを含有する化合物、及び、ハロゲン化物Xを含有する化合物は、例えば、ハロゲン化アルミニウム(AlX)又はハロゲン化ビスマス(BiX)のように、同一の化合物であってもよい。
【0036】
本方法を実施するための出発材料として調製した化合物のうち幾つかは、次の熱的処理の際に融剤としても作用しうる。
【0037】
これらの調製した化合物は、必要に応じて、粉砕される。粉末状の複数の化合物は、先ずは混合されて1つの混合物となる。
【0038】
次に、前記混合物は、800〜1,200℃、場合によっては、1,300℃以下の温度において焼成されて、その結果、混合物中の複数の出発材料が反応して前記硫化亜鉛蛍光体となる。本発明によれば、混合物の焼成は、活性炭の存在下で実施されるが、その存在は、本発明の蛍光体の製造方法に必要な局所的焼成雰囲気の調節に際して、重要な役割を果たす。高温焼成プロセスは、好適には、ごく弱い還元条件下(N/H雰囲気下での焼成。但し、水素比率は6%以下)で実施されるが、しかしながら、弱い酸化条件下(停滞空気中での焼成)であっても成功する。一方、従来技術によれば、高温焼成プロセスは、還元雰囲気下、即ち、窒素及び水素からなる気体混合物の存在下において実施されることが多く、その場合の典型的な水素比率は、10%に達する可能性がある。上述したように、その代わりに活性炭が存在することにより、局所的焼成雰囲気を微調整できることは、本発明にとって有意義である。
【0039】
混合物の焼成は、好適には、窒素N及び水素Hからなり、1〜6%の水素を含む弱い還元雰囲気において実施される。弱い還元雰囲気は、殊に好適には、5%の水素及び95%の窒素からなる。代替として好適には、1.5%の水素及び98.5%の窒素からなる。
【0040】
代替の好適な実施形態の場合、焼成は停滞空気下で実施される。
【0041】
混合物は、焼成プロセスにおいて、好適には、例えば石英皿又はアルミナボートといった、焼成るつぼ内に配置される。その場合、個別のるつぼにおける局所的焼成雰囲気の微調整は、次のように実施される。即ち、蓋をした焼成るつぼの内部において、充填された混合物の上方に、例えば、活性炭を入れた小型の黒鉛るつぼを用いて、活性炭が配置される。このようにして、活性炭の存在が実現され、その結果、焼成雰囲気の制御が可能となって、融剤及び/又は共賦活剤添加物の早期昇華を防ぐことが可能となる。
【0042】
存在する活性炭の質量は、好適には、硫化亜鉛の質量の0.0001〜0.1であって、殊に好適には、硫化亜鉛の質量の0.0005〜0.05である。活性炭は、好適には、黒鉛皿内に配置され、この皿は充填された混合物の上方に配置される。
【0043】
混合物の焼成時間は、2時間以上が好適である。この焼成は、好適には、850〜1,200℃の温度において実施される。
【0044】
生成した蛍光体は、その後、冷却される。続いて、この蛍光体は、一実施形態では、粉砕され、洗浄され、乾燥されて、ふるい分けが行なわれる。上述した単純な場合は、蛍光体は、更なるプロセスステップを必要とすることはなく、この時点で使用することができる。
【0045】
驚くべきことに、高温焼成後の焼成物に対して追加の銅を用いた追加ドープを行なわないことが、本発明による硫化亜鉛蛍光体の特殊な性質を形成するために、好適となりうることが判明した。従って、本発明による蛍光体の目標とするルミネセンス特性が、抜本的に複雑度を低減した方法により達成可能となる。即ち、エレクトロルミネセンス特性のみを示す硫化亜鉛蛍光体又はエレクトロルミネセンス特性を主に示す硫化亜鉛蛍光体において、従来技術では必須である追加ドープのステップを省略することができる。結果として、焼成物のその後の処理は、凝集抑止のための穏やかな湿式粉砕及び複数の洗浄プロセスにより、容易に実施することができる。従って、上述した実施形態の場合、希鉱酸による処理は実施されず、中間生成物のCuによる追加ドープは実施されず、また、希釈酸による新たな処理も実施されず、新たなアニール処理も実施されない。
【0046】
本発明方法の変化した実施形態では、高温焼成プロセス後に得られる蛍光体を、先ず中間生成物とする。この中間生成物は、更なるステップの前に冷却されて、HOを用いて洗浄される。続いて、セラミックボールを使用し、コリン塩基、ピロリン酸溶液又はカリウム水ガラス溶液のような粉砕助剤を添加して、中間生成物の解砕が行なわれる。最終的に、希鉱酸を用いた処理を行なうことにより、殊に中間生成物の粉末粒子表面が修飾される。鉱酸は、好適には、塩酸により調製する。上述した実施形態の場合、中間生成物に対して、Cuを用いた追加ドープが行なわれ、その結果、目的の蛍光体が形成される。追加ドープは、Cuが、CuSOのようなCu含有化合物の形で、中間生成物に添加されることによって実施される。
【0047】
追加ドープされた蛍光体は、好適には200〜600℃、殊に好適には300〜500℃、の温度において、アニール処理される。アニール処理時間は、好適には、1時間以上である。
【0048】
追加ドープされた蛍光体は、再度、更に変化した実施形態における中間生成物と見なすことが可能であって、この場合、この蛍光体は、アニール処理後に希鉱酸により処理される。希釈酸は、好適には、希硝酸により調製する。希釈酸による処理の後に、同中間生成物を、新たに、洗浄し、乾燥して、アニール処理を行なう。新たなアニール処理は、好適には、200〜500℃の温度において実施され、冷却後に、修飾された硫化亜鉛蛍光体が得られる。
【0049】
調製条件の設定は、本発明による硫化亜鉛蛍光体の製造において重要である。ここに開示された製造ステップを基にして、エレクトロルミネセンス物質に特有の蛍光体特性が複雑であるにも拘わらず、且つ、調製時の諸要素による様々な影響があるにも拘わらず、必要に応じて、最適化された合成条件を、実験により容易に見出すことが可能である。そのためには、場合によって、実験室規模で実施可能な実験が、数回必要となるだけである。一方、これに関連して、本発明による蛍光体の合成方法が更なる公知のステップによって補完できることを検証することができる。
【0050】
加えて、目的とする蛍光体の適切な製造条件を見出すための調査に際して、このエレクトロルミネセンス物質の好適な特性は、800〜1,300℃の温度範囲内で選択される高温焼成プロセスの温度に依存することなく、設定可能であることが示された。しかしながら、このことは、また、同特性が、ZnSマトリックスの主に立方晶系及び/又は六方晶系の結晶構造に依存することなく、形成されることをも意味する。文献によれば、ZnSは、1,020℃未満では専ら立方晶系であり、より高温の場合は、六方晶系か又は、冷却システムの条件によっては、六方晶系及び立方晶系の結晶又は微結晶の混合物が得られる。
【0051】
上述の方法で製造した蛍光体は、一般的に、平均粒径が約2〜20μmの、良好に解砕された、粒子となる。粒度分布は、調製条件によって、制御可能及び調整可能である。本発明によるエレクトロルミネセンス物質の平均粒径は、例示した範囲に限定されない。
【0052】
本発明による蛍光体は、好適には、本発明による製造方法及び上述の特殊な蛍光体組成を特徴とする。
【0053】
本発明の更なる対象は、本発明による製造方法により製造可能な硫化亜鉛蛍光体である。この硫化亜鉛蛍光体は、好適には、本発明による製造方法の好適な実施形態により製造することができる。この硫化亜鉛蛍光体は、殊に、上述した本発明による蛍光体の特徴を示す。好適には、この硫化亜鉛蛍光体は、上述の特徴を示し、即ち、Cuが賦活剤を形成して、M及びXが共賦活剤を形成するが、その場合、Cu並びにM及びXは、硫化亜鉛蛍光体における、活性化可能な2つの異なる発光中心の形成要素である。
【0054】
本発明によるセキュリティ特徴は、1つ又は複数の本発明による硫化亜鉛蛍光体の実施形態を含む。
【0055】
本発明によるセキュリティ文書及び/又は重要書類には、例えば、銀行券、又は旅券、身分証明書若しくは運転免許証、又は切手がある。これらの書類は、本発明による硫化亜鉛蛍光体の1つ又は複数の実施形態を含む、セキュリティ特徴を有する。このセキュリティ特徴は、異なる手法によって、セキュリティ文書の表面又は内部に適用することができる。好適には、このセキュリティ特徴は、例えば、凹版印刷、オフセット印刷又はスクリーン印刷のような、適切な印刷技術を用いて、セキュリティ文書の表面及び/又は内部に適用される。
【0056】
本発明によるセキュリティ文書及び/又は重要書類において、好適には、本発明による硫化亜鉛蛍光体の他に、更に追加して、複数の電界変位要素が配置される。これらの電界変位要素は、導電性であって、セキュリティ文書内部で絶縁されている。この要素は、高い誘電率を示す。この要素は、好適には、硫化亜鉛蛍光体粒子の近傍に配置される。これらの電界変位要素は、好適には、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)及び/又は銀(Ag)のような金属粒子、或いは透明な、光学的に可変の多層膜効果色素から成る。これらの電界変位要素は、硫化亜鉛蛍光体に対して有効な局所的電界強度の向上に有益である。
【0057】
本発明の更なる対象は、セキュリティ文書又は重要書類における、蛍光体を含有するセキュリティ特徴の検出方法及び/又は認証方法である。好適には、この方法は、各々のセキュリティ文書において、本発明による蛍光体又はこの蛍光体を用いて形成されたセキュリティ特徴を検出及び/又は認証するに際して有益である。
【0058】
上記方法の1ステップにおいて、蛍光体の励起は、電界により行なわれる。従って、蛍光体は、エレクトロルミネセンス物質として励起される。よって、電界による励起の結果として蛍光体から放射される光スペクトルの青色及び/又は緑色領域におけるエレクトロルミネセンスが受光されうるかどうか、検査される。受光可能な発光シグナルの現地据付装置による確実な検出、及び、好適には高速検出、を可能にするため、好適には、励起は、蛍光体に対して印加される高周波高圧電界により行なわれる。
【0059】
本発明による方法の別ステップにおいて、蛍光体の励起は、波長領域が345〜370nmの紫外線を蛍光体に照射することにより行なわれる。よって、波長領域が345〜370nmの紫外線による励起の結果として蛍光体から放射される光スペクトルの青色領域におけるフォトルミネセンスが、受光されうるかどうか、検査される。
【0060】
更に別のステップにおいて、蛍光体の励起は、波長領域が310〜335nmの紫外線を蛍光体に照射することにより行なわれる。よって、波長領域が310〜335nmの紫外線による励起の結果として蛍光体から放射される光スペクトルの緑色領域におけるフォトルミネセンスが、受光されうるかどうか、検査される。
【0061】
本方法により、本発明による蛍光体又は対応するセキュリティ特徴が、(レベル3よりも改善された)高い検査信頼性をもって検査されるべき場合は、出現する3種の発光全てが検査されて、認証される。従って、殊に、本発明による蛍光体のエレクトロルミネセンスに追加して、エレクトロルミネセンスに依存しない、短波長又は超波長の紫外線により励起された、フォトルミネセンスの色変化が、検出されうるかどうか、検査される。上述の励起及び検出は、同時に、順次に又は交互に、実施することができる。
【0062】
変更を加えた実施形態では、レベル3の特徴であるエレクトロルミネセンスの励起を省略して、UV励起波長を切替えた結果としての、フォトルミネセンス放射の色シフトに基づくレベル2の特徴が検出される。この場合も、励起及び検出は、時間的及び空間的に分離して実施可能であり、又は、コンパクトな装置において同時に実施することも可能である。
【0063】
セキュリティ文書は、好適には、光スペクトルの青色及び/又は緑色領域においてエレクトロルミネセンスが受光され、光スペクトルの青色領域においてフォトルミネセンスが受光され、そして、光スペクトルの緑色領域においてエレクトロルミネセンスが受光された場合に、検出及び/又は認証される。これは更に、光スペクトルの青色領域におけるフォトルミネセンスが、波長領域が345〜370nmの紫外線による蛍光体の励起時に限定して、受光されたこと及び光スペクトルの緑色領域におけるフォトルミネセンスが、波長領域が310〜335nmの紫外線による蛍光体の励起時に限定して、受光されたことを前提とする。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明の更なる詳細及び利点について、実施例及び図面を用いて以下に詳述する。
図1】本発明による蛍光体の第1の一般的な実施形態の発光スペクトル。
図2】本発明による蛍光体の第2の一般的な実施形態の発光スペクトル。
図3】本発明による蛍光体の第1の好適な実施形態の発光スペクトル。
図4】本発明による蛍光体の第2の好適な実施形態の発光スペクトル。
図5】本発明による蛍光体の第3の好適な実施形態の発光スペクトル。
図6】本発明による蛍光体の第4の好適な実施形態の発光スペクトル。
図7】本発明による蛍光体の第5の好適な実施形態の発光スペクトル。
図8】本発明による蛍光体の第6の好適な実施形態の発光スペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1より、ここで選択された蛍光体組成及び使用された製造条件の場合、本発明による蛍光体の第1の一般的な実施形態のエレクトロルミネセンス01、及び、365nmにおいて励起されたフォトルミネセンス02では、ほぼ同一の発光スペクトルが検出されたことが読み取れる。この蛍光体は、EL励起の場合であっても、またUV−A励起の場合であっても、スペクトルの青色領域においてブロードバンド発光して、最大波長λmaxは、およそ450nmである。反対に、蛍光体がUV−B領域において、313nmの励起波長で励起される場合、結果として、明らかに長波長シフトしたブロードバンド緑色発光03が得られて、その最大値は、およそ520nmである。従って、フォトルミネセンス02及び03は、顕著な色シフトを示すが、同シフトは、最大波長の間隔を基準とする場合、およそ70nmである。
【0066】
図2に、本発明による蛍光体の、一般的な実施形態の更なる実施例に対応する発光スペクトル11〜13が示されている。この場合も、本発明によるエレクトロルミネセンス物質のUV−A励起のフォトルミネセンス12とUV−B励起のフォトルミネセンス13との間には、明確な色シフトが確認されるが、このシフトは上述の基準を用いて、およそ50nmの値となる。他方で注目すべきは、本発明による蛍光体のここで選択された実施形態の場合、エレクトロルミネセンスの発光スペクトル11と365nm励起の場合の発光スペクトル12との間でも、スペクトルの長波長側へのシフトが見られる点である。
【0067】
本発明による硫化亜鉛エレクトロルミネセンス物質は、従来技術として公知のエレクトロルミネセンス型EL色素と同様に、そして、好適には、前記色素に替えて、偽造防止のために、銀行券、旅券、身分証明書、運転免許証、IDカード、入館許可証、健康保険証、印紙、銀行用カード、クレジットカード、スマートカード、チケット又はラベルのような、セキュリティ文書及び重要書類におけるセキュリティ特徴として、使用することができる。そのために、この蛍光体は、例えば、フレキソ印刷、オフセット印刷、凹版印刷又はスクリーン印刷のような、汎用の印刷技術を用いて、各々のセキュリティ文書に使用されている材料のマトリックスの表面又は内部に適用される。エレクトロルミネセンス強度向上のために、本発明によるEL蛍光体を、前述した電界変位要素と混合することも、また、可能である。使用する印刷方法の選択は、なかでも、本発明によるエレクトロルミネセンス物質、及び、添加する電界変位要素の調整された粒度分布に依存する。
【0068】
本発明による蛍光体を基にしたセキュリティ特徴の、レベル3の特徴の識別は、高周波高圧交流電界を用いて蛍光体粒子を励起することによって、成し遂げられる。
【0069】
しかしながら、本発明による蛍光体及びこれを基にした本発明によるセキュリティ特徴の決定的な利点は、特殊なエレクトロルミネセンス特性の他に、レベル2の特異的な蛍光体特性を少なくとも更に1つは有することにあり、同蛍光体特性は、前記エレクトロルミネセンス現象に追加して又は前記エレクトロルミネセンス現象に代えて、相応のセキュリティ文書又は重要書類の真偽判別のために利用することができる。これに該当するのは、前述した、UV励起条件を変えた場合の、本発明による蛍光体のフォトルミネセンスの特徴的な色変化である。
【0070】
本発明による蛍光体の好適な実施形態、本発明によるセキュリティ特徴の好適な実施形態又は適切なセキュリティ文書又は重要書類の好適な実施形態におけるように、励起電界の有効な局所強度向上のために、即ち、その結果として得られる、セキュリティ特徴におけるエレクトロルミネセンスのシグナル強度向上のために、EL蛍光体に加えて、いわゆる電界変位要素が、導電性であって光学的可変の多層膜効果色素の形態で使用される場合には、この特徴は、レベル3及びレベル2の特徴の他に、対応するレベル1の特徴をも有することができる。上述した色素の光学的効果とは、様々な光照射角度及び観察角度における、観察者にとって認識可能な色変化を指すが、真偽判別に際しての更なる特徴として、これを利用することができる。
【0071】
従って、上述した本発明による蛍光体の特殊性は、複数のルミネセンス型セキュリティ特徴の形成を可能とするものであって、これらのセキュリティ特徴は、セキュリティレベルにおける全てのレベルに帰属させることのできる、真偽判別のための諸特性を有する。その結果、対応する特徴の特異性を向上させることが可能となり、複雑性を最適化した真偽判別の可能性を向上させることができる。
【0072】
本発明の蛍光体に特有のUV−A照射又はUV−B照射による励起の際に可視光領域において得られる発光の明確なシフトは、容易かつ確実に検出することができる。そのために、当業者は光学分光に関する従来の知識を使用する。
【0073】
従って、異なる波長領域の紫外線による本発明による蛍光体の励起は、例えば、連続照射型又はパルス照射型の適切な紫外線LEDの活用により、また、UV蛍光灯、好適にはCCFLタイプの対応する光源、の使用により実現可能である。異なる励起条件の結果として得られるルミネセンスの検出は、例えば、適切なカメラの活用により、必要に応じて光学カラーフィルタとの組合せが可能なフォトダイオードの活用により、又はCCDライン若しくは適切な分光器の活用により、実施可能である。
【0074】
本発明による蛍光体の本発明による合成方法を、以下の実施例により詳述する。
【実施例】
【0075】
(実施例1)
1,742.6gのZnS、2.3948gのCuSO・5HO、4.352gのBiI、2.614gのAlF及び52.275gのSを、強力に混合する。ここで、V型混合機、揺動型混合機又はパン型混合機のような、すべての公知の混合形態が適している。混合物を石英皿に入れて、1.74gの活性炭を入れてある黒鉛皿を用いて混合物を覆い、この焼成容器を石英蓋により閉じる。チャンバーオーブンにおいて、5%H/95%N雰囲気下で、1,000℃で3時間以内に転換が起こる。熱湯による洗浄処理を複数回行ない、セラミックボールを使用し粉砕助剤としてのコリン塩基を添加して解砕処理を行なった後、32%塩酸による処理を複数時間行なう。蛍光体を新たに洗浄して、蛍光体1kg当たり0.1gのCuを追加ドープして、乾燥後に約500℃で2時間のアニール処理を行なう。最終的に、1:10希釈した硝酸による処理を行ない、新たに水で洗浄して、乾燥させて、300℃でアニール処理を行ない、最後にふるい分けを行なう。結果として得られた本発明による硫化亜鉛蛍光体の実施例は、一般的な計測方法により得られた化学式として
ZnS:Cu0.00069Al0.00174Bi0.000410.001240.00522
である。
図3に、本発明による蛍光体の同実施例の発光スペクトルを示す。即ち、エレクトロルミネセンスの発光スペクトル21、UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル22及びUV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル23が示されている。
【0076】
(実施例2)
11,592gのZnS、33.526gのCuSO・5HO、4.032gのBiI、36.596gのAlF及び365.925gのSを、実施例1と同様に、強力に混合する。混合物の各1/6を各々石英皿に入れて、蛍光体1kg当たり12gの活性炭を有する黒鉛皿を用いて混合物を覆い、この焼成容器を石英蓋により閉じる。プッシャー炉において、5%H/95%N雰囲気下で、850〜1,000℃で3時間以内に転換が起こる。熱湯による洗浄処理を複数回行ない、セラミックボールを使用し粉砕助剤としてのカリウム水ガラス溶液を添加して解砕処理を行なった後、32%塩酸による処理を複数時間行なう。蛍光体を新たに洗浄して、蛍光体1kg当たり0.15gのCuを追加ドープして、乾燥後に約500℃で2時間のアニール処理を行なう。最終的に、1:10希釈した硝酸による処理を行ない、新たに水で洗浄して、乾燥させて、300℃でアニール処理を行ない、最後にふるい分けを行なう。結果として得られた、本発明による硫化亜鉛蛍光体の実施例は、一般的な計測方法により得られた化学式として
ZnS:Cu0.00128Al0.00366Bi0.0000580.000170.01099
である。
図4に、本発明による蛍光体の同実施例の発光スペクトルを示す。即ち、エレクトロルミネセンスの発光スペクトル31、UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル32及びUV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル33が示されている。
【0077】
(実施例3)
11,592gのZnS、33.526gのCuSO・5HO、4.269gのBiI、6.2gのAlCl、69.552gのMgAl、10gのBaI、30gのNaI、30gのNHBr及び365.925gのSを、実施例1と同様に、強力に混合するが、その際に水分がほぼ除去されるよう注意する。混合物の各1/6を各々石英皿に入れて、蛍光体1kg当たり12gの活性炭を有する黒鉛皿を用いて混合物を覆い、この焼成容器を石英蓋により閉じる。プッシャー炉において、1.5%H/98.5%N雰囲気下で、850〜1,100℃で3時間以内に転換が起こる。熱湯による洗浄処理を複数回行ない、セラミックボールを使用し粉砕助剤としてのピロリン酸溶液を添加して解砕処理を行なった後、32%塩酸による処理を複数時間行なう。蛍光体を新たに洗浄して、蛍光体1kg当たり0.1gのCuを追加ドープして、乾燥後に約500℃で2時間のアニール処理を行なう。最終的に、1:10希釈した硝酸による処理を行ない、新たに水で洗浄して、乾燥させて、300℃でアニール処理を行ない、最後にふるい分けを行なう。結果として得られた、本発明による硫化亜鉛蛍光体の実施例は、一般的な計測方法により得られた化学式として
ZnS:Cu0.00127Al0.0086Bi0.000060.00229Cl0.00177Br0.00257
である。
図5に、本発明による蛍光体の、同実施例の発光スペクトルを示す。即ち、エレクトロルミネセンスの発光スペクトル41、UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル42及びUV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル43が示されている。
【0078】
(実施例4)
3,325.13gのZnS、9.1456gのCuSO・5HO、6.62gのAgNO、8.704gのInBr、10.455gのAlF及び104.55gのSを、実施例1と同様に、強力に混合する。混合物の各1/2を各々石英皿に入れて、混合物の上に、蛍光体1kg当たり18gの活性炭を有するアルミナボートを配置する。この焼成容器を石英蓋により閉じる。プッシャー炉において、1.5%H/98.5%N雰囲気下で、1,150℃で3時間以内に転換が起こる。熱湯による洗浄処理を複数回行ない、セラミックボールを使用し粉砕助剤としてのピロリン酸溶液を添加して解砕処理を行なった後、32%塩酸による処理を複数時間行なう。蛍光体を新たに洗浄して、蛍光体1kg当たり0.1gのCuを追加ドープして、乾燥後に約500℃で2時間のアニール処理を行なう。最終的に、1:10希釈した硝酸による処理を行ない、新たに水で洗浄して、乾燥させて、300℃でアニール処理を行ない、最後にふるい分けを行なう。結果として得られた、本発明による硫化亜鉛蛍光体の実施例は、一般的な計測方法により得られた化学式として
ZnS:Cu0.00122Ag0.00144Al0.00364In0.00072Br0.002160.0109
である。
図6に、本発明による蛍光体の、同実施例の発光スペクトルを示す。即ち、エレクトロルミネセンスの発光スペクトル51、UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル52及びUV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル53が示されている。
【0079】
(実施例5)
3,325.13gのZnS、9.1456gのCuSO・5HO、8.704gのBiI、10.455gのAlF及び104.55gのSを実施例1と同様に、強力に混合する。混合物を石英皿に入れて、蛍光体1kg当たり22gの活性炭を入れてある黒鉛皿を用いて混合物を覆い、この焼成容器を石英蓋により閉じる。プッシャー炉において、大気下で、1,000〜1,100℃で3時間以内に転換が起こる。熱湯による洗浄処理を複数回行ない、セラミックボールを使用し粉砕助剤としてコリン塩基を添加して解砕処理を行なった後、新たに洗浄する。乾燥させて、最後にふるい分けを行なう。Cuによる追加ドープは行なわない。結果として得られた、本発明による硫化亜鉛蛍光体の実施例は、一般的な計測方法により得られた化学式として
ZnS:Cu0.00122Al0.003649Bi0.000430.001290.0109
である。
図7に、本発明による蛍光体の、同実施例の発光スペクトルを示す。即ち、エレクトロルミネセンスの発光スペクトル61、UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル62及びUV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル63が示されている。
【0080】
(実施例6)
3,325.13gのZnS、8.5gのCuSO・5HO、2.1gのNa[AuCl]、6.225gのNaBr、8.704gのBaI、1.98gのGaF、8.55gのAlF及び104.55gのSを、実施例1と同様に、強力に混合する。混合物を石英皿に入れて、混合物を黒鉛皿により覆って、この焼成容器を石英蓋により閉じる。プッシャー炉において、5%H/95%N雰囲気下で、1,000℃で3時間以内に転換が起こる。熱湯による洗浄処理を複数回行ない、セラミックボールを使用し粉砕助剤としてのコリン塩基を添加して解砕処理を行なった後、32%塩酸による処理を複数時間行なう。蛍光体を新たに洗浄して、蛍光体1kg当たり0.1gのCuを追加ドープして、乾燥後に約500℃で2時間のアニール処理を行なう。最終的に、1:10希釈した硝酸による処理を行ない、新たに水で洗浄して、乾燥させて、300℃でアニール処理を行ない、最後にふるい分けを行なう。結果として得られた、本発明による硫化亜鉛蛍光体の実施例は、一般的な計測方法により得られた化学式として
ZnS:Cu0.001151Au0.000151Al0.00298Ga0.0004580.00130.00895Br0.00177
である。
図8に、本発明による蛍光体の、同実施例の発光スペクトルを示す。即ち、エレクトロルミネセンスの発光スペクトル71、UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル72及びUV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル73が示されている。
【符号の説明】
【0081】
01: エレクトロルミネセンスの発光スペクトル
02: UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル
03: UV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル

11: エレクトロルミネセンスの発光スペクトル
12: UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル
13: UV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル

21: エレクトロルミネセンスの発光スペクトル
22: UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル
23: UV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル

31: エレクトロルミネセンスの発光スペクトル
32: UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル
33: UV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル

41: エレクトロルミネセンスの発光スペクトル
42: UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル
43: UV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル

51: エレクトロルミネセンスの発光スペクトル
52: UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル
53: UV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル

61: エレクトロルミネセンスの発光スペクトル
62: UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル
63: UV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル

71: エレクトロルミネセンスの発光スペクトル
72: UV−A励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル
73: UV−B励起によるフォトルミネセンスの発光スペクトル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8