(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
容器(12)へ供給される金属材(M)を移動し予熱するための装置であって、水平状に延出する包囲構造(14)から構成され、内部コンパートメント(14a)を画定する上壁(15)と底壁(16)と側壁(17)とを有し、前記包囲構造(14)が、前記上壁(15)と前記底壁(16)との間に配置された支持壁(18)と、前記支持壁(18)、前記側壁(17)、および前記上壁(15)によって画定される、前記金属材(M)のためのコンベア(20)と、前記上壁(15)と前記金属材(M)との間に形成されるヒューム通過部(21)と、高温ヒューム(F)のための収集部(22)と、を有するものにおいて、
前記収集部(22)が、前記包囲構造(14)の長手方向の延出に沿って前記内部コンパートメント(14a)内で前記コンベア(20)の下方に位置し、
前記支持壁(18)に単数又は複数の貫通開口(118a−118h)が形成されて、前記コンベア(20)と前記収集部(22)とが互いに流体連通状態にされ、
前記ヒューム通過部(21)の容積が前記包囲構造(14)の長手方向の延出に沿って前記容器(12)から離間するにつれて減少し、前記収集部(22)の容積が前記ヒューム通過部(21)の前記減少に相関して増大し、
前記包囲構造(14)の前記容器(12)と関連付けられた端部と反対側の端部に対応する位置に、前記金属材(M)が搬送される搬送ゾーン内における空気の侵入を防止するように構成された動的シール部材(19)が設けられ、当該動的シール部材(19)は、前記包囲構造(14)に入る前記金属材(M)をプレスし平坦化する機能も有し、
前記収集部(22)の前記容器(12)の位置の反対側の一端部に、前記収集部(22)と流体連通する吸引ユニット(23)を有することを特徴とする装置。
更に、前記金属材(M)と前記動的シール部材(19)との間の間隙によって侵入した空気と、前記容器(12)から前記コンベア(20)へと至る前記高温ヒューム(F)とを吸引する吸引管(30)を有する請求項1に記載の装置。
前記包囲構造(14)が、前記金属材(M)を前記内部コンパートメント(14a)に投入する投入ゾーン(14c)と、前記金属材(M)を前記容器(12)内に積み下ろす積み下ろしゾーン(14s)とを備えたものにおいて、
前記支持壁(18)は、前記投入ゾーン(14c)から前記積み下ろしゾーン(14s)にかけて下降して、前記積み下ろしゾーン(14s)から前記投入ゾーン(14c)にかけての前記ヒューム通過部(21)の容積の前記減少と前記収集部(22)の容積の前記増大とを規定する延出部を有する請求項2に記載の装置。
前記支持壁(18)は、互いに前記包囲構造(14)の前記長手方向の延出に沿うとともに、互いに対して縦方向にオフセットされた複数の平面に位置する複数のセグメント(18a−18i)を有し、前記単数又は複数の貫通開口(118a−118h)のそれぞれが二つの連続するセグメント(18a−18i)間に介在している請求項3に記載の装置。
前記支持壁(18)は、前記包囲構造(14)の前記長手方向の延出に沿い、前記容器(12)に向けて下方に傾斜した連続する表面を形成する複数のセグメント(18a−18i)を有し、前記単数又は複数の貫通開口(118a−118h)のそれぞれが二つの連続するセグメント(18a−18i)間に介在している請求項3に記載の装置。
前記金属材(M)と接触する前記コンベア(20)内での通過と前記供給方向(Am)の方向に対する対向流としての前記高温ヒューム(F)の速度を維持する工程を有する請求項9に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
冶金の分野において、金属材を仮の包囲容器又は溶融炉に向けて運ぶ機能を備える振動式又は移動式コンベアを使用することが知られている。
【0004】
前記金属材は、たとえば、スクラップ鉄、高温又は低温海綿鉄(DRI−直接還元鉄)、ブリック又はブリケット形状の低温鋳鉄、その他の金属材、とすることができ、それは不連続又はバッチ式投入工程の包囲バスケット、或いは、連続投入工程における溶融炉のシェル、へと運ぶことができる。
【0005】
又、たとえばコンベアによって、前記溶融炉に投入するために使用可能な金属材を移動させる機能と、溶融処理によって作り出され前記コンベア内において適宜流通されるヒュームを利用して前記材料を予熱する機能との両方を備える装置を使用することも知られている。これによって、後続の溶融工程中において金属材を溶解するために必要なエネルギの量が低減される。
【0006】
実質的に水平で、数十メートルにもなりうる長手支持構造を備えたコンベアを有する金属材の移動および予熱用の装置が知られている。前記支持構造にはコンベア通路が設けられ、これは、前記金属材がその上に載せられる側方包囲壁を有している。
【0007】
前記支持構造には、通常、当該支持構造に、前記コンベア又は通路に沿い前記目的の容器へと向かう方向に前記金属材の供給を決める振動又は揺動運動を与えることができる振動装置が連動される。
【0008】
前記支持構造の少なくとも一部分は、いくつかの解決構成において、その上方部が、前記搬送通路がその下部分を構成する閉じられたトンネルを形成する単数又は複数のフードによってカバーされる。前記トンネル内において、前記溶融炉から出る高温ヒュームが前記搬送通路内にある金属材を予熱するために流される。
【0009】
公知の移動予熱装置の一つの欠点は、ヒューム中に含まれる大きな熱を十分に利用するものではなく、金属材の一部分のみ、具体的には、ヒューム流が直接当たるその上方部分しか適切に加熱することができないことにある。
【0010】
そのような装置は、実際に、1300〜1400℃の比較的高い温度で、前記搬送通路がその一部を構成する前記トンネル内で多量のヒュームを導入することができるが、それらが適切に加熱できるのは、通常、約700〜1200mmである金属材の全高の約20〜30%に相当する層のみである。
【0011】
このことによる一つの不都合は、搬送通路から出る金属材は、効果的なエネルギ節約を可能にするべく比較的低い平均温度を有するとともに、層状の熱発生を伴うものであって、これは均一でなく又制御されないものであって、従って、金属材の局所的溶融と付着とをもたらす可能性があるということである。
【0012】
公知の装置のもう一つの欠点は、まだ極めて高い温度、即ち、約1000℃で予熱トンネルから出てくるヒュームの熱を適切に利用することができず、その結果、予熱トンネルから出るヒュームをそれらが大気中に放出される前に冷却する必要性に関連するプラントの複雑化と処理コストの増大が生じることである。
【0013】
金属材の全高に渡るヒュームの広がりを促進するために、いくつの解決手段によれば、前記搬送通路の側壁の下側部分に、ヒュームの一部分を側方から吸引してそれらが投入金属材の上方から下方に向けて通過することを強制する吸引手段が設けられる。その後、側方から吸引されたヒュームは主ヒューム排出管において合流する。
【0014】
このタイプの公知の装置の一つの欠点は、それらは、特にその幅において、体積が大きく嵩張るものであって、又、トンネルの壁を冷却するための必要な冷却液の質量によってその総重量が大きいことである。
【0015】
当該技術の現状において、欧州特許出願公開第420776号明細書が知られており、これは炉用のスクラップを投入するための装置を記載し、これは炉の屋根の方向において上から下に傾斜した支持平面を備えている。
【0016】
この解決構成において、前記スクラップは、前記支持表面に加えられる振動によって炉に向けて移動され、この振動と重力とによって、スクラップが下降して炉の上方屋根に形成された開口部を通って導入される。
【0017】
前記スクラップを通ってその熱の一部をこのスクラップに与えた後、炉から出る高温ヒュームは、前記支持平面に対して側方に配設された吸引手段を通して吸引される。
【0018】
水平な又は傾斜した支持平面によってスクラップを投入するための別のシステムが欧州特許出願公開第2546593号明細書,中国特許出願公開第201662331号明細書および国際公開第2011/091685号に例示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の一つの課題は、金属材、たとえば、溶融炉において溶融されるべき金属材を、移動させ予熱するための装置であって、溶融炉における溶融工程によって発生するヒュームの熱を効率的に利用することができ、かつ、公知の装置によって達成可能であるよりもより高い温度へとその金属材を加熱するべく多量の熱を前記ヒュームから取り出すことが可能な装置を得ることにある。
【0021】
上記に関連する一つの課題は、搬送通路中にある金属材の全質量に対する高温ヒュームの分布を改善することにある。
【0022】
本発明のもう一つの課題は、溶融炉において溶融されるべき金属材を移動、予熱するための装置を、公知の装置よりも全幅が小さく嵩張りの少ないものとして構成することにある。
【0023】
本出願人は、公知技術の欠点を克服しこれらおよびその他の課題および利点を得るべく本発明を考案しテストし実施した。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、独立請求項に記載され特徴付けられ、従属請求項には本発明のその他の特徴又は主要発明概念に対する変形例が記載されている。
【0025】
上記課題に応じて、容器に供給される金属材を移動し予熱するための本発明による装置は、主として水平の延出(development)を有する包囲構造を有し、これは内部コンパートメントを形成する上壁と底壁と側壁とを備える。前記包囲構造は、前記上壁と前記底壁との間に配設された支持壁と、前記支持壁と前記側壁と前記上壁とによって形成される前記材料のためのコンベアと、前記上壁と前記材料との間に形成されるヒューム通過部と、高温ヒュームのための収集部、とを有している。
【0026】
本発明のいくつかの実施例において、前記包囲構造は、その全体として、実質的に水平方向に延出するとともに、そのすべての側方が閉じられ、その内部において前内部コンパートメント、収集部およびヒューム通過部が形成されている、リジッドな構造体を形成する。
【0027】
前記炉へ向かう金属材の移動は、前記コンベアに対して非対称で交互の水平揺動を互いに反対方向に加えることによって、炉に対する接近/離間する移動を交互に発生させることによって得られる。これらの動きによって、炉に向けた金属材の漸進的な水平方向の移動が規定される。
【0028】
特に、本発明の一つの解決構成に依れば、前記コンベアの端部は前記炉の側方ドアに関連付けられ、それによって前記金属材が側方ドアを通って入る側方入口が形成される。
【0029】
本発明のいくつかの態様に依れば、前記収集部は、実質的に前記包囲構造の長手方向延出全体に沿って前記内部コンパートメント内において前記コンベアの下方に位置し、前記コンベアと前記収集部とを流体接続するべく、前記支持壁には単数又は複数の開口部が形成されている。ヒュームの吸入は、本発明の一解決構成に依れば、前記コンベアの、前記炉に接続された前記端部の反対側の端部において行われ、それにより、ヒュームは、スクラップの供給方向に対する対向流において実質的に直線状に延出する姿勢をとるように強制され、これがコンベア内でスクラップが占有する総体積に影響を与える。
【0030】
ヒュームの吸引が、炉の前方で行われ、従来技術のように側方で行われないことによって、コンベアによって占有される嵩が減少し、高温ヒュームと加熱されるべき金属材との間の熱交換が最適化される。
【0031】
本発明の一解決構成において、前記ヒューム通過部の容積は前記包囲構造の長手方向に沿って前記容器から離間するにつれて減少し、前記収集部の容積は、前記ヒューム通過部の前記減少に相関して増大する。
【0032】
この解決構成によれば、ヒュームがコンベアの側方に配設された収集部を通って吸引される公知の装置と比較して、本発明による装置の嵩を低くすることが可能になる。
【0033】
更に、本発明に依れば、金属材の熱成層が防止され、ヒュームのエネルギコンテンツをより高い効率で利用することが可能になるという利点がある。
【0034】
前記ヒューム通過部と収集部との容積間の相関バリエーションによって、金属材と接触しながらコンベアを通過する高温ヒュームの部分を高い温度に維持することが可能となり、それによって、従来技術で可能であったものと比較してもっと金属材を加熱することが可能となる。
【0035】
前記包囲構造が材料をと前記内部コンパートメントに投入するための投入ゾーンと、材料を前記容器内へと積み下ろす積み下ろしゾーンと、を備えるいくつかの実施形態において、前記支持壁は、前記投入ゾーンから前記積み下ろしゾーンへと下降する延出部(a development)を有し、これによって、前記積み下ろしゾーンから前記投入ゾーンにかけて、前記ヒューム通過部の減少と前記収集部の容積の増加とを実現するように構成される。
【0036】
このように構成することで、溶融炉から到着するヒュームの通過部がヒュームの流量が大きなところではより大きく、ヒュームの流量が小さいところでは小さくなる構成が得られる。
【0037】
コンベアの断面が一定である従来の解決構成と比較して、この解決構成は、その側方境界規定壁のサイズをより小さくすることが可能であるコンベアの全体サイズを小さくすることが可能となる。その結果、前記壁を冷却するために必要な装置内を循環する冷却水の量を減らすことが可能となり、それによって、また、コンベアの、そして最終的に装置全体の、総重量がそれに対応して低減される。
【0038】
本発明のいくつかの態様に依れば、前記支持壁は、互いに前記包囲構造の長手方向の延出に沿うとともに、二つの連続するセグメント間に前記貫通開口のそれぞれが挟まれた状態で、互いに対して縦方向にオフセットされた複数の平面に位置する複数のセグメントを含む。
【0039】
このように構成することにより、段差を有する形状の支持壁が得られ、それによって、前記貫通開口とそれらを通過する前記ヒュームの吸引の位置決めの有利な管理が可能となる。
【0040】
変形態様に依れば、前記支持壁は、それぞれが平行な、又は実質的に平行な平面に位置し、貫通開口と交互に配置され、実質的に連続して下方に前記容器に向けて傾斜する前記支持壁の表面を形成する複数のセグメントに分割される。
【0041】
本発明は、更に、容器に供給される金属材料を移動し予熱する方法に関し、これは、先ず最初に、内部コンパートメントを備える包囲構造を有する、前記材料を移動し予熱するための装置を準備する。当該方法は、更に、前記材料を、前記内部コンパートメント内のコンベアの支持壁上の供給方向に移動させる工程と、前記容器の位置の反対側の前記包囲構造の一端部から高温ヒュームを吸引する工程とを有する。
【0042】
この吸引によって、前記包囲構造の長手方向の延出に沿って、供給方向に対して対向する対向流としての、前記コンベアから前記内部コンパートメント内で前記コンベアの下方に位置する収集部へのヒュームの流れが規定される。前記ヒュームは、前記コンベアから、前記支持壁に形成されて前記コンベアを前記収集部に流体接続する貫通開口を通って前記収集部へと通過する。更に、前記高温ヒュームの吸引によって、前記材料は、前記容器から離間するにつれて減少する高温ヒュームの流れに接触させられる。
【0043】
本発明のこれらおよびその他の特徴は、添付の図面を参照して非限定的具体例として提供される、いくつかの実施形態に関する以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の説明において、本発明による、又、異なる実施形態における金属材を移動し予熱するための装置の同じ部分は同じ参照番号によって示されている。尚、一つの実施形態の要素および特徴は、特に銘記することなく、他の実施形態にも適宜組み込むことが可能であると理解される。
【0046】
以下、本発明の実施例のいくつかの形態について詳細に説明するが、これらの内の単数又は複数の具体例が添付の図面に図示されている。それぞれの例は発明の例示として提供されるものであって、本発明を限定するものと理解されてはならない。例えば、一実施例の一部として図示又は記載された特徴を、別の実施形態に適合又は関連付けて別の実施形態を作り出すことができる。尚、本発明は、そのような改造および変形のすべてを含むものと解釈される。
【0047】
図1は、金属材料M、当業者に、冶金溶融処理用の金属材M、を移動し予熱する装置10の実施形態を記載するために使用される。
【0048】
前記金属材Mは、公知タイプの溶融炉11での溶融処理中に溶融することが可能なものであり、従って、この説明においては詳細には記載されず、当該装置10に対して機能するそのコンポーネントに関してのみ記載される。
【0049】
前記溶融炉11は、
図1に図示の実施例形態においては、一例として、電気炉、は、その内部において溶融処理が行われるシェル12と、当該シェル12と一体化され、シェル12の外側で溶融によって作り出される高温ヒュームFを排出するように構成されたヒューム排出管13とを備えることができる。
【0050】
前記装置10は、前記金属材Mを、前記溶融炉11のシェル12に向けて直接に、たとえば、連続的に、搬送するか、若しくは、溶融炉11が非連続的又はバッチ式に投入される場合には、仮保管バスケットに向けて搬送するように構成することができる。
【0051】
一般に、前記装置10は、前記金属材Mを移動し、これを、溶融工程(melting proper)又は保存工程又は溶融場所への移送工程とすることができる溶融処理における後続の工程に使用される容器、に向けて搬送する。いくつかの実施形態において、前記装置10と、前記溶融、保続又は移送容器との間に、参照番号33によって示す、接続カー、を設けることができ、これは、たとえば、その積み下ろし工程中、その内部において移動および/又は突出して前記装置10から前記材料を受け取りそれを前記容器内へと積み下ろす。
【0052】
前記装置10は、上壁15と、底壁16と、互いに反対側で前記上壁15と前記底壁16とに接続された二つの側壁17とによって形成される箱状の包囲構造14を有する。
【0053】
前記上壁15は、前記側壁17に対して載置又は取り付けることができる。
【0054】
その前方部において前記ヒューム排出管13に接続された前記包囲構造14は、実質的に水平な延出を有し、場合によっては数十メートルもの長さとすることが可能な長手形状を有する。
【0055】
前記装置10は、互いに対して移動可能な前記ヒューム排出管13と前記可動包囲構造14との間の接続に対応してヒュームの密封を保証するように構成されたシール装置113を備えることができる。
【0056】
図3a−3dは、単なる例示として、第1シール部材113aが固定側のヒューム排出管13に接続され、第2シール部材113bが可動側の包囲構造14に接続されている、前記シール装置113の可能な実施形態を記載するために使用される。
【0057】
可能な解決構成において、前記第1シール部材113aと第2シール部材113bとは、互いに接続させて、たとえば、スライド式でフレキシブルな、又は蛇腹式のものとして、単一シール(
図3aと3b)又は、二重シール(
図3c)、において前記ヒューム排出管13と前記包囲構造14との間の接続部のシールを形成するように構成することができる。
【0058】
他の解決構成として、前記第1シール部材113aと第2シール部材113bとを、容器113c内で、ヒュームが通過することのない、液体、たとえば、水に浸漬させることも可能である(
図3d)。
【0059】
図1〜2cは、前記上壁15と、底壁16と側壁17とが、その中に材料Mが包囲される内部コンパートメントを境界規定するとともに、高温ヒュームFの流れがそれを加熱するための前記材料Mを通って形成される実施形態を記載するのに使用される。
【0060】
前記包囲構造14は、前記材料Mが前記内部コンパートメント14a内に投入される投入ゾーン14cと、前記材料Mが意図される容器内に積み下ろされる積み下ろしゾーン14sとを備えている。
【0061】
前記底壁16と前記上壁15との間の中間位置において、前記包囲構造14は、その上に材料Mが載置される支持壁18を有している。
【0062】
前記包囲構造14に沿って、前記積み下ろしゾーン14sの下流側に位置する容器、この場合は前記シェル12、の内容物投入を促進するために、材料Mは、前記支持壁18上において一定の高さに維持される。
【0063】
例示的に
図1を参照して記載される、いくつかの実施形態において、前記装置10は、前記包囲構造14に接続されるとともに、当該包囲容器14を移動させる、たとえば、それに対して振動および/又は揺動を加える、ように構成された移動手段(図示せず)を有している。これらの振動および/又は揺動によって、前記材料Mは、矢印Amによって
図1に例示される供給方向において、前記投入ゾーン14cから積み下ろしゾーン14sへと進行される。
【0064】
前記溶融炉から離間する前記包囲構造14の端部において、前記投入ゾーンから金属材Mが搬送されるゾーン内への空気の侵入を防止する動的シール部材19を設けることができる。この動的シール部材19は、たとえば、従来式の、或いは、円錐状や三日月形状を有するローラや、シール機能を備える同等のシステム、等から構成することができる。前記動的シール部材19は、又、前記包囲構造14に入ってくる前記金属材Mに対する物理的なプレスを行い、それを平らにし平滑化する。
【0065】
従って、前記動的にシール部材19が設けられることによって、供給される金属材Mが規定され一定の量となって均一にプレスされそれによって空の空間を最小限にまで少なくすることが可能となる。
【0066】
このようにして、前記供給通路における金属材Mの密度が高まることによって、炉11から出る高温ヒュームと、その材料自身との間の熱交換効率が大幅に増大し、ヒュームの加熱作用が高まるのである。
【0067】
前記包囲構造14の前記炉11に接続されている端部の反対側の端部に前記動的シール部材19が設けられることによって、更に、前記金属材Mの前記構造14への導入によって不可避的に形成される隙間へ漏れこむ外部からの「フォールスエア(false air)」の侵入が減少する。
【0068】
「フォールスエア(false air)」の可能な侵入に対するシールは、金属材と前記動的シール部材19との間の隙間によって侵入した空気と、更に、前記溶融炉11から前記コンベアの投入ゾーンに到達するヒューム、とを吸引する部材、たとえば、吸引管30、によっても達成される。
【0069】
前記動的シール部材19と前記吸引管30との両方が設けられることによって、金属材Mの加熱のために使用される通路への低温の空気の導入を最小化することが可能となる。
【0070】
更に、前記動的シール部材19は、又、金属材に対するそのプレスおよび平滑化作用によって、前記吸引管内での減圧を作り出すストッパを形成する機能も果たす。
【0071】
その結果、炉から来る高温ヒュームが、前記金属材Mを通過する前記吸引装置23の機能によって取り出される。
【0072】
もしも前記動的シール部材19が設けられないならば、炉の屋根から少なくとも部分的にヒュームが直接出て、金属材Mを効果的に加熱することができなくなるであろう。
【0073】
前記支持壁18は、複数のセグメントに分割され、これらは、
図1においては、前記投入ゾーン14cから積み下ろしゾーン14sへとアルファベット順に参照符号によって示され、これは本発明の説明においては総括的な参照番号18nによって示される。
【0074】
前記セグメント18nは、前記包囲構造14の長手方向の延出に沿って、前記投入ゾーン14cから積み下ろしゾーン14sへと順番に配置された複数のプレートによって形成することができる。
【0075】
前記セグメント18nは、前記支持壁18の投入ゾーン14cから積み下ろしゾーン14sへの下降延出を形成する。即ち、それらは、前記投入ゾーン14cに対応する前記支持壁18の端部と前記積み下ろしゾーン14sに対応するその反対側の端部、との間のレベル差を形成している。
【0076】
この下降延出は、連続的なものであっても、不連続的なものであってもよい。
【0077】
図1は、例として、9つのセグメント18n、即ち、前記投入ゾーン14cに対応する第1セグメント18aと、前記内部コンパートメント14aのより内側の位置の第2セグメント18bと、同様の、第3セグメント18cと、第4セグメント18dと、第5セグメント18eと、第6セグメント18fと、第7セグメント18gと、第8セグメント18hと、前記包囲構造14の前記積み下ろしゾーン14sに対応して配置される第9セグメント又は終端セグメント18iと、を図示している。
【0078】
可能な解決構成において、前記終端セグメント18iは、前記包囲構造14の前記底壁16の上方に配置することができる。
【0079】
他の可能な解決構成において、前記最終セグメント18iは、この終端セグメント18iの手前のセグメント18nと、前記底壁16の終端部との間の前記底壁16の区域と一致するものとすることができる。
【0080】
いくつかの解決構成において、前記支持壁18は、前記内部構造14を、前記内部コンパートメント14aにおいて、それぞれ、前記材料Mのためのコンベア20と前記高温ヒュームFのための収集部22とを形成する、二つのオーバラップ部分、に分割する。
【0081】
例として
図1−2cを参照して記載されるいくつかの実施形態において、前記コンベア20は、前記上壁15と、その内の片方のみが
図1に部分的に見える前記両側壁17と、前記支持壁18とによって境界規定される。
【0082】
いくつかの実施態様において、前記コンベア20の前記側壁17は、前記支持壁18に対して垂直、又はそれに対して傾斜したものとすることができる。
【0083】
使用中において、前記上壁15と、前記支持壁18上に存在する材料Mとによってヒューム通過部21が形成される。
【0084】
前記内部コンパートメント14aは、前記ヒューム排出管13に流体接続されるが、当該管13の機能は、高温ヒュームFが内部コンパートメント14a、特に、前記ヒューム通過部21に入ることを可能にすることにある。
【0085】
図1は、前記支持壁18が、
図1において、アルファベット順の特定の参照符号によって示され、又、本開示においては総括的参照符号118nによって示される、単数又は複数の貫通開口又は吸引開口部を含む実施形態を記載するのに使用される。
【0086】
各吸引開口部118nは、二つの隣接するセグメント18n間に位置し、前記コンベア20と前記ヒューム通過部21とを前記収集部22との流体連通状態にする。
【0087】
各吸引開口部118nは、少なくとも、前記包囲構造14の前記二つの側壁17を互いに分離している距離の大半に渡って横に延出している。
【0088】
可能な実施形態において、隣接するセグメント18nは対応の開口部118nに対応して部分的にオーバラップすることが可能である。
【0089】
図1に図示されている具体的ケースにおいては8つの吸引開口部118nが設けられ、これは、前記第1セグメント18aと第2セグメント18bとの間の第1吸引開口部118a、前記第2セグメント18bと第3セグメント18cとの間の第2吸引開口部118b、そして同様に、第3吸引開口部118c、第4吸引開口部118d、第5吸引開口部118e、第6吸引開口部118f、第7吸引開口部118g、そして、前記終端セグメント18iと、その手前の第3セグメント18hとの間の第8開口部又は終端吸引開口部118h、を有する。
【0090】
図1は、前記支持壁18を構成する前記セグメント18a−18iが、縦方向に互いにオフセットされた複数のプレート上に位置して、それによって段状の延出部を形成している実施形態を説明するのに使用される。このアナロジーから、各セグメント118nは、一つの段の支持平面として、そして、各吸引開口部118nは前記段のライザとして理解することができる。
【0091】
可能な実施形態に依れば、前記セグメント18a−18iは、互いに対して平行、即ち、それらは平行な平面に位置している。
【0092】
他の実施形態において、前記セグメント18a−18iは、実質的に平行な平面に配置されて、前記支持壁18の傾斜した連続する表面を形成する。
【0093】
他のバリエーションとして、前記セグメント18a−18iが互いに対して傾斜するように構成することができる。
【0094】
いくつかの実施形態において、前記セグメント18a−18iは、水平に、又は、水平方向に対して傾斜して配設することができる。
【0095】
解決構成として、前記セグメント18a−18iが、水平方向に対して、前記投入ゾーン14cに最も近い第1端部が、この第1部分の反対側で前記積み下ろしゾーン14sに近い端部に対して持ち上げられている構成を提供することができる。
【0096】
可能な解決構成において、前記セグメント18a−18iは、平行又は前記水平方向に対して傾斜させることが可能な前記底壁16に対して平行とされる。
【0097】
尚、ここに記載される、すべての実施形態、解決構成及びバリエーションは、技術的に可能なコンビネーションで互いに組み合わせることが可能であると理解される。
【0098】
前記装置10は、前記積み下ろしゾーン14cに対応する前記包囲構造14の一端部、即ち、前記シェル12の位置に対する反対側の端部、で前記収集部22と流体連通するとともに、当該収集部22内で負圧を作り出し、その結果として、前記ヒューム通過部21への高温ヒュームFの流入と前記収集部22からの高温ヒュームFの流出とを規定するように構成された吸引ユニット23を備えることができる。
【0099】
又、前記コンベア20に沿って位置し、この場合、前記上壁15と連動し、通常はシャッタバルブによって閉じられる吸引管32から成るバイパスを提供することも可能である。前記吸引管32は、緊急時、たとえば、前記吸引ユニット23がスクラップの密度が高いため、又は、その他の問題により、十分ではない時、開放される。
【0100】
従って、前記包囲構造14内での高温ヒュームFの流れは、前記積み下ろしゾーン14sに対応する前記ヒューム通過部21のゾーンから前記吸引ユニット23が位置する前記投入ゾーン14cに対応して位置する前記収集部22の一部に向かって流れる。
【0101】
従って、前記高温ヒュームFは、前記コンベア20に沿った前記材料Mの供給の方向Amに対して反対の方向に、即ち、前記材料Mに対する対向流として、流れる。
【0102】
前記コンベア20と収集部22とがオーバラップしているので、前記高温ヒュームFは、強制的に前記材料Mを通って流される。
【0103】
このようにして、高温ヒュームFが材料Mを上方から下方に向けて流れ、それによって、この材料Mの全部が高温ヒュームFの通過によって影響を受ける。それは1,000℃〜1,400℃の温度であるので、それらは、材料Mの全部を、均一に加熱し熱層化を防止する。
【0104】
可能なバリエーションにおいて、前記吸引ユニット23がコンベア20の下方に位置していることにより、吸引が通常、コンベアの側壁を通して側方に行われる公知の解決構成と比較して装置10の横方向の嵩を低減することが可能となる。
【0105】
図1−2cは、前記ヒューム通過部21が横の延出を有し、それによって、その容積が、前記包囲構造14に沿って前記積み下ろしゾーン14sから投入ゾーン14cに向けて、即ち、前記シェル12から離間するにつれて減少する実施形態を説明するために使用される。
【0106】
その反対に、前記収集部22の断面、従って、その容積は、前記投入ゾーン14cから積み下ろしゾーン14sに向けて減少する。具体的には、前記収集部22の容積は、前記ヒューム通過部21の容積の減少と相関して増大する。
【0107】
図2a−2cは、前記側壁17が前記底壁16と前記支持壁18とに対して垂直であり、従って、対応の高さを考慮に入れてのみ、前記ヒューム通過部21と前記収集部22と、前記包囲構造14に沿ったそのそれぞれの断面を比較することが可能な、単純化された形態の実施例を説明するために使用される。
【0108】
図2a−3cに図示されているケースにおいて、Hmは前記材料Mの高さを示し、H1は前記ヒューム通過部21の高さを示し、そしてH2は前記収集部22の高さを示している。
【0109】
具体的には、高さHmは部分A−A,B−B,C−C間において変化しない。
【0110】
前記コンベア20の幅を同じとして、
図2a−2cは、高さH1が部分A−Aから部分B−Bへ、そして部分B−Bから部分C−Cへと増加することを示している。
【0111】
これによって、前記ヒューム通過部21内での高温ヒュームFの通過量が、それらの一部が徐々に、前記吸引ユニット23によって吸引されることによって、減少し、そして、前記材料Mと、前記積み下ろしゾーン14Sから前記投入ゾーン14Cへと連続して通過して前記収集部22に流入する。
【0112】
その結果、前記材料Mと高温ヒュームFの通過断面、即ち、前記高さHmとHlとの和に実質的に依存する前記コンベア20の断面は、前記高温ヒュームFの前記ヒューム通過部21への入口部分である前記積み下ろしゾーン14sの近傍と、更に、前記溶融炉11に最も近い前記包囲構造14の部分、とにおいてより大きなものとなる。
【0113】
これに対して、前記高温ヒュームFの流速が小さいところ、即ち、前記高温ヒュームFの流れの最終部分であるところの前記投入部14Aの近くでは、前記コンベア20の通路又は断面はより小さくなる。
【0114】
前記コンベア20が、一定の断面を有する従来の解決構成と比較して、この解決構成に依れば、その側方境界規定壁、この場合では、前記包囲構造14の側壁17の部分、のサイズをより小さなものとすることが可能な前記コンベア20自身の全体のサイズを小さくすることが可能となる。上述した包囲構造14の構成によって、コンベア20の境界規定壁のサイズの30%以上もの低減を得ることが可能となる。
【0115】
これによって、前記壁を冷却するための水の供給を減らすことが可能となり、それによって、又、前記コンベア20の全体の重量と、最終的には、前記装置10全体の重量とを低減することも可能となる。
【0116】
更に、この重量の低減により、前記包囲構造14の上壁15をこの構造の前記側壁17に取り付けて、より耐久性が高く、しかも、上壁15と側壁17との間の従来技術において通常使用されるシール手段無しで、閉じられた構造を得ることが可能となる。
【0117】
添付の図面を参照して記載されるいくつかの実施形態に依れば、前記収集部22の断面、従って、その容積は、前記ヒューム通過部21に対して相補的に増大し、それによって、前記ヒューム通過部21から出て前記吸引開口部118nを通る高温ヒュームFの流れは前記材料の供給方向Amに対して逆に増大する。
【0118】
この解決構成に依れば、高温ヒュームFが積み下ろしゾーン14sから投入ゾーン14cへと徐々に移動する時に、高温ヒュームFの温度を前記ヒューム通過部21全体を通して高く維持することが可能となる。
【0119】
材料Mと接触する高温ヒュームFの流れが前記ヒューム通過部21に沿って減少し、その容積が前記積み下ろしゾーン14sから投入ゾーン14cに向けて減少することによって、高温ヒュームFの速度を実質的に一定に維持することが可能となる。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態において、上述した包囲構造14によって、高温ヒュームFが大気温度の空気と混じることが防止され、それらがより長い時間それらの温度を維持し、コンベア20全体に沿って材料Mを加熱するのに十分高いエネルギを維持することが可能となる。
【0121】
本発明の分野および範囲から逸脱することなく、以上記載した装置10に対して改造および/又はパーツの追加を行うことが可能であることは当然である。
【0122】
又、以上本発明をいくつかの実施例を参照して記載したが、当業者は、請求項に記載された特徴を備え、すべて保護範囲内にある、金属材を移動し予熱するための装置のその他多くの均等構成を達成することが可能であることも当然である。