【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面によると、複数のチャンバ内の流体を制御するための流体制御処理システムは本体を備え、本体は流体処理領域を含み、流体処理領域は流体移動チャンバと流体で結合される。流体移動チャンバは、減圧できて流体移動チャンバに流体を引き込み、また、加圧できて流体移動チャンバから流体を排出する。本体は複数の外部ポートを含む。流体試料処理領域は複数の流体処理ポートを含み、各流体処理ポートは外部ポートの1つと流体で結合される。流体移動チャンバは、少なくとも1つの外部ポートと流体で結合される。上記本体は、複数のチャンバに対して調整可能であって、外部ポートは、複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置される。
【0006】
或る実施形態では、上記本体はチャンバに対して調整可能であって、一時、複数のチャンバの1つに流体で連通するように外部ポートを配置している。流体試料処理領域は流体移動チャンバと少なくとも1つの外部ポートとの間に配置される。流体試料処理領域は能動部材を備え、上記能動部材は、例えば、微小流動チップと、固相物質と、フィルタまたはフィルタスタックと、親和マトリックスと、磁性分離マトリックスと、サイズ排除コラムと、毛細管などを含んでいる。エネルギー伝送部材は、流体試料処理領域と作動可能に結合されていて、その中にエネルギーを伝送してその中に含まれる流体を処理する。一実施形態では、上記本体は交差溝を含み、上記本体は、複数のチャンバに対して調整可能であって、2つのチャンバ間を流体で連通するように交差チャンネルを配置できる。
【0007】
本発明の別の局面によると、複数のチャンバ内の流体の流れを制御するための流体制御理システムは、流体試料処理領域を含む本体を備え、上記領域は流体移動チャンバと連続的に流体で結合される。流体移動チャンバは減圧できて、流体を流体移動チャンバに引き込み、また、加圧できて、流体移動チャンバから流体を排出する。上記本体は複数の外部ポートを含む。上記流体処理領域は、外部ポートの内の少なくとも2つと流体で結合される。流体移動チャンバは、外部ポートの内の少なくとも1つと流体で結合される。上記本体は、複数のチャンバに対して調整可能であって、上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように、外部ポートの内の少なくとも1つを配置する。
【0008】
或る実施形態では、本体は複数のチャンバに対して調整可能であり、複数のチャンバの内の1つと流体で連通するように、一時、少なくとも1つの外部ポートを配置する。上記本体は外部ポートを閉じるために複数のチャンバに対して調整可能であって、流体移動チャンバと試料流体処理領域とは、流体移動チャンバから流体工学的に分離している。流体試料処理領域は、流体試料の試料成分(例えば、細胞、胞子、ウィルス、大小の分子、プロテイン)を捕獲するための捕獲部材を備える。上記捕獲部材は、1個以上のフィルタ、微小流体チップトフィルタペーパー、ビーズ、膜、ガラスウール、ポリマー或いはゲルを備える。
【0009】
本発明の別の局面は、弁と複数のチャンバとの間の流体の流れを制御するための方法である。弁は複数の外部ポートを含み、上記方法は、上記複数のチャンバに対して弁を調整することを備えて、複数のチャンバと流体で選択的に連通するように外部ポートを配置する。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
複数のチャンバの中の流体の流れを制御するための流体制御処理システムであって、
複数のチャンバを有するハウジングと、
流体移動領域と流体工学的に連続的に結合される流体試料処理領域を含む本体とを備え、上記流体移動領域は減圧できて流体を上記流体移動領域内に引き込むと共に、加圧できて流体を上記流体移動領域から放出し、上記本体は複数の外部ポートを含み、上記流体試料処理領域は複数の流体処理ポートを含み、上記流体処理ポートの各々は上記外部ポートの1つと流体工学的に結合され、上記流体移動領域は少なくとも1つの上記外部ポートと流体工学的に結合され、上記本体は上記ハウジングに対して調整できて、上記外部ポートが上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置され得ることを特徴とするシステム。
(項目2)
複数のチャンバの中の流体の流れを制御するための流体制御処理システムであって、
流体移動領域と流体工学的に連続的に結合される流体試料処理領域を含む本体を備え、上記流体移動領域は減圧できて流体を上記流体移動領域内に引き込むと共に、加圧できて流体を上記流体移動領域から放出し、上記本体は複数の外部ポートを含み、上記流体試料処理領域は複数の流体処理ポートを含み、上記流体処理ポートの各々は上記外部ポートの1つと流体工学的に結合され、上記流体移動領域は少なくとも1つの上記外部ポートと流体工学的に結合され、上記本体は複数のチャンバに対して軸の周りに回転可能に調整できて、上記外部ポートが上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置され得ることを特徴とするシステム。
(項目3)
項目1または2に記載のシステムにおいて、
上記本体は上記ハウジングに対して調整可能であって、一時、1つの外部ポートを上記複数のチャンバの1つと流体で連通するように配置していることを特徴とするシステム。(項目4)
項目1乃至3のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記本体は上記ハウジングに対して調整可能であって、一時、少なくとも2つの外部ポートを上記複数のチャンバのいずれかと流体で連通するように配置されるように配置していることを特徴とするシステム。
(項目5)
複数のチャンバの中の流体の流れを制御するための流体制御処理システムであって、
複数のチャンバを有するハウジングと、
流体移動領域と流体工学的に連続的に結合された流体試料処理領域を含む本体とを備え、上記流体移動領域は減圧できて流体を上記流体移動領域内に引き込むと共に、加圧できて流体を上記流体移動領域から放出し、上記本体は複数の外部ポートを含み、上記流体試料処理領域は少なくとも2つの上記外部ポートと流体工学的に結合され、上記流体移動領域は少なくとも1つの上記外部ポートと流体工学的に結合され、上記本体は上記ハウジングに対して調整できて、少なくとも1つの上記外部ポートを上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置することを特徴とするシステム。
(項目6)
複数のチャンバの中の流体の流れを制御するための流体制御処理システムであって、
流体移動領域と流体工学的に連続的に結合された流体試料処理領域を含む本体を備え、上記流体移動領域は減圧できて流体を上記流体移動領域内に引き込むと共に、加圧できて流体を上記流体移動領域から放出し、上記本体は複数の外部ポートを含み、上記流体試料処理領域は少なくとも2つの上記外部ポートと流体工学的に結合され、上記流体移動領域は少なくとも1つの上記外部ポートと流体工学的に結合され、上記本体は複数のチャンバに対して軸の周りに回転可能に調整できて、少なくとも1つ上記外部ポートを上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置することを特徴とするシステム。
(項目7)
項目5または6に記載のシステムにおいて、
上記本体は上記ハウジングに対して調整可能であって、一時、高々1つの外部ポートを上記複数のチャンバの1つと流体で連通するように配置していることを特徴とするシステム。
(項目8)
項目5乃至7のいずれかに記載のシステムにおいて、
流体移動チャンバと上記処理領域とが上記チャンバ領域から流体工学的に分離されるために、外部ポートを閉じるように上記本体は上記ハウジングに対して調整可能であることを特徴とするシステム。
(項目9)
項目5乃至8のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体試料処理領域は、流体試料の成分を捕獲するための捕獲部材を備えていることを特徴とするシステム。
(項目10)
項目1乃至9のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体試料処理領域は複数の流体処理ポートを含み、上記流体処理ポートの各々は、少なくとも1つの上記外部ポートと連続的に流体工学的に結合されることを特徴とするシステム。
(項目11)
項目1乃至10のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体移動領域は上記本体の流体移動チャンネルと流体工学的に結合され、流体処理ポートの1つは上記本体の流体処理チャンネルと流体工学的に結合され、上記流体移動チャンネルと上記流体処理チャンネルとは1つの外部ポートで流体工学的に結合されていることを特徴とするシステム。
(項目12)
項目1乃至11のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体試料処理領域は、上記流体移動領域と少なくとも1つの外部ポートの間に配置されて、上記流体移動領域と上記少なくとも1つの外部ポートとの間の流体の流れが、流体試料処理領域を通過することを特徴とするシステム。
(項目13)
項目1乃至12のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記外部ポートは上記本体の外部ポート表面の上に配置されていることを特徴とするシステム。
(項目14)
項目1乃至13のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記外部ポート表面は略平面であることを特徴とするシステム。
(項目15)
項目1乃至14のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記本体は、上記外部ポートが上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するよう配置され得るように、上記複数のチャンバに対して軸の周りに回転可能であり、上記軸は上記外部表面に対して垂直であり、上記外部ポートは上記軸から共通半径だけ間隔が開いていることを特徴とするシステム。
(項目16)
項目1乃至15のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体移動領域は、容積の増加によって減圧可能であると共に容積の減少によって加圧可能であることを特徴とするシステム。
(項目17)
項目1乃至16のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体移動領域内に配置された流体移動部材をさらに備え、上記流体移動部材は、上記流体移動領域の容積を調整するために、移動できることを特徴とするシステム。
(項目18)
項目1乃至17のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体移動部材は、上記流体移動領域内で直線方向に移動できるピストンを備えていることを特徴とするシステム。
(項目19)
項目1乃至18のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体移動部材はピストンシャフトを備え、上記ピストンシャフトは、上記ピストンシャフトを駆動するためのピストンロッドの端部に接続されて、上記流体移動領域内で移動し、上記ピストンロッドよりも断面積が小さいことを特徴とするシステム。
(項目20)
項目1乃至19のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体試料処理領域と作動可能に結合されたエネルギー伝達部材を備えて、上記エネルギー伝達部材は上記流体試料処理領域内に含まれる流体を処理するためにエネルギーを上記流体試料処理領域に伝達することを特徴とするシステム。
(項目21)
項目1乃至20のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体試料処理領域と上記エネルギー伝達部材との間に配置されたカバーをさらに備えていることを特徴とするシステム。
(項目22)
項目1乃至21のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記カバーは可撓性フィルムであることを特徴とするシステム。
(項目23)
項目1乃至22のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記エネルギー伝達部材は、上記流体試料処理領域内に上記カバーを介して音響エネルギーを伝達するために、上記カバーと接触する音響部材を備えていることを特徴とするシステム。
(項目24)
項目1乃至23のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記本体は、交差チャンネルを含み、上記本体は上記ハウジングに対して調整可能であって、吸引チャンバおよびソースチャンバと流体で連通するように交差チャンネルを配置して、上記ソースチャンバから上記交差チャンネルを通って上記吸引チャンバに流体が吸引できることを特徴とするシステム。
(項目25)
項目1乃至24のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記外部ポートは、軸に垂直な略平坦な外部ポート表面の上に配置され、上記外部ポートは上記軸の周りに複数のチャンバに対して回転できて、上記外部ポートを複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置し、交差チャンネルは上記外部ポート表面上に交差溝を備えていることを特徴とするシステム。
(項目26)
項目1乃至25のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記外部ポートは上記軸から外部ポートの半径の範囲内に配置され、上記交差溝は上記軸から交差溝の半径の範囲内に配置され、上記外部ポート半径の範囲と上記交差溝の半径の範囲とは重複しないことを特徴とするシステム。
(項目27)
項目1乃至26のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記交差溝は、上記軸から共通の交差溝の半径上に在る円弧であることを特徴とするシステム。
(項目28)
項目1乃至27のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記外部ポートは、上記軸から共通の半径だけ間隔が開いていることを特徴とするシステム。
(項目29)
項目1乃至28のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記外部ポートは上記本体の回転の長手軸に対して略円錐形の外部ポート表面上に配置されて、上記外部ポートは上記長手軸の周りの第2外部ポートから角度間隔の開いた第1外部ポートを含んでいることを特徴とするシステム。
(項目30)
項目1乃至29のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記本体は上記縦軸の周りに上記複数のチャンバに対して回転可能であって、上記外部ポートは上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置され得て、上記第1外部ポートは第1横断面上に在り、上記第1横断面は縦軸に垂直であると共に縦軸に垂直な第2横断面から縦軸方向にオフセットされていて、第2外部ポートは上記第1平面上に在ることを特徴とするシステム。
(項目31)
項目1乃至30のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記本体は外部ポート表面上に配置された交差溝を含んでいることを特徴とするシステム。
(項目32)
項目1乃至31のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記交差溝は、上記第1横断面から上記第2横断面への間において長手方向に延在していることを特徴とするシステム。
(項目33)
項目1乃至32のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体試料処理領域は、微小流体チップと固相物質とフィルタとフィルタスタックと親和性マトリックスと磁気分離マトリックスとサイズ排除コラムと毛細管とからなるグループから選択された能動部材を備えていることを特徴とするシステム。
(項目34)
項目1乃至33のいずれかに記載のシステムにおいて、
少なくとも2つの上記複数のチャンバは、上記チャンバ間のチャンバ容積を変更できる可撓性壁によって分離されていることを特徴とするシステム。
(項目35)
項目1乃至34のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記複数のチャンバは、入口ポートと出口ポートと上記入口ポートに配置されたフィルタとを含む側部チャンバを備えていることを特徴とするシステム。
(項目36)
弁と複数のチャンバとの間の流体の流れを調節するための方法であって、上記弁は複数の外部ポートと流体移動領域とを含み、上記流体移動領域は流体試料処理領域と流体で連続的に結合され、上記流体試料処理領域は少なくとも2つの外部ポートと流体で結合している上記方法において、
外部ポートを上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように設置するために、上記複数のチャンバに対して上記弁を調整することを備えていることを特徴とする方法。
(項目37)
項目36に記載の方法において、
上記弁が流体工学的に上記チャンバから分離するために、上記弁が調整されて上記外部ポートを閉じることを特徴とする方法。
(項目38)
項目36または37に記載の方法において、
上記流体移動領域と上記流体試料処理領域とを加圧することを備えていることを特徴とする方法。
(項目39)
項目36乃至38のいずれかに記載の方法において、
上記弁が調整されて、上記チャンバの1つと流体で連通するように1つの外部ポートを設置し、さらに上記流体移動領域を減圧して流体を上記チャンバから上記弁に吸引することを特徴とする方法。
(項目40)
項目36乃至39のいずれかに記載の方法において、
上記弁が調整されて、上記チャンバの1つと流体で連通するように1つの外部ポートを設置し、さらに上記流体移動領域を加圧して流体を上記弁から上記チャンバ内に放出することを特徴としていることを特徴とする方法。
(項目41)
項目36乃至40のいずれかに記載の方法において、
上記弁は交差チャンネルを含み、上記弁が調整されて、1つの外部ポートを第1チャンバと流体で連通しするように配置すると共に、上記交差チャンネルを上記第1チャンバと第2チャンバとに流体で連通するように配置することを特徴とする方法。