特許第6457595号(P6457595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6457595金属的な外観を有するジルコニアベースの物を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457595
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】金属的な外観を有するジルコニアベースの物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/80 20060101AFI20190110BHJP
【FI】
   C04B41/80 B
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-151296(P2017-151296)
(22)【出願日】2017年8月4日
(65)【公開番号】特開2018-30776(P2018-30776A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2017年8月4日
(31)【優先権主張番号】16185922.8
(32)【優先日】2016年8月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】セドリック・フォール
(72)【発明者】
【氏名】ロイック・クルショード
【審査官】 神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−254493(JP,A)
【文献】 特開2002−012487(JP,A)
【文献】 特開2000−277501(JP,A)
【文献】 特開平10−194834(JP,A)
【文献】 特開平10−182224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 41/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属的な外観及び非ゼロの表面導電率を有する完成品又は半製品であるジルコニアベースの物(1)を製造する方法であって、当該方法は、
完成品又は半製品の形態にあらかじめ成形された少なくとも1つのジルコニアベースの物(1)を用意するステップと、
導電材料で作られており電流が流れる少なくとも1つの抵抗性要素(20)によって加熱される水素と、炭素又は窒素とによって作られた処理用気体を収容するチャンバー(10)内に当該物を配置するステップと、及び
水素と、炭素又は窒素ベースの気体分子を解離させるように前記チャンバー内の前記処理用気体を加熱するステップであって、このようにして作った反応性の雰囲気に当該物を維持して、当該物を加熱することで、熱と水素雰囲気の下で当該物から部分的に酸素を解放しかつ当該物の外表面(2)において炭素/窒素の原子を拡散させ、これにより炭化ジルコニウム又は窒化ジルコニウムの層からなる前記外表面(2)と、この外表面(2)と部分的に還元された前記物のコアとの間にジルコニウムオキシカーバイド/ジルコニウムオキシナイトライドを含む遷移領域とを形成する、ステップと
を有し、
前記チャンバー内の前記処理用気体を加熱するステップの前に、当該物をチャンバー内に配置して、前記チャンバー内に水素が注入され、水素を加熱することを伴う還元するステップを有し、これによって、前記ジルコニアベースの物に含まれる酸素の表面の方への拡散及び解放を可能にする
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
当該方法は、さらに、前記チャンバー内の前記処理用気体を加熱するステップの間に、前記ジルコニアベースの物に含まれる酸素の表面の方への拡散及び解放を伴う
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
当該物の外表面(2)上の変態された層の厚みは、10〜1000nmである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
当該物の外表面上の変態された層の厚みは、20〜200nmである
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記抵抗性要素は、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン及びレニウムを含む群から選ばれた耐熱性の金属で作られている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記抵抗性要素は、フィラメント(21)である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記チャンバーは、前記チャンバー内に配置されて、前記処理用気体及び処理される当該物を加熱して当該物を均質的に炭化又は窒化する単一の抵抗性要素を有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記チャンバーは、前記チャンバー内に分布して、前記処理用気体及び処理される当該物を加熱して均質的に当該物を炭化又は窒化する複数の抵抗性要素を有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記処理用気体の少なくとも一部は、パイプの形態を呈しかつ流れる電流によって加熱される少なくとも1つの抵抗性要素の中を流れ、前記抵抗要素の開口を介して前記チャンバーに注入される
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジルコニアベースの物、特に、焼結された物、に関し、より詳細には、金属的な外観及び非ゼロの導電率を有する外表面を当該物に与えるように、その厚みの一部にて化学構造が変態されているものに関する。本発明は、さらに、このような物を、腕時計、装飾品又はこの種の製品を用いる高級品産業のための他の任意の物のような当該物の外装要素として使用することに関し、特に、腕時計のケース又は腕輪の構造用要素を作るために用いられるものに関する。最後に、本発明は、このような物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
あらゆる既知の材料のうち、金属は、高い機械的耐久性、高い靭性、導電性のような特定の非常に有利な特性のために、非常に広く用いられている。また、装飾用途においては金属特有の光沢が非常に多く求められている。しかし、金属の硬度はセラミックスよりも低く、このことは、多くの一般的な使用条件の下で、相当に大きく磨耗したり腐食したりしうる。例えば、金属材料を腕時計ケースやリストバンドのような計時器の外装要素を作るために用いる場合に相当に大きく磨耗したり腐食したりする。
【0003】
セラミックスを成形して磨いて、硬度、耐摩耗性及び耐腐食性が金属よりも相当に高い外装要素を得る方法が知られている。
【0004】
この種のジルコニアベースのセラミックス(ZrO2)の部品を変えて、金属よりも高い硬度、耐摩耗性及び耐腐食性を維持しつつ、灰色の色、白金の輝きに近い輝き及び非ゼロの表面導電率などの金属的な性質を与えるような既知の方法がある。この方法によって、部分的に還元されたZrO2コア及び金属的な外観を有する完成品又は半製品であるジルコニアベースの物を製造する。この方法は、
- 完成品又は半製品である形態にあらかじめ成形された少なくとも1つのジルコニアベースの物を用意するステップと、
- 当該物を、水素、中性気体及び微量の炭素の混合物によってプラズマが作られているチャンバー内に配置するステップと、及び
- 当該物における炭素原子を拡散させるために、当該物の平均温度がこれらの状態の下で約600〜1300℃となるように当該物をプラズマの近くに約15〜240分配置し続けるステップと
を有する。
【0005】
したがって、このような方法によって、金属の部品と比べて有利な特性を維持しつつ、金属的な外観及び特性を備えるような、すなわち、表面が輝いており導電性であるような、炭化ジルコニウムZrCの外側層を有するジルコニアベースの部品を作ることができる。
【0006】
したがって、好ましいことに、PVD、CVD又は他の堆積法による金属的な外観の薄い装飾性の膜のための堆積法と比べて、この炭化法によって発生する金属的な外観の外層は、部品のコアと一体化されており、この結果、この層を剥離のリスクがなく完全に接着させることができる。
【0007】
最後に、この方法によって、塊状のZrC部品を作る必要がなく、表面上では炭化ジルコニウムZrCの有利な特性を備える完成品又は準製品である部品を製造することができる。塊状のZrC部品には、可能性としては圧力を高くして、より高い温度での焼結法が必要になる。また、ZrCは、ZrO2よりも10%を超えて密度が高く、これによって、前記方法によって炭化されたZrO2部品は、塊状のZrCによって作られた同じ幾何学的構成の部品よりも軽い。最後に、ZrCがZrO2の硬さ(典型的には13GPa)よりもはるかに硬いので(典型的には25GPa)、塊状のZrC部品は、ZrO2で作られた同じ部品よりも、焼結させた後に機械加工して研磨するのがはるかに難しい。前記方法は、特に、ZrO2部品の機械加工及び研磨の後にZrC部品の表面を変態させることを可能にすることによって、これらの課題を克服する。
【0008】
この方法は、同様に金属的な外観、非ゼロの導電率及び完全な接着性を有するが色が金色に近い黄色であるような窒化ジルコニウムの層を得るように適合することができる。これを達成するために、水素、中性気体及び微量の窒素の混合物からプラズマを得る。
【0009】
しかし、用いられているプラズマ法には、すすを発生させるという課題がある。このすすは、汚く、摩耗させる性質を有すると考えられる。すすがプラズマ処理によって発生する粒子によって作られているからである。このようなすすの粒子は、すすが堆積するジルコニア部品を取り扱う際にそのジルコニア部品に害を与えることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、摩耗性のすすを形成せずに、プラズマ法によって得られる層と同様な審美的、電気的、機械的及び耐化学的な性質を有するような炭化ジルコニウム又は窒化ジルコニウムの層を表面の厚みにて形成することを可能にするような、ジルコニアベースの物を製造する方法を提供することによって、従来技術の課題を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このために、本発明は、金属的な外観及び非ゼロの表面導電率を有する完成品又は半製品であるジルコニアベースの物を製造する方法に関する。当該方法は、
完成品又は半製品の形態にあらかじめ成形された少なくとも1つのジルコニアベースの物を用意するステップと、
耐熱性の材料で作られて電流が流れる少なくとも1つの抵抗性要素、例えば、少なくとも1つのフィラメント、によって加熱される水素と、炭素又は窒素とによって作られた気体混合物を収容するチャンバー内に当該物を配置するステップと、及び
水素と、炭素又は窒素ベースの気体分子を解離させるように前記処理用気体を加熱して、加熱された気体を収容する前記チャンバー内に当該物を維持して、当該物を加熱して当該物における炭素/窒素の原子を拡散させるステップと
を有する。
【0012】
本発明に係る方法は、好ましくは、加熱する手段を用いる。これによって、処理される当該物を取り扱う際に引っ掻き傷を発生させることがあるすすの形成を防ぐ。
【0013】
第1の好ましい実施形態において、当該方法は、さらに、前記チャンバー内の前記処理用気体を加熱するステップの間、そして、当該実際の炭化/窒化の処理をするステップの間に、前記ジルコニアベースの物に含まれる酸素の表面の方への拡散及び解放を伴う。
【0014】
第2の好ましい実施形態において、当該方法は、さらに、前記チャンバー内の前記処理用気体を加熱するステップの前に、二水素が注入される第2のチャンバー内に当該物を配置して還元して、二水素と第2のチャンバー内に配置された当該物を加熱するステップを有し、これによって、二水素の解離、表面の方への拡散及び当該ジルコニアベースの物に含まれている酸素の解放を可能にする。
【0015】
第3の好ましい実施形態において、当該物の外表面上の変態された層の厚みは、約10〜1000nmである。
【0016】
第4の好ましい実施形態において、前記外表面の厚みは、20〜200nmである。
【0017】
第5の好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの抵抗性要素は、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン及びレニウムを含む群から選ばれた耐熱性の金属で作られている。
【0018】
第6の好ましい実施形態において、耐熱性の金属によって作られた前記少なくとも1つの抵抗性要素は、フィラメントである。
【0019】
第7の好ましい実施形態において、前記チャンバーは、前記チャンバー内に配置されて、処理用気体及び処理される物を加熱して均質的に処理する単一の抵抗性要素を有する。
【0020】
第8の好ましい実施形態において、前記チャンバーは、前記チャンバー内に分布して、処理用気体及び処理される物を加熱して均質的に処理する複数の抵抗性要素を有する。
【0021】
第9の好ましい実施形態において、前記処理用気体の少なくとも1つは、電流が流れることによって加熱された抵抗性要素を介して注入され、専用の注入系を介して前記抵抗性要素のまわりに前記処理用気体を注入するのではなく、前記抵抗性要素はその体積内において前記処理用気体を流すパイプのネットワークを有し、これによって、前記処理用気体の解離効率を増加させて、チャンバー内の抵抗性要素の構成の利点を享受して、前記反応性気体の注入によって当該物全体にわたって均質的に分配されることが確実になる。
【0022】
第10の実施形態において、前記処理用気体の少なくとも一部は、他の処理用気体と混合されて当該方法に必要な反応性の雰囲気を発生させるようにメインチャンバーに注入される前に、当業者に知られた任意の手段によって、別々に解離される。
【0023】
例(これに制限されない)としてのみ与えられる図面に示された本発明の少なくとも1つの実施形態についての下記の詳細な説明を読むことで、本発明に係るデバイスの目的、利点及び特徴を明確に理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る物を概略的に示している。
図2】本発明に係る方法を行うためのチャンバーを概略的に示している。
図3】本発明に係るチャンバーの内部のフィラメント構成を概略的に示している。
図4】本発明に係るチャンバーの内部のフィラメント構成を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
例えば、図1において、正方的な結晶構成(酸化ジルコニウムZrO2)を有するジルコニアベースの物1によって形成された開始物質が用意される。これは、白色であり、焼結のようなセラミックスで作られた物のための通常の製造技術によって作られる。
【0026】
この物1は、用いられる最終形状を有する完成品であることができ、例えば、既に鏡面研磨されており、腕時計の外装要素、例えば、腕時計バンドのリンク、を形成するように意図されている概して平行六面体の形の部品であることができる。もちろん、必要であれば、当該物は、半製品であることができ、当該物をその最終的な使用形態に適合させるために、後に機械加工操作を行うことができる。物1は、腕時計、装飾品又はこの種の外装要素を用いることがある高級品産業に関連する任意の物であることができる。
【0027】
図2に示すように、この物1は、チャンバー10内に入れられ、このチャンバー10内にて処理される。施される処理は、炭化又は窒化の処理である。本方法の基本的な特徴は、10〜1000nmのオーダーの小さな厚みにわたって当該物の表面を変態させて、図1に示す外側領域2のジルコニア(酸化ジルコニウム)が、金属的な外観を有する炭化/窒化ジルコニウムに変態されることである。したがって、特に当該物が摩耗しやすい状態になったときに、当該物の表面から取り除かれたり分離したりすることがある付加的なコーティングではなく、炭化/窒化ジルコニウムの構造に対応する新しい結晶構造へのジルコニア構造の表面改質が行われる。具体的には、炭化/窒化ジルコニウム構造を有する表面層の外側領域2は、表面から20〜200nmの深さまで及ぶ。
【0028】
炭化又は窒化の処理を行うために、チャンバー10には、水素と、炭素又は窒素とを含む気体が充填された雰囲気Aを収容しなければならず、加熱手段20がなければならない。この加熱手段によって、処理を活性化することができる。
【0029】
本発明によると、加熱手段は、少なくとも1つの抵抗性要素を有する。第1の実施形態において、この抵抗性要素は、耐熱性の金属によって作られたフィラメント21である。この耐熱性の金属は、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン及びレニウムを含む群から選ばれる。実際に、図3及び4にそれぞれ示すように、加熱手段20は、均質的に処理用の気体と処理される物とを加熱するために前記チャンバー内に配置された大きな単一のフィラメント21を有することができ、あるいは熱の均質な分布を確実にするように構成している複数の独立的なフィラメントを有することができる。
【0030】
一又は複数のフィラメントには、電流が流され、その結果、ジュール効果によってフィラメントの温度が上昇する。この温度の上昇は、一又は複数のフィラメントの温度が1500℃を超える温度に達するように構成していることが理想的である。
【0031】
チャンバー内の雰囲気の温度を上昇させることによって、当該ジルコニアベースの物の処理が行われる。実際に、このようにしてチャンバー内の雰囲気の温度が上昇することによって、気体の解離が発生して、水素H、炭素C又は窒素Nの原子が自由になり、当該ジルコニアベースの部品の温度が上昇する。熱と水素雰囲気の影響の下で、ジルコニアに含まれる酸素の一部が表面の方に拡散し、ジルコニアから解放される。
【0032】
このようにして酸素の一部が表面の方へと拡散することによる部品的なジルコニアの還元は、当該物の表面からコアへの炭素又は窒素の原子の拡散に付随するものである。実際に、熱の影響の下で、チャンバーの気体混合物から解離した炭素又は窒素の原子が、部的に還元されたジルコニア内で拡散する。この炭素又は窒素の原子の拡散によって、これらの原子と部的に還元されたジルコニアとが表面層において結合して、炭化ジルコニウム又は窒化ジルコニウムの層を得る。
【0033】
本発明に係る物の特徴の1つによると、この表面層には、部的に還元されたジルコニアコアと外側の炭化/窒化された領域の間に位置する遷移領域があり、この遷移領域は、ジルコニウムオキシカーバイド/ジルコニウムオキシナイトライドを含む。したがって、表面層の化学組成は、当該物の表面から測定される深さに応じて変化し、表面における化学量論的な炭化/窒化ジルコニウム(ZrC/ZrN)から、ジルコニウムオキシカーバイド/ジルコニウムオキシナイトライドを含む遷移領域へと連続的に変化し、そして、最終的に、準化学量論的な酸化ジルコニウム(還元されたジルコニア)の部分のコアへと、連続的に変化する。
【0034】
本発明の別の好ましい特徴によると、遷移領域におけるジルコニウムオキシカーバイド/ジルコニウムオキシナイトライドの炭素/窒素の含有量は、深さが深くなるにしたがって減少し、それらの酸素の含有量は、深さが深くなるにしたがって増加する。このように、遷移領域は、酸素の存在がZrOxxCy/ZrOxyタイプの化合物の形態で徐々に増加しつつ、炭素/窒素の含有量が物のコアの方になるにしたがって徐々に減少するような、ジルコニウムオキシカーバイド/ジルコニウムオキシナイトライドを含み、そして、徐々に、当該物のコアに達する。このコアは、本質的に、ZrO2-xタイプの部的に還元されたジルコニアによって形成されている。もちろん、これらの様々な領域の間の遷移は徐々に行われる。
【0035】
この方法によって得られた物は、セラミックスの特性、特に、非常に高い硬度及び耐摩耗性及び耐腐食性、を維持しつつ、いくつかの新規な特性、特に、非ゼロの表面の導電率、白金(炭化の場合)又はイエローゴールド(窒化の場合)に近い色、及び金属的な輝き、を獲得している。
【0036】
このように電流によって加熱された抵抗性要素を用いることによって、プラズマ法のようにすすを発生させないという利点がある。プラズマ法を用いるときに発生するすすは、汚く、摩耗性であり、これによって、すすで覆われた当該物を扱うと、当該物に引っ掻き傷を発生させることがある。
【0037】
第2の実施形態において、一又は複数の抵抗性要素は、抵抗性材料によって作られたパイプの形態であり、この中を本方法において用いる気体の少なくとも一部が流れ、第2の分配系によって本方法において用いる気体の残りを注入することができる。パイプに電流が流れると、チャンバー内の雰囲気、そして、前記パイプ内を流れる前記処理用気体の少なくとも一部を加熱し始める。前記パイプにおける開口によって、前記処理用気体をチャンバー内に解放/注入することが可能になる。
【0038】
この第2の実施形態によって、本方法において用いられる一又は複数の種類の気体の解離効率を向上させて、チャンバー内の抵抗性要素の構成を利用して、反応性気体の注入を分配させることによって全負荷にわたって均質的になることが確実になる。変形態様の1つにおいて、予備的なジルコニア還元ステップが行われる。この還元ステップは、炭化/窒化ステップの前に行われ、二水素H2が注入される雰囲気チャンバー内に当該物を配置することを伴う。チャンバー内の雰囲気は、当該物が温度上昇して、ジルコニアに含まれる酸素を当該物の表面の方に拡散させて、ジルコニアを残すように、加熱される。
【0039】
この還元ステップは、特定のチャンバー内で、又は炭化/窒化操作と同じチャンバー内で、行うことができる。この場合に、チャンバーは、チャンバー内の雰囲気の性質を変える手段を有する。
【0040】
添付の請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱せずに、当業者に明らかな様々な変更及び/又は改善及び/又は組み合わせを上記の本発明の様々な実施形態に対して行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ジルコニアベースの物
2 外表面
10 チャンバー
20 加熱手段
21 フィラメント
図1
図2
図3
図4