特許第6457599号(P6457599)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457599
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】連結器具
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20190110BHJP
【FI】
   H02G11/00 060
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-170783(P2017-170783)
(22)【出願日】2017年9月6日
(65)【公開番号】特開2018-42454(P2018-42454A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2017年10月18日
(31)【優先権主張番号】1615208.4
(32)【優先日】2016年9月7日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】502456404
【氏名又は名称】ウルトラ・エレクトロニクス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィル キーン
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−224115(JP,A)
【文献】 特開2007−100788(JP,A)
【文献】 特開平11−270574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
H02G 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アームと、
前記第1アームに対して運動できる第2アームと、
伝導体を外周に巻き付けて支持する連続した支持部を備え、前記第1アーム及び前記第2アーム内に収容される螺旋形の可撓性支持体と、を有する連結器具。
【請求項2】
前記螺旋形の可撓性支持体は、エラストマー材からなる請求項1に記載の連結器具。
【請求項3】
前記エラストマー材は、ネオプレンを含む請求項2に記載の連結器具。
【請求項4】
前記連続した支持部の両側には、前記伝導体が前記連続した支持部で支持された際に前記伝導体を所定の位置で保持するよう直立壁部を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の連結器具。
【請求項5】
前記第2アームは、互いに直交する2つの軸を中心に前記第1アームに対して軸回転する請求項1から4のいずれか1項に記載の連結器具。
【請求項6】
前記互いに直交する2軸は離れている請求項5に記載の連結器具。
【請求項7】
前記第1アームは第1収容部に収容される第1アーム端を有し、前記第2アームは第2収容部に収容される第2アーム端を有し、前記螺旋形の可撓性支持体はその第1端が前記第1アーム端に接続され、第2端が前記第2アーム端に接続される請求項1から6のいずれか1項に記載の連結器具。
【請求項8】
連結器具において伝導体を支持する支持体であって、その支持体は可撓材からなる略螺旋形部材を有し、
前記略螺旋形部材は、前記伝導体を外周に巻き付けて支持するものであり、両側に直立壁部を有する連続した支持部を有する支持体。
【請求項9】
前記可撓材はエラストマー材からなる請求項8に記載の支持体。
【請求項10】
前記エラストマー材は、ネオプレンを含む請求項9に記載の支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の発明は、伝導体やケーブル、ホース等の可撓性部材を誘導及び保護する連結器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一方の構造体が他方の構造体に対し可動である二つの構造体の間において、導電体やケーブル、水圧ホース等の可撓性部材を誘導する必要のある分野が多数存在する。例えば航空業界では、電気ケーブルから可動式制御面上の構成部品に電力を供給することが一般的な要求事項である。一方、自動車業界では、導電体を用いてドアやサイドミラー等の構成部品に電力を供給することが一般的な要求事項である。これらすべての分野において、伝導体は接続される構造体の反復動作に損傷を生じることなく耐え得るものでなくてはならないとともに、重量とコストの低減のため使用する伝導体の量を最小化しなくてはならない。
【0003】
伝導体を可動継手内に収容することにより必要可動域に対応するとともに、継手外の物体による損傷から伝導体を保護する解決策が創出されてきた。しかし、こうした解決策の多くは大きく複雑となる。よって、伝導体等の可撓性部材を誘導及び保護する小型かつシンプルな構造が求められている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第一実施形態においては、第1アームと、第1アームに対して運動できる第2アームと、伝導体を支持し、前記第1アーム及び前記第2アーム内に収容される螺旋形の可撓性支持体と、を有する連結器具が提供される。
【0005】
第一実施形態における連結器具は、可動継手を覆う部囲や周辺に設置される可撓伝導体を誘導及び保護するという課題への解決策として強固にして小型かつ軽量な連結器具を提供する。
【0006】
螺旋形の可撓性支持体は、エラストマー材から形成されてもよい。
【0007】
エラストマー材は、例えば、ネオプレンを含んでもよい。
【0008】
螺旋形の可撓性支持体は、伝導体を支持する連続した支持部を有し、その連続した支持部の両側には、伝導体を支持する際にその伝導体を所定の位置で保持するよう直立壁部を有してもよい。
【0009】
第2アームは、互いに直交する2つの軸を中心に第1アームに対して軸回転可能にしてもよい。
【0010】
互いに直交する2つの軸は離れていてもよい。
【0011】
第1アームは第1収容部に収容される第1アーム端を有し、第2アームは第2収容部に収容される第2アーム端を有し、螺旋形の可撓性支持体はその第1端が第1アーム端に取り付けられ、第2端が第2アーム端に取り付けられていてもよい。
【0012】
本発明の第二実施形態においては、連結器具において伝導体を支持する支持体であって、可撓材からなる略螺旋形部材を有し、その略螺旋形部材は両側に直立壁部を有する連続した支持部を有する支持体が提供される。
【0013】
可撓材は、エラストマー材からなってもよい。
【0014】
エラストマー材は、例えば、ネオプレンを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、連結器具の概略斜視図である。
図2図2は、図1に示す連結器具の外側収容部が外された状態を示す概略斜視図である。
図3図3は、図1及び図2に示す連結器具において第1アーム、第2アームが同軸上に並んだ状態を示す概略断面図である。
図4図4は、図1及び図2に示す連結器具において第1アームが第2アームに対して角度が付けられた曲げ状態を示す更なる概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
最初に図1を参照する。連結器具の全体が100で表される。以下に記される実施例及び添付の図面において、連結器具100は1組の可撓性伝導体を誘導及び保護するが、当業者は、本願で説明される原理が、例えばケーブル、空気式及び油圧式ホースや光ファイバーケーブル等その他の種類の可撓性部材にも適用可能であることを理解できる。
【0017】
連結器具100は、外側収容部を有し、その外側収容部は、第1収容部120、第2収容部140、中間収容部160を有する。中間収容部160は、第2収容部140が第1収容部120に対して軸回転可能なよう第1収容部120を第2収容部140に連結する。第1収容部120内には略中空状の第1アーム端180が配置され、第2収容部内140には略中空状の第2アーム端200が配置される。第1収容部120及び第1アーム端180が連結器具100の第1アームを構成し、第2収容部140及び第2アーム端200が連結器具100の第2アームを構成する。
【0018】
図2に明示されるように、第1アーム端180に支持体220の第1端が取り付けられ、第2アーム端200に支持体220の第2端が取り付けられている。支持体220は、1又は複数の伝導体240を支持するが、図においては3つ一組の伝導体を例示している。連結器具100が組み立てられると、支持体220及び支持体220に支持された伝導体240は第1収容部120、第2収容部140内に収容、保護されて中間収容部160を通過する。
【0019】
支持体220は、略螺旋形状であり、例えばエラストマー材等の可撓材から形成される。螺旋形の可撓性支持体220の材料としては、エラストマーとしての特性を有し、化学薬品への耐性を有することからネオプレンが好適であるが、連結器具100の具体的な用途における条件を満たすものであれば、いかなる可撓材でも螺旋形の可撓性支持体220に利用できる。
【0020】
図3図4に断面図で図示されるように、螺旋形の可撓性支持体220は、両側に直立壁部224、226が配置された連続中央支持部222を有する。直立壁部224、226は、伝導体240が連続中央支持部222で支持された際に伝導体240が連続中央支持部222の端から滑り落ちるのを防止し伝導体を所定の位置で保持する。
【0021】
図1に戻ると、第1収容部120、第2収容部140、中間収容部160は自在継手として例示されている。この構造により、第1収容部120が互いに直交する2つの軸を中心に第2収容部140に対して軸回転可能となる。
【0022】
第1収容部120は、中空の円筒形状を有する。第1突出部122が第1収容部120の第1端の外方向に延在し、第2突出部124が第1収容部120の第1端の外方向に延在する。第1突出部122と第2突出部124との間に中間収容部160を収容可能な空間が形成されるよう、第1突出部122と第2突出部124とが周方向に約180度離れた状態で、第2突出部124は第1突出部122の反対側に配置される。このため、中間収容部160の第1取付ピン、第2取付ピンの取り付け用に、第1突出部122は取付穴126を有し、第2突出部124は取付穴128(図1に図示されていない)を有する。
【0023】
第2収容部140は第1収容部120と略同一で、中空の円筒形状を有し、外方向に延在し中間収容部160を収容可能な空間が形成されるよう互いに離れた位置にある第1突出部142、第2突出部144(第2突出部144は図1に図示されていない)を有する。このため、中間収容部160の第3取付ピン、第4取付ピンの取り付け用に、第1突出部142は取付穴146を有し、第2突出部144は取付穴148(図1に図示されていない)を有する。
【0024】
中間収容部160は、中空リング162の形状を有し、その中空リング162の第1側から外方向に向け第1方向に沿って延在する第1突出部164、第2突出部166を有する。第1突出部164、第2突出部166は、リング162上で周方向に約180度離れており、各突出部164、166には、第1収容部120の第1突出部122の取付穴126、第2突出部124の取付穴128に取り付け可能な取付ピン168がそれぞれ取り付けられている。
【0025】
中間収容部160は、中空リング162の第2側から外方向に向け第1方向とは反対の第2方向に沿って延在する第3突出部170、第4突出部172(図1に図示されていない)も有する。第3突出部170、第4突出部172は、リング162上で周方向に約180度離れており、各突出部170、172には、第2収容部140の第1突出部142の取付穴146、第2突出部144の取付穴148に取り付け可能な取付ピン174がそれぞれ取り付けられている。
【0026】
図1に示されるように、第1収容部120、第2収容部140が中間収容部160に取り付けられた際、第2収容部140が第1収容部120に対して約90度の範囲で軸回転可能なように第3突出部170及び第4突出部172は、第1突出部164及び第2突出部166とは約90度離れている。
【0027】
第1収容部120、第2収容部140、中間収容部160の上記構成により、第1収容部120及び第2収容部140は互いに直交する2つの軸、すなわち、第1収容部120の取付穴126、128の中央を通過する第1軸、第2収容部140の取付穴146、148の中央を通過する第2軸を中心に軸回転可能となる。図1に示されるように、中間収容部160の第1突出部164、第2突出部166は、第3突出部170、第4突出部172と反対の方向に延在するため、第1軸、第2軸は互いに離れている。連結器具100が第1軸、第2軸を中心に一定の角度内で移動するため、連結器具100内に螺旋形の可撓性支持体220の為の十分な経路が確保される。
【0028】
螺旋形の可撓性支持体220は、曲がったり、延びたり、縮んだりできるため、図3、4を参照して以下に説明するように、保持する伝導体に負荷を加えることなく、第1収容部120、第2収容部140の軸回転に適応できる。
【0029】
図3は、ほぼ直線状態にある連結器具100を示した概略断面図である。図示されるように、直線状態においては螺旋形の可撓性支持体220もほぼ直線状態であり、鎖線260で示された、例えば、約50mmの第1長さを有する。
【0030】
図4は、連結器具100の曲げ状態を示す概略断面図であり、第2収容部140を第2軸を中心に軸回転させることで、第1収容部120が第2収容部140に対して角度を付けられている。図示された曲げ状態では(連結器具100がその中央軸を中心に図3に示された状態から180度回転させている)、螺旋形の可撓性支持体220は曲がり、第1長さ260よりも短く、鎖線280で示された第2長さを有する(例えば、第2長さは約49.1mm、第1長さは約50mm)。第2長さが第1長さよりも短くなるのは、螺旋形の可撓性支持体220が、連結器具100の曲げ状態に対応するよう曲がるため、収縮するのが原因である。
【0031】
上述の説明および添付図面において、連結器具100は、第1収容部120、第2収容部140、中間収容部160からなる自在継手として例示した。しかし、これまで説明した原理が第1アームとその第1アームに対して動作する第2アームとを有する別の構成の連結器具に等しく適用できることは、当業者に理解できる。
【0032】
例えば、連結器具は、1軸を中心に動くように連結された第1アームと第2アームを有していてもよい。1軸を中心にした動作は、第2アームが第1アームに対して1軸を中心に軸回転できるように、中間部材を第1アームと第2アームと両方に連結することで可能となる。
【0033】
同様に、連結器具が中間部材を有することなく、第1アームと第2アームが軸回転したり別の動作(例えば、1つのアームが別のアームに対して伸縮動作する並進動作)をしたりするよう直接互いに連結されてもよい。
【0034】
さらに、これまでに説明した原理は、例えば、第1アーム、第2アームの連結に波形または蛇腹状の可撓性ホース等の可撓性中間部材を利用することで、第2アームが第1アームに対して複数軸を中心に軸回転可能な連結器具にも同様に適用可能である。
【0035】
これまでに説明した連結器具は、複数の異なる軸まわりの動作を取り入れることで、可動継手の覆う部囲や周辺に設置される可撓伝導体を誘導及び保護するという課題への解決策として強固にして小型かつ軽量な連結器具を提供する。
図1
図2
図3
図4