(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピクセル回路部は、前記第1発光領域と重畳して配置され、前記第2発光領域と重畳しないように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、視野角、コントラスト、応答速度、消費電力などの特性に優れるため、MP3プレーヤーや携帯電話などの個人用携帯器機からテレビ(TV)に至るまで応用範囲が広がりつつある。
【0003】
かかる有機発光表示装置は自発光特性を持ち、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、以下、「LCD」と称する)とは異なって別途の光源を必要としないので、厚さ及び重量を低減させることができる。
【0004】
また、有機発光表示装置は、装置内部の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、「TFT」と称する)や有機発光素子を透明な形態にすることで、透明表示装置として形成することができる。
【0005】
ところが、かかる透明表示装置では、スイッチオフ状態である時、反対側に位置している物体またはイメージが、有機発光素子だけでなく、TFT及び複数の配線などのパターン、ならびにこれらの間の空間を透過してユーザに伝達されるが、たとえ透明表示装置であるとしても、上述した有機発光素子、TFT、及び配線自体の透過率があまり高くなく、これらの間の空間も非常に小さいため、ディスプレイ全体の透過率は高くない。
【0006】
また、上述したパターン、すなわち、有機発光素子、TFT、及び配線のパターンによ
って、ユーザは歪曲されたイメージを伝達される。これは、前記パターン間の間隔が数百
nmレベルであるため、可視光波長と同一レベルになって透過された光の散乱を引き起こ
すからである。
【0007】
一方、有機発光表示装置は、LCDに比べれば、両面発光装置としても具現できる。ところが、既存の両面発光装置の場合、両面で同じイメージが具現されるため、一面に具現される画像は他面に具現される画像に対して左右が逆になるという限界がある。
【0008】
これ以外に、独立した有機発光表示装置を2つ製作し、これを互いに当接させて両面ディスプレイを具現する場合もあるが、この場合には透明表示装置を具現できないという限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、透過領域での透過率が向上されて透明であると共に、両面発光の可能な有機発光表示装置を提供するところにその目的がある。
【0011】
本発明の他の目的は、透過光の散乱を抑制して透過イメージの歪曲現象が防止された透明な有機発光表示装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、第1有機発光素子を含む第1発光領域と、前記第1発光領域と重畳せずに前記第1発光領域に隣接して位置し、第2有機発光素子を含む第2発光領域と、前記第1有機発光素子及び前記第2有機発光素子と電気的に連結されたピクセル回路部と、前記第1発光領域及び前記第2発光領域と重畳せずに前記第1発光領域及び前記第2発光領域に隣接して位置し、外光が透過するように構成された透過領域と、を備える有機発光表示装置を提供する。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、前記ピクセル回路部は、前記第1発光領域と重畳して配置され、前記第2発光領域と重畳しないように配置されている。
【0014】
本発明の他の特徴によれば、前記第1有機発光素子は、光を反射するように構成された第1ピクセル電極を含む。
【0015】
本発明の他の特徴によれば、前記第2有機発光素子は、光を透過するように構成された第2ピクセル電極を含む。
【0016】
本発明の他の特徴によれば、前記ピクセル回路部は、前記第1有機発光素子と前記第2有機発光素子とを独立して駆動する。
【0017】
本発明の他の特徴によれば、前記ピクセル回路部は、前記第1有機発光素子に電気的に連結された第1発光TFTと、前記第2有機発光素子に電気的に連結された第2発光TFTと、を備える。
【0018】
本発明の他の特徴によれば、前記ピクセル回路部にデータ信号、スキャン信号、及び電源をそれぞれ供給するデータライン、スキャンライン、及び電源ラインをさらに備え、前記ピクセル回路部は、第1TFT、第2TFT、及びキャパシタを備え、前記第1TFTのゲート電極は前記スキャンラインに電気的に連結され、前記第1TFTの第1電極は前記データラインに電気的に連結され、前記第1TFTの第2電極は前記第2TFTのゲート電極及び前記キャパシタに電気的に連結され、前記第2TFTの第1電極は前記電源ライン及び前記キャパシタに電気的に連結され、前記第2TFTの第2電極は前記第1及び第2発光TFTに電気的に連結される。
【0019】
本発明の他の特徴によれば、前記第1発光TFTの第1電極は前記第2TFTに電気的に連結され、前記第1発光TFTの第2電極は前記第1有機発光素子に電気的に連結され、前記第2発光TFTの第1電極は前記第2TFTに電気的に連結され、前記第2発光TFTの第2電極は前記第2有機発光素子に電気的に連結される。
【0020】
本発明の他の特徴によれば、前記第1有機発光素子と前記第2有機発光素子とは、同じ色相の光を発光する。
【0021】
本発明の他の特徴によれば、前記透過領域に位置する透視窓をさらに備える。
【0022】
上記目的を達成するために、本発明はまた、基板と、前記基板上に形成され、それぞれ発光する第1及び第2発光領域と、外光を透過する透過領域と、ピクセル回路部とをそれぞれ備える複数のピクセルと、前記各ピクセルの第1発光領域に配置されて前記ピクセル回路部と電気的に連結され、透明導電膜及び反射膜をそれぞれ含む複数の第1ピクセル電極と、前記各ピクセルの第2発光領域に配置されて前記ピクセル回路部と電気的に連結され、かつ前記第1ピクセル電極と分離され、透明導電膜または半透過導電膜をそれぞれ含む複数の第2ピクセル電極と、前記第1ピクセル電極と対向する第1対向電極と、前記第2ピクセル電極と対向する第2対向電極と、前記第1ピクセル電極と前記第1対向電極との間に配置され、第1発光層を含む第1有機膜と、前記第2ピクセル電極と前記第2対向電極との間に配置され、第2発光層を含む第2有機膜と、を備える有機発光表示装置を提供する。
【0023】
本発明の他の特徴によれば、前記第1対向電極と前記第2対向電極とは電気的に連結されている。
【0024】
本発明の他の特徴によれば、前記第1対向電極は、光を透過するように形成されている。
【0025】
本発明の他の特徴によれば、前記第2対向電極は、光を反射するように形成されている。
【0026】
本発明の他の特徴によれば、前記第1対向電極及び前記第2対向電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Yb、及びこれらの合金からなる群から選択された少なくとも1つの金属を含む。
【0027】
本発明の他の特徴によれば、前記各ピクセル回路部は、前記第1ピクセル電極と重畳して配置され、前記第2ピクセル電極と重畳しないように配置されている。
【0028】
本発明の他の特徴によれば、前記各ピクセル回路部は、前記第1ピクセル電極に電気的に連結された第1発光TFTと、前記第2ピクセル電極に電気的に連結された第2発光TFTと、を備える。
【0029】
本発明の他の特徴によれば、前記ピクセル回路部にデータ信号、スキャン信号、及び電源をそれぞれ供給するデータライン、スキャンライン、及び電源ラインをさらに備え、前記ピクセル回路部は、第1TFT、第2TFT、及びキャパシタを備え、前記第1TFTのゲート電極は前記スキャンラインに電気的に連結され、前記第1TFTの第1電極は前記データラインに電気的に連結され、前記第1TFTの第2電極は前記第2TFTのゲート電極及び前記キャパシタに電気的に連結され、前記第2TFTの第1電極は前記電源ライン及び前記キャパシタに電気的に連結され、前記第2TFTの第2電極は前記第1及び第2発光TFTに電気的に連結される。
【0030】
本発明の他の特徴によれば、前記第1発光TFTの第1電極は前記第2TFTに電気的に連結され、前記第1発光TFTの第2電極は前記第1ピクセル電極に電気的に連結され、前記第2発光TFTの第1電極は前記第2TFTに電気的に連結され、前記第2発光TFTの第2電極は前記第2ピクセル電極に電気的に連結される。
【0031】
本発明の他の特徴によれば、前記各ピクセル回路部は、前記第1ピクセル電極に電気的に連結された第1ピクセル回路部と、前記第2ピクセル電極に電気的に連結され前記第1ピクセル回路部と独立して動作する第2ピクセル回路部と、を備える。
【0032】
本発明の他の特徴によれば、前記第1ピクセル回路部及び前記第2ピクセル回路部は、前記第1発光領域と重畳して配置され、前記第2発光領域と重畳しないように配置されている。
【0033】
本発明の他の特徴によれば、前記複数のピクセルのうち互いに隣接している少なくとも2個のピクセルの前記透過領域は、一体的に形成されている。
【0034】
本発明の他の特徴によれば、前記各透過領域に位置する複数の透視窓をさらに備える。
【0035】
本発明の他の特徴によれば、前記複数のピクセルのうち互いに隣接している少なくとも2個のピクセルの前記透視窓は、一体的に形成されている。
【0036】
本発明の他の特徴によれば、前記第2対向電極は、光を反射する金属膜を含み、前記金属膜は、前記第1発光領域及び前記透視窓に対応する開口を含む。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、外光に対する透過率を高めて透明な有機発光表示装置を具現すると共に両面発光が可能になる。
【0038】
また、透過光の散乱を抑制して透過イメージの歪曲現象が防止された透明な有機発光表示装置が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付した図面を参照して、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明する。
【0041】
図1は、本発明の一実施形態による有機発光表示装置を示す断面図である。
【0042】
図1を参照すれば、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置2は、基板1の第1面11に形成された有機発光部21と、この有機発光部21を密封する密封基板23と、を備える。
【0043】
密封基板23は、透明な部材により形成され、有機発光部21からの画像を具現させ、有機発光部21への外気及び水分の浸透を遮断する。
【0044】
基板1及び密封基板23は、そのエッジが密封材24によって結合され、基板1と密封基板23との間の空間25が密封される。後述するように、空間25には、除湿剤や充填材などが配置される。
【0045】
なお、本発明の他の実施形態による有機発光表示装置2’では、密封基板23の代りに、
図2に示したように、薄膜の密封フィルム26を有機発光部21上に形成することで有機発光部21を外気から保護する。密封フィルム26は、酸化シリコンまたは窒化シリコンなどの無機物からなる膜と、エポキシ、ポリイミドなどの有機物からなる膜とが交互に成膜された構造を採用できるが、必ずしもこられに限定されるものではなく、透明な薄膜状の密封構造ならば、いかなるものでも適用できる。
【0046】
図3は、
図1または
図2の有機発光部21の一例を示す概略図であり、互いに隣接している赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg、及び青色ピクセルPbを示す平面図である。
【0047】
各赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg、及び青色ピクセルPbは、第1発光領域PA1と第2発光領域PA2と透過領域TAとを有する。
【0048】
各ピクセルPr,Pg,Pbで、第1発光領域PA1、第2発光領域PA2、及び透過領域TAが
図3の縦方向に互いに隣接して順次に配列できるが、その配列順序は多様に変わり得るということはいうまでもない。例えば、透過領域TAが最上部または中間部に配列されてもよい。
【0049】
図3に示したように、各第1発光領域PA1内には、ピクセル回路部PCが備えられている。たとえ
図3には示されていないとしても、ピクセル回路部PCに連結される各種配線は、第1発光領域PA1を通るように配置されるか、または第1発光領域PA1に隣接して配置される。
【0050】
図4は、
図3のピクセル回路部PCの一例を示す回路図である。
【0051】
図4を参照すれば、スキャンラインS、データラインD、及び駆動電源であるVddラインVがピクセル回路部PCに電気的に連結される。図面に図示していないが、ピクセル回路部PCの構成によって、スキャンラインS、データラインD、及びVddラインV以外にもさらに多様な導電ラインが備えられ得る。
【0052】
ピクセル回路部PCは、スキャンラインS及びデータラインDに連結された第1TFTT1と、第1TFTT1及びVddラインVに連結された第2TFTT2と、第1TFTT1及び第2TFTT2に連結されたキャパシタCstと、を備える。
【0053】
第1TFTT1のゲート電極はスキャンラインSに連結されてスキャン信号を受け、第1電極はデータラインDに、第2電極はキャパシタCst及び第2TFTT2のゲート電極に連結される。
【0054】
第2TFTT2の第1電極は、VddラインV及びキャパシタCstに連結され、第2電極は、第1発光TFTT3及び第2発光TFTT4の第1電極にそれぞれ連結される。
【0055】
この時、第1TFTT1は、スイチングトランジスタになり、第2TFTT2は、駆動トランジスタになる。
【0056】
第1発光TFTT3の第2電極は第1有機発光素子E1と電気的に連結され、第2発光TFTT4の第2電極は第2有機発光素子E2と電気的に連結されている。したがって、
図3及び
図4を参照すれば、第1発光TFTT3の第2電極は第1ピクセル電極221と電気的に連結され、第2発光TFTT4の第2電極は第2ピクセル電極222と電気的に連結されている。
【0057】
第1発光TFTT3と第2発光TFTT4のゲート電極とは、それぞれ別途の発光信号ラインに電気的に連結されている。
【0058】
図4で、TFT(T1〜T4)はいずれもP型に図示されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、少なくとも1つがN型に形成されてもよい。また、上記のようなTFT及びキャパシタの数は、必ずしも図示された実施形態に限定されるものではなく、ピクセル回路部PCによって2以上のTFT、1以上のキャパシタがさらに組み合わせられてもよい。
【0059】
本発明の一実施形態において、上記のようなピクセル回路部PCは、第1発光領域PA1と重畳して配置され、第2発光領域PA2とは重畳しないように配置される。
【0060】
各第1発光領域PA1は、後述するように各サブピクセルで前面発光が行われる領域になるが、このように前面発光が行われる領域内にピクセル回路部PCが位置し、透過領域TAには、透過率を阻害する最大の要素のうちの1つであるピクセル回路部PCの導電パターンが位置しないため、透過領域TAの透過率はさらに高くなる。
【0061】
すなわち、ピクセル回路部PCは、第1ピクセル電極221により遮蔽される(隠される)ように第1ピクセル電極221と重畳して配置され、各第2ピクセル電極222とは重畳しないように配置される。
【0062】
そして、上述したスキャンラインS、データラインD、及びVddラインVを含む導電ラインのうち少なくとも1つがいずれも第1ピクセル電極221と交差するように配置される。もちろん、これらの導電ラインは、ピクセル回路部PCに比べて透過率を阻害する割合が少ないため、設計条件によっては、いずれも第1ピクセル電極221に隣接して配置させる。第1ピクセル電極221は、後述するように光を反射することができる導電性金属からなる反射膜を含むので、ピクセル回路部PCを遮蔽する役割を果たす。
【0063】
各第2発光領域PA2は、各サブピクセルで背面発光が行われる領域になるが、このように背面発光が行われる領域内にピクセル回路部PCが位置しないため、ピクセル回路部PCが遮蔽されることで背面発光の発光効率が阻害されるという問題を解消できる。
【0064】
一方、上記のようなピクセル回路部PCの構成によって、データラインDを通じて入力された画像イメージ情報は、第1発光TFTT3が開かれた場合には第1有機発光素子E1で具現され、第2発光TFTT4が開かれた場合には第2有機発光素子E2で具現されて、第1有機発光素子E1と第2有機発光素子E2とが相異なるイメージを具現できる。したがって、時分割駆動を通じて前面発光になる面と、背面発光になる面との画像が互いにミラー像に反転されて見えないように両面発光を具現してもよい。もちろん、同じデータ信号を供給した状態で第1発光TFTT3と第2発光TFTT4とに同じスイチング信号を印加する場合には、前面及び背面で反転されたミラー像のイメージが見られる。このようにピクセル回路部PCは、第1有機発光素子E1と第2有機発光素子E2とがピクセル回路部の基本的な構成を共有した状態で、多様な画面具現を可能にする。
【0065】
上記のようなピクセル回路部PCは、
図5に示したように、第1ピクセル電極221に電気的に連結された第1ピクセル回路部PC1、及び第2ピクセル電極222に電気的に連結された第2ピクセル回路部PC2で構成され、第1ピクセル回路部PC1と第2ピクセル回路部PC2とは、それぞれ互いに独立して動作するものであってもよい。この時、第1ピクセル回路部PC1及び第2ピクセル回路部PC2は、一般的なピクセル回路部の構成をそのまま採用できる。
【0066】
一方、透過領域TAは、
図3及び
図5に示したように、各赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg、及び青色ピクセルPb別に分離して形成されるが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、
図6に示したように、各赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg、及び青色ピクセルPbが単一の透過領域TAを有するようにできる。この場合には、透過領域TAの面積が広くなるため、外光透過率をさらに高めることができる。
【0067】
図7は、有機発光部の1ピクセルの一例を示す断面図である。
【0068】
図7に示したように、本発明の一実施形態によれば、基板1の第1面11上にバッファ膜211が形成され、このバッファ膜211上に第1発光TFTT3及び第2発光TFTT4が形成される。
図7には、第1発光TFTT3及び第2発光TFTT4のみ図示されているが、上述したピクセル回路部がいずれも形成される。
【0069】
まず、バッファ膜211上に、第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bが形成される。
【0070】
バッファ膜211は、不純元素の浸透を防止して表面を平坦化する役割を果たすものであり、このような役割を果たし得る多様な物質で形成される。一例として、バッファ膜211は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、もしくは窒化チタンなどの無機物やポリイミド、ポリエステル、アクリルなどの有機物、またはこれらの積層体で形成される。バッファ膜211は、必須構成要素ではなく、必要に応じては備えられなくてもよい。
【0071】
第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bは多結晶シリコンで形成されるが、必ずしもこられに限定されるものではなく、酸化物半導体で形成されてもよい。例えば、G−I−Z−O層[(In
2O
3)a(Ga
2O
3)b(ZnO)c層](a、b、cは、それぞれa≧0、b≧0、c>0の条件を満たす整数)であり得る。
【0072】
第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bを覆うように、ゲート絶縁膜213がバッファ膜211上に形成され、ゲート絶縁膜213上に第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bが形成される。
【0073】
第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bを覆うように、ゲート絶縁膜213上に層間絶縁膜215が形成され、この層間絶縁膜215上に第1ソース電極216aと第1ドレイン電極217a、及び第2ソース電極216bと第2ドレイン電極217bが形成され、それぞれ第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bと、コンタクトホールを通じてコンタクトされる。
【0074】
図7によれば、スキャンラインSは、第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bの形成と同時に形成される。そして、データラインD及びVddラインVは、第1ソース電極216a及び第2ソース電極216bの形成と同時に形成される。
【0075】
上記のような第1発光TFTT3及び第2発光TFTT4の構造は必ずしもこられに限定されるものではなく、多様な形態のTFTの構造が適用できるということはいうまでもない。
【0076】
このような第1発光TFTT3及び第2発光TFTT4を覆うようにパッシベーション膜218が形成される。パッシベーション膜218は、単一または複数層の絶縁膜であり得る。このパッシベーション膜218は、無機物及び/または有機物で形成される。
【0077】
パッシベーション膜218上には、
図7に示したように、第1発光TFTT3及び第2発光TFTT4を遮蔽するように第1ピクセル電極221が形成され、この第1ピクセル電極221は、パッシベーション膜218に形成されたビアホールによって第1発光TFTT3の第1ドレイン電極217aに連結される。
【0078】
そして、パッシベーション膜218上には、第1ピクセル電極221に隣接して第2ピクセル電極222が形成される。第1ピクセル電極221と第2ピクセル電極222とは互いに分離された構造を採り、第2ピクセル電極222は、パッシベーション膜218に形成されたビアホールによって第2発光TFTT4の第2ドレイン電極217bに連結される。
【0079】
パッシベーション膜218上には、第1ピクセル電極221及び第2ピクセル電極222のエッジを覆うように画素定義膜219が形成される。
【0080】
第1ピクセル電極221上には第1有機膜223が形成され、第1有機膜223を覆うように第1対向電極224が形成される。
【0081】
第2ピクセル電極222上には第2有機膜223’が形成され、第2有機膜223’を覆うように第2対向電極225が形成される。
【0082】
第1対向電極224及び第2対向電極225は、
図7に示したように、互いに電気的に連結される。
【0083】
第1有機膜223及び第2有機膜223’には、同じ物質が使われる。第1有機膜223及び第2有機膜223’には、低分子または高分子有機膜が使われる。低分子有機膜を使う場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq
3)などを含めて多様に適用できる。これらの低分子有機膜は、真空蒸着法で形成される。この時、発光層は、赤色、緑色、青色の画素ごとに独立されるように形成され、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、及び電子注入層などは共通層であり、赤色、緑色、青色の画素に共通に適用される。
【0084】
第1ピクセル電極221及び第2ピクセル電極222はアノード電極の機能を有し、第1対向電極224及び第2対向電極225はカソード電極の機能を有するが、もちろん、これらの第1ピクセル電極221及び第2ピクセル電極222と、第1対向電極224及び第2対向電極225との極性は互いに逆になってもよい。
【0085】
第1ピクセル電極221は、ピクセルごとに第1発光領域PA1に対応するサイズに形成される。そして、第2ピクセル電極222は、ピクセルごとに第2発光領域PA2に対応するサイズに形成される。
【0086】
第1対向電極224及び第2対向電極225は、有機発光部全体のあらゆるピクセルに対して共通の電圧が印加される。
【0087】
パッシベーション膜218、ゲート絶縁膜213、層間絶縁膜215、及び画素定義膜219は、透明な絶縁膜で形成することが望ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。この時、基板1は、絶縁膜が有する全体的な透過率より小さいか、またはそれと同じ透過率を有する。
【0088】
図8Aは、上記の第1発光領域PA1の第1有機発光素子の一例をさらに具体的に示す概略断面図であり、
図8Bは、第2発光領域PA2の第2有機発光素子の一例をさらに具体的に示す概略断面図である。
【0089】
本発明の一実施形態によれば、第1ピクセル電極221は反射膜を含む電極になり、第1対向電極224は半透過半反射電極になる。したがって、第1発光領域PA1は、第1対向電極224の方向に画像を具現する前面発光型になる。
【0090】
このように第1ピクセル電極221が反射型電極として備えられる場合、その下部に配されたピクセル回路部は第1ピクセル電極221によって遮蔽された状態になり、これによって
図7をみれば、第1対向電極224の上部外側から、ユーザは、第1ピクセル電極221の下部の第1発光TFTT3及び第2発光TFTT4の各パターンを観察できなくなる。
【0091】
また、このように第1ピクセル電極221が反射電極として備えられることで、発光された光が観察者側にのみ放出されるので、観察者の反対側に失われる光量を低減させることができる。
【0092】
一方、第2ピクセル電極222は透明電極として備えられ、第2対向電極225は反射電極になる。したがって、第2発光領域PA2は、製2ピクセル電極222の方向に画像を具現する背面発光型になる。
【0093】
第1ピクセル電極221は、第1透明導電膜221a、反射膜221b、及び第2透明導電膜221cの積層体で形成される。第1透明導電膜221a及び第2透明導電膜221cは、仕事関数の高いITO、IZO、ZnO、またはIn
2O
3などからなる。反射膜221bは、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Yb、またはこれらの化合物などからなる。
【0094】
かかる第1ピクセル電極221上に、第1機能層223a、第1発光層223b、及び第2機能層223cが積層された第1有機膜223が形成され、この第1有機膜223上に第1対向電極224が形成される。
【0095】
第1機能層223aは、ホール注入層及びホール輸送層を含み、第2機能層223cは、電子注入層及び電子輸送層を含む。
【0096】
第1対向電極224は、仕事関数の小さな金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Yb、またはこれらの合金などからなる。第1対向電極224は、高透過率のために薄膜で形成するのが望ましいが、その厚さは100〜300Åに形成できる。
【0097】
この時、反射膜221bの表面と第1対向電極224との間の距離は、第1発光層223bで発光する光の波長について、光学的共振をなすように調節される。したがって、この距離は赤色、緑色、及び青色画素別に異なる。この光学的共振を引き起こす距離を合わせるために、第1機能層223a及び/または第2機能層223cには、画素の色相別に厚さを異ならせる補助層をさらに形成する。
【0098】
かかる構成の第1発光領域PA1は、第1対向電極224の方向に画像を具現する前面発光型になり、光学的共振を引き起こす距離を合わせることで光抽出効率を極大化する。
【0099】
一方、第2ピクセル電極222は、上述したように反射膜のない透明導電物のみからなる。したがって、第1ピクセル電極221の第1透明導電膜221a及び第2透明導電膜221cのうち少なくとも1つと同時に形成される。しかし、本発明は必ずしもこられに限定されるものではなく、
図8Cに示したように、第2ピクセル電極222’は、第1透明導電膜222a、反射膜222b、及び第2透明導電膜222cの積層体で形成され得る。第1透明導電膜222a及び第2透明導電膜222cは、仕事関数の高いITO、IZO、ZnO、またはIn
2O
3などからなる。反射膜222bは、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Yb、またはこれらの化合物からなるが、薄膜に形成して半透過特性を有するようにする。第2ピクセル電極222の第1透明導電膜222a、反射膜222b、及び第2透明導電膜222cは、上述した第1ピクセル電極221の第1透明導電膜221a、反射膜221b、及び第2透明導電膜221cとそれぞれ同時に形成される。
【0100】
このような第2ピクセル電極222上に、第3機能層223a’、第2発光層223b’、及び第4機能層223c’が積層された第2有機膜223’が形成され、この有機膜223’上に第2対向電極225が形成される。第3機能層223a’及び第4機能層223c’は、第1機能層223a及び第2機能層223cから延設される。第2発光層223b’も第1発光層223bと同じ色相である場合、第1発光層223bから延設される。
【0101】
第2発光領域PA2は、第2ピクセル電極222の方向に画像を具現する背面発光型になるので、第2対向電極225は、半透過膜225a及び金属膜225bを含む。半透過膜225aは、第1対向電極224と同一物質からなり、第1対向電極224から延設されたものであり得る。金属膜225bは、半透過膜225a上に積層して反射膜としての機能を有する。金属膜225bは、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、Yb、またはこれらの合金などからなるが、その厚さを半透過膜225aに比べて厚くして、第2有機膜223’から放出された光の反射率を高め、対向電極全体の電圧降下を低減させる。金属膜225bは、
図8Dに示したように、半透過膜225aの形成前に形成されてもよいが、この場合、第2対向電極225は、金属膜225bと半透過膜225aとが順次に積層された積層体になる。
【0102】
これらの構造で、第2対向電極225の半透過膜225aは、第1対向電極224と一体に形成される。
【0103】
第2対向電極225は必ずしもこれらに限定されるものではなく、
図8Eに示したように、必要に応じて金属膜225bのみで形成されてもよい。
【0104】
これらの第2対向電極225の実施形態は、
図8Cに示した第2ピクセル電極222’の構造にも同じく適用できるということはいうまでもない。
【0105】
図7では、第2対向電極225が、
図8Bに示したように、半透過膜225aと金属膜225bとの積層体で形成されたことを示したが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、
図8Dのように金属膜225bと半透過膜225aとの積層体で形成されてもよく、
図8Eのように金属膜225bのみで形成されてもよい。
【0106】
上記のような金属膜225bは、少なくとも透過領域TAにまで延びないように形成されることが望ましい。
【0107】
一方、本発明において、透過領域TAにおける外光透過率をさらに高めるために、
図7に示したように、透過領域TAに透視窓230を形成できる。
【0108】
透視窓230は、透過領域TAに対応する領域に形成されるが、
図7に示したように、透過領域TAに対応する領域に、第1対向電極224及び第2対向電極225のいずれも形成されないように開口を形成して、第1透視窓231を具現できる。この第1透視窓231によって透過領域TAにおける外光透過率が向上する。
【0109】
しかし、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、透過領域TAに、
図9に示したように、延長対向電極226を形成させてもよい。この延長対向電極226は、第1対向電極224及び半透過膜225aと同一物質で形成でき、半透過膜225aから延設されたものであり得る。このように、透過領域TAにも延長対向電極226を形成させることで、第1対向電極224及び半透過膜225aから延設される半透過膜のパターニング工程を経なくてもよく、これによって製作がさらに容易になる。
【0110】
第2対向電極225が、
図8B、
図8D、及び
図8Eのように金属膜225bを含む場合、金属膜225bは、
図7及び
図9に示したように、第1発光領域PA1及び透過領域TAにそれぞれ対応する開口を有するように形成される。金属膜225bの透過領域TAに対応する開口は、第1透視窓231に対応するように形成される。これによって、前面発光を行う第1発光領域PA1における光抽出効率を高め、外光が透過される透過領域TAにおける外光透過率を高める。
【0111】
図10は、本発明のさらに他の実施形態を示すものであり、画素定義膜219に第2透視窓232がさらに形成された実施形態を示す。第2透視窓232は、
図7に示した第1透視窓231と連結されて透視窓230を構成できる。
図10で、画素定義膜219のみに第2透視窓232が形成された例を示したが、第2透視窓232は、透過領域TAに位置している絶縁膜のうち少なくとも1つの絶縁膜に形成される。
【0112】
このような第2透視窓232は、透過領域TAにおける透過率を高めるだけでなく、複数層の透明な絶縁膜による光干渉現象及びこれによる色純度低下と色変化とを防止できる。
【0113】
なお、たとえ図面には図示していないとしても、透視窓230を第2透視窓232のみで構成し、延長対向電極226には開口である第1透視窓を形成しなくてもよい。
【0114】
上記のような透視窓230は、
図3に示す透過領域TAの形状に対応するように、各赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg、及び青色ピクセルPb別に分離されるように形成される。また、
図6に示したように、赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg、及び青色ピクセルPbが単一の透過領域TAを有する場合には、赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg、及び青色ピクセルPbが単一の透視窓を有するように形成される。
【0115】
本発明は、添付した図面に図示された実施形態を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲のみによって定められねばならない。