(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態
図1は本発明の実施の形態による屋根材用切断機1を示す正面図であり、
図2は
図1の屋根材用切断機1を示す背面図であり、
図3は
図1の屋根材用切断機1を示す平面図であり、
図4は
図2の固定部344を示す説明図である。
【0010】
図1〜
図3に示す屋根材用切断機1は、屋根材10(
図3参照)を切断するための器具である。屋根材用切断機1によって切断される屋根材10としては、例えば特開2017−96048号公報等に記載された金属屋根材、すなわち金属製の表基材、裏基材並びにこれら表基材及び裏基材の間に充填された発泡樹脂からなる芯材を含む重ね葺き用の金属屋根材を挙げることができる。しかしながら、本実施の形態の屋根材用切断機によって切断される屋根材10は、上述のような重ね葺き用の金属屋根材に限定されず、例えば嵌合によって連結される嵌合式の金属屋根材又は窯業系屋根材(例えばコロニアル等)等の他の屋根材であってもよい。
【0011】
図1〜
図3に示すように、屋根材用切断機1は、可動刃2と切断機本体3とを有している。
【0012】
可動刃2は、屋根材用切断機1の奥行方向1dに延在する長手状部材である。この可動刃2は、可動刃基体20に着脱可能に取り付けられた可動刃本体21を有している。可動刃本体21は、曲線状の刃先を有する刃物である。
【0013】
屋根材用切断機1の奥行方向1dに係る可動刃2の一端側には、軸部22が設けられている。可動刃2の可動刃基体20は、この軸部22を中心に回動可能に切断機本体3(胴部34)に取り付けられている。屋根材用切断機1の奥行方向1dに係る可動刃2の他端側には、把持部23が設けられている。把持部23を把持した作業者が可動刃2の他端側を上下動させることで可動刃2を回動させることができる。以下、説明の便宜のため、屋根材用切断機1の奥行方向1dに関して、可動刃2の軸部22の側を先端側と呼び、可動刃2の把持部23の側を手元側と呼ぶ。
【0014】
可動刃2の手元側には、突部24が形成されている。突部24は、
図1及び
図2において実線で示すように可動刃2が押し下げられているときに、切断機本体3(後述の受部343)に押し当てられる。このように突部24が切断機本体3(受部343)に押し当てられることで、押し下げ方向への可動刃2の回動が規制される。突部24には、後述のように可動刃2を切断機本体3に連結して可動刃2を固定する際に利用される連結穴24aが形成されている。
【0015】
可動刃2の上部には、取手25が設けられている。可動刃2が切断機本体3に連結されているとき、取手25を持って屋根材用切断機1を持ち運ぶことができる。取手25は、屋根材用切断機1の奥行方向1dに関する屋根材用切断機1の重心位置又はその重心位置の近傍に配置されている。
【0016】
切断機本体3は、第1及び第2足部31,32、連結部33並びに胴部34を有している。
【0017】
第1及び第2足部31,32は、屋根材用切断機1の奥行方向1dに互いに離間して切断機本体3の下部に配置されている。本実施の形態の第1及び第2足部31,32は、下部の一部にゴムシートが貼り付けられた中空部材(角管)によって構成されている。屋根材用切断機1が使用されるとき、例えば屋根下地の上面又は地面等の設置面の上に第1及び第2足部31,32の下面が載せられる。すなわち、第1及び第2足部31,32の下面は屋根材用切断機1の載置面に相当する。
【0018】
図3に特に示されているように、可動刃2の長手方向(屋根材用切断機1の奥行方向1d)に交わる方向に第1及び第2足部31,32が延在されていることで、可動刃2の長手方向に交わる方向に切断機本体3が倒れないように第1及び第2足部31,32が切断機本体3を支えている。屋根材用切断機1の使用時の第1及び第2足部31,32の延在方向は、可動刃2の長手方向に直交する方向(屋根材用切断機1の幅方向1w)であることが好ましい。
【0019】
連結部33は、第1及び第2足部31,32と胴部34との間に介在されており、これら第1及び第2足部31,32と胴部34とを互いに連結している。
【0020】
胴部34は、切断機本体3の上部に設けられた部分であり、連結部33を介して第1及び第2足部31,32に支持されている。後に詳しく説明するように、胴部34は、胴部34の全体が一体に傾動可能に第1及び第2足部31,32に連結されている。
【0021】
胴部34には、胴板部340、基台341、固定刃342、受部343、固定部344、弾性幕345、回動保持機構346及び屋根材保持機構347が含まれている。
【0022】
胴板部340は、連結部33から屋根材用切断機1の高さ方向1hに延出された板部である。
【0023】
基台341は、屋根材用切断機1の奥行方向1d及び幅方向1wに延在された平板体であり、胴板部340の上部側面に固定されている。手元側から屋根材用切断機1を見たとき、基台341は胴板部340から左側方に延出されている。基台341の長手方向は、可動刃2の長手方向(屋根材用切断機1の奥行方向1d)に合わされている。
【0024】
固定刃342は、屋根材用切断機1の奥行方向1dに延在する直線状の刃先を有する刃物であり、基台341とは逆側の胴板部340の上部側面に着脱可能に取り付けられている。手元側から屋根材用切断機1を見たとき、固定刃342は胴板部340の右側面に固定されている。固定刃342は、可動刃2の軌道に隣接して配置されている。固定刃342の長手方向は、可動刃2の長手方向(屋根材用切断機1の奥行方向1d)に合わされている。
【0025】
可動刃2が持ち上げられた状態で基台341の上に屋根材10を置いた後に、可動刃2を押し下げることで可動刃2及び固定刃342によって屋根材10を切断することができる。基台341の上に屋根材10を置く際の屋根材10の向きは、必要とされる切断後の屋根材10の形状に応じて任意に変更できる。屋根材10の向きは、
図3において符号10Aを付して示すように、屋根材10の長手方向を屋根材用切断機1の幅方向1wに合わせる向きとすることができる。また、屋根材10の向きは、
図3において符号10Bを付して示すように、屋根材10の長手方向を屋根材用切断機1の奥行方向1dに合わせる向きとすることができる。さらに、屋根材10の向きは、符号10Aの向きと符号10Bの向きとの中間の向き、すなわち屋根材10の長手方向を屋根材用切断機1の幅方向1w及び奥行方向1dに傾斜させる向きとすることができる。
【0026】
受部343は、固定刃342と同様に胴板部340の右側面の上部に固定されているとともに、屋根材用切断機1の奥行方向1dに関する固定刃342の手元側に配置されている。
図4に特に表れているように、可動刃2が押し下げられたときに可動刃2の突部24が受部343の上部に押し当てられる。本実施の形態の屋根材用切断機1では、受部343の上部が例えばゴム板等の弾性体343aによって構成されており、可動刃2の突部24が受部343の上部に押し当てられた際に作業者の手に作用する衝撃が抑えられている。
【0027】
固定部344は、可動刃2が押し下げられた状態のときに可動刃2を切断機本体3に連結して可動刃2を固定するためのものである。より具体的には、固定部344は、突部24が受部343の上部に押し当てられているときに可動刃2を切断機本体3に連結する。
図4に特に表れているように、固定部344は、固定板344a、軸部344b及び連結具344cを有している。固定板344aは、軸部344bを中心に回動可能に受部343に取り付けられた長手状の板体である。連結具344cは、固定板344aの長手方向に関して軸部344bから離れた位置で固定板344aに取り付けられたノブである。軸部344bを中心に固定板344aを回動させて、可動刃2の突部24に設けられた連結穴24aに連結具344cをはめることで、可動刃2を切断機本体3に連結することができる。
【0028】
弾性幕345は、例えば樹脂製の網等の幅を有する弾性体によって構成されるものであり、固定刃342の下方において胴板部340の右側面に取り付けられている。弾性幕345は、第1及び第2足部31,32間の空隙を塞ぐように屋根材用切断機1の奥行方向1dに延在している。弾性幕345は、切断した屋根材10の端材が第1及び第2足部31,32間の空隙を通過できない程度に第1及び第2足部31,32間の空隙を塞ぐ開口を有していてよい。但し、開口を有しないゴム板等によって弾性幕345を構成して、第1及び第2足部31,32間の空隙を完全に塞いでもよい。
【0029】
回動保持機構346は、把持部23が持ち上げられた状態の少なくとも1つの位置で可動刃2の回動位置を保持するための機構である。屋根材保持機構347は、屋根材10を切断する際に、その屋根材10を基台341上で保持するための機構である。これら回動保持機構346及び屋根材保持機構347については、後に詳しく説明する。
【0030】
次に、
図5〜
図8を用いて連結部33について説明する。
図5は
図1の線V−Vに沿う断面図であり、
図6は
図1の屋根材用切断機1の側面図であり、
図7は
図1の第1及び第2足部31,32が収納された状態の屋根材用切断機1を示す平面図であり、
図8は
図7の屋根材用切断機1の使用態様を示す説明図である。なお、以下の説明では第1足部31と胴部34とを連結する連結部33について主に説明するが、第2足部32と胴部34とを連結する連結部33も同様の構成を有している。
【0031】
図5及び
図6に示すように、連結部33は、第1回動基板331、第2回動基板332、回動軸333、回動規制具334、蝶番335、傾動基板336、L字プレート337及び締結具338を含んでいる。
【0032】
第1回動基板331は、
図6に示すように第1足部31の上部に固定された平板体である。第2回動基板332は、第1回動基板331の上部に重ねられた平板体である。回動軸333は、第1足部31の下面に対して垂直に延在された軸体であり、第1回動基板331を第2回動基板332に回動自在に連結している。回動軸333を中心に第1回動基板331が回動できることで、
図6に示すように第1足部31の全体が第1足部31の下面に対して垂直な軸を中心に回動可能とされている。
【0033】
この第1足部31と同様に、第2足部32の全体も第2足部32の下面に対して垂直な軸を中心に回動可能とされている。
図7に示すように、これら第1及び第2足部31,32の長手方向を基台341の長手方向(屋根材用切断機1の奥行方向1d)と平行となるように第1及び第2足部31,32を回動させることができる。このように第1及び第2足部31,32を回動させることで、基台341の下部に第1及び第2足部31,32を収納でき、屋根材用切断機1を持ち運ぶときに第1及び第2足部31,32が他の部材等にぶつかる虞を低減できる。
【0034】
回動規制具334は、第1及び第2足部31,32の回動を規制して第1及び第2足部31,32の回動位置を固定するための器具である。本実施の形態の回動規制具334は、第1回動基板331の上部に固定されたピン装置によって構成されている。回動規制具334は、第1回動基板331に設けられた貫通孔を通して第2回動基板332に達するピンを有しており、第2回動基板332に設けられた複数の穴部332aのいずれかにピンが挿通されることで第1及び第2足部31,32の回動を規制する。各穴部332aは、回動軸333を中心とする円の周方向に互いに離間して配置されている。本実施の形態では、各穴部332aは、
図7に示すように第1及び第2足部31,32の長手方向が基台341の長手方向と平行となる位置と、
図3に示すように第1及び第2足部31,32の長手方向が基台341の長手方向と直交する位置とで、第1及び第2足部31,32の回動位置を固定可能とする位置に配置されている。しかしながら、より多くの穴部332aを設けてより多くの回動位置で第1及び第2足部31,32を固定できるようにしてもよい。
【0035】
蝶番335は、胴部34(胴板部340)の下部と第2回動基板332とを連結する部材である。胴部34は、蝶番335、第2回動基板332、回動軸333及び第1回動基板331を介して第1及び第2足部31,32に連結されている。
図6において二点鎖線で示すように、胴部34は、基台341の延在面が第1及び第2足部31,32の下面(屋根材用切断機1の設置面)に対して傾斜して延在できるように、基台341の長手方向(屋根材用切断機1の奥行方向1d)と平行な軸を中心に傾動可能に蝶番335によって第1及び第2足部31,32に連結されている。
【0036】
傾動基板336、L字プレート337及び締結具338は、胴部34の傾動位置を固定するための部材である。傾動基板336は、第2回動基板332に固定された板体であり、第2回動基板332の側部から屋根材用切断機1の高さ方向1hに延出されている。傾動基板336には、胴部34の傾動軸を中心とする円の周方向に延在された円弧溝336aが形成されている。L字プレート337は、
図5に特に表れているように全体としての断面形状がL字状となるように第1及び第2板部337a,337bが互いに接合された部材である。L字プレート337の第1板部337aは、胴板部340に固定されている。L字プレート337の第2板部337bは、傾動基板336と平行に延在されている。締結具338は、ノブ等によって構成されるものであり、傾動基板336の外側から円弧溝336aを通してL字プレート337の第2板部337bに締結されている。締結具338の締結を緩めることにより胴部34の傾動が許容される一方で、締結具338の締結を強めることにより胴部34の傾動が規制されて胴部34の傾動位置が固定される。
【0037】
図8に示すように、屋根材用切断機1は、例えば屋根下地の上面等の傾斜面4に載置されて使用される場合がある。第1及び第2足部31,32の下面を傾斜面4上に載置しても、胴部34を傾動させることで基台341の延在面を水平に延在させることができる。基台341の延在面を水平に延在させることで、切断される屋根材10を水平に保持できるとともに、可動刃2を押し下げる方向を鉛直方向に沿わせることができる。
【0038】
ここで、
図8に特に示すように、第1及び第2足部31,32には、第1足部31の長手方向の一端に位置する第1端部31aと、第1足部31の長手方向の他端に位置する第2端部31bとが設けられている。胴部34は、基台341の延在面が第1及び第2足部31,32の下面と平行な位置から第1及び第2足部31,32の第1端部31aに近づくように傾動可能とされている。
【0039】
弾性幕345は、傾動時に胴部34が近づけられる第1端部31aに近い側に配置されている。
図8に示すように胴部34が傾動されたときに弾性幕345が傾斜面4に沿って撓むことにより、胴部34が傾動された際に弾性幕345の下部と傾斜面4との間に隙間が生じることが防止される。
【0040】
第1及び第2足部31,32の延在方向に関する蝶番335の位置を、胴部34と第1及び第2足部31,32との連結位置31cと呼ぶ。連結位置31cから第2端部31bまでの距離D2は、連結位置31cから第1端部31aまでの距離D1よりも長くされている。上述のように胴部34が第1及び第2足部31,32の第1端部31aに近づくように傾動可能とされているため、第2端部31bは、傾斜面4の下方に位置することが想定される。連結位置31cから第2端部31bまでの距離D2が連結位置31cから第1端部31aまでの距離D1よりも長くされていることで、傾斜面4の下方に向けて屋根材用切断機1が転倒する虞が低減されている。
【0041】
次に、
図9〜
図11を用いて回動保持機構346について説明する。
図9は
図1の回動保持機構346を拡大して示す拡大正面図であり、
図10は
図9のプランジャ50の断面図であり、
図11は
図9の回動保持機構346により保持される可動刃2の回動位置を示す説明図である。
【0042】
上述のように、回動保持機構346は、把持部23が持ち上げられた状態の少なくとも1つの位置で可動刃2の回動位置を保持するための機構である。可動刃2の回動位置が保持されることで、可動刃2を持ち上げた後に可動刃2から手を離して屋根材10の準備を行うことができる。
【0043】
回動保持機構346には、プランジャ50、第1穴部51及び第2穴部52が含まれている。
【0044】
プランジャ50は、筒体501、ナット体502、付勢部材503、第1球体504(被付勢体)、第2球体505及び調節ネジ506を有している。筒体501は、外周面及び内周面にネジが切られた筒状体である。筒体501は、切断機本体3に設けられたネジ穴53に先端側が螺合されていることで切断機本体3に取り付けられている。ナット体502は、筒体501の外周に取り付けられており、筒体501に軸力を付与してネジ穴53への筒体501の螺合が緩まないようにしている。付勢部材503は、筒体501の内側に挿通されたコイルバネによって構成されている。第1球体504は、付勢部材503により可動刃2に押し付けられるように付勢部材503の一端側に配置されている。第2球体505は、付勢部材503の他端側に配置されている。調節ネジ506は、筒体501の基端側から筒体501の内側に挿通されており、第2球体505を介して付勢部材503を押圧するように構成されている。筒体501への調節ネジ506の挿通量が調節されることにより、付勢部材503の圧縮量、すなわち可動刃2への第1球体504の押し付け圧力が調整され得る。筒体501の内側には潤滑油を入れることができる。
【0045】
図9に示すように、第1及び第2穴部51,52は、軸部22を中心とした円の周方向に互いに離間して可動刃2の先端側(可動刃2の軸部22の側)に設けられている。軸部22から各穴部51,52までの距離は、軸部22からプランジャ50までの距離と等しくされている。すなわち、第1及び第2穴部51,52は、可動刃2が軸部22を中心に回動された際にプランジャ50の第1球体504が順次はまるように配置されている。
【0046】
第1穴部51に第1球体504がはまった際、
図11に示す第1回動位置P1にて可動刃2が保持される。同様に、第2穴部52に第1球体504がはまった際、
図11に示す第2回動位置P2にて可動刃2が保持される。本実施の形態では、第1回動位置P1は、突部24が切断機本体3に押し当てられた状態(
図11にて実線で示す状態)から可動刃2が15度持ち上げられた位置とされており、第2回動位置P2は、突部24が切断機本体3に押し当てられた状態から可動刃2が30度持ち上げられた位置とされている。
【0047】
なお、本実施の形態では2つの回動位置で可動刃2を保持するように説明しているが、可動刃2を保持する回動位置の数は任意である。第1球体504(被付勢体)は、例えば先端が曲面によって構成されたピン等、可動刃が回動された際に付勢部材の付勢に逆らって穴部から抜け出ることができる他の部材に変更されてもよい。
【0048】
次に、
図1、
図12及び
図13を用いて屋根材保持機構347について説明する。
図12は
図1の挟み工具62を拡大して示す拡大正面図であり、
図13は
図12の挟み工具62にて屋根材10を保持している状態を示す説明図である。
【0049】
上述のように、屋根材保持機構347は、切断する屋根材10を基台341上で保持するための機構である。屋根材保持機構347により屋根材10を保持できることで、屋根材10の切断時に屋根材10を手で支える必要性を低減できる。
【0050】
屋根材保持機構347には、軸体60、筒体61及び挟み工具62が含まれている。軸体60は、
図1に特に表れているように基台341の下方で基台341の長手方向(屋根材用切断機1の奥行方向1d)に延在された長手状部材である。軸体60の両端は、胴板部340から延出された支持板60aによって支持されている。筒体61は、内側に軸体60が挿通された部材である。挟み工具62は、例えば挟持状態を保持できるロッキングプライヤ等によって構成されるものであり、先端部が筒体61に固定されている。筒体61の内径は軸体60の外径よりも大きくされており、挟み工具62は、筒体61とともに、軸体60の長手方向に変位可能かつ軸体60の周方向に回動可能とされている。
【0051】
屋根材10を基台341上で保持するとき、任意の位置まで挟み工具62を軸体60の長手方向に変位させるとともに、挟み工具62の先端部が基台341上に表れるように挟み工具62を軸体60の周方向に回動させ、挟み工具62の先端部と基台341とにより屋根材を挟持する。挟み工具62の先端部には、基台341と平行に延在できる板体62aが設けられており、板体62aによって挟み工具62の先端部がより広い面積で屋根材10に面接触できるようにされている。挟み工具62が使用されないとき、軸体60の周方向に挟み工具62を回動させて挟み工具62を基台341の下方に隠すことができる。
【0052】
次に、
図14〜
図16を用いて受部343に取り付けられる延長部材7について説明する。
図14は
図3の受部343に延長部材7が取り付けられている状態を示す平面図であり、
図15は
図14の延長部材7を示す正面図であり、
図16は
図14の受部343の側面を拡大して示す拡大側面図である。
【0053】
図3において符号10Aで示すように屋根材10を基台341の上に載置する場合のように、屋根材用切断機1の奥行方向1dに関して屋根材10の両側に固定刃342が見える場合には、固定刃342の位置を目安に屋根材10の切断位置を確認できる。一方で、
図3において符号10Bで示すように屋根材10を基台341の上に載置する場合のように、手元側の固定刃342が屋根材10によって隠される場合には、屋根材10の切断位置の確認に固定刃342を利用することができない。このような場合、
図14に示すように切断機本体3の受部343に延長部材7を取り付けて、延長部材7を目安に屋根材10の切断位置を確認できるようにすることができる。
【0054】
図15に示すように、延長部材7は、直線部70、挿入突部71及び固定突部72を有する部材である。直線部70は、直線状に延在する部分である。挿入突部71は、直線部70の一端から突出された突部である。固定突部72は、挿入突部71の基端から直線部70の延在方向に直交する方向に突出された突部である。固定突部72には、貫通孔72aが設けられている。
【0055】
図16に示すように、受部343の側面には、挿入穴343bとネジ穴343cとが設けられている。挿入穴343bは、延長部材7の挿入突部71の外形と同じ外縁を有する穴部である。ネジ穴343cは、内側にネジが切られた穴であり、挿入穴343bの下方に配置されている。
【0056】
延長部材7の挿入突部71が受部343の側面の挿入穴343bに挿入される。挿入突部71が挿入穴343bに挿入されたとき、延長部材7の貫通孔72aが受部343のネジ穴343cと重なる。これら貫通孔72a及びネジ穴343cに図示しない固定ネジが取り付けられることで延長部材7が受部343に固定され得る。延長部材7は、延長部材7が受部343に取り付けられているとき、直線部70の端面70aが固定刃342の端面342aの延長線上に位置するように構成されている。直線部70の端面70aが固定刃342の端面342aの延長線上に位置していることで、上述のように屋根材10によって固定刃342が隠されるときでも、延長部材7を目安に屋根材の切断位置を確認できる。延長部材7は切断機本体3の受部343に着脱可能であり、延長部材7が不要なときは延長部材7を切断機本体3から取り外すことができる。
【0057】
このような屋根材用切断機1では、突部24が切断機本体3に押し当てられているときに固定部344が可動刃2を切断機本体3に連結するので、可動刃2が不意に回動することをより確実に回避できる。
【0058】
また、固定部344が、軸部344bを中心に回動可能に切断機本体3に取り付けられた長手状の固定板344aと、固定板344aの長手方向に関して固定板344aの軸部344bから離れた位置で固定板344aに取り付けられた連結具344cとを有しており、突部24には、連結穴24aが設けられており、軸部344bを中心に固定板344aを回動させて、連結穴24aに連結具344cがはめられることで、可動刃2が切断機本体3に連結されるので、より確実に可動刃2を切断機本体3に連結できる。
【解決手段】本発明による屋根材用切断機は、屋根材10を切断するための屋根材用切断機1であって、固定刃342を有する切断機本体3と、長手方向の一端側に設けられた軸部22を中心に回動可能に切断機本体3に取り付けられ、長手方向の他端側が持ち上げられた状態から他端側が押し下げられることにより、固定刃342とともに屋根材10を切断する可動刃2と、他端側が押し下げられた状態で切断機本体3と可動刃2とを連結して可動刃2を固定する固定部344とを備え、可動刃2には、他端側が押し下げられた際に切断機本体3に押し当てられる突部24が形成されており、固定部344は、突部24が切断機本体3に押し当てられているときに可動刃2を切断機本体3に連結する。