特許第6457787号(P6457787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457787
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両用変速装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/36 20071001AFI20190110BHJP
   F16H 57/023 20120101ALI20190110BHJP
   F16H 3/72 20060101ALI20190110BHJP
   F16H 3/54 20060101ALI20190110BHJP
   F16H 57/10 20060101ALI20190110BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20190110BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20190110BHJP
   B60K 17/02 20060101ALI20190110BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20190110BHJP
   B60K 6/547 20071001ALI20190110BHJP
   B60K 6/405 20071001ALI20190110BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20190110BHJP
   B60K 6/387 20071001ALI20190110BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20190110BHJP
【FI】
   B60K6/36ZHV
   F16H57/023
   F16H3/72 A
   F16H3/54
   F16H57/10
   F16H57/04 J
   F16H57/04 G
   B60K17/04 N
   B60K17/04 Z
   B60K17/02 F
   B60K17/02 Z
   B60K6/442
   B60K6/547
   B60K6/405
   B60K6/40
   B60K6/387
   B60L11/14
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-229851(P2014-229851)
(22)【出願日】2014年11月12日
(65)【公開番号】特開2016-68925(P2016-68925A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年9月11日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0126784
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 伯 猷
(72)【発明者】
【氏名】金 仁 燮
(72)【発明者】
【氏名】金 錫 俊
(72)【発明者】
【氏名】金 賢 燮
(72)【発明者】
【氏名】邊 成 崑
(72)【発明者】
【氏名】李 熙 羅
(72)【発明者】
【氏名】安 哲 民
【審査官】 田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−1416420(KR,B1)
【文献】 特開2010−106896(JP,A)
【文献】 特開2012−116435(JP,A)
【文献】 特開2001−221300(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0312459(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60W 10/00 − 20/50
F16H 57/00 − 57/12
F16H 3/00 − 3/78
B60K 17/00 − 17/08
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機ハウジング内でエンジンの動力が入力される入力軸の軸線上に配置された第1、第2モータ/ジェネレータと、遊星ギヤセットと、第1、第2出力ギヤと、第1、第2クラッチとを含遊星ギヤセットは、サンギヤが固定要素として作動し、遊星キャリアが入力軸に連結され、第1モータ/ジェネレータは、リングギヤと連結されて、リングギヤを駆動させるモータまたはリングギヤの回転動力によって発電する発電機として作動し、中空軸を通じて第2出力ギヤに選択的に連結され、第1クラッチは、入力軸と第2出力ギヤの間に設けられ、第2クラッチは、中空軸と第2出力ギヤの間に設けられるハイブリッド車両用変速装置において、
前記エンジンの動力または第1モータ/ジェネレータの動力を前記第2出力ギヤに伝達するように前記入力軸の半径外側に配置された前記中空軸と、
前記第2モータ/ジェネレータの動力を第1出力ギヤに伝達するように前記中空軸の半径外側に配置された外郭軸と、
前記変速機ハウジングの後端部に結合されるリヤカーバーと、
備え、
前記遊星ギヤセットは、サンギヤ、遊星キャリア、そしてリングギヤをその回転要素として含み、変速機ハウジング内で入力軸の後端部に配置し、前記サンギヤが前記リヤカーバーに直接固定され、
前記エンジン側から後方に、第1クラッチ、第2出力ギヤ、第1出力ギヤ、第2モータ/ジェネレータ、第2クラッチ、第1モータ/ジェネレータ、及び遊星ギヤセットが順に配置され、
前記第1出力ギヤと第2出力ギヤとの間には、前記外郭軸に連結されるパーキングギヤが配置されることを特徴とするハイブリッド車両用変速装置。
【請求項2】
前記外郭軸には、前記パーキングギヤを軸方向に固定するためのスナップリングと、前記スナップリングを軸方向および径方向に固定するための固定リングとが設けられることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項3】
前記遊星ギヤセットのサンギヤは、前記リヤカーバーから軸方向に一体に突出した固定軸にスプライン結合されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項4】
前記遊星ギヤセットの遊星キャリアは、前記サンギヤの外周面にボールベアリングを通じて回転可能に支持されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項5】
前記第1クラッチは、前記第2出力ギヤを基準に第1出力ギヤの反対側で前記入力軸にスプライン結合されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項6】
前記第2クラッチは、前記第1、第2モータ/ジェネレータの間で前記入力軸と外郭軸にそれぞれボールベアリングを通じて回転可能に支持されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項7】
前記外郭軸には、前記第2モータ/ジェネレータと連結されたハブを軸方向に固定するためのスナップリングと、前記スナップリングを軸方向および径方向に固定するための固定リングとが設けられることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項8】
前記第2クラッチは、前記第1モータ/ジェネレータに連結されたハブを通じて前記遊星ギヤセットのリングギヤに連結されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項9】
変速機ハウジング内部の第1クラッチの上部にバルブボディーとチャーニングオイルを捕集する捕集タンクとが配置されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用変速装置に係り、より詳しくは、電気自動車モード(EVモード)、連続モード、直結およびオーバードライブ(OD)を含む並列モードを実現するハイブリッド車両用変速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハイブリッド車両は、互いに異なる二種類以上の動力源を効率的に組み合わせて駆動する車両である。
このようなハイブリッド車両は、通常、エンジンとモータ/ジェネレータを動力源として使用する。ハイブリッド車両は、低速では相対的に低速トルク特性が良いモータ/ジェネレータを主動力源として使用し、高速では相対的に高速トルク特性が良いエンジンを主動力源として使用する。
これにより、ハイブリッド車両は、低速区間で化石燃料を使用するエンジンの作動が停止し、モータ/ジェネレータを使用するため、燃費改善と排気ガスの低減に優れた効果がある。
【0003】
そして、このようなハイブリッド車両用変速装置は、単一モード方式と多重モード方式とに分類される。
単一モード方式は、変速制御のためのクラッチ、およびブレーキのようなトルク伝達機構が不要という長所はあるが、高速走行時に効率が低下して燃費が低く、大型車両に適用するためには、付加的なトルク増倍装置が必要となるという短所がある。
多重モード方式は、高速走行時の効率が高く、自体的なトルク増倍が可能に設計することができ、中大型車両にも適用可能な長所がある。
これにより、最近は、単一モード方式よりも多重モード方式が主に採用されており、それに伴う研究が活発に行われている。
【0004】
多重モード方式の変速装置は、遊星ギヤセット、モータおよび発電機として使用される複数のモータ/ジェネレータ、遊星ギヤセットの回転要素を制御できるトルク伝達機構(摩擦要素)、およびモータ/ジェネレータの動力源として使用されるバッテリーなどを含んで構成される。
このような多重モード方式の変速装置は、遊星ギヤセット、モータ/ジェネレータ、およびトルク伝達機構の連結構成によって異なった作動メカニズムを有する。
また、多重モード方式の変速装置は、その連結構成によって耐久性、動力伝達効率、サイズなどが異なる特性があるので、ハイブリッド車両用変速装置の分野では、より堅固で、動力損失が少なく、コンパクトな動力伝達構造を実現するための研究開発が続けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−094973号公報
【特許文献1】特開2013−119280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされてものであって、本発明の目的は、入力軸線上に配置される遊星ギヤセットを変速機ハウジング内の最後方に位置させて、サンギヤをリヤカーバーに固定しやすいようにすると共に、軸方向荷重をリヤカーバーが支持するようにしてコンパクトな構成を可能にしたハイブリッド車両用変速装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、遊星ギヤセットのリングギヤと第1モータ/ジェネレータを別の連結軸なしで連結できるハイブリッド車両用変速装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明のさらに他の目的は、イナーシャが大きい外郭軸にパーキングギヤを配置することによって、パーキング衝撃を低減するハイブリッド車両用変速装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、バルブボディーと、チャーニングオイル(churning oil)を捕集するための捕集タンクを、第2モータ/ジェネレータとエンジンとの間に配置された第1クラッチの上部に配置して、EV走行時に第2モータ/ジェネレータに冷却オイルを容易に供給すると同時に、変速機ハウジング内の空間を効率的に活用できるハイブリッド車両用変速装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるハイブリッド車両用変速装置は、変速機ハウジング内でエンジンの動力が入力される入力軸の軸線上に配置された第1、第2モータ/ジェネレータと、遊星ギヤセットと、第1、第2出力ギヤと、第1、第2クラッチとを含遊星ギヤセットは、サンギヤが固定要素として作動し、遊星キャリアが入力軸に連結され、第1モータ/ジェネレータは、リングギヤと連結されて、リングギヤを駆動させるモータまたはリングギヤの回転動力によって発電する発電機として作動し、中空軸を通じて第2出力ギヤに選択的に連結され、第1クラッチは、入力軸と第2出力ギヤの間に設けられ、第2クラッチは、中空軸と第2出力ギヤの間に設けられるハイブリッド車両用変速装置において、前記エンジンの動力または第1モータ/ジェネレータの動力を前記第2出力ギヤに伝達するように前記入力軸の半径外側に配置された前記中空軸と、前記第2モータ/ジェネレータの動力を第1出力ギヤに伝達するように前記中空軸の半径外側に配置された外郭軸と、前記変速機ハウジングの後端部に結合されるリヤカーバーと、を含み、前記遊星ギヤセットは、サンギヤ、遊星キャリア、そしてリングギヤをその回転要素として含み、変速機ハウジング内で入力軸の後端部に配置し、前記サンギヤが前記リヤカーバーに直接固定され、前記エンジン側から後方に、第1クラッチ、第2出力ギヤ、第1出力ギヤ、第2モータ/ジェネレータ、第2クラッチ、第1モータ/ジェネレータ、及び遊星ギヤセットが順に配置され、前記第1出力ギヤと第2出力ギヤとの間には、前記外郭軸に連結されるパーキングギヤが配置されることを特徴とする。
【0011】
前記外郭軸には、前記パーキングギヤを軸方向に固定するためのスナップリングと、前記スナップリングを軸方向および径方向に固定するための固定リングとが設けられることを特徴とする。
【0012】
前記遊星ギヤセットのサンギヤは、前記リヤカーバーから軸方向に一体に突出した固定軸にスプライン結合されることを特徴とする。
【0013】
前記遊星ギヤセットの遊星キャリアは、前記サンギヤの外周面にボールベアリングを通じて回転可能に支持されることを特徴とする。
【0014】
前記第1クラッチは、前記第2出力ギヤを基準に第1出力ギヤの反対側で前記入力軸にスプライン結合されることを特徴とする。
【0015】
前記第2クラッチは、前記第1、第2モータ/ジェネレータの間で前記入力軸と外郭軸にそれぞれボールベアリングを通じて回転可能に支持されることを特徴とする。
【0016】
前記外郭軸には、前記第2モータ/ジェネレータと連結されたハブを軸方向に固定するためのスナップリングと、前記スナップリングを軸方向および径方向に固定するための固定リングとが設けられることを特徴とする。
【0017】
前記第2クラッチは、前記第1モータ/ジェネレータに連結されたハブを通じて前記遊星ギヤセットのリングギヤに連結されることを特徴とする。
【0018】
変速機ハウジング内部の第1クラッチの上部にバルブボディーとチャーニングオイルを捕集する捕集タンクとが配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、入力軸IS上に配置される遊星ギヤセットPSを、変速機ハウジングHの最後方に配置して、サンギヤSをリヤカーバーRCにスプライン結合させる。これにより、軸方向荷重をリヤカーバーRCが支持するようになり、全体的な変速機ハウジングHの電装が縮小できる利点がある。
また、第2クラッチCL2を第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2の間に配置して、遊星ギヤセットPSのリングギヤRと第1モータ/ジェネレータMG1に別の連結軸なしで連結することによって、部品数及び重量を減らせる利点がある。
また、パーキングギヤPGを比較的にイナーシャーが大きい外郭軸MS2に連結することによって、パーキング衝撃が低減できる効果がある。
さらに、チャーニング(churning)による変速機オイルを捕集するための捕集タンクTK及びバルブボディーVBを第1クラッチCL1の上部に配置して、EV走行時の第2モータ/ジェネレータMG2への冷却オイルの供給が効果的に行われるようにし、変速機ハウジングH内部の空間を効率的に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置の構成図である。
図2】本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置の断面図である。
図3図2のA部分の拡大断面図である。
図4図2のB部分の拡大断面図である。
図5図2のC部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置の構成図である。
図1に示す通り、本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置は、エンジンEngと第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2の動力を車両の走行状態によって変化させ、変化した動力を第1、第2出力ギヤOG1、OG2を通じて出力する。
前記変速装置は、第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2と、遊星ギヤセットPSと、第1、第2出力ギヤOG1、OG2と、第1、第2クラッチCL1、CL2と、減速ギヤ手段CGUと、を含む。
【0022】
第1モータ/ジェネレータMG1及び第2モータ/ジェネレータMG2は、それぞれ独立した動力源であって、モータまたはジェネレータの機能を有する。
第1モータ/ジェネレータMG1は、遊星ギヤセットPSのリングギヤRと直接連結されて、エンジンを始動させるためのスタートモータとして作動し、リングギヤRを通じて伝達されたエンジンの回転動力を利用して、電気を生成する発電機の役割を果たすこともできる。
第2モータ/ジェネレータMG2は、外郭軸MS2を通じて第1出力ギヤOG1と直接連結されて、第1出力ギヤOG1に回転動力を供給するモータとして作動する。
このために、第1モータ/ジェネレータMG1の固定子及び第2モータ/ジェネレータMG2の固定子は、それぞれ変速機ハウジングHに固定され、第1モータ/ジェネレータMG1の回転子及び第2モータ/ジェネレータMG2の回転子は、それぞれ遊星ギヤセットPSのリングギヤRと第1出力ギヤOG1に連結される。
【0023】
第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2及び遊星ギヤセットPSは、入力軸IS上に配置される。
このとき、第1出力ギヤOG1は、第2モータ/ジェネレータの動力を出力する出力ギヤとして作動し、第2出力ギヤOG2は、遊星ギヤセットPSを通じて伝達されたエンジンEngの動力を出力する出力ギヤとして作動する。
また、第1、第2クラッチCL1、CL2は、油圧によって摩擦結合される多板式油圧摩擦結合ユニットからなり、回転体と他の回転体とを選択的に連結する摩擦部材である。
【0024】
以下、ハイブリッド車両用変速装置についてより具体的に説明する。
遊星ギヤセットPSは、シングルピニオン遊星ギヤセットであって、サンギヤSと、サンギヤSと外接で噛み合うピニオンPを回転可能に支持する遊星キャリアPCと、ピニオンPと内接で噛み合うリングギヤRと、を回転要素として含む。
遊星ギヤセットPSは、サンギヤSが固定要素として作動し、遊星キャリアPCが入力軸ISに連結され、リングギヤ(R)が出力要素として作動すると同時に第1モータ/ジェネレータMG1に連結される。
第1モータ/ジェネレータMG1は、遊星ギヤセットPSのリングギヤRと連結されて、リングギヤRを駆動させるモータまたはリングギヤRの回転動力によって発電する発電機として作動し、中空軸MS1を通じて第2出力ギヤOG2に選択的に連結される。
【0025】
第2モータ/ジェネレータMG2は、第1出力ギヤOG1と連結して第1出力ギヤOG1に動力を伝達する。
第1クラッチCL1は、アンダードライブ(UD;UNDER DRIVE)で作動するクラッチであって、入力軸ISと第2出力ギヤOG2との間に配置されている。第1クラッチCL1は、入力軸ISと第2出力ギヤOG2を選択的に連結して、エンジンEngの回転動力を速度変化なしで第2出力ギヤOG2に伝達する。
第2クラッチCL2は、オーバードライブ(OD:OVER DRIVE)で作動するクラッチであって、遊星ギヤセットPSのリングギヤRと第1モータ/ジェネレータに連結された中空軸MS1と第2出力ギヤOG2との間に配置されている。第2クラッチCL2は、中空軸MS1と第2出力ギヤOG2を選択的に連結して、エンジンEngの回転速度を遊星ギヤセットPSを通じて増加させて、増加された回転速度を第2出力ギヤOG2に入力する。
【0026】
そして、第1、第2出力ギヤOG1、OG2の回転速度は、減速ギヤ手段CGUを通じて減速され、減速された回転速度がデファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGに伝達される。
減速ギヤ手段CGUは、入力軸ISとデファレンシャルDIFFとの間に配置される。減速ギヤ手段CGUは、入力軸ISに平行に配置された中間軸CSと、中間軸CSの一側に固定的に配置され、第1出力ギヤOG1に噛み合わされる第1中間ギヤCG1と、中間軸CSの中央部に固定的に配置され、第2出力ギヤOG2に噛み合わされる第2中間ギヤCG2と、を含む。
また、中間軸CSの他側には、駆動ギヤDGが固定的に配置されてデファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGと噛合う。
このとき、第1、第2中間ギヤCG1、CG2の直径は、駆動ギヤDGの直径に比べて大きいため、減速ギヤ手段CGUは、第1、第2出力ギヤOG1、OG2の回転速度を減速し、減速された回転速度を終減速ギヤFGに伝達する。
【0027】
ハイブリッド車両用変速装置は、EVモード、連続モード、直結およびODを含む並列モードを実現することができる。
EVモードと連続モードでは、第1、第2クラッチCL1、CL2が全て解除され、並列モードの直結時には、第1クラッチCL1が作動し、並列モードのOD時には、第2クラッチCL2が作動する。
このとき、並列モードの直結では、第1、第2出力ギヤOG1、OG2にそれぞれ噛み合う減速ギヤ手段CGUの第1、第2中間ギヤCG1、CG2と、駆動ギヤDGのギヤ比によってアンダードライブ(UD;UNDER DRIVE)、1:1、及びオーバードライブ(OD:OVER DRIVE)を実現することができる。
これをより具体的に見てみると、EVモードでは全てのクラッチが解除されている。
【0028】
EVモードでは、エンジンEngが停止した状態を維持し、遊星ギヤセットPSが直接的に変速に関与しない。また、第1出力ギヤOG1に伝達される第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力によって電子的無段変速が行われる。
即ち、第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力が、外郭軸MS2、第1出力ギヤOG1、第1中間ギヤCG1、駆動ギヤDGを通じてデファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGに伝達される。
連続モードにおいても全てのクラッチが解除されている。
EVモード状態でエンジンEngが駆動されると、連続モードが具現される。このとき、第1モータ/ジェネレータMG1で発電した電気は、第2モータ/ジェネレータMG2の駆動電源として供給される。
【0029】
一方、エンジンEngは、第1モータ/ジェネレータMG1によって始動される。
即ち、第1モータ/ジェネレータMG1が作動して遊星ギヤセットPSのリングギヤRに第1モータ/ジェネレータMG1の動力が入力されると、サンギヤSが固定要素として作動して遊星キャリアPCに減速が出力される。
この場合、遊星キャリアPCと連結された入力軸ISを通じて、エンジンEngに回転動力が入力されてエンジンEngが始動する。
エンジンEngが始動した後には、第1モータ/ジェネレータMG1はリングギヤRを通じてエンジンEngの回転動力を受けて発電を行う。
連続モードでは、遊星ギヤセットPSが直接的に変速に関与せず、第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力によって電子的無段変速が行われる。
このとき、遊星ギヤセットPSは、エンジンEngの始動と第1モータ/ジェネレータMG1の発電に関係する。
【0030】
連続モードでは、第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力が、外郭軸MS2、第1出力ギヤOG1、第1中間ギヤCG1、駆動ギヤDGを通じてデファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGに伝達される。
このとき、第2モータ/ジェネレータMG2の駆動電源として第1モータ/ジェネレータ(MG1)で発電された電気を利用するようになり、余った電気はバッテリーに充電される。
並列モードの直結では第1クラッチCL1が作動する。
並列モードの直結ではエンジンEngの回転動力が主動力として使用され、第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力が補助動力として使用される。
第1クラッチCL1の作動により、エンジン(Eng)の回転動力が入力軸ISを通じて第2出力ギヤOG2に主動力として伝達され、第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力が第1出力ギヤOG1に補助動力として伝達される。
このとき、エンジンEngの回転動力は、第1モータ/ジェネレータMG1の発電のために使用してもよい。
【0031】
このような並列モードの直結は、遊星ギヤセットPSが直接的に変速に関与せず、入力軸ISを通じて第2出力ギヤOG2に伝達されるエンジンEngの回転動力と、外郭軸MS2を通じて第1出力ギヤOG1に伝達されるる第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力とによって行われる。
このように、第1、第2出力ギヤOG1、OG2に入力されたエンジンEng及び第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力は、第1、第2中間ギヤCG1、CG2、駆動ギヤDGを通じてデファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGに伝達される。
並列モードのODでは、第2クラッチCL2が作動する。
並列モードのODでは、エンジンEngの回転動力が主動力として使用され、第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力が補助動力として使用される。
【0032】
即ち、第2クラッチCL2の作動により、エンジンEngの回転動力が入力軸ISを通じて遊星ギヤセットPSの遊星キャリアPCに入力されると、サンギヤSが固定要素として作動して、増速された回転速度がリングギヤRを通じて第2出力ギヤOG2に伝達される。同時に、第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力が第1出力ギヤOG1に伝達される。
このとき、エンジンEngの回転動力は、第1モータ/ジェネレータMG1の発電のために使用することもできる。
並列モードのODは、遊星ギヤセットPSが直接変速に関与せず、入力軸IS、遊星ギヤセットPSを通じて第2出力ギヤOG2に伝達されるエンジンEngの回転動力と、第1出力ギヤOG1に伝達される第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力とによって行われる。
このように、第1、第2出力ギヤOG1、OG2に入力されたエンジンEng及び第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力は、第1、第2中間ギヤCG1、CG2、駆動ギヤDGを通じてデファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGに伝達される。
【0033】
以下、ハイブリッド車両用変速装置についてより詳しく説明する。
図2は本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置の断面図であり、図3図5図2のA部分、B部分、C部分の拡大断面図である。
図2に示す通り、本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置は、エンジンEngの回転動力が入力される入力軸ISの軸線上に第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2、遊星ギヤセットPS、第2モータ/ジェネレータMG2用の第1出力ギヤOG1、エンジンEng用の第2出力ギヤOG2、アンダードライブUD用の第1クラッチCL1、及びオーバードライブOD用の第2クラッチCL2が配置される。
このとき、入力軸ISの軸線上には、エンジンEngから後側に第1クラッチCL1、第2出力ギヤOG2、第1出力ギヤOG1、第2モータ/ジェネレータMG2、第2クラッチCL2、第1モータ/ジェネレータMG1、及び遊星ギヤセットPSが順に配置される。
【0034】
また、入力軸ISと同軸に、エンジンEngの動力または第1モータ/ジェネレータMG1の動力を、第2出力ギヤOG2に伝達するための中空軸MS1が入力軸ISの半径外側に配置され、第2モータ/ジェネレータMG2の動力を、第1出力ギヤOG1に伝達するための外郭軸MS2が中空軸MS1の半径外側に配置される。
このとき、図3に示す通り、第1出力ギヤOG1と第2出力ギヤOG2との間にはパーキングギヤPGが配置されており、パーキングギヤPGは外郭軸MS2にスプライン結合して連結される。
即ち、パーキングギヤPGは、比較的にイナーシャーが大きい外郭軸MS2に連結され、パーキング衝撃を低減するようになっている。
【0035】
また、外郭軸MS2に連結されたパーキングギヤPGは、外郭軸MS2に装着されたスナップリングSR1によって軸方向の動きが制限され、スナップリングSR1は、固定リングLR1によって外郭軸MS2に軸方向および径方向で固定されて、高速回転時のスナップリングSR1の離脱を防止する。
図4に示す通り、遊星ギヤセットPSは、入力軸IS上でエンジンEngの反対側(即ち、最後方)に配置されており、サンギヤSが固定要素として作動するように、変速機ハウジングHの後端部に装着されたリヤカーバーRCに固定される。
このとき、サンギヤSは、リヤカーバーRCから軸方向に一体に突出した固定軸11にスプライン結合される。
【0036】
また、遊星ギヤセットPSの遊星キャリアPCは、サンギヤSの延長部外周面にボールベアリングB1を通じて回転可能に支持される。
また、図5に示す通り、外郭軸MS2にスプライン結合して第2モータ/ジェネレータMG2のロータRT2と連結されたハブ15は、外郭軸MS2に装着されたスナップリングSR2によって軸方向の動きが制限され、スナップリングSR2は、再度固定リングLR2によって外郭軸MS2に軸方向および径方向で固定される。したがって、高速回転時のスナップリングSR2の離脱が防止される。
また、図3に示す通り、第1クラッチCL1は、第2出力ギヤOG2を基準に第1出力ギヤOG1の反対側で入力軸ISにスプライン結合し、図4に示す通り、第2クラッチCL2は、第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2の間で、入力軸ISと外郭軸MS2にそれぞれボールベアリングB2、B3を通じて回転可能に支持される。
【0037】
図4に示す通り、第2クラッチCL2は、第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2の間に配置されており、第1モータ/ジェネレータMG1のロータRT1と連結されたハブ13を通じて、遊星ギヤセットPSのリングギヤRと第1モータ/ジェネレータMG1のロータRT1に連結される。
また、図2に示す通り、変速機ハウジングHの内部において、第2モータ/ジェネレータMG2とエンジンEngとの間の第1クラッチCL1の上部に、バルブボディーVBとチャーニングオイルを捕集する捕集タンクTKとが配置されている。従って、変速機ハウジングH内部の空間を効果的に活用しつつ第2モータ/ジェネレータMG2への冷却オイルの供給が有利になるように構成される。
【0038】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0039】
11 固定軸
13、15 ハブ
B1、B2、B3 ベアリング
CL1、CL2 第1、第2クラッチ
IS 入力軸
LR1、LR2 固定リング
MS1 中空軸
MS2 外郭軸
MG1、MG2 第1、第2モータ/ジェネレータ
OG1、OG2 第1、第2出力ギヤ
PS 遊星ギヤセット
PC 遊星キャリア
PG パーキングギヤ
R リングギヤ
RC リヤカーバー
S サンギヤ
SR1、SR2 スナップリング
図1
図2
図3
図4
図5