(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0023】
<水処理装置および水処理方法>
本発明の実施形態に係る装置の一例の概略を
図1に示し、その構成について説明する。
図1の水処理装置1は、砂ろ過処理手段として砂ろ過処理装置12と、薬剤供給手段として薬剤貯槽20とを備える。水処理装置1は、砂ろ過処理水槽14と、逆浸透膜処理手段として逆浸透膜処理装置18と、逆洗用薬剤貯槽21とを備えてもよい。
【0024】
図1の水処理装置1において、原水槽10の出口と砂ろ過処理装置12の入口とは、ポンプ22およびバルブ28を介して、原水供給配管44により接続されている。砂ろ過処理装置12の出口と砂ろ過処理水槽14の入口とは、バルブ30を介して、砂ろ過処理水配管46により接続されている。砂ろ過処理水槽14の出口と逆浸透膜処理装置18の入口とは、バルブ32、フィルタ16、バルブ34およびポンプ24を介して、砂ろ過処理水供給配管48により接続されている。逆浸透膜処理装置18の透過水出口には、バルブ36を介して、透過水配管50が接続され、濃縮水出口には、バルブ38を介して、濃縮水配管52が接続されている。薬剤貯槽20の出口は、ポンプ26を介して薬剤供給配管54により、原水供給配管44のポンプ22とバルブ28との間に接続されている。原水供給配管44におけるバルブ28と砂ろ過処理装置12の入口との間に、バルブ40を介して逆洗排水配管56が接続されている。逆洗用薬剤貯槽21の出口は、ポンプ27およびバルブ43を介して逆洗用薬剤供給配管55により、砂ろ過処理水配管46における砂ろ過処理装置12の出口とバルブ30との間に接続されている。砂ろ過処理水配管46におけるバルブ30と砂ろ過処理水槽14の入口との間に、バルブ42を介して砂ろ過処理水配管58が接続されている。
【0025】
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置1の動作について説明する。
【0026】
マンガンおよび鉄のうち少なくとも1つを含む被処理水である原水は、必要に応じて原水槽10に貯留された後、バルブ28,30が開状態とされ、バルブ40,42が閉状態とされて、ポンプ22により原水供給配管28を通して砂ろ過処理装置12に供給される。ここで、薬剤が薬剤貯槽20からポンプ26により薬剤供給配管54を通して原水供給配管44のポンプ22の下流側において原水に供給される(薬剤供給工程)。
【0027】
薬剤供給工程において供給される薬剤は、臭素系酸化剤、
もしくは臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、を含む、
または、臭素系酸化剤、
もしくは臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物との反応生成物を含む。
【0028】
砂ろ過処理装置12において、下向流にて砂ろ過処理が行われ、被処理水からマンガンおよび鉄のうち少なくとも1つが低減される(砂ろ過処理工程)。
【0029】
砂ろ過処理で得られた砂ろ過処理水は、砂ろ過処理水配管46を通して、必要に応じて砂ろ過処理水槽14に貯留される。砂ろ過処理水は、バルブ42を開状態として、砂ろ過処理水配管58を通して排出、サンプリングされてもよい。
【0030】
「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」とを供給する、また、これらの反応生成物を供給することで、被処理水中のマンガンおよび鉄のうち少なくとも1つを、次亜塩素酸を用いる場合に比べて幅広いpHで低減することができる。例えば、砂ろ過処理における被処理水のpH6.0以上で、被処理水中のマンガンおよび鉄のうち少なくとも1つを低減することができる。また、例えば、砂ろ過処理における被処理水のpHが中性付近(例えば、pH6.0〜9.0)であっても、被処理水中のマンガンおよび鉄のうち少なくとも1つを低減することができる。砂ろ過処理における被処理水のpHは、好ましくは6.0〜9.0の範囲であり、より好ましくは7.0〜9.0の範囲であり、さらに好ましくは7.5〜9.0の範囲である。
【0031】
砂ろ過処理装置12は、例えば中空の塔で形成され、内部に砂;マンガン砂;および二酸化マンガンを主材料とするマンガンろ材;のうちの少なくとも1つ等のろ材が充填されてろ材充填層が形成されている。被処理水が鉄を含む場合は、充填材として砂を用いればよく、被処理水がマンガンを含む場合は、充填材としてマンガン砂、および二酸化マンガンを主材料とするマンガンろ材のうちの少なくとも1つを用いればよく、被処理水がマンガンおよび鉄を含む場合は、充填材としてマンガン砂、および二酸化マンガンを主材料とするマンガンろ材のうちの少なくとも1つを用いればよい。砂ろ過処理装置12において、砂、マンガン砂、および二酸化マンガンを主材料とするマンガンろ材のうちの少なくとも1つ等のろ材は、一層または二層で充填されていることが好ましい。
【0032】
特にマンガンを低減するのに最適であるろ材として、真比重が2〜5g/cm
3、平均粒径0.3〜0.5mmのマンガン砂、および二酸化マンガンを主材料とするマンガンろ材等を挙げることができる。
【0033】
マンガン砂、および二酸化マンガンを主材料とするマンガンろ材の基材としては、特に制限はないが、被処理水へ成分が溶出しにくい基材が適当であり、具体的には二酸化マンガン単体またはマンガン酸化物でコーティングした砂、セラミック、硅砂等が好ましい。
【0034】
砂ろ過処理装置12のろ材充填層としてマンガン砂、および二酸化マンガンを主材料とするマンガンろ材のうちの少なくとも1つを用いる場合、上記薬剤が供給された被処理水が通水されることによって、または、事前に上記薬剤を含む薬剤含有水が通液されることによって、マンガン砂、および二酸化マンガンを主材料とするマンガンろ材は二酸化マンガン等のマンガン触媒の被膜が形成された活性化状態となる。このマンガン触媒によるマンガン低減のメカニズムは、一般に下記のような次亜塩素酸によるマンガン低減のメカニズムと同様と考えられている。
Mn
2++NaClO+MnO
2・H
2O+2H
2O
→ 2MnO
2・H
2O+NaCl+2H
+
安定化次亜臭素酸aを用いたメカニズムは定かではないが、上記反応と同様に薬剤によりマンガンイオンが二酸化マンガン等のマンガン触媒の被膜が形成された活性化状態によると考えられる。
【0035】
被処理水中に溶存しているマンガンMn
2+が、上記薬剤が存在する状態で、マンガン触媒MnO
2・H
2Oに接触することで、溶存マンガンMn
2+が酸化されて、マンガン触媒に付着して低減される。
【0036】
ここで、砂ろ過処理装置12のろ材充填層として充填されるろ材は、使用により閉塞、劣化することがある。そこで、所定の頻度で水、酸化剤等による再生処理が必要になる。
【0037】
マンガン触媒MnO
2・H
2Oが、使用の継続によって、MnO
2・MnO・H
2Oに還元される。マンガン触媒の再生処理では、過マンガン酸カリウム等の再生剤によって、次のように再生される。
3MnO
2・MnO・H
2O+2KMnO
4+6H
2O
→ 8MnO
2・H
2O+2KOH
【0038】
なお、再生剤としては過マンガン酸カリウムの使用が好ましいが、マンガン触媒を酸化することができるものであれば他の再生剤でもよく、例えば過マンガン酸ナトリウムを用いることも可能である。
【0039】
一方、被処理水中の鉄は上記薬剤の供給によって酸化鉄となり、砂ろ過処理工程において、砂、マンガン砂、二酸化マンガンを主材料とするマンガンろ材等の充填材によってろ過、吸着されて、低減される。
【0040】
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置では、砂ろ過処理装置12への被処理水中に、「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」と、を供給する。これにより、被処理水中で、次亜臭素酸安定化組成物が生成すると考えられる。
【0041】
また、本実施形態に係る水処理方法および水処理装置では、砂ろ過処理装置12への被処理水中に、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」、または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」である次亜臭素酸安定化組成物を供給する。
【0042】
具体的には本実施形態に係る水処理方法および水処理装置では、砂ろ過処理装置12への被処理水中に、例えば、「臭素」、「塩化臭素」または「臭化ナトリウムと次亜塩素酸との反応物」と、「スルファミン酸化合物」と、を供給する。
【0043】
また、本実施形態に係る水処理方法および水処理装置では、砂ろ過処理装置12への被処理水中に、例えば、「臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」、「塩化臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」、または「臭化ナトリウムと次亜塩素酸との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」を供給する。
【0044】
例えば、砂ろ過処理装置12への被処理水中に、「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」とを薬注ポンプ等により注入すればよい。「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」とは別々に水系に添加してもよく、または、原液同士で混合させてから水系に添加してもよい。
【0045】
または、例えば、砂ろ過処理装置12への被処理水中に、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」、または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」を薬注ポンプ等により注入すればよい。
【0046】
「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」の当量に対する「スルファミン酸化合物」の当量の比は、1以上であることが好ましく、1以上2以下の範囲であることがより好ましい。「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」の当量に対する「スルファミン酸化合物」の当量の比が1未満であると、水質基準項目に指定されている臭素酸(基準値0.01mg/L以下)が発生する場合がある。
【0047】
砂ろ過処理装置12で得られた砂ろ過処理水を、逆浸透膜(RO膜)等の分離膜を備える逆浸透膜処理装置18等の膜処理装置への給水または洗浄水として用いることも可能である。
【0048】
例えば、
図1に示すように、砂ろ過処理水は、バルブ32,34,36,38が開状態とされ、ポンプ24により、砂ろ過処理水供給配管48を通して逆浸透膜処理装置18に供給される。逆浸透膜処理装置18において、逆浸透膜により逆浸透膜処理される(逆浸透膜処理工程)。
【0049】
逆浸透膜処理装置18等の、分離膜を備える膜処理装置前に安全フィルタとしてフィルタ16を設けることが好ましい。安全フィルタにより、砂ろ過処理水中の濁質等の不溶化物質を低減し、分離膜の劣化を防ぐことが可能である。
【0050】
逆浸透膜処理で得られた透過水は、透過水配管50を通して排出され、濃縮水は濃縮水配管52を通して排出される。透過水は、供給先へ供給され、またはさらに後段の処理設備へ供給されてもよい。
【0051】
逆浸透膜等の分離膜に接触する有効ハロゲン濃度は有効塩素濃度換算で、0.01〜100mg/Lであることが好ましい。0.01mg/L未満であると、十分なスライム抑制効果を得ることができない場合があり、100mg/Lより多いと、分離膜の劣化、配管等の腐食を引き起こす可能性がある。
【0052】
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置では、上記薬剤を被処理水に添加することによって、砂ろ過処理装置12の後段の逆浸透膜等の分離膜の性能をほとんど劣化させることなく、微生物による膜汚染を確実に抑制することができる。本実施形態に係る水処理方法および水処理装置により、被処理水に含まれるマンガンおよび鉄のうち少なくとも1つの低減処理を行うことができ、砂ろ過処理装置および逆浸透膜処理装置等の膜分離装置の高いスライム抑制効果を有しながら、膜性能、後段水質への影響を最小限に抑えたスライム抑制処理が可能となる。
【0053】
砂ろ過処理装置12による砂ろ過処理水における上記薬剤の有効ハロゲン濃度が有効塩素濃度換算で0.01mg/L未満であるか、または十分なスライム抑制効果を得ることができない場合は、上記薬剤を逆浸透膜処理装置等の膜分離装置の前段等において、追加で添加してもよい。
【0054】
上記薬剤における臭素系酸化剤としては、臭素(液体臭素)、塩化臭素、次亜臭素酸、臭素酸、臭素酸塩等が挙げられる。
【0055】
これらのうち、臭素を用いた「臭素とスルファミン酸化合物」または「臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」の製剤は、「次亜塩素酸と臭素化合物とスルファミン酸」の製剤および「塩化臭素とスルファミン酸」の製剤等に比べて、RO膜等をより劣化させず、RO透過水等の膜透過水への有効ハロゲンのリーク量がより少ないため、RO膜等の分離膜用スライム抑制剤としてはより好ましい。
【0056】
すなわち、本実施形態に係る水処理方法および水処理装置は、砂ろ過処理装置12への被処理水中に、臭素と、スルファミン酸化合物とを供給することが好ましい。また、砂ろ過処理装置12への被処理水中に、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を存在させることが好ましい。
【0057】
臭素化合物としては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化アンモニウムおよび臭化水素酸等が挙げられる。これらのうち、製剤コスト等の点から、臭化ナトリウムが好ましい。
【0058】
塩素系酸化剤としては、例えば、塩素ガス、二酸化塩素、次亜塩素酸またはその塩、亜塩素酸またはその塩、塩素酸またはその塩、過塩素酸またはその塩、塩素化イソシアヌル酸またはその塩等が挙げられる。これらのうち、塩としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム等の次亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム等の亜塩素酸アルカリ金属塩、亜塩素酸バリウム等の亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ニッケル等の他の亜塩素酸金属塩、塩素酸アンモニウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム等の塩素酸アルカリ金属塩、塩素酸カルシウム、塩素酸バリウム等の塩素酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらの塩素系酸化剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩素系酸化剤としては、取り扱い性等の点から、次亜塩素酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
【0059】
スルファミン酸化合物は、以下の一般式(1)で示される化合物である。
R
2NSO
3H (1)
(式中、Rは独立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基である。)
【0060】
スルファミン酸化合物としては、例えば、2個のR基の両方が水素原子であるスルファミン酸(アミド硫酸)の他に、N−メチルスルファミン酸、N−エチルスルファミン酸、N−プロピルスルファミン酸、N−イソプロピルスルファミン酸、N−ブチルスルファミン酸等の2個のR基の一方が水素原子であり、他方が炭素数1〜8のアルキル基であるスルファミン酸化合物、N,N−ジメチルスルファミン酸、N,N−ジエチルスルファミン酸、N,N−ジプロピルスルファミン酸、N,N−ジブチルスルファミン酸、N−メチル−N−エチルスルファミン酸、N−メチル−N−プロピルスルファミン酸等の2個のR基の両方が炭素数1〜8のアルキル基であるスルファミン酸化合物、N−フェニルスルファミン酸等の2個のR基の一方が水素原子であり、他方が炭素数6〜10のアリール基であるスルファミン酸化合物、またはこれらの塩等が挙げられる。スルファミン酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、マンガン塩、銅塩、亜鉛塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩等の他の金属塩、アンモニウム塩およびグアニジン塩等が挙げられる。スルファミン酸化合物およびこれらの塩は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。スルファミン酸化合物としては、環境負荷等の点から、スルファミン酸(アミド硫酸)を用いるのが好ましい。
【0061】
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置において、被処理水中にさらにアルカリを存在させてもよい。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ等が挙げられる。低温時の製品安定性等の点から、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとを併用してもよい。また、アルカリは、固形でなく、水溶液として用いてもよい。
【0062】
砂ろ過処理装置12への被処理水中に上記薬剤以外に、濁質低減のための凝集剤等を添加してもよい。凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム(PAC)が好適であるが、他のアルミ系や鉄系凝集剤を利用することもでき、必要に応じてpH調整剤を添加するとよい。さらに凝集助剤として高分子凝集剤を添加してもよい。
【0063】
砂ろ過処理装置12の前段、および分離膜による膜処理装置の前段のうち少なくとも1つにおいて、スケール分散剤を添加してもよい。膜処理、特に逆浸透膜処理において濃縮運転することにより、膜モジュールを減らし、さらにそれに伴うポンプ、熱交換器等の縮小による、コストの削減、また環境への負荷の軽減することが望まれている。しかし、高濃縮運転に伴い、溶存しているシリカおよび硬度(カルシウム塩およびマグネシウム塩等)のスケール形成が、水系および膜面上などに析出しやすくなり、その結果、配管へのスケール付着や分離スキン層の閉塞等が発生する場合がある。中でも、珪酸カルシウムや珪酸マグネシウム等のシリカ系スケールは硬質で、酸やアルカリ等による通常の薬品洗浄では洗浄効果が弱いことから、一旦スケールを生成してしまうと低減するのが困難であるためである。
【0064】
スケール分散剤としては、ホスホン酸塩や重合燐酸塩、ポリアクリル酸やその塩、ポリマレイン酸やその塩、アクリルアミド系重合体とアクリル酸系重合体、(メタ)アクリル酸および/又はその塩の単量体単位、(メタ)アクリルアミド−アルキル−および/又はアリール−スルホン酸および/又はその塩の単量体単位、および置換(メタ)アクリルアミドの単量体単位からなる水溶性共重合体等が挙げられる。
【0065】
膜ろ過装置の分離膜としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製、ポリエーテルスルホン(PES)製、ピペラジンアミド製、酢酸セルロース製、ポリアミド製等の有機系等の逆浸透膜(RO膜)、ナノろ過膜(NF膜)、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)等が挙げられる。これらのうち、特に有機系の逆浸透膜(RO膜)に、本実施形態に係る水処理方法および水処理装置を好適に適用することができる。また、逆浸透膜として昨今主流であるポリアミド系高分子膜に本実施形態に係る水処理方法および水処理装置を好適に適用することができる。ポリアミド系高分子膜は、酸化剤に対する耐性が比較的低く、遊離塩素等をポリアミド系高分子膜に連続的に接触させると、膜性能の著しい低下が起こる。しかしながら、本実施形態に係る水処理方法および水処理装置ではポリアミド高分子膜においても、このような著しい膜性能の低下はほとんど起こらない。
【0066】
砂ろ過処理装置12の洗浄が必要になった場合、バルブ43,40を開状態、バルブ28,30を閉状態として、逆洗用薬剤貯槽21から逆洗用薬剤がポンプ27により逆洗用薬剤供給配管55を通して砂ろ過処理装置12に上向流にて供給され、逆洗が行われる(逆洗工程)。逆洗排水は、逆洗排水配管56を通して砂ろ過処理装置12から排出される。逆洗用薬剤としては、例えば、上記薬剤、次亜塩素酸、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。なお、上記逆洗用薬剤の代わりに砂ろ過処理水槽14の砂ろ過処理水を逆洗工程における洗浄水として用いてもよい。
【0067】
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置は、例えば、地下水、河川、湖、池、および雨水等を処理対象とする。
【0068】
<水処理用組成物>
本実施形態に係る水処理用組成物は、「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」とを含有するものであり、さらにアルカリを含有してもよい。
【0069】
また、本実施形態に係る水処理用組成物は、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」、または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」を含有するものであり、さらにアルカリを含有してもよい。
【0070】
臭素系酸化剤、臭素化合物、塩素系酸化剤およびスルファミン酸化合物については、上述した通りである。
【0071】
本実施形態に係る水処理用組成物としては、配管等の金属材料に対する腐食性が低く、臭素酸の副生が少ない等の点から、臭素と、スルファミン酸化合物とを含有するもの、または、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を含有するものが好ましい。
【0072】
本実施形態に係る水処理用組成物は、クロロスルファミン酸等の結合塩素系スライム抑制剤と比較すると、酸化力が高く、スライム抑制力、スライム剥離力が著しく高い。
【0073】
本実施形態に係る水処理用組成物は、次亜塩素酸等の酸化剤とは異なり、逆浸透膜等の分離膜をほとんど劣化させない。また、次亜塩素酸等と同様に現場で濃度を測定することができるため、より正確な濃度管理が可能である。
【0074】
組成物のpHは、例えば、13.0超であり、13.2超であることがより好ましい。組成物のpHが13.0以下であると組成物中の有効ハロゲンが不安定になる場合がある。
【0075】
ろ過処理用組成物中の臭素酸濃度は、5mg/kg未満であることが好ましい。ろ過処理用組成物中の臭素酸濃度が5mg/kg以上であると、処理水の水質が悪化する場合がある。
【0076】
<水処理用組成物の製造方法>
本実施形態に係る水処理用組成物は、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを混合する、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物とを混合することにより得られ、さらにアルカリを混合してもよい。
【0077】
臭素と、スルファミン酸化合物とを含有する水処理用組成物、または、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を含有する水処理用組成物の製造方法としては、水、アルカリおよびスルファミン酸化合物を含む混合液に臭素を不活性ガス雰囲気下で添加して反応させる工程を含むことが好ましい。不活性ガス雰囲気下で添加して反応させることにより、組成物中の臭素酸イオン濃度がより低くなり、好ましい。
【0078】
用いる不活性ガスとしては限定されないが、製造等の面から
窒素およびアルゴンのうち少なくとも1つが好ましく、特に製造コスト等の面から窒素が好ましい。
【0079】
臭素の添加の際の反応器内の酸素濃度は6%以下が好ましいが、4%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1%以下が特に好ましい。臭素の反応の際の反応器内の酸素濃度が6%を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合がある。
【0080】
臭素の添加率は、組成物全体の量に対して25重量%以下であることが好ましく、1重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。臭素の添加率が組成物全体の量に対して25重量%を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合がある。1重量%未満であると、殺菌力が劣る場合がある。
【0081】
臭素添加の際の反応温度は、0℃以上25℃以下の範囲に制御することが好ましいが、製造コスト等の面から、0℃以上15℃以下の範囲に制御することがより好ましい。臭素添加の際の反応温度が25℃を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合があり、0℃未満であると、凍結する場合がある。
【実施例】
【0082】
本発明の実施の形態について以下に説明する。本実施の形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0083】
以後の実施例、比較例において、有効ハロゲン濃度は、試料を希釈し、HACH社の多項目水質分析計DR/4000を用いて、有効全塩素測定法(DPD(ジエチル−p−フェニレンジアミン)法)により測定した値(mg/L asCl
2)である。なお、ここで言う有効ハロゲンとは有効全塩素測定法(DPD法)により測定した値とする。また有効塩素濃度より、塩素換算の有効ハロゲン濃度である有効臭素濃度(mg/L asCl
2)を算出することができ、有効全塩素測定法(DPD法)による測定値に2.25(159.8(g/mol)/70.9(g/mol))を掛けた値で計算することができる(塩素(Cl
2)の分子量は70.9(g/mol)、臭素(Br
2)の分子量は159.8(g/mol)とする。)。濁度は、HACH社の多項目水質分析計DR/2800を用いて光度測定法により測定した。有効ハロゲン残存率(%)は、25℃、遮光下で30日間保存したあとの有効ハロゲン濃度を測定し、製剤化直後の有効ハロゲン濃度に対する残存率を算出した。
【0084】
<安定化次亜臭素酸組成物の調製>
[安定化次亜臭素酸組成物aの調製]
窒素雰囲気下で、液体臭素:16.9重量%(wt%)、スルファミン酸:10.7重量%、水酸化ナトリウム:12.9重量%、水酸化カリウム:3.94重量%、水:残分を混合して、組成物を調製した。組成物のpHは14、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)は7.5重量%であった。安定化次亜臭素酸組成物の詳細な調製方法は以下の通りである。
【0085】
反応容器内の酸素濃度が1%に維持されるように、窒素ガスの流量をマスフローコントローラでコントロールしながら連続注入で封入した2Lの4つ口フラスコに1436gの水、361gの水酸化ナトリウムを加え混合し、次いで300gのスルファミン酸を加え混合した後、反応液の温度が0〜15℃になるように冷却を維持しながら、473gの液体臭素を加え、さらに48%水酸化カリウム溶液230gを加え、組成物全体の量に対する重量比でスルファミン酸10.7%、臭素16.9%、臭素の当量に対するスルファミン酸の当量比が1.04である、目的の組成物aを得た。生じた溶液のpHは、ガラス電極法にて測定したところ、14であった。生じた溶液の臭素含有率は、臭素をヨウ化カリウムによりヨウ素に転換後、チオ硫酸ナトリウムを用いて酸化還元滴定する方法により測定したところ16.9%であり、理論含有率(16.9%)の100.0%であった。また、臭素反応の際の反応容器内の酸素濃度は、株式会社ジコー製の「酸素モニタJKO−02 LJDII」を用いて測定した。なお、臭素酸濃度は5mg/kg未満であった。
【0086】
なお、pHの測定は、以下の条件で行った。
電極タイプ:ガラス電極式
pH測定計:東亜ディーケーケー社製、IOL−30型
電極の校正:関東化学社製中性リン酸塩pH(6.86)標準液(第2種)、同社製ホウ酸塩pH(9.18)標準液(第2種)の2点校正で行った
測定温度:25℃
測定値:測定液に電極を浸漬し、安定後の値を測定値とし、3回測定の平均値
【0087】
[安定化次亜臭素酸組成物bの調製]
臭化ナトリウム:11重量%、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液:50重量%、スルファミン酸ナトリウム:14重量%、水酸化ナトリウム:8重量%、水:残分を混合して、組成物を調製した。組成物のpHは14、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)は6重量%であった。実施例2の組成物の詳細な調製方法は以下の通りである。
【0088】
反応容器に17gの水を入れ、11gの臭化ナトリウムを加え撹拌して溶解させた後、50gの12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を加え混合し、次いで14gのスルファミン酸ナトリウムを加え撹拌して溶解させた後、8gの水酸化ナトリウムを加え撹拌し溶解させて目的の組成物bを得た。
【0089】
<ろ材活性化方法>
マンガン砂であるフェレサイトAH(オルガノ株式会社製) 約400mLをビーカーに入れ、超純水1000mLを注入後、撹拌棒で緩やかに撹拌し、微粉を水層側に移し、上澄みを静かに流し捨てる操作を数回繰り返して、微粉を洗い流した。
【0090】
得られたマンガン砂を、安定化次亜臭素酸組成物a 100mg/L asCl
2の溶液1L中に浸し、撹拌棒で緩やかに撹拌した。2時間程度ろ材を浸漬した後、上澄みを流し捨てた。安定化次亜臭素酸組成物a 10mg/L asCl
2の溶液1L中に浸し、一晩(20時間)放置した。その後、ろ過、105±5℃で3時間乾燥して、安定化次亜臭素酸組成物aで活性化したマンガン砂を得た。
【0091】
安定化次亜臭素酸組成物aの代わりに、安定化次亜臭素酸組成物bまたは次亜塩素酸ナトリウムを10mg/L asCl
2溶液1Lを用いた以外は、同様にして、安定化次亜臭素酸組成物bで活性化したマンガン砂、次亜塩素酸ナトリウムで活性化したマンガン砂をそれぞれ得た。
【0092】
<実施例1および比較例1:ビーカー試験方法>
脱塩素した相模原井水を1Lビーカーに500mL測り入れ、上記安定化次亜臭素酸組成物a、および次亜塩素酸ナトリウムが1mg/L asCl
2となるよう添加した。上記ろ材活性化方法にて活性化した安定化次亜臭素酸組成物aで活性化したマンガン砂、次亜塩素酸ナトリウムで活性化したマンガン砂をそれぞれ5g測り取り、上記の別々のビーカーに添加した。塩化マンガンが1000μg−Mn/Lとなるよう添加し、塩酸を用いてpHが表1に示す所定値となるように調整した。350rpmで撹拌し、45分後にサンプリングして、ICP発光分光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPS3100型)を用いてマンガン濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
安定化次亜臭素酸組成物aは、pH7.5〜9.0において、次亜塩素酸ナトリウムと比較して、マンガンの高い低減性能を示し、特に、pH8.0〜9.0において、次亜塩素酸ナトリウムと比較して、マンガンの高い低減性能を示した。
【0095】
<実施例2:ろ過試験方法>
上記ろ材活性化方法により活性化した安定化次亜臭素酸組成物aで活性化したマンガン砂、安定化次亜臭素酸組成物bで活性化したマンガン砂をそれぞれタッピングしながら、別々のカラム(直径20mm×高さ1000mm)に層高500mmに充填し、逆洗(LV25m/h以上、逆洗時間10〜15分)して、バッチ洗浄により低減できなかった微粉を洗い流した。再度タッピングし、層高が足りない場合活性化したマンガン砂を継ぎ足した。さらに、逆洗によりろ材の微粉を洗い流すため、LV25m/h以上、10〜15分で逆洗通水した。
【0096】
次に、安定化次亜臭素酸組成物aまたは安定化次亜臭素酸組成物bをそれぞれのカラムに遊離塩素濃度100mg/L asCl
2でSV10/hで1時間通水した。処理水に残留塩素が検出し始めたら原水の塩素濃度を50,10,1mg/L asCl
2と徐々に減らして通水した。原水の臭素濃度1mg/L asCl
2が、処理水に有効残留塩素濃度として0.9mg/L asCl
2以上で検出されることを確認した。
【0097】
逆洗によりろ材の微粉を洗い流すため、LV25m/h以上、10〜15分で逆洗通水した。
【0098】
脱塩素した相模原井水に、100μg/Lとなるように塩化マンガンと、安定化次亜臭素酸組成物aまたは安定化次亜臭素酸組成物bを1.0mg/L asCl
2となるようにそれぞれ添加し、pHが表2に示す所定の値となるように、水酸化ナトリウム水溶液または塩酸で調整した。
【0099】
調製した溶液中の遊離塩素が0.89mg/L asCl
2であることを確認し、5時間後のろ過水、および原水をICP発光分光分析装置によりマンガン濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0100】
なお、実験条件は、次の通りである。
【0101】
[実験条件]
・平均供給水マンガン濃度:100μg/L
・充填ろ材層高:500mm
・充填ろ材断面積:314mm
2
・次亜塩素酸ナトリウム添加量(有効塩素濃度):0.89mg−Cl
2/L
【0102】
【表2】
【0103】
安定化次亜臭素酸組成物aおよび安定化次亜臭素酸組成物bにより、pH6〜9の幅広いpHで被処理水中のマンガンを定量下限値以下(5μg/L以下)まで低減することができた。
【0104】
このように、臭素系酸化剤、
もしくは臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、を含む、
または、臭素系酸化剤、
もしくは臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物との反応生成物を含む薬剤を用いることにより、幅広いpHで被処理水中のマンガンおよび鉄のうち少なくとも1つを低減することができることがわかった。
【0105】
<実施例3:分離膜試験方法>
分離膜装置への給水のpHによる透過水量、および膜排除率への影響を比較した。
・試験装置:平膜試験装置
・膜:日東電工(株)製 ポリアミド系高分子逆浸透膜 ES20
・運転圧力:0.75MPa
・原水:相模原井水(pH7.2、導電率240μS/cm)
・薬剤:上記安定化次亜臭素酸組成物aを、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)として1mg/L asCl
2となるように添加(DPD法により測定)
・pH:表3に記載
【0106】
[評価方法]
・逆浸透膜の排除率への影響:120時間通水後の導電率排除率(%)
(100−[透過水伝導率/給水伝導率]×100)
・透過水への影響:24時間通水後の透過水量の保持率(%,対初期値)
【0107】
本実施例の結果を表3に示す。
【0108】
【表3】
【0109】
実施例3−1〜3−10では、排除率の低下はほとんど認められず、逆浸透膜の劣化が抑制された(120時間後のRO膜の排除率が99%以上)。特に実施例3−3〜3−10(pH5.5〜9.0)では透過率の顕著な低下も認められず(24時間通水後に、逆浸透膜の透過水量を初期値の80%以上保持)、実施例3−4〜3−10(pH6.0〜9.0)では透過率の顕著な低下も認められなかった(24時間通水後に、逆浸透膜の透過水量を初期値の90%以上保持)。一方、実施例3−1および3−2では排除率の低下はほとんど認められず、逆浸透膜の劣化は抑制されたものの、透過水量がやや低下した。
【0110】
<実施例4および比較例4>
[RO膜排除率への影響、透過水への影響、酸化力の比較試験]
以下の条件で、逆浸透膜装置の原水に、上記安定化次亜臭素酸組成物a(実施例4−1)、安定化次亜臭素酸組成物b(実施例4−2)、次亜塩素酸ナトリウム(比較例4−1)をそれぞれ添加して、RO膜の排除率への影響、透過水への影響、酸化力を比較した。
【0111】
(試験条件)
・試験装置:平膜試験装置
・分離膜:日東電工(株)製、ポリアミド系高分子逆浸透膜 ES20
・運転圧力:0.75MPa
・原水:相模原井水(pH7.2、導電率240μS/cm)
・薬剤:安定化次亜臭素酸組成物a,b、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)として10mg/Lとなるように添加
【0112】
(評価方法)
・RO膜の排除率への影響:30日通水後の導電率排除率(%)
(100−[透過水導電率/給水導電率]×100)
・透過水への影響:薬剤添加1時間後の透過水中の有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度、mg/L)を、残留塩素測定装置(Hach社製、「DR−4000」)を使用してDPD法により測定
・酸化力:1時間後の給水の酸化還元電位(ORP)を、酸化還元電位測定装置(東亜DKK製、RM−20P型ORP計)を使用して測定
【0113】
[殺菌力の比較試験]
以下の条件で、模擬水に安定化次亜臭素酸組成物a,b、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加して、殺菌力を比較した。
【0114】
(試験条件)
・水:相模原井水に普通ブイヨンを添加し、一般細菌数が10
5CFU/mlとなるよう調整した模擬水
・薬剤:安定化次亜臭素酸組成物a,b、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)として1mg/Lとなるよう添加(有効ハロゲン濃度の測定方法:残留塩素測定装置(Hach社製、「DR−4000」)を使用してDPD法により測定)
【0115】
(評価方法)
・薬剤添加後24時間後の一般細菌数を、菌数測定キット(三愛石油製、バイオチェッカーTTC)を使用して測定
【0116】
試験結果を表4に示す。
【0117】
【表4】
【0118】
安定化次亜臭素酸組成物a,bは、高いRO膜の排除率を保持し、透過水の有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)も低く、酸化力、殺菌力も高かった。安定化次亜臭素酸組成物aが、特に高いRO膜の排除率を保持し、透過水の有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)が最も低かった。
【0119】
次亜塩素酸ナトリウムは、酸化力、殺菌力は高いものの、RO膜の排除率が低下し、透過水の有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)も高かった。