(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と呼ぶ)について説明する。なお、本明細書の開示は本発明の一例にすぎず、本発明の主旨を保った適宜変更であって当業者が容易に想到し得るものは本発明の範囲に含まれる。また、図で示す各部の幅、厚さ及び形状等は模式的に表されており、本発明の解釈を限定するものではない。
【0010】
[1.表示装置の外観]
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置1の外観を示す斜視図である。シート状に形成される表示装置1は可撓性を有し、たわんだ状態であっても、表示装置1の表面に設けられた表示領域5に画像を表示することが可能である。
【0011】
[2.表示装置の構成]
図2は、表示装置1の構成の一例を示す断面図であり、その切断面は
図1のII−II線で示されている。同図に示すように、表示装置1は、第1絶縁基板10の上方(
図2においては、Z2方向)に、第1バリア層11と、回路層30と、平坦化層40と、自発光素子層50と、充填層60と、オーバーコート層70と、カラーフィルタ層80と、第2バリア層21と、第2絶縁基板20と、が積層されている。また、第1絶縁基板10の外面には、保護フィルム13が両面粘着シート12を介して貼り付けられている。
【0012】
自発光素子層50は、表示領域5(
図1参照)に表示される画像(以降、表示画像とも呼ぶ)を構成する複数の単位画素の光を出射する。自発光素子層50は、例えば、
図2に示すように、電荷輸送層や電荷注入層、発光層などが積層された有機層53を含んで形成されている。単位画素の光は、有機層53に電流が流れることによって出射される。
【0013】
本実施形態に係る表示装置1は、トップエミッション方式を採用している。即ち、自発光素子層50は、第1絶縁基板10とは反対の方向に(即ち、第2絶縁基板20が配置される方向に)発光するように設けられている。このため、自発光素子層50の上方に配置される充填層60と、オーバーコート層70と、カラーフィルタ層80と、第2バリア層21と、第2絶縁基板20は、それぞれ、光を透過する材料(例えば、透明な材料や、所与の色に着色された半透明な材料)により形成される。
【0014】
また、自発光素子層50では、画素電極52と、バンク層51とが形成された表面を覆うように、有機層53が形成され、さらに有機層53の表面を覆うように、共通電極54と、封止層55とが形成されている。
【0015】
バンク層51は、樹脂などの絶縁体により形成され、複数の単位画素のそれぞれの外周を囲うように配置される。このようにバンク層51を配置することで、単位画素ごとに隣接する画素電極52同士の接触を防止している。
【0016】
画素電極52は、所与の導電材料により形成され、単位画素間で互いに切り離されるように加工(例えば、エッチング処理)されている。本実施形態のように、表示装置1がトップエミッション方式を採用する場合、画素電極52は、金属(例えばAg)などの光を反射する材料を含んでいてもよい。
【0017】
共通電極54は、例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)やIZO(インジウム亜鉛酸化物)などから形成されるが、透明な導電材料であればこれに限定されない。なお、有機層53と共通電極54は、表示領域5における全ての単位画素に跨って配置されてもよい。
【0018】
封止層55は、例えば、SiOxやSiNyなどの無機材料により形成されるが、透明な材料であればこれに限定されない。封止層55は、共通電極54の上側を覆うように配置され、共通電極54や有機層53への酸素や水分の侵入を防止する。
【0019】
自発光素子層50の上方には、カラーフィルタ層80が形成されている。カラーフィルタ層80には、複数の単位画素ごとに、予め定められた色で光を透過するカラーフィルタ81が設けられている。より具体的には、カラーフィルタ層80には、赤色で光を透過するカラーフィルタ81Rと、緑色で光を透過するカラーフィルタ81Gと、青色で光を透過するカラーフィルタ81Bが形成されている。即ち、カラーフィルタ層80は、赤色、緑色、青色のそれぞれの色に光を着色して、表示画像を構成する各単位画素の光を照射する。
【0020】
自発光素子層50と第1絶縁基板10との間には、平坦化層40と、回路層30が積層されている。平坦化層40は、樹脂などの絶縁体により形成され、平坦化層40には、後述する駆動配線32の一部と接する箇所でコンタクトホールが形成されている。このコンタクトホールを介して、画素電極52と駆動配線32が接続されている。
【0021】
回路層30は、表示領域5における画像表示を制御するための回路部31を含んで形成される。回路部31は、TFT(薄膜トランジスタ)や容量を含み、画素電極52に対する電流供給を制御する。より具体的には、回路部31に含まれる駆動TFTがON状態となることにより、駆動TFTに接続される駆動配線32と、これに電気的に接続している画素電極52、有機層53、及び、共通電極54にそれぞれ電流が流れて、有機層53から画素の光が出射される。
【0022】
自発光素子層50は、表示画像を構成する複数の単位画素のそれぞれで輝度が制御されるように配置される。より具体的には、複数の単位画素ごとに設けられた各画素電極52に供給される電流量が制御されることで、各単位画素の光の輝度は制御される。
【0023】
また、自発光素子層50において、表示領域5の外側(具体的には、カラーフィルタ81が配置される領域の外側)には、所与の導電材料により形成される導電部56が配置されている。
図2に示すように、導電部56は、画素電極52と同じ層に配置され、表示領域5の外側に延在する共通電極54と電気的に接続している。導電部56を構成する材料の抵抗値は、共通電極54を構成する材料の抵抗値よりも小さいものであることが好ましい。有機層53を流れた電流は共通電極54に達し、導電部56を介して引き抜かれる。また、導電部56と同じ層を用いて、表示領域内に、共通電極54と部分的に接続するように、共通電極54の補助配線を設けてもよい。補助配線は、共通電極54全体の電気抵抗の増大を防ぎ、有機層53を流れる電流量を面内で安定させることが可能である。
【0024】
自発光素子層50とカラーフィルタ層80との間には、充填層60と、オーバーコート層70が積層されている。充填層60は、例えば、堰として機能するシール材61に囲まれた箇所に、透明な充填材が流し込まれることで形成される。オーバーコート層70は、例えば、所与の有機材料により形成され、カラーフィルタ81に含まれる染料の拡散を防止する。また、充填層60は、表示装置1の分断を阻害しない限りは、シール材61を用いることなく全面に塗布形成されていてもよい。
【0025】
自発光素子層50の下側には、第1絶縁基板10が形成されている。また、自発光素子層50の上側(即ち、自発光素子層50の発光する側)には、第2絶縁基板20が形成されている。第1絶縁基板10及び第2絶縁基板20は可撓性を有し、上下方向への曲げや左右方向の伸びをある程度許容する。第1絶縁基板10及び第2絶縁基板20の材料は、例えば、ポリイミドとしてよいが、可撓性を有し、第2絶縁基板20に用いる場合は透明なものであれば、これに限定されない。第1絶縁基板10は、不透明であってもよい。
【0026】
第1絶縁基板10と回路層30の間には、第1バリア層11が形成されている。また、第2絶縁基板20とカラーフィルタ層80の間には、第2バリア層21が形成されている。第1バリア層11及び第2バリア層21は、例えば、SiOxやSiNyなどの無機材料により形成され、自発光素子層50や回路層30などへの空気や水分の侵入を防止する。なお、第2バリア層21は透明であればよく、公知の他の材料により形成されてよい。また、第1バリア層11は、不透明であってもよい。
【0027】
第1絶縁基板10の下には、両面で粘着する両面粘着シート12を介して、保護フィルム13が貼り付けられている。保護フィルム13は、例えば、PETを材料として形成され、第1絶縁基板10の表面を傷や汚れから防護する。また、本実施形態では、保護フィルム13は、第1絶縁基板10又は第2絶縁基板20の膜厚よりも厚くなるように形成される。このように保護フィルム13の膜厚を厚くすることで、表示装置1の曲げや伸びに対する抵抗力が強まるため、表示装置1が過度に折れ曲がることを防止し、表示装置1の割れや装置全体の劣化を防ぐことが可能になる。なお、保護フィルム13は、不透明であってもよい。
【0028】
[3.両面粘着シートの形状]
従来の両面粘着シートは、第1絶縁基板10の表面を覆うように矩形状に形成されるため、両面粘着シートと保護フィルム13との間に気泡が入り込むと、その気泡を外方向に押し出すことが困難となり、保護フィルム13の内側に気泡が残ってしまう場合があった。そこで、本実施形態では、両面粘着シート12に、保護フィルム13との間の気泡を外側に押し出すことが可能な形状を採用している。
【0029】
図3は、両面粘着シート12の形状の一例を示す図である。同図に示すように、両面粘着シート12は、第1骨格部121と、複数の第2骨格部122と、を含んでいる。第1骨格部121は、第1絶縁基板10及び保護フィルム13のいずれかの幅の方向(
図3においては、Y軸方向)に途切れなく延びている。また、第2骨格部122は、第1骨格部121の長さ軸に交差する方向(
図3においては、X軸方向)に、第1骨格部121から途切れなく延びている。第1骨格部121、及び第2骨格部122が、両面に粘着性(即ち、粘着部)を有している。
【0030】
より具体的には、第1骨格部121は、両面粘着シート12に外接する最小面積の矩形124の対向する一対の辺の間(
図3においては、Y1方向に位置する辺とY2方向に位置する辺との間)に途切れなく延在している。また、複数の第2骨格部122は、矩形124の他の一対の辺の間(
図3においては、X1方向に位置する辺とX2方向に位置する辺との間)に、第1骨格部121の一部を介して途切れなく延在している。また、本実施形態では、第1骨格部121は、両面粘着シート12に外接する矩形124の一辺(
図3においては、X1方向に位置する辺)と隣接して延在し、複数の第2骨格部122は、第1骨格部121の片側のみから延在している。
【0031】
このように、両面粘着シート12は、両面粘着シート12に外接する矩形124の端から端まで連続して延在する部分を有することで、表示装置1の曲げに対する抵抗力を確保している。即ち、両面粘着シート12は、表示装置1が過度に折れ曲がることを防止して、表示装置1の割れや装置全体の劣化を防いでいる。
【0032】
また、両面粘着シート12において、隣同士の第2骨格部122の間には、外方向(
図3においては、X2方向)に開口するように、スリット123が形成されている。スリット123は、対象物と保護フィルム13との間で粘着性をもたない部分(即ち、非粘着部)となる。このように、両面粘着シート12は、第1骨格部121から矩形124の端まで途切れなく延在するスリット123を有することで、保護フィルム13と両面粘着シート12との間の気泡を外方向に押し出せるようにしている。
【0033】
[4.表示装置の製造方法]
以下では、表示装置1の製造方法を説明する。本製造方法では、第1絶縁基板10の上に、第1バリア層11、回路層30、平坦化層40、自発光素子層50、充填層60、オーバーコート層70、カラーフィルタ層80、第2バリア層21、第2絶縁基板20が順次積層される構造体(
図2参照)を用意する。また、本製造方法では、両面粘着シート12を介して、第1絶縁基板10の下側に保護フィルム13を貼り付ける。
【0034】
図4は、第1絶縁基板10に保護フィルム13を貼り付ける工程の一例を示す図である。同図に示すように、第1絶縁基板10に保護フィルム13を貼り付ける工程では、両面粘着シート12のスリット123から気泡を押し出しながら、第1絶縁基板10及び保護フィルム13を圧着する。より具体的には、本工程では、両面粘着シート12の第1骨格部121に保護フィルム13を貼り付けた後に、第1骨格部121から複数の第2骨格部122の先端方向に(
図4においては、X2方向に)保護フィルム13を押ししごくことにより、スリット123を介して両面粘着シート12の外方向に(例えば、
図4に示す矢印の方向に)気泡を押し出す。
【0035】
このように、本実施形態では、両面粘着シート12と保護フィルム13との間に入り込んだ気泡がスリット123を介して外方向に押し出されるため、保護フィルム13と両面粘着シート12との間に気泡を残しにくくすることができる。また、このようにすることで、表示装置1の表面に余計な凹凸が発生することを防ぎ、最終的な製品として適切な形状に表示装置1を形成することが可能となる。
【0036】
なお、保護フィルム13が透明である場合、保護フィルム13の外側からは、両面粘着シート12のスリット123の縁が、表示装置1の幅の方向に沿って伸びる線として視認される。このため、画像を表示する側、即ち、自発光素子層50の発光する側である第2絶縁基板20の上には用いないようにすることが望ましい。
【0037】
[5.変形例]
本発明は以上説明した実施形態に限られず、種々の変更がなされてよい。以下では、本発明を実施するための他の形態の例(変形例)について説明する。
【0038】
[5−1.変形例(1)]
図5は、両面粘着シート(12−2)の形状の変形例(1)を示す図である。実施形態では、両面粘着シート12の複数の第2骨格部122が、第1骨格部121の片側のみから延在している場合について説明したが、
図5に示すように、第1骨格部(121−2)は、第1絶縁基板10のX軸方向の幅に対して中央に配置されてもよく、複数の第2骨格部(122−2)は、第1骨格部(121−2)の両側から延在していてもよい。
【0039】
また、
図5に示すように、第1骨格部(121−2)の両側の一方(例えば、第1骨格部(121−2)のX1方向側)から延在する第2骨格部(122−2)と、第1骨格部(121−2)の両側の他方(例えば、第1骨格部(121−2)のX2方向側)から延在する第2骨格部(122−2)とは、平行に延在してもよい。
【0040】
図6は、第1絶縁基板10に保護フィルム13を貼り付ける工程の変形例(1)を示す図である。同図に示すように、本工程では、両面粘着シート12の第1骨格部(121−2)のうちの一方の端(例えば、Y2方向側の端)に保護フィルム13を貼り、その端から他方の端(例えば、Y1方向側の端)に進行するように保護フィルム13を貼り合わせながら、各第2骨格部(122−2)の先端方向に保護フィルム13を押ししごく。このように中央からX1方向及びX2方向に保護フィルム13を押ししごくことにより、各スリット(123−2)を介して、両面粘着シート(12−2)の外方向に気泡を押し出すことが可能である。即ち、本変形例においても、保護フィルム13の内側に気泡を残しにくくすることが可能である。
【0041】
[5−2.変形例(2)]
図7は、両面粘着シート(12−3)の形状の変形例(2)を示す図である。同図に示すように、第1骨格部(121−3)の両側の一方(例えば、第1骨格部(121−3)のX1方向側)から延在する第2骨格部(122−3)と、第1骨格部(121−3)の両側の他方(例えば、第1骨格部(121−3)のX2方向側)から延在する第2骨格部(122−3)とは、第1骨格部(121−3)の長さ軸を対称軸として線対象になる方向に延在していてもよい。即ち、X1方向側の第2骨格部(122−3)と、X2方向側の第2骨格部(122−3)とは、非平行に延在してもよい。
【0042】
図8は、第1絶縁基板10に保護フィルム13を貼り付ける工程の変形例(2)を示す図である。同図に示すように、本工程では、両面粘着シート12の第1骨格部(121−3)のY2方向側の端に保護フィルム13を貼り、その端からY1方向側の端に進行するように保護フィルム13を貼り合わせながら、各第2骨格部(122−3)の先端方向に保護フィルム13を押ししごく。このようにすることで、両面粘着シート(12−3)の各スリット(123−3)を介して気泡が外方向に押し出される。
【0043】
また、本変形例では、各第2骨格部(122−3)は、その先端がY1方向に傾くように、斜めに形成されている。このように、各第2骨格部(122−3)は、保護フィルム13の貼り合わせが進行する方向に傾いて延在しているため、変形例(1)のように各第2骨格部(122−2)がX軸に沿って平行に延在する場合と比べて、より容易に気泡を押し出すことが可能である。