特許第6457872号(P6457872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6457872表示装置、照明装置、導光板及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457872
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】表示装置、照明装置、導光板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20190110BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20190110BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20190110BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190110BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20190110BHJP
【FI】
   G02F1/13357
   F21S2/00 434
   G02B6/00 331
   F21Y101:02
   F21Y105:00 100
【請求項の数】15
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-81014(P2015-81014)
(22)【出願日】2015年4月10日
(65)【公開番号】特開2016-200727(P2016-200727A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2017年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 利範
(72)【発明者】
【氏名】倉澤 隼人
(72)【発明者】
【氏名】三井 雅志
【審査官】 磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−187620(JP,A)
【文献】 特開2003−257227(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0205466(US,A1)
【文献】 特開2003−242814(JP,A)
【文献】 特開2014−191228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13357
G02F 1/1335
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が表示される表示領域を有する表示パネルと、
光源と、
前記光源に面する第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部と、前記第1端部及び前記第2端部の間で延び前記表示パネルと対向する第1主面と、前記第1主面の反対側に位置し前記第1端部及び前記第2端部の間で延びる第2主面とを有する導光体と、
前記導光体の内部において前記第1端部から前記第2端部に向けて密度が高くなるように配置され、前記第1端部から入射し前記導光体を伝播する光を反射して前記第1主面から出射させる複数の第1反射体と、
前記導光体の内部において前記第1端部から前記第2端部に向けて密度が低くなるように配置された複数の第2反射体と、
を備え、
前記複数の第1反射体の各々は、前記導光体の厚さ方向において前記第1主面又は前記第2主面から一定の距離の位置に配置され、前記第1主面の側を向き且つ前記第2主面の側に凸の曲面状の第1反射面を有
前記複数の第2反射体の各々は、前記第1主面と向かい合う略平面の第2反射面を有するとともに、前記第1主面又は前記第2主面の法線方向から前記導光体を平面視した際に前記第1反射体と略同一の形状を有している、
表示装置。
【請求項2】
画像が表示される表示領域を有する表示パネルと、
光源と、
前記光源に面する第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部と、前記第1端部及び前記第2端部の間で延び前記表示パネルと対向する第1主面と、前記第1主面の反対側に位置し前記第1端部及び前記第2端部の間で延びる第2主面とを有する導光体と、
前記導光体の内部に設けられ、前記第1端部から入射し前記導光体を伝播する光を反射して前記第1主面から出射させる複数の第1反射体と、
前記導光体の内部において前記複数の第1反射体よりも前記第1端部の側に設けられた第3反射体と、
を備え、
前記複数の第1反射体の各々は、前記導光体の厚さ方向において前記第1主面又は前記第2主面から一定の距離の位置に配置され、前記第1主面の側を向き且つ前記第2主面の側に凸の曲面状の第1反射面を有し、
前記第3反射体は、前記第1主面の側を向き且つ前記第1主面の側に曲率中心が位置する曲面状の第3反射面を有し、
前記第1端部から前記第2端部に向けた方向に沿った断面において、前記第3反射面は、前記第1反射面よりも小さい曲率を有する、
表示装置。
【請求項3】
前記表示領域に近接する物体を検出するための、前記導光体に設けられた検出線をさらに備える、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数の第1反射体は、前記検出線の一部である、
請求項に記載の表示装置。
【請求項5】
光源と、
前記光源に面する第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部と、前記第1端部及び前記第2端部の間で延びる第1主面と、前記第1主面の反対側に位置し前記第1端部及び前記第2端部の間で延びる第2主面とを有する導光体と、
前記導光体の内部において前記第1端部から前記第2端部に向けて密度が高くなるように配置され、前記第1端部から入射し前記導光体を伝播する光を反射して前記第1主面から出射させる複数の第1反射体と、
前記導光体の内部において前記第1端部から前記第2端部に向けて密度が低くなるように配置された複数の第2反射体と、
を備え、
前記複数の第1反射体の各々は、前記導光体の厚さ方向において前記第1主面又は前記第2主面から一定の距離の位置に配置され、前記第1主面の側を向き且つ前記第2主面の側に凸の曲面状の第1反射面を有
前記複数の第2反射体の各々は、前記第1主面と向かい合う略平面の第2反射面を有するとともに、前記第1主面又は前記第2主面の法線方向から前記導光体を平面視した際に前記第1反射体と略同一の形状を有している、
照明装置。
【請求項6】
光源と、
前記光源に面する第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部と、前記第1端部及び前記第2端部の間で延びる第1主面と、前記第1主面の反対側に位置し前記第1端部及び前記第2端部の間で延びる第2主面とを有する導光体と、
前記導光体の内部に設けられ、前記第1端部から入射し前記導光体を伝播する光を反射して前記第1主面から出射させる複数の第1反射体と、
前記導光体の内部において前記複数の第1反射体よりも前記第1端部の側に設けられた第3反射体と、
を備え、
前記複数の第1反射体の各々は、前記導光体の厚さ方向において前記第1主面又は前記第2主面から一定の距離の位置に配置され、前記第1主面の側を向き且つ前記第2主面の側に凸の曲面状の第1反射面を有し、
前記第3反射体は、前記第1主面の側を向き且つ前記第1主面の側に曲率中心が位置する曲面状の第3反射面を有し、
前記第1端部から前記第2端部に向けた方向に沿った断面において、前記第3反射面は、前記第1反射面よりも小さい曲率を有する、
照明装置。
【請求項7】
第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部と、前記第1端部及び前記第2端部の間で延びる第1主面と、前記第1主面の反対側に位置し前記第1端部及び前記第2端部の間で延びる第2主面とを有する導光体と、
前記導光体の内部において前記第1端部から前記第2端部に向けて密度が高くなるように配置され、前記導光体を伝播する光を反射して前記第1主面から出射させる複数の第1反射体と、
前記導光体の内部において前記第1端部から前記第2端部に向けて密度が低くなるように配置された複数の第2反射体と、
を備え、
前記複数の第1反射体の各々は、前記導光体の厚さ方向において前記第1主面又は前記第2主面から一定の距離の位置に配置され、前記第1主面の側を向き且つ前記第2主面の側に凸の曲面状の第1反射面を有
前記複数の第2反射体の各々は、前記第1主面と向かい合う略平面の第2反射面を有するとともに、前記第1主面又は前記第2主面の法線方向から前記導光体を平面視した際に前記第1反射体と略同一の形状を有している、
導光板。
【請求項8】
第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部と、前記第1端部及び前記第2端部の間で延びる第1主面と、前記第1主面の反対側に位置し前記第1端部及び前記第2端部の間で延びる第2主面とを有する導光体と、
前記導光体の内部に設けられ、前記導光体を伝播する光を反射して前記第1主面から出射させる複数の第1反射体と、
前記導光体の内部において前記複数の第1反射体よりも前記第1端部の側に設けられた第3反射体と、
を備え、
前記複数の第1反射体の各々は、前記導光体の厚さ方向において前記第1主面又は前記第2主面から一定の距離の位置に配置され、前記第1主面の側を向き且つ前記第2主面の側に凸の曲面状の第1反射面を有し、
前記第3反射体は、前記第1主面の側を向き且つ前記第1主面の側に曲率中心が位置する曲面状の第3反射面を有し、
前記第1端部から前記第2端部に向けた方向に沿った断面において、前記第3反射面は、前記第1反射面よりも小さい曲率を有する、
導光板。
【請求項9】
前記第1反射体は、
前記第1反射面を有する高反射層と、
前記第1反射面の反対側から前記高反射層を覆う低反射層と、
を備える、
請求項7又は8に記載の導光板。
【請求項10】
前記第1反射体は、前記第1主面又は前記第2主面の法線方向と平行な軸に関して非対称な形状を有する、
請求項7乃至9のうちいずれか1項に記載の導光板。
【請求項11】
前記第1反射面は、前記第1端部から前記第2端部に向けた方向に沿った断面において10°以上かつ50°以下にピークが位置する傾斜角分布を有する、
請求項7乃至10のうちいずれか1項に記載の導光板。
【請求項12】
前記第1主面に配置され、光の入射角度に応じた散乱異方性を有する異方性散乱層をさらに備える、
請求項7乃至11のうちいずれか1項に記載の導光板。
【請求項13】
導光板の製造方法であって、
表面が曲面状の複数の凸パターンを基材の主面に形成することと、
前記複数の凸パターンの各々を少なくとも部分的に覆う複数の反射体を形成することと、
前記凸パターンと屈折率が略等しい材料で形成され、前記複数の反射体を覆うオーバーコート層を、前記基材の前記主面に形成することと、
を含む製造方法。
【請求項14】
導光板の製造方法であって、
基材の主面に第1オーバーコート層を形成することと、
表面が曲面状の複数の凹パターンを前記第1オーバーコート層に形成することと、
前記複数の凹パターンの各々を少なくとも部分的に覆う複数の反射体を形成することと、
前記第1オーバーコート層と屈折率が略等しい材料で形成され、前記複数の反射体を覆うとともに前記複数の凹パターンの内部を満たす第2オーバーコート層を、前記第1オーバーコート層に形成することと、
を含む製造方法。
【請求項15】
導光板の製造方法であって、
表面が曲面状の複数の凹パターンを基材の主面に形成することと、
前記複数の凹パターンの各々を少なくとも部分的に覆う複数の反射体を形成することと、
前記複数の反射体を覆うとともに前記複数の凹パターンの内部を満たすオーバーコート層を、前記基材の前記主面に形成することと、
を含む製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置、照明装置、導光板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外光の反射率を制御することによって画像を表示する反射型の表示装置は、バックライトを備えた透過型の表示装置等に比べて消費電力を低く抑えることができるなどの利点を有する。
また、表示パネルの表示面側に面発光型の照明装置が配置された反射型の表示装置が知られている。照明装置は、例えば、光源と、この光源の光が入射するとともに表示パネルと対向する面から出射する導光板とを備えている。照明装置を配置することにより、画像表示に用いる光を補い、画像の視認性を高めることが可能となる。このような照明装置は、フロントライトなどと呼ばれる。
【0003】
上記のような照明装置においては、導光板を伝播する光を好適な角度範囲で出射させることにより、光の利用効率が高まるとともに、表示装置の視認性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0100144号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0127784号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0176317号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一態様における目的は、視認性を向上させた表示装置を提供することである。また、本発明の他の一態様における目的は、光を好適な角度範囲で出射することが可能な照明装置、導光板及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、表示パネルと、光源と、導光体と、複数の第1反射体と、複数の第2反射体とを備える。上記表示パネルは、画像が表示される表示領域を有する。上記導光体は、上記光源に面する第1端部と、上記第1端部の反対側の第2端部と、上記第1端部及び上記第2端部の間で延び上記表示パネルと対向する第1主面と、上記第1主面の反対側に位置し上記第1端部及び上記第2端部の間で延びる第2主面とを有する。上記複数の第1反射体は、上記導光体の内部において上記第1端部から上記第2端部に向けて密度が高くなるように配置され、上記第1端部から入射し上記導光体を伝播する光を反射して上記第1主面から出射させる。上記複数の第2反射体は、上記導光体の内部において上記第1端部から上記第2端部に向けて密度が低くなるように配置される。さらに、上記複数の第1反射体の各々は、上記導光体の厚さ方向において上記第1主面又は上記第2主面から一定の距離の位置に配置され、上記第1主面の側を向き且つ前記第2主面の側に凸の曲面状の第1反射面を有し、上記複数の第2反射体の各々は、上記第1主面と向かい合う略平面の第2反射面を有するとともに、上記第1主面又は上記第2主面の法線方向から上記導光体を平面視した際に上記第1反射体と略同一の形状を有する
【0007】
一実施形態に係る照明装置は、上記光源と、上記導光体と、上記複数の第1反射体と、上記複数の第2反射体とを備える。また、一実施形態に係る導光板は、上記導光体と、上記複数の第1反射体と、上記複数の第2反射体とを備える。
一実施形態に係る導光板の製造方法は、表面が曲面状の複数の凸パターンを基材の主面に形成することと、上記複数の凸パターンの各々を少なくとも部分的に覆う複数の反射体を形成することと、上記凸パターンと屈折率が略等しい材料で形成され、上記複数の反射体を覆うオーバーコート層を上記基材の上記主面に形成することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る照明装置の概略的な構成を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る照明装置の概略的な断面を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る照明装置が備える反射体の概略的な形状の一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図5図5は、第1実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図6図6は、第1実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図7図7は、反射体の反射面のプロファイルを模式的に示す図である。
図8図8は、反射体のプロファイルの一例を示すグラフである。
図9図9は、反射体の配置の一例を模式的に示す図である。
図10図10は、第2実施形態に係る照明装置の概略的な断面を示す図である。
図11図11は、第2実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図12図12は、第2実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図13図13は、第2実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図14図14は、第3実施形態に係る照明装置の概略的な断面を示す図である。
図15図15は、第3実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図16図16は、第3実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図17図17は、第3実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図18図18は、第4実施形態に係る照明装置の概略的な断面を示す図である。
図19図19は、第4実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図20図20は、第4実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図21図21は、第4実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図22図22は、第4実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図23図23は、第5実施形態に係る表示装置の概略的な構成を示す斜視図である。
図24図24は、第5実施形態に係る表示装置の概略的な断面を示す図である。
図25図25は、第6実施形態に係る表示装置の概略的な構成を示す斜視図である。
図26図26は、第6実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図27図27は、第6実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
図28図28は、第6実施形態に係る導光板の製造方法の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一又は類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態においては、照明装置及び導光板の一例を開示する。この照明装置は、例えば、液晶表示装置、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を応用した表示装置、或いは電気泳動素子等を有する電子ペーパ型の表示装置などのフロントライトとして利用することができる。
【0011】
図1は、本実施形態に係る照明装置LDの概略的な構成を示す斜視図である。この照明装置LDは、導光板LGと、光源LSとを備えている。導光板LGは、所定の厚さを有する平板状の導光体1と、導光体1の内部に設けられた複数の反射体2と、を備えている。
導光体1は、第1端部E1と、第1端部E1の反対側の第2端部E2と、第1端部E1及び第2端部E2の間で延びる第1主面F1と、第1主面F1の反対側に位置し第1端部E1及び第2端部E2の間で延びる第2主面F2とを有している。第1端部E1及び第2端部E2は、第1方向Xと平行に延びており、第1主面F1及び第2主面F2を繋ぐ側面に相当する。
【0012】
図1の例において、導光体1の第1主面F1及び第2主面F2は長方形の形状を有しており、第1端部E1及び第2端部E2は第1主面F1及び第2主面F2のそれぞれの短辺を繋ぐ側面に相当する。第1主面F1及び第2主面F2の長辺は、第1方向Xと直交する第2方向Yに沿って延びている。導光体1の厚さ方向を第3方向Zと定義する。第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yに交差する方向であり、例えば第1方向X及び第2方向Yと直交する方向である。第1主面F1及び第2主面F2の各々は、例えば、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるXY平面と平行な面である。導光体1の形状はここに例示したものに限られず、第1端部E1及び第2端部E2が長方形である第1主面F1及び第2主面F2のそれぞれの長辺を繋ぐ形状であっても良いし、第1主面F1及び第2主面F2が正方形であっても良いし、或いは他の形状であっても良い。
【0013】
光源LSは、第1端部E1に面している。この光源LSとしては、例えば発光ダイオードや有機エレクトロルミネッセンス素子を用いることができる。図1の例においては、3つ以上の光源LSが第1端部E1に沿って並んだ状態を示しているが、光源LSは2つであっても良いし、1つであっても良い。また、光源LSは、第1端部E1などに沿って配置された線状光源であっても良い。
【0014】
図2は、第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるYZ平面における照明装置LDの概略的な断面を示す図である。導光体1は、第1主面10a及び第1主面10aの反対側の第2主面10bを有する透明基材10と、透明基材10の第2主面10bに設けられたオーバーコート層11とを備えている。透明基材10及びオーバーコート層11は、いずれも高い透光性を有している。透明基材10は、例えばガラスや樹脂材料で形成することができる。オーバーコート層11は、例えば樹脂材料で形成することができる。導光体1は、透明基材10及びオーバーコート層11だけでなく、更に他の層を含んでも良い。図2においては、透明基材10及びオーバーコート層11の厚さを概略的に示しているが、実際には図示したよりも透明基材10の厚さの方をより大きくすることが想定される。一例として、透明基材10の厚さは0.5mm程度であり、オーバーコート層11の厚さは数μm程度である。
【0015】
図2の例において、導光体1の第1端部E1及び第2端部E2は、透明基材10及びオーバーコート層11の端部を含む。また、導光体1の第1主面F1は透明基材10の第1主面10aに相当し、導光体1の第2主面F2はオーバーコート層11の外面(透明基材10と接していない側の面)に相当する。
各反射体2は、例えばいずれも形状が同一であって、透明基材10の第2主面10bに沿って配置されている。本実施形態において、反射体2は、第2主面F2の側に凸の円弧状かつドーム状、他の表現をすると、第2主面F2の側に凸の円弧状かつ一部(第1端部E1の側の半分)が欠落した椀形状を有している。反射体2は、導光体1を伝播する光を好適に反射する高反射層20と、高反射層20よりも光の反射率が低い低反射層21(或いは遮光層)とを備えている。高反射層20としては、例えばアルミニウム或いは銀などの金属材料を利用できる。低反射層21としては、例えば反射率が比較的低い金属や金属酸化膜を利用できる。
【0016】
高反射層20は、透明基材10の第2主面10bに配置された凸パターンPT1の一部を覆っている。凸パターンPT1は、例えば半球状或いは部分球面状である。なお、各実施形態において、半球状或いは部分球面状との用語には、完全な球体の一部の意味だけでなく、楕円体などの球体に類似した形状の一部との意味も含まれる。低反射層21は、高反射層20の第2主面F2側の面を覆っている。オーバーコート層11は、反射体2、反射体2から露出した凸パターンPT1、及び透明基材10の第2主面10bを覆っている。凸パターンPT1は、オーバーコート層11と屈折率が略等しい材料、例えばオーバーコート層11と同一の材料で形成することができる。これにより、凸パターンPT1とオーバーコート層11との境界において、凸パターンPT1からオーバーコート層11に向かう光またはその逆に向かう光が屈折したり、これらの光が反射したりするなどの光学的な影響が殆ど無くなる。凸パターンPT1とオーバーコート層11とを同一の材料で形成した場合、これらが実質的に一体となり、その境界を殆ど視認することができない。
【0017】
図2の例において、透明基材10及びオーバーコート層11の膜厚は、第1端部E1から第2端部E2に亘って略一定である。したがって、各反射体2の各々は、導光体1の厚さ方向(第3方向Z)において、第1主面F1又は第2主面F2から一定の距離の位置に配置されていることとなる。
光源LSの発光部EPは、第1端部E1(透明基材10の端部)に面している。図2においては、発光部EPからの光の経路の一例を破線で示している。発光部EPにて発せられて第1端部E1から導光体1に入った光は、第1主面F1及び第2主面F2などで全反射されながら第2端部E2に向けて伝播する。この光の一部は、反射体2の高反射層20(後述する反射面20a)にて反射された際に第1主面F1での全反射条件から外れ、第1主面F1から出射する。
【0018】
図3は、反射体2の概略的な形状の一例を示す図であって、図3(a)はXY平面における反射体2と凸パターンPT1とを示し、図3(b)はYZ平面における反射体2及び凸パターンPT1等の断面図を示す。図3(a)(b)に示すように、反射体2は、凸パターンPT1の表面のうち第2端部E2の側(図中左側)の半分を覆い、第1端部E1の側(図中右側)の半分は覆っていない。このような状態においては、図3(a)に示すように、反射体2の重心C1と凸パターンPT1の重心C2とが、XY平面においてずれている。重心C1は、重心C2よりも光源LSから遠い側(図中左側)に位置している。
【0019】
他の観点から言うと、反射体2は、第1主面F1又は第2主面F2の法線方向(第3方向Z)と平行な軸に関して非対称な立体形状を有する。例えば、反射体2の形状は、重心C1或いは重心C2を通り第3方向Zに延びる軸に対して非回転対称である。
【0020】
高反射層20の第1主面F1の側の面は、凸パターンPT1の表面に沿った反射面20aである。このような反射面20aは、第1主面F1の側及び光源LSの側(図中右側)を向き、且つ、第2主面F2の側に凸の曲面状である。本実施形態においては、反射面20aの曲率中心C3は、反射面20aの第3方向Zにおける中心よりも第1主面F1の側に位置している。図3(b)においては反射面20aが単一の曲率中心C3を中心とした曲率半径Rの面である場合を示しているが、反射面20aの曲率中心が位置毎に変化する場合には、例えばそれらの曲率中心の殆ど或いは全てが反射面20aの対応する部分よりも第1主面F1の側に位置するように、反射面20aを定めることができる。
【0021】
このような形状の反射面20aを有する反射体2を用いることで、反射面20aにて反射し第1主面F1から出射する光の角度を特定の角度範囲に制御することができる。すなわち、反射面20aが平面状である場合や、曲面であるが曲率中心C3が第2主面F2の側に位置している場合に比べて、第1主面F1から出射する光の角度範囲を狭めることができる。
【0022】
また、反射体2は、その重心C1と凸パターンPT1の重心C2とがXY平面においてずれているために、第1主面F1から出射する光の角度に異方性を持たせることができる。例えば図2及び図3に示す反射体2においては、第1主面F1から出射する光の角度を第1端部E1の側に傾くように制御することができる。
【0023】
図4乃至図6を用いて導光板LGの製造方法の一例を説明する。各図においては、各製造工程における導光板LGの部分的な斜視図(a)と、YZ平面における部分的な断面図(b)とを示している。
先ず、図4(a)(b)に示すように、透明基材10の第2主面10bに複数の凸パターンPT1を形成する。凸パターンPT1は、例えばフォトリソグラフィによって形成される。この場合、例えば現像後の凸パターンPT1を加熱し、少なくとも一部を溶融させることで、図4(b)に示すように凸パターンPT1の角を丸め、球面状に仕上げることができる。なお、凸パターンPT1の形成方法はフォトリソグラフィに限定されず、印刷法や他の方法であっても良い。各凸パターンPT1を形成する位置は、規則性を持たせても良いし、ランダムでも良い。
【0024】
続いて、図5(a)(b)に示すように、複数の凸パターンPT1の各々を少なくとも部分的に覆う複数の反射体2を形成する。例えばこの工程においては、凸パターンPT1が設けられた透明基材10の第2主面10bに、高反射層20及び低反射層21をこの順で蒸着或いはスパッタリングにより成膜し、これら高反射層20及び低反射層21を例えばエッチングによりパターニングして図5(a)(b)に示す形状の反射体2を形成する。その後、図6(a)(b)に示すように、透明基材10の第2主面10bの上に反射体2及び凸パターンPT1を覆うオーバーコート層11を形成する。これにより、導光板LGが完成する。
【0025】
次に、高反射層20の反射面20aに採用し得る具体的形状の一例について述べる。反射面20aは、導光体1の第1端部E1から第2端部E2に向けた方向に沿った断面(YZ平面における断面)において、所定の傾斜角分布を有している。例えば照明装置LDが後述する第5実施形態のようにスマートフォンやタブレット端末などに搭載される反射型の表示装置のフロントライトとして用いられる場合、この傾斜角分布は、10°以上かつ50°以下、好ましくは30°以上かつ45°以下、より好ましくは37°以上かつ43°以下に角度のピークを位置させることで、表示画像の視認性を向上させることができる。
【0026】
反射面20aの傾斜角分布及びそのピークの測定方向につき、図7及び図8を用いて説明する。測定に際しては、先ず反射面20aのプロファイルを測定する。図7は、反射面20aのYZ平面におけるプロファイルPFを模式的に示す図である。このプロファイルPFは、例えば反射体2の重心を通るYZ平面における反射面20aの形状に相当する。
【0027】
傾斜角分布の測定に際しては、第3方向Zにおいて、プロファイルPFを等間隔で複数の領域に分割する。図7の例においては、第3方向Zに等間隔で並んだ境界ラインL0〜L5により、プロファイルPFを6つの領域A0〜A5に分割している。
各領域A0〜A5におけるプロファイルPFの傾斜角θ0〜θ5を測定することで、傾斜角分布を得ることができる。例えば、傾斜角θ0は、プロファイルPFの第1主面F1の側(図中下側)の始点と、境界ラインL0がプロファイルPFと交わる点とを繋ぐ線分の第2方向Yに対する傾きに相当する。また、傾斜角θ1は、境界ラインL0がプロファイルPFと交わる点と、境界ラインL1がプロファイルPFと交わる点とを繋ぐ線分の第2方向Yに対する傾きに相当する。以下、傾斜角θ2〜θ5も同様の手順で測定することができる。
【0028】
なお、図7においてはプロファイルPFを6つの領域A0〜A5に分割する場合を例示したが、実際には例えば10以上の領域に分割して各領域の傾斜角を測定することが望ましい。このように測定された傾斜角分布の一例を、図8のグラフに示す。このグラフにおいて、横軸は傾斜角(deg)であり、縦軸は分布率(%)である。ここでは、傾斜角分布を5°毎の棒グラフにて示している。分布率は、プロファイルPFの全長のうち、横軸の傾斜角に相当する長さの割合に相当する。分割された各領域の傾斜角は、それぞれの領域について測定された傾斜角で一定であると仮定する。図8の傾斜角分布においては、40°付近に傾斜角のピークが位置しており、上述した37°以上かつ43°以下の角度範囲の条件が満たされている。
【0029】
続いて、導光体1における反射体2の配置の具体例について説明する。
図9は、反射体2の配置の一例を模式的に示す図であり、導光体1における反射体2のXY平面での配置を上側に示し、YZ平面における断面を下側に示している。反射体2は、第1端部E1から第2端部E2に向けてXY平面における密度が高くなるように配置されている。さらに、図9の例において、導光板LGは、複数のダミー反射体3(第2反射体)を導光体1の内部に備えている。各ダミー反射体3は、第1端部E1から第2端部E2に向けてXY平面における密度が低くなるように配置されている。例えば、反射体2及びダミー反射体3を合せた配置密度は、XY平面において略均一である。
【0030】
ダミー反射体3は、反射体2と同じく第1主面F1の側に配置された高反射層30と、この高反射層30を覆う低反射層31とを備えている。ダミー反射体3は、凸パターンPT1を介さずに、透明基材10の第2主面10bに直接形成されている。したがって、高反射層30の反射面30aは、第1主面F1と向い合い、且つ、略平面である。このようなダミー反射体3は、反射体2と同一の製造工程において同時に形成することができる。ダミー反射体3の形状は、第3方向Zにおいて平面視した際に、反射体2と略同一である。第1端部E1に入射する光源LSからの光の一部は、ダミー反射体3の反射面30aに到達した際に全反射される。この反射された光は、反射面30aが平面であるために、第1主面F1から出射するだけの角度を与えられず、第1主面F1にて再び全反射する。一方で、この光は、反射体2の反射面20aに到達した際には、反射面20aが曲面であるために、第1主面F1における全反射条件を外れる角度を与えられ、第1主面F1から出射する。
【0031】
以上説明した本実施形態に係る照明装置LDによれば、導光板LGが複数の反射体2を備え、これら反射体2が第1主面F1の側を向き且つ第1主面F1の側に曲率中心が位置する曲面状の反射面20aを有するために、導光体1を伝播する光を第1主面F1から特定の角度範囲で出射させることができる。
また、反射体2は、高反射層20を覆う低反射層21を備えている。これにより、第2主面F2の側から入射する光の高反射層20による反射を防ぐことができる。このような反射を防ぐことで、第2主面F2の側から導光板LGを見た際のぎらつきを防止することができる。例えば後述の第5実施形態のように、照明装置LDを表示装置のフロントライトとして用いる場合には、ぎらつきが防止されることによって、表示装置に表示される画像の視認性向上が期待できる。
【0032】
また、反射体2は、その重心C1と凸パターンPT1の重心C2とがXY平面においてずれているために、第1主面F1から出射する光の角度に異方性を持たせることができる。具体的には図3に示したように、本実施形態においては、重心C1が重心C2よりも光源LSから遠い側に位置している。この場合において、反射体2により反射された光源LSからの光は、例えば図2に破線で示した経路のように、概ね光源LSの側に傾いた角度を有して第1主面F1から出射する。すなわち、本実施形態においては、第1主面F1から出射する光の角度が概ね光源LSの側に傾く角度となる異方性を実現することができる。このような照明装置LDは、出射光の角度に異方性が必要な種々の用途で使用できる。
また、光源LSからの光の強度は第2端部E2に向かうに連れて弱くなるが、反射体2の密度を第1端部E1から第2端部E2に向けて高くすることで、第1主面F1から出射する光の輝度を均一化することができる。
【0033】
また、ダミー反射体3を設けることで、第1主面F1から第2主面F2に向けて導光板LGを透過する光の輝度をXY平面において略均一化することができる。例えばこの作用は、第5実施形態にて後述するように、照明装置LDを表示装置のフロントライトとして用いた場合に有益である。
また、本実施形態に係る導光板LGの製造方法を用いて反射体2を形成すれば、内部に反射体2を備える導光板LG及びこの導光板LGを備えた照明装置LDを容易に製造することができる。
以上の他にも、本実施形態からは種々の好適な作用が得られる。
【0034】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態では、導光板及び照明装置に採用し得る他の構造を開示する。以下の説明においては第1実施形態との差異に着目し、第1実施形態と同一又は類似する要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
図10は、本実施形態に係る照明装置LDを説明するための図であって、YZ平面における照明装置LDの概略的な断面を示している。この図に示す照明装置LDの導光板LGは、第1実施形態と同じく、透明基材10及びオーバーコート層11を含む導光体1と、反射体2とを備えている。オーバーコート層11は、第1オーバーコート層11aと、第2オーバーコート層11bとを含む。反射体2の構造は、第1実施形態と同様である。
【0035】
第1オーバーコート層11aは、透明基材10の第2主面10bに形成されている。第1オーバーコート層11aは、複数の凹パターンPT2を有している。凹パターンPT2は、例えば半球状或いは部分球面状である。これら凹パターンPT2の内面に沿って、反射体2が配置されている。第1実施形態における反射体2及び凸パターンPT1の関係と同様に、XY平面において、反射体2の重心と凹パターンPT2の重心とはずれている。反射体2の重心は、凹パターンPT2の重心よりも光源LSから遠い側(図中左側)に位置している。
【0036】
第2オーバーコート層11bは、反射体2、反射体2から露出した凹パターンPT2、及び第1オーバーコート層11aを覆っている。第2オーバーコート層11bは、凹パターンPT2の内部を満たしている。第1オーバーコート層11a及び第2オーバーコート層11bは、屈折率が互いに略等しい材料、例えば同一の材料で形成することができる。これにより、第1オーバーコート層11a及び第2オーバーコート層11bの境界において、第1オーバーコート層11aから第2オーバーコート層11bに向かう光またはその逆に向かう光が屈折したり、これらの光が反射したりするなどの光学的な影響が殆ど無くなる。第1オーバーコート層11a及び第2オーバーコート層11bを同一の材料で形成した場合、これらが実質的に一体となり、その境界を殆ど視認することができない。
【0037】
図10の例において、導光体1の第1主面F1は第2オーバーコート層11bの外面(第1オーバーコート層11aと接していない側の面)に相当し、導光体1の第2主面F2は透明基材10の第1主面10aに相当する。
図10において破線で示すように、光源LSの発光部EPにて発せられて第1端部E1から導光体1に入った光は、第1主面F1及び第2主面F2などで全反射されながら第2端部E2に向けて伝播する。この光の一部は、反射体2の高反射層20(反射面20a)にて反射されて第1主面F1に到達した際に全反射条件から外れ、第1主面F1から出射する。
【0038】
図11乃至図13を用いて本実施形態に係る導光板LGの製造方法の一例を説明する。各図においては、各製造工程における導光板LGの部分的な斜視図(a)と、YZ平面における部分的な断面図(b)とを示している。
先ず、図11(a)(b)に示すように、透明基材10の第2主面10bに第1オーバーコート層11aを形成し、この第1オーバーコート層11aに複数の凹パターンPT2を形成する。凹パターンPT2は、例えば機械的に第1オーバーコート層11aを凹設することで形成することができる。また、凹パターンPT2は、感光性を有した樹脂材料のレジストで第1オーバーコート層11aを形成し、このレジストからフォトリソグラフィによって凹パターンPT2に相当する部分を除去することで形成されても良い。この場合、例えば現像後の凹パターンPT2を加熱し、少なくとも一部を溶融させることで、図11(b)に示すように凹パターンPT2の角を丸め、球面状に仕上げることができる。各凹パターンPT2を形成する位置は、規則性を持たせても良いし、ランダムでも良い。
【0039】
続いて、図12(a)(b)に示すように、複数の凹パターンPT2の各々を少なくとも部分的に覆う複数の反射体2を形成する。例えばこの工程においては、凹パターンPT2が設けられた第1オーバーコート層11aの表面に、高反射層20及び低反射層21をこの順で蒸着或いはスパッタリングにより成膜し、これら高反射層20及び低反射層21を例えばエッチングによりパターニングして図12(a)(b)に示す形状の反射体2を形成する。
【0040】
その後、図13(a)(b)に示すように、第1オーバーコート層11aの上に反射体2及び凹パターンPT2を覆う第2オーバーコート層11bを形成する。これにより、導光板LGが完成する。
本実施形態にて開示した導光板LGであっても、第1実施形態と同様の作用を得ることができる。
【0041】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態では、導光板及び照明装置に採用し得る他の構造を開示する。以下の説明においては第1実施形態との差異に着目し、第1実施形態と同一又は類似する要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0042】
図14は、本実施形態に係る照明装置LDを説明するための図であって、YZ平面における照明装置LDの概略的な断面を示している。この図に示す照明装置LDの導光板LGは、第1実施形態と同じく、透明基材10及びオーバーコート層11を含む導光体1と、反射体2とを備えている。反射体2の構造は、第1実施形態と同様である。
透明基材10は、複数の凹パターンPT3を第2主面10bに有している。凹パターンPT3は、例えば半球状或いは部分球面状である。これら凹パターンPT3の内面に沿って反射体2が配置されている。第1実施形態における反射体2及び凸パターンPT1の関係と同様に、XY平面において、反射体2の重心と凹パターンPT3の重心とはずれている。反射体2の重心は、凹パターンPT3の重心よりも光源LSから遠い側(図中左側)に位置している。
【0043】
オーバーコート層11は、反射体2、反射体2から露出した凹パターンPT3、及び、透明基材10の第2主面10bを覆っている。オーバーコート層11は、凹パターンPT3の内部を満たしている。
図14の例において、導光体1の第1主面F1はオーバーコート層11の外面(透明基材10と接していない側の面)に相当し、導光体1の第2主面F2は透明基材10の第1主面10aに相当する。
【0044】
図14において破線で示すように、光源LSの発光部EPにて発せられて第1端部E1から導光体1に入った光は、第1主面F1及び第2主面F2などで全反射されながら第2端部E2に向けて伝播する。この光の一部は、反射体2の高反射層20(反射面20a)にて反射されて第1主面F1に到達した際に全反射条件から外れ、第1主面F1から出射する。
【0045】
図15乃至図17を用いて本実施形態に係る導光板LGの製造方法の一例を説明する。各図においては、各製造工程における導光板LGの部分的な斜視図(a)と、YZ平面における部分的な断面図(b)とを示している。
先ず、図15(a)(b)に示すように、透明基材10の第2主面10bに複数の凹パターンPT3を形成する。凹パターンPT3は、例えば機械的に透明基材10を凹設することで形成することができる。また、凹パターンPT3は、その形成位置を除き透明基材10の第2主面10bをマスクし、フッ酸水溶液などにより第2主面10bを浸食することで形成されても良い。各凹パターンPT3を形成する位置は、規則性を持たせても良いし、ランダムでも良い。
【0046】
続いて、図16(a)(b)に示すように、複数の凹パターンPT3の各々を少なくとも部分的に覆う複数の反射体2を形成する。例えばこの工程においては、凹パターンPT3が設けられた透明基材10の第2主面10bに、高反射層20及び低反射層21をこの順で蒸着或いはスパッタリングにより成膜し、これら高反射層20及び低反射層21を例えばエッチングによりパターニングして図16(a)(b)に示す形状の反射体2を形成する。
【0047】
その後、図17(a)(b)に示すように、透明基材10の第2主面10bの上に、反射体2、凹パターンPT3、及び第2主面10bを覆うオーバーコート層11を形成する。これにより、導光板LGが完成する。
本実施形態にて開示した導光板LGであっても、第1実施形態と同様の作用を得ることができる。
【0048】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態では、導光板及び照明装置に採用し得る他の構造を開示する。以下の説明においては第1実施形態との差異に着目し、第1実施形態と同一又は類似する要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0049】
光源LSの近傍において、第1端部E1から導光体1に入射した光の一部は全反射条件を満たさず、第2主面F2から出射する。本実施形態では、このような光漏れを低減するための構造を開示する。
図18は、本実施形態に係る照明装置LDを説明するための図であって、YZ平面位おける照明装置LDの概略的な断面を示している。この図に示す照明装置LDの導光板LGは、第1実施形態と同じく、透明基材10及びオーバーコート層11を含む導光体1と、反射体2とを備えている。透明基材10、オーバーコート層11、及び反射体2の構造は、第1実施形態と同様である。
【0050】
導光体1は、さらに、オーバーコート層11の外面(透明基材10と接していない側の面)を覆う低屈折率層12を備えている。この低屈折率層12は、例えば、オーバーコート層11よりも屈折率が低い樹脂材料によって形成されている。
導光板LGは、さらに、光源LSの近傍において導光体1の内部に設けられた補助反射体4(第3反射体)を備えている。補助反射体4は、例えば、各反射体2よりも第1端部E1の側に設けられ、第1端部E1に沿って第1方向Xに延びている。補助反射体4は導光体1の第1方向Xと交わる一方の端部から他方の端部まで連続して延びていても良いし、複数の補助反射体4がこれら端部の間で第1方向Xに並んでいても良い。
【0051】
補助反射体4は、導光体1を伝播する光を好適に反射する高反射層40と、高反射層40よりも光の反射率が低い低反射層41(或いは遮光層)とを備えている。高反射層40としては、例えばアルミニウム或いは銀などの金属材料を利用できる。低反射層41としては、例えば反射率が比較的低い金属や金属酸化膜を利用できる。
高反射層40は、透明基材10の第2主面10bに配置された凸パターンPT4の一部を覆っている。低反射層41は、高反射層40の第2主面F2の側の面を覆っている。凸パターンPT4は、例えば第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並ぶ複数の凸部を有している。各凸部の表面のYZ平面における断面形状は、凸パターンPT1の表面よりも全体的に曲率が小さい円弧状である。高反射層40の第1主面F1側の面は、凸パターンPT4の表面と同じ形状の反射面40aを形成する。この反射面40aは、第1端部E1から第2端部E2に向けた方向に沿った断面(YZ平面における断面)において、反射体2の反射面20aよりも全体的に小さい曲率を有する。
【0052】
オーバーコート層11は、反射体2、反射体2から露出した凸パターンPT1、補助反射体4、補助反射体4から露出した凸パターンPT4、及び透明基材10の第2主面10bを覆っている。凸パターンPT1,PT4は、オーバーコート層11と屈折率が略等しい材料、例えばオーバーコート層11と同一の材料で形成することができる。これにより、凸パターンPT1,PT4とオーバーコート層11との境界において、凸パターンPT1,PT4からオーバーコート層11に向かう光またはその逆に向かう光が屈折したり、これらの光が反射したりするなどの光学的な影響が殆ど無くなる。凸パターンPT1,PT4とオーバーコート層11とを同一の材料で形成した場合、これらが実質的に一体となり、その境界を殆ど視認することができない。
【0053】
図18の例において、導光体1の第1主面F1は透明基材10の第1主面10aに相当し、導光体1の第2主面F2は低屈折率層12の外面(オーバーコート層11と接していない側の面)に相当する。
【0054】
図18において破線で示すように、光源LSの発光部EPにて発せられて第1端部E1から導光体1に入った光の一部は、補助反射体4の高反射層40(反射面40a)にて反射されて第2端部E2に向かい伝播する。このような光は、仮に補助反射体4が無い場合、第2主面F2における全反射条件を外れて第2主面F2から出射し得る光である。反射面40aの曲率を適度に大きくすることで、反射面40aにて反射された光は第1主面F1における全反射条件から外れ難く、第1主面F1からも殆ど出射しない。第2主面F2に向かう光の一部は、オーバーコート層11と低屈折率層12との境界にて反射される。低屈折率層12に入った光も、上記境界での屈折により比較的浅い角度で第2主面F2に向かうため、第2主面F2での全反射条件を満足し易い。反射体2の高反射層20(反射面20a)にて反射された光の一部は、第1主面F1の全反射条件から外れ、第1主面F1から出射する。
【0055】
図19乃至図22を用いて本実施形態に係る導光板LGの製造方法の一例を説明する。各図においては、各製造工程における導光板LGの部分的な断面を示している。
先ず、図19に示すように、透明基材10の第2主面10bに感光性を有した樹脂材料のレジストRを形成する。続いて、図20に示すように、ハーフトーンマスクMを用いてレジストRを紫外光(UV)により露光する。ハーフトーンマスクMは、紫外光の略全てを透過する第1部分P1と、紫外光の略全てを遮光する第2部分P2と、紫外光の一部を透過する第3部分P3とを有している。第1部分P1は、例えば凸パターンPT1,PT4のいずれも形成しない位置に対応して配置されている。第2部分P2は、例えば凸パターンPT1に対応する位置と、凸パターンPT4の複数の凸部の各々に対応する位置とに配置されている。第3部分P3は、凸パターンPT4の複数の凸部の各々に対応する第2部分P2を挟むように配置されている。
【0056】
露光されたレジストRを現像して不要部分を除去すると、図21に示すように、凸パターンPT1の基となる孤立パターンPT1aと、凸パターンPT4の基となる連続パターンPT4aとを得ることができる。連続パターンPT4aは、ハーフトーンマスクMの第2部分P2に対応する位置よりも第3部分P3に対応する位置の方が薄い凹凸形状を有している。
【0057】
図21に示すように、熱源HSからの熱を加えることで、これらパターンPT1a,PT4aを焼成する。この焼成により、パターンPT1a,PT4aが溶融して角が丸まり、図22に示すように孤立パターンPT1aが半球状或いは部分球面状の凸パターンPT1となり、連続パターンPT4aが第1方向Xに延びる曲面状の複数の凸部を有した凸パターンPT4となる。透明基材10の濡れ性を適正に保つことで焼成時におけるパターンPT1a,PT4aの応力変形に差が生じ、且つ連続パターンPT4aにおいては2段階の厚みが交互に連続していることから、凸パターンPT1の曲率は大きく、凸パターンPT4の各凸部の曲率は小さくなる。
【0058】
その後、凸パターンPT1の上に高反射層20及び低反射層21を設けることで反射体2を形成するとともに、凸パターンPT4の上に高反射層40及び低反射層41を設けることで補助反射体4を形成する。高反射層20,40は同一の材料にて同時に形成することができ、低反射層21,41は同一の材料にて同時に形成することができる。さらに、反射体2、補助反射体4、反射体2から露出した凸パターンPT1、補助反射体4から露出した凸パターンPT4、及び透明基材10の第2主面10bをオーバーコート層11で覆い、オーバーコート層11の上に低屈折率層12を形成することで、導光板LGが完成する。
【0059】
本実施形態にて開示した導光板LGであっても、第1実施形態と同様の作用を得ることができる。さらに、補助反射体4を設けたことにより、光源LSの近傍において導光体1の第2主面F2からの光漏れを低減することができる。
【0060】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態では、フロントライトとして機能する照明装置を備えた表示装置の一例として、反射型の液晶表示装置を開示する。液晶表示装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、パーソナルコンピュータ、テレビ受像装置、車載装置、ゲーム機器等の種々の装置に用いることができる。なお、表示装置は液晶表示装置に限られず、例えばMEMSを応用した表示装置や電子ペーパ型の表示装置など、他種の表示装置であっても良い。
【0061】
図23は、本実施形態に係る表示装置DSPの概略的な構成を示す斜視図である。この表示装置DSPは、表示パネルPNLと、照明装置LDとを備えている。照明装置LDは、導光板LGと、光源LSとを備えており、第1乃至第4実施形態にて開示した照明装置LDのいずれも適用可能である。
【0062】
表示パネルPNLは、アレイ基板ARと、対向基板CTとを備えている。図23の例において、アレイ基板AR及び対向基板CTは、第1方向Xに沿う一対の短辺と第2方向Yに沿う一対の長辺とを有する長方形かつ板状の形状を有している。アレイ基板AR及び対向基板CTは、1つの短辺と2つの長辺とを一致させて貼り合わされている。アレイ基板ARは対向基板CTよりも第2方向Yにおける寸法が大きく、アレイ基板ARは対向基板CTから露出した配線領域LAを有している。配線領域LAには、外部接続用の配線や端子等が設けられる。表示パネルPNLは、画像が表示される表示領域DAを有している。
【0063】
照明装置LDは、第1主面F1が対向基板CTと向い合い、且つ、導光体1の第1端部E1及び光源LSが配線領域LAの側に位置するように配置されている。例えば、光源LSと配線領域LAは、XY平面において重なっている。例えば、第1主面F1は、XY平面において表示領域DAの全てと重なっている。
図中に破線で示すように、光源LSからの光は導光体1を伝播するとともにその一部が反射体2で反射されて第1主面F1から出射し、表示パネルPNLに入射する。この光を用いて、表示パネルPNLは表示領域DAに画像を表示する。表示パネルPNLは、導光体1を第2主面F2から第1主面F1に透過する外光を更に用いて、或いはこの外光のみを用いて、画像を表示することもできる。
【0064】
図24は、表示装置DSPのYZ平面における概略的な断面を示す図である。ここでは、1つの主画素PXが副画素PR,PG,PBを含んでいる場合について説明する。表示装置DSPは、アレイ基板AR、対向基板CT、液晶層LC、及び光学素子ODを備えている。
【0065】
アレイ基板ARは、第1絶縁基板100、スイッチング素子SW1,SW2,SW3、層間絶縁膜101、画素電極(反射電極)PE1,PE2,PE3、第1配向膜102などを備えている。スイッチング素子SW1〜SW3は、第1絶縁基板100の対向基板CTと対向する側に形成されている。スイッチング素子SW1は副画素PRに配置され、スイッチング素子SW2は副画素PGに配置され、スイッチング素子SW3は副画素PBに配置されている。層間絶縁膜101は、スイッチング素子SW1〜SW3及び第1絶縁基板100を覆っている。画素電極PE1〜PE3は、層間絶縁膜101の対向基板CTと対向する側に形成されている。画素電極PE1〜PE3は、例えばアルミニウムや銀などの光反射性を有する金属材料によって形成された反射層を含んでいる。画素電極PE1〜PE3或いは反射層は、ほぼ平坦な表面(鏡面)を有している。画素電極PE1は、副画素PRに配置され、スイッチング素子SW1と電気的に接続されている。画素電極PE2は、副画素PGに配置され、スイッチング素子SW2と電気的に接続されている。画素電極PE3は、副画素PBに配置され、スイッチング素子SW3と電気的に接続されている。第1配向膜102は、画素電極PE1〜PE3及び層間絶縁膜101を覆っている。
【0066】
対向基板CTは、第2絶縁基板200、遮光層BM、カラーフィルタCFR,CFG,CFB、オーバーコート層201、共通電極CE、第2配向膜202などを備えている。遮光層BMは、第2絶縁基板200のアレイ基板ARと対向する側に形成されている。カラーフィルタCFR,CFG,CFBは、第2絶縁基板200のアレイ基板ARと対向する側に形成され、それらの一部が遮光層BMと重なっている。カラーフィルタCFRは赤色カラーフィルタであり、副画素PRに配置され、画素電極PE1と対向している。カラーフィルタCFGは緑色カラーフィルタであり、副画素PGに配置され、画素電極PE2と対向している。カラーフィルタCFBは青色カラーフィルタであり、副画素PBに配置され、画素電極PE3と対向している。なお、主画素PXがさらに他の色の副画素を含む場合、対応する色のカラーフィルタが当該副画素に配置される。一例では、赤色、緑色、青色とは異なる他の色のカラーフィルタとして、黄色、薄い青色、薄い赤色などのカラーフィルタを含んでも良いし、実質的に透明或いは白色のカラーフィルタを含んでも良い。これらのカラーフィルタCFは、各々の色を表示する副画素に対応して配置される。オーバーコート層201は、カラーフィルタCFを覆っている。共通電極CEは、オーバーコート層201のアレイ基板ARと対向する側に形成されている。この共通電極CEは、例えば主画素PXの全域に亘って配置され、画素電極PE1〜PE3と対向している。他の例として、帯状の共通電極CEが第1方向X又は第2方向Yに複数並べられていても良い。共通電極CEは、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの透明な導電材料によって形成されている。第2配向膜202は、共通電極CEを覆っている。
【0067】
これらのアレイ基板AR及び対向基板CTは、第1配向膜102及び第2配向膜202が対向した状態で貼り合わされている。液晶層LCは、液晶分子LMを含み、第1配向膜102と第2配向膜202との間に保持されている。
【0068】
光学素子ODは、対向基板CTの液晶層LCに接する面とは反対側の面に配置されている。光学素子ODは、例えば位相差板RT及び偏光板PLなどを含む。位相差板RTは、例えば第2絶縁基板200に接着されている。例えば、位相差板RTは、1/4波長板と1/2波長板とを積層して構成され、波長依存性を低減し、カラー表示に利用される波長範囲において所望の位相差が得られるように構成されている。偏光板PLは、位相差板RTに積層されている。
【0069】
導光板LGは、光の入射角度に応じた散乱異方性を有する異方性散乱層6を更に備えている。異方性散乱層6は、例えば導光体1の第1主面F1に接着されている。異方性散乱層6は、特定方向から入射する光は透過し、他の特定方向から入射する光を拡散させる機能を有している。
【0070】
図中に実線矢印で示すように、導光体1の第1主面F1から出射する特定方向の光、或いは導光体1を透過する特定方向の外光は、拡散されずに異方性散乱層6を透過し、表示パネルPNLに入射する。この光は、画素電極PE1〜PE3にて反射し、再び異方性散乱層6に到達して拡散され、導光体1を透過する。この透過した光が画像として視認される。異方性散乱層6は、偏光板PLと対向基板CTとの間に配置されても良い。
【0071】
表示装置DSPのユーザは、例えば、図23に示した配線領域LAの側を自身に近づけた状態で表示領域DAを目視する。このような使用態様においては、反射体2の傾斜角分布を上述の範囲、すなわち10°以上かつ50°以下、好ましくは30°以上かつ45°以下、より好ましくは37°以上かつ43°以下にピークが位置するように定めることで、第1主面F1から出射する光及び画素電極PE1〜PE3にて反射される光が異方性散乱層6にとって良好な角度となり、表示画像の視認性を向上させることができる。
また、図9を用いて説明したようにダミー反射体3を設けることで、画素電極PE1,PEG,PEBなどで反射して導光体1を透過する光の輝度をXY平面において略均一化し、ムラの無い良好な表示画像を得ることができる。
その他、本実施形態からは他の実施形態と同様の作用を得ることができる。
【0072】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。本実施形態では、フロントライトとして機能する照明装置を備えるとともに、タッチセンサ(タッチパネル、タッチスクリーン)としての機能を有した表示装置の一例を開示する。
【0073】
図25は、本実施形態に係る表示装置DSPの概略的な構成を示す斜視図である。この表示装置DSPは、表示パネルPNLと、照明装置LDとを備えている。表示装置DSPは例えば液晶表示装置であり、表示パネルPNLは第5実施形態と同様の構造を有している。照明装置LDは、導光板LGと、光源LSとを備えており、第1乃至第4実施形態にて開示した照明装置LDのいずれも適用可能である。
【0074】
表示装置DSPは、駆動電極TXと、検出電極RXとを備えている。駆動電極TX及び検出電極RXは、例えば互いに対向している。これら駆動電極TX及び検出電極RXは静電容量型のタッチセンサを構成しており、駆動電極TXに駆動信号を供給した際に検出電極RXから得られる検出信号の変化に基づいて、表示装置DSPに接触或いは近接する物体を検出することができる。
【0075】
図25の例においては、複数の駆動電極TXが表示パネルPNLに設けられ、これら複数の駆動電極TXは表示領域DAにおいて第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに並んでいる。各駆動電極TXは、例えばITOやIZOなどの透明な導電材料によって形成することができる。各駆動電極TXは、照明装置LDと対向する表示パネルPNLの主面に設けられても良いし、表示パネルPNLの内部に設けられても良い。後者の場合、図24に示した共通電極CEを駆動電極TXとして利用することができる。
【0076】
一方で、図25の例においては、導光板LGに複数の検出電極RXが設けられ、これら複数の検出電極RXが表示領域DAと対向する領域において第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並んでいる。各検出電極RXは、例えばITOやIZOなどの透明な導電材料によって形成することができる。また、各検出電極RXは、金属細線である検出線により形成することもできる。この場合において、各検出電極RXのパターンとしては、波状に延びる1又は複数の検出線を含むパターンや、メッシュ状の検出線を含むパターンなどを採用し得る。各検出電極RXの間に電気的にフローティングとなるダミーの検出線を配置することで表示領域DAにおける検出線の分布密度を均一化しても良い。金属細線である検出線は光を遮光し得るが、検出線の分布密度を均一化することによって、表示領域DAに表示される画像への光学的な影響を低減することができる。
【0077】
各検出電極RXは、例えば、導光体1の第2主面F2に設けられても良いし、導光体1の内部に設けられても良い。後者の場合には、各検出電極RXを反射体2と同層に設け、且つ、各検出電極RX及び反射体2を同一の製造工程で形成することができる。
この製造工程の一例につき、図26乃至図28を用いて説明する。ここでは、一例として、検出電極RXを除き導光板LGが第1実施形態と同様の構成を有する場合を想定する。各図においては、各製造工程における導光板LGの部分的な斜視図(a)と、XZ平面における部分的な断面図(b)とを示している。
【0078】
先ず、図26(a)(b)に示すように、透明基材10の第2主面10bに複数の凸パターンPT1を形成する。
続いて、図27(a)に示すように、透明基材10の第2主面10bに検出線7を形成する。図27(a)の例において、検出線7は第1端部E1と略平行に延びており、第2主面10bに形成された複数の凸パターンPT1のうちの一部と重なっている。この工程においては、検出線7の形成と同時に、検出線7と重ならない凸パターンPT1に対して反射体2を形成する。検出線7の幅よりも凸パターンPT1の直径を大きくすることで、重ね合わせのマージンが広がり、製造上の精度要求を緩和することができる。検出線7は、例えば凸パターンPT1を部分的に覆う。図示した例においては、第1端部E1の側で凸パターンPT1が露出するように検出線7が形成されている。検出線7と重ならない凸パターンPT1に反射体2を形成しないようにしても良い。上述したダミーの検出線を形成する場合においては、この検出線についても、凸パターンPT1と重なるように配置しても良い。
【0079】
図27(b)に示すように、検出線7は、高反射層70と、低反射層71とを備えている。高反射層20,70の基となる膜と、低反射層21,71の基となる膜とをこの順で形成した後、これらの膜を反射体2及び検出線7の形状にパターニングすることで、反射体2及び検出線7を同時に形成することができる。高反射層20,70にアルミニウム或いは銀を用いると、良好な反射能を得ることができるうえ、良好なタッチ検出能を得ることができる。
【0080】
反射体2及び検出線7を形成した後、図28(a)(b)に示すように、透明基材10の第2主面10bの上に反射体2、検出線7、及び凸パターンPT1などを覆うオーバーコート層11を形成する。これにより、導光板LGが完成する。
ここでは導光板LGが第1実施形態と同様の構成を有する場合について述べたが、導光板LGが第2乃至第4実施形態と同様の構成を有する場合であっても、反射体2と検出線7とを同一の製造工程で同層に形成することができる。
【0081】
第1端部E1の側で凸パターンPT1が露出するように検出線7を形成することで、検出線7のうち凸パターンPT1と重なった部分を、反射体2と同様に作用させ、この部分の高反射層70にて反射されて第1主面F1から出射する光の角度に異方性を持たせることができる。
【0082】
なお、タッチセンサの機能は、本実施形態と異なる方法にて表示装置DSPに与えることもできる。例えば、駆動電極TX及び検出電極RXの双方を表示パネルPNLに設けても良い。この場合、例えば検出電極RXを対向基板CTの外面(照明装置LDと対向する側の面)に設けるとともに、共通電極CEを駆動電極TXとして用いることができる。或いは、駆動電極TX及び検出電極RXの双方を同一の面上で交互に配置した構成としても良い。他の方法として、表示パネルPNL及び照明装置LDとは別途の基板の一方の主面に駆動電極TXを設けるとともに他方の主面に検出電極RXを設け、この基板を導光体1の第2主面F2の側或いは第1主面F1と表示パネルPNLの間に設けても良い。
【0083】
図27及び図28においては、検出線7を凸パターンPT1と重ならせて検出線7の一部を反射体2と同様に機能させる場合を例示したが、検出線7は凸パターンPT1と重ならない位置に設けられても良い。この場合において、駆動電極TXが第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並び、検出電極RXが第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに並ぶ構成を採用しても良い。
【0084】
また、本実施形態では駆動電極TXと検出電極RXとを用いたいわゆる相互容量検出方式のタッチセンサについて述べたが、タッチセンサの検出方式は他の方式であっても良い。例えば、検出電極RXのみを用いたいわゆる自己容量検出方式を採用することもできる。この検出方式においては、検出電極RXが持つ自己容量の変化に基づいて、表示装置DSPに接触或いは近接する物体を検出することができる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0086】
例えば、各実施形態にて開示した構成は、適宜に組み合わせることができる。
また、各実施形態においては、導光体1の第1主面F1から出射する光の角度に異方性を持たせるべく、反射体2の重心と各パターンPT1,PT2,PT3の重心とがXY平面においてずれているとした。しかしながら、反射体2の重心と各パターンPT1,PT2,PT3の重心とをXY平面において一致させ、異方性を持たせないようにしても良い。この場合において、反射面20aの曲率中心が反射面20aよりも第1主面F1の側に位置する形状であれば、反射面20aに反射されて第1主面F1から出射する光の角度を所定範囲に絞ることができる。
【0087】
各実施形態において、導光体1の第2主面F2の側に、カバーガラスなどの他の要素が配置されても良い。このような他の要素は、導光板LGの一部と捉えることもできるし、照明装置LDの一部として捉えることもできる。また、表示装置DSPの一部として捉えることもできる。
【符号の説明】
【0088】
LD…照明装置、LS…光源、E1…第1端部、E2…第2端部、F1…第1主面、F2…第2主面、DSP…表示装置、PNL…表示パネル、LG…導光板、PT1…凸パターン、1…導光体、2…反射体、10…透明基材、11…オーバーコート層、20…高反射層、20a…反射面、21…低反射層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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