特許第6457875号(P6457875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457875
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20190110BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   G02F1/1333
   G02F1/1335 510
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-84208(P2015-84208)
(22)【出願日】2015年4月16日
(65)【公開番号】特開2016-206263(P2016-206263A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 智一
(72)【発明者】
【氏名】倉本 侑祈
(72)【発明者】
【氏名】山田 春樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝大
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0049453(US,A1)
【文献】 特開2014−145992(JP,A)
【文献】 特開2009−192792(JP,A)
【文献】 特開2009−069321(JP,A)
【文献】 特開平09−211473(JP,A)
【文献】 特開2012−173483(JP,A)
【文献】 特開2010−072368(JP,A)
【文献】 特開2007−304273(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/084040(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0099061(US,A1)
【文献】 特開2005−099221(JP,A)
【文献】 特開2014−235185(JP,A)
【文献】 特開2007−004111(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2008−0088935(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133,1/1333,1/1334
G02F 1/1339−1/1341,1/1347
G02F 1/1335,1/13363,1/1343−1/1345
G02F 1/136−1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示領域と、前記表示領域の周囲の非表示領域と、前記非表示領域と対向する遮光層と、を備える表示パネルと、
前記表示パネルの主面に配置されるとともに、前記非表示領域に端部が位置する偏光板と、
前記主面と前記偏光板との間に配置される検出電極と、
前記主面に配置され、前記非表示領域において前記検出電極と電気的に接続されるフレキシブル配線基板と、
を備え、
前記表示パネルは、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板とを備え、
前記遮光層は、前記非表示領域において、前記偏光板の端部と対向する位置に開口領域を有し、
前記開口領域は、第1端部と、前記第1端部と対向する第2端部とを有し、
前記開口領域の前記第1端部は、前記偏光板の前記端部と前記表示領域との間に位置し、
前記開口領域の前記第2端部は、前記フレキシブル配線基板の前記表示領域側の端部と前記偏光板の前記端部との間に位置する、
表示装置。
【請求項2】
前記偏光板と対向するカバー部材と、
前記偏光板及び前記カバー部材の間に配置され、紫外線により硬化して前記表示パネルと前記カバー部材とを接着する接着層と、
をさらに備え
前記接着層の前記フレキシブル配線基板側の端部は、前記開口領域の前記第1端部と前記第2端部との間に位置する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルに対向して配置され、前記表示領域に向けた光を発するバックライトと、
前記バックライトと前記表示パネルとの間において前記非表示領域に対向して配置された、前記バックライトからの光を遮る遮光部材と、
をさらに備え、
前記遮光層の前記開口領域の全体が前記遮光部材と重畳する
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記開口領域は、第3端部と、前記第3端部に対向する第4端部とを有し、
前記第1端部及び前記第2端部は、第1方向に延出し、
前記第3端部及び前記第4端部は、前記第1方向と交差する第2方向に延出し、
前記開口領域は、前記第1端部、前記第2端部、前記第3端部及び前記第4端部で構成された矩形状を成し、
前記第1方向において、前記第1端部及び前記第2端部は、前記フレキシブル配線基板よりも大きい、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは、前記第1基板及び前記第2基板の間に形成されたシール材で囲われた領域において前記第1基板及び前記第2基板の間に封入された液晶層を備え、
前記遮光層は、前記シール材と対向しない位置において少なくとも部分的に除去されている、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルは、前記第1基板及び前記第2基板の間に封入された液晶層と、前記第1基板及び前記第2基板の間に設けられたスペーサと、を備え、
前記スペーサは、前記開口領域の前記第1端部と前記第2端部との間に位置し、
前記遮光層は、前記開口領域において前記スペーサと対向する部分は除去されていない、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記偏光板の前記端部と対向する位置を含む前記開口領域において、前記遮光層が全て除去されている、
請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示パネルは、前記非表示領域において、金属材料で形成された配線を含み、
前記偏光板の前記端部と対向する位置を含む前記開口領域において、前記遮光層は、前記配線に対応する形状にパターニングされている、
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記開口領域の前記第1端部と前記偏光板の前記端部との距離は、前記開口領域の前記第2端部と前記偏光板の前記端部との距離よりも小さい、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記遮光層は、前記非表示領域において、前記表示領域を囲う第1スリットと、前記第1スリットを囲う第2スリットとを有し、
前記開口領域は、前記第1スリットと前記第2スリットとの間に位置し、
前記フレキシブル配線基板の前記表示領域側の前記端部は、前記開口領域の前記第2端部と前記第2スリットとの間に位置する、
請求項5又は9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2基板は、カラーフィルタ層と、オーバーコート層とをさらに備え、
前記第1スリットは、前記カラーフィルタ層で埋められており、
前記第2スリットは、前記オーバーコート層で埋められている、
請求項10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶表示装置などの表示装置は、表示素子を有する表示パネルと、この表示パネルの主面に配置された偏光板とを備えている。このような表示装置において、カバーガラスなどのカバー部材を配置する際には、例えば紫外線により硬化する樹脂が利用される。すなわち、この樹脂を偏光板の上に塗布してその上にカバー部材を配置し、表示パネルやカバー部材を介して紫外線を照射してこの樹脂を硬化させることにより、表示パネルとカバー部材とが接着される。
【0003】
上記の樹脂が未硬化の状態において偏光板の端部に接していると、当該樹脂により偏光板の端部が膨潤することがある。膨潤の程度が酷ければ、表示パネルの変形を招き、表示品位にも影響を及ぼし得る。
【0004】
通常、偏光板の端部は表示領域の外側の非表示領域(額縁領域などとも呼ばれる)に位置している。この非表示領域は、カバー部材や表示パネルに形成された遮光層により遮光されている。したがって、この遮光層により紫外線が遮られ、上記の樹脂を十分に硬化できない場合が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−107488号公報
【特許文献2】特開2013−15740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、偏光板の膨潤による表示装置の表示品位の低下を防止或いは低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る表示装置は、表示パネルと、偏光板と、検出電極と、フレキシブル配線基板とを備える。上記表示パネルは、画像を表示する表示領域と、上記表示領域の周囲の非表示領域と、上記非表示領域と対向する遮光層と、を備える。さらに、上記表示パネルは、第1基板と、上記第1基板に対向する第2基板と、を備える。上記偏光板は、上記表示パネルの主面に配置されるとともに、上記非表示領域に端部が位置する。上記検出電極は、上記主面と上記偏光板との間に配置される。上記フレキシブル配線基板は、上記主面に配置され、上記非表示領域において上記検出電極と電気的に接続される。上記遮光層は、上記非表示領域において、上記偏光板の端部と対向する位置に開口領域を有する。上記開口領域は、第1端部と、上記第1端部と対向する第2端部とを有する。上記開口領域の上記第1端部は、上記偏光板の上記端部と上記表示領域との間に位置する。上記開口領域の上記第2端部は、上記フレキシブル配線基板の上記表示領域側の端部と上記偏光板の上記端部との間に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る表示装置の端部近傍の構成を概略的に示す断面図である。
図2図2は、上記表示装置が備える表示パネル及びカバーガラスの断面を拡大して示す図である。
図3図3は、上記表示装置が備える第2偏光板の端部が膨潤した様子を概略的に示す断面図である。
図4図4は、上記表示パネルが備える対向基板の端子領域側の端部近傍を概略的に示す平面図である。
図5図5は、第1〜第7実施例に共通する概念を説明する図である。
図6図6は、第1実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図7図7は、第2実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図8図8は、第3実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図9図9は、第4実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図10図10は、第5実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図11図11は、第6実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図12図12は、第7実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図13図13は、第8,第9実施例に共通する概念を説明する図である。
図14図14は、第8実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図15図15は、第9実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図16図16は、第10実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図17図17は、第10実施例の一作用を説明するための図である。
図18図18は、第11実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図19図19は、第12実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図20図20は、第13実施例に係る開口領域の一部を概略的に示す図である。
図21図21は、図20におけるF21−F21線に沿う表示パネルの断面を概略的に示す図である。
図22図22は、第14実施例に係る開口領域を概略的に示す図である。
図23図23は、一変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一又は類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0010】
各実施形態においては、表示装置の一例として、液晶表示素子を用いた透過型の表示パネルを備える表示装置を開示する。このような表示装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、パーソナルコンピュータ、テレビ受像装置、車載装置、ゲーム機器等の種々の装置に用いることができる。なお、各実施形態にて開示する主要な構成は、反射型の表示装置や、透過型及び反射型の双方の機能を備えた表示装置などにも適用できる。さらに、表示装置が備える表示パネルは液晶表示素子を用いたものに限られず、有機エレクトロルミネッセンス表示素子等を有する自発光型の表示パネル、或いは電気泳動素子等を有する電子ペーパ型の表示パネルなど、他種の表示素子を有する表示パネルを適用することができる。
【0011】
図1は、一実施形態に係る表示装置1の端部近傍の構成を概略的に示す断面図である。この図に示す表示装置1は、表示パネルPNLと、バックライトBLと、カバーガラスCGと、を備えている。
【0012】
表示パネルPNLは、アレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向する対向基板CTと、アレイ基板AR及び対向基板CTの間に保持された液晶層(後述する液晶層LC)と、を備えている。アレイ基板ARは第1基板の一例であり、対向基板CTは第2基板の一例である。また、表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、この表示領域DAの周囲の非表示領域NDAと、を有している。表示領域DAはアクティブエリアなどと呼ばれることもある。非表示領域NDAは、額縁領域、或いは周辺領域などと呼ばれることもある。
【0013】
表示領域DAは例えば矩形状であり、非表示領域NDAは表示領域DAを囲う矩形枠状である。このようなアレイ基板AR及び対向基板CTの4辺のうち3辺は概ね揃っており、残る1辺はアレイ基板ARの方が突出している。図1の断面はこの1辺の近傍に相当する。以下、アレイ基板ARの対向基板CTよりも突出した部分を端子領域LAと呼ぶ。この端子領域LAには、アレイ基板ARに含まれる走査線、信号線、或いはこれらを駆動する回路などに接続された配線が形成されている。端子領域LAには、上記配線に接続された端子が設けられている。当該端子には、表示装置1が搭載される機器のメインボードなどに接続するための第1フレキシブル配線基板FPC1等が接続されている。さらに、端子領域LAには、上記配線に信号線を供給する半導体チップ等で形成されたドライバCMが実装されている。
【0014】
バックライトBLは、配線基板10と、発光素子11と、導光板12と、反射シート13と、光学素子群14と、支持フレーム15と、遮光テープ16と、を備えている。発光素子11は、例えば発光ダイオードであり、配線基板10に複数実装されている。このような発光素子11は、その発光面が導光板12の端部(入光面)と対向するように配置されている。
【0015】
導光板12は、平面状の出射面(出光面)12aを有し、この出射面12aが表示パネルPNLの第1主面F1(アレイ基板ARの外面)と対向するように配置されている。発光素子11からの光は導光板12を伝播し、出射面12aから出射する。反射シート13は、導光板12の裏面(出射面12aの反対側の面)に配置されており、導光板12の裏面から出射する光を反射して導光板12に戻す。光学素子群14は、導光板12の出射面12aと表示パネルPNLとの間に配置され、例えば出射面12a側から順に配置された拡散シートとプリズムシートとを含む。
【0016】
支持フレーム15は、例えば発光素子11及び導光板12を囲う枠状に形成されており、発光素子11及び導光板12等のバックライトBLの各要素を支持する。遮光テープ16は、非表示領域NDAに対向して設けられており、表示領域DAを囲う枠状に形成されても良い。遮光テープ16は、例えば光学素子群14及び配線基板10等に貼付され、発光素子11及び導光板12からの光を遮光する。更に、遮光テープ16はアレイ基板ARと第1偏光板PL1とにも貼付されており、光学素子群14や配線基板10は、アレイ基板ARや第1偏光板PL1と固定される。また、遮光テープ16は、支持フレーム15に貼付されるものであってもよい。このような遮光テープ16は、バックライトBLからの表示に寄与しない光が表示パネルPNLに到達するのを遮る遮光部材の一例である。
【0017】
カバーガラスCGは、表示パネルPNLの第2主面F2(対向基板CTの外面)と対向して配置されている。カバーガラスCGは、例えば表示パネルPNLよりも大きい寸法を有し、表示パネルPNLの全面を覆っている。このようなカバーガラスCGは、表示装置1の外面を形成するカバー部材の一例である。
【0018】
カバーガラスCGは、表示パネルPNLと対向する側の面に、第1遮光層20を有している。第1遮光層20は、例えば遮光性を有する黒色塗料をカバーガラスCGに印刷したもので、表示領域DAに対応して開口した枠状に形成されている。この第1遮光層20により、非表示領域NDAがカバーガラスCGの外側から視認できなくなるとともに、発光素子11や導光板12からの光が非表示領域NDAから漏れることが防がれる。
【0019】
表示装置1は、第1偏光軸を有する第1偏光板PL1と、第1偏光軸と直交する第2偏光軸を有する第2偏光板PL2と、をさらに備えている。第1偏光板PL1は、アレイ基板ARとバックライトBLとの間に配置されている。第2偏光板PL2は、対向基板CTとカバーガラスCGとの間に配置されている。第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、例えば矩形状に形成され、表示領域DAの全面と対向している。第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2の端部は、平面視で非表示領域NDAと重なっている。
【0020】
カバーガラスCGは、第2偏光板PL2と対向している。カバーガラスCG及び第2偏光板PL2の間には接着層21が形成され、カバーガラスCGと第2偏光板PL2とはこの接着層21を介して互いに接着されている。
【0021】
接着層21は、紫外線の照射によって硬化するエポキシ樹脂或いはアクリル樹脂等の紫外線硬化樹脂により形成されている。接着層21及び第2偏光板PL2の端部は、遮光テープ16及び第1遮光層20と平面視で重なっている。図1の例においては、接着層21及び第2偏光板PL2の端部が揃っているが、接着層21の端部が端子領域LAの側に突出しても良い。
【0022】
表示装置1は、カバーガラスCGに近接或いは接触する物体を検出するためのタッチパネルを有している。表示装置が有するタッチパネルには各種の形態が存在するが、本実施形態では、表示パネルPNLにその機能が組み込まれている。図1の例において、物体の近接或いは接触を検出するための検出電極RXは、表示パネルPNLの第2主面F2に形成されている。例えば、検出電極RXは、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)などの透明な導電材料、或いは金属細線によって形成することができる。検出電極RXとともに用いられる駆動電極としては、例えばアレイ基板ARに設けられる画素駆動用の共通電極を併用することができる。但し、駆動電極は、第2主面F2等に共通電極とは別途に設けられたものであっても良く、特に形成場所や形状が限定されるものではない。
【0023】
検出電極RXの電位は、カバーガラスCGに近接或いは接触する物体と検出電極RXとの間に形成される容量の影響を受けて変化する。したがって、この電位(検出信号)に基づけば、カバーガラスCGに近接或いは接触する物体の有無、更にはこの物体の位置を検出することができる。なお、物体の検出方式はここで述べたものに限られず、例えば検出電極RXが有する自己容量の変化に基づいて物体を検出する方式を採用することもできる。
【0024】
表示装置1は、検出電極RXと電気的に接続された第2フレキシブル配線基板FPC2をさらに備えている。例えば対向基板CTの端部には、検出電極RXに接続された端子が設けられており、この端子に第2フレキシブル配線基板FPC2が接続されている。図1の例においては、この端子が第2主面F2に設けられており、第2主面F2に第2フレキシブル配線基板FPC2が接続されている。
【0025】
図2は、表示パネルPNL及びカバーガラスCG等の断面を拡大して示す図である。ここでは、バックライトBLの遮光テープ16の断面も併せて示している。アレイ基板ARは、例えばガラス基板である第1絶縁基板30を備えている。さらに、アレイ基板ARは、第1絶縁基板30の対向基板CTの側の面に、アンダーコート層31と、第1絶縁層32と、第2絶縁層33と、第3絶縁層34と、第1配向膜35と、を備えている。
【0026】
アンダーコート層31は、第1絶縁基板30を覆っている。第1絶縁層32は、アンダーコート層31を覆っている。例えば、第1絶縁層32は、表示領域DAにおいて画素ごとに設けられるスイッチング素子が備えるポリシリコン等の半導体層と、ゲート電極とを隔てる層である。第2絶縁層33は、例えば有機系の樹脂材料によって形成され、第2絶縁層33や上記スイッチング素子などを覆っている。例えば、第2絶縁層33の上には、表示領域DAにおいて複数の画素に亘って共通に設けられる共通電極が配置される。第3絶縁層34は、例えば無機系のシリコンナイトライド等によって形成され、第2絶縁層33や上記共通電極などを覆っている。第3絶縁層34の上には、表示領域DAにおいて画素ごとに設けられる画素電極が配置される。第1配向膜35は、第3絶縁層34及び上記画素電極などを覆っている。
【0027】
一方で、対向基板CTは、例えばガラス基板である第2絶縁基板40を備えている。さらに、対向基板CTは、第2絶縁基板40のアレイ基板ARと対向する側の面に、第2遮光層41(ブラックマトリクス)と、カラーフィルタ層42と、オーバーコート層43と、第2配向膜44と、を備えている。
【0028】
第2遮光層41は、非表示領域NDAと平面視で重なっている。また、第2遮光層41は表示領域DAにも配置され、走査線、信号線、及びスイッチング素子などと対向している。カラーフィルタ層42は、主に表示領域DAにおいて、第2遮光層41が開口した位置に設けられている。カラーフィルタ層42は、画素に対応する色に着色されたカラーレジストによって形成されている。例えば、表示領域DAに赤、緑、青、及び白のそれぞれに対応する画素が配置されている場合、カラーフィルタ層42は、これらの色に対応したカラーレジストを含む。この場合において、白に対応する画素についてはカラーレジストを配置しなくても良い。
【0029】
オーバーコート層43は、第2遮光層41及びカラーフィルタ層42を覆っている。第2配向膜44は、表示領域DAにおいて、オーバーコート層43を覆っている。図2の例において、第2配向膜44は、非表示領域NDAにも延びている。
【0030】
アレイ基板AR及び対向基板CTは、非表示領域NDAにおいて表示領域DAを囲うように環状に形成されたシール材50によって貼り合わされている。第1配向膜35、第2配向膜44、及びシール材50によって囲われた空間には、液晶分子を含む液晶層LCが封入されている。図2の例においては、シール材50が形成される位置に対応して第2絶縁層33の一部が除去されており、この除去された部分の内部にシール材50が満たされている。これにより、シール材50の外部から液晶層LCへの水分等の浸入を防ぐことができる。
【0031】
アレイ基板AR及び対向基板CTの間には、メインスペーサ51、サブスペーサ52、及び端部スペーサ53が設けられている。これらメインスペーサ51、サブスペーサ52、及び端部スペーサ53は、例えば対向基板CTに形成される。
【0032】
メインスペーサ51は、アレイ基板AR及び対向基板CTの間のセルギャップを所定距離に保つ役割を担う。図2の例においては、カラーフィルタ層42と同一の工程で形成されるカラーレジスト54がメインスペーサ51の位置に対応して配置されている。これらのカラーレジスト54によりオーバーコート層43が隆起し、これによりメインスペーサ51の高さが調整されている。一例として、カラーレジスト54は、青に着色されたカラーレジストである。サブスペーサ52は、第2配向膜44の形成時において、第2配向膜44の硬化前の材料がシール材50側に延出することを防ぐ役割を担う。端部スペーサ53は、シール材50の外側に配置され、対向基板CTの端部付近における表示パネルPNLの強度を高めている。
【0033】
第2偏光板PL2の端部E1は、例えば、サブスペーサ52の近傍に位置している。第2フレキシブル配線基板FPC2の端部E2は、例えば、シール材50の表示領域DA側の端部の近傍に位置している。
【0034】
図2の例において、第2遮光層41は、シール材50の近傍に設けられた端部スリット60と、非表示領域NDA及び表示領域DAの境界付近に設けられた境界スリット61と、を有している。端部スリット60の内部は、オーバーコート層43で満たされている。この端部スリット60は、対向基板CTの端部から内部への水分の浸入を防ぐ役割を担う。境界スリット61は、非表示領域NDAにおいて第2遮光層41が帯電した際に、その影響が表示領域DAに及ぶことを防止する役割を担う。境界スリット61の内部にはカラーフィルタ層42と同一の工程で形成されるカラーレジスト55が配置されている。このカラーレジスト55は、例えば赤及び青といった異なる色のカラーレジストが重ねられたものであり、境界スリット61を通じての光漏れを防ぐ。
【0035】
遮光テープ16は、第2偏光板PL2の端部E1、シール材50、第2フレキシブル配線基板FPC2の端部E2などと平面視で重なっている。
図2に示した表示パネルPNLは、例えばアレイ基板ARに設けられた画素電極及び共通電極の間に形成される基板主面と略平行な電界(横電界)により液晶分子を駆動するIPS(In Plane Switching)モード、更にはIPSモードの中でも画素電極及び共通電極の一方が平面状に形成されたFFS(Fringe Field Switching)モードを適用可能な構成を備えている。但し、表示パネルPNLは、例えばTN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Aligned)モードのように、液晶分子の駆動にいわゆる縦電界を利用するモードを適用可能な構成を備えても良い。
【0036】
カバーガラスCGを接着するに際しては、例えば、接着層21の元となるゲル状の紫外線硬化樹脂が、表示パネルPNLに設けられた第2偏光板PL2の上に塗布される。この段階においては、バックライトBLが未だ設けられていない。上記の紫外線硬化樹脂には、例えば、カバーガラスCGの側(図2における上側)、アレイ基板ARの側(図2における下側)、及び、カバーガラスCGと表示パネルPNLの端部の側(図2における左側等)から紫外線が照射される。紫外線硬化樹脂に熱を加えるプロセスがさらに加わっても良い。図2に示した非表示領域NDAにおいては、第2偏光板PL2の端部E1が、カバーガラスCGに設けられた第1遮光層20と平面視において重なっている。したがって、この端部E1の近傍においては、カバーガラスCGの側(図2における上側)から照射される紫外線が第1遮光層20によって遮られる。
【0037】
第2偏光板PL2は、例えば偏光子を保護層等の樹脂層により挟み込んだ構成を有している。第2偏光板PL2の端部においては、例えば偏光子が保護層から露出しており、硬化しなかった樹脂が第2偏光板PL2の端部E1からはみ出し、偏光子がこの樹脂により膨潤し得る。
【0038】
図3は、第2偏光板PL2の端部E1が膨潤した様子を概略的に示す断面図である。この図においては、膨潤により生じる影響を説明するために、実際よりも膨潤の度合いを大きく表現している。カバーガラスCGと表示パネルPNLとの間で第2偏光板PL2の端部E1が膨潤することにより、表示パネルPNLが端部に向かうに連れてカバーガラスCGから離れるように変形する。この変形により、アレイ基板ARと対向基板CTとの間のセルギャップが本来よりも広がった異常領域UAが生じる。この異常領域UAが表示領域DAに及ぶと、表示色が本来よりも黄色味を帯び、表示品位が低下し得る。このような現象は、イエローボーダなどと呼ばれる。イエローボーダは、表示パネルPNLが薄くなるほど顕著に表れる。
【0039】
本実施形態においては、このようなイエローボーダによる表示品位の低下を防ぐべく、第2遮光層41に開口部を設け、アレイ基板ARの側(図2における下側)から照射される紫外線により紫外線硬化樹脂の硬化を促進する。この開口部は、図2に示した開口領域XAにおいて、第2遮光層41の少なくとも一部を除去することにより設けられる。
【0040】
開口領域XAを設ける位置につき、図2及び図4を用いて説明する。図4は、対向基板CTの端子領域LA側の端部近傍を概略的に示す平面図である。第2遮光層41に対応する部分をドットのハッチングにて示している。図2にも示した端部スリット60は第2遮光層41の縁部に沿って設けられ、境界スリット61は表示領域DAを囲うように設けられている。開口領域XAは、これら端部スリット60及び境界スリット61の間に設けられている。
【0041】
図4の例において、開口領域XAは、第1方向Xに沿う第1辺部SP1及び第2辺部SP2と、第2方向Yに沿う第3辺部SP3及び第4辺部SP4と、で囲われた領域である。例えば、第1方向Xは表示領域DAの端子領域LA側の辺と平行な方向であり、第2方向Yは第1方向Xと直交する方向である。例えば、第1辺部SP1及び第2辺部SP2は長辺であり、第3辺部SP3及び第4辺部SP4はこの長辺よりも短い短辺である。
【0042】
第1辺部SP1は、第2偏光板PL2の端部E1よりも表示領域DA側に位置している。第1辺部SP1の具体的な位置は、第2偏光板PL2の端部E1の設計上の位置と、第2偏光板PL2の貼り合せの公差とを勘案して定めることができる。例えば図4に示すように、端部E1の設計上の位置が表示領域DAから距離d1の位置である場合、第1辺部SP1の位置を表示領域DAから距離d1の位置よりも公差t1に相当する距離だけ表示領域DA側に定めることができる。
【0043】
第2辺部SP2は、第2偏光板PL2の端部E1よりも端部スリット60側に位置している。第2辺部SP2の具体的な位置は、第2フレキシブル配線基板FPC2の端部E2の設計上の位置と、第2フレキシブル配線基板FPC2の貼り合せの公差とを勘案して定めることができる。例えば図4に示すように、端部E2の設計上の位置が第2偏光板PL2の端部E1から距離d2の位置である場合、第2辺部SP2の位置を端部E1の位置よりも公差t2に相当する距離だけ表示領域DA側に定めることができる。この場合において、開口領域XAは、第2フレキシブル配線基板FPC2と対向しない。
【0044】
図4の例において、第3辺部SP3及び第4辺部SP4は、表示領域DAの第2方向Yに沿う縁部の延長線上に位置している。第2辺部SP2側に関しては表示パネルPNLの側方から照射される紫外線が第2フレキシブル配線基板FPC2などに遮られて紫外線硬化樹脂に到達し難いが、第3辺部SP3及び第4辺部SP4の側に関しては側方から照射される紫外線により、紫外線硬化樹脂が好適に硬化する。なお、狭額縁化により接着剤の硬化に問題が生じた場合、第3辺部SP3及び第4辺部SP4は、表示領域DAの第2方向Yに沿う縁部の延長線上よりも外側に位置させることも可能である。
【0045】
このように第1辺部SP1及び第2辺部SP2の位置を定めることで、第2偏光板PL2の端部E1が開口領域XAと対向する。したがって、表示パネルPNLの側から紫外線を照射した際に、端部E1の近傍の紫外線硬化樹脂が開口領域XAを通じて紫外線に晒されて好適に硬化する。これにより、未硬化の紫外線硬化樹脂が端部E1に接して第2偏光板PL2が膨潤することが防止或いは緩和される。したがって、イエローボーダの発生が抑制されて、表示品位の低下を防止或いは低減することができる。さらに、開口領域XAと端部E1とが重なる範囲内で表示領域DAと第1辺部SP1との間の距離を最大限に確保しているため、表示領域DAの近傍への光漏れを十分に防ぐことができる。
【0046】
また、開口領域XAは、バックライトBLの遮光テープ16及びカバーガラスCGの第1遮光層20とも平面視で重なっている。したがって、開口領域XAの位置においては、遮光テープ16及び第1遮光層20によってバックライトBLからの光が2重に遮光され、光漏れが好適に防がれる。遮光テープ16は、開口領域XAの第1辺部SP1よりも表示領域DA側にはみ出している。
【0047】
また、第2辺部SP2側においては、第2フレキシブル配線基板FPC2が第2遮光層41により覆われるので、第2フレキシブル配線基板FPC2の近傍がカバーガラスCGの外部から視認されることを防ぎ、表示装置1の美観を高めることができる。
【0048】
なお、シール材50と平面視で重なる領域においては、シール材50により紫外線の一部が遮られる可能性がある。そこで、図2に示すように、第2辺部SP2の位置をシール材50の表示領域DA側の端部の位置或いはこれよりも表示領域DA側の位置に定めても良い。この場合において、開口領域XAは、シール材50と対向しない。
【0049】
以下に、開口領域XAに設けられる開口部の態様に関する具体例として、第1〜第12実施例を示す。
図5は、第1〜第7実施例に共通する概念を説明する図であって、開口領域XAの一部を示している。開口領域XAに設けられる開口部は、例えば図5に示すようなスリットSL1とすることができる。このスリットSL1は、第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並んでいる。スリットSL1の間の第2遮光層41にて形成されるラインLN1も、第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並んでいる。ラインLN1の第2方向Yにおける幅w1は、例えばラインLN1の全長に亘って一定である。スリットSL1の第2方向Yにおける幅w2は、例えばスリットSL1の全長に亘って一定である。
【0050】
(第1実施例)
図6は、第1実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。この開口領域XAにおいて、スリットSL1は、第1辺部SP1の近傍から第2辺部SP2の近傍に至るまで繰り返し形成されている。各スリットSL1は、第3辺部SP3の近傍から第4辺部SP4の近傍(図中右側に位置する)に至るまで直線状に形成されている。本実施例において、幅w1,w2はいずれも約10μmである。また、第1辺部SP1と第2偏光板PL2の端部E1の設計上の位置との間の距離は約0.2mmであり、第2辺部SP2と端部E1の設計上の位置との間の距離は約0.7mmである。
【0051】
図6においては、メインスペーサ51、サブスペーサ52、及びカラーレジスト54の位置及び形状を第2遮光層41に重ねて示している。カラーレジスト54は、第1方向Xに沿って直線状に延びている。メインスペーサ51は、カラーレジスト54と重なる位置において、一定の間隔で配列されている。一方で、サブスペーサ52は、第1方向Xに沿って直線状に形成されている。
【0052】
本実施例においては、カラーレジスト54及びメインスペーサ51と重なる部分においては、第2遮光層41が除去されていない。これにより、メインスペーサ51が形成される位置において第2遮光層41の厚さが一定となり、アレイ基板ARと対向基板CTとの間のセルギャップが好適に保たれる。
【0053】
(第2実施例)
図7は、第2実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。本実施例は、幅w1,w2がいずれも約20μmである点で第1実施例と相違する。
【0054】
(第3実施例)
図8は、第3実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。本実施例は、幅w1,w2がいずれも約30μmである点で第1実施例と相違する。
【0055】
(第4実施例)
図9は、第4実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。本実施例においては、幅w1が幅w2よりも大きい点で第1実施例と相違する。具体的には、幅w1が約20μmであり、幅w2が約10μmである。
【0056】
(第5実施例)
図10は、第5実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。本実施例においては、第4実施例と同じく幅w1が幅w2よりも大きい点で第1実施例と相違する。具体的には、幅w1が約30μmであり、幅w2が約10μmである。
【0057】
(第6実施例)
図11は、第6実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。本実施例においては、幅w1が幅w2よりも小さい点で第1実施例と相違する。具体的には、幅w1が約10μmであり、幅w2が約20μmである。
【0058】
(第7実施例)
図12は、第7実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。本実施例においては、第6実施例と同じく幅w1が幅w2よりも小さい点で第1実施例と相違する。具体的には、幅w1が約10μmであり、幅w2が約30μmである。
【0059】
以上説明した第1〜第7実施例の他にも、幅w1,w2は適宜の値に設定することができる。また、開口領域XAには第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに並ぶスリットが設けられても良い。この場合においても、スリット及びラインの幅は適宜の値に設定することができる。
【0060】
図13は、第8,第9実施例に共通する概念を説明する図であって、開口領域XAの一部を示している。開口領域XAに設けられる開口部は、例えば図13に示すような直径Φの正円形の小孔CRとすることができる。この小孔CRは、第1方向X及び第2方向Yに沿って並んでいる。第1方向Xに隣り合う小孔CR同士の間隔はs1であり、第2方向Yに隣り合う小孔CR同士の間隔はs2である。
【0061】
(第8実施例)
図14は、第8実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。この開口領域XAにおいては、概ね全域に亘って小孔CRが形成されている。本実施例において、直径Φは約20μmであり、間隔s1,s2はいずれも約10μmである。また、第1辺部SP1と第2偏光板PL2の端部E1の設計上の位置との間の距離は約0.2mmであり、第2辺部SP2と端部E1の設計上の位置との間の距離は約0.7mmである。本実施例においても、第1実施例と同じく、カラーレジスト54及びメインスペーサ51と重なる部分においては、第2遮光層41が除去されていない。
【0062】
(第9実施例)
図15は、第9実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。本実施例は、直径Φが約40μm、間隔s1,s2がいずれも約10μmである点で第8実施例と相違する。
【0063】
以上説明した第8及び第9実施例の他にも、直径Φ及び間隔s1,s2は適宜の値に設定することができる。また、小孔CRは、開口領域XAにおいてランダムに配置されても良い。さらに、端部E1の近傍ほど小孔CRが密に形成されても良い。また、小孔CRは正円形に限られず、楕円形などの他の形状であっても良い。
【0064】
(第10実施例)
図16は、第10実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。本実施例では、開口領域XAにおいてカラーレジスト54と重なる部分を除いて第2遮光層41を除去した点で、上述した各実施例と異なる。具体的には、開口領域XAには、2つのカラーレジスト54にそれぞれ重なった、第2遮光層41が除去されていない部分である2つのラインLN2が形成されている。これらラインLN2によって区切られた領域には、第2遮光層41が除去された3つのスリットSL2が形成されている。図16の例において、スリットSL2及びラインLN2は、いずれも第1方向Xに沿って延びており、第2方向Yにおける幅は全長に亘って概ね一定である。
【0065】
本実施例のように、開口領域XAの大部分において第2遮光層41を除去することで、第2偏光板PL2の端部E1の近傍に多くの紫外線を照射することができ、接着層21をより好適に硬化させることができる。
【0066】
さらに、アレイ基板AR及び対向基板CTの貼り合せに際し対向基板CTにシール材50を塗布する場合において、塗布の精度を高めることができる。この作用につき、図17を用いて説明する。シール材50を塗布する際には、シール材50を塗布するノズルと、このノズル近傍における塗布面の凹凸等を検出するセンサSEとを有したディスペンサが用いられる。開口領域XAとシール材50を塗布する位置とが近ければ、センサSEの検出位置が開口領域XAと重なり得る。開口領域XAに幅の狭いスリットSL及びラインLNを交互に形成する場合においては、図17(a)に示すように、スリットSL或いはラインLNの縁部近傍においてこの縁部と平行にセンサSEが通ることがある。このとき、センサSEの検出信号がスリットSLにより形成される第2遮光層41の段差と干渉して不安定となり、シール材50の塗布異常が発生し得る。一方で、開口領域XAの大部分において第2遮光層41が除去されている場合には、図17(b)に示すように、センサSEの通過ラインの近傍から段差を無くすことができる。したがって、センサSEの検出信号が安定し、シール材50を正確に塗布することが可能となる。
【0067】
(第11実施例)
図18は、第11実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。本実施例では、開口領域XAの全てにおいて第2遮光層41を除去した点で、上述した各実施例と異なる。この場合においては、開口領域XAを通じて紫外線硬化樹脂に照射される紫外線の量を最大限に高めることができる。さらに、第10実施例と同じくシール材50の塗布の精度を高めることができる。
【0068】
図18の例においては、メインスペーサ51に対応する位置にカラーレジスト54が設けられていない。これにより、センサSEがカラーレジスト54により生じる段差の影響を受けなくなるため、シール材50の塗布の精度を一層高めることができる。但し、他の実施例と同じく、メインスペーサ51に対応する位置にカラーレジスト54が設けられても良い。
なお、開口領域XAと重なる位置にメインスペーサ51を設けないようにしても良い。これにより、メインスペーサ51とセンサSEとの干渉を防ぐことができ、シール材50の塗布の精度をさらに高めることができる。さらに、開口領域XAと重なる位置にサブスペーサ52を設けないようにしても良い。
【0069】
(第12実施例)
図19は、第12実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。本実施例では、開口領域XAにおいて、カラーレジスト54に対応する位置のみ第2遮光層41を除去した点で、上述した各実施例と異なる。具体的には、2つのカラーレジスト54とそれぞれ重なる2つのスリットSL3が第2遮光層41に設けられている。各スリットSL3は、第1方向Xに沿って延びている。図19の例において、スリットSL3の第2方向Yにおける幅は、カラーレジスト54の第2方向Yにおける幅よりも小さい。一例として、カラーレジスト54の幅が約60μmである場合において、スリットSL3の幅は約50μm程度に定めることができる。
【0070】
(第13実施例)
図20は、第13実施例に係る開口領域XAの一部を概略的に示す図である。本実施例では、開口領域XAにおいて、アレイ基板ARに設けられる各種配線に対応する形状に第2遮光層41をパターニングした点で、上述した各実施例と異なる。具体的には、互いに間隔を空けて並ぶ複数のスリットSL4及びラインLN4が開口領域XAに形成されている。
【0071】
図21は、図20におけるF21−F21線に沿う表示パネルPNLの断面を概略的に示す図である。この図においては、アレイ基板AR及び対向基板CTが備える要素の一部を省略している。アレイ基板ARには、複数の配線36が形成されている。これら配線36は、例えば、前述の走査線、信号線、或いはこれらを駆動する回路から延出した配線などに相当し、金属材料によって形成されている。液晶層LCなどを挟んでこれらの配線36と対向する位置に、ラインLN4がそれぞれ形成されている。金属材料によって形成された配線36は、第2絶縁基板40側から表示パネルPNLに入射する光を反射し得るが、ラインLN4を設けることによりこの反射を防ぎ、表示パネルPNLの美観を高めることができる。なお、開口領域XA部分での光漏れが問題となる場合は、配線36が形成されていない箇所に第2遮光層41が残るようにパターニングを行えば良い。また、開口領域XAの一部の領域では図21の構成とし、他の領域では配線36が形成されていない箇所に第2遮光層41が残るようにパターニングを行うものであっても良い。
【0072】
(第14実施例)
図22は、第14実施例に係る開口領域XAを概略的に示す図である。前述の実施例では、第2遮光層41の端子領域LA側に開口領域XAを設ける構成としているが、本実施例では、第2遮光層41の4辺に沿って開口領域XAを設けていることが特徴である。端子領域LA側以外であっても、接着剤の材質や偏光板の大きさ等、表示パネルの構造によっては接着剤が偏光板の端部に接触したり、接着剤を十分に硬化させることが出来ない場合がある。その場合に本実施例の形態が有効となる。
【0073】
本実施例では、端子領域LA側の開口領域XAの幅が、端子領域LA側に対向する反端子領域LAB側に設けられる開口領域XAの幅よりも広くなっている。また、端子領域LAと反端子領域LABとを連結する長辺領域SA側の開口領域XAの幅が反端子領域LAB側の開口領域の幅よりも狭くなっている。このような構成とすることで、より狭額縁の要求の高い、長辺領域SA側の非表示領域NDAを狭くすることができる。
【0074】
なお、開口領域XAは4辺全てに設ける必要はなく、2辺のみや、3辺のみに開口領域XAを設けた構成であっても良い。また、他の実施例にも適用できることであるが、開口領域XAと端部スリット60とを離間させずに一体に形成することも可能であり、開口領域XAと境界スリット61とを離間させずに一体に形成することも可能である。また、開口領域XAには、オーバーコート層43が設けられることとなるが、オーバーコート層43の代わりに、接着剤を硬化させる波長の光、例えば紫外線を透過し、可視光を透過し難い物質を充填することも可能である。これにより、可視光が表示領域から漏れることを防ぐことが可能となる。
【0075】
以上説明した各実施例に係る構成は、適宜に組み合わせることができる。また、開口領域XAの構成は、これらの実施例に限定されず、種々の形態を採用し得る。
第2偏光板PL2の端部E1近傍において、アレイ基板AR側から接着層21の元となる紫外線硬化樹脂に到達する紫外線の量は、開口領域XAにおける開口率によって定まる。この開口率は、例えば、開口領域XAの全部、或いは、一部の領域内に設けられたスリットや小孔等の開口部の面積と、開口領域XAにおいてアレイ基板ARに設けられた配線等の金属材料と重なる面積との和を、開口領域XAの全面積にて除した値に相当する。
【0076】
発明者らは、このような開口率と、紫外線硬化樹脂の硬化の度合いとの関係を検証した。その結果、エポキシ樹脂或いはアクリル樹脂等の紫外線硬化樹脂においては、第2偏光板PL2の膨潤を防ぐためには、少なくとも18%程度の開口率、好ましくは20%以上の開口率が必要であることが判明した。したがって、開口領域XAは、開口率が18%以上或いは20%以上となるように、スリットや小孔等の開口部を設けることが好ましい。
【0077】
なお、一般に、各フレキシブル配線基板が接続される非表示領域においては、この非表示領域に隣接した表示領域の一辺に沿う方向における中央部から両端部に向けて、アレイ基板ARの配線の面積が増大する。したがって、開口領域XAにおける開口部の分布が各所で概ね一定の場合には、端部に向かうほど上述の開口率が低下することになる。これを考慮し、開口領域XAの両端部に向かうほど開口部の面積を増大させ、開口領域XAの各所における開口率を均一化しても良い。
【0078】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0079】
例えば、第2遮光層41に代えて、アレイ基板ARに遮光層が設けられている場合には、この遮光層に開口領域XAを形成すれば良い。アレイ基板ARと対向基板CTとは、矩形形状を有しているが、矩形以外の形状のパネルであっても良い。その場合、第2偏光板PL2を対向基板CTの形状に合わせた形状とすることが考えられるが、この場合には開口領域XAを第2偏光板PL2の端部と併せた形状に設けることも可能である。また、開口領域XAとして、第2遮光層41を部分的に除去した構成としているが、狭額縁化が進行し、各偏光板の端部と対向基板CTの端部との間隔が狭くなった場合、開口領域XAと対向基板CTの端部との間に設けられた第2遮光層41を除去した構成としても良い。本願においては、その形状も開口と称することとする。
【0080】
第2偏光板PL2の端部E1、第2フレキシブル配線基板FPC2の端部E2、シール材50の位置、及び、開口領域XAの位置などは、種々の態様に変形することができる。この観点からの一変形例につき、図23を用いて説明する。この図においては、対向基板CT及び第2フレキシブル配線基板FPC2の一部を概略的に示している。第2フレキシブル配線基板FPC2が第2遮光層41と重なり、かつ第2フレキシブル配線基板FPC2の端部E2が開口領域XAと重なっている。更に、第2フレキシブル配線基板FPC2は、開口領域XAと重なる位置に、複数のスリットSL5を有している。接着層21は、例えば第2フレキシブル配線基板FPC2のスリットSL5と重なる位置まで表示領域DA側から延びている。このような構成においては、スリットSL5を通して紫外線が接着層21の元となる紫外線硬化樹脂に照射されるので、この樹脂を好適に硬化させることができる。
【0081】
また、上記実施形態では、第2偏光板PL2に接着剤を介してカバーガラスCGを貼り付ける構成であるが、カバーガラスCGと第2偏光板PL2との間にタッチパネルを設けた構成であってもよい。その場合、本願発明を、第2偏光板PL2とタッチパネルとの固定の際に適用することも可能であるが、タッチパネルとカバーガラスとを接着剤で貼り付ける場合であっても適用することが可能である。カバーガラスCGとタッチパネルとが一体となったものをカバー部材と称する場合もある。また、表示パネルPNLに第1偏光板PL1や第2偏光板PL2が貼り付けられる構成となっているが、これら偏光板を貼り付けたものを表示パネルと称することも可能である。尚、本願発明は、偏光板の端部に接着剤が接触することによる膨潤を防ぐことが1つの目的ではあるが、接着剤を硬化させるための光が十分に照射されない領域を低減させ、接着剤を十分に硬化させることも目的の一つである。また、硬化していない接着剤をそれ自体の粘性や外圧により塗り広げる際、予め開口領域XAを介して光を照射しておくことで、塗り広がりの範囲を制御することも可能となる。つまり、接着剤の端部が第2偏光板PL2の端部E1よりも内側にある構成であっても本願発明の効果を奏することはできる。また、偏光板に限らず、表示パネルと他の部材とを貼り付ける場合全般に本願発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
PNL…表示パネル、BL…バックライト、CG…カバーガラス、AR…アレイ基板、CT…対向基板、LC…液晶層、DA…表示領域、NDA…非表示領域、XA…開口領域、1…表示装置、PL1…第1偏光板、PL2…第2偏光板、FPC2…第2フレキシブル配線基板、16…遮光テープ、20…第1遮光層、21…接着層、41…第2遮光層、50…シール材、51…メインスペーサ、54…カラーレジスト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23