【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有する内燃機関と、請求項
12の特徴を有する方法とによって達成される。本発明の有利な形態は、従属請求項に記述されている。
【0011】
開ループまたは閉ループコントロール装置が、少なくとも一つのサイクルの間に、少なくとも一つの選択されたシリンダにて、点火が発生しないよう、それぞれのシリンダに特徴的な温度を検知するための少なくとも一つの測定装置の信号に応じて、点火装置または燃料導入装置を作動または調節(制御)するように適応されているという事実は、内燃機関のためにさらに均等な温度状態の達成が可能であることを意味する。これには多くの利点が関与している。
【0012】
熱的にさらに均等な状態は、内燃機関での、低下した機械的負荷と、損耗のさらなる減少という結果をもたらす。潤滑回路への入熱のレベルがさらに低下するので、潤滑油管理が改善される。
【0013】
本明細書では、“燃料”という用語は、例えば燃焼ガスなどの純粋燃料、または燃料と空気との混合物のいずれかを意味するものとして使用されている。“サイクル”という用語は、エンジンの運転サイクルを表わすために使用されており、すなわち、4サイクルエンジンの場合には、720°のクランクシャフト回転であり、2サイクルエンジンの場合には、360°のクランクシャフト回転であり、360°は全角に対応する。
【0014】
本願においては、“点火”という用語は、“燃焼”を意味するためにも使用されており、すなわち、“1サイクルにおいて点火が発生しない”場合は、そのサイクルにおいて混合物の燃焼が存在しないことを意味しており、すなわち、それぞれの点火装置および/または燃料導入装置は非活性状態のままであることを意味する。
【0015】
特徴的な温度は、例えば、排気ガス温度、シリンダ自体の温度、連結ロッドベアリングの温度、またはシリンダの個々の部分(例えばシリンダヘッド、ファイアプレート(fire plate)、ピストンまたはライナー)の温度である。センサは、当業者にはよく知られているように、内燃機関内に相応的に配置される。
【0016】
開ループまたは閉ループコントロール装置は、少なくとも一つの選択されたシリンダへの燃料の導入が中断されるよう、少なくとも一つのサイクル中に、少なくとも一つの選択されたシリンダの燃料導入装置を作動または調節するように設計されている。この場合には、どんな場合でも燃焼チャンバ内に点火可能な燃料が存在しないので、存在可能な点火装置は、活性状態またはスイッチが入った状態のままであることができる。
【0017】
追加的に、または代わりに、開ループまたは閉ループコントロール装置は、少なくとも一つのサイクル中に、少なくとも一つの選択されたシリンダの点火装置を非活性化させるか、または作動させないように設計されている。この場合には、存在可能な燃料導入装置は、燃焼チャンバ内の燃料が点火されないため、活性状態またはスイッチが入った状態のままである。
【0018】
燃料導入装置は、例えばポート噴射バルブの形態、可変バルブギヤの可変吸気バルブの形態、またはシリンダ内に直接配置された噴射装置の形態でよい。噴射装置は、オットー(Otto)サイクルエンジン内の燃料の直接噴射のため、またはディーゼルエンジン内のディーゼル燃料の噴射のために設計することができる。
【0019】
(利用される場合には)点火装置は、例えばスパーク点火装置、コロナ点火装置、グロープラグ、またはレーザ点火装置の形態でもよい。
【0020】
本発明の別な好適実施態様では、開ループまたは閉ループコントロール装置の電子メモリ内にベースラインパターンが保存されており、これに従って、点火装置および/または燃料導入装置が、少なくとも一つのサイクル中に、少なくとも一つの選択されたシリンダ内で、点火が発生しないように、開ループまたは閉ループコントロール装置によって、作動可能または調節可能であり、開ループまたは閉ループコントロール装置は、そのベースラインパターンに従って、少なくとも一つの測定装置の信号を考慮せずに、点火装置および/または燃料導入装置を作動または調節させる第1の運転モードで設計されている。ベースラインパターンは、従来技術から知られているように、点火または点火の省略のシーケンスが、エンジンの機械的および熱的負荷が可能な限り均等となる配分を提供するように選択できる。シリンダの非活性化のためのベースラインパターンは、内燃機関のその時点で優勢な動力要求に適応できる。
【0021】
開ループまたは閉ループコントロール装置が、点火が発生しないよう、そのシリンダを作動または調節するために少なくとも一つのシリンダの特徴的な温度が予め決定可能な上限値に到達するか、または超過する状況に適応されていることが特に好適である。前述のように、第1のモードで、運転がベースラインパターンに従って実行される状況では、その方策は、システムが第1の運転モードから変化する第2の運転モードとして提供できる。これは、特に高い特徴的な温度のシリンダが点火から除外され、このようにして対応するシリンダの熱負荷が減少される。
【0022】
特に好適には、開ループまたは閉ループコントロール装置が、点火が発生するように、そのシリンダを作動または調節するために少なくとも一つのシリンダの特徴的な温度が予め決定可能な下限値に到達するか、またはこれを下回る状況に適応している。この方策は、単独でまたは前述の方策の一つとの組合せにて実行できる。これで、特に低い特徴的な温度のシリンダが点火から除外されず、よって次のサイクルからの点火を有し、その結果として対応するシリンダの熱負荷が増加される。
【0023】
1実施例として、上限値および/または下限値は、全てのシリンダの平均温度
またはメジアン温度(または別例では例えばシリンダ列のそのシリンダのみ等の、選択されたシリンダのみ)の温度に基づいて確立される。
【0024】
平均温度は、算術平均
値によって決定できる。上限値と下限値は平均温度
またはメジアン温度と補正値(オフセット)から計算される。補正値は、何個のシリンダを非点火とする意図であるかによって、異なる方法で選択できる。したがって補正値は、平均温度
またはメジアン温度に関する偏差の帯域に対応し、それ以上では問題のシリンダは非点火のコマンドを受領し、それ以下では問題のシリンダは点火のコマンドを受領する。これを、数字を使った例で説明する:出口バルブにて直接確認された温度の平均温度
またはメジアン温度を350℃にし、補正値を100℃として選択させる。その後、それが達成されるとすぐに、問題のシリンダが非点火のコマンドを受領する上限値は450℃の時である。それが達成されるとすぐに、問題のシリンダが点火のコマンドを受領する下限値は250℃の時である。したがって補正値は、個々のシリンダ温度が、それらの点火のステータス(状態)が変更される前に発生する帯域の幅を確立する。例えば30℃から40℃など、選択される温度域をさらに狭くすることが可能であり、シリンダの点火ステータスに関する多くの調節の介入がもたらされる。帯域がさらに幅広く選択されると、すなわちさらに大きい補正値のおかげで、シリンダ温度は互いからさらに大きく異なることができる。しかしながらこの方策の目的は、可能な限り狭い帯域にシリンダの温度を保つことであり、すなわち全てのシリンダでの均等な温度配分を達成することである。実際には、補正値は平均温度
またはメジアン温度に関して非対称的に選択されるであろう、すなわち例えば、シリンダのさらに低い温度限界を確立するさらに低い補正値は、シリンダのさらに高い温度限界を確立するさらに高い補正値よりも大きい値に選択される。
【0025】
特に好適には、測定装置からの信号の他に、回転速度や内燃機関への負荷の事前確定のために特徴的である別の信号もまた、開ループまたは閉ループコントロール装置に供給されることができ、開ループまたは閉ループコントロール装置は、存在するシリンダ全体の何割が点火に関与しているかを決定するため、それらの別の信号に応じて設計される。これは、シリンダの省略が、エンジンへのその時点で優勢な負荷または速度要求に適合する程度にのみ本来発生するべきであるという事実を考慮している。これは例えば、内燃機関への全負荷下では点火省略(ignition omission)が発生しないことを意味している。
【0026】
例えば回転速度またはパワー出力を維持するための予備設定が、サイクル毎に点火が発生している、その時点で提供されているよりもさらに多い数のシリンダを必要とする場合、好適には、その他のシリンダと比較してさらに低い特徴的な温度が関与するそのようなシリンダが、開ループまたは閉ループコントロール装置によって点火のために作動または調節される。
【0027】
例えば、回転速度またはパワー出力を維持するための予備設定が、サイクル毎に点火が発生している、その時点で提供されているよりもさらに少ない数のシリンダを必要とする場合、好適には、その他のシリンダと比較して、さらに高い特徴的な温度が関与するこれらのシリンダが点火のために追加される。
【0028】
特に好適には、開ループまたは閉ループコントロール装置は、シリンダに特徴的である温度信号の不具合の場合でも、予め決定された数の経過サイクルに対応して点火に関してそのシリンダを作動または調節するように設計されている。これは、センサの故障時も、対応するシリンダを経過サイクルに従って確実に燃焼させる。
【0029】
上限および/または下限値は、全てのまたは選択されたシリンダの平均温度
またはメジアン温度に基づいて決定できる。この場合には、平均温度は算術平均
値によって決定できる。例えば、アルゴリズムが適用されるそれぞれのシリンダ列などのサブグループを形成することが可能である。
【0030】
その方法として、少なくとも一つのシリンダの非活性化が、その少なくとも一つのシリンダの特徴的な温度に応じて実行される。その装置に関して説明される設計オプションもここで利用できる。
【0031】
本発明の別な詳細と利点は、図面とそれらに関連する解説によって明らかになるであろう。
(項目1)
内燃機関(1)であって、
当該内燃機関は、内部に燃焼チャンバが提供されている複数のシリンダ(2)を備え、点火装置(3)および/または燃料導入装置(4)がそれぞれの燃焼チャンバと関連しており、前記燃焼チャンバは燃料を周期的に点火するように設計されており、
当該内燃機関は、
前記点火装置(3)および/または前記燃料導入装置(4)の作動または閉ループ制御のための開ループまたは閉ループコントロール装置(5)と、
それぞれのシリンダ(2)に特徴的である温度を検知するための少なくとも一つの測定装置(9)と、をさらに備え、
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、少なくとも一つのサイクル中に少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)で点火が発生しないよう、および全てのシリンダ(2)での均等な温度配分が達成されるよう、前記点火装置(3)または前記燃料導入装置(4)を、少なくとも一つの測定装置(6)の信号に応じて、作動または閉ループ制御するように設計されている、
ことを特徴とする内燃機関(1)。
(項目2)
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、前記少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)への燃料の導入が中断されるよう、前記少なくとも一つのサイクル中に、前記少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)の前記燃料導入装置(4)を作動または閉ループ制御するように設計されている、
ことを特徴とする項目1記載の内燃機関(1)。
(項目3)
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、前記少なくとも一つのサイクル中に、前記少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)の前記点火装置(3)を非活性化させるか、または作動させないように設計されている、
ことを特徴とする項目1または2に記載の内燃機関(1)。
(項目4)
前記燃料導入装置(4)は、ポート噴射バルブの形態である、
ことを特徴とする項目1から3のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目5)
前記燃料導入装置(4)は、可変バルブギヤの可変吸気バルブの形態である、
ことを特徴とする項目1から3のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目6)
前記燃料導入装置(4)は、前記シリンダ内に直接配置された噴射装置の形態である、
ことを特徴とする項目1から3のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目7)
前記点火装置(3)は、スパーク点火装置、コロナ点火装置、グロープラグまたはレーザ点火装置の形態である、
ことを特徴とする項目1から6のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目8)
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)の電子メモリには、ベースラインパターンが保存されており、これに従って、前記点火装置(3)および/または前記燃料導入装置(4)は、少なくとも一つのサイクル中に、少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)において点火が発生しないように、前記開ループまたは閉ループコントロールによって作動可能または調節可能であり、前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、前記ベースラインパターンに従って、前記少なくとも一つの測定装置(6)の信号を考慮せずに、前記点火装置(3)および/または前記燃料導入装置(4)の作動または閉ループ制御のための第1の作動モードにて設計されている、
ことを特徴とする項目1から7のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目9)
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、点火が発生しないように、少なくとも一つのシリンダ(2)の特徴的な温度が、前記シリンダ(2)の作動または閉ループ制御のために予め設定可能な上限値に到達するか、または超過する状況に適応している、
ことを特徴とする項目1から8のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目10)
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、点火が発生するように、少なくとも一つのシリンダ(2)の特徴的な温度が、前記シリンダ(2)の作動または閉ループ制御のために予め設定可能な下限値に到達するか、またはこれを下回る状況に適応している、
ことを特徴とする項目1から9のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目11)
前記上限値および/または前記下限値は、全てのシリンダ(2)の平均温度またはメジアン温度に基づいて確立される、
ことを特徴とする項目9および/または項目10に記載の内燃機関(1)。
(項目12)
前記測定装置(6)からの信号の他に、前記内燃機関(1)へ予め設定する回転速度および負荷に特徴的である別の信号も、前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)に供給可能であり、前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、存在するシリンダ(2)全体の何割が点火に関与するかを決定するため、前記別の信号に適応している、
ことを特徴とする項目1から11のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目13)
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、シリンダ(2)に特徴的である温度の信号の不具合の場合にも、予め決定された数の経過サイクルに対応して、点火に関して前記シリンダ(2)を作動または閉ループ制御するように設計されている、
ことを特徴とする項目1から12のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目14)
前記上限値および/または前記下限値は、全てのまたは選択されたシリンダ(2)の平均温度またはメジアン温度に基づいて確立される、
ことを特徴とする項目9から13のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目15)
内燃機関(1)の運転方法であって、
前記内燃機関(1)は、内部に燃焼チャンバが提供されている複数のシリンダ(2)を有しており、点火装置(3)および/または燃料導入装置(4)がそれぞれの燃焼チャンバと関連しており、前記燃焼チャンバは燃料を周期的に点火するように設計されており、前記内燃機関(1)は、前記点火装置(3)および/または前記燃料導入装置(4)の作動または閉ループ制御のための開ループまたは閉ループコントロール装置(5)と、それぞれのシリンダ(2)に特徴的である温度を検知するための少なくとも一つの測定装置(6)と、をさらに有しており、前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、少なくとも一つのサイクル中に少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)にて点火が発生しないよう、および全てのシリンダ(2)での均等な温度配分が達成されるよう、前記点火装置(3)および/または前記燃料導入装置(4)を、前記少なくとも一つの測定装置(6)の信号に応じて制御することを特徴とする内燃機関(1)の運転方法。