特許第6457890号(P6457890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457890
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02D 17/02 20060101AFI20190110BHJP
【FI】
   F02D17/02 Z
   F02D17/02 N
   F02D17/02 R
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-113634(P2015-113634)
(22)【出願日】2015年6月4日
(65)【公開番号】特開2016-3652(P2016-3652A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2015年7月31日
【審判番号】不服2017-11899(P2017-11899/J1)
【審判請求日】2017年8月9日
(31)【優先権主張番号】A 466/2014
(32)【優先日】2014年6月12日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】504344576
【氏名又は名称】ゲーエー ジェンバッハー ゲーエムベーハー アンド コー オーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ハーバート コペチェク
(72)【発明者】
【氏名】ニコラウス スピラ
【合議体】
【審判長】 水野 治彦
【審判官】 冨岡 和人
【審判官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5555871(US,A)
【文献】 特開2002−256930(JP,A)
【文献】 特開2000−8892(JP,A)
【文献】 特開昭61−31647(JP,A)
【文献】 特開昭60−195341(JP,A)
【文献】 特開平7−63148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(1)であって、
当該内燃機関は、内部に燃焼チャンバが提供されている複数のシリンダ(2)を備え、
点火装置(3)および燃料導入装置(4)がそれぞれの燃焼チャンバと関連しており、前記燃焼チャンバは燃料を周期的に燃焼するように設計されており、
当該内燃機関は、
前記点火装置(3)および前記燃料導入装置(4)の作動制御のためのコントロール装置(5)と、
それぞれのシリンダ(2)自体又はそれぞれのシリンダ(2)の部分の温度を検知するための複数の測定装置(6)と、をさらに備え、
前記コントロール装置(5)は、少なくとも一つのサイクル中に少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)で燃焼が発生しないよう、および内燃機関でのより均等な温度配分が達成されるよう、前記点火装置(3)及び前記燃料導入装置(4)を、前記複数の測定装置(6)の信号に応じて、作動制御するように設計されており、
前記コントロール装置(5)は少なくとも一つのシリンダ(2)自体又はそのシリンダ(2)の部分の温度が、前記シリンダ(2)の作動制御のために予め設定された上限値に到達するかまたは超過する状況においては、該シリンダで燃焼を発生させずなくとも一つのシリンダ(2)自体又はそのシリンダ(2)の部分の温度が、前記シリンダ(2)の作動制御のために予め設定された下限値に到達するかたはこれを下回る状況においては、該シリンダで燃焼が発生するよう制御を行い
前記上限値および前記下限値は、全ての又は選択された複数のシリンダ(2)の平均温度またはメジアン温度に基づいている、
ことを特徴とする内燃機関(1)。
【請求項2】
前記コントロール装置(5)は、前記少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)への燃料の導入が中断されるよう、前記少なくとも一つのサイクル中に、前記少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)の前記燃料導入装置(4)を作動制御するように設計されている、
ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関(1)。
【請求項3】
前記コントロール装置(5)は、前記少なくとも一つのサイクル中に、前記少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)の前記点火装置(3)を非活性化させるか、または作動させないように設計されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関(1)。
【請求項4】
前記燃料導入装置(4)は、ポート噴射バルブの形態である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
【請求項5】
前記複数のシリンダは、複数のシリンダ列を形成し、
前記上限値および前記下限値は、前記シリンダ列ごとの平均温度またはメジアン温度に基づいて決定される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
【請求項6】
前記燃料導入装置(4)は、前記シリンダ内に直接配置された噴射装置の形態である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
【請求項7】
前記点火装置(3)は、スパーク点火装置、コロナ点火装置、グロープラグまたはレーザ点火装置の形態である、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
【請求項8】
前記測定装置(6)からの信号の他に、前記内燃機関(1)へ予め設定する回転速度および負荷に特徴的である別の信号も、前記コントロール装置(5)に供給可能であり、前記コントロール装置(5)は、存在するシリンダ(2)全体の何割が燃焼に関与するかを決定するため、前記別の信号に適応している、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
【請求項9】
前記コントロール装置(5)は、シリンダ(2)自体又はそれぞれのシリンダ(2)の部分の温度の信号の不具合の場合に、予め決定された経過サイクルに対応して、燃焼に関して前記シリンダ(2)を作動させるように設計されている、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
【請求項10】
内燃機関(1)の運転方法であって、
前記内燃機関(1)は、内部に燃焼チャンバが提供されている複数のシリンダ(2)を有しており、点火装置(3)および燃料導入装置(4)がそれぞれの燃焼チャンバと関連しており、前記燃焼チャンバは燃料を周期的に燃焼するように設計されており、前記内燃機関(1)は、前記点火装置(3)および前記燃料導入装置(4)の作動制御のためのコントロール装置(5)と、それぞれのシリンダ(2)自体又はそれぞれのシリンダ(2)の部分の温度を検知するための複数の測定装置(6)と、をさらに有しており、
前記コントロール装置(5)内燃機関でのより均等な温度配分が達成されるよう、前記点火装置(3)および前記燃料導入装置(4)を、前記複数の測定装置(6)の信号に応じて制御し
なくとも一つのシリンダ(2)自体又はそのシリンダ(2)の部分の温度が、前記シリンダ(2)の作動制御のために予め設定された上限値に到達するかまたは超過する状況においては該シリンダで燃焼を発生させずなくとも一つのシリンダ(2)自体又はそのシリンダ(2)の部分の温度が、前記シリンダ(2)の作動制御のために予め設定された下限値に到達するかまたはこれを下回る状況においては該シリンダで燃焼を発生させることを含み、
前記上限値および前記下限値は、全ての又は選択された複数のシリンダ(2)の平均温度またはメジアン温度に基づいている、
ことを特徴とする内燃機関(1)の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の特徴を有する内燃機関と、請求項15の前提部分の特徴を有する内燃機関の運転方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の個別の燃焼チャンバは、ピストン‐シリンダ装置(簡潔に、しばしば単にシリンダと称す。)の形態である。内燃機関のそれぞれの型に応じて、燃焼チャンバは予燃チャンバと主燃焼チャンバに分割できる。この場合には、点火装置は一般的には予燃チャンバと関連している。
【0003】
様々な理由から、内燃機関のシリンダは少なくとも一時的に選択的に運転停止されるか、または非活性化(脱活性化)されることが望ましく、これは本願との関係では、それぞれの点火装置および/または燃料導入のための装置が非活性状態のままであるという意味に解釈されるべきものである。
【0004】
シリンダの非活性化方法は、英語的には“スキップファイアリング(skip firing)”と称され、従来技術において知られている。スキップファイアリングは、動力の減少要求が存在するとき、燃料消費と排気ガスを減少させるため、6を超えるシリンダを備えた大型の機関で優性的に利用されている。
【0005】
DE4310261は、例えば、機関を過負荷から防護するため、選択的なスキップファイアリングのためのパターン(その明細書では非活性化パターンと称されている)が予め設定できる実施態様について解説している。このパターンは、有利にはシリンダの数に調和しているので、循環する非活性化シーケンスが存在しており、すなわちそれぞれのシリンダが、非常に短時間内に負荷から解放されるようになっている。
【0006】
DE2928075では、点火のコマンドとスキップファイアリングのためのコマンドのシーケンスが選択されるので、内燃機関が可能な限り円滑に作動し、特に機関サスペンションと駆動トレインの共振振動数の倍振動が回避されることについてさらに解説されている。
【0007】
米国特許出願US20130289853は、スキップファイアリングの方法について解説しており、点火コマンドは参照表(英語的にはルックアップテーブル(look−up table)と称される)に保存されており、次の点火コマンドのためのエントリ(entry)が、ルックアップテーブルのカウンタによって決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE4310261
【特許文献2】DE2928075
【特許文献3】US20130289853
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、過剰な機械的負荷または過剰な機械的損耗が、スキップファイアリングによって回避される内燃機関と、そのような内燃機関の運転方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有する内燃機関と、請求項12の特徴を有する方法とによって達成される。本発明の有利な形態は、従属請求項に記述されている。
【0011】
開ループまたは閉ループコントロール装置が、少なくとも一つのサイクルの間に、少なくとも一つの選択されたシリンダにて、点火が発生しないよう、それぞれのシリンダに特徴的な温度を検知するための少なくとも一つの測定装置の信号に応じて、点火装置または燃料導入装置を作動または調節(制御)するように適応されているという事実は、内燃機関のためにさらに均等な温度状態の達成が可能であることを意味する。これには多くの利点が関与している。
【0012】
熱的にさらに均等な状態は、内燃機関での、低下した機械的負荷と、損耗のさらなる減少という結果をもたらす。潤滑回路への入熱のレベルがさらに低下するので、潤滑油管理が改善される。
【0013】
本明細書では、“燃料”という用語は、例えば燃焼ガスなどの純粋燃料、または燃料と空気との混合物のいずれかを意味するものとして使用されている。“サイクル”という用語は、エンジンの運転サイクルを表わすために使用されており、すなわち、4サイクルエンジンの場合には、720°のクランクシャフト回転であり、2サイクルエンジンの場合には、360°のクランクシャフト回転であり、360°は全角に対応する。
【0014】
本願においては、“点火”という用語は、“燃焼”を意味するためにも使用されており、すなわち、“1サイクルにおいて点火が発生しない”場合は、そのサイクルにおいて混合物の燃焼が存在しないことを意味しており、すなわち、それぞれの点火装置および/または燃料導入装置は非活性状態のままであることを意味する。
【0015】
特徴的な温度は、例えば、排気ガス温度、シリンダ自体の温度、連結ロッドベアリングの温度、またはシリンダの個々の部分(例えばシリンダヘッド、ファイアプレート(fire plate)、ピストンまたはライナー)の温度である。センサは、当業者にはよく知られているように、内燃機関内に相応的に配置される。
【0016】
開ループまたは閉ループコントロール装置は、少なくとも一つの選択されたシリンダへの燃料の導入が中断されるよう、少なくとも一つのサイクル中に、少なくとも一つの選択されたシリンダの燃料導入装置を作動または調節するように設計されている。この場合には、どんな場合でも燃焼チャンバ内に点火可能な燃料が存在しないので、存在可能な点火装置は、活性状態またはスイッチが入った状態のままであることができる。
【0017】
追加的に、または代わりに、開ループまたは閉ループコントロール装置は、少なくとも一つのサイクル中に、少なくとも一つの選択されたシリンダの点火装置を非活性化させるか、または作動させないように設計されている。この場合には、存在可能な燃料導入装置は、燃焼チャンバ内の燃料が点火されないため、活性状態またはスイッチが入った状態のままである。
【0018】
燃料導入装置は、例えばポート噴射バルブの形態、可変バルブギヤの可変吸気バルブの形態、またはシリンダ内に直接配置された噴射装置の形態でよい。噴射装置は、オットー(Otto)サイクルエンジン内の燃料の直接噴射のため、またはディーゼルエンジン内のディーゼル燃料の噴射のために設計することができる。
【0019】
(利用される場合には)点火装置は、例えばスパーク点火装置、コロナ点火装置、グロープラグ、またはレーザ点火装置の形態でもよい。
【0020】
本発明の別な好適実施態様では、開ループまたは閉ループコントロール装置の電子メモリ内にベースラインパターンが保存されており、これに従って、点火装置および/または燃料導入装置が、少なくとも一つのサイクル中に、少なくとも一つの選択されたシリンダ内で、点火が発生しないように、開ループまたは閉ループコントロール装置によって、作動可能または調節可能であり、開ループまたは閉ループコントロール装置は、そのベースラインパターンに従って、少なくとも一つの測定装置の信号を考慮せずに、点火装置および/または燃料導入装置を作動または調節させる第1の運転モードで設計されている。ベースラインパターンは、従来技術から知られているように、点火または点火の省略のシーケンスが、エンジンの機械的および熱的負荷が可能な限り均等となる配分を提供するように選択できる。シリンダの非活性化のためのベースラインパターンは、内燃機関のその時点で優勢な動力要求に適応できる。
【0021】
開ループまたは閉ループコントロール装置が、点火が発生しないよう、そのシリンダを作動または調節するために少なくとも一つのシリンダの特徴的な温度が予め決定可能な上限値に到達するか、または超過する状況に適応されていることが特に好適である。前述のように、第1のモードで、運転がベースラインパターンに従って実行される状況では、その方策は、システムが第1の運転モードから変化する第2の運転モードとして提供できる。これは、特に高い特徴的な温度のシリンダが点火から除外され、このようにして対応するシリンダの熱負荷が減少される。
【0022】
特に好適には、開ループまたは閉ループコントロール装置が、点火が発生するように、そのシリンダを作動または調節するために少なくとも一つのシリンダの特徴的な温度が予め決定可能な下限値に到達するか、またはこれを下回る状況に適応している。この方策は、単独でまたは前述の方策の一つとの組合せにて実行できる。これで、特に低い特徴的な温度のシリンダが点火から除外されず、よって次のサイクルからの点火を有し、その結果として対応するシリンダの熱負荷が増加される。
【0023】
1実施例として、上限値および/または下限値は、全てのシリンダの平均温度またはメジアン温度(または別例では例えばシリンダ列のそのシリンダのみ等の、選択されたシリンダのみ)の温度に基づいて確立される。
【0024】
平均温度は、算術平均値によって決定できる。上限値と下限値は平均温度またはメジアン温度と補正値(オフセット)から計算される。補正値は、何個のシリンダを非点火とする意図であるかによって、異なる方法で選択できる。したがって補正値は、平均温度またはメジアン温度に関する偏差の帯域に対応し、それ以上では問題のシリンダは非点火のコマンドを受領し、それ以下では問題のシリンダは点火のコマンドを受領する。これを、数字を使った例で説明する:出口バルブにて直接確認された温度の平均温度またはメジアン温度を350℃にし、補正値を100℃として選択させる。その後、それが達成されるとすぐに、問題のシリンダが非点火のコマンドを受領する上限値は450℃の時である。それが達成されるとすぐに、問題のシリンダが点火のコマンドを受領する下限値は250℃の時である。したがって補正値は、個々のシリンダ温度が、それらの点火のステータス(状態)が変更される前に発生する帯域の幅を確立する。例えば30℃から40℃など、選択される温度域をさらに狭くすることが可能であり、シリンダの点火ステータスに関する多くの調節の介入がもたらされる。帯域がさらに幅広く選択されると、すなわちさらに大きい補正値のおかげで、シリンダ温度は互いからさらに大きく異なることができる。しかしながらこの方策の目的は、可能な限り狭い帯域にシリンダの温度を保つことであり、すなわち全てのシリンダでの均等な温度配分を達成することである。実際には、補正値は平均温度またはメジアン温度に関して非対称的に選択されるであろう、すなわち例えば、シリンダのさらに低い温度限界を確立するさらに低い補正値は、シリンダのさらに高い温度限界を確立するさらに高い補正値よりも大きい値に選択される。
【0025】
特に好適には、測定装置からの信号の他に、回転速度や内燃機関への負荷の事前確定のために特徴的である別の信号もまた、開ループまたは閉ループコントロール装置に供給されることができ、開ループまたは閉ループコントロール装置は、存在するシリンダ全体の何割が点火に関与しているかを決定するため、それらの別の信号に応じて設計される。これは、シリンダの省略が、エンジンへのその時点で優勢な負荷または速度要求に適合する程度にのみ本来発生するべきであるという事実を考慮している。これは例えば、内燃機関への全負荷下では点火省略(ignition omission)が発生しないことを意味している。
【0026】
例えば回転速度またはパワー出力を維持するための予備設定が、サイクル毎に点火が発生している、その時点で提供されているよりもさらに多い数のシリンダを必要とする場合、好適には、その他のシリンダと比較してさらに低い特徴的な温度が関与するそのようなシリンダが、開ループまたは閉ループコントロール装置によって点火のために作動または調節される。
【0027】
例えば、回転速度またはパワー出力を維持するための予備設定が、サイクル毎に点火が発生している、その時点で提供されているよりもさらに少ない数のシリンダを必要とする場合、好適には、その他のシリンダと比較して、さらに高い特徴的な温度が関与するこれらのシリンダが点火のために追加される。
【0028】
特に好適には、開ループまたは閉ループコントロール装置は、シリンダに特徴的である温度信号の不具合の場合でも、予め決定された数の経過サイクルに対応して点火に関してそのシリンダを作動または調節するように設計されている。これは、センサの故障時も、対応するシリンダを経過サイクルに従って確実に燃焼させる。
【0029】
上限および/または下限値は、全てのまたは選択されたシリンダの平均温度またはメジアン温度に基づいて決定できる。この場合には、平均温度は算術平均値によって決定できる。例えば、アルゴリズムが適用されるそれぞれのシリンダ列などのサブグループを形成することが可能である。
【0030】
その方法として、少なくとも一つのシリンダの非活性化が、その少なくとも一つのシリンダの特徴的な温度に応じて実行される。その装置に関して説明される設計オプションもここで利用できる。
【0031】
本発明の別な詳細と利点は、図面とそれらに関連する解説によって明らかになるであろう。
(項目1)
内燃機関(1)であって、
当該内燃機関は、内部に燃焼チャンバが提供されている複数のシリンダ(2)を備え、点火装置(3)および/または燃料導入装置(4)がそれぞれの燃焼チャンバと関連しており、前記燃焼チャンバは燃料を周期的に点火するように設計されており、
当該内燃機関は、
前記点火装置(3)および/または前記燃料導入装置(4)の作動または閉ループ制御のための開ループまたは閉ループコントロール装置(5)と、
それぞれのシリンダ(2)に特徴的である温度を検知するための少なくとも一つの測定装置(9)と、をさらに備え、
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、少なくとも一つのサイクル中に少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)で点火が発生しないよう、および全てのシリンダ(2)での均等な温度配分が達成されるよう、前記点火装置(3)または前記燃料導入装置(4)を、少なくとも一つの測定装置(6)の信号に応じて、作動または閉ループ制御するように設計されている、
ことを特徴とする内燃機関(1)。
(項目2)
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、前記少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)への燃料の導入が中断されるよう、前記少なくとも一つのサイクル中に、前記少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)の前記燃料導入装置(4)を作動または閉ループ制御するように設計されている、
ことを特徴とする項目1記載の内燃機関(1)。
(項目3)
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、前記少なくとも一つのサイクル中に、前記少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)の前記点火装置(3)を非活性化させるか、または作動させないように設計されている、
ことを特徴とする項目1または2に記載の内燃機関(1)。
(項目4)
前記燃料導入装置(4)は、ポート噴射バルブの形態である、
ことを特徴とする項目1から3のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目5)
前記燃料導入装置(4)は、可変バルブギヤの可変吸気バルブの形態である、
ことを特徴とする項目1から3のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目6)
前記燃料導入装置(4)は、前記シリンダ内に直接配置された噴射装置の形態である、
ことを特徴とする項目1から3のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目7)
前記点火装置(3)は、スパーク点火装置、コロナ点火装置、グロープラグまたはレーザ点火装置の形態である、
ことを特徴とする項目1から6のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目8)
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)の電子メモリには、ベースラインパターンが保存されており、これに従って、前記点火装置(3)および/または前記燃料導入装置(4)は、少なくとも一つのサイクル中に、少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)において点火が発生しないように、前記開ループまたは閉ループコントロールによって作動可能または調節可能であり、前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、前記ベースラインパターンに従って、前記少なくとも一つの測定装置(6)の信号を考慮せずに、前記点火装置(3)および/または前記燃料導入装置(4)の作動または閉ループ制御のための第1の作動モードにて設計されている、
ことを特徴とする項目1から7のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目9)
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、点火が発生しないように、少なくとも一つのシリンダ(2)の特徴的な温度が、前記シリンダ(2)の作動または閉ループ制御のために予め設定可能な上限値に到達するか、または超過する状況に適応している、
ことを特徴とする項目1から8のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目10)
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、点火が発生するように、少なくとも一つのシリンダ(2)の特徴的な温度が、前記シリンダ(2)の作動または閉ループ制御のために予め設定可能な下限値に到達するか、またはこれを下回る状況に適応している、
ことを特徴とする項目1から9のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目11)
前記上限値および/または前記下限値は、全てのシリンダ(2)の平均温度またはメジアン温度に基づいて確立される、
ことを特徴とする項目9および/または項目10に記載の内燃機関(1)。
(項目12)
前記測定装置(6)からの信号の他に、前記内燃機関(1)へ予め設定する回転速度および負荷に特徴的である別の信号も、前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)に供給可能であり、前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、存在するシリンダ(2)全体の何割が点火に関与するかを決定するため、前記別の信号に適応している、
ことを特徴とする項目1から11のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目13)
前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、シリンダ(2)に特徴的である温度の信号の不具合の場合にも、予め決定された数の経過サイクルに対応して、点火に関して前記シリンダ(2)を作動または閉ループ制御するように設計されている、
ことを特徴とする項目1から12のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目14)
前記上限値および/または前記下限値は、全てのまたは選択されたシリンダ(2)の平均温度またはメジアン温度に基づいて確立される、
ことを特徴とする項目9から13のいずれか1項に記載の内燃機関(1)。
(項目15)
内燃機関(1)の運転方法であって、
前記内燃機関(1)は、内部に燃焼チャンバが提供されている複数のシリンダ(2)を有しており、点火装置(3)および/または燃料導入装置(4)がそれぞれの燃焼チャンバと関連しており、前記燃焼チャンバは燃料を周期的に点火するように設計されており、前記内燃機関(1)は、前記点火装置(3)および/または前記燃料導入装置(4)の作動または閉ループ制御のための開ループまたは閉ループコントロール装置(5)と、それぞれのシリンダ(2)に特徴的である温度を検知するための少なくとも一つの測定装置(6)と、をさらに有しており、前記開ループまたは閉ループコントロール装置(5)は、少なくとも一つのサイクル中に少なくとも一つの選択されたシリンダ(2)にて点火が発生しないよう、および全てのシリンダ(2)での均等な温度配分が達成されるよう、前記点火装置(3)および/または前記燃料導入装置(4)を、前記少なくとも一つの測定装置(6)の信号に応じて制御することを特徴とする内燃機関(1)の運転方法。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、内燃機関1の回路図と線図を概略的に示している。内燃機関1は、燃料導入装置4によって燃料が供給される複数のシリンダ2を有している。明確に説明するため、図面では3つのシリンダ2のみが示されている。温度信号ラインS3によって、開ループまたは閉ループコントロール装置5が、シリンダ2の特徴的な温度を決定するための測定装置のセンサ6からの信号と、シリンダ2の特徴的な温度に関する情報と、さらに信号ラインS2によって内燃機関1のパワーと速度の特徴である信号とを受領する。
【0034】
図1には点火装置3は示されていないが、当然に存在できる。開ループまたは閉ループコントロール装置5は、燃料供給信号ラインS1によって、燃料導入装置4への燃料の導入のためのコマンドを送信できる。燃料の供給は、燃料供給ラインGによって実行される。空気の供給はここでは、空気供給ラインLを介して別に実行される。
【0035】
この実施例は、例えば、ポート噴射システムまたは可変バルブ装置を備えた内燃機関に関連している。
【0036】
図2は、図1に示す内燃機関1の回路図と線図を概略的に示しており、点火装置3が図示されている。図1において解説したように、開ループまたは閉ループコントロール装置5は、シリンダ2の特徴的な温度を決定するための測定装置のセンサからの信号、および内燃機関1のパワー出力と速度の特徴である別のセンサ(図示せず)からの別の信号も受領する。開ループまたは閉ループコントロール装置5は、点火または非点火のためのコマンドを、点火信号ラインS4によって、点火装置に送信できる。
【0037】
図3は、内燃機関1の回路図と線図を概略的に示しており、点火装置3と燃料導入装置4を図示している。したがってここでは、点火装置3と燃料導入装置4は、それぞれ点火信号ラインS4と燃料供給信号ラインS1によって、別々に作動されている可能性が存在する。
【0038】
図4は、時間がそのX軸上に示されている図を示している。Y軸は途中で中断されており、上方部分で、そのうちの5つが1例として示されているシリンダ2のそれぞれの任意の単位での特徴的な温度を示している。例示として選択された5つのシリンダ2は、符号Z1からZ5によってそれぞれ区別でき、明確に特定されている。
【0039】
さらに、5つのシリンダ2(Z1からZ5)のそれぞれの点火ステータスはY軸上にも示されており、‘1’は、問題のシリンダ2が1サイクルで点火することを表わしており、‘0’は、1サイクルで点火が発生しないことを表わしている。
【0040】
X軸下の分離したプロットは、X軸上で特定される時間に応じた(内燃機関1の動力要求および/または速度要求に応じて開ループまたは閉ループコントロール装置5によって決定された)点火しないシリンダ2の数を表わしている。時間t1までに、省略されたシリンダはなく(ゼロ)、時間t1から(数字2によって示された)2つのシリンダは非点火が意図されている。
【0041】
時間t1では、非点火のためのコマンドが開ループまたは閉ループコントロール装置5によって与えられる。本ケースでは、これは、燃料がこれらのシリンダ2に導入されず、よってこれらのシリンダ2が次のサイクルで点火しないよう、選択されたシリンダ2(本ケースではシリンダNo.1とNo.4)の燃料導入装置4が、起動されないことを意味している。2つのシリンダの非点火のための予備設定は、したがって、例えば、内燃機関1におけるその時点で優勢な動力要求を表わすベースラインパターンの設定に対応している。
【0042】
時間t1の後では、シリンダ2の点火の非点火または点火のための決定は、ベースラインパターンの予備設定によっては実行されなくなるが、シリンダ2の特徴的な温度に応じて実行され、センサ6によって確認される。
【0043】
個々のシリンダ2の特徴的な温度に応じた省燃焼の実行は、図4の実施例によって解説される。
【0044】
先ず、時間t2では、Z4で特定されるシリンダが、特徴的な温度の下限値UL以下に降下し、よって開ループまたは閉ループコントロール装置5による次のサイクルにおける点火を意図される。同時に、Z2で特定されるシリンダは最高の特徴的な温度にあり、上限値OLに到達しており、よって次のサイクルでは点火しない;次にシリンダZ1が下限値ULに到達し、よって次のサイクルでの点火を意図され、以下同様に作用する。
【0045】
2つのシリンダ2の省略のおかげで、特徴的な温度の平均値またはメジアン値Mが、完全な点火状態(すなわちシリンダ2が省略されない場合)との関連で降下していることが選択された実施例で明示されている。
【0046】
5つのシリンダ2の解説した番号は、例示として選択されただけであり、実際には、一般的に12から24の間である、任意の数のシリンダを提供することが可能である。
【0047】
図4に類似する図である図5は、時間t2で、省略が意図されている(非点火)シリンダが2つの場合から、点火に関与しないシリンダが一つだけの場合へ移行する状況を図示している。例えば、増加した動力要求のため、シリンダ2を追加することが必要になる場合がある。シリンダ2が、最低の特徴的な温度にて、点火のために作動されているが、図示の実施例ではこれはZ4で特定されるシリンダ2である。省略が意図されているシリンダの数は、主軸下の別なグラフに再び示されている。ここでは、時間t2で、省略が意図されているシリンダが2つから1つに移行する状況が理解できるであろう。
【0048】
図6は、状況が図5に類似した図であり、時間t2で、2つのシリンダ2から、省略が意図されている(非点火)3つのシリンダ2への移行が発生する状況を示している。例えば、減少した動力要求によって、別のシリンダ2を省略することが必要かもしれない。図示の実施例ではシリンダ2(No.3)であるそのシリンダは、最高の特徴的な温度で点火が非活性化される。主軸下の別なグラフには、時間t3にて、状況が2つの非点火シリンダから3つの非点火シリンダに移行するという事実が示されている。
【0049】
本発明による内燃機関は、好適には特に定置エンジン(好適にはガスオットーサイクルエンジン)の形態であり、特に好適には、発電のために発電機に連結されている。
【符号の説明】
【0050】
1 内燃機関
2 シリンダ
3 点火装置
4 燃料導入装置
5 開ループまたは閉ループコントロール装置
6 特徴的な温度を決定するための測定装置のセンサ
G 燃料供給ライン
L 空気供給ライン
S1 燃料供給信号ライン
S2 エンジン信号ライン
S3 温度信号ライン
S4 信号ライン
T 温度
t 時間
M 平均温度またはメジアン温度
OL 温度上限値
UL 温度下限値
Z1−Zi 選択されたシリンダの識別
図1
図2
図3
図4
図5
図6