特許第6457907号(P6457907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457907
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20190110BHJP
   G06F 1/18 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   G06F1/16 312K
   G06F1/16 312G
   G06F1/18 E
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-180104(P2015-180104)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2017-54456(P2017-54456A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 康史
(72)【発明者】
【氏名】青木 伸次
(72)【発明者】
【氏名】山東 由幸
【審査官】 征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−046029(JP,A)
【文献】 実開平02−131382(JP,U)
【文献】 特開2002−007302(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/070684(WO,A1)
【文献】 特開2009−266195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/16−1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する筐体と
一部を前記筐体の外部に露出させて前記内部空間に配置され、前記露出する部分に含まれ外部に向けて所定量突出する押下面及び外部機器に設けられた取付用フックが係合する開口部を有し、前記外部機器に接続するときに、前記開口部に前記取付用フックが挿入された状態で前記取付用フックを作動させて前記開口部に係合させる作動ボタンを、前記押下面で押下する内部部材と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記開口部は、挿入された前記取付用フックが作動した状態で、前記取付用フックと干渉して前記接続の離脱を防止するフック掛面を有し、
前記所定量は、前記取付用フックの作動時における基準面から前記作動ボタンの頂点までの距離と、前記押下面から前記フック掛面までの距離とを加算した値が、前記基準面から前記取付用フックの前記フック掛面に対向する面までの距離以下となる大きさを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記内部部材は、前記開口部における前記取付用フックとの係合部分が、樹脂内部に金属をインサート成形することで形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置及び前記情報処理装置に接続する機能拡張ユニットを有する情報処理システムであって、
前記機能拡張ユニットは、
接続された前記情報処理装置を固定する取付用フックと、
押下されると前記取付用フックを作動させる作動ボタンとを備え、
前記情報処理装置は、
内部空間を有する筐体と
一部を前記筐体の外部に露出させて前記内部空間に配置され、前記露出する部分に含まれ外部に向けて所定量突出する押下面及び前記取付用フックが係合する開口部を有し、前記拡張ユニットが接続するときに前記開口部に前記取付用フックが挿入された状態で、前記押下面により前記作動ボタンを押下する内部部材とを備えた
ことを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タブレット型端末装置は、その低価格化、小型化及び高速化により、急速に普及してきている。タブレット型端末装置は、容易に持ち運ぶことができ、時間や場所を選ばずインターネットなどにアクセスすることができ、情報の取得や他者との通信などの様々な形で利用される。
【0003】
そして、タブレット型端末装置は、その持ち運びやすい大きさや重さから、乱雑に扱われることも多い。例えば、タブレット型端末装置は、片手で持たれて振り回されたり、カバンに入れたままカバンごと放り投げたりするなどの扱いを受けることが考えられる。また、タブレット型端末装置は、教育現場で授業中にノートや教科書の代わりとして使用されることも考えられるが、その場合、面積が小さい机上からの落下や、通学時に持ち歩くことによって振動や衝撃を受けることが考えられる。そのため、タブレット型端末装置及び付属品には堅牢性が求められる。
【0004】
例えば、タブレット型端末装置の付属品として、キーボード入力を可能とするためのスリムキーボードやキーボードに加えた他の機能を拡張するためのキーボードドッキングステーションが存在する。以下、キーボードを含む機能拡張ユニットを、キーボードドックという。キーボードドックはタブレット型端末装置と接続した状態でノート型PC(Personal Computer)のように折りたたむことができ、利用者は、キーボードドックを接続した状態でタブレット型端末装置を持ち運ぶことができる。
【0005】
タブレット型端末装置とキーボードドックのような機能拡張ユニットとの接続を固定する方法として、フック形状の留具を接続相手に引っ掛けることで固定する方法と、磁石を用いて磁力により固定する方法がある。前者では、例えば、機能拡張ユニットが、スライド式のフック形状の留具を有する。そして、機能拡張ユニットの留具がタブレット型端末装置に設けられた引っ掛け用の穴である留具受けに嵌るように、タブレット型端末装置が設置される。この時、留具がスライドすることで留具受けに引っ掛かり、タブレット型端末装置が機能拡張ユニットに固定される。後者では、磁石がタブレット型端末装置及び機能拡張ユニットの双方に設けられる。そして、それぞれの磁石が引き合うことで、タブレット型端末装置が機能拡張ユニットに固定される。
【0006】
ここで、フック形状の留具を用いた固定では、タブレット型端末装置を機能拡張ユニットから抜き取る方向に引いても外れないように強固に固定されている。ただし、このように強固に固定されているために、落下時などの衝撃による応力が全て留具及び留具受けに係るおそれがある。そのため、留具及び留具受けは、その応力に耐えられる強度を有することが好ましい。
【0007】
従来、留具と留具受けとの破損を回避するために、留具受け部分の樹脂を2重構造にして強度を上げる技術が提案されている。また、金属製本体とプラスチック製アンテナカバーとをインサート成形方法により一体成型し、且つ、金属製本体とプラスチック製アンテナカバーとの結合箇所に係合手段を形成する従来技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−266195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、留具受け部分の樹脂を2重構造にした場合、機能拡張ユニットの留具であるスライド式フックがスライドするタイミングが問題となる。機能拡張ユニットにはタブレット型端末装置の挿入位置にロック解除ボタンが配置され、タブレット型端末装置がキーボードドックに嵌め込まれると、ロック解除ボタンがタブレット型端末装置により押下される。ロック解除ボタンが押下されると、留具のスライドを防止するスライドロック機構が解除され、留具がスライドする。この時、フック形状の留具の顎下が留具受けの内部に入り切っていれば、問題なく固定される。これに対して、2重構造を用いることで組み立てにおける嵌合状態のバラつきや組み立て後の変形によりボタンを押す外側のカバーが留具受けから遠ざかっていることが考えられる。この場合、フック形状の留具の顎下が留具受けの内部に入り切る前にフックがスライドしてしまい、留具受けの開口部などに接触して完全に嵌合しきらずに、固定されなくなるおそれがある。
【0010】
また、金属製本体とプラスチック製アンテナカバーとの結合箇所に係合手段を形成しつつインサート成形を行う従来技術を用いても、留具のスライド位置と留具受けの開口部の位置との関係には影響がないため、固定できない状態が発生するおそれがある。
【0011】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、機能拡張ユニットとの強度を有する接続を確実に固定する情報処理装置及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の開示する情報処理装置及び情報処理システムは、一つの態様において、内部空間を有する筐体を有する。そして、内部部材は、一部を前記筐体の外部に露出させて前記内部空間に配置され、前記露出する部分に含まれ外部に向けて所定量突出する押下面及び外部機器に設けられた取付用フックが係合する開口部を有し、前記外部機器に接続するときに、前記開口部に前記取付用フックが挿入された状態で前記取付用フックを作動させて前記開口部に係合させる作動ボタンを、前記押下面で押下する。
【発明の効果】
【0013】
本願の開示する情報処理装置及び情報処理システムの一つの態様によれば、機能拡張ユニットとの強度を有する接続を確実に固定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、タブレット型端末装置の斜視図である。
図2図2は、タブレット型端末装置の分解斜視図である。
図3図3は、取付用開口部付近の拡大図である。
図4図4は、図1におけるA−A断面図である。
図5図5は、図4における開口部近傍を拡大した断面図である。
図6図6は、キーボードドックの斜視図である。
図7図7は、取付用フック付近の拡大図である。
図8図8は、タブレット型端末装置とキーボードドックとの接続状態の斜視図である。
図9図9は、接続したタブレット型端末装置及びキーボードドックを折り畳んだ状態の斜視図である。
図10図10は、実施例1に係るタブレット型端末装置及びキーボードドックの接続前の状態を説明するための図である。
図11図11は、実施例1に係るタブレット型端末装置及びキーボードドックの接続途中の状態を説明するための図である。
図12図12は、実施例1に係るタブレット型端末装置及びキーボードドックの接続完了状態を説明するための図である。
図13図13は、実施例1に係るタブレット型端末装置及びキーボードドックの接続状態を表す斜視図である。
図14図14は、従来のタブレット型端末装置における接続時状態の遷移を表す図である。
図15図15は、実施例1に係るタブレット型端末装置の隙間がある場合の接続時状態の遷移を表す図である。
図16図16は、実施例2に係るタブレット型端末装置の構造を説明するための図である。
図17図17は、実施例2に係るタブレット型端末装置の接続時状態の遷移を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願の開示する情報処理装置及び情報処理システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する情報処理装置及び情報処理システムが限定されるものではない。特に、以下の説明では、タブレット型端末装置を例に説明するが、情報処理装置としては、機能拡張ユニットと接続し固定される装置であれば他の装置でもよい。
【実施例1】
【0016】
実施例1について説明する。図1は、タブレット型端末装置の斜視図である。また、図2は、タブレット型端末装置の分解斜視図である。
【0017】
タブレット型端末装置100は、タッチパネル11、フロントカバー12及びリアカバー13を有する。タッチパネル11は、フロントカバー12の上に配置される。またタッチパネル11を搭載したフロントカバー12とリアカバー13は組み合わされて嵌合し、内部に空間を有する1つの板状の筐体を形成する。
【0018】
以下では、リアカバー13からタッチパネル11へ向かう方向をZ方向、タッチパネル11からリアカバー13へ向かう方向を逆Z方向という。また、タブレット型端末装置100の短手方向で図の矢印の向かう方向をY方向とし、その逆方向を逆Y方向という。また、タブレット型端末装置100の長手方向で図の矢印の向かう方向をX方向とし、その逆方向を逆X方向という。
【0019】
図2に示すように、タブレット型端末装置100は、Z方向に向けて、リアカバー13、中子カバー14、フロントカバー12及びタッチパネル11の順に重ねられ組み上げられる。
【0020】
タッチパネル11は、例えば液晶ディスプレイを有する。そして、タッチパネル11は、ディスプレイへの画像の表示を行う。また、タッチパネル11は、ディスプレイが押圧されることにより押圧された画面上の位置の入力を受ける。
【0021】
フロントカバー12は、タッチパネル11のはめ込み用の枠を有する。また、フロントカバー12は、タブレット型端末装置100のタッチパネル11の周りのカバー及び側面のカバーを有する。そして、タッチパネル11が搭載されたフロントカバー12は、中子カバー14と組み合わされることで、中子カバー14に組み付けられた内部部品を覆う。
【0022】
中子カバー14は、内部部品を組み付ける部材である。中子カバー14は、内部部品が取り付けられた状態で、フロントカバー12及びリアカバー13で覆われる。ここで、内部部品は、CPU(Central Processing Unit)を搭載するメインボードを含むタブレット型端末装置100の各種機能を実現する部品群である。内部部品には、他にもハードディスク、通信装置、スピーカ及び接続ケーブルなどが含まれる。例えば、中子カバー14には、CPUを搭載するメインボードが取り付けられる。
【0023】
中子カバー14は、フロントカバー12及びリアカバー13により外部が覆われる。すなわち、中子カバー14は、フロントカバー12とリアカバー13とが組み合わされたことで形成される内部の空間に配置される。この中子カバー14が、「内部部材」の一例にあたる。
【0024】
リアカバー13は、中子カバー14のフロントカバー12と反対の側の面を覆う。そして、リアカバー13は、中子カバー14を挟みフロントカバー12と嵌合させられ、ネジなどの留具によってリアカバー13と結合される。リアカバー13と中子カバー14との間に、バッテリなどが配置されてもよい。タブレット型端末装置100は、フロントカバー12及びリアカバー13が組み合わされ嵌合することにより形成される板状の筐体を有する。
【0025】
図1に戻って説明を続ける。タブレット型端末装置100は、フロントカバー12及びリアカバー13によって形成される筐体の逆Y方向の端部の側面に、取付用開口部101及び102、コネクタ103、並びに、位置決めピン挿入孔104及び105を有する。図3は、取付用開口部付近の拡大図である。図1及び図3に示すように、取付用開口部101及び102は、コネクタ103の両脇に配置される。
【0026】
取付用開口部101及び102は、後述するキーボードドック200の取付用フック201及び202と係合し、接続を固定するための穴である。図4は、図1におけるA−A断面図である。図5は、図4における開口部近傍を拡大した断面図である。取付用開口部101と取付用開口部102とほぼ同じ構造を有するので、ここでは、取付用開口部101を例に説明する。
【0027】
取付用開口部101は、フロントカバー12及び中子カバー14によって形成される。取付用開口部101を形成するX方向側の壁はフロントカバー12と中子カバー14とが二層になっている。すなわち、取付用開口部101を形成するX方向側の壁は、外部がフロントカバー12で形成され、内部が中子カバー14で形成される。また、取付用開口部101を形成する逆X方向側の壁は中子カバー14により形成される。
【0028】
取付用開口部101のX方向側にある中子カバー14の壁は、逆Y方向、すなわち外側に向かうボタン押下面141を有する。また、取付用開口部101の逆X方向側の中子カバー14の壁は、Y方向、すなわち内側に向かうフック掛面142を有する。すなわち、中子カバー14は、フック掛面142を含む一部が、フロントカバー12及びリアカバー13により形成される筐体から外部に露出している。
【0029】
取付用開口部101及び102に取付用フック201及び202が挿入され、スライドすることで係合し、タブレット型端末装置100及びキーボードドック200の接続が固定される。ここで、取付用開口部101と取付用フック201とが係合した状態とは、フック掛面142に取付用フック201の顎下が接触している状態を指す。また、取付用フック201の顎下は、フック形状を有する取付用フック201におけるキーボードドック200へ向く面、すなわち接続時にタブレット型端末装置100に引っ掛かる面である。
【0030】
ボタン押下面141は、タブレット型端末装置100をキーボードドック200に接続する際に、後述する固定用ボタン203を押下する。ボタン押下面141は、タブレット型端末装置100をキーボードドック200に接続する際に、固定用ボタン203に対向する位置に配置される。本実施例では、取付用開口部101に対してX方向へ移動した位置に固定用ボタン203が配置されるため、ボタン押下面141は、取付用開口部101に対してX方向側に設けられる。この場合、ボタン押下面141は、取付用開口部102の隣には設けられなくてもよい。
【0031】
ここで、ボタン押下面141及びフック掛面142は、以下の条件を満たす位置関係を有する。以下にボタン押下面141及びフック掛面142が満たす位置関係の条件を説明する。タブレット型端末装置100をキーボードドック200に接続する際に、タブレット型端末装置100の挿入方向に直交する面、すなわちXZ平面であり、且つキーボードドック200に対して位置が固定された基準面を1つ選択する。そして、タブレット型端末装置100をキーボードドック200に接続する際に、ボタン押下面141により固定用ボタン203が押下され取付用フック201及び202がスライドを開始する状態での基準面からボタン押下面141までの距離を、「作動開始距離」とする。そして、この場合、タブレット型端末装置100は、フック掛面142からボタン押下面141までの距離と作動開始距離との合計が、基準面から取付用フック201の顎下までの距離以下となる条件を満たす。この条件を満たすことで、取付用開口部101に挿入された取付用フック201がスライドする際に、取付用開口部101を形成する壁と接触せずにスライドでき、取付用開口部101と取付用フック201との係合が確実に行われる。
【0032】
図1に戻って説明を続ける。コネクタ103は、キーボードドック200を用いて入力された情報の受信やキーボードドック200との間におけるその他信号の送受信を行うための回線を有する。コネクタ103の両脇に配置される取付用開口部101及び102によりタブレット型端末装置100をキーボードドック200から抜けないように固定することで、コネクタ103の接続の外れの防止が確実になる。
【0033】
位置決めピン挿入孔104及び105は、取付用開口部101及び102に対してコネクタ103とは逆側の位置に設けられる。位置決めピン挿入孔104及び105は、キーボードドック200にタブレット型端末装置100を接続する場合に、タブレット型端末装置100の接続位置を適切な位置に合わせるための穴である。
【0034】
図6は、キーボードドックの斜視図である。キーボードドック200は、タブレット型端末装置100に接続される機能拡張ユニットであり、キーボードを用いたタブレット型端末装置100への情報の入力の機能を利用者に提供する。このキーボードドック200は、「外部機器」の一例にあたる。
【0035】
キーボードドック200は、取付用フック201及び202、固定用ボタン203、コネクタ204、位置決めピン205及び206、固定解除用ボタン207、キーボード208、並びに、タッチパッド209を有する。図7は、取付用フック付近の拡大図である。
【0036】
取付用フック201及び202は、フック形状を有するタブレット型端末装置100との接続の固定用部品である。取付用フック201及び202は、コネクタ204の両隣に配置される。
【0037】
取付用フック201は、逆X方向にスライドする前の位置に置いて、取付用開口部101に挿入される。ただし、取付用フック201は、逆X方向側の接続時にタブレット型端末装置100に対向する位置に、逆Y方向に向けて滑らかに広がる斜面を有している。そのため、取付用フック201が逆X方向へスライドした位置、すなわち、接続前に固定用ボタン203が押されてしまっている状態であっても、取付用フック201の斜面が取付用開口部101の端部に接触し、取付用フック201はX方向に押されて移動する。これにより、この状態であっても、取付用フック201は、取付用開口部101に滑らかに挿入される。
【0038】
そして、取付用開口部101に挿入された取付用フック201は、逆X方向にスライドして取付用開口部101と係合する。また、取付用フック202は、取付用開口部102に挿入される。そして、取付用開口部102に挿入された取付用フック202は、スライドして取付用開口部102と係合する。取付用フック201と取付用フック202とは同じ構造を有するので、ここでは取付用フック201を例に説明する。
【0039】
取付用フック201は、取付用開口部101と係合した状態で、フック形状の顎下の部分、すなわち逆Y方向へ向く面が取付用開口部101のフック掛面142と接触する。これにより、取付用フック201及び202は、Y方向、すなわちキーボードドック200から抜ける方向へのタブレット型端末装置100の移動を防止する。これにより、タブレット型端末装置100は、キーボードドック200から抜けないように固定される。
【0040】
また、取付用フック201及び202は、逆X方向の側面が取付用開口部101及び102の開口部分の側面と接触することで、タブレット型端末装置100のX方向への移動を防止する。
【0041】
さらに、取付用フック201は、タブレット型端末装置100とキーボードドック200とが接続された状態で後述する固定解除用ボタン207が押下されることで、逆X方向へスライドする。これにより、取付用フック201と取付用開口部101との係合が解除される。この場合、タブレット型端末装置100は、キーボードドック200から抜去可能となる。
【0042】
固定用ボタン203は、取付用フック201及び202を動作させるためのボタンである。本実施例では、固定用ボタン203は、取付用フック201のX方向側の隣に配置される。
【0043】
固定用ボタン203は、タブレット型端末装置100が接続される以前は、取付用フック201及び202の逆X方向へのスライドを防止する。そして、タブレット型端末装置100が挿入されると、固定用ボタン203は、タブレット型端末装置100の逆Y方向の端部の側面にあるボタン押下面141と接触し押下される。固定用ボタン203は、ボタン押下面141により押下されると取付用フック201及び202の逆X方向へのスライドの防止を解除する。これにより、取付用フック201及び202は、逆X方向へスライドし、取付用開口部101及び102と係合する。この固定用ボタン203が、「作動ボタン」の一例にあたる。
【0044】
コネクタ204は、キーボード208及びタッチパッド209から入力された情報を転送する回線を有する。コネクタ204は、タブレット型端末装置100がキーボードドック200へ接続された場合、コネクタ103に接続され、双方の回線が繋がる。これにより、キーボード208及びタッチパッド209から入力された情報は、コネクタ204及び103を介してタブレット型端末装置100のCPUなどに送信される。
【0045】
位置決めピン205及び206は、取付用フック201及び202に対してコネクタ204とは逆側の位置に配置される。位置決めピン205及び206は、挿入されたタブレット型端末装置100へ向かう方向にキーボードドック200の筐体から突出する突出部である。
【0046】
位置決めピン205及び206は、それぞれ、位置決めピン挿入孔104及び105に挿入される。挿入された位置決めピン205及び206は、位置決めピン挿入孔104及び105と接触し、X方向及び逆X方向、並びに、Y方向及び逆Y方向へのタブレット型端末装置100の移動を防止する。これにより、位置決めピン205及び206は、タブレット型端末装置100のキーボードドック200への接続時、タブレット型端末装置100の位置を適切な位置に誘導する。
【0047】
固定解除用ボタン207は、取付用フック201及び202と取付用開口部101及び102との係合を解除するためのボタンである。本実施例では、固定解除用ボタン207は、タブレット型端末装置100がキーボードドック200に接続された状態でのタッチパネル11と同じ面に配置される。
【0048】
固定解除用ボタン207は、タブレット型端末装置100とキーボードドック200が接続され固定された状態で、利用者に押下される。固定解除用ボタン207が利用者に押下されると、取付用フック201及び202がX方向へスライドし、タブレット型端末装置100とキーボードドック200との接続の固定が解除される。
【0049】
キーボード208及びタッチパッド209は入力装置である。利用者は、キーボード208を使用して文字を入力したり、タッチパッド209を用いてポインタの位置を入力したりすることができる。
【0050】
さらに、キーボードドック200は、取付用フック201及び202、固定用ボタン203、コネクタ204、位置決めピン205及び206、並びに、固定解除用ボタン207が設けられる接続部210がX方向を軸に回動する。
【0051】
図8は、タブレット型端末装置とキーボードドックとの接続状態の斜視図である。タブレット型端末装置100は、キーボードドック200に挿入され接続されると、図4で示す状態となる。この状態で、取付用フック201及び202は、取付用開口部101及び102と係合した状態である。また、コネクタ204とコネクタ103とは、接続した状態である。また、位置決めピン205及び206は、位置決めピン挿入孔104及び105に挿入された状態である。
【0052】
さらに、図8に示す状態のタブレット型端末装置100とキーボードドック200とは折り畳んで、図9に示す状態にすることができる。図9は、接続したタブレット型端末装置及びキーボードドックを折り畳んだ状態の斜視図である。図9に示すように、折り畳むことで、タブレット型端末装置100をキーボードドック200に接続したまま持ち運ぶことが容易となる。具体的には、キーボード208の接続部210が回動することで、接続部210とともにタブレット型端末装置100が回動し、折り畳まれる。
【0053】
さらに、図10〜12を参照して、タブレット型端末装置100とキーボードドック200との接続部分の機構について詳細に説明する。図10は、実施例1に係るタブレット型端末装置及びキーボードドックの接続前の状態を説明するための図である。図11は、実施例1に係るタブレット型端末装置及びキーボードドックの接続途中の状態を説明するための図である。図12は、実施例1に係るタブレット型端末装置及びキーボードドックの接続完了状態を説明するための図である。
【0054】
図10に示すように、接続前にはボタン押下面141は、固定用ボタン203と接触していない。すなわち、固定用ボタン203は、押下されていないため、キーボードドック200の筐体から外部に向けての突出量が最大の状態である。
【0055】
また、取付用フック201は、逆X方向へスライドする前の状態である。すなわち、取付用フック201は、タブレット型端末装置100をキーボードドック200へ差し込む際に、タブレット型端末装置100に接触しない位置にある。また、取付用フック201は、移動防止部材212と接続している。
【0056】
取付用フック201には、逆X方向へ引かれる力が働いている。しかし、移動防止部材212が固定用ボタン203と接触しており逆X方向への移動が阻害されているため、取付用フック201は、逆X方向へスライドせずに停止している。
【0057】
ここで、接続部210に対して固定のXZ平面を1つ選択し基準面Pとする。ここでは、接続の際にタブレット型端末装置100に対向する接続部210の表面を、基準面Pとする。そして、取付用フック201の顎下211から基準面Pまでの距離を距離L1とする。また、ボタン押下面141からフック掛面142までの距離を距離L2とする。
【0058】
そして、図10の状態からタブレット型端末装置100を逆Y方向に進ませると、取付用フック201が、取付用開口部101に挿入される。そして、固定用ボタン203がボタン押下面141に接触し、押下される。その後、ボタン押下面141が押下されることで、固定用ボタン203が逆Y方向に沈み、固定用ボタン203と移動防止部材212との接触が解除される。これにより、取付用フック201は、逆X方向への移動を阻害する力がなくなるので、逆X方向への移動を開始する。この状態が図11で示される状態である。
【0059】
ここで、図11の状態のボタン押下面141から基準面Pまでの距離をL3とする。このL3が上述した、作動開始距離にあたる。また、この場合、固定用ボタン203はボタン押下面141に接触しており、基準面Pは接続の際にタブレット型端末装置100に対向する接続部210の表面としたので、L3は、固定用ボタン203の基準面からの突出量ともいえる。
【0060】
ここで、本実施例に係るタブレット型端末装置100は、上述したように、フック掛面142からボタン押下面141までの距離と作動開始距離との合計が、基準面から取付用フック201の顎下211までの距離以下となる条件を満たす。すなわち、タブレット型端末装置100及びキーボードドック200は、L1≧L2+L3を満たす。L2+L3は、基準面Pからフック掛面142までの距離にあたる。すなわち、図11に示す取付用フック201が逆X方向の移動を開始する状態で、取付用フック201の顎下211の基準面Pからの距離は、基準面Pからフック掛面142までの距離よりも長くなる。このため、取付用フック201は、フロントカバー12や中子カバー14に接触せずに逆X方向にスライドすることができ、確実に取付用開口部101と係合することができる。
【0061】
図11で表される状態の後、取付用フック201は、取付用開口部101を形成するフック掛面142を有する壁と係合し、タブレット型端末装置100及びキーボードドック200は、図12で表される状態に遷移する。これにより、タブレット型端末装置100とキーボードドック200との接続が完了する。
【0062】
図13は、実施例1に係るタブレット型端末装置及びキーボードドックの接続状態を表す斜視図である。図12及び13に示す状態であれば、タブレット型端末装置100をY方向に引いた場合、取付用フック201の顎下211がフック掛面142と接触し、タブレット型端末装置100のY方向への移動を阻害する。これにより、タブレット型端末装置100は、キーボードドック200から抜去することができず、タブレット型端末装置100とキーボードドック200との接続が固定されているといえる。
【0063】
ここで、図14及び15を参照して、本実施例に係るタブレット型端末装置100と従来のタブレット型端末装置との係合の確実性の違いについて説明する。図14は、従来のタブレット型端末装置における接続時の状態の遷移を表す図である。また、図15は、実施例1に係るタブレット型端末装置の隙間がある場合の接続時の状態の遷移を表す図である。
【0064】
図14は、領域311に示すように、フロントカバー33と中子カバー34との間に隙間が生じた状態での接続を表す。状態301は接続開始前の従来のタブレット型端末装置及びキーボードドックの状態を表す。そして、状態302〜303は、状態301から開始された接続の途中の状態を表し、状態304が接続完了状態を表す。
【0065】
従来のタブレット型端末装置では、固定用ボタン32は、フロントカバー33の一部により押下される。すなわち、状態302に示すように、取付用フック31が取付用開口部35に挿入され、固定用ボタン32がフロントカバー33に接触する。
【0066】
さらに、固定用ボタン32がフロントカバー33により押し込まれると、状態303で表される状態となり、取付用フック31がスライドを開始する。
【0067】
ここで、従来のタブレット型端末装置では、フロントカバー33により固定用ボタン32が押下され、取付用フック31が中子カバー34と係合する。この場合、取付用フック31のスライド開始位置と、取付用フック31と中子カバー34との位置関係とはそれぞれ独立している。そのため、従来のタブレット型端末装置では、フロントカバー33と中子カバー34との間に隙間が生じた状態では、取付用フック31がスライドした場合に状態304に示すように中子カバー34と接触する場合がある。そして、状態304で示す状態では、取付用フック31は、スライドが途中で止まってしまい中子カバー34と係合していない。そのため、タブレット型端末装置をキーボードドックから引き抜くことができ、タブレット型端末装置とキーボードドックとの接続が解除されてしまう。
【0068】
これに対して、実施例1に係るタブレット型端末装置100であれば、図15の状態401から404に示すように、接続時に状態が遷移する。図15は、領域411に示すように、フロントカバー12と中子カバー14との間に隙間が生じた状態での接続を表す。状態401は接続開始前のタブレット型端末装置100及びキーボードドック200の状態を表す。そして、状態402〜403は、状態401から開始された接続の途中の状態を表し、状態404が接続完了状態を表す。
【0069】
実施例1に係るタブレット型端末装置100では、固定用ボタン203は、中子カバー14の一部により押下される。すなわち、状態402に示すように、取付用フック201が取付用開口部101に挿入され、固定用ボタン203が中子カバー14に接触する。
【0070】
さらに、固定用ボタン203が中子カバー14により押し込まれると、状態403で表される状態となり、取付用フック201がスライドを開始する。
【0071】
ここで、実施例1に係るタブレット型端末装置100は、取付用フック201のスライド開始位置と、取付用フック201と中子カバー14との位置関係とが相互に関係を有する。具体的には、フック掛面142からボタン押下面141までの距離と作動開始距離との合計が、基準面から取付用フック201の顎下211までの距離以下となる。そのため、実施例1に係るタブレット型端末装置100では、フロントカバー12と中子カバー14との間に隙間が生じた状態であっても、取付用フック201がスライドした場合に中子カバー34と接触しない。そこで、状態404に示すように、取付用フック201は、取付用開口部101を形成する中子カバー14と確実に係合する。これにより、タブレット型端末装置100とキーボードドック200との接続の固定を確実にすることができる。
【0072】
以上に説明したように、本実施例に係る情報処理装置は、フック掛面からボタン押下面までの距離と作動開始距離との合計が、基準面から取付用フックの顎下までの距離以下となるように構成されている。これにより、取付用フックがスライドした場合に取付用開口部を形成する壁と確実に係合できる。また、取付用フックと係合する取付用開口部の壁は、フロントカバーと中子カバーとの二重構造となっている。これにより、情報処理装置と機能拡張ユニットとを接続の強度を向上させることができる。すなわち、本実施例に係る情報処理装置及び機能拡張ユニットによれば、接続の強度を向上させつつ確実に固定することができる。
【実施例2】
【0073】
次に、実施例2について説明する。図16は、実施例2に係るタブレット型端末装置の構造を説明するための図である。本実施例に係るタブレット型端末装置は、取付用開口部を形成する壁の取付用フックと係合する部分が樹脂内部に金属筐体をインサート成形した構造を有することが実施例1と異なる。
【0074】
図16に示すように、本実施例に係る中子カバー14の一部は、樹脂内部に金属筐体145がインサート成形された構造を有する。
【0075】
また、中子カバー14は、それのみで取付用開口部101を形成する。特に、フック掛面142を有する取付用開口部101を形成する壁も、中子カバー14のみで形成される。ただし、フック掛面142を有する取付用開口部101を形成する壁は、金属筐体145を樹脂内部にインサート成形した構造を有する。これにより、フック掛面142を有する取付用開口部101を形成する壁が強化され、落下時などの衝撃で発生する応力による破損を回避することができる。
【0076】
金属筐体145は、落下時などの衝撃を耐えうる強度など、タブレット型端末装置100に要求される強度を有する金属であれば材質は特に限定されない。例えば、金属筐体15は、マグネシウム(Mg:Magnesium)合金で形成されてもよい。
【0077】
この場合も、ボタン押下面141及びフック掛面142は、中子カバー14により形成される。そして、本実施例に係るタブレット型端末装置100も、フック掛面142からボタン押下面141までの距離と作動開始距離との合計が、基準面から取付用フック201の顎下211までの距離以下となるように構成される。そのため、取付用フック201は、中子カバー14に接触せずにスライドし、取付用開口部101を形成する中子カバー14と確実に係合することができる。
【0078】
ここで、図17を参照して、本実施例に係るタブレット型端末装置100とキーボードドック200との接続時の状態の遷移について説明する。図17は、実施例2に係るタブレット型端末装置の接続時の状態の遷移を表す図である。
【0079】
状態411は接続開始前のタブレット型端末装置100及びキーボードドック200の状態を表す。そして、状態412〜413は、状態411から開始された接続の途中の状態を表し、状態414が接続完了状態を表す。
【0080】
実施例2に係るタブレット型端末装置100では、固定用ボタン203は、中子カバー14の一部により押下される。すなわち、状態412に示すように、取付用フック201が取付用開口部101に挿入され、固定用ボタン203が中子カバー14に接触する。
【0081】
さらに、固定用ボタン203が中子カバー14により押し込まれると、状態413で表される状態となり、取付用フック201がスライドを開始する。
【0082】
ここで、実施例2に係るタブレット型端末装置100は、フック掛面142からボタン押下面141までの距離と作動開始距離との合計が、基準面から取付用フック201の顎下211までの距離以下となるように構成されている。そのため、実施例2に係るタブレット型端末装置100では、取付用フック201がスライドした場合に中子カバー34と接触しない。そこで、状態404に示すように、取付用フック201は、取付用開口部101を形成する中子カバー14と確実に係合する。これにより、タブレット型端末装置100とキーボードドック200との接続の固定を確実にすることができる。
【0083】
以上に説明したように、本実施例に係る情報処理装置は、取付用開口部を形成する壁の取付用フックと係合する部分が樹脂内部に金属筐体をインサート成形した構造を有する。これにより、中子カバーのみで、取付用フックが接触する部分の強度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0084】
11 タッチパネル
12 フロントカバー
13 リアカバー
14 中子カバー
101,102 取付用開口部
103 コネクタ
104,105 位置決めピン挿入孔
141 ボタン押下面
142 フック掛面
201,202 取付用フック
203 固定用ボタン
204 コネクタ
205,206 位置決めピン
207 固定解除用ボタン
208 キーボード
209 タッチパッド
210 接続部
211 顎下
212 移動防止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17