特許第6457918号(P6457918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6457918原子力プラントにおける構造物撤去方法及びそれに用いられる使用済燃料貯蔵プール保護シート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457918
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】原子力プラントにおける構造物撤去方法及びそれに用いられる使用済燃料貯蔵プール保護シート
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/30 20060101AFI20190110BHJP
【FI】
   G21F9/30 535B
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-218187(P2015-218187)
(22)【出願日】2015年11月6日
(65)【公開番号】特開2017-90139(P2017-90139A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】早田 隆
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 孝一
(72)【発明者】
【氏名】元木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】板垣 昌利
(72)【発明者】
【氏名】大友 定史
(72)【発明者】
【氏名】川又 晴男
【審査官】 小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−131483(JP,A)
【文献】 特開昭60−202393(JP,A)
【文献】 特開平07−076935(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0097827(US,A1)
【文献】 特開2000−46983(JP,A)
【文献】 実開昭51−10822(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/30、9/36
G21C 19/02、19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉建屋内に収納されている使用済燃料を貯蔵する使用済燃料貯蔵プール(SFP)上又は該SFPの周辺に散乱している構造物を、前記原子炉建屋外から揚重機を用いて撤去する際に、
前記SFP上に前記揚重機を用いて使用済燃料貯蔵プール保護シートを設置し、その後、構造物撤去用シートで前記構造物を包み込んだ後、前記構造物を包み込んだ前記構造物撤去用シートを、前記揚重機を用いて撤去回収することを特徴とする原子力プラントにおける構造物撤去方法。
【請求項2】
請求項1に記載の原子力プラントにおける構造物撤去方法において、
前記構造物の撤去は、前記揚重機の先端に保護シート吊上げ治具を設置し、この保護シート吊上げ治具で前記使用済燃料貯蔵プール保護シートを把持する第1の工程と、前記使用済燃料貯蔵プール保護シートを把持している前記保護シート吊上げ治具を、前記原子炉建屋の外壁に形成されている狭隘開口部より前記原子炉建屋内へ前記揚重機にて挿入することで前記使用済燃料貯蔵プール保護シートを前記SFP上の所定の位置まで挿入する第2の工程と、該第2の工程の後、前記保護シート吊上げ治具での把持状態が解除され前記使用済燃料貯蔵プール保護シートが切り離され、該使用済燃料貯蔵プール保護シートが前記SFP上に設置される第3の工程と、該第3の工程で前記使用済燃料貯蔵プール保護シートが切り離されて前記揚重機が前記保護シート吊上げ治具だけの吊り状態の際に、前記保護シート吊上げ治具を前記原子炉建屋内に挿入する経路と逆の経路で前記揚重機を用いて引き抜き操作を行う第4の工程と、前記揚重機の先端に専用ハンドルを設置し、前記構造物の撤去の前に、前記専用ハンドルを用いて前記構造物の撤去の支障となる瓦礫を撤去回収する第5の工程と、前記揚重機の先端に設置された吊り天秤に吊られた構造物撤去用シートを前記揚重機で前記構造物の周辺に移動し、所定の位置に移動したら前記吊り天秤と前記構造物撤去用シートを切り離す第6の工程と、該第6の工程の後、前記構造物撤去用シートをシート引き伸ばし治具で前記構造物の下面に広げる第7の工程と、2つの吊り天秤A及び吊り天秤Bを前記構造物の周辺に配置すると共に、前記構造物撤去用シートの一方を前記吊り天秤Aに接続し、同様に前記構造物撤去用シートのもう一方を前記吊り天秤Bに接続する第8の工程と、前記吊り天秤A及び吊り天秤Bに前記揚重機に接続されたスリングに接続し、前記揚重機を巻上げることで前記構造物は前記構造物撤去用シートで包み込まれ、その後、前記揚重機を巻上げて前記構造物を吊上げ撤去回収する第9の工程とにより行われることを特徴とする原子力プラントにおける構造物撤去方法。
【請求項3】
請求項2に記載の原子力プラントにおける構造物撤去方法において、
前記第9の工程で前記構造物が撤去回収された後、前記揚重機を用いて前記使用済燃料貯蔵プール保護シートを撤去する第10の工程が行なわれることを特徴とする原子力プラントにおける構造物撤去方法。
【請求項4】
請求項2に記載の原子力プラントにおける構造物撤去方法において、
前記使用済燃料貯蔵プール保護シートは、前記狭隘開口部からの挿入の際にはロール状に巻かれ、前記狭隘開口部から挿入された後は、前記SFPの全面を覆うようにシート面が広がっていることを特徴とする原子力プラントにおける構造物撤去方法。
【請求項5】
請求項4に記載の原子力プラントにおける構造物撤去方法において、
前記使用済燃料貯蔵プール保護シートは、シート中央付近或いはシート端部に流体が複数個所から注入可能な流路を備え、前記使用済燃料貯蔵プール保護シートをロール状に巻かれた状態から前記SFPの全面を覆うように広げる際は、前記シート中央付近或いはシート端部より前記流路へ流体を注入することを特徴とする原子力プラントにおける構造物撤去方法。
【請求項6】
請求項4に記載の原子力プラントにおける構造物撤去方法において、
前記使用済燃料貯蔵プール保護シートは、その端部の複数個所に固定用フック或いはワイヤーを備えており、多関節ロボットを用いて前記固定用フック或いはワイヤーを前記原子炉建屋の強度部材と接続することにより、落下物を前記使用済燃料貯蔵プール保護シート上で保持することを特徴とする原子力プラントにおける構造物撤去方法。
【請求項7】
請求項2に記載の原子力プラントにおける構造物撤去方法において、
前記第5の工程の前記構造物の撤去の支障となる瓦礫とは、前記原子炉建屋の屋根部材である鉄骨であり、該鉄骨の撤去は、複数台の監視カメラを前記揚重機の先端へ設置し、前記監視カメラからのカメラ映像を確認しながら前記鉄骨を把持して前記原子炉建屋の上空へ吊上げ撤去回収することを特徴とする原子力プラントにおける構造物撤去方法。
【請求項8】
請求項2に記載の原子力プラントにおける構造物撤去方法において、
前記構造物の大きさが大きい場合には、前記第6の工程と前記第7の工程を繰り返し、前記構造物の下面全体に前記構造物撤去用シートを配置することを特徴とする原子力プラントにおける構造物撤去方法。
【請求項9】
請求項2乃至8のいずれか1項に記載の原子力プラントにおける構造物撤去方法において、
前記揚重機による前記各工程の操作は、遠隔操作により行われることを特徴とする原子力プラントにおける構造物撤去方法。
【請求項10】
原子炉建屋内に収納されている使用済燃料を貯蔵する使用済燃料貯蔵プール(SFP)上又は該SFPの周辺に散乱している構造物を、前記原子炉建屋外から揚重機を用いて撤去する際に用いられ、前記SFP上に前記揚重機を用いて設置される使用済燃料貯蔵プール保護シートであって、
前記使用済燃料貯蔵プール保護シートは、シート中央付近或いはシート端部に流体が複数個所から注入可能な流路を備えていると共に、前記使用済燃料貯蔵プール保護シートをロール状に巻かれた状態から前記SFPの全面を覆うように広げて用いられ、かつ、前記使用済燃料貯蔵プール保護シートをロール状に巻かれた状態から前記SFPの全面を覆うように広げる際は、前記シート中央付近或いはシート端部より前記流路へ流体が注入されることを特徴とする使用済燃料貯蔵プール保護シート。
【請求項11】
請求項10に記載の使用済燃料貯蔵プール保護シートにおいて、
前記各注入先の流路は、前記使用済燃料貯蔵プール保護シート面と一体構造となっていることを特徴とする使用済燃料貯蔵プール保護シート。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の使用済燃料貯蔵プール保護シートにおいて、
前記使用済燃料貯蔵プール保護シートは、その端部の複数個所に固定用フック或いはワイヤーを備えており、多関節ロボットを用いて前記固定用フック或いはワイヤーを前記原子炉建屋の強度部材と接続することにより、落下物を前記使用済燃料貯蔵プール保護シート上で保持することを特徴とする使用済燃料貯蔵プール保護シート。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか1項に記載の使用済燃料貯蔵プール保護シートにおいて、
前記使用済燃料貯蔵プール保護シートのシート中央付近或いはシート端部に、補強部材が設置されていることを特徴とする使用済燃料貯蔵プール保護シート。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか1項に記載の使用済燃料貯蔵プール保護シートにおいて、
前記使用済燃料貯蔵プール保護シートの前記各流路に沿って、形状記憶部材が設置されていることを特徴とする使用済燃料貯蔵プール保護シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子力プラントにおける構造物撤去方法及びそれに用いられる使用済燃料貯蔵プール保護シートに係り、特に、使用済燃料貯蔵プール(以下、SFPという)上やその周辺に落下した事故等により破損した構造物等を撤去するものに好適な原子力プラントにおける構造物撤去方法及びそれに用いられる使用済燃料貯蔵プール保護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントにおいては、事故(水素爆発)等で破損した構造物等(瓦礫)が、SFP上又はその周辺に脱落、落下(散乱)しており、SFPに保管中の燃料を取出すためには、瓦礫の撤去が必要不可欠である。
【0003】
特許文献1の[背景技術]には、原子力発電所においては、万が一事故等が発生した場合には、原子炉建屋内のSFP内の核燃料を取り出す必要が生じる場合があり、原子炉建屋内での事故によっては、本来、核燃料取出し時に使用する燃料交換機が、作動不可となってしまうことがあり、また、事故によって原子炉建屋の外壁が損傷して、SFPの開口部が剥き出しとなる場合が想定され、この場合には、原子炉建屋外から揚重機(クレーン等)を使用して、SFP内の核燃料を取出すことが可能であるが、揚重機でSFP内の核燃料を取出すためには、運転階上の原子炉建屋外壁等の瓦礫を撤去する必要があり、この瓦礫は、燃料と同じく揚重機にて撤去されていること、また、運転階の整備時に、機器や瓦礫等がSFP内に落下して核燃料を傷つけること、或いは作業員がSFPに誤って落ちることを防止するために、SFPを何らかの手段で保護する必要があることが記載されている。
【0004】
そして、特許文献1では、SFPを保護するために、中空となった半球形に形成され、かつ、SFPヘ入水した時には、半球形の球面が下方を向いた状態で浮くことのできる複数のフロートと、この複数のフロート上に設置される複数の鋼板(鉛板)とを備えた保護板をSFP上に設置している。
【0005】
一方、特許文献2には、土木・建設工事における雨対策に適した雨水防止シートが開示され、ダムの盛立面等にシート掛けする際には、シート本体を巻き上げてドラム形状とした雨水防止シートを、ダムの盛立面を覆うことができるように所定の位置に並置し、コンプレッサーを駆動して、シート本体内に圧縮空気を注入すれば、シート本体はぜんまいの引張り力に抗して徐々に巻き伸ばされ、各シート本体を巻き伸ばして盛立面を覆ったら、隣接するシート本体間を帯状の別のシート材で覆い、盛立面を完全に雨水等から保護することで、シート本体上に降り注いだ雨水は、集水路から排水孔を経て、排水管により下流側へ排水され、雨が降り止んだ後に行うシート撤去は、前記手順と逆に行い、シート本体上に残っている雨水を完全に排水し、シート材を剥がして撤去した後、真空ポンプを駆動して、各シート本体内の空気を抜き出せば、シート本体はぜんまいの復元力により自動的に巻き取られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−209102号公報
【特許文献2】特開平7−76935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、SFP上は高い放射線環境のため人が容易に接近できず、瓦礫の形状、状態等は不明確な状況にある。また、瓦礫の上にもコンクリート等の小片瓦礫が多数あると想定され、作業中に小片瓦礫の再落下のリスクがある。更には、瓦礫の撤去時に構造物の一部の破損進行により落下するリスクも想定される。
【0008】
一方、SFPの中には使用済燃料集合体が保管されており、瓦礫撤去作業時に、誤って瓦礫を落下させると保管燃料の破損を招くリスクがある。このため、安全で、かつ、確実な瓦礫の撤去工法が必要となる。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1には、原子炉建屋外から揚重機(クレーン等)を使用して瓦礫を撤去することしか記載されておらず、具体的な瓦礫の撤去方法についての記載はなく、ましてや、瓦礫への装置類のアクセス経路が狭隘な条件でも安全で、かつ、確実に瓦礫を撤去することについては、全く考慮されていない。
【0010】
一方、特許文献2は、土木・建設工事における雨対策に適した雨水防止シートに関するものであり、高放射線量で作業者が瓦礫に接近できない環境下で使用することについては、全く考慮されていない。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、高放射線量で作業者が瓦礫に接近できない環境下で、かつ、瓦礫への装置類のアクセス経路が狭隘な条件でも安全で、かつ、確実に瓦礫を撤去することができる原子力プラントにおける構造物撤去方法及びそれに用いられる使用済燃料貯蔵プール保護シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法は、上記目的を達成するために、原子炉建屋内に収納されている使用済燃料を貯蔵する使用済燃料貯蔵プール(SFP)上又は該SFPの周辺に散乱している構造物を、前記原子炉建屋外から揚重機を用いて撤去する際に、前記SFP上に前記揚重機を用いて使用済燃料貯蔵プール保護シートを設置し、その後、構造物撤去用シートで前記構造物を包み込んだ後、前記構造物を包み込んだ前記構造物撤去用シートを、前記揚重機を用いて撤去回収することを特徴とする。
【0013】
具体的には、前記構造物の撤去は、前記揚重機の先端に保護シート吊上げ治具を設置し、この保護シート吊上げ治具で前記使用済燃料貯蔵プール保護シートを把持する第1の工程と、前記使用済燃料貯蔵プール保護シートを把持している前記保護シート吊上げ治具を、前記原子炉建屋の外壁に形成されている狭隘開口部より前記原子炉建屋内へ前記揚重機にて挿入することで前記使用済燃料貯蔵プール保護シートを前記SFP上の所定の位置まで挿入する第2の工程と、該第2の工程の後、前記保護シート吊上げ治具での把持状態が解除され前記使用済燃料貯蔵プール保護シートが切り離され、該使用済燃料貯蔵プール保護シートが前記SFP上に設置される第3の工程と、該第3の工程で前記使用済燃料貯蔵プール保護シートが切り離されて前記揚重機が前記保護シート吊上げ治具だけの吊り状態の際に、前記保護シート吊上げ治具を前記原子炉建屋内に挿入する経路と逆の経路で前記揚重機を用いて引き抜き操作を行う第4の工程と、前記揚重機の先端に専用ハンドルを設置し、前記破損構造物の撤去の前に、前記専用ハンドルを用いて前記構造物の撤去の支障となる瓦礫を撤去回収する第5の工程と、前記揚重機の先端に設置された吊り天秤に吊られた構造物撤去用シートを前記揚重機で前記構造物の周辺に移動し、所定の位置に移動したら前記吊り天秤と前記構造物撤去用シートを切り離す第6の工程と、該第6の工程の後、前記構造物撤去用シートをシート引き伸ばし治具で前記構造物の下面に広げる第7の工程と、2つの吊り天秤A及び吊り天秤Bを前記構造物の周辺に配置すると共に、前記構造物撤去用シートの一方を前記吊り天秤Aに接続し、同様に前記構造物撤去用シートのもう一方を前記吊り天秤Bに接続する第8の工程と、前記吊り天秤A及び吊り天秤Bに前記揚重機に接続されたスリングに接続し、前記揚重機を巻上げることで前記構造物は前記構造物撤去用シートで包み込まれ、その後、前記揚重機を巻上げて前記構造物を吊上げ撤去回収する第9の工程とにより行われることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の使用済燃料貯蔵プール保護シートは、原子炉建屋内に収納されている使用済燃料を貯蔵する使用済燃料貯蔵プール(SFP)上又は該SFPの周辺に散乱している構造物を、前記原子炉建屋外から揚重機を用いて撤去する際に用いられ、前記SFP上に前記揚重機を用いて設置される使用済燃料貯蔵プール保護シートであって、前記使用済燃料貯蔵プール保護シートは、シート中央付近或いはシート端部に流体が複数個所から注入可能な流路を備えていると共に、前記使用済燃料貯蔵プール保護シートをロール状に巻かれた状態から前記SFPの全面を覆うように広げて用いられ、かつ、前記使用済燃料貯蔵プール保護シートをロール状に巻かれた状態から前記SFPの全面を覆うように広げる際は、前記シート中央付近或いはシート端部より前記流路へ流体が注入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高放射線量で作業者が瓦礫に接近できない環境下で、かつ、瓦礫への装置類のアクセス経路が狭隘な条件でも安全で、かつ、確実に瓦礫を撤去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法を実施する際の使用済燃料貯蔵プール保護シートの吊り上げ準備状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図1(B)】図1(A)の右側面図である。
図1(C)】図1(A)の平面図である。
図2(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法を実施する際の使用済燃料貯蔵プール保護シートを、原子炉建屋の狭隘開口部より原子炉建屋内へ挿入する状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図2(B)】図2(A)の右側面図及びクレーン先端の保護シート吊上げ治具に使用済燃料貯蔵プール保護シートが把持又は把持が開放された状態を示す詳細図である。
図2(C)】図2(A)の平面図である。
図3(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法を実施する際の使用済燃料貯蔵プール保護シートを切り離した後に、保護シート吊上げ治具をクレーンを用いて引き抜いている状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図3(B)】図3(A)の右側面図である。
図3(C)】図3(A)の平面図である。
図4(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法を実施する際の保護シート吊上げ治具をクレーンを用いて完全に引き抜いた状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図4(B)】図4(A)の右側面図である。
図4(C)】図4(A)の平面図である。
図5(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる使用済燃料貯蔵プール保護シートを示す斜視図である。
図5(B)】図5(A)の矢印P方向から見た図であり、使用済燃料貯蔵プール保護シートがロール状態から広がる状態を示すものである。
図5(C)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる使用済燃料貯蔵プール保護シートのシート中央付近に流体が複数個所から注入可能な流路を備えた例を示す図である。
図5(D)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる使用済燃料貯蔵プール保護シートのシート端部に流体が複数個所から注入可能な流路を備えた例を示す図である。
図6(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる撤去対象構造物を撤去する前に、撤去対象構造物の撤去の支障となる瓦礫を撤去回収する状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図6(B)】図6(A)の右側面図である。
図6(C)】図6(A)の平面図である。
図7(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられるクレーンの先端に設置された吊り天秤に吊られた瓦礫撤去用シートをクレーンで撤去対象構造物の周辺に移動する状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図7(B)】図7(A)の右側面図である。
図7(C)】図7(A)の平面図である。
図8(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる瓦礫撤去用シートが所定の位置に移動したら吊り天秤と瓦礫撤去用シートを切り離す状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図8(B)】図8(A)の右側面図である。
図8(C)】図8(A)の平面図である。
図9(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられるシート引き伸ばし治具を構造物の下面に挿入する状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図9(B)】図9(A)の右側面図である。
図9(C)】図9(A)の平面図である。
図10(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる瓦礫撤去用シートの引き伸ばし状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図10(B)】図10(A)の右側面図である。
図10(C)】図10(A)の平面図である。
図11(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる瓦礫撤去用シートの搬入状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図11(B)】図11(A)の右側面図である。
図11(C)】図11(A)の平面図である。
図12(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる瓦礫撤去用シートの引き伸ばし状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図12(B)】図12(A)の右側面図である。
図12(C)】図12(A)の平面図である。
図13(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる吊り天秤A及び吊り天秤Bの搬入状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図13(B)】図13(A)の右側面図である。
図13(C)】図13(A)の平面図である。
図14(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる吊り天秤Aとシートフックの取り付け状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図14(B)】図14(A)の右側面図である。
図14(C)】図14(A)の平面図である。
図15(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる吊り天秤Bとシートフックの取り付け状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図15(B)】図15(A)の右側面図である。
図15(C)】図15(A)の平面図である。
図16(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる吊り天秤A及び吊り天秤Bにスリングを取り付ける状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図16(B)】図16(A)の右側面図である。
図16(C)】図16(A)の平面図である。
図17(A)】本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられるスリングに接続された瓦礫撤去用シートで構造物を包み込んだ状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図17(B)】図17(A)の右側面図である。
図17(C)】図17(A)の平面図である。
図18(A)】図17(A)、図17(B)及び図17(C)の状態から構造物を包み込んだ瓦礫撤去用シートをクレーンで吊上げた状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図18(B)】図18(A)の右側面図である。
図18(C)】図18(A)の平面図である。
図19(A)】瓦礫撤去用シートを撤去した後に、SFPの上部から使用済燃料貯蔵プール保護シートを撤去するためのクレーン先端への使用済燃料貯蔵プール保護シートのフック掛けの状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図19(B)】図19(A)の右側面図である。
図19(C)】図19(A)の平面図である。
図20(A)】クレーン先端へ使用済燃料貯蔵プール保護シートをフック掛けした後に使用済燃料貯蔵プール保護シートをクレーンで吊上げ、撤去する状態を示す原子炉建屋の正面図である。
図20(B)】図20(A)の右側面図である。
図20(C)】図20(A)の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法及びそれに用いられる使用済燃料貯蔵プール保護シートを説明する。なお、各図において同一構成部品には、同符号を使用する。
【実施例1】
【0018】
図1(A)、図1(B)及び図1(C)乃至図20(A)、図20(B)及び図20(C)に、本発明の原子力プラントにおける構造物撤去方法及びそれに用いられる使用済燃料貯蔵プール保護シートの実施例1を示す。
【0019】
該図に示す本実施例は、原子炉建屋20内に収納されている使用済燃料を貯蔵する使用済燃料貯蔵プール(SFP)1上又はこのSFP1の周辺に散乱している構造物(撤去対象構造物8a(例えば、破損した天井クレーン)、8b(例えば、破損した燃料取替機))を、原子炉建屋20外からクレーン(揚重機)5Aを用いて撤去する際に、SFP1上にクレーン5Aを用いて使用済燃料貯蔵プール保護シート2を設置し、その後、瓦礫撤去シート(構造物撤去用シート)11で撤去対象構造物8a、8bを包み込んだ後、撤去対象構造物8a、8bを包み込んだ瓦礫撤去用シート11を、クレーン5Aを用いて撤去回収することを特徴とする。
【0020】
具体的には、撤去対象構造物8a、8bの撤去は、クレーン5Aの先端に保護シート吊上げ治具3(先端に保護シート吊上げ治具フック4が取り付けられている)を設置し、この保護シート吊上げ治具3で使用済燃料貯蔵プール保護シート2を把持する第1の工程と、使用済燃料貯蔵プール保護シート2を把持している保護シート吊上げ治具3を、原子炉建屋20の外壁に形成されている狭隘開口部6より原子炉建屋20内へクレーン5Aにて挿入することで使用済燃料貯蔵プール保護シート2をSFP1上の所定の位置まで挿入する第2の工程と、第2の工程の後、保護シート吊上げ治具3での把持状態が解除され使用済燃料貯蔵プール保護シート2が切り離され、使用済燃料貯蔵プール保護シート2がSFP1上に設置される第3の工程と、第3の工程で使用済燃料貯蔵プール保護シート2が切り離されてクレーン5Aが保護シート吊上げ治具3だけの吊り状態の際に、保護シート吊上げ治具3を原子炉建屋20内に挿入する経路と逆の経路でクレーン5Aを用いて引き抜き操作を行う第4の工程と、クレーン5Aの先端に専用ハンドル9を設置し、撤去対象構造物8a、8bの撤去の前に、専用ハンドル9を用いて撤去対象構造物8a、8bの撤去の支障となる瓦礫(屋根瓦礫10)を撤去回収する第5の工程と、クレーン5Bの先端に設置された吊り天秤13に吊られた瓦礫撤去用シート11をクレーン5Bで撤去対象構造物8a、8bの周辺に移動し、所定の位置に移動したら吊り天秤13と瓦礫撤去用シート11を切り離す第6の工程と、第6の工程の後、瓦礫撤去用シート11をシート引き伸ばし治具12で撤去対象構造物8a、8bの下面に広げる第7の工程と、2つの吊り天秤A(16)及び吊り天秤B(17)を撤去対象構造物8a、8bの周辺に配置すると共に、瓦礫撤去用シート11の一方を吊り天秤A(16)に接続し、同様に瓦礫撤去用シート11のもう一方を吊り天秤B(17)に接続する第8の工程と、吊り天秤A(16)及び吊り天秤B(17)にクレーン5Aに接続されたスリング18に接続し、クレーン5Aを巻上げることで撤去対象構造物8a、8bは瓦礫撤去用シート11で包み込まれ、その後、クレーン5を巻上げて撤去対象構造物8a、8bを吊上げ撤去回収する第9の工程と、第9の工程で撤去対象構造物8a、8bが撤去回収された後、クレーン5Aを用いて使用済燃料貯蔵プール保護シート2を撤去する第10の工程が行なわれるものである。
【0021】
更に、図面を用いて詳述する。
【0022】
図1(A)、図1(B)及び図1(C)に、SFP1周辺の原子炉建屋20の概略配置及び使用済燃料貯蔵プール保護シート2の吊り上げ準備概念を示す。
【0023】
該図に示す如く、クレーン(揚重機)5Aのアーム5aの上方先端から降ろされたワイヤロープ5bの先端には保護シート吊上げ治具3が取り付けられ、保護シート吊上げ治具3の先端に取り付けられている保護シート吊上げ治具フック4により、使用済燃料貯蔵プール保護シート2が把持されている。本実施例では、図1(B)に示す如く、使用済燃料貯蔵プール保護シート2がロール状に巻かれた状態であり、この際には、保護シート吊上げ治具3の先端に取り付けられている保護シート吊上げ治具フック4が閉じられており、屋外配置のクレーン5Aでの遠隔操作により、吊上げ準備が行なわれる。なお、21は原子炉格納容器、22はドライヤセパレータプールである。
【0024】
図2(A)、図2(B)及び図2(C)に、本実施例の原子力プラントにおける構造物撤去方法を実施する際の使用済燃料貯蔵プール保護シート2を、原子炉建屋20の狭隘開口部6より原子炉建屋20内へ挿入する状態を示す。
【0025】
該図に示す如く、クレーン5Aで吊上げ準備した使用済燃料貯蔵プール保護シート2は、原子炉建屋20の外壁の狭隘開口部6(アクセス有効箇所)から保護シート吊上げ治具3を挿入することにより、原子炉建屋20内へ遠隔操作にて挿入される。使用済燃料貯蔵プール保護シート2をSFP1の所定の位置まで挿入後、保護シート吊上げ治具3の先端に取り付けられている保護シート吊上げ治具フック4の開操作(図1(B)の保護シート吊上げ治具フック4が開いた状態)により、使用済燃料貯蔵プール保護シート2が保護シート吊上げ治具3から切り離され、使用済燃料貯蔵プール保護シート2がSFP1上に設置される。なお、後述するが使用済燃料貯蔵プール保護シート2には、流体注入ホース7が接続された構造となっている。
【0026】
図3(A)、図3(B)及び図3(C)に、本実施例の原子力プラントにおける構造物撤去方法を実施する際の使用済燃料貯蔵プール保護シート2を切り離した後に、保護シート吊上げ治具3をクレーン5Aを用いて引き抜いている状態を示す。
【0027】
該図に示す如く、使用済燃料貯蔵プール保護シート2が保護シート吊上げ治具3から切り離されと、クレーン5Aは保護シート吊上げ治具3だけの吊り状態となるので、この状態の時に、使用済燃料貯蔵プール保護シート2の挿入経路と逆の経路で、クレーン5Aにより保護シート吊上げ治具3の原子炉建屋20内からの引き抜き操作を行う。
【0028】
図4(A)、図4(B)及び図4(C)に、本実施例の原子力プラントにおける構造物撤去方法を実施する際の保護シート吊上げ治具3をクレーン5Aを用いて完全に引き抜いた状態を示す。また、図5(A)、図5(B)、図5(C)及び図5(D)に、本実施例の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる使用済燃料貯蔵プール保護シート2を示す。
【0029】
使用済燃料貯蔵プール保護シート2の目的は、撤去対象構造物8a、8bの撤去作業時に誤って落下した瓦礫を使用済燃料貯蔵プール保護シート2で受け止め、SFP1内への落下を防止することである。
【0030】
本実施例での使用済燃料貯蔵プール保護シート2は、原子炉建屋20の狭隘開口部6からの挿入の際にはロール状に巻かれ、狭隘開口部6から挿入された後は、SFP1の全面を覆うようにシート面が広がっていることを特徴とする。
【0031】
具体的には、本実施例の使用済燃料貯蔵プール保護シート2は、図5(A)、図5(B)、図5(C)及び図5(D)に示す如く、シート中央付近(図5(A)、図5(C)参照)或いはシート端部(図5(D)参照)に流体が複数個所から注入可能な流路1、流路2、流路3を備え、使用済燃料貯蔵プール保護シート2をロール状に巻かれた状態からSFP1の全面を覆うように広げる際は、シート中央付近或いはシート端部より流路1、流路2、流路3へ流体を注入(注入1、注入2、注入3)するものである。
【0032】
即ち、本実施例の使用済燃料貯蔵プール保護シート2は、シート中央付近或いはシート端部より流体等を複数個所から注入可能な構造を備えており、各注入先の流路は保護シート面と一体構造となっている。この使用済燃料貯蔵プール保護シート2を広げる際は、流体等を流路1、流路2、流路3へ注入することで、シート面を広げることが可能となる。
【0033】
また、使用済燃料貯蔵プール保護シート2の端部複数個所には、固定用フック23又はワイヤーを備えており、例えば多関節ロボットを用いて原子炉建屋20の強度部材(図示せず)等と接続することにより、重量物が使用済燃料貯蔵プール保護シート2上に落下した場合でも、重量物を使用済燃料貯蔵プール保護シート2上で保持し、使用済燃料貯蔵プール保護シート2自体がSFP1へ落下することも防止できる。
【0034】
また、本実施例の使用済燃料貯蔵プール保護シート2のシート中央付近或いはシート端部に補強部材24を備えており、この補強部材24により、シート補強及びシート中央部流路の折れ曲がりを防止でき、ロール状から平面シート状への展開を容易にしている。また、使用済燃料貯蔵プール保護シート2は、SFP1の全面を覆うことが可能な面積を有し、これをロール状に巻くことで、狭隘開口部6からの挿入を可能としている。
【0035】
更に、本実施例では、使用済燃料貯蔵プール保護シート2の面の各流路近傍に沿って形状記憶部材25を備えることで、流体等の注入解除操作でロール形状に形状復帰可能な特徴を持つ。
【0036】
図6(A)、図6(B)及び図6(C)に、本実施例の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられる撤去対象構造物8a、8bを撤去する前に、撤去対象構造物8a、8bの撤去の支障となる屋根瓦礫10を撤去回収する状態を示す。
【0037】
該図に示す瓦礫撤去は、撤去対象構造物8a、8bの撤去作業に支障が出る瓦礫の撤去を行うものである。撤去方法としては、クレーン5A及びクレーン5Aの先端に専用ハンドル9(例えば、撤去重機、多関節ロボット等)を取り付けた設備で瓦礫を撤去、回収する。主な瓦礫としては、原子炉建屋20の屋根部材である鉄骨(屋根瓦礫10)などが対象となる。屋根瓦礫10の撤去は、複数台の監視カメラをクレーン5Aの先端等へ設置し、カメラ映像を確認しながら屋根瓦礫10を把持し、原子炉建屋20の上空へ吊上げ撤去、回収を行う。
【0038】
図7(A)、図7(B)及び図7(C)に、本実施例の原子力プラントにおける構造物撤去方法に用いられるクレーン5Aの先端に設置された吊り天秤13に吊られた瓦礫撤去用シート(構造物撤去用シート)11をクレーン5Aで撤去対象構造物8a、8bの周辺に移動する状態を示す。図8(A)、図8(B)及び図8(C)に、瓦礫撤去用シート11が所定の位置に移動したら吊り天秤13と瓦礫撤去用シート11を切り離す状態を示す。図9(A)、図9(B)及び図9(C)に、シート引き伸ばし治具12を撤去対象構造物8a、8bの下面に挿入する状態を示す。図10(A)、図10(B)及び図10(C)に、瓦礫撤去用シート11の引き伸ばし状態を示す。図11(A)、図11(B)及び図11(C)に、瓦礫撤去用シート11の搬入状態を示す。図12(A)、図12(B)及び図12(C)に、瓦礫撤去用シート11の引き伸ばし状態を示す。図13(A)、図13(B)及び図13(C)に、吊り天秤A(16)及び吊り天秤B(17)の搬入状態を示す。図14(A)、図14(B)及び図14(C)に、吊り天秤A(16)とシートフック(図示せず)の取り付け状態を示す。図15(A)、図15(B)及び図15(C)に、吊り天秤B(17)とシートフック(図示せず)の取り付け状態を示す。図16(A)、図16(B)及び図16(C)に、吊り天秤A(16)及び吊り天秤B(17)にスリング18を取り付ける状態を示す。図17(A)、図17(B)及び図17(C)に、スリング18に接続された瓦礫撤去用シート11で撤去対象構造物8a、8bを包み込んだ状態を示す。図18(A)、図18(B)及び図18(C)に、図17(A)、図17(B)及び図17(C)の状態から撤去対象構造物8a、8を包み込んだ瓦礫撤去用シート11をクレーン5Aで吊上げた状態を示す。図19(A)、図19(B)及び図19(C)に、瓦礫撤去用シート11を撤去した後に、SFP1の上部から使用済燃料貯蔵プール保護シート2を撤去するためにクレーン5A先端への使用済燃料貯蔵プール保護シート2のフック掛けの状態を示す。図20(A)、図20(B)及び図20(C)に、クレーン先端へ使用済燃料貯蔵プール保護シート2をフック掛けした後に使用済燃料貯蔵プール保護シート2をクレーン5Aで吊上げ、撤去する状態を示す。
【0039】
該図に示す如く、本実施例での撤去対象構造物8a、8bの撤去概要は、撤去対象構造物8a、8bを吊上げるための瓦礫撤去用シート(破損構造物撤去用シート)11を、クレーン5Aに取付けた吊り天秤13で撤去対象構造物8a、8bの周辺へ移動させて配置し(図7(A)、図7(B)、図7(C)参照)、多関節ロボット14で吊り天秤13と瓦礫撤去用シート11を切り離す(図8(A)、図8(B)、図8(C)参照)。その後、瓦礫撤去用シート11をシート引き伸ばし治具12で撤去対象構造物8a、8bの下面に広げる(図9(A)、図9(B)、図9(C)及び図10(A)、図10(B)、図10(C)参照)。撤去対象構造物8a、8bの大きさが大きい場合は、同様に図7(A)、図7(B)、図7(C)〜図10(A)、図10(B)、図10(C)の手順を繰り返し、撤去対象構造物8a、8bの下面全体に瓦礫撤去用シート11を配置する(図11(A)、図11(B)、図11(C)及び図12(A)、図12(B)、図12(C)参照)。
【0040】
次に、吊り天秤A(16)、吊り天秤B(17)を撤去対象構造物8a、8bの周辺に配置し、多関節ロボット14を使用し瓦礫撤去用シート11の一方を吊り天秤A(16)に接続し、同様に瓦礫撤去用シート11のもう一方を吊り天秤B(17)に接続する(図13(A)、図13(B)、図13(C)、図14(A)、図14(B)、図14(C)及び図15(A)、図15(B)、図15(C)参照)。
【0041】
次に、クレーン5Bに接続された多関節ロボット14で、吊り天秤A(16)及び吊り天秤B(17)にクレーン5Aに接続されたスリング18a、18bを接続し(図16(A)、図16(B)、図16(C)参照)、クレーン5Aを巻き上げることで、撤去対象構造物8a、8bは瓦礫撤去用シート11で覆われ、更に、クレーン5Aを巻上げて瓦礫撤去用シート11で覆われた撤去対象構造物8a、8bの吊上げ撤去が可能となる(図17(A)、図17(B)、図17(C)及び図18(A)、図18(B)、図18(C)参照)。
【0042】
最後に、撤去対象構造物8a、8bが撤去回収された後、クレーン5Bの先端のワイヤロープ5b´に取り付けられている多関節ロボット14及びスリング18を介して、クレーン5Aの先端のワイヤロープ5bに使用済燃料貯蔵プール保護シート2を移動し、その後、クレーン5Aを用いて使用済燃料貯蔵プール保護シートをSFP1(SFP1内にはコンクリート等の小片瓦礫26が残っている)から撤去するものである(図19(A)、図19(B)、図19(C)及び図20(A)、図20(B)、図20(C)参照)。
【0043】
このような本実施例とすることにより、高放射線量で作業者が瓦礫に接近できない環境下で、かつ、瓦礫への装置類のアクセス経路が狭隘な条件でも安全で、かつ、確実に瓦礫を撤去することができる。更に、作業者の被ばく低減、撤去対象構造物に付着している放射性物質の飛散防止も図れる。
【0044】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…使用済燃料貯蔵プール(SFP)、2…使用済燃料貯蔵プール保護シート、3…保護シート吊上げ治具、4…保護シート吊上げ治具フック、5A、5B…クレーン(揚重機)、5a、5a´…クレーンのアーム、5b、5b´…クレーンのワイヤロープ、6…狭隘開口部、7…流体注入ホース、8a、8b…撤去対象構造物、9…専用ハンドル、10…屋根瓦礫、11…瓦礫撤去用シート、12…シート引き伸ばし治具、13…吊り天秤、14…多関節ロボット、16…吊り天秤A、17…吊り天秤B、18、18a、18b…スリング、20…原子炉建屋、21…原子炉格納容器、22…ドライヤセパレータプール、23…固定用フック、24…補強部材、25…形状記憶部材、26…小片瓦礫。
図1(A)】
図1(B)】
図1(C)】
図2(A)】
図2(B)】
図2(C)】
図3(A)】
図3(B)】
図3(C)】
図4(A)】
図4(B)】
図4(C)】
図5(A)】
図5(B)】
図5(C)】
図5(D)】
図6(A)】
図6(B)】
図6(C)】
図7(A)】
図7(B)】
図7(C)】
図8(A)】
図8(B)】
図8(C)】
図9(A)】
図9(B)】
図9(C)】
図10(A)】
図10(B)】
図10(C)】
図11(A)】
図11(B)】
図11(C)】
図12(A)】
図12(B)】
図12(C)】
図13(A)】
図13(B)】
図13(C)】
図14(A)】
図14(B)】
図14(C)】
図15(A)】
図15(B)】
図15(C)】
図16(A)】
図16(B)】
図16(C)】
図17(A)】
図17(B)】
図17(C)】
図18(A)】
図18(B)】
図18(C)】
図19(A)】
図19(B)】
図19(C)】
図20(A)】
図20(B)】
図20(C)】