特許第6457923号(P6457923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6457923下降アルゴリズムを実行する航空機電子機器を使用して航空機の下降段階を自動的に制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6457923
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】下降アルゴリズムを実行する航空機電子機器を使用して航空機の下降段階を自動的に制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/18 20060101AFI20190110BHJP
   B64D 45/04 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   B64C13/18 G
   B64D45/04 B
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-243706(P2015-243706)
(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公開番号】特開2016-164060(P2016-164060A)
(43)【公開日】2016年9月8日
【審査請求日】2016年1月29日
【審判番号】不服2017-15324(P2017-15324/J1)
【審判請求日】2017年10月16日
(31)【優先権主張番号】14/581,709
(32)【優先日】2014年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506388923
【氏名又は名称】ジーイー・アビエイション・システムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】シェリフ・フアド・アリ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ローレンス・ダーネル
【合議体】
【審判長】 島田 信一
【審判官】 一ノ瀬 覚
【審判官】 和田 雄二
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−530442(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/145608(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/162092(WO,A1)
【文献】 特開昭61−163096(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0046823(US,A1)
【文献】 米国特許第5060889(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 45/04
B64C 13/18
G05D 1/10
G08G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下降アルゴリズム(110)を実行する航空機電子機器(100)を使用して航空機(10)の下降段階(310)を自動的に制御する方法であって、
前記航空機電子機器(100)に対する入力として、前記航空機(10)の対気速度(40)を示す対気速度入力(116)を繰り返し受信するステップと、
前記航空機電子機器(100)によって、前記対気速度入力(116)を第1の基準対気速度(112)と比較するステップと、
前記航空機電子機器(100)によって、前記比較に基づいて対気速度入力(116)が過速状態(120)をいつ示すか判定するステップと、
前記航空機電子機器(100)によって前記判定された過速状態(120)に応答して前記航空機(10)をスリップ機動(200)るステップであって、前記スリップ機動(200)の間、所定の地上航跡(52)を維持するように前記航空機(10)の機首方位(50)を前記所定の地上航跡(52)の方向ではない方向に変化させることを含む、前記ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記過速状態(120)が終わったとき、前記航空機(10)を前記スリップ機動(200)を終わらせるステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記スリップ機動(200)中に、
飛行管理に対する入力として、前記航空機(10)の対気速度(40)を示す対気速度入力(116)を繰り返し受信することと、
前記航空機電子機器(100)によって、前記対気速度入力(116)を第2の基準対気速度(114)と比較することと、
前記航空機電子機器(100)によって、前記比較に基づいて対気速度入力(116)が前記過速状態(120)がないことをいつ示すか判定することとによって、前記過速状態(120)の終わりを判定するステップをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1の基準対気速度(112)は前記第2の基準対気速度(114)よりも大きい、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第1の基準対気速度(112)および前記第2の基準対気速度(114)は少なくとも10ノットだけ異なる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記基準対気速度は閾値速度(118)である、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記閾値速度(118)は最大動作速度限界(Vmo)(122)である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記過速状態(120)を判定するステップは、前記対気速度入力(116)が前記基準対気速度を超えることを含む、請求項1乃至のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
最小推進状態の間に前記過速状態(120)が発生したときに、前記航空機(10)を前記スリップ機動(200)るステップをさらに含む、請求項1乃至のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
アイドル下降の間に前記過速状態(120)が発生したときに、前記航空機(10)を前記スリップ機動(200)るステップをさらに含む、請求項1乃至のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記航空機(10)を前記スリップ機動(200)るステップは、前記航空機電子機器(100)が、前記航空機(10)の1つまたは複数の操縦翼面(18)を調整するための操縦翼面設定を出力することおよび/またはエンジンスロットル制御信号を出力することを含む、請求項1乃至1のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記スロットル制御信号は、前記航空機エンジン(16)からの差動推進力を実施する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記操縦翼面(18)は、方向舵(20)および補助翼(22)の少なくとも一方を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記出力された操縦翼面設定は、反対の方向舵(20)および補助翼(22)を可能にする、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記航空機(10)を前記スリップ機動(200)るステップは、前記航空機(10)が着陸段階(320)に入る前に行われる、請求項1乃至1のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記着陸段階(320)の前に前記スリップ機動(200)を終わらせるステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記着陸段階(320)は、前記航空機(10)のフレア(322)の前に開始する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記スリップ機動(200)は、前記航空機(10)にスピードブレーキ(24)を展開することなく行われる、請求項1乃至1のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下降アルゴリズムを実行する航空機電子機器を使用して航空機の下降段階を自動的に制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の巡航段階から着陸段階への下降は、相反する目標を有する場合がある様々な理由で制御され得る。燃料節約が主要な目標であるとき、エンジンがアイドル、すなわち最小限の推進力に設定されているアイドル下降を実施し、操縦翼面を使用して下降の経路を制御することが一般的である。アイドル下降中、航空機は、過速度状態に陥る場合があり、これは現在、パイロットがスピードブレーキを展開することによって解決されているが、これによって多くの乗客が好まない大音量の雑音が生じる。スピードブレーキを有していない航空機の場合、一般的にはそれほど望ましくない他の解決策が使用される。
【0003】
代替として、パイロットが航空機へのピッチ入力を与えることができるが、これは軌道を変更してさらなる燃料を消費し、アイドル下降の目的を無にする。別の代替的な解決策は、飛行管理システムおよび/または飛行誘導システム(FMS&FGS)のような航空機電子機器の1つまたは複数を利用し、エンジンスロットルをアイドルを上回った約10%のままにし、過速状態が発生したときスロットルを下げることであるが、これもまた、さらなる燃料を消費しアイドル下降の目的を無にする。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、下降アルゴリズムを実行する航空機電子機器を使用して航空機の下降段階を自動的に制御する方法に関する。航空機電子機器は、航空機対気速度入力を繰り返し受信し、上記対気速度を第1の基準対気速度と比較して、過速状態が発生しているか否かを判定する。過速状態が発生している場合、航空機はスリップ機動に入る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】地上システムとデータ通信しており、本発明の実施形態のための例示的な環境を提供する航空機の斜視図である。
図2】航空機を制御するのに使用するための航空機電子機器システムおよびそれを取り巻く環境の基本図である。
図3】飛行計画の例示的な高度プロファイルの図である。
図4】フォワードスリップにおける航空機の絵画図である。
図5】サイドスリップにおける航空機の絵画図である。
図6】例示的な一実施形態による航空機の飛行を制御するための航空機システムの流れ図である。
図7】例示的な一実施形態による航空機の飛行経路を制御するためのコントローラの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、飛行管理システムおよび飛行誘導システム(以降「FMS&FGS」と称する)のような航空機電子機器100を使用して本発明の実施形態を実行することができる航空機10を示す。専用または特殊航空機電子機器100が本発明の種々の実施形態を実行することは本発明の範囲内にあるが、実施形態の現在実際的な実施態様は、現在の航空機上に現在存在しているFMS&FGSを使用することができる。FMS&FGSは、本発明の実施形態を実行するようにプログラムすることができる。本明細書では、航空機電子機器100は、FMS&FGS100の文脈において説明する。しかしながら、この特定の航空電子機器システムが本発明を限定しているのではないことを理解されたい。
【0007】
航空機10は、胴体12と、機首26と、胴体12に結合されている1つまたは複数の推進エンジン16と、胴体12内に位置付けられている操縦室14と、胴体12から外向きに延伸している翼30とを含むことができる。航空機10は、翼30上の操縦翼面18と、尾部32とをさらに含むことができる。操縦翼面18は、航空機10をロールさせる補助翼22と、航空機10をヨー方向に旋回させる方向舵20と、たとえば、差動推進力が非対称に加えられる場合に航空機10をヨー方向に旋回させることができるエンジンスロットルと、航空機10の対気速度40を減速させるためのスピードブレーキ24とをさらに備える。多くの異なるタイプの操縦翼面があり、それらの使用は、それらが使用されるべき航空機10のサイズ、速度、および複雑度に応じて決まり得る。
【0008】
地上システム404は、ワイヤレス通信リンク402を介して、航空機10およびインターフェースデバイス400を含む他のデバイスと通信することができ、ワイヤレス通信リンクは、衛星送信、無線波などのような任意の適切なタイプの通信であってもよい。地上システム404は、航空会社制御または航空管制部のような任意のタイプの通信地上システム404であってもよい。
【0009】
図2は、FMS&FGS100を、それを取り巻く環境とともに概略的に示す。FMS&FGS100は、航空機10の飛行計画124(概略的に箱として示す)を制御するために、飛行計器140、航空電子機器150、およびインターフェースデバイス400からの入力を取得する。飛行計器140は、限定ではないが、高度計、姿勢計、対気速度計、コンパス、機首方位計、垂直速度計、コース偏差指示器、および/またはラジオ磁気指示計を含む。航空電子機器150は、限定ではないが、通信、航法、ならびに複数のサブシステムの表示および管理を含む電子システムを含む。インターフェースデバイス400は、技師410からの入力を収集し、技師410に出力を提示する任意の視覚ディスプレイを含んでもよく、小型スクリーンおよびキーボードまたはタッチスクリーンを組み込んでいる制御表示装置を含んでもよい。
【0010】
FMS&FGS100は、単一のまたは複数のエンジン16を有する商業および軍用用途を含む任意の航空機10に使用されてもよい。航空機10は、限定ではないが、タービン、ターボプロップ、多発ピストン、単発ピストンおよびターボ送風機を含んでもよい。
【0011】
FMS&FGSは、飛行計画124の飛行中管理の主要機能を有する。航空機10の位置を求めるためにGPS(全地球測位システム)およびINS(慣性航行システム)のような様々なセンサを使用して、FMS&FGS100は、飛行計画124に沿って航空機10を誘導することができる。飛行計画124は一般的に、パイロットまたは専門通信指令部員のいずれかによって出発前に地上で決定される。飛行計画124は、これを打ち込むことによって、一般的な路線の保存されているライブラリから選択することによって、または、航空会社ディスパッチセンターとのリンクを介してのいずれかで、FMS&FGS100に入力される。飛行中になると、FMS&FGS100の主要なタスクは、航空機の位置、および、特に飛行計画に対するその位置の正確さを求めることである。単純なFMS&FGS100は、位置を求めるために単一のセンサ、一般的にはGPSを使用する。
【0012】
図3は、離陸段階330、上昇段階340、現代の商用航空機については一般的に海抜30,000〜40,000フィートの巡航段階300を含み、次いで下降段階310、その後着陸段階320に入る飛行計画124の例示的な高度対距離プロファイルを示す。下降段階310は、着陸段階320以外の、航空機10が高度を下降する任意の時間であり得る。殆どの場合、下降段階310は、巡航段階300から着陸段階320への遷移である。この説明では、下降段階310は着陸段階320を含まない。着陸段階320は、最終進入段階324と、ランディングフレア322と、接地326と、ロールアウト段階328とを含む。ランディングフレア322は、航空機10の着陸段階320中の操作または段階であり、最終進入段階324に後続し、着陸310の接地326およびロールアウト段階328に先行する。フレア322において、航空機10の機首26が持ち上げられ、下降速度が減速され、接地326のための適切な姿勢が設定される。従来の着陸装置を装備する航空機10の場合、3つすべての車輪において同時に、または、主着陸装置34のみにおいて接地するための姿勢が設定される。三輪式着陸装置を装備する航空機10の場合、主着陸装置34において姿勢は接地326に設定される。
【0013】
下降310は、通常下降、急速下降、段階的下降、連続的下降、駆動下降、非駆動下降、アイドル、もしくは通常の推進、または、前述したもしくは任意の他の知られている下降方法の任意の組み合わせを含んでもよい。アイドル下降は、エンジン16がアイドル、すなわち、最小限の推進力に設定されている場合に利用することができ、このとき、航空機10は、着陸領域または地上54に向けて高度が下降していく。通常推進下降もまた、エンジン16がアイドルを上回って約10%の推進力に設定されている場合に、下降段階310中に実施することができる。アイドル下降または通常推進下降は、航空機10の高度が一定の速度で変化する連続的な進入下降の一部であってもよい。
【0014】
現在の市場において、コストアップ圧力が、航空機技師らを、燃料、環境および保守管理の節約を模索するように駆り立てている。したがって、アイドル下降が、雑音を低減し、エンジン16の寿命を増大しながら燃料を最も効率的に利用することを可能にするため、アイドル下降が、下降段階310中の好ましい方法になっている。アイドル下降の不利益は、下降の速度を制御するためにパイロットがもはや推進力を使用することができないという点において、少なくとも1自由度の飛行制御が失われているということである。推進力を使用することによって燃料消費が増大し、これによってアイドル下降の燃料を節約することができるという利点が打ち消される。不都合なことに、アイドル下降中、航空機10が対気速度過速状態120に陥ることが一般的である。現在の解決策は、航空機10をピッチアップして、推進力を増大させて航空機10の対気速度40を減速することであり、これは、アイドル下降の燃料が節約できるという利点を打ち消す。本発明の実施形態は、推進力およびピッチを使用する代わりに、航空機10をスリップ機動200ることによってこの過速状態120に対処し、これによって、航空機を減速するための空力抵抗が増大する。スリップ機動200は、航空機10の空力抵抗を増大させ、これによって対気速度40が低減する。下降段階310中にスリップ機動200を適用することは、FMS&FGSFGS100が、航空機10の対気速度40に対応する対気速度入力116を繰り返し得ることによって達成することができる。航空機10が重力に起因して過速状態120に陥ると、FMS&FGS100は、航空機10の対気速度40を減速するために航空機10をスリップ機動200に入れる。スリップ機動200が完了し、所望のように対気速度16が低減すると、下降段階310はスリップ機動200に入る前の、以前のように継続する。スリップ機動200は、上述した代替的な下降310において対気速度40を制御するのに使用することができる。
【0015】
図4および図5を参照すると、スリップ機動200の特定の実施態様は、少なくとも1つのサイドスリップ202またはフォワードスリップ204操作であってもよい。最初にフォワードスリップ機動204を見ると、航空機10は、FMS&FGS100が、航空機10の1つまたは複数の操縦翼面18を調整するための操縦翼面設定を出力することによって、フォワードスリップ機動204に入る。より詳細には、FMS&FGSは、航空機10が、地上航跡52に沿って直進したままにするために、バンクし、反対の方向舵またはスロットル20および補助翼22を取るように、航空機10を制御する。航空機10の機首26は、スリップ角度212だけ変化されて、地上航跡52の方向ではない代替的な方向に向くことになる。スリップ機動204の効果は、航空機10の対気速度40を低減するための空力抵抗を増大させるために、わずかな度合いであるスリップ角度212だけ航空機10を回転させることである。一実施形態において、フォワードスリップ機動204のスリップ角度212は0.2〜0.3度であり、ただし、スリップ角度212は、代替的な実施形態においてはより大きくてもよく、またはより小さくてもよい。
【0016】
スリップ角度212は機首方位50と地上航跡52との間の角度である。機首方位50は、機首26が向いている方向である。地上航跡52は、航空機10の直下の地表面上の経路である。フォワードスリップ機動204において、航空機の機首方位50が変化している間、地上航跡52は操作前と同じままである。
【0017】
図5を参照すると、サイドスリップ機動202は、航空機10の機首方位50は同じままであるが、特に、方向舵またはスロットル20および補助翼22を反対方向に調整することによって、操縦翼面18の動きに起因して地上航跡52が変化する場合である。揚力の水平成分が航空機10を低翼に向けて側方に動かし、角度のついた地上航跡52がもたらされる。スリップ角度212はわずかな度合いであり、スリップ機動は通常、短時間であるため、それによって、航空機10は実質的に所定のコースから外れない。航跡を外れた量は、スリップ機動202を出た後に容易に補正することができる。
【0018】
図6は、下降アルゴリズム110を実行するFMS&FGS100の特定の実施態様の例示的な動作の流れ図を示す。過速度状態120が発生しているか否かを判定するために、対気速度入力116が繰り返しFMS&FGS100に送信される。過速度状態120は、航空機10の対気速度40が、所定の第1の基準対気速度112以上である場合に発生する。例示的な第1の基準対気速度112は、所与の条件、すなわち、最大動作速度限界(Vmo)122に対する閾値対気速度118である。この実施形態において、第1の基準対気速度112は、最大動作速度限界(Vmo)122よりも5ノット低い速度に等しい。対気速度入力116が第1の基準対気速度112よりも小さい場合、下降段階310はスリップ機動200なしに計画通り継続する。対気速度入力116が第1の基準対気速度112以上である場合、スリップ機動200に入る。航空機10がスリップ機動200になると、対気速度入力116は繰り返しFMS&FGS100に送信され、所定の第2の基準対気速度114と比較され続ける。対気速度入力116が第2の基準対気速度114よりも小さいと判定されると、航空機10はスリップ機動200を出る。第2の基準対気速度114は、この実施形態においては、Vmo122よりも15ノット低い速度に等しい。このとき、下降310はスリップ機動200の前のように継続する。
【0019】
第1の基準対気速度112は第2の基準対気速度114よりも大きい。第1の基準対気速度112と第2の基準対気速度114との間の幅は、10ノットである。代替的な実施形態において、航空機が下降段階310中に何度もスリップ機動200に出入りするのを防止するために、幅はより大きくてもよい。幅は、特定の航空機10およびその意図される動作に適切であるように選択することができる。本質的に、スリップ機動200を出た後、航空機10の対気速度40は自然に再び増大し、航空機10は複数回スリップ機動200に入ることができることが企図されている。
【0020】
図7は、FMS&FGS100のためのコントローラ130の例示的なブロック図を示す。対気速度入力116は繰り返しFMS&FGS100に送信され、比較演算子を用いて第1の基準対気速度112と比較される。対気速度入力116が第1の基準対気速度112以上である場合、スリップ機動200が起動される。対気速度入力116が第2の基準対気速度114よりも小さいと判定される場合、スリップ機動200が機能停止される。スリップ入力206およびスリップ機動200がFMS&FGS100に入力され、その後、加算点からスリップ誤差210が計算される。スリップ誤差210によって、フォワード利得132が求められ、フォワード利得は、スリップ速度入力208からの減衰利得134と加算される。フォワード利得132と減衰利得134とを加算する結果として、スケーリング利得136がもたらされ、したがって、操縦翼面18コマンドが決定される。図示されている例示的なコントローラ130は決して、開示されている本発明を限定するものではない。
【0021】
前述した実施形態のいずれにおいても、過速度状態に達する前にスリップ機動に入ることができる。下降を制御するためにFMS&FGSによって実行されている下降アルゴリズムは航空機の速度をモニタリングするようにプログラムすることができ、Vmoのような動作速度限界に達する前の所定の値(割合、閾値、差分、変化速度など)において、FMS&FGSは、スリップ機動を実施し、航空機をスリップ状態にするために、方向舵またはスロットルおよび補助翼のような、適切な操縦翼面への適切な制御信号の送信を開始する。FMS&FGSはまた、航空機の加速度および現在の対気速度に基づいて、航空機が過速状態に達する可能性が高い場合/ときを推定するようにプログラムすることもできる。この推定に応答して、FMS&FGSはスリップ機動を実行することができる。
【0022】
本明細書は、最良の形態を含めて本発明を開示し、また任意のデバイスまたはシステムを作成し使用すること、および任意の組み込まれた方法を実施することを含めて当業者が本発明を実施することをも可能にするために例を使用している。本発明の特許性のある範囲は特許請求の範囲によって規定され、当業者が着想する他の実施例を含んでもよい。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合に、またはそれらが特許請求の範囲の文言との十分な差違を有していない均等な構造要素を含む場合に、特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
【符号の説明】
【0023】
10 航空機
12 胴体
14 操縦室
16 推進エンジン
18 操縦翼面
20 方向舵
22 補助翼
24 スピードブレーキ
26 機首
30 翼
32 尾部
34 主着陸装置
40 対気速度
50 機首方位
52 地上航跡
100 航空機電子機器
110 下降アルゴリズム
112 第1の基準対気速度
114 第2の基準対気速度
116 対気速度入力
118 閾値対気速度
120 過速状態
122 最大速度限界
124 飛行計画
130 コントローラ
132 フォワード利得
134 減衰利得
136 スケーリング利得
140 飛行計器
150 航空電子機器
200 スリップ機動
202 サイドスリップ
204 フォワードスリップ
206 スリップ入力
208 スリップ速度入力
212 スリップ角度
300 巡航段階
310 下降段階
320 着陸段階
322 ランディングフレア
324 最終進入段階
326 接地
328 ロールアウト段階
330 離陸段階
340 上昇段階
400 インターフェースデバイス
404 地上システム
410 技師
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7