(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物が、アントラキノンをベースとする、ペリノンをベースとする、およびフタロシアニンをベースとする着色剤の群より選択される成分b1)のさらなる着色剤の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0036】
熱可塑性ポリマー成分a)をベースとする本発明の組成物は、以下を含有する:
【0037】
b)アントラキノンをベースとし、少なくとも1つのOH官能基を持つ少なくとも1つの着色剤。特に好ましい少なくとも1つのOH官能基を有するアントラキノン系着色剤は、以下の構造1および2から選択される:
【0039】
ここで、RxおよびRyは、各々、分岐鎖状または直鎖状アルキルラジカル、特に、直鎖状または分岐鎖状C1‐C12ラジカルであり、特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、n‐ブチル、イソプロピル、イソブチル、tert‐ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルであり、非常に特に好ましくは、n‐ブチル、tert‐ブチル、およびメチルである。そのような着色剤は、例えば、ランクセス社(Lanxess AG)よりMacrolex(登録商標)Grun Gの商品名で入手可能である(例:CAS番号28198‐05‐2、4851‐50‐7)。
【0040】
本発明の目的のために、C(数)(例:C1、C12)の表記は、続いて記載される(数)に相当する鎖長を有する炭素鎖を意味し、構造異性体も包含される。
【0042】
Rは、Hおよびp‐メチルフェニルアミンラジカルから成る群より選択され:好ましくは、R=Hである。
【0043】
そのような着色剤は、例えば、ランクセス社よりMacrolex(登録商標)Violet Bの商品名で入手可能である(CAS 81‐48‐1)。
【0044】
b1)所望に応じて含有してよい1つ以上のさらなる着色剤、好ましくは、アントラキノンをベースとする、ペリノンをベースとする、またはフタロシアニンをベースとする、構造(3)から(8)を有する着色剤の群より選択される着色剤。
【0046】
ここで、
R1およびR2は、各々、互いに独立して、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルラジカルまたはハロゲンであり、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert‐ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、テキシル(thexyl)、またはClであり、より好ましくは、メチルまたはCl、特に好ましくは、Clであり、
nは、0から4の範囲の自然数である。
【0047】
特に好ましい実施形態では、すべての環においてn=0であり、それによって、すべてのラジカルR1およびR2=Hとなる。
【0048】
構造(3)を有する着色剤は、BASF社のPaliogen Blue系列から市販のものを入手可能である。
【0049】
構造(3)を有する着色剤を用いる場合、かさ体積(poured volume)(DIN ISO 787‐11に従って特定される)が2L/kg〜10L/kg、好ましくは、3L/kg〜8L/kg、比表面積(DIN 66132に従って特定される)が5m
2/g〜60m
2/g、好ましくは、10m
2/g〜55m
2/g、およびpH(DIN ISO 787‐9に従って特定される)が4〜9である顔料が特に好ましい。
【0051】
ここで、
RaおよびRbは、各々、互いに独立して、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルラジカルまたはハロゲンであり、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert‐ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、テキシル、またはClであり、より好ましくは、メチルまたはCl、特に好ましくは、Clであり、
nは、特定のラジカルRとは無関係に、0から3の範囲の自然数であり、n=0の場合、ラジカルは水素である。
【0052】
好ましい実施形態では、Raおよび/またはRbは、Clであり、アミン官能基を持つ炭素原子に対してoおよび/またはp位に位置し、例えば、ジオルソクロロナフタリノ、ジオルソ、モノパラ‐クロロナフタリノ、およびモノオルソナフタリノである。さらに、好ましい実施形態では、RaおよびRbは、各々、窒素官能基を持つ炭素原子に対してメタ位に存在することが好ましいtert‐ブチルラジカルである。
【0053】
特に好ましい実施形態では、すべての環においてn=0であり、それによって、すべてのラジカルRaおよびRb=Hとなる。
【0055】
ここで、
RcおよびRdは、各々、互いに独立して、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルラジカルまたはハロゲンであり、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert‐ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、テキシル、またはClであり、より好ましくは、メチルまたはCl、特に好ましくは、Clであり、
nは、特定のラジカルRとは無関係に、0から3の範囲の自然数であり、n=0の場合、ラジカルは水素である。
【0056】
好ましい実施形態では、Rcおよび/またはRdは、Clであり、アミン官能基を持つ炭素原子に対してoおよび/またはp位に存在し、例えば、ジオルソクロロナフタリノ、ジオルソ、モノパラ‐クロロナフタリノ、およびモノオルソナフタリノである。さらに、好ましい実施形態では、RcおよびRdは、各々、窒素官能基を持つ炭素原子に対してメタ位に存在することが好ましいtert‐ブチルラジカルである。
【0057】
特に好ましい実施形態では、すべての環においてn=0であり、それによって、すべてのラジカルRcおよびRd=Hとなる。
【0058】
構造(4a)および(4b)または(5a)および(5b)は、異性体の関係である。それぞれの異性体は、単独で、または混合物として用いられてよい。特定の実施形態では、(4a)および(4b)または(5a)および(5b)の1:1 異性体混合物(重量%での異性体混合物中の異性体のそれぞれの量に基づく)が用いられる。
【0059】
そのような着色剤の作製は、例えば、ドイツ特許第2148101号または国際公開第2009 074504A1号に記載されている。
【0060】
本発明に従う組成物は、構造(4a)、(4b)、(5a)、および(5b)のうちの1つを有する少なくとも1つの着色剤を好ましくは含有し、これらの中でも、構造(4a)および(4b)を有する着色剤が特に好ましい。
【0061】
さらなる実施形態では、構造(4a)、(4b)、(5a)、および(5b)は、各場合において、純粋異性体として用いられ;純粋異性体は、例えば、分取用HPLCによって得ることができる。
【0063】
ここで、R3は、好ましくは、ハロゲン、特に好ましくは、Clであり、nは、特に好ましくは、4である。n=0であり、それによってR3=Hとなる実施形態も好ましい。
【0064】
そのような着色剤は、例えば、ランクセス社よりMacrolex(登録商標)Orange 3GまたはMacrolex(登録商標)Red EGとして入手可能である。
【0065】
R3がClであり、n=4である場合、構造(6)の着色剤の代わりに、同じ色特性を得るために、構造(7)を有する着色剤を用いることが可能である:
【0067】
そのような着色剤は、例えば、ランクセス社よりMacrolex(登録商標)Red E2Gの商品名で入手可能である。
【0069】
ラジカルR(5〜20)は、各々互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert‐ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、テキシル、フッ素、塩素、臭素、スルホン、CNである。
【0070】
R(5〜20)は、すべての位置で同一であることが好ましい。また、R(5〜20)は、すべての位置で水素であることも好ましい。別の選択肢としての実施形態では、R(5〜20)は、すべての位置でClである。
【0071】
Mは、好ましくは、アルミニウム(R=Hの場合:アルミニウムフタロシアニン、CAS:14154‐42‐8)、ニッケル(R=Hの場合:ニッケルフタロシアニン、CAS:14055‐02‐8)、コバルト(R=Hの場合:コバルトフタロシアニン、CAS:3317‐67‐7)、鉄(R=Hの場合:鉄フタロシアニン、CAS:132‐16‐1)、亜鉛(R=Hの場合:亜鉛フタロシアニン、CAS:14320‐04‐08)、銅(R=Hの場合:銅フタロシアニン、CAS:147‐14‐8;R=HおよびClの場合:ポリクロロ銅フタロシアニン、CAS:1328‐53‐6;R=Clの場合:ヘキサデカクロロフタロシアニン、CAS:28888‐81‐5;R=Brの場合:ヘキサデカブロモフタロシアニン、CAS:28746‐04‐5)、マンガン(R=Hの場合:マンガンフタロシアニン、CAS:14325‐24‐7)である。
【0072】
M=Cuおよびすべての位置に対してR=Hの組み合わせが特に好ましい。M=CuおよびR(5〜20)=Hである構造(8b)の化合物は、例えば、ルートビヒスハーフェンのBASF社製、Heliogen(登録商標)Blau K 6911DまたはHeliogen(登録商標)Blau K 7104 KWとして入手可能である。
【0073】
構造(8a)の化合物は、例えば、ルートビヒスハーフェンのBASF社製、Heliogen(登録商標)Blau L 7460として入手可能である。
【0074】
本発明の状況において成分b)およびb1)として開示される有機着色剤は、熱可塑性ポリマー組成物中に、それぞれ個別の成分に基づいて、0.000001重量%から1.000000重量%、好ましくは、0.00005重量%から0.50000重量%、特に好ましくは、0.0001重量%から0.1000重量%の量で用いられる。
【0075】
透明着色熱可塑性ポリマー組成物の具体的な実施形態では、本発明に従う有機着色剤は、熱可塑性ポリマー組成物中に、それぞれ個別の成分に基づいて、0.00001重量%から0.30000重量%、好ましくは、0.00005重量%から0.10000重量%、特に好ましくは、0.00010重量%から0.05000重量%の量で用いられる。
【0076】
ここで、重量%での量は、本発明の有機着色剤または有機着色剤の組み合わせを含有する得られたポリマー組成物に基づく。
【0077】
好ましい実施形態では、本発明の着色剤組成物は、成分b1)から選択される少なくとも1つの着色剤を必ず含有する。
【0078】
本発明の有機着色剤または有機着色剤の組み合わせを含有する本発明の熱可塑性ポリマー組成物は、ここで、ポリカーボネートをベースとすることが特に好ましい。
【0079】
c)
ホスフェートをベースとする少なくとも1つの安定化剤または加工助剤。ホスフェートは、以下の構造(9)を有し、
【0081】
ここで、R21からR23は、H、または同一もしくは異なる直鎖状、分岐鎖状、または環状アルキルラジカルであってよい。C1‐C18アルキルラジカルが特に好ましい。C1‐C18アルキルは、例えば、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、n‐ペンチル、1‐メチルブチル、2‐メチルブチル、3‐メチルブチル、ネオペンチル、1‐エチルプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル、n‐ヘキシル、1,1‐ジメチルプロピル、1,2‐ジメチルプロピル、1,2‐ジメチルプロピル、1‐メチルペンチル、2‐メチルペンチル、3‐メチルペンチル、4‐メチルペンチル、1,1‐ジメチルブチル、1,2‐ジメチルブチル、1,3‐ジメチルブチル、2,2‐ジメチルブチル、2,3‐ジメチルブチル、3,3‐ジメチルブチル、1‐エチルブチル、2‐エチルブチル、1,1,2‐トリメチルプロピル、1,2,2‐トリメチルプロピル、1‐エチル‐1‐メチルプロピル、1‐エチル‐2‐メチルプロピルまたは1‐エチル‐2‐メチルプロピル、n‐ヘプチル、およびn‐オクチル、ピナシル(pinacyl)、アダマンチル、異性体メンチル、n‐ノニル、n‐デシル、n‐ドデシル、n‐トリデシル、n‐テトラデシル、n‐ヘキサデシル、またはn‐オクタデシルである。
【0082】
本発明の目的のために適するアルキルホスフェートは、例えば、モノヘキシル、ジヘキシル、およびトリヘキシルホスフェート、トリイソオクチルホスフェート、およびトリノニルホスフェートである。
【0083】
トリイソオクチルホスフェート(トリス‐2‐エチルヘキシルホスフェート)が、アルキルホスフェートとして好ましく用いられる。様々なモノアルキル、ジアルキル、およびトリアルキルホスフェートの混合物も用いられてよい。
【0084】
用いられるアルキルホスフェートは、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、0.0500重量%未満、好ましくは、0.00005重量%から0.05000重量%、特に好ましくは、0.0002から0.0500重量%、非常に特に好ましくは、0.0005重量%から0.0300重量%、非常に特定の場合は、0.001から0.0120の量で用いられる。
【0085】
d)
所望に応じて存在してよい、組成物の総重量に基づいて、0.0重量%から1.0重量%、好ましくは、0.01重量%から0.50重量%、特に好ましくは、0.01重量%から0.40重量%の1つ以上の離型剤。本発明の組成物に特に適する離型剤は、ペンタエリスリチルテトラステアレート(PETS)またはグリセリルモノステアレート(GMS)、好ましくは、PETSである。
【0086】
e)
所望に応じて存在してよい、0.00重量%から20.00重量%、好ましくは、0.05重量%から10.00重量%、より好ましくは、0.10重量%から1.00重量%、なおより好ましくは、0.10重量%から0.50重量%、非常に特に好ましくは、0.10重量%から0.30重量%の少なくとも1つのUV(紫外線)吸収剤。
【0087】
適切なUV吸収剤は、例えば、欧州特許第1308084A1号、ドイツ特許第102007011069A1号、およびドイツ特許第10311063A1号に記載されている。特に適切な紫外線吸収剤は、2‐(3’,5’‐ビス‐(1,1‐ジメチルベンジル)‐2’‐ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(Tinuvin(登録商標)234、ルートビヒスハーフェンのBASF社製)、2‐(2’‐ヒドロキシ‐5’‐(tert‐オクチル)フェニル)ベンゾトリアゾール(Tinuvin(登録商標)329、ルートビヒスハーフェンのBASF社製)、2‐(2’‐ヒドロキシ‐3’‐(2‐ブチル)‐5’‐(tert‐ブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール(Tinuvin(登録商標)350、ルートビヒスハーフェンのBASF社製)、ビス‐(3‐(2H‐ベンゾトリアゾリル)‐2‐ヒドロキシ‐5‐tert‐オクチル)メタン(Tinuvin(登録商標)360、ルートビヒスハーフェンのBASF社製)などのヒドロキシベンゾトリアゾール、(2‐(4,6‐ジフェニル‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル)‐5‐(ヘキシルオキシ)フェノール(Tinuvin(登録商標)1577、ルートビヒスハーフェンのBASF社製)、ならびに2,4‐ジヒドロキシベンゾフェノン(Chimasorb(登録商標)22、ルートビヒスハーフェンのBASF社製)および2‐ヒドロキシ‐4‐(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(Chimassorb(登録商標)81、バーゼルのチバ製)などのベンゾフェノン、2‐プロペン酸, 1,3‐プロパンジイル 2‐シアノ‐3,3‐ジフェニル‐, 2,2‐ビス[[(2‐シアノ‐1‐オキソ‐3,3‐ジフェニル‐2‐プロペニル)オキシ]メチル]エステル(9CI)(Uvinul(登録商標)3030、ルートビヒスハーフェンのBASF社製)、2‐[2‐ヒドロキシ‐4‐(2‐エチルヘキシル)オキシ]フェニル‐4,6‐ジ(4‐フェニル)フェニル‐1,3,5‐トリアジン(Tinuvin(登録商標)1600、ルートビヒスハーフェンのBASF社製)、またはテトラエチル‐2,2’‐(1,4‐フェニレンジメチリデン)ビスマロネート(Hostavin(登録商標)B‐Cap、クラリアント社(Clariant AG)製)である。これらの紫外線吸収剤の混合物を用いる
ことも可能である。
【0088】
f)
所望に応じて存在してよい、組成物の総重量に基づいて0.00重量%〜0.20重量%、好ましくは、0.01重量%〜0.10重量%、より好ましくは、0.01重量%から0.05重量%、特に好ましくは、0.015重量%から0.040重量%の、好ましくは、ホスフィン、ホスファイト、およびフェノール系抗酸化剤、ならびにさらにはこれらの混合物から成る群より選択されるc)とは異なる1つ以上の熱または加工安定化剤。
【0089】
適切な安定化剤は、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4‐ジ‐tert‐ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4‐ジ‐tert‐ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4‐ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4‐ジ‐tert‐ブチル‐6‐メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6‐トリス(tert‐ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4‐ジ‐tert‐ブチルフェニル)4,4’‐ビフェニレンジホスホナイト、6‐イソオクチルオキシ‐2,4,8,10‐テトラ‐tert‐ブチル‐12H‐ジベンゾ[d,g]‐1,3,2‐ジオキサホスホシン、ビス(2,4‐ジ‐tert‐ブチル‐6‐メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4‐ジ‐tert‐ブチル‐6‐メチルフェニル)エチルホスファイト、6‐フルオロ‐2,4,8,10‐テトラ‐tert‐ブチル‐12‐メチルジベンゾ[d,g]‐1,3,2‐ジオキサホスホシン、2,2’,2’’‐ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’,5,5’‐テトラ‐tert‐ブチル‐1,1’‐ビフェニル‐2,2’‐ジイル)ホスファイト]、2‐エチルヘキシル3,3’,5,5’‐テトラ‐tert‐ブチル‐1,1’‐ビフェニル‐2,2’‐ジイル)ホスファイト、5‐ブチル‐5‐エチル‐2‐(2,4,6‐トリ‐tert‐ブチルフェノキシ)‐1,3,2‐ジオキサホスフィラン、ビス(2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリフェニルホスフィン(TPP)、トリアルキルフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、またはトリナフチルホスフィンである。
【0090】
トリフェニルホスフィン(TPP)、Irgafos(登録商標)168(トリス(2,4‐ジ‐tert‐ブチルフェニル)ホスファイト)、およびトリス(ノニルフェニル)ホスフェート、またはこれらの混合物を用いることが特に好ましい。
【0091】
さらに、アルキル化モノフェノール、アルキル化チオアルキルフェノール、ヒドロキノン、およびアルキル化ヒドロキノンなどのフェノール系抗酸化剤を用いることも可能である。Irganox(登録商標)1010(ペンタエリスリチル3‐(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジ‐tert‐ブチルフェニル)プロピオネート;CAS:6683‐19‐8)およびIrganox 1076(登録商標)(2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐(オクタデカンオキシカルボニルエチル)フェノール)を用いることが特に好ましい。
【0092】
成分g):本発明のポリカーボネート組成物は、所望に応じて、0.0重量%から5.0重量%、好ましくは、0.01重量%から1.00重量%のさらなる添加剤を含有してよい。さらなる添加剤は、従来のポリマー添加剤であり、例えば、欧州特許第A0839623号、国際公開第A96/15102号、欧州特許第A0500469号、または"Plastics Additives Handbook", Hans Zweifel, 5th edition 2000, Hanser Verlag, Munichに記載の難燃剤、蛍光増白剤、流動性向上剤、熱安定化剤、無機顔料、離型剤、または加工助剤である。
【0093】
組成物は、所望に応じて、ナノサイズ顔料、好ましくはカーボンブラックを、添加剤として含有してよい。カーボンブラックは、好ましくは、有機ポリマーマトリックス中に微細に分散されて存在する。適切なカーボンブラックは、好ましくは、100ナノメートル(nm)未満、より好ましくは、75nm未満、さらにより好ましくは、50nm未満、特に好ましくは、40nm未満の平均粒子サイズを有し、平均粒子サイズは、好ましくは、0.5nm超、より好ましくは、1nm超、特に好ましくは、5nm超である。
【0094】
本発明の目的のために適するカーボンブラックは、低い電気伝導性しか持たないか、または電気伝導性を持たないという点で、導電性カーボンブラックとは異なる。ここで用いられるカーボンブラックと比べて、導電性カーボンブラックは、高い導電性を達成するために、特定の形態および長い構造を有している。それに比べて、ここで用いられるナノサイズカーボンブラックは、熱可塑性プラスチック中に非常に容易に分散させることができ、それによって、対応する導電性が発生し得るカーボンブラックから成る連続する領域はほとんど存在しない。本発明の目的のために適する市販のカーボンブラックは、多くの商品名の下、ペレットまたは粉末を例とする多くの形態で入手可能である。従って、適切なカーボンブラックは、BLACK PEARLS(登録商標)の下、湿式加工ペレットとしてはELFTEX(登録商標)、REGAL(登録商標)、およびCSX(登録商標)の商品名の下、ならびに凝集形態(floccular form)ではMONARCH(登録商標)、ELFTEX(登録商標)、REGAL(登録商標)、およびMOGUL(登録商標)の下で入手可能であり、これらはすべてキャボット社(Cabot Corporation)製である。
【0095】
特に好ましい実施形態では、カーボンブラックの種類は、10〜30nmの粒子サイズを有し、好ましくは、1gあたり35〜138m
2(m
2/g)の表面積を有する。カーボンブラックは、処理されていても、または処理されていなくてもよく;従って、カーボンブラックは、特定のガス、シリカ、またはブチルリチウムなどの有機物質で処理されたものであってよい。そのような処理により、表面の修飾または官能化が可能となる。これにより、用いられるマトリックスとの適合性を改善することができる。
【0096】
BLACK PEARLS(登録商標)の商品名の下で市販されているカーボンブラック(CAS番号 1333‐86‐4)(粒子サイズ約17nm)が特に好ましい。
【0097】
ナノサイズカーボンブラックは、好ましくは、本発明の組成物中、0.0005重量%〜0.035重量%の濃度で用いられる。
【0098】
本発明に従う成分b)からf)として上記で開示される物質は、この状況において、明白に成分g)の一部分ではない。
【0099】
成分a)の熱可塑性ポリマーの割合を、その他の成分の割合と合計すると100重量%となる。
【0100】
本発明で好ましいと述べた実施形態は、単独で、または互いに組み合わされて存在してよい。
【0101】
好ましい実施形態では、組成物は、成分a、c、d、e、およびfから成り、さらに好ましい実施形態では、成分a〜fから成り、特に好ましい実施形態では、成分a〜gから成る。
【0102】
ポリマー成分a)は:
熱可塑性ポリマー、好ましくは、透明熱可塑性ポリマー、好ましくは、ポリカーボネート、コポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET‐シクロヘキサンジメタノールコポリマー(PETG)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの芳香族ポリエステル、環状ポリオレフィン、ポリアクリレートまたはコポリアクリレート、およびポリメタクリレートまたはコポリメタクリレート、例えば、ポリメチルまたはコポリメチルメタクリレート(PMMAなど)およびさらには、スチレンとのコポリマー、例えば、透明ポリスチレン‐アクリロニトリル(PSAN)、熱可塑性ポリウレタン、環状オレフィンをベースとするポリマー(例:TOPAS(登録商標)、チコナ(Ticona)製の市販品)、より好ましくは、ポリカーボネート、コポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、芳香族ポリエステル、もしくはポリメチルメタクリレート、または述べた成分の混合物、特に好ましくは、ポリカーボネートおよびコポリカーボネートを含み、透明熱可塑性ポリマーは、他のすべての成分と合計して100重量%となるような量で添加される。
【0103】
複数の透明熱可塑性ポリマーの混合物も、特にそれらが互いに混和性で透明混合物を与える場合に可能であり;具体的な実施形態では、ポリカーボネートとPMMAとの(より好ましくは、<2重量%のPMMAとの)またはポリエステルとの混合物が好ましい。
【0104】
この状況において、さらなる具体的な実施形態は、ポリカーボネートの量に基づいて2.0%未満、好ましくは、1.0%未満、より好ましくは、0.5%未満であり、少なくとも0.01%の量でPMMAが存在するポリカーボネートとPMMAとの混合物を含有し、ここで、PMMAは、好ましくは、<40000g/モルの分子量を有する。特に好ましい実施形態では、PMMAの割合は、ポリカーボネートの量に基づいて0.2%、特に好ましくは、0.1%であり、ここで、PMMAは、好ましくは、<40000g/モルの分子量を有する。
【0105】
別の選択肢としてのさらなる具体的な実施形態は、PMMAの量に基づいて2%未満、好ましくは、1%未満、より好ましくは、0.5%未満、なおより好ましくは、0.2%、特に好ましくは、0.1%のポリカーボネートを含むPMMAとポリカーボネートとの混合物を含有する。
【0106】
本発明のポリマー組成物の作製に適するポリカーボネートは、すべて公知のポリカーボネートである。これらは、ホモポリカーボネート、コポリカーボネート、および熱可塑性ポリエステルカーボネートである。
【0107】
好ましくは、適切なポリカーボネートは、ポリカーボネートで較正したゲル浸透クロマトグラフィで特定される平均分子量M
wとして、10000から50000、好ましくは、14000から40000、特には、16000から32000を有する。ポリカーボネートは、好ましくは、相界面プロセスまたは溶融エステル交換プロセスによって作製され、これらは、数多くの文献に記載されている。
【0108】
相界面プロセスに関して、例えば、H. Schnell, "Chemistry and Physics of Polycarbonates", Polymer Reviews, vol. 9, Interscience Publishers, New York 1964 p. 33 ff.、Polymer Reviews, vol. 10, "Condensation Polymers by Interfacial and Solution Methods", Paul W. Morgan, Interscience Publishers, New York 1965, chapter VIII, p. 325、Dres. U. Grigo, K. Kircher and P. R-Muller "Polycarbonate" in Becker/Braun, Kunststoff-Handbuch, volume 3/1, Polycarbonate, Polyacetale, Polyester, Celluloseester, Carl Hanser Verlag, Munich, Vienna 1992, pp. 118-145、および欧州特許第0517044A1号が参照され得る。
【0109】
溶融エステル交換プロセスは、例えば、Encyclopedia of Polymer Science, vol. 10 (1969)、Chemistry and Physics of Polycarbonates, Polymer Reviews, H. Schnell, vol. 9, John Wiley and Sons, Inc. (1964)、ならびにドイツ特許第B1031512号および米国特許第B6228973号の特許文献に記載されている。
【0110】
ポリカーボネートは、好ましくは、ビスフェノール化合物と炭酸化合物との、特にはホスゲンとの、または溶融エステル交換プロセスの場合は、炭酸ジフェニルもしくは炭酸ジメチルとの反応によって作製される。
【0111】
ここで、ビスフェノールAをベースとするホモポリカーボネート、ならびにビスフェノールAおよび1,1‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサンのモノマーをベースとするコポリカーボネートが特に好ましい。
【0112】
ポリカーボネート合成に用いることができるこれらのおよびさらなるビスフェノールおよびジオール化合物は、とりわけ、国際公開第2008037364A1号(p7、21行目からp10、5行目)、欧州特許第1582549A1号([0018]から[0034])、国際公開第2002026862A1号(p2、20行目からp5、14行目)、国際公開第2005113639A1号(p2、1行目からp7、20行目)に開示されている。
【0113】
ポリカーボネートは、直鎖状または分岐鎖状であってよい。分岐鎖状および非分岐鎖状のポリカーボネートの混合物を用いることも可能である。
【0114】
ポリカーボネートのための適切な分岐剤は、文献から公知であり、例えば、米国特許第B4185009号およびドイツ特許第2500092A1号(発明によると、3,3‐ビス(4‐ヒドロキシアリールオキシインドール、場合ごとに文献全体を参照されたい)、ドイツ特許第4240313A1号(p3、33行目から55行目参照)、ドイツ特許第19943642A1号(p5、25行目から34行目参照)、および米国特許第B5367044号の特許文献、ならびにそれらに引用されている文献に記載されている。
【0115】
加えて、用いられるポリカーボネートは元々分岐鎖状であってもよく、その場合、ポリカーボネートの作製の過程で分岐剤は添加されない。元々分岐鎖状である例は、欧州特許第1506249A1号で溶融ポリカーボネートについて開示されているように、フリース構造(Fries structures)である。
【0116】
さらに、ポリカーボネートの作製において連鎖停止剤が用いられてよい。連鎖停止剤としては、フェノール、クレゾールおよび4‐tert‐ブチルフェノールなどのアルキルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、クミルフェノールなどのフェノール類、またはこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0117】
好ましい実施形態では、1,1‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサンをベースとするポリカーボネートまたはコポリカーボネート(レバークーゼンのバイエルマテリアルサイエンス(Bayer MaterialScience)製APEC(登録商標))が、熱可塑性ポリマーもしくはコポリマーとして、または熱可塑性ポリマーの混合物の成分として用いられる。
【0118】
熱可塑性ポリマーの粘度は、好ましくは、MVRで、38から4、より好ましくは、20から6、特に好ましくは、14から8の範囲である。
【0119】
ポリマー成分に基づく本発明の熱可塑性ポリマー組成物は、成分b)およびb1)の本発明に従う有機着色剤または有機着色剤の組み合わせ、ならびに本発明に従う安定化剤c)、および成分d)、e)、およびf)を含有してよいだけでなく、所望に応じて、さらなる成分g)も含有してよい。そのような成分としては、例えば、IR吸収剤が挙げられる。
【0120】
本発明のポリカーボネート組成物は、所望に応じて、全ポリマー組成物中のIR吸収剤の固形分割合として算出された0.000重量%から0.015重量%、好ましくは、0.00150重量%から0.01500重量%、より好ましくは、0.00180重量%から0.01100重量%、特に好ましくは、0.00200重量%から0.00900重量%の少なくとも1つの有機または無機IR吸収剤を含有してよい。具体的な実施形態では、IR吸収剤は、好ましくは、全ポリマー組成物中のIR吸収剤の固形分割合として算出された0.00350重量%から0.00850重量%、特に好ましくは、0.00400重量%から0.00800重量%の量で用いられる。この状況において、IR吸収剤の固形分割合とは、純物質を含有する懸濁液またはその他の製剤ではなく、純物質としてのIR吸収剤を意味する。
【0121】
適切なIR吸収剤は、例えば、欧州特許第1559743A1号、欧州特許第1865027A1号、ドイツ特許第10022037A1号、ドイツ特許第10006208A1号、ならびにイタリア特許出願RM2010A000225、RM2010A000227、およびRM2010A000228に開示されている。
【0122】
引用した文献で言及されるIR吸収剤の中でも、ホウ化物およびタングステン酸塩をベースとするもの、ならびにさらにはITOおよびATO系吸収剤、ならびにこれらの組み合わせが好ましい。
【0123】
組成物は、所望に応じて、0重量%から50重量%、好ましくは、0重量%から35重量%、より好ましくは、0重量%から30重量%、特に好ましくは、10重量%から30重量%の充填剤および強化材を含有してよい。
【0124】
ポリマー組成物のための充填剤および強化材は、例えば、欧州特許第1624012A1号、ドイツ特許第3742881A1号、米国特許第6860539B2号、米国特許出願第20060105053A1号、ドイツ特許第102006055479A1号、国際公開第2005030851A1号、および国際公開第2008122359A1号に記載されている。
【0125】
本発明の組成物は、熱可塑性プラスチックにおいて一般的である加工温度、すなわち、350℃を例とする300℃超の温度での加工の過程にて安定であり、色または性能データが加工の過程で大きく変化しない。
【0126】
成分a)からh)を含有する本発明のポリマー組成物は、組み合わせ、混合、および均質化による従来の組み込み法を用いて作製され、特に均質化は、好ましくは、せん断作用下での溶融状態で行われる。組み合わせおよび混合は、所望に応じて、溶融均質化の前に、粉末プレミックスを用いて行われてよい。
【0127】
また、適切な溶媒中の混合成分の溶液から作製されたプレミックスを用いることも可能であり、均質化が、所望に応じて溶液で行われてよく、続いて溶媒が除去される。
【0128】
特に、本発明の組成物の成分は、公知の方法により、中でもマスターバッチとして導入されてよい。
【0129】
マスターバッチの使用およびさらには、粉末混合物または圧縮プレミックスの使用は、成分a)からh)の導入において特に有用である。所望される場合、上述のすべての成分がプレミックスとされてよい。しかし、別の選択肢として、着色剤b)および/またはb1)、ならびにその他のいずれの組み合わせのプレミックスも可能である。いずれの場合であっても、熱可塑性ポリマー組成物の作製におけるより良好な計量性のために、上述の成分プレミックスは、粉末状(pulverulant)ポリマー成分が最後に加えられることが好ましく、それによって、取扱いが容易である全体体積が得られる。
【0130】
特定の実施形態では、上述の成分が混合されてマスターバッチが形成されてよく、好ましくは、混合は、せん断力の作用下、溶融状態で行われる(例えば、ニーダーまたは二軸押出機による)。このプロセスは、ポリマーマトリックス中に成分がより良好に分布されるという利点を提供する。マスターバッチを作製するために、最終的な全体ポリマー組成物の主成分でもある熱可塑性ポリマーが、ポリマーマトリックスとして選択されることが好ましい。
【0131】
この状況において、組成物は、スクリュー式押出機(例えば、二軸押出機、TSE)、ニーダー、ブラベンダー(Brabender)、またはバンベリー(Banbury)ミルなどの従来の装置で組み合わされ、混合され、均質化され、続いて押出されてよい。押出し後、押出し物は、冷却され、破壊されてよい。また、個々の成分がプレミックスとされ、残りの出発物質が、続いて個々に、および/または同様に混合された形態で添加されることも可能である。
【0132】
本発明のポリマー組成物は、加工されて製品または成型品が得られてよく、例えば、上述のようにまずはポリマー組成物を押出すことでペレットが得られ、このようなペレットを適切なプロセスで公知の方法で加工して様々な製品または成型品が得られる。
【0133】
本発明の組成物は、この状況において、例えば、ホットプレス、紡糸、ブロー成型、深絞り成型、押出し、または射出成型により、製品、成型品、または造形物体へと変換されてよい。多層系の使用も興味深い。その適用は、例えば共押出しまたは多成分射出成型により、ベース体の造形と共に、または直後に行われてよい。適用はまた、例えば、フィルムによるラミネーションにより、または溶液によるコーティングにより、最終造形ベース体上に行われてよい。
【0134】
ベース層および所望に応じて存在してよい1もしくは複数のカバー層(多層系)から作られるプレートまたは成型品は、(共)押出し、直接スキニング(direct skinning)、直接コーティング、インサート成型、フィルムのバックモールディング、または当業者に公知のその他の適切な方法によって作製されてよい。
【0135】
射出成型プロセスは、当業者に公知であり、例えば、"Handbuch Spritzgiessen", Friedrich Johannnaber/Walter Michaeli, Munich; Vienna: Hanser, 2001, ISBN 3-446-15632-1または"Anleitung zum Bau von Spritzgiesswerkzeugen", Menges/Michaeli/Mohren, Munich; Vienna: Hanser, 1999, ISBN 3-446-21258-2に記載されている。
【0136】
押出しプロセスは、当業者に公知であり、例えば、共押出しについて、中でも、欧州特許第A0110221号、欧州特許第A0110238号、および欧州特許第A0716919号に記載されている。アダプターおよびダイプロセスの詳細については、Johannaber/Ast:"Kunststoff- Maschinenfuhrer", Hanser Verlag, 2000およびGesellschaft Kunststofftechnik: "Coextrudierte Folien und Platten: Zukunftsperspektiven, Anforderungen, Anlagen und Herstellung, Qualitatssicherung", VDI-Verlag, 1990を参照されたい。
【0137】
本発明の目的のために好ましい製品、成型品、または造形物体は、窓、例えば自動車の窓、鉄道車両および航空機の窓、自動車のサンルーフ、安全窓、建築物の屋根または窓、LED、車両および建築物内装用のランプカバー、屋外分野用のランプカバー、例えば街灯のカバー、バイザー、メガネ、ディスプレイまたは電気モーター用の押出しおよび溶液製膜フィルム、さらにはスキーフィルム(ski films)、交通信号機レンズであり、これらは、本発明の組成物を含有している。中実のプレート以外にも、ダブルウェブプレート(double web plates)またはマルチウェブプレート(multiweb plates)を用いることも可能である。本発明に従う製品のさらなる成分として、例えばさらなる材料成分が、本発明の組成物に加えて、本発明に従う製品中に存在することが可能である。
【0138】
特定の実施形態では、本発明の組成物から作られる物品は、コーティングされる。このコーティングは、熱可塑性プラスチック材料を、一般的な風化作用(例:太陽光による損傷)から、および表面に対する機械的損傷(例:引っ掻き)から保護する働きをし、従って、対応する備えを有する物品の安定性が向上する。
【0139】
ポリカーボネートは、様々なコーティングによって、UV放射線から保護することができることが知られている。このようなコーティングは、通常、UV吸収剤を含有する。このような層は、同様に、対応する物品の耐引っ掻き性を高める。本発明に従う物品は、単層または多層系を有していてよい。コーティングは、片面または両面に行われてよい。好ましい実施形態では、物品は、UV吸収剤を含有する耐引っ掻き性コーティングを有する。特定の実施形態では、多層品は、本発明の組成物を含有する少なくとも1つの層、少なくとも1つのUV保護層、および所望に応じて存在してよい耐引っ掻き性コーティングを有する。
【0140】
窓材料の場合、物品は、少なくとも1つの耐引っ掻き性および/または反射防止性コーティングを少なくとも片面に有する。
【実施例】
【0141】
本発明を、実施例の補助により以下で説明するが、ここで述べる特定方法は、特に断りのない限り、本発明の状況におけるすべての対応するパラメーターで用いられる。
【0142】
光透過率(Ty):
透過率測定は、ISO 13468‐2に従い、光度計積分球(photometer sphere)を有するパーキンエルマー製Lambda 900分光光度計で行った(すなわち、拡散透過率および直接透過率を測定することによって全透過率を特定する)。
【0143】
透過光の色の特定は、光度計積分球を有するパーキンエルマー製Lambda 900分光光度計を用い、ASTEM E308に記載の重み係数および式を用いてASTEM E1348に基づく方法によって行った。
【0144】
CIELAB色座標L
*、a
*、b
*の算出は、光源D65、および10°標準観測視野で行う。
【0145】
色変化:
ΔEは、ASTEM D 2244に従う知覚された色差に対する算出値である。本実験の場合、光源D65/10°を用いた。ASTM D 2244の式7を用いてΔE値の算出を行った。
【0146】
MVRとしての粘度の特定は、ISO 1033に従い、1.2kgの荷重の下、300℃で実施する。
【0147】
試験検体を作製するための材料:
成分b)
式(1)のアントラキノン系着色剤として、レバークーゼンのランクセス社製のR=t‐ブチルであるMacrolex Grun G(Solvent Green 28;CAS 28198‐05‐2)を用いる。
式(2)のアントラキノン系着色剤として、レバークーゼンのランクセス社製のR=HであるMacrolex Violet B(Solvent Violet 13;CAS 81‐48‐1)を用いる。
本発明に従うものではないアントラキノン系着色剤として、レバークーゼンのランクセス社製Macrolex Grun 5B(Solvent Green 3;CAS 128‐80‐3)を用いる。
本発明に従うものではないアントラキノン系着色剤として、レバークーゼンのランクセス社製Macrolex Violet 3R(Solvent Violet 36;CAS 61951‐89‐1)を用いる。
【0148】
成分c)
本発明に従うホスフェート系安定化剤として、トリオクチルホスフェート(TOF;トリス‐2‐エチルヘキシルホスフェート;CAS 78‐42‐2)を用いる。
本発明に従うものではない安定化剤として、トリフェニルホスフィン(TPP)(CAS 603‐35‐0)を用いる。
本発明に従うものではない安定化剤として、Irgafos PEP‐Q(CAS 119345‐01‐6)を用いる。
本発明に従うものではない安定化剤として、Irganox B900(Irgafos 168(80%)およびIrganox 1076(20%)の混合物;Irgafos 168(トリス(2,4‐ジ‐tert‐ブチルフェニル)ホスファイト;CAS 31570‐04‐4);Irganox 1076(オクタデシル3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート;を用いる。
本発明に従うものではない安定化剤として、Doverphos S 9228(ビス(2,4‐ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(CAS 154862‐43‐8))を用いる。
【0149】
ポリマー成分として、フェノールをベースとする末端基を有し、ISO 1033[PC‐A]に従って300℃、1.2kg荷重で測定したメルトボリュームレート(MVR)が9.5cm
3/10分である直鎖状ビスフェノールAポリカーボネートを用いる。このポリカーボネートは、添加剤をまったく含有していない。
【0150】
さらに、ポリマー成分として、tert‐ブチルフェノールをベースとする末端基を有し、ISO 1033に従って250℃、2.16kg荷重で測定したメルトボリュームレート(MVR)が17cm
3/10分である直鎖状ビスフェノールAポリカーボネートを用いる。このポリカーボネートは、離型剤を含有するが、熱安定化剤(バイエルマテリアルサイエンス社製Makrolon OD 2015)は含有しない。
【0151】
熱可塑性ポリマー組成物の作製および射出成型体の作製:
ペレットを、120℃にて3時間減圧乾燥した。
【0152】
コンパウンドおよび射出成型体は、DSM製のミニ押出機およびマイクロ射出成型機(DSM‐Mini Extruder Midi 2000およびDSM Research Micro Injection Molding mchine、DSM;6401 JH ヘールレン(Heerlen)(オランダ)で作製し;成型品は、円形状(丸型プレート)を有し、直径20mmおよび厚さ1.6mmである。押出しの過程での温度を以下に示す。
【0153】
【表1】
【0154】
実施例1から4の組成物を、上述の設備を用いて300℃の温度および5分間の滞留時間で加工し、円形状の射出成型体を得る(上記参照)。
【0155】
【表2】
【0156】
実施例5から16の着色剤組成物を、個々の組成物の色安定性を調べるために、より高い温度で射出成型する。実施例5から16の組成物を、上述の設備を用いて350℃の温度および5分間の滞留時間で加工し、円形状の射出成型体を得る。結果(色測定)を表4および5に示す。
【0157】
【表3】
【0158】
実施例17および18の着色剤組成物を、350℃および5分間の溶融滞留時間で射出成型する。
【0159】
デルタ‐E値は、より低い温度(300℃)で作製した安定化剤なしの配合物に基づいている。
【0160】
【表4】
【0161】
比較的高い加工温度(実施例3、300℃;実施例6、350℃)での劇的な色の変化が、安定化剤を含有していない実施例3および実施例6で見られる。
【0162】
実施例3、6、および8の比較から、加工中の色変化は、本発明のポリカーボネート組成物(実施例8)によって実質的に完全に防止することができることが分かる。比較実施例10、12、14、および16は、PCに従来から用いられる安定化剤が、着色剤の安定化にほとんどまたはまったく効果を示さないことを実証するものである。
【0163】
【表5】
【0164】
安定化剤を含有しない実施例1(300℃で加工)および実施例5(350℃で加工)から、比較的高い加工温度で劇的な色変化が発生することが分かる。本発明に従う実施例7の組成物は、色変化を大きく低減することができることを示している。対照的に、従来からポリカーボネートに用いられる安定化剤は、効果がないか、または本発明の組成物と比較して著しく効果が低い。
【0165】
【表6】
【0166】
【表7】
【0167】
驚くべきことに、着色剤Macrolex Green 5BおよびMacrolex Violet 3Rは、本発明に従う上述の着色剤と構造的に類似しているが(同様にアントラキノン系)、著しくより高い熱安定性を有することが分かる。この理由から、これらの着色剤の場合、安定化は必要ない。
【0168】
しかし、耐候安定性が不充分であることから、色安定性に関する厳しい要件(光堅牢性;耐候性)を有する対応する用途では、熱安定性着色剤Macrolex Green 5BおよびMacrolex Violet 3Rを用いることはできない。対照的に、驚くべきことには、構造的に類似する着色剤Macrolex Violet BおよびMacrolex Grun Gは、高い耐候安定性を有する。
【0169】
従って、高い加工安定性の目的および高い耐候安定性の目的は、いずれも本発明の組成物によって達成することができる。