(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように光警報は高光度の白色光(フラッシュライト)を用いるが、その発光時の周囲環境によって視認性が低下する場合がある。例えば光警報を行なう対象領域が明るい環境と暗い環境とではフラッシュライトの視認性が異なり、当該領域が明るい場合、フラッシュライトの視認性が低下する。また、例えば昼間と夜間のような時間帯によっても照明の照度が異なる場合があり、照明が明るい時間帯の場合、フラッシュライトの視認性が低下する。このように光警報の視認性が低下した場合、光警報システムの警報性能が低下する可能性が生じる。
【0006】
本発明の目的の一つは、光警報を行なう光警報システムにおいて、光警報の視認性を確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光警報システムの一態様は、火災感知器と
間接的に光警報制御装置が接続され、当該光警報制御装置から引き出された光警報回線に光警報装置が並列接続され、火災感知器の火災感知信号に基づく信号から光警報制御装置が出力する制御信号に基づいて光警報装置が光警報を行なう光警報システムであって、光警報装置が光警報を行なうことによって照明される第1領域と一部又は全てが重なる第2領域を照明する照明設備と、火災感知器と光警報制御装置の間に接続される受信装置、光警報制御装置及び光警報装置の少なくともいずれか1つから送信される制御信号と連動する連動移報信号に基づいて照明設備の調光制御を行なう照明設備管理部と、を備える。火災を感知した火災感知器が設置されている場所と同じ場所に設置されている光警報装置が光警報を行う。照明設備管理部は、火災感知信号に基づく連動移報信号に基づいて、火災を感知した火災感知器が設置されている場所と同じ場所に設置されている照明設備の調光制御を行なう。照明設備管理部は、第2領域に隣接する領域を照明する照明設備の照明の明るさを、第2領域を照明する照明設備の照明の明るさよりも明るくする。
【0008】
このように構成されているため、光警報システムが光警報を行なう場合、照明設備管理部は、光警報を行なうことによって照明される第1領域と一部又は全ての領域が重なる第2領域を照明する照明設備を調光制御することができる。したがって、例えば、照明設備管理部が照明設備を通常時の明るさより暗くすることにより、光警報の視認性を確保することができるようになる。このため、例えば光警報を行なう環境及び時間帯によって、光警報を視認できないという事態を回避することができる。
【0009】
また、光警報システムにおいて、所定の管理領域内に
複数の光警報装置及び1以上の照明設備を設け、受信装置が
複数の光警報装置を制御信号に基づいて同期制御し、照明設備管理部が連動移報信号に基づいて1以上の照明設備を調光制御するようにしても良い。
【0010】
このようにすると、所定の管理領域内の全ての光警報装置の光警報及び全ての照明設備の調光制御を同期させることができる。このため、当該所定の管理領域内のいずれの場所においても光警報の視認性を確保することができる。
【0011】
更に、光警報システムにおいて、所定の管理領域と隣接する隣接管理領域内に1以上の照明設備を設け、照明設備管理部が連動移報信号に基づいて隣接管理領域内の1以上の照明設備を調光制御するようにしても良い。
【0012】
このようにすると、照明設備管理部は隣接管理領域内に含まれる1以上の照明設備を任意に調光することができる。このため、例えば上記のように管理領域内の照明を暗く調光した場合に、当該管理領域と隣接する隣接管理領域内の照明を明るく調光することができる。したがって、例えば、災害が発生した管理領域から隣接管理領域へ避難する場合に、当該隣接管理領域が暗くて見えないという状況を回避することができる。また、これらの領域間の明るさの差を利用して管理領域内の人に避難方向を示すことが可能になると共に、当該隣接管理領域内の環境が確認し易くなり、当該隣接管理領域から更に安全な方向に迅速に避難することも可能になる。
【0013】
更に、光警報装置は、制御信号に基づいて発光する発光部と、当該発光部の発光により光を照射して光警報を行う領域の照度を測定する照度測定装置と、照度測定装置が測定する照度に基づいて発光部の発光光度を制御する制御部と、を備えるようにすることができる。
【0014】
このようにすると、例えば、光警報領域に煙等が発生し、光警報が視認し難い状況になっても、光警報の光度を上げることによって、光警報の視認性を確保することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によると、光警報を行なう光警報システムにおいて、例えば光警報を行なう環境及び時間帯によらず光警報の視認性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態では、ブザー等の音響により警報を行なう警報システムに光警報を行なう構成を追加した光警報システムに、本発明を適用した場合を説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は光警報システム1の構成を示す図である。
図1に例示する光警報システム1では、受信装置50から引き出された災害感知回線DLに災害感知器10が並列接続されており、当該災害感知回線DLの終端には終端抵抗(又は終端器)2が接続されている。災害感知器10で感知する災害としては火災、ガス漏れ等があるが、これらに限定されない。また、受信装置50から引き出されたベル回線BLにベル20が並列接続され、ベル回線BLの終端には光警報制御装置30が接続されている。光警報制御装置30からは、光警報回線KLが引き出されており、当該光警報回線KLに光警報装置40が並列接続され、光警報回線KLの終端には終端抵抗(又は終端器)3が接続されている。また、受信装置50は、照明設備管理部60及び総合監視盤4と通信可能に接続されている。照明設備管理部60は、上記の受信装置50に加え、照明設備70、光警報制御装置30及び光警報装置40と通信可能に接続されている。
【0019】
なお、
図1においては、図示及び説明を簡略化するため、災害感知器10、ベル20及び光警報装置40はそれぞれ1つしか図示していないが、これに限られず適宜複数接続される構成でも良い。また、同様に、受信装置50及び光警報制御装置30から引き出される災害感知回線DL及び光警報回線KLはそれぞれ1つしか図示していないが、適宜複数引き出される構成でも良い。更に、同様に照明設備70は1つしか図示していないが、照明設備管理部60には、複数の照明設備70が接続される構成でも良い。
【0020】
ここで、災害感知器10、ベル20、光警報装置40及び照明設備70は設置される場所に応じていずれかの管理領域に属しており、受信装置50は、管理領域毎に災害感知、ベル制御、光警報制御、照明制御等ができるように構成される。管理領域は、例えば、建物内の部屋、廊下、ロビー等の各領域を管理するために設定される領域である。また、光警報装置40が光警報を行なことによって照明される光警報領域(第1領域)と、照明設備70に照明される照明領域(第2領域)とは、管理領域内に設置される光警報装置40及び照明設備70の場所に応じて、一部又は全部が重なる。
【0021】
受信装置50は、電源回路51、災害感知回路52、CPU53、ベル制御回路54及び外部移報回路55を有している。電源回路51は、図示しない外部電源からの電源を変圧、整流等して災害感知回路52、CPU53、ベル制御回路54及び外部移報回路55に電源を供給する。CPU53は、災害感知回路52から受信する災害感知信号に基づいて、当該災害感知信号を外部移報回路55へ出力すると共に、ベル制御回路54へベル20の制御信号を出力する。
【0022】
災害感知回路52は、災害感知回線DLを介して、災害感知器10から出力される災害感知信号を受信する。また、災害感知回路52は、災害感知信号を受信した場合、当該災害感知信号あるいはこれに基づく信号をCPU53へ送信する。なお、災害感知器10が災害を感知した場合に、災害感知回路52が災害感知信号を検知し、CPU53へ送信する構成は従来同様とすることができる。また、災害感知回路52は、従来同様にして災害感知回線DLの断線や短絡等の接続障害を監視する。
【0023】
ベル制御回路54は、ベル回線BLを介してベル20の断線や短絡等の接続障害を監視する。また、ベル制御回路54は、CPU53からベル20の制御信号を受信した場合、ベル20を鳴動させるためにベル回線BLに印加する電圧の極性を反転(転極)する。これにより、ベル回線BLに並列接続されるベル20は、鳴動を開始する。なお、ベル制御回路54がベル20の接続障害を監視する構成及びベル20を鳴動させる構成については、従来同様とすることができる。
【0024】
外部移報回路55は、災害感知信号に基づきCPU53から送信される信号に基づいて、照明設備管理部60及び総合監視盤4へ信号を出力する。外部移報回路55は、例えば、CPU53から災害感知信号を受信した場合、総合監視盤4へ当該災害感知信号を出力する。
【0025】
総合監視盤4は、外部移報回路55から出力される、例えば災害感知信号に基づいて、必要な処理を行なう。総合監視盤4は、例えば所定の管理領域で災害を感知した旨の報告
を光警報システム1の管理会社へ送信することができる。
【0026】
照明設備管理部60は、1以上の照明設備70の照明の調光を制御する。また、照明設備管理部60は、例えば上記の管理領域内に複数の照明設備70が含まれている場合、当該管理領域内の複数の照明設備70の調光制御を同期して行なう。
【0027】
次に、光警報制御装置30、光警報装置40、及び照明設備管理部60の構成について
図2乃至
図5を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
先ず、光警報制御装置30の構成について
図2を参照して説明する。光警報制御装置30は、電源部31、電圧制御部32、同期パルス出力部33及び移報出力部34−1〜34−P(P:自然数)を有している。
【0029】
電源部31は、AC電源又は電池電源、又は(ベル回線BLを介し)受信装置50から電源の供給を受け、電圧制御部32、同期パルス出力部33及び移報出力部34−1〜34−Pへ電源を供給する。電圧制御部32は、ベル回線BLから制御信号が入力された場合、当該制御信号を同期パルス出力部33及び移報出力部341〜34Pへ出力する。同期パルス出力部33は、入力された制御信号と同期する制御信号(光警報制御信号)を光警報装置40へ出力する。移報出力部34−1〜34−Pは、例えば上記の管理領域に対応して設けられており、予め関連づけられた他設備等の出力先へ種々の信号を出力する。例えば、移報出力部34−1〜34−Pは、光警報装置40の光警報制御と照明設備70の調光制御とを連動させるための連動移報信号を、照明設備管理部60の当該管理領域に関連づけられた(割り当てられた)移報入力部63(後述する。)へ出力する。また、本実施の形態においては、移報出力部34−1〜34−Pは、管理領域と隣接する隣接管理領域と関連づけられる移報入力部63にも連動移報信号を出力する。
【0030】
連動移報信号は、
図3に示すように、光警報制御装置30から出力される光警報を発光させる光警報制御信号(
図3(a)参照)と連動して出力される連続出力信号(
図3(b)参照:パラレル)であり、又は、光警報制御信号(
図3(a)参照)の立ち上がり、及び立下りのタイミングを示す通信出力信号(
図3(c)参照:シリアル)などである。
【0031】
図4は、光警報装置40の構成を示す図である。
図4に示すように、光警報装置40は、電源部41、制御部42、発光部43及び移報出力部44−1〜44−Q(Q:自然数)を有している。
【0032】
電源部41は、光警報制御装置30などから制御信号が入力される。また、電源部41は、AC電源、電池電源、又は光制御装置30などからの制御信号による電源の供給を受け、制御部42、発光部43及び移報出力部44−1〜44−Qにそれぞれ電源を供給する。制御部42は、光警報制御装置30から入力される光警報制御信号を受信した場合、当該制御信号に基づいて発光部43の発光を制御する。発光部43は、制御部42から入力される光警報制御信号に基づいて、光警報(フラッシュライト:発光部の発光)を行なう。移報出力部44−1〜44−Qは、例えば上記の管理領域に対応して設けられており、予め関連づけられた(割り当てられた)他設備等の出力先へ種々の信号を出力する。例えば、移報出力部441〜44Qは、上記の連動移報信号を光警報制御装置30と共に、又はこれに代えて照明設備管理部60へ出力するように構成しても良い。
【0033】
次に、照明設備管理部60の構成について
図5を参照して説明する。照明設備管理部60は、電源部61、制御部62、及び移報入力部63−1〜63−R(R:自然数)を有している。
【0034】
電源部61は、AC電源又は電池電源から電源の供給を受け、制御部62、移報入力部63−1〜63−Rへ電源を供給する。移報入力部63−1〜63−Rは、外部から種々の信号が入力される。例えば、移報入力部63−1〜63−Rは、上記の光警報制御装置30の移報出力部34−1〜34−Pと関連づけられており、報出力部34−1〜34−Pからの連動移報信号は、それぞれ関連づけ(割り当て)に従って移報入力部34−1〜34−Pへ入力される。制御部62は、移報入力部63−1〜63−Rに入力される連動移報信号に基づいて、管理領域M1〜MS(S:自然数)毎に設けられた各1以上の照明設備70の調光制御を行なう。例えば管理領域M1〜MS内それぞれに設置される1以上の照明設備70は制御部62から引き出される同一の制御線によって接続されており、制御部62は、当該制御線を介して同一管理領域内の照明設備70を同期して調光制御できる。
【0035】
照明設備70の調光レベルは、例えば、
図6に示すように、通常の照明を行なう調光レベルからn段階(n:自然数)に明るくなるように、また、m段階(m:自然数)に暗くなるように調整可能になっている。なお、n段階、m段階という調光レベルの段階数の設定は任意に設定可能であり、また、調光レベルは、m段階、n段階のように段階的な設定にしなくても、例えば図示の曲線Xのように、無段階に(アナログ的に)切り替えるように構成しても良い。
【0036】
次に、
図7を用いて制御部62が実行する調光制御の調光パターンについて説明する。なお、図示における白抜多角形は、光警報装置40が光警報を行なっていることを示して
いる。光警報装置40による光警報が終了した場合、例えば制御部62は照明設備70が通常の照度となるように制御する。なお、調光パターンは、以下の
図7(a)から
図7(e)に示す調光パターンに限るものではない。
【0037】
図7(a)は、光警報装置40が光警報を開始してから終了するまでの間、制御部62が照明設備70の照明照度を変更(通常の照度より暗く又は明るく)する調光パターンを示す。制御部62は、例えば光警報制御装置30から受信する連動移報入力ON信号S11及び連動移報入力OFF信号S12に基づいて当該調光制御を行なう。
【0038】
図7(b)は、光警報装置40が光警報を開始してから所定時間だけ、制御部62が照明設備70の照明照度を変更する調光パターンを示す。制御部62は、例えば、連動移報入力ON信号S13を受信した場合に照度の変更を開始し、当該開始から所定時間経過後に自動的に照度の変更を終了する。なお、自動的に照度の変更を終了する構成に代えて、図示のように、所定時間経過後に連動移報入力OFF信号S14を受信した場合に照度の変更を終了するように構成しても良い。また、
図7(c)は、上記
図7(a)又は(b)の制御を繰り返す調光パターンを示す。
【0039】
図7(d)は、予め設定されたタイムテーブルに基づいて制御部62が照明設備70の照度を変更する調光パターンを示す。例えば、連動移報入力ON信号S15を受信した場合、制御部62が照度の変更を開始し、照度を通常から暗く(又は明るく)する。そして、第1時間帯(例えば昼間)から第2時間帯(例えば夜間)に切り替わるタイミングになったとき、再度、制御部62が照度を明るく(又は暗く)する。その後、所定の時間帯に移行した場合に、照明設備70の照明は通常へ戻される。なお、制御部62が照度を変更するタイミングは、時間帯に基づくものに限られず、照明設備管理部60と管理領域毎に設置される照度測定装置(図示省略)とを直接あるいは間接的に接続し、当該照度測定装置の測定照度が所定の値に変化したタイミングで照度の変更を行なうようにしても良い。
【0040】
図7(e)は、初期状態で照明が消灯していた場合に制御部62が照明設備70の照度を変更する調光パターンを示す。例えば、連動移報入力ON信号S16を受信した場合、制御部62が照明設備70の照明を通常照度でONしてその後照明照度を通常に維持するかあるいは変更(暗く又は明るく)するように調光する。なお、この照度を暗く又は明るくした場合、所定時間経過後に照明設備70の照度を通常に戻すようにしても良い。
【0041】
次に、光警報装置40の光警報制御と照明設備70の照明制御との連動制御について説明する。
図8及び
図9は、それぞれ連動制御の一例を示すフローチャートであり、当該制御は、受信装置50のCPU53が災害感知回線DLから災害感知信号を受信し、これに基づきCPU53がベル制御回路54に信号を送信し、これを受信したベル制御回路54がベル回線BLにベル20を鳴動させる制御信号を出力した場合に開始される。
【0042】
ベル制御回路54がベル回線BLに対してベル20の鳴動の制御信号を出力した場合、これを受けた光警報制御装置30から光警報回線KLへベル20を鳴動させる制御信号の
同期パルス(光警報制御信号)が出力される。この同期パルスに基づいて、光警報回線KLに接続される光警報装置40は光警報を開始する(ST101)。
【0043】
光警報装置40が光警報を開始した場合、連動移報信号が、例えば移報出力部34−1から照明設備管理部60の移報入力部63−1へ送信される。ここで、例えば、移報出力部34−1と移報入力部63−1とは同一管理領域の制御を行なうように対応付けられている。このため照明設備管理部60は、移報入力部63−1に対応する管理領域内の照明設備70(照明設備M1〜MSのうち移報入力部63−1に対応するもの)の照明調光制御を当該連動移報信号に基づいて開始する(ST102)。これにより、当該管理領域内において、光警報の光警報制御と照明設備の照明調光制御が連動して行なわれる。
【0044】
このように連動制御を開始した後、CPU53は、光警報復旧条件を満たしたか否かを判定する(ST103)。この判定は、例えば光警報システム1を警報状態から通常状態に戻すために受信装置50に設けられる復旧ボタン(図示省略)が押下されたか否かに基づいて行なわれる。光警報復旧条件を満たしてないと判定した場合(ST103:NO)、CPU53は当該判定を行なう状態を継続する。
【0045】
一方、光警報復旧条件を満たしたと判定した場合(ST103:YES)、CPU53(ベル制御回路54)はベル20の鳴動制御を停止する。これにより、ベル20の鳴動が
停止すると共に当該ベル20と連動制御されている光警報が停止する(ST104)。
【0046】
また、ベル20の鳴動制御の停止により光警報装制御置30は照明設備管理部60への連動移報信号の出力を停止する。このため照明設備管理部60は、連動移報信号に基づいて調光制御していた照明設備70の照明を初期の状態、例えば通常照度に変更する(ST105)。これにより、照明設備70の調光制御が終了する。
【0047】
なお、
図8における処理の順序を異ならせることも可能である。例えば、
図9のフローチャートに示すように、光警報開始(ST101)及び照明設備通調光開始(ST102)の処理を入れ替え、照明設備調光開始(ST201)、光警報開始(ST202)とし、光警報停止(S104)及び照明設備通常照度(S105)の処理を入れ替え、照明設備通常照度(ST204)、光警報停止(ST205)としても良い。
【0048】
次に、
図10に例示する光警報システム1の設置例を参照して連動制御の作用を説明する。
図10に示すように、部屋Rは、部屋Rの一角を占有する小部屋(管理領域)R1と、小部屋R1に隣接する大部屋(隣接管理領域)R2とに区切られており、出入口Dを介して互いの部屋へ出入り可能になっている。なお、
図10においては、上記の連動制御に着目した構成以外については図示を省略している。
【0049】
受信装置50から災害感知回線DL1が部屋R1内へ引き出されており、災害感知回線DL2が部屋R2内へ引き出されている。災害感知回線DL1及びDL2には、それぞれ災害感知器10が複数並列接続されている。また、光警報制御装置30から光警御回線KL1が部屋R1へ引き出されており、光警報回線KL2が部屋R2へ引き出されている。光警報回線KL1及びKL2には、それぞれ光警報装置40が複数並列接続されている。更に、照明設備管理部60から照明設備70の照明をON/OFFあるいは調光(以下、総称して「調光」という)する制御線L1が部屋R1へ、制御線L2が部屋R2へ引き出されている。制御線L1及びL2には、それぞれ1又は複数の照明設備70が接続されている。なお、複数の災害感知器10、複数の光警報装置40及び複数の照明設備70は、例えば、
図10に示す位置と対応する小部屋R1、大部屋R2の天井面又は壁面に設置される。また、各光警報装置40の光警報領域と各照明設備70の照明領域とは一部又は全部が重なっている。つまり、管理領域R1と、小部屋R1に設けた照明設備の照明領域は、相互に一部又は全部が重複している。そして、隣接管理領域R2と、大部屋R2に設けた照明設備の照明領域は、相互に一部又は全部が重複している。
【0050】
さて、上記のように構成される光警報システム1において、小部屋R1内の災害感知器10(例えば、小部屋R1内の図示右上の斜線を施した災害感知器)が火災等の災害を検知した場合、受信装置50は災害感知回線DL1を介して災害感知信号を受信する。すると、受信装置50は、ベル回線BL(図示省略)及び光警報制御装置30を介して光警報回線KL1に接続される光警報装置40へ、ベル20の制御信号と連動する光警報制御信号を出力する。これにより、小部屋R1内の光警報装置70は、光警報を開始する。一方、光警報制御装置30の移報出力部34−1からは、光警報制御信号と連動する連動移報信号が照明設備管理部60の、対応する移報入力部64−1へ出力される。ここで、当該移報出力部34−1と当該移報入力部64−1とは、予め1対1に対応して関連づけられている。そして、両者は同一の管理領域に対応して設定されている。このため、照明設備管理部60は、小部屋R1内の照明設備70の照明を例えば暗く調光することができる。このように災害が感知された小部屋R1内の照明設備70の照明が光警報装置40の光警報の視認性が高くなるように調光制御される。
【0051】
また、受信装置50が災害感知回線DL1から災害感知信号を受信した場合、例えば光警報制御装置30は移報出力部64−2を介して照明設備管理部60へ連動移報信号を出力する。ここで、移報出力部64−2は、小部屋R1と隣接する大部屋R2と対応しており、照明設備管理部60は、当該連動移報信号に基づいて大部屋R2の照明設備70の照明を調光制御する。例えば大部屋R2内の照明設備70が消灯していた場合、照明設備管理部60は通常の明るさになるように当該照明設備70の照明を調光する。これにより、災害発生時に小部屋R1内の人が出入口Dを介して大部屋R2に移動し易くなる。
【0052】
以上のように光警報システム1は、災害感知回線DLから出力される災害発生信号に基づいて受信装置50が、この災害感知回線DLに対応する光警報回線KLについて光警報装置40の光警報制御を行なう。この場合、照明設備管理部60は、光警報制御装置30から光警報制御信号と連動する連動移報信号を受信し、当該受信した連動移報信号に基づいて、光警報の光警報領域と一部又は全ての領域が重なる照明領域を照明する照明設備70の照明に対し調光制御を行なうことができる。例えば、照明設備管理部60が照明設備70の照明を通常時の明るさより暗くなるように調光制御することにより、光警報の視認性を確保することができる。このため、光警報を行なう環境及び時間帯によって、光警報の視認性が低下するといった事態を回避することができる。
【0053】
また、小部屋R1内の災害感知器10の災害感知に基づいて受信装置50が小部屋R1内の光警報装置40の光警報制御を行なう場合、連動移報信号に基づいて小部屋R1内の照明設備70の照明の調光制御が当該光警報装置40の光警報制御と同期される。このため、例えば、小部屋R1内のいずれの場所でも、光警報の視認性を確保することができる。
【0054】
更に、上記の光警報制御を行なう場合、照明設備管理部60は、連動移報信号に基づいて、大部屋R2内の照明設備70を、例えば明るく調光する。このため、災害が発生した小部屋R1からそれに隣接する大部屋R2へ、あるいは大部屋R2を通ってその外側へ避難する場合に、当該大部屋R2が暗くて避難路や避難場所が見え難いという状況を回避することができる。また、小部屋R1及び大部屋R2間の明るさの差を利用して部屋R1内の人に避難方向をより明確かつ効果的に示すことも可能になると共に、大部屋R2内が明るくなるため当該部屋内の環境を確認し易くなり、大部屋R2から更に安全な方向に迅速に避難することも可能になる。
【0055】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、光警報装置40が光警報の発光光度を制御するようになっている点が既述の第1の実施形態と異なっている。したがって、以下では、この点について詳細に説明する。なお、先に説明した第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、同一の構成についての詳細な説明は省略する。
【0056】
図11は、本第2の実施の形態における光警報装置40の構成を示す図である。
図11に示すように、本実施形態の光警報装置40は、照度測定部45と発光パターン記録部46とを有しており、これらが制御部42と接続されている点が
図4における光警報装置40と異なっている。照度測定部45は特許請求の範囲の照度測定装置に相当し、光警報装置40の光警報を行う領域の照度を測定する。発光パターン記録部46は、光警報を行なう光度(発光部の発光光度)の異なる複数の発光パターンを記憶する。制御部42は、照度測定部45の測定した照度に基づいて、発光パターン記録部46に記憶される発光パターンの1つを選択して、これに基づく光警報を行なう。制御部42の発光パターンの選択方法は、例えば、ある照度に対してはある光度の発光パターンというように一対一で発光パターンを選択する方法、又は、ある照度に対しては一定の光度以上の発光パターンから1つの発光パターンを任意に選択する方法等が考えられるが、これらに限るものではない。
【0057】
以上のように、本第2の実施の形態の光警報装置40は光警報発光照射領域の照度を測定する照度測定部45を備えており、そして、制御部42は照度測定部45で測定した照度に基づいて発光部43で発光する光の光度を変更することができるため、よりきめ細かく光警報の視認性を確保することができる。なお、光度の変更は、例えば光警報開始前に行なうか、又は照明設備70の照明を明るく調光制御する場合は、当該光警報開始前に加え、当該光警報前の照度(以下、「第1照度」という)と所定時間毎の照度(以下、「第2照度」という)とを比較し、第2照度から第1照度を引いた照度差が所定値以上でなくなった場合に行なうようにする。例えば所定時間毎に照度を比較する場合、煙等が発生して光警報が視認できなくなる可能性がある場合に、明設備70の照明の調光制御の状態に拘わらず光警報の光度を上げて視認性を確保することができるようになる。
【0058】
なお、上記各実施の形態では、光警報制御装置30は、受信装置50から引き出されるベル回線BLの終端に光警報制御装置30が接続される、つまり、光警報回線KLが受信装置50と間接的に接続される場合について説明したが、これに限るものではなく、受信装置50から光警報回線KLを直接引き出して構成しても良い。
【0059】
また、上記各実施の形態では、照明設備管理部60に入力される連動移報信号は、光警報制御装置30又は光警報装置40から出力される場合について説明したが、これに限らず、例えば受信装置50の外部移報回路55から出力されるように構成しても良い。つまり、連動移報信号は、光警報制御装置30、光警報装置40及び受信装置50の少なくともいずれか1つから照明設備管理部60に入力されるように構成すれば良い。
【0060】
(変形例)
次に上記各実施の形態の変形例について説明する。この変形例は、連動移報信号が光警報装置40それぞれから照明設備管理部60へ出力されるように構成した場合である。また、各光警報装置40の光警報領域と照明設備70の照明領域とは、
図12から
図14に示すように、一部又は全てが重なるように構成されており、各管理領域内の光警報装置40は連動して光警報を行なうように構成される。
図12から
図14は、光警報装置40が照明設備70を連動制御する3つのパターンを示しており、当該3つのパターンは1台の光警報装置40が1台の照明設備70を連動制御するパターン(
図12参照)、1台の光警報装置40が複数台の照明設備70を連動制御するパターン(
図13参照)、及び複数台の光警報装置40が1台の照明設備70を連動制御するパターン(
図14参照)である。
図12から
図14に示すように、光警報装置40(40a〜40c)が同期して光警報を行なうと共に光警報装置40からの連動移報信号によって照明設備管理部60が照明設備70(70a及び70b)を調光制御することにより管理領域内の全て光警報装置40及び照明設備70を連動制御できるようになっている。
【0061】
ここで、光警報装置40による連動制御の一例について説明する。例えば、
図15に示すように、照明設備70a〜70eのうち例えば、照明設備70a〜70cは管理領域M1に、照明設備70d,70eは管理領域M1に隣接する隣接管理領域M2に設置されることとする。なお、
図15において、「白丸」は、照明設備70の照明を通常より明るく制御する状態を示し、「黒丸」は照明設備70を通常より暗く制御する状態を示している。
【0062】
図15(a)は、管理領域M1が警報領域(災害が発生した管理領域)であるときに、連動移報信号S1からS3に基づいて当該管理領域M1の照明設備70a〜70cを連動
制御する場合を示している。連動移報信号S1からS3それぞれが対応する移報入力部63に入力されると、制御部62は、照明設備70a,70bを暗く調光すると共に照明設備70cを明るくする。これにより、管理領域M1の照明設備70a〜70cを連動制御できる。なお、照明設備70cを明るく調光するのは、例えば出入口近傍(又は避難方向)を災害発生時に管理領域M1内の人に示すためである。
【0063】
また
図15(b)は、管理領域がM1であるときに、入力される連動移報信号S4に基づいて当該管理領域M1及び隣接管理領域M2の照明設備70a〜70eを連動制御する場合を示している。連動移報信号S4が対応する移報入力部に入力されると、制御部62は、照明設備70a,70bを暗く調光すると共に照明設備70cの照明を明るく調光し、更に、照明設備70d,70eの照明を明るく調光する。
【0064】
この変形例のように構成した場合においても、上記第1及び第2の実施の形態と同様な効果を奏することができる。なお、連動移報信号と各照明設備70の照明との対応関係及び調光制御の設定は、
図15の例に限るものでなく、任意に設定可能である。