(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458026
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】燃料電池排熱による発電システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20190110BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20190110BHJP
F01K 23/06 20060101ALI20190110BHJP
F01K 23/10 20060101ALI20190110BHJP
F01K 25/10 20060101ALI20190110BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20190110BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04858
H01M8/04 N
F01K23/06 Z
F01K23/10 Z
F01K25/10 W
!H01M8/12
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-526716(P2016-526716)
(86)(22)【出願日】2014年7月14日
(65)【公表番号】特表2016-525774(P2016-525774A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】IB2014001320
(87)【国際公開番号】WO2015008131
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年5月9日
(31)【優先権主張番号】61/846,240
(32)【優先日】2013年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507347831
【氏名又は名称】オルマット テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】シナ、 エラド
(72)【発明者】
【氏名】ネット、 カール
【審査官】
大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/100490(WO,A1)
【文献】
特開2000−123851(JP,A)
【文献】
特開2005−43046(JP,A)
【文献】
特開平11−46460(JP,A)
【文献】
特表2008−506819(JP,A)
【文献】
特開2012−82750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00−8/2495
F01K 23/06,23/10,25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池排熱による発電システムであって、
発電及び排熱生成のための少なくとも一つの燃料電池モジュール(FCM)と、
発電するべく駆動流体が循環するボトミングサイクル電力ブロック(BCPB)と、
前記少なくとも一つのFCMの排出ガスからの熱を、前記BCPBの駆動流体へと伝達することによって、前記少なくとも一つのFCM及び前記BCPBから所望のコンバインド電力レベルをもたらす排熱熱伝達ユニット(WHHTU)と
を含み、
前記少なくとも一つのFCMは、前記少なくとも一つのFCMの劣化に応答して前記排出ガスを分流するように構成された分流器と前記BCPBの電力レベルを変更する制御器とを含む発電システム。
【請求項2】
前記制御器は、前記少なくとも一つのFCMにおいて検出された熱データが、予め決められたしきい値を上回って増加した値を示す場合、前記BCPBの電力レベルを増加させる制御信号を流量制御コンポーネントへと送信するべく動作可能である請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記少なくとも一つのFCMの劣化に応答して前記排出ガスにおける熱の増加が存在する請求項1に記載の発電システム。
【請求項4】
前記排出ガスにおける熱の増加は前記BCPBの電力出力の増加を自動的にもたらす請求項3に記載の発電システム。
【請求項5】
前記排出ガスにおける熱の増加は前記BCPBの電力出力の増加をもたらし、
前記電力出力の増加はオペレータによって誘導される請求項3に記載の発電システム。
【請求項6】
前記BCPBは、少なくとも気化器及びタービンを含む有機ランキンサイクル(ORC)電力ブロックである請求項1に記載の発電システム。
【請求項7】
前記BCPBは蒸気ランキンサイクル電力ブロックである請求項1に記載の発電システム。
【請求項8】
前記熱データは温度データ又は熱流束データである請求項2に記載の発電システム。
【請求項9】
前記WHHTUは、前記排出ガスからの熱を前記BCPBの駆動流体へと伝達する熱伝達媒体を含む請求項1に記載の発電システム。
【請求項10】
前記WHHTUの熱伝達媒体の流量、及びBCPB蒸気タービンへと供給される有機駆動流体蒸気の流量が、前記少なくとも一つのFCM及び前記BCPBからの予め決められたコンバインド又は総電力レベルをもたらすべく、前記排出ガスにおける熱の増加に応答して調整される請求項1に記載の発電システム。
【請求項11】
前記流量制御コンポーネントは、前記BCPBに設けられたバイパス弁である請求項2に記載の発電システム。
【請求項12】
前記WHHTUは閉ループ導管ユニットを含み、
前記閉ループ導管ユニットを通って前記熱伝達媒体が、前記BCPBの駆動流体に気化を引き起こす気化器へと流れ、その後、熱が枯渇した熱伝達媒体が、気化される前に前記BCPBの駆動流体の熱容量を増加させる予熱器へと流れる請求項9に記載の発電システム。
【請求項13】
前記WHHTUは、前記排出ガスによって前記BCPBの駆動流体を直接加熱するべく適合される請求項1に記載の発電システム。
【請求項14】
気化器及びタービンを有するコンバインド燃料電池ランキンサイクル電力プラントの出力電力を制御する方法であって、
燃料電池の排出ガスからの熱をランキンサイクル電力ブロックの駆動流体へと伝達するステップと、
伝達された前記熱の量を、電力プラント関連流量制御コンポーネントと前記燃料電池の排出ラインに配置された分流器との制御動作により制御し、ひいては前記ランキンサイクル電力ブロックのタービンへと供給される駆動流体蒸気の量を制御することにより、前記コンバインド燃料電池ランキンサイクル電力プラントの電力出力の経時的な劣化又は低減の割合を低減又は遅延させるステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記供給される駆動流体蒸気の量が、前記排出ガスの熱容量に関連するバイパス弁によって制御される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記流量制御コンポーネントに制御信号を送信するべく動作可能である前記制御器は、分流器弁を含む前記分流器が前記排出ガスの少なくとも一部分をバイパス煙突へと分流するように、前記分流器への制御信号を送信する請求項2に記載の発電システム。
【請求項17】
前記流量制御コンポーネントは、前記WHHTUに設けられたポンプである請求項2に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力プラントの分野に関する。詳しくは、本発明は、燃料電池排熱による発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電気化学的反応から直接発電するとともに、機械的又は回転機械類の排除ゆえに熱機関よりも高効率である。大抵の燃料電池の電気エネルギー変換効率は相対的に高く、燃料の真発熱量(LHV)に基づけば、サイズ及び負荷とは無関係に40〜60パーセントの範囲にわたる。
【0003】
固体酸化物燃料電池(SOFC)及び溶融炭酸塩燃料電池(MCFC)のような高温燃料電池(HTFC)は、その固有の効率及び低排出ガス潜在性ゆえに、数十年にわたり精力的な研究の対象となっている。
【0004】
燃料電池は、その高いエネルギー変換効率にもかかわらず、いくつかの有意な欠点に関係する。
【0005】
第一に、燃料電池システムの、電気に変換されない残留エネルギー量は50%のオーダーの高いレベルにあるが、これが燃料電池冷却システム及び排出ガス熱による排熱として失われる。燃料電池排熱の一部が利用できるようになれば、電力生産システムのエネルギー効率は有意に増加するだろう。
【0006】
第二に、高い資本コストを必要とする燃料電池は、高温と、アノード及びカソードの腐食をもたらす許容される電解質タイプとに起因して、寿命が相対的に短く、一般には2〜5年の範囲である。すなわち、MCFC及びSOFCの効率は経時的に低下し、その電力出力も低下し、当該燃料電池からの排熱が増加する。このような燃料電池の劣化及び貧弱な収益性の結果、商業的な寿命が限られる。燃料電池のリサイクルが望まれる場合、追加の支出が必要となる。したがって、発電用の燃料電池の使用は、今日に至るまでかなり制限されてきた。
【0007】
先行技術には、劣化した燃料電池から発電するための、いくつかの試みが存在する。すなわち、(a)それぞれが低電力出力定格を有する複数の燃料電池のアレイの使用し、負荷が低減される期間中にその一つを不作動にすること、(b)寄生負荷の積層体を使用して電力を調整すること、及び(c)燃料電池を流れる燃料及び酸素/空気の流れを制御することである。
【0008】
本発明の目的は、一般に通常の寿命を超える期間にわたり燃料電池を有効利用可能な、ハイブリッド燃料電池系電力プラントを与えることにある。
【0009】
本発明の付加的な目的は、ハイブリッド燃料電池系電力プラントの電力の出力及び効率をさらに増加させることにある。
【0010】
本発明の付加的な目的は、電力プラントにおける付加的電力のために燃料電池の排熱を有効利用することにある。
【0011】
説明が進むにつれて、本発明の他の目的及び利点が明らかとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0218385(A1)号明細書
【発明の概要】
【0013】
本発明は、燃料電池排熱による発電システムであって、発電及び排熱生成のための少なくとも一つの燃料電池モジュール(FCM)と、駆動流体が循環して発電するボトミングサイクル電力ブロック(BCPB)と、当該少なくとも一つのFCMの排出ガスからの熱を当該BCPBの駆動流体へと伝達することにより当該少なくとも一つのFCM及び当該BCPBから所望のコンバインド電力レベルを生成する排熱熱伝達ユニット(WHHTU)とを含む発電システムを与える。
【0014】
本発明はまた、気化器及びタービンを有するコンバインド燃料電池ランキンサイクル電力プラントの出力電力を制御する方法であって、当該燃料電池の排出ガスからの熱をランキンサイクル電力ブロックの駆動流体へと伝達するステップと、当該伝達された熱の量を、電力プラント関連流量制御コンポーネントの動作制御により制御し、ひいては当該ランキンサイクル電力ブロックのタービンへと供給される駆動流体蒸気の量を制御することにより、コンバインド燃料電池ランキンサイクル電力プラントの電力出力の経時的な劣化又は低減の割合を低減又は遅延させるとともに、コンバインド燃料電池ランキンサイクル電力プラントにおいて必要とされる燃料電池のオーバーホールの間隔を延長させるステップとを含む方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るハイブリッド燃料電池電力プラントの模式的な例示である。
【
図2】間接加熱排熱回収ユニットを備えたハイブリッド燃料電池ORC電力プラントの模式的な例示である。
【
図3】直接加熱排熱回収ユニットを備えたハイブリッド燃料電池ORC電力プラントの模式的な例示である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の新規なハイブリッド燃料電池電力プラントは、これまで先行技術のハイブリッド燃料電池系電力プラントにおいては利用されていなかった熱を、すなわち劣化した燃料電池から回収する電力ブロックを用いる。
【0017】
燃料電池の電力変換効率が経時的に減少すると、劣化した燃料電池から排出される排熱は、それに応じて増加する。劣化した燃料電池からの出力電力の減少を少なくとも部分的に補償するべく、本発明に係る排熱熱伝達ユニット(WHHTU)が、燃料電池排出ガスが放出される出力ポートに設けられる。制御可能なWHHTUが、当該排出ガスからの熱をボトミングサイクル電力ブロック(BCPB)の駆動流体へと伝達するべく適合される。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド燃料電池電力プラント10を模式的に例示する。電力プラント10は、定置型燃料電池モジュール5及びボトミングサイクル電力ブロック(BCPB)15を含む。BCPB15の駆動流体は、燃料電池モジュール5の出力ポート7から放出される排出ガス(EG)に関連する熱交換器の中に存在する。EGから与えられるBCPB駆動流体への熱エネルギーの付加的流入が、燃料電池モジュール5及びBCPB15からのコンバインド電力レベルをもたらす。そのエネルギー効率は、燃料電池モジュール5及びBCPB15が本発明による教示の態様でコンバインされていない場合には達成し得ないエネルギー効率よりも高い。
【0019】
BCPB駆動流体への熱エネルギーの十分な流入を与えるべく、WHHTU12は、導管14に関連する熱交換器の中に配置される。導管14は、燃料電池モジュール5の出力ポート7と流体的に連通する。その結果、BCPB駆動流体へと熱が伝達されることによって、燃料電池EGの高い熱容量が適切に回復される。
【0020】
WHHTU12の熱出力は、燃料電池EGの熱容量の変化に応答する。燃料電池EGの熱容量が増加すると、WHHTU12の熱出力も増加する。燃料電池モジュール5が発電して排熱を生成するべくオンラインである場合、WHHTU12は一般に、全熱容量で動作し、かつ、燃料電池モジュール5の劣化を少なくとも部分的に補償し、燃料電池EGの熱容量が結果的に増加する。しかしながら、BCPB15の発電器が、予測される電圧出力の低下すなわちドル−ピングを受ける場合には時々、WHHTU12の熱容量を調整する必要がある。そうであっても、BCPB15の電力出力は、適切な電力出力への電力プラント10の総電力出力を調整するべく、タービンバイパス弁を制御することによって制御することができる。代替的に、所望の場合には、EG流の一部をバイパス煙突へ向けることができる。
【0021】
BCPB15は、任意の熱力学サイクルのもとで動作することができる。EGによって加熱可能な駆動流体と、加熱された駆動流体が発電するべく膨張可能なタービン又は任意の他の膨張器とを有するBCPB15は有利には、有機ランキンサイクル(ORC)のもとで動作する。ORCは、やはり本発明の範囲内にある有機駆動流体、蒸気ランキンサイクル又は他の熱力学サイクルの独特な特徴に基づいて動作する。
【0022】
燃料電池モジュール5は、SOFC及びMCFCのような、ただしこれらに限られない任意の高温燃料電池であり得る。これは、BCPB駆動流体の熱容量を増加させるのに適切な十分に高い温度、例えば375℃のEGを生成する。例示されるのは一つのみの燃料電池モジュール5であるが、燃料電池モジュール5が、高レベルの電力を生成させるべく直列又は並列でコンバイン可能な燃料電池の積層体を含み得ることがわかる。
【0023】
同様に、例示されるのは一つのみのWHHTU12であるが、複数のWHHTUも展開することができる。例えばその一つが、所望に応じて各燃料電池に対応する。各WHHTUからの放出物がコンバインされ、増加した熱伝達を増加させるべく所与のBCPBコンポーネントへと送達される。そのように所望される場合、熱伝達媒体を様々なWHHTUへと送達する単数のサイクルポンプを用いることができる。
【0024】
燃料電池は、2つの電極が電解質中の荷電イオンを通過させる電気化学的プロセスによって、直流電流を生成する。BCPB15の発電器は交流電流を発生させるが、電力プラント10は、燃料電池モジュール5及びBCPB15双方の電力出力を、直流電流を交流電流に変換する電力調整インバータを使用してコンバインさせ、その後、そのコンバインド出力を電力供給網へと送る。代替的に、燃料電池モジュール5が生成する直流電流は、交流電流へと変換されるが、電力供給網へと、BCPB15が生成する交流電流と並列して送ることができる。
【0025】
任意の所与時刻における電力プラント10のコンバインド又は総電気出力は、所定値となる。しかしながら、時間経過に伴い、燃料電池モジュール5の電力出力は、燃料電池の劣化又はそのエネルギー効率の低減ゆえに低下し、ひいては燃料電池モジュール5から発生する排熱が、それに対応して増加する。したがって、BCPB15は、電力の増加をもたらし、少なくとも部分的に燃料電池劣化を補償する。
【0026】
制御器17は、燃料電池EGの現行熱容量を示すデータを受信し、当該受信データに応答して電力プラント10のコンバインド電気出力を最大化させるべく、電力プラント流量制御コンポーネントの動作を制御することができる。
【0027】
有利には、WHRU12の導管14に沿って熱流束センサ19を展開し、当該センサに適用されるEGが供給する総発熱率を測定することができる。代替的に、有利には熱流束センサ19を、出力ポート7の上流側の燃料電池モジュール5の導管9に沿って配置することができる。制御器17は、センサ19からの信号Wを受信して、EGの熱容量が先の読みから、予め決められたしきい値を上回って増加したことを決定した後、信号Wが当該データを示す場合、制御信号Cを流量制御コンポーネント22へと送信する。これにより、BCPB15の電力出力が増加する。すなわち、排熱レベルの増加を利用するBCPB15の使用により、劣化した燃料電池モジュール5が生成する電力レベルの低減を補償することができる。
【0028】
わかることだが、制御器17は、温度関連データのような熱関連データを検出するべく適合された任意の他のタイプのセンサと通信することもできる。
【0029】
流量制御コンポーネント22は、BCPB15のバイパス弁であり得る。これは、EGの増加した熱容量の利用が低下するように、BCPB15のタービンへの駆動流体蒸気流量を通常低下させるべく動作可能である。その結果、低減した量の駆動流体がタービンにおいて膨張し、ひいては生成される電力が低下する。代替的に、流量制御コンポーネント22は、熱伝達媒体の流量を増加させるべく動作可能なWHHTU12のポンプとなり得る。代替的に、これらの手段は、EGの増加した熱容量の利用を増加させるように使用することができる。
【0030】
そのように所望される場合、流量制御コンポーネントは、例えばバイパス弁のような、そのように所望される場合にEGの温度及び流量を制御又は改変するべくEGの一部を分流する分流器となり得る。
【0031】
図2は、一般に番号40で示されるハイブリッド燃料電池ORC電力プラントの一実施形態を例示する。電力プラント40は、燃料電池モジュール25、ORCブロック35、及び、排熱オイル加熱器(WHOH)として構成された間接加熱WHHTU45を含む。
【0032】
ORCブロック35において、予熱器36からの有機駆動流体が、導管31を介して気化器37へと流れ、気化した駆動流体が、導管32を介して蒸気タービン38へと流れる。ここで、当該流体は膨張し、蒸気の膨張ゆえに回転シャフトの動力をもたらし、さらには、蒸気タービン38に結合された発電器39によって交流電力をもたらす。選択に応じて、蒸気タービン38を発電器39に結合するべくギアを使用することができ又はできない。膨張した駆動流体蒸気は、導管33を介してタービン38から、随意的に復熱器41のシェル側へと排出された後、導管34を介して水冷又は空冷の凝縮器42へと流れ、液体状態すなわち凝縮体となるまで冷却される。
【0033】
サイクルポンプ43が、凝縮器42からの有機凝縮体を、導管49を介して復熱器41のチューブ側へと送達した後、導管51を介して予熱器36へと送達する。有機凝縮体は、復熱器41におけるタービン排気により、さらには予熱器36及び気化器37における熱オイル熱伝達媒体により、加熱を受ける。
【0034】
燃料電池モジュール25から放出されかつ所定熱容量を有する排出ガスEG又は排熱が、排出ライン27を介してWHHTU45へと流れる。閉ループを循環する熱オイル又は任意の他の適切な熱伝達媒体が、導管56を介してWHHTU45へと送達され、EGからの熱を吸収した後、超清浄な排出ガスが排出煙突48を介して大気へと排出される。
【0035】
加熱された熱オイルは、気化器37へと導入されて駆動流体の気化を引き起こす。熱が枯渇した熱オイルは、導管57を介して予熱器36へと流れる。これにより、液体状態の有機駆動流体の熱容量が増加又は予熱され、その後、導管56に動作可能に接続された熱オイルサイクルポンプ59が、当該熱オイルをWHHTU45へと送達する。
【0036】
所望されて、又は代替的に、非常時のような安全上の目的から、電力プラント40のコンバインド電力レベルを低減する場合、排出ライン27に配置された分流器弁29が作動され、EGの一部又はすべてがバイパス煙突26へと分流される。バイパス煙突26からは、EGが周囲空気へと排出される。分流器弁29は、オペレータの裁量により手動で作動し、又は代替的に、予め決められた事象に応答して制御器17(
図1)により自動で作動することができる。EGのバイパス煙突26への分流は、当然のことながら、ORG駆動流体への熱流入の低減をもたらす。
【0037】
時々、WHHTU45が全容量で動作されていても、すなわち分流器弁29が開であっても、ORCブロック35の電力出力低減が命じられる不測の非常事態が発生する。タービンへの駆動流体蒸気の質量流量を低減するべく、導管53に動作可能に接続されたバイパス弁54が、所望の程度まで開とされた後、それに対応する量の駆動流体蒸気が導管53を介して凝縮器42へと流れる。凝縮器42は、導管33及び34を介してタービン38から排出された蒸気負荷に加えバイパス有機流体蒸気によっても与えられる駆動流体の増加した負荷を、十分に冷却するように設計される。さらに、すなわち付加的に、タービン制御弁52は調整することができる。
【0038】
他方、WHHTU45が、付加的な量の熱をORGブロックへと供給することが所望される場合、例えば、EGにおいてさらなる熱が利用可能な場合、有利なことに制御器17(
図1)は、導管56を介して高流量の熱オイルを循環させる制御信号を熱オイルサイクルポンプ59へと送信することができる。その間、バイパス弁54は、さらなる蒸気を蒸気タービン38へと供給するべく、制御器17からの制御信号により部分的に又は完全に閉となる。例えば、WHHTU45は、燃料電池モジュール25の効率が低下している期間にわたり、例えば、燃料電池モジュールが劣化して高温の排出ガスEGにおいてさらなる熱が利用可能となる場合、付加的な量の熱をORCブロック35へと供給することができる。代替的に、燃料電池効率の一時的な低減が発生し得る。それに対応してEGの熱容量が増加するので、蒸気タービン38の電力出力も一時的に増加する。
【0039】
図3は、一般に番号60で示されるハイブリッド燃料電池ORC電力プラントの他の実施形態を例示する。電力プラント60は、燃料電池モジュール65、ORCブロック75、及び直接加熱WHHTU80を含む。
【0040】
燃料電池モジュール65から放出されかつ所定熱容量を有する排出ガスEG又は排熱が、排出ライン67を介してWHHTU80へと流れる。これは、駆動流体熱交換器への高温ガスであり、排出煙突88を介して周囲空気へと排出される。
【0041】
WHHTU80のチューブ側を通って流れる有機駆動流体が、EGからの熱を吸収して気化する。WHHTU80から出るときに生成された駆動流体蒸気は、バイパス弁71が閉の場合、導管61を介して蒸気タービン78へと流れる。駆動流体蒸気はその後、タービン78内で膨張し、当該蒸気の膨張による回転シャフトの動力をもたらし、蒸気タービン78に結合された発電器79によって交流電力をもたらす。選択に応じて、蒸気タービン38を発電器39に結合するべくギアを使用することができ又はできない。駆動流体蒸気は、導管62を介してタービン78から復熱器82のシェル側へと排出された後、導管63を介して水冷又は空冷の凝縮器84へと流れ、液体状態すなわち凝縮体となるまで冷却される。
【0042】
サイクルポンプ86が、凝縮器84からの有機凝縮体を、随意的に導管64を介して復熱器82のチューブ側へと送達した後、導管67を介してWHHTU80へと送達する。ここで、有機駆動流体凝縮体が気化する。
【0043】
例えば、ORCブロック75の電力出力を低減することが所望される場合、バイパス弁71は、通常閉であっても、部分的に又は完全に開にされる。その結果、それに対応する量の駆動流体蒸気が導管71を介して凝縮器84へと流れる。代替的にすなわち付加的に、タービン制御弁83は調整することができる。さらに、分流器は、EGの一部を大気へと分流するべく使用することができる。
【0044】
他方、WHHTU80が、付加的な量の熱をORCブロックへと供給することが所望される場合、例えば、EGにおいてさらなる熱が利用可能な場合、有利なことに制御器17(
図1)は、さらなる蒸気を蒸気タービン78へと供給するべく、バイパス弁71へと部分的に又は完全に閉にする制御信号を送信することができる。例えば、WHHTU80は、燃料電池モジュール65の効率が低下している期間にわたり、例えば、燃料電池モジュールが劣化して高温の排出ガスEGにおいてさらなる熱が利用可能となる場合、付加的な量の熱をORCブロック35へと供給することができる。
【0045】
図面を参照する上述の説明が有機ランキンサイクル電力ブロックを記載するにもかかわらず、上述の説明は蒸気ランキンサイクルに対しても極めて適用可能であることがわかる。そのような蒸気ランキンサイクルにおいては通常、復熱器は含まれない。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態が説明されたが、本発明は、本発明の要旨から逸脱することなく又は特許請求の範囲から超越することのない、多くの修正例、変形例、適合例によって、かつ、当業者の範囲内にある多数の均等例又は代替ソリューションの使用によって、実行可能となることがわかる。