(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重合性組成物が、前記混合物の前記反応生成物のL’上の前記ヒドロキシル基を、重合性二重結合を有する化合物と反応させることによって得られる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の歯科用コンポジット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(bis−GMA)、ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化bis−GMA、又はビスフェノールAをベースとする任意の他の原材料の使用を必要とすることなく、溶媒の非存在下であっても、機械特性、屈折率及び粘度を含む優れた特性をもたらす、歯科用コンポジットを提供することである。
【0007】
本発明の更なる課題は、歯科用コンポジットに使用され得ることによって、溶媒の非存在下であっても、機械特性、屈折率及び粘度を含む優れた特性をもたらすとともに、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(bis−GMA)、ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化bis−GMA、又はビスフェノールAをベースとする任意の他の原材料の使用を必要としない、重合性組成物を製造する方法を提供することである。
【0008】
さらに、本発明の課題は、歯科用コンポジットを製造するのに使用することができるとともに、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(bis−GMA)、ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化bis−GMA、又はビスフェノールAをベースとする任意の他の原材料の使用を必要とすることなく、溶媒の非存在下であっても、機械特性、屈折率及び粘度を含む優れた特性をもたらす、重合性組成物を提供することである。
【0009】
さらに、本発明の課題は、歯科用コンポジットに使用される特定の重合性マクロマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、本発明は、(i)(a)下記式(I):
【化1】
(式中、
L’は、酸素原子及び硫黄原子から選択される1個〜3個のヘテロ原子を主鎖中に含有していてもよく、かつ1つ又は複数のヒドロキシル基、又は−COOL’’基(式中、L’’は重合性部分である)で置換されてもよい(l+1)価の炭化水素基であり、
lは1〜3の整数である)のx当量の1つ又は複数の化合物と、
(b)下記式(IIa)、(IIb)及び/又は(IIc):
【化2】
(式中、
nは1〜3の整数であり、
Yは、存在しても存在していなくてもよく、存在する場合、カルボニル基を表し、
Y’は独立して、存在しても存在していなくてもよく、カルボニル基を表し、
R
mは、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基から選択される1つ〜3つの置換基を表すか、又は、2つのR
mが、それらが結合する環の炭素原子とともに、縮環芳香族環を形成する)のy当量の1つ又は複数の化合物と、
(c)下記式(III):
【化3】
(式中、
R
1は、水素原子又はアルキル基であり、
kは1〜3の整数であり、ここで、
kが1、2又は3である場合、Lは、酸素原子及び硫黄原子から選択される1個〜3個のヘテロ原子を含有し得る(k+1)価の炭化水素基であり、Xは、Lの芳香族環形成部位に結合するカルボン酸基又はヒドロキシル基であるか、又は、
kが1である場合、Lは単結合を表し、Xは水素原子である)のz当量の1つ又は複数の化合物と、
を含み、
0.05≦x/y≦0.66であり、かつ、
【数1】
であり、
x、y及びzが、成分(a)、(b)及び(c)のモル当量であり、かつ、
【数2】
が、成分(a)の平均酸官能価、すなわち、
【数3】
(式中、lは式(I)に規定した通りとする)である、
混合物を反応させること、及び
任意に、前記混合物の反応生成物のL’上のヒドロキシル基を、重合性二重結合を有する化合物と反応させることと、
によって得られる、重合性組成物と、
(ii)粒状フィラーと、
を含む、歯科用コンポジットを提供する。
【0011】
第2の態様によれば、本発明は、(a)下記式(I):
【化4】
(式中、
L’は、酸素原子及び硫黄原子から選択される1個〜3個のヘテロ原子を主鎖中に含有していてもよく、かつ1つ又は複数のヒドロキシル基、又は−COOL’’基(式中、L’’は重合性部分である)で置換されてもよい(l+1)価の炭化水素基であり、
lは1〜3の整数である)のx当量の1つ又は複数の化合物と、
(b)下記式(IIa)、(IIb)及び/又は(IIc):
【化5】
(式中、
nは1〜3の整数であり、
Yは、存在しても存在していなくてもよく、存在する場合、カルボニル基を表し、
Y’は独立して、存在しても存在していなくてもよく、カルボニル基を表し、
R
mは、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基から選択される1つ〜3つの置換基を表すか、又は、2つのR
mが、それらが結合する環の炭素原子とともに、縮環芳香族環を形成する)のy当量の1つ又は複数の化合物と、
(c)下記式(III):
【化6】
(式中、
R
1は、水素原子又はアルキル基であり、
kは1〜3の整数であり、ここで、
kが1、2又は3である場合、Lは、酸素原子及び硫黄原子から選択される1個〜3個のヘテロ原子を含有し得る(k+1)価の炭化水素基であり、Xは、Lの芳香族環形成部位に結合するカルボン酸基又はヒドロキシル基であるか、又は、
kが1である場合、Lは単結合を表し、Xは水素原子である)のz当量の1つ又は複数の化合物と、
を含み、
0.05≦x/y≦0.66であり、かつ、
【数4】
であり、
x、y及びzが、成分(a)、(b)及び(c)のモル当量であり、かつ、
【数5】
が、成分(a)の平均酸官能価、すなわち、
【数6】
(式中、lは式(I)に規定した通りとする)である、
混合物を反応させること、及び
任意に、前記混合物の反応生成物のL’上のヒドロキシル基を、重合性二重結合を有する化合物と反応させること、
を含む、歯科用組成物を製造する方法を提供する。
【0012】
第3の態様によれば、本発明は、本発明の方法によって得られる重合性組成物を提供する。歯科用コンポジットは、特定のマクロマーを含む。
【0013】
第4の態様によれば、本発明は、歯科用コンポジットにおける特定の重合性マクロマーの使用を提供する。
【0014】
本発明は、本発明の重合性組成物に含まれる重合性マクロマーが、歯科用コンポジットにおいて、bis−GMA、又はビスフェノールAを含有する任意の他の重合性レジンに取って代わることができるという認識に基づくものである。重合性マクロマーは、溶媒の非存在下であっても、機械特性、屈折率及び粘度を含む優れた特性をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は歯科用コンポジットを提供するものである。本発明の歯科用コンポジットは、流動性歯科用コンポジット、汎用性歯科用コンポジット、充填性歯科用コンポジット、又は小窩裂溝封鎖材とすることができる。本発明の歯科用コンポジットは、汎用性歯科用コンポジット又は充填性歯科用コンポジットであるのが好ましい。
【0016】
本発明の歯科用コンポジットは重合性組成物と粒状フィラーとを含む。
【0017】
重合性組成物は、1つ又は複数のポリカルボン酸(a)と、1つ又は複数のジエポキシド化合物(b)と、1つ又は複数の連鎖停止化合物(c)とを含む混合物を反応させることによって得られる。したがって、成分(a)は、式(I)の1つ又は複数の化合物を含有する。成分(b)は、式(IIa)、(IIb)及び(IIc)のうちの1つの1つ又は複数の化合物を含有する。成分(c)は、式(III)の1つ又は複数の化合物を含有する。
【0018】
混合物は、xモル当量の成分(a)と、yモル当量の成分(b)と、zモル当量の成分(c)とを含有する。
【0019】
モル当量は、0.05≦x/y≦0.66であり、かつ、
【数7】
であり、
【数8】
が、下記式:
【数9】
(式中、lは式(I)に規定した通りとし、x
l/xは、酸官能価l+1を有する化合物のモル分率である)で規定される成分(a)の平均酸官能価となるように調節される。
【0020】
したがって、成分(a)のモル当量xは、成分(a)に含まれる1つ又は複数のポリカルボン酸の官能価に応じて決まる。好ましい実施形態によれば、lが1となる。lが1である場合、
【数10】
は2となる。更に好ましい実施形態によれば、混合物は、好ましくはlが1である、式(I)の1つの化合物を含有する。
【0021】
本発明によれば、0.05≦x/y≦0.66であることからモル当量yはモル当量xより大きい。y>xであるとすれば、r’=x/yのmol比に応じて、重合度(P
a)は、Pa=(1+r’)/(1−r’)に従い大きくなる。x/y>0.66の場合には、重合性組成物の粘度が、大きくなり過ぎるおそれがあるため、本発明の歯科用コンポジットを提供するのに大量の溶媒又は反応性希釈剤が必要となる。x/y<0.05の場合には、重合性組成物が、成分(b)と成分(c)との過剰な反応生成物を有することにより、本発明の歯科用コンポジットの機械特性が低下する。
【0022】
混合物は、zモル当量の1つ又は複数の連鎖停止化合物(c)を含有する。zの量は、本発明に従い、
【数11】
(式中、
【数12】
は、上記に規定した成分(a)の平均酸官能価である)となるように選択される。zが、
【数13】
であるのが好ましい。
【数14】
の場合には、本発明の重合性組成物に含まれるマクロマー中の重合性末端基の含有率が低減する可能性があり、これは、本発明の歯科用コンポジットの機械特性の観点から好ましくない。
【数15】
の場合には、過剰な連鎖停止モノマーが、成分(a)と成分(b)との反応に競合し、マクロマーの形成を妨げるおそれがある。
【0023】
重合性組成物の平均分子量
【数16】
は、下記式:
【数17】
に従って推定することができる。上記式中、
【数18】
は成分(a)の平均分子量であり、
【数19】
は成分(b)の平均分子量であり、
【数20】
は成分(c)の平均分子量である。
【0024】
ポリカルボン酸(a)は、下記式(I):
【化7】
の化合物である。
【0025】
式(I)中、L’は、酸素原子及び硫黄原子から選択される1個〜3個のヘテロ原子を主鎖中に含有していてもよく、かつ1つ又は複数のヒドロキシル基、又は−COOL’’基(式中、L’’は重合性部分である)で置換されてもよい(l+1)価の炭化水素基である。
【0026】
L’は、酸素原子である1個〜3個のヘテロ原子を主鎖中に含有していてもよい二価の炭化水素基であるのが好ましい。好ましくは、L’は1つ又は複数のヒドロキシル基、又は−COOL’’基(式中、L’’は重合性部分である)で置換されてもよい。−COOL’’重合性基は、ヒドロキシアルキルメタクリレートエステルとすることができる。
【0027】
(l+1)価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基に由来するものであってもよい。(l+1)価の炭化水素基は、(l+1)価の脂肪族炭化水素基であるのが好ましい。
【0028】
lは1〜3の整数である。lが1であることにより、式(I)の化合物が、下記式(Ia):
【化8】
によるジカルボン酸であるのが好ましい。
【0029】
式(Ia)中、L’は、二価の脂肪族基又は芳香族基とすることができる。脂肪族基は、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜8をとり得る、直鎖、分岐状又は環状の基とすることができる。
【0030】
脂肪族基L’の具体例として、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、及び1,6−ヘキシレン基がある。
【0031】
脂肪族基は、炭素数6〜10、好ましくは炭素数6である芳香族基とすることができる。
【0032】
芳香族基L’の具体例として、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレンがある。
【0033】
脂肪族ジカルボン酸(a)の例として、直鎖、分岐状、又は環状の脂肪族ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、並びに1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸を含むシクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
【0034】
芳香族ジカルボン酸(a)の具体例として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及びジフェニルジカルボン酸がある。
【0035】
好ましい実施形態によれば、重合性組成物は、混合物の反応生成物のL’上のヒドロキシル基を、重合性二重結合を有する化合物と反応させることによって得られる。
【0036】
ジエポキシド(b)は、下記式(IIa)、(IIb)及び/又は(IIc):
【化9】
の化合物である。
【0037】
ジエポキシド(b)は、式(IIa)又は式(IIb)の化合物であるのが好ましい。ジエポキシド(b)の主成分は式(IIa)の化合物であるのが最も好ましい。
【0038】
式(IIa)、式(IIb)及び/又は式(IIc)中、nは1〜3の整数である。nは1であるのが好ましい。Yは、存在しても存在していなくてもよく、存在する場合、カルボニル基を表す。
【0039】
Y’は独立して、存在しても存在していなくてもよく、カルボニル基を表す。
【0040】
R
mは、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基から選択される1つ〜3つの置換基を表すか、又は、2つのR
mが、それらが結合する環の炭素原子とともに、縮環芳香族環を形成する。
【0041】
ジエポキシド(b)の具体例として、テレフタル酸ジグリシジルエステル、1,2−ジグリジルフタレート、レゾルシノールジグリシジルエーテル、カテコールジグリシジルエーテル、及びヒドロキノンジグリシジルエーテルがある。
【0042】
連鎖停止化合物(c)は、下記式(III):
【化10】
の化合物である。
【0043】
式(III)中、R
1は、水素原子又はアルキル基である。
【0044】
さらに、式(III)中、kは1〜3の整数である。kは1であるのが好ましい。
【0045】
kが1、2又は3である場合、Lは、酸素原子及び硫黄原子から選択される1個〜3個のヘテロ原子を含有し得る(k+1)価の炭化水素基であり、Xは、Lの芳香族環形成部位に結合するカルボン酸基又はヒドロキシル基である。(k+1)価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基に由来するものであってもよい。(k+1)価の炭化水素基は、(k+1)価の芳香族炭化水素基であるのが好ましい。
【0046】
代替的には、kが1である場合、Lは単結合を表し、Xは水素原子である。
【0047】
好ましい実施形態によれば、kは1であり、Lは単結合を表し、Xは水素原子である。
【0048】
連鎖停止化合物(c)の具体例として、アクリル酸又はメタクリル酸がある。
【0049】
任意に、混合物の反応生成物のL’上のヒドロキシル基を、重合性二重結合を有する化合物と反応させることができる。重合性二重結合を有する化合物は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとすることができる。
【0050】
好適な化合物の例として、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)がある。
【0051】
ポリカルボン酸(a)と、ジエポキシド化合物(b)と、連鎖停止化合物(c)とを反応させることによって得られる重合性組成物は、下記式(IVa)、(IVb)及び/又は(IVc):
【化11】
(式中、R
1、R
m、n及びL’は上記に規定した通りとする)のうちの1つの重合性マクロマーを含む。
【0052】
平均鎖長aは、0.05〜1.5の範囲である。
【0053】
本発明の歯科用コンポジットは粒状フィラーを含む。粒状フィラーは、粉末状の金属酸化物若しくは金属水酸化物、ケイ酸塩鉱物、又はイオン抽出性ガラス若しくはイオン抽出性セラミックである。粒状フィラーの例は、歯科用修復組成物に現在使用されているフィラーから選択することができる。
【0054】
粒状フィラーは、単峰性又は多峰性(例えば、二峰性)の粒径分布を有し得る。粒状フィラーは無機材料であってもよい。粒状フィラーはまた、重合性レジンに不溶性であり、かつ任意に、無機フィラーで充填される、架橋した有機材料とすることもできる。粒状フィラーは、放射線不透過性、放射線透過性、又は非放射線不透過性であってもよい。
【0055】
好適な粒状無機フィラーの例として、天然又は合成材料、例えば、石英、窒化物、例えば、窒化ケイ素、例えば、Ce、Sb、Sn、Zr、Sr、Ba、及びAl由来のガラス、コロイドシリカ、長石、ホウケイ酸ガラス、カオリン、タルク、チタニア、及び亜鉛ガラス、及び微細シリカ粒子、例えば、焼成シリカがある。好適な粒状有機フィラーの粒子の例として、充填又は未充填の微粉ポリカーボネート又はポリエポキシドが挙げられる。
【0056】
粒状フィラーとマトリックスとの結合を強化するために、フィラー粒子の表面をカップリング剤で処理するのが好ましい。好適なカップリング剤の使用としては、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン及びγ−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0057】
粒状フィラーは通常、例えば、電子顕微鏡法を用いて、又はMALVERN Mastersizer S又はMALVERN Mastersizer 2000装置により実施されるような従来のレーザー回折式粒度測定法を用いて測定した場合、0.005μm〜100μm、好ましくは0.01μm〜40μmの平均粒径を有する。
【0058】
本発明の歯科用コンポジットは、ナノスケールの粒子を含有し得る。本発明におけるナノスケールの粒子としては、歯科用組成物に使用される任意の既知のナノスケールの粒子を、制限なく使用することができる。ナノスケールの粒子の好ましい例として、無機酸化物の粒子、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、これらの酸化物のいずれかの複合酸化物の粒子、及びリン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フッ化イットリウム、及びフッ化イッテルビウムの粒子が挙げられる。ナノスケールの粒子は、火炎熱分解により調製されたシリカ、アルミナ、及びチタニアの粒子であるのが好ましい。
【0059】
ナノスケールの粒子の平均粒径は、好ましくは1nm〜50nm、より好ましくは3nm〜40nmである。ナノスケールの粒子の平均粒径は、これらのナノスケールの粒子の電子顕微鏡写真を撮影して、100の無作為に選択されたナノスケールの粒子の直径の平均値を算出することによって、測定することができる。ナノスケールの無機粒子に事前に、表面処理剤による表面処理を施して、無機フィラーと本発明の重合性組成物との親和性を改善させるとともに、無機フィラーと重合性組成物との化学結合を向上させて、硬化物の機械強度を増強することが望ましい。
【0060】
粒状フィラーの総量は、重合性組成物100重量部当たり、好ましくは50重量部〜400重量部、より好ましくは75重量部〜350重量部、特に好ましくは100重量部〜300重量部である。ナノスケールの粒子の量は、重合性組成物100重量部当たり、好ましくは0.1重量部〜50重量部、より好ましくは1重量部〜40重量部、特に好ましくは3重量部〜30重量部である。
【0061】
本発明による歯科用コンポジットに含まれる前記重合性組成物(i)が、23℃で1Pas〜30Pasの動粘度を有するのが好ましい。
【0062】
さらに、本発明による歯科用コンポジットに含まれる重合性組成物(i)が、1.500〜1.540の屈折率を有するのが好ましい。
【0063】
本発明は、歯科用コンポジット、特に本発明の歯科用コンポジットに使用される重合性組成物を製造する方法を提供するものである。
【0064】
本発明の方法は、(a)上記に規定した式(I)のx当量の1つ又は複数の化合物と、(b)上記に規定した式(IIa)、(IIb)及び/又は(IIc)のy当量の1つ又は複数の化合物と、(c)上記に規定した式(III)のz当量の1つ又は複数の化合物とを含み、0.05≦x/y≦0.66であり、かつ、
【数21】
であり、x、y及びzが、成分(a)、(b)及び(c)のモル当量であり、かつ、
【数22】
が、成分(a)の平均酸官能価、すなわち、
【数23】
(式中、lは式(I)に規定した通りとする)である、混合物を反応させることと、任意に、前記混合物の反応生成物のL’上のヒドロキシル基を、重合性二重結合を有する化合物と反応させることとを含む。
【0065】
本反応を、好ましくは、成分(a)、(b)及び(c)を加熱しながら、反応ベッセル内で混合すること、及び混合物を一段階で反応させることによって行うことで、本発明の重合性組成物を得ることができる。
【0066】
代替的に、本反応を、成分(a)と成分(b)とを混合して、第1の混合物を得て、この第1の混合物を第1の工程で反応させ、続いて、成分(c)を第1の工程の反応生成物に添加して、第2の混合物を得た後、第2の混合物を反応させることによって行うことで、本発明の重合性組成物を得ることもできる。
【0067】
反応時間は特に制限なく、30分〜48時間の範囲で選択することができる。好ましくは、反応時間は、1時間〜12時間、より好ましくは、2時間〜10時間の範囲で選択される。
【0068】
反応温度は特に制限なく、周囲温度から混合物の沸点までの範囲で選択することができる。好ましくは、反応温度は、50℃〜150℃、より好ましくは70℃〜130℃の範囲で選択される。
【0069】
反応圧力は特に制限なく、大気圧から高圧までの範囲で選択することができる。反応圧力は大気圧であるのが好ましい。
【0070】
本反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。好適な溶媒は、ジメチルスルホキシド、トルエン、DMF及びエチレングリコールモノメチルエーテル等の非プロトン性溶媒から選択することができる。反応は溶媒の非存在下で行うのが好ましい。
【0071】
本反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒は相間移動触媒とすることができる。好適な相間移動触媒は、第四級アンモニウム及びホスホニウム塩から選択することができる。具体的に、相間移動触媒は、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、及びヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミドとすることができる。好ましくは、トリエチルベンジルアンモニウムクロリドが使用され得る。
【0072】
触媒の量は特に制限なく、反応混合物中に存在する成分(a)、(b)及び(c)の総重量に対して、0.01重量パーセント〜5重量パーセント、より好ましくは0.1重量パーセント〜3重量パーセントの範囲で選択することができる。
【0073】
成分(c)が反応混合物中に存在する場合、阻害剤の存在下で反応が行われ得る。阻害剤は、所望の反応を妨げるものでない任意の従来既知の阻害剤とすることができる。阻害剤は、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール及びブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)から選択することができる。好ましくは、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールが使用され得る。
【0074】
阻害剤の量は特に制限なく、反応混合物中に存在する成分(a)、(b)及び(c)の総重量に対して、0.001重量パーセント〜0.5重量パーセント、より好ましくは0.01重量パーセント〜0.3重量パーセントの範囲で選択することができる。
【0075】
得られたメタクリレート末端マクロマーは、クロロホルム、DMF及びTHF等の有機溶媒に、またトリエチレングリコールジメタクリレート等の反応性希釈剤に可溶性のものであってもよい。
【0076】
本発明は更に、本発明の方法によって得られる重合性組成物を提供する。
【0077】
本発明による重合性組成物が、23℃で1Pas〜30Pasの動粘度を有するのが好ましい。
【0078】
本発明による重合性組成物が、1.500〜1.540の屈折率を有するのが好ましい。
【0079】
重合性組成物は、下記式(IVa)、(IVb)及び/又は(IVc):
【化12】
(式中、R
1、R
m、n及びL’は上記に規定した通りとする)のうちの1つの重合性マクロマーを含む。
【0080】
「a」は、0.05〜1.5の範囲の平均鎖長であるのが好ましい。
【0081】
マクロマーの具体例は次の通りである。
【化13】
【0082】
重合性マクロマーは、歯科用コンポジットに使用することができる。該歯科用コンポジットが、流動性歯科用コンポジット、汎用性歯科用コンポジット、充填性歯科用コンポジット、又は小窩裂溝封鎖材であるのが好ましい。
【0083】
本発明の歯科用コンポジットは更に、成分(a)、(b)、及び(c)の反応生成物以外の重合性モノマーを含有していてもよい。重合性モノマーは、単、二、三又は多官能性モノマーであってよい。重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、エリトリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロリド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート(2,2−ビス[4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル]プロパン、一般に「bis−GMA」として知られる)、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシオリオトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−[3−((メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル]プロパン、1,2−ビス[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシルエタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート(一般に「UDMA」として知られる)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス[2−(アミノカルボニルオキシ)プロパン−1,3−ジオール]テトラメタクリレート、及び1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシペンタンから選択することができる。
【0084】
マクロマーを含有する重合性組成物の他に歯科用コンポジットに含まれる重合性モノマーの総量は、重合性組成物の成分(a)、(b)及び(c)の反応生成物100重量部当たり1重量部〜100重量部の範囲であるのが好ましい。
【0085】
本発明の歯科用コンポジットは重合開始剤を含有するのが好ましい。重合開始剤のタイプは特に制限なく、歯科分野で一般に使用される重合開始剤から選択することができる。特に、光重合開始剤及び化学重合開始剤を単独で使用しても、それらの2つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0086】
好適な光重合開始剤の例として、α−ジケトン又は(ビス)アシルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0087】
光重合開始剤として使用されるα−ジケトンの例として、カンファキノン、9,10−フェナントレンキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、4,4’−オキシベンジル、及びアセナフテンキノンが挙げられる。可視光範囲において最大吸収波長を有するカンファキノンが好ましい。
【0088】
アシルホスフィンオキシドの例として、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及びベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネートが挙げられる。
【0089】
ビスアシルホスフィンオキシドの例として、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、及び(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0090】
化学重合開始剤は、ケトンペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ペルオキシケタール、ペルオキシエステル、及びペルオキシジカーボネートから選択される有機過酸化物とすることができる。
【0091】
ケトンペルオキシドは、メチルエチルケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、及びシクロヘキサノンペルオキシドから選択することができる。
【0092】
ヒドロペルオキシドは、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、及びt−ブチルヒドロペルオキシドから選択することができる。
【0093】
ジアシルペルオキシドは、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、及びラウロイルペルオキシドから選択することができる。
【0094】
ジアルキルペルオキシドは、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシンから選択することができる。
【0095】
ペルオキシケタールは、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、及び4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)吉草酸−n−ブチルエステルから選択することができる。
【0096】
ペルオキシエステルは、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、α−クミルペルオキシネオドデカノエート、t−ブチルペルオキシネオドデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、2,2,4−トリメチルペンチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルペルオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、及びt−ブチルペルオキシマレイン酸から選択することができる。
【0097】
ペルオキシジカーボネートは、ジ−3−メトキシペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルペルオキシジカーボネート、及びジアリルペルオキシジカーボネートから選択することができる。
【0099】
本発明において添加される重合開始剤の量は特に制限されない。好ましくは、重合性組成物100重量部当たり、0.01重量部〜10重量部の重合開始剤が使用され得る。重合開始剤の量が0.01重量部未満である場合には、重合が十分に進行しないことがあるため、機械強度が低下するおそれがある。それ故、より好ましくはこの量は少なくとも0.1重量部である。他方、重合開始剤の量が10重量部を超えると、重合開始剤自体が低重合性能を有する場合、十分な機械強度が得られず、更には組成物からの析出が起こるおそれもある。
【0100】
本発明の歯科用コンポジットは更に、重合促進剤を含有し得る。重合促進剤の例として、アミン及びスルフィン酸、並びにそれらの塩がある。
【0101】
アミンは、脂肪族アミン又は芳香族アミンであってよい。脂肪族アミンの例として、第一級脂肪族アミン、例えば、n−ブチルアミン、第二級脂肪族アミン、例えば、ジイソプロピルアミン、及び第三級脂肪族アミン、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、及びトリブチルアミンが挙げられ、第三級脂肪族アミンが好ましい。芳香族アミンは、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル、及び4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノンから選択することができる。
【0102】
スルフィン酸又はその塩は、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、及び2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムから選択することができる。
【0103】
重合促進剤の量は特に制限されない。この量は、重合性組成物100重量部当たり、0.001重量部〜5重量部の範囲の重合促進剤から選択することができる。
【0104】
本発明の歯科用コンポジットは更に、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合阻害剤、着色剤、抗菌剤、X線造影剤、増粘剤、及び蛍光剤を含有し得る。
【0105】
本発明の歯科用コンポジットは更に、フッ素イオン徐放性フィラー、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フルオロアルミノシリケートガラス、又はモノフルオロリン酸ナトリウムを含有し得る。
【0106】
歯科用コンポジットは、抗微生物剤を含有し得る。抗微生物剤は、抗菌活性を有する界面活性剤、例えば、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロミド又はセチルピリジニウムクロリドであってよい。
【0107】
これより、以下の実施例に基づき本発明を更に説明する。
【実施例】
【0108】
[実施例1](AG18−127−1)
100.000g(0.450mol)のレゾルシノールジグリシジルエーテル、17.712g(0.15mol)のコハク酸、51.650g(0.60mol)のメタクリル酸、0.847gのトリエチルベンジルアンモニウムクロリド、及び0.169gの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを、90℃まで加熱しながら均質混合し、90℃で6.5時間反応させた。
【0109】
得られたメタクリレート末端マクロマーは、クロロホルム、DMF及びTHF等の有機溶媒に、またトリエチレングリコールジメタクリレート等の反応性希釈剤に可溶性のものである。
【0110】
M
n(calc.)=564.59g/mol
η=41.7±0.4Pa
*s、
【数24】
=1.5285、Δ
RH=−80.4±0.8kJ/mol
【0111】
得られたマクロマーを、表1にまとめたように種々の反応性希釈剤に溶解させた。
【0112】
【表1】
【0113】
[実施例2](MAM01−10−02)
15.000g(0.539mol)のテレフタル酸ジグリシジルエステル、1.273g(0.108mol)のコハク酸、7.425g(0.315mol)のメタクリル酸、0.118gのトリエチルベンジルアンモニウムクロリド、及び0.024gの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを、90℃まで加熱しながら均質混合し、90℃で6.5時間反応させた。
【0114】
得られたメタクリレート末端マクロマーは、クロロホルム、DMF及びTHF等の有機溶媒に、またトリエチレングリコールジメタクリレート等の反応性希釈剤に可溶性のものである。
【0115】
η=256Pa
*s、
【数25】
=1.520
【0116】
得られたマクロマーを、表2にまとめたようにTGDMAに溶解させた。
【0117】
【表2】
【0118】
[実施例3](MAM01−10−03)
15.000g(0.539mol)のテレフタル酸ジグリシジルエステル、1.403g(0.108mol)のイタコン酸、7.425g(0.315mol)のメタクリル酸、0.118gのトリエチルベンジルアンモニウムクロリド、及び0.024gの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを、90℃まで加熱しながら均質混合し、90℃で6.5時間反応させた。
【0119】
得られたメタクリレート末端マクロマーは、クロロホルム、DMF及びTHF等の有機溶媒に、またトリエチレングリコールジメタクリレート等の反応性希釈剤に可溶性のものである。
【0120】
η=347Pa
*s、
【数26】
=1.522
【0121】
得られたマクロマーを、表3にまとめたようにTGDMAに溶解させた。
【0122】
【表3】
【0123】
[実施例4](CBI2−28−2)
5.480g(0.025mol)のレゾルシノールジグリシジルエーテル、2.048g(0.012mol)のイソフタル酸、2.123g(0.025mol)のメタクリル酸、0.056gのトリエチルベンジルアンモニウムクロリド、及び0.003gの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを、90℃まで加熱しながら均質混合し、90℃で3時間反応させた。その後、この混合物に、2.740g(0.012mol)のレゾルシノールジグリシジルエーテル及び2.123g(0.025mol)のメタクリル酸を更に添加し、90℃で3時間反応させた。
【0124】
M
n(calc.)=564.59g/mol
【0125】
得られたマクロマーを、表4にまとめたようにTGDMAに溶解させた。
【0126】
【表4】
【0127】
[実施例5](CSH01−134−1)
4.00g(0.018mol)のレゾルシノールジグリシジルエーテル、3.60g(0.009mol)のブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸ジ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート(TCBレジン)、1.55g(0.018mol)のメタクリル酸、0.150gのトリエチルベンジルアンモニウムクロリド、及び0.003gの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを、90℃まで加熱しながら均質混合し、90℃で4時間反応させた。
【0128】
M
n(calc.)=1016.98g/mol
【0129】
得られたマクロマーを、表5にまとめたようにTGDMAに溶解させた。
【0130】
【表5】
【0131】
[適用例1]
[比較例1](AG18−144−1)
6.808g(0.020mol)のビスフェノールAジグリシジルエーテル、1.462g(0.010mol)のアジピン酸、1.722g(0.020mol)のメタクリル酸、0.091gのトリエチルベンジルアンモニウムクロリド、及び0.009gの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを、90℃で4時間反応させた。得られたメタクリレート末端マクロマー(式2中、n=0.5)は、クロロホルム、DMF及びTHF等の有機溶媒に可溶性のものである。IRスペクトルでは、915cm
−1〜3050cm
−1におけるエポキシド基の吸収が観測されなかった。エステル基の新たな吸収が1720cm
−1に見られた。
【0132】
M
n(calc.)=783.9g/mol、η=27050Pa
*s
【0133】
得られたマクロマーを、表6にまとめたようにTGDMAに溶解させた。
【0134】
【表6】
【0135】
得られたBPAをベースとするマクロマー(n=1)の曲げ強度及び屈折率は指定のレベルに相当するものである。
【0136】
[比較例2](JUM1−46−1)
200.000g(0.900mol)のレゾルシノールジグリシジルエーテル、53.136g(0.450mol)のコハク酸、77.475g(0.900mol)のメタクリル酸、1.653gのトリエチルベンジルアンモニウムクロリド、及び0.331gの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを、90℃まで加熱しながら均質混合し、90℃で6時間反応させた。得られたメタクリレート末端マクロマー(n=1)は、クロロホルム、DMF及びTHF等の有機溶媒に可溶性のものである。IRスペクトルでは、915cm
−1〜3050cm
−1におけるエポキシド基の吸収が観測されなかった。エステル基の新たな吸収が1720cm
−1に見られた。
【0137】
M
n(calc.)=734.8g/mol、 η=7760Pa
*s、
【数27】
=1.5350
【0138】
[比較例3](CBI02−40−01)
10.000g(0.036mol)の1,2−ジグリシジルフタレート、2.122g(0.018mol)のコハク酸、3.094g(0.036mol)のメタクリル酸、0.334gのトリエチルベンジルアンモニウムクロリド、及び0.069gの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを、90℃で6時間反応させた。得られたメタクリレート末端マクロマー(n=1)は、クロロホルム、DMF及びTHF等の有機溶媒に可溶性のものである。IRスペクトルでは、915cm
−1〜3050cm
−1におけるエポキシド基の吸収が観測されなかった。エステル基の新たな吸収が1720cm
−1に見られた。
【0139】
M
n(calc.)=846.8g/mol、η=2286Pa
*s、
【数28】
=1.5210
【0140】
得られたマクロマーを、表7にまとめたようにTGDMAに溶解させた。
【0141】
【表7】
【0142】
得られたBPAを含まないマクロマー(n=1)の曲げ強度及び屈折率は低すぎる。