特許第6458064号(P6458064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6458064ジケトピペラジンを含む治療のための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458064
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】ジケトピペラジンを含む治療のための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4045 20060101AFI20190110BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20190110BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20190110BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20190110BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   A61K31/4045
   A61K47/18
   A61K47/22
   A61K9/14
   A61P25/06
【請求項の数】2
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-21017(P2017-21017)
(22)【出願日】2017年2月8日
(62)【分割の表示】特願2013-538866(P2013-538866)の分割
【原出願日】2011年11月9日
(65)【公開番号】特開2017-110026(P2017-110026A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2017年3月9日
(31)【優先権主張番号】61/411,775
(32)【優先日】2010年11月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/412,339
(32)【優先日】2010年11月10日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503208552
【氏名又は名称】マンカインド コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】レオーネ−ベイ、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ストーウェル、グレイソン ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ガーネリ、ジョセフ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】カールソン、ドーン エム
(72)【発明者】
【氏名】グラント、マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】スマットニー、チャド シー
【審査官】 新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−527583(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/055740(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A61P 25/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
効果的な量におけるスマトリプタン、ロイシン、および、ジケトピペラジンまたはその塩を含み、
前記ジケトピペラジンは、3,6−ビス[(N−フマリル−4−アミノブチル)]−2,5−ジケトピペラジンまたはその塩である、
薬学的組成物。
【請求項2】
乾燥粉末である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年11月10日に出願された米国仮特許出願第61/412,339号の利益を主張するものであり、この全体の開示を参照によりここに組み込む。
【0002】
本出願は、2008年10月28日に出願された米国特許出願第12/258,341号の一部継続出願でもある。当該出願は、2007年10月24日に出願された米国仮特許出願第60/982,368号、2007年11月5日に出願された第60/985,620号、2008年3月4日に出願された第61/033,740号、2008年5月9日に出願された第61/052,127号、2008年1月18日に出願された第61/022,274号、および2008年9月5日に出願された第61/094,823号の利益を主張するものである。これらのそれぞれの出願の全体の開示を参照によりここに組み込む。
【0003】
本出願は、2011年6月21日に出願されたPCT/US11/41303の一部継続出願でもあり、当該出願は、2010年11月9日に出願された米国仮特許出願第61/411,775号および2010年6月21日に出願された米国仮特許出願第61/357,039号の利益を主張するものである。これらのそれぞれの出願の全体の開示を参照によりここに組み込む。
【0004】
偏頭痛を治療するための方法および組成物を開示する。当該方法は、スマトリプタンのようなトリプタンを含む小分子を含有する薬学的製剤を、治療を必要とする患者へ肺吸入のための薬物送達システムを利用して投与する。特に、経口吸入のための呼吸式乾燥粉末吸入器を構成する薬物送達システムを開示する。
【背景技術】
【0005】
病気治療のために、活性成分を循環に取り込む疾患治療の薬物送達システムは非常に多く、経口、経皮、皮下および静脈投与を含む。これらのシステムはかなり長期間にて利用されていて、多くの疾患治療のために充分な薬物を送達可能としている。しかし、当該薬物送達メカニズムに関連した多くの課題も存在する。特に、標的の疾患を治療するためのタンパク質およびペプチドの効果的な量の送達については、不確実性を有していた。多くの要素が関連し、例えば適切に薬物送達製剤に調製された活性剤であっても量が少なくなるように誘導される。従って、当該製剤は、効果的な量においてその作用箇所に到達することができる活性剤の量を含んでいる。
【0006】
活性剤は薬物送達製剤中において安定しているべきであり、当該製剤は循環内において活性剤の吸収を起こさせ、活性を残すべきである。そして、調製される投与量を最小化する一方で、効果的な治療レベルにて標的とする作用箇所に到達可能となっている。このように、薬理学的な技術において、安定した活性剤を送達し得る薬物送達システムは利用されている。
【発明の概要】
【0007】
ほ乳類の循環システム内へ、セロトニン受容体アゴニストまたはセロトニン受容体アンタゴニストを含むセロトニン受容体モジュレーターのような活性剤を誘導する方法が、ここには開示されている。当該方法は、治療を必要とする患者に投与される、活性剤の非活性化または分解を防ぐ薬物送達システムの方法を含む。治療上効果的な方法において肺循環へと活性剤が送達するよう、特に、当該薬物送達システムは、吸入によるもののような肺の薬物送達のために設計されている。1つの実施の形態では、当該薬物送達システムは、例えば、酵素での非活性化に対し敏感な薬物において、経口、皮下および静脈投与での薬物送達等の他の方法よりも有益であり、または標的箇所に到達する前での局所的な周囲および導管(血管)組織における他の小分子の分解を防ぐ。
【0008】
ここに記載する1つの実施の形態では、それを必要とする患者に活性剤を提供する方法が開示されている。当該方法は、活性剤の有効性が分解により減少する患者におけるその分解を受ける活性剤を選択すること、肺吸入のために適当な薬学的組成物を作るよう当該活性剤とジケトピペラジンを会合させること、および、その他の投与経路での標準投与量よりもより少ない投与量において、当該活性剤が治療上効果的な量にて実質的に分解または非活性化することなく標的箇所に到達するよう、患者へ当該薬学的組成物を提供すること、を含む。
【0009】
また、ここに、疾患または症状の治療方法についても記載されている。当該方法は、不安定な活性剤により治療している患者、または治療可能な症状を有している患者を選択すること、ジケトピペラジンと会合している当該不安定の活性剤を含む組成物を提供すること、および、肺吸入を経て当該患者に当該組成物を投与すること、を含む。これにより、疾患または症状を治療する。
【0010】
別の実施の形態では、薬物送達システムは、第1の経路の代謝からの活性剤の分解を避けて、当該活性剤は肺の中における動脈循環内に投与され、治療上効果的なレベルにおいて標的器官に送達される。これは、静脈血液循環、周囲組織、胃腸機能または肝臓において起こる分解を避けていることによる。この実施の形態では、活性剤は、他の投与経路を通る場合必要とされる濃度よりも、より低い濃度において送達することができる。特定の実施の形態では、当該活性剤は、セロトニン受容体と結合しセロトニン受容体アゴニストである分子を含む、小分子である。1つの実施の形態では、当該分子は脳内の血管収縮を誘導し、膨張・腫れおよび頭痛を和らげる。1つの実施の形態では、むかつき、吐き気および光や騒音に対する敏感性の症状を示す、対象における日常生活に影響する中度から重度の頭痛の治療のために、当該組成物は使用される。
【0011】
別の実施の形態では、当該ジケトピペラジンは、2,5−ジケト−3,6−ジ(4−X−アミノブチル)ピペラジンまたはその薬学的に許容される塩であり、Xは、スクシニル、グルタリル、マレイルおよびフマリルからなる群から選択される。別の実施の形態では、当該薬学的組成物は吸入可能な乾燥粉末製剤である。さらに別の実施の形態では、当該吸入可能な乾燥粉末製剤は、さらに、薬学的に許容可能なキャリアまたは添加剤を含んでいる。
【0012】
1つの実施の形態では、当該吸入可能な乾燥粉末製剤は、乾燥粉末吸入システムを使用する肺吸入により、患者へ提供される。別の実施の形態では、当該システムは、容器を備える、または備えない乾燥粉末吸入器、ならびに乾燥粉末製剤を含む。
【0013】
1つの例示的な実施の形態では、偏頭痛の治療のための方法が提供される。当該方法は、治療を必要とする患者へ経口吸入により乾燥粉末組成物を投与することを含む。ここで、当該乾燥粉末組成物は、スマトリプタン、アルモトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタンおよびその薬学的に許容可能な塩等のトリプタンを含む偏頭痛の治療のための活性剤、ならびに、フマリルジケトピペラジンのようなジケトピペラジン置換体またはフマリルジケトピペラジンジナトリウム塩のようなジケトピペラジン塩を、含有する。当該乾燥粉末組成物は、患者によって必要とされた際、または医師によって決められ指示されたとおりに、偏頭痛の症状が現れた時において当該患者に投与され得る。1つの実施の形態では、トリプタンの投与は不必要な副作用を減少させ、または避けさせることができる。当該副作用は、紅潮、汗、立ちくらみ、疲労、疼き、眠気、目眩、口の乾燥、胸やけ、腹部の痛み、腹部の痙攣、衰弱、熱または寒気、タブレットおよび鼻スプレーからの苦い味、ならびに、注入箇所での局所的な痛みを含む、注入またはタブレット薬物治療に関連するものである。当該副作用等の減少等は、他の投与様式にて必要とされるトリプタンの量の減少によるものである。
【0014】
特定の実施の形態では、偏頭痛に関連する症状の治療方法は、当該治療を必要としている対象に、吸入により治療上効果的な量の乾燥粉末薬学的組成物を投与することを含む。当該乾燥粉末薬学的組成物は、スマトリプタン、アルモトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタンおよびその薬学的に許容可能な塩を含むトリプタンと、ビス[3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)]−2,5−ジケトピペラジンまたはビス[3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)]−2,5−ジケトピペラジンジナトリウム塩を含む組成物におけるジケトピペラジン置換体と、を含有している。特定の実施の形態では、当該薬学的組成物は、薬学的に許容可能なキャリアまたはその他の不活性剤を含有する乾燥粉末を含み得る。いくつかの実施の形態では、乾燥粉末組成物におけるトリプタンの量、例えば、スマトリプタンコハク酸塩の量は、対象の要望に応じて変えてもよい。例えば、当該トリプタンは1mgまたはそれよりも多い量において存在し得る。例示的な実施の形態では、肺吸入での粉末におけるスマトリプタンコハク酸塩を含むスマトリプタンまたはその塩の量は、約1mgから約50mgの範囲において投与され得る。別の実施の形態では、当該トリプタンはリザトリプタン塩であり、安息香酸塩を含むがこれに限定はされない。他の実施の形態では、当該トリプタン塩は、例えば、アルモトリプタンリンゴ酸塩、フロバトリプタンコハク酸塩、エレトリプタン臭化水素酸塩、およびナラトリプタン塩酸塩を、挙げることができる。特定の実施の形態では、当該乾燥粉末組成物は、例えば、アラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシンまたはノルロイシンのような脂肪族アミノ酸等のアミノ酸を、重量にて約0.5%から約30%の範囲の量において、任意に含有していてもよい。1つの特定の実施の形態にて、当該乾燥粉末組成物は、アミノ酸L−ロイシンを含む。いくつかの実施の形態では、薬学的組成物は微粒子を含み、微粒子は1)ジケトピペラジンと、トリプタン等のセロトニン受容体アゴニストおよび脂肪族アミノ酸の少なくとも1つと、を含み得る。トリプタンおよび/または脂肪族アミノ酸は、ジケトピペラジン微粒子において、組み込まれ、付着し、複合化し、またはその表面を覆うことができる。いくつかの実施の形態にて、ジケトピペラジン微粒子は、トリプタンのようなセロトニン受容体アゴニストおよび脂肪族アミノ酸のうちの少なくとも1つにて、表面を覆われてもよい。
【0015】
代替の実施の形態では、当該偏頭痛の治療方法は、トリプタンを含有する乾燥粉末組成物の経口吸入による投与と、任意での、第2の医薬品または薬物の投与との組み合わせの治療を含み得る。当該第2の医薬品または薬物は、例えば、フルオキセチンおよびデュロキセチンのような選択的セロトニン再取り込み阻害剤が挙げられ、これらは経口タブレットまたは注入のような他の投与の経路により与えられ得る。1つの実施の形態では、当該組み合わせの治療は、トリプタンと、吸入により投与され得る1つまたは複数の追加の薬物とを含有する、乾燥粉末組成物を含み得る。
【0016】
開示する方法の別の実施の形態では、患者へ当該組成物を投与するステップは、容器を有する、または有さない呼吸による乾燥粉末吸入器を利用した吸入による当該乾燥粉末組成物の肺投与を含む。当該容器は、再利用吸入器、または単回使用吸入器のための単位投与カートリッジのような、カートリッジとすることができる。この、および他の実施の形態では、当該乾燥粉末吸入器システムは、毎分約0.0065から約0.200√(kPa)/Lの使用におけるその導管(血管)を通る空気流動抵抗値を有する高抵抗乾燥粉末吸入器を含む。使用において、当該乾燥粉末吸入器は、容器を通る際にて約10%から約30%の空気流動分配を有し、これは約2kPaから約20kPaへのピーク吸入圧力差、および毎分7Lから約70Lのピーク流量を生じさせる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、スマトリプタン−NaFDKP噴霧−乾燥粉末を含む溶液のHPLCクロマトグラムを示す。
図2図2のAおよびBは、本発明の方法により製造したスマトリプタン−NaFDKPを含む3つの粉末の走査型電子顕微鏡図である。AおよびBのパネルでは、L−ロイシンなしの粉末粒子が示されている。パネルCおよびDは10%ロイシンを用いて粉末粒子が作られたものであり、パネルEおよびFは20%ロイシンを用いて粉末粒子が作られたものである。
図3図3は、SC注入によるスマトリプタン投与および滴下注入によるスマトリプタン鼻腔噴霧と比較した、吸入によるスマトリプタン−NaFDKPの投与の投与後4時間の間における、血液サンプルの投与標準スマトリプタン濃度のグラフを示す。
図4図4は、空気にて曝露したコントロールの犬と比較した、鼻腔噴霧でのスマトリプタン投与、点滴でのスマトリプタン投与、および吸入によるスマトリプタン−NaFDKP投与の後の、犬の血液中における平均スマトリプタンレベルを示すグラフを表している。
図5図5は、鼻腔滴下注入によるImitrex(登録商標)投与および吸入によるスマトリプタン−NaFDKP投与と比較した、点滴でのスマトリプタン投与の効果を示す血液導管(血管)直径での薬物動態学的データのグラフを表している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
用語の定義
本発明を開示する前に、補助となるよう以降に使用され得る特定の用語の意味を述べる。
【0019】
活性剤:ここに使用されている“活性剤”としては、薬物、薬剤物質および生理活性剤を含む。活性剤は、典型的に分子量において約1000よりも小さい小分子でもよく、必ずしも繰り返し単位を有していなくてもよい。活性剤は、核酸、合成有機化合物、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、多糖および他の糖、ならびに脂質を含む、有機高分子でもよい。ペプチド、タンパク質およびポリペプチドは、ペプチド結合により結合しているアミノ酸の全鎖である。ペプチドは一般的に40アミノ酸残基よりも少ないものと考えられているが、より多く含んでもよい。タンパク質は、典型的には、40アミノ酸残基よりも多く含んでいるポリマーである。当該技術分野にて知られていて、ここに使用されている、用語ポリペプチドは、ペプチド、タンパク質、または多数のペプチド結合を含む任意の長さのアミノ酸の任意の鎖を意味し得るが、一般的に少なくとも10アミノ酸を含むものである。当該活性剤は、血管作用剤、神経活性剤、ホルモン、抗凝血性剤、免疫調節剤、細胞毒性剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗原および抗体のような、様々な生物学的活性での分類が含まれ得る。より具体的には、活性剤は、限定する意味ではないが、インシュリンおよびその類似体、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン(PTH)、グレリン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、およびそのようなペプチドの類似体、アルキン、シクロスポリン、クロピドグレルおよびPPACK(D−フェニルアラニル−L−プロリル−L−アルギニンクロロメチルケトン)、抗体およびこれらの断片(限定されるわけではないが、人工またはキメラ抗体;F(ab)、F(ab)、または単体もしくは他のポリペプチドとの融合での単鎖抗体;癌抗原、サイトカイン、感染性剤、炎症性媒体、ホルモンおよび細胞表面抗原に対する、治療上または診断でのモノクローナル抗体、を含む)を含有してもよい。
【0020】
ジケトピペラジン:ここで使用される、“ジケトピペラジン”または“DKP”は、ジケトピペラジン、その誘導体、類似体および修飾体を含み、これは前述の任意の塩形態および非塩形態の両方において、一般構造式1の範囲内となるものである。配置1および4における環原子EおよびEはOまたはNのいずれかであり、配置3および6において位置している側鎖RおよびRの少なくとも1つはそれぞれカルボン酸(カルボン酸塩)グループを含む。構造式1による化合物は、限定されることはないが、ジケトピペラジン、ジケトモルホリンおよびジケトジオキサン、ならびにそれらの置換類似体を含む。
【化1】
【0021】
ジケトピペラジンは、空気力学的に適切な微粒子の製造に加え、迅速に生理的pHにおいて溶解させることにより活性剤の送達を促進させることもできる。これは当該活性剤を放出し、循環の中でのその吸収を速めるためである。ジケトピペラジンは、薬物を取り込む粒子中において形成されたり、または薬物が吸収され得る粒子のその表面上に形成することができる。薬物とジケトピペラジンとの組み合わせは、改良された薬物の安定性を与え得る。これらの粒子は、様々な投与経路によって投与され得る。乾燥粉末のように、これらの粒子は、粒子の大きさに応じて吸入により呼吸システムの特定の領域へと送達され得る。さらに、当該粒子は、静脈懸濁液投薬形状の中に取り込まれるために、充分に小さく作ることができる。経口送達では、懸濁液、タブレットまたはカプセル内に取り込まれた粒子を用いても可能である。
【0022】
1つの実施の形態では、当該ジケトピペラジンは、3,6−ジ(フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケトピペラジン(フマリルジケトピペラジン、FDKP)である。FDKPは、エアロゾル化され得るか、または懸濁液に与えられ得るその酸形態または塩形態において、微粒子を構成している。
【0023】
別の実施の形態では、DKPは、3,6−ジ(4−アミノブチル)−2,5−ジケトピペラジンの誘導体であり、アミノ酸リシンの(熱)濃縮により形成することができる。例示的な誘導体では、3,6−ジ(スクシニル−4−アミノブチル)−、3,6−ジ(マレイル−4−アミノブチル)−、3,6−ジ(グルタリル−4−アミノブチル)−、3,6−ジ(マロニル−4−アミノブチル)−、3,6−ジ(オキサリル−4−アミノブチル)−、および3,6−ジ(フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケトピペラジン、を含む。米国特許第5,352,461号、第5,503,852号、第6,071,497号および第6,331,318号明細書では、ジケトピペラジンおよびジケトピペラジンを媒介した薬物送達に関して開示されており、これらのそれぞれを全てにおいて参照によりここに組み込む。また、これらには、DKPが使用され得る例についても記載されている。DKP塩の利用は、米国特許第7,820,676号明細書にて記載されており、ジケトピペラジン塩に関して開示されている全てを、参照によりここに組み込む。DKP微粒子を利用する肺薬物送達は、米国特許第6,428,771号明細書において開示されており、当該記述をその全体において参照によりここに組み込む。DKP結晶粒子上の活性剤の吸収に関するさらなる詳細が、米国特許第7,799,344号および第7,803,404号明細書において見つけることができ、これらの全体を参照によりここに組み込む。
【0024】
薬物送達システム:ここに使用されている、“薬物送達システム”は、1つまたは複数の活性剤を送達するためのシステムを意味する。
【0025】
乾燥粉末:ここに使用されている、“乾燥粉末”は、推進剤、キャリアまたは他の液体中において懸濁または溶解しない、細かい粒子状の組成物を意味する。必ずしも、全ての水分子が完全に存在しないものを示すことを意味するわけではない。
【0026】
充填毎呼吸性画分%(%RF/Fill):ここに使用されている、“%RF/Fill”は、吸入器または薬物送達システムから放出される粉末粒子の量を意味する。当該粒子は、呼吸に適する範囲であり、5.8μmよりも小さくなり得る。これは、吸入器または薬物送達システム内に満たされた粉末の総量により標準化された量である。いくつかの実施の形態では、当該吸入器は乾燥粉末を含むためのカートリッジを備えている。
【0027】
微粒子:ここに使用されている、用語“微粒子”は、直径において一般的に0.5から100ミクロンの粒子を含み、特には、直径において10ミクロンより小さいものを意味する。多様な実施の形態では、より特定の大きさの範囲を伴うだろう。当該微粒子は不均一な表面と内部の空洞を有する結晶プレートの集まりであり得る。これらはDKP酸のpH制御沈殿により作られるものに典型的である。そのような実施の形態では、当該活性剤は、沈殿プロセスにより取り込まれ、または微粒子の結晶表面上にて覆われ得る。当該微粒子は、至る所で分散した活性剤を有するDKP塩を備える球殻または崩壊している球殻でもあり得る。典型的に、そのような粒子は、DKPおよび活性剤の共液の噴霧乾燥により得ることができる。そのような粒子における当該DKP塩は無定形となり得る。当該前述の記載にて例として理解されるだろう。微粒子の他の形状は、当該用語により推定され、包括される。
【0028】
周囲組織:ここに使用されている、“周囲組織”は、器官または導管(血管)に関連しており、任意の結合組織、または間質性組織を意味する。
【0029】
増強作用:一般的に、増強作用とは、何らかの製剤について、当該製剤にて得られるだろうというレベルを越えて、当該製剤の効果または活性が増加する条件、または作用を意味する。同様に、直接的に、増加した効果または活性を意味してもよい。肺吸入:ここに使用されている、“肺吸入”は、肺に到達するよう、具体的な実施の形態では肺の気胞領域に到達するよう、吸入による薬学的調製物の投与を意味するように使用されている。典型的には、吸入は口を通過するが、代替の実施の形態において鼻を通過する吸入も伴い得る。
【0030】
詳細な記載
活性剤を肺循環へ効果的に送達できる薬物送達システムを利用する、疾患または疾病の治療方法について開示する。これによると、当該活性剤は肺循環に入り、治療上の量において作用箇所へと送達することができる。当該疾患または疾病の治療方法は、活性剤を直接的または間接的に肺循環の中へ、そしてそれにより動脈循環へと送達させ、局部的な肺の周囲および/または導管(血管)組織における酵素または他のメカニズムによる活性剤の分解を避けることが可能な製剤を、患者へ投与することを含む。1つの実施の形態では、当該方法は、循環内への活性剤の肺吸収をかなり迅速とし、その効果的なバイオアベイラビリティーを増加させる薬物送達システムを利用する、効果的な活性剤の治療での送達を含む。この実施の形態では、この投与方法により、より少ない活性剤の投与量にて送達することができる。同様の実施の形態では、他の投与方法によって、それが適さない場合にも、効果的な投与が達成され得る。
【0031】
ここでの実施の形態では、疾患の治療方法を開示する。本発明者らは、薬物が静脈システムを通って戻る前に標的器官に到達するよう、非侵襲性の方法で、体循環、特には動脈循環へと直接的に薬物を送達することの必要性を確認した。このアプローチは、逆説的ではあるが、静脈内、皮下または他の非経口の経路を介した比較できる投与の結果よりも、標的器官が活性剤により高いピークにて曝されるという結果になるであろう。当該製剤が消化管における分解から保護される特性を有していてさえいれば、吸収の際、活性剤が静脈循環にも入るため、経口投与でも同様の利益を得ることができる。
【0032】
1つの実施の形態では、薬物送達システムは、局所的な分解酵素または他の分解メカニズムを有する直接的な接触により、迅速に代謝され、および/または分解される任意の活性剤の類と共に使用され得る。当該代謝・分解には、例えば、経口、静脈内、経皮および皮下投与のような他の投与の経路にて存在している周囲または導管(血管)静脈組織における、酸化、リン酸化、または小分子、タンパク質もしくはペプチドを含む分子の任意の変化が挙げられる。この実施の形態では、当該方法は、その活性が経口、皮下または静脈投与にて代謝または分解される活性剤を特定し、それを選択するステップを含み得る。これは、インシュリンのように、そのような投与様式によって効果的に送達されるペプチドとは対称的である。このような実施の形態にて、当該薬物の投与方法は、例えば、薬物が注入のような侵襲的な治療をすることなく動脈循環を通り、より迅速に標的器官に到達することができるので、迅速な治療の開始という点で有益である。
【0033】
ある実施の形態では、当該疾患または疾病の治療方法は、吸入のために適しているキャリアを選択し、活性物質を肺気胞へと送達するステップを含む。この実施の形態では、当該キャリアは1つまたは複数の活性剤と会合することができ、肺の周囲および導管(血管)静脈組織において活性剤が迅速に分解されることを避ける組成物として投与され得る薬物/キャリア複合体を形成する。1つの実施の形態では、当該キャリアはジケトピペラジンである。
【0034】
ここに記載する当該方法は、小分子および生物学的物質を含む活性剤の、多くの種類を送達するために利用することができる。特定の実施の形態では、当該方法は、小分子またはペプチドホルモンを含む活性剤の治療上の量を、迅速に動脈循環内に効果的に送達する薬物送達システムを利用する。1つの実施の形態では、1つまたは複数の活性剤は、限定されないが、分解または非活性化の反応を起こしやすい、ペプチド、タンパク質、リポカイン、小分子複合薬および核酸等を含む。当該活性剤は、ジケトピペラジンを含有する乾燥粉末組成物内にて製剤化され、カートリッジおよび乾燥粉末吸入器を利用する肺吸入によって体循環内へ送達される。1つの実施の形態では、当該方法は、例えば、真皮または肺の、局所的導管(血管)または周囲組織において酵素と反応を起こしやすいペプチドを選択することを含む。本発明の方法では、当該活性剤に、周囲組織、静脈または肝臓代謝/分解との接触を避けさせ、または減少させる。別の実施の形態では、全身送達のための当該活性剤は、肺での特定の受容体を有するべきではない。
【0035】
代替の実施の形態では、当該薬物送達システムは、疾患または疾病を治療するため、天然生成、組み換えまたは合成での物質である、治療上ペプチドまたはタンパク質の送達のために使用することもできる。当該物質には、限定はされないが、アディポネクチン、コレシストキニン(CCK)、セクレチン、ガストリン、グルカゴン、モチリン、ソマトスタチン、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)、IGF−1、成長ホルモン分泌因子(GHRF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、抗−IL−8抗体、ABX−IL−8を含むIL−8アンタゴニスト、インテグリンβ−4前駆体(ITB4)受容体アンタゴニスト、エンケファリン、ノシセプチン、ノシスタチン、オルファニンFQ2、カルシトニン、CGRP、アンジオテンシン、サブスタンスP、ニューロキニンA、膵臓ポリペプチド、ニューロペプチドY、デルタ睡眠誘発ペプチド、PG−12を含むプロスタグランジン、LY29311、BIIL284、CP105696を含むLTB受容体阻害剤、血管作動性腸管ペプチド、スマトリプタンのようなトリプタン、C16:1n7のようなリポカイン、パルミトレイン酸塩およびこれらの類似体、を含有する。さらに別の実施の形態では、当該活性剤は小分子薬物である。
【0036】
いくつかの実施の形態では、乾燥粉末製剤は安定した組成物であり、吸入に適しており、肺において迅速に溶け、セロトニン受容体アゴニストのような薬物を肺循環へと迅速に送達する微粒子を含み得る。肺投与のために適した粒子の大きさは、直径において、10μmよりも小さく、好ましくは5μmよりも小さくなり得る。例示的な粒子の大きさは、直径において、約0.5μmから約5.8μmの肺気胞の範囲に届き得る。そのような大きさは、具体的には空気力学的直径を意味しているが、大体は実際の物理的直径とも一致する。そのような粒子は肺管に到達し、肺における周囲組織との広範な接触を避けることができる。この実施の形態では、当該薬物を迅速な方法において動脈循環へと送達することができ、体内におけるその標的または作用箇所に到達する前に、酵素または他のメカニズムによる当該活性成分の分解を避けることができる。1つの実施の形態では、セロトニン受容体アゴニストのようなセロトニン受容体媒体とFDKPとを含有する肺吸入のための乾燥粉末組成物は、微粒子を含み得る。当該微粒子の約35%から約75%までは5.8μmよりも小さい空気力学的直径を有している。
【0037】
様々な実施の形態での送達方法では、活性剤の作用箇所へのより直接的な経路を提供することができる。このように、分解を避けることに加え、いくつかの例では、依然として部分的にそれに起因するが、当該活性剤の体内分布は、体内の作用箇所に到達する前に、静脈循環への吸収を伴い、静脈循環を通って移動する送達の様式にて達成したものとは異なり得る。従って、活性剤の濃度を特定する静脈血液のサンプリングは、他の投与様式を利用する場合では作用箇所における活性剤の濃度を多く見積もっていることとは対照的に、開示する本発明の実施の形態を使用する場合、当該活性剤の濃度を少なく見積もってもよい。より不安定な活性剤では、この効果はより大きくなり得る。多様な効果および作用箇所を有する活性剤では、異なる効果の配合が観察され得る。これは、異なる作用箇所での相対的な濃度が、他の投与様式を使用して達成されるものとは異なるからだろう。このことは、より大きい効果的なバイオアベイラビリティー、および望まない効果の回避等に、さらに貢献することができる。
【0038】
1つの実施の形態では、吸入可能な製剤は、2,5−ジケト−3,6−ジ(4−X−アミノブチル)ピペラジンを含むジケトピペラジンまたはジケトピペラジン塩を有するセロトニン受容体アゴニストを含有する乾燥粉末製剤を含む。Xは、スクシニル、グルタリル、マレイルおよびフマリルからなる群から選択される。この実施の形態では、当該吸入可能な製剤は、前述したような空気力学的特徴を有する活性成分を含有する吸入のための微粒子を備え得る。1つの実施の形態では、活性成分の量は、当該技術分野の通常の技術を有するものにより決定され得るが、本発明の微粒子は、患者の必要に応じて、多様な活性成分の量が装填され得る。例えば、セロトニン受容体アゴニストでは、当該微粒子は、製剤において、約1%(w/w)から約75%(w/w)での当該活性成分を含み得る。特定の実施の形態では、吸入可能な製剤は、約10%(w/w)から約30%(w/w)での薬学的組成物を含み得る。また、薬学的に許容可能なキャリア、またはポリソルベート80等の界面活性剤のような添加剤をも含み得る。この実施の形態では、セロトニン受容体アゴニストは、患者に対し、1日に1回から約4回において、または患者が必要とした際に、製剤において約0.05mgから約5mgまでの範囲の量にて投与され得る。
【0039】
1つの実施の形態では、活性成分を含む製剤は、乾燥粉末製剤において、乾燥粉末吸入器を使用する吸入により患者に投与され得る。このような吸入器は、例えば、米国特許第7,305,986号明細書および米国特許出願番号第10/655,153(US2004/0182387)において開示されており、これらの記載を参照によりここに組み込む。活性成分を含む乾燥粉末製剤の繰り返しでの吸入も、必要であれば投与され得る。いくつかの実施の形態では、当該製剤は、1日に、1回、2回、3回または4回において投与され得る。
【0040】
さらなる実施の形態では、偏頭痛での方法は、化学式2,5−ジケト−3,6−ジ(4−X−アミノブチル)ピペラジンを有するジケトピペラジンを含有する吸入可能な乾燥粉末組成物の投与を含む。ここで、Xは、スクシニル、グルタリル、マレイルおよびフマリルからなる群から選択されるものである。この実施の形態では、当該乾燥粉末組成物は、ジケトピペラジン塩を含み得る。また、さらなる別の実施の形態では、ジケトピペラジンが2,5−ジケト−3,6−ジ−(4−フマリル−アミノブチル)ピペラジンであり、薬学的に許容可能なキャリアまたは添加剤を有する、または有さない乾燥粉末組成物が提供される。
【0041】
別の実施の形態では、肺送達のための粉末を含有する治療上効果的な薬学的組成物を使用する、偏頭痛の治療方法が開示される。当該粉末は、ジケトピペラジンおよびセロトニン受容体アゴニストのような偏頭痛治療のための活性剤の微粒子を含有する。この実施の形態では、当該薬学的組成物は、例えば、FDKPまたはFDKP塩(例えばFDKPジナトリウムを含むFDFKP2価塩が挙げられる)を含むジケトピペラジン、および、活性剤としての血管収縮剤を含有する小分子を含む。血管収縮剤の例としては、スマトリプタン、アルモトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、ならびにスマトリプタンコハク酸塩、リザトリプタン安息香酸塩およびアルモトリプタンリンゴ酸塩を含むこれらの薬学的に許容可能な塩等のトリプタンを含有する、セロトニン受容体アゴニストが挙げられる。1つの実施の形態では、血管収縮剤、例えばトリプタンは、治療を必要とする患者に対して、少なくとも約0.1mg、少なくとも約1mg、少なくとも約5mg、約50mgもしくはそれより少ない量、約40mgもしくはそれより少ない量、約1mgから約50mg、約5mgから約30mg、約10mgから約20mg、約1mg、約10mg、約20mgの範囲の量において、またはこれらの任意の値により境界つけられた範囲の任意の量において、またはこれらの任意の値の間の量において、提供され得る。トリプタンを含む薬学的組成物は、毎日、1日2回、1日3回等での定期的に与えられ得るし、および/または、偏頭痛の症状が出て必要とされる際にて与えられ得る。1つの実施の形態では、当該トリプタンは吸入により患者へと投与され得る。特定の実施の形態では、当該トリプタンは、肺における動脈循環へと送達するために、経口吸入により患者へ提供される。
【0042】
例示的な実施の形態では、当該薬物送達製剤は、例えばアラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシンおよびセリンのような、脂肪族アミノ酸を含み得る。特定の実施の形態では、脂肪族アミノ酸は、当該組成物の重量にて、約0.5%から約30%の割合である。特定の実施の形態では、薬学的組成物はL−ロイシンを含む。1つの実施の形態では、当該薬学的組成物は、FDKPジナトリウム塩、スマトリプタンおよびL−ロイシンを含有する、経口吸入のための乾燥粉末を含む。
【実施例】
【0043】
次の実施例には、特定の実施の形態を証明するためのものが含まれる。実施例に開示されている技術は、本発明の実施においてよく機能する代表技術を明瞭としていることを、当業者によって認められるべきである。しかし、当業者は、本発明の開示内容の焦点において、本発明の概念および観点から離れていない限り、開示されている特定の実施の形態において多くの変形を作ることができ、そして類似または同様の結果を得るということを認めるべきである。
【0044】
実施例1
スマトリプタン−フマリルジケトピペラジンジナトリウム(スマトリプタン−NaFDKP)乾燥粉末の調製および特性評価
スマトリプタン−NaFDKP粉末は、市販されているスマトリプタンコハク酸塩のタブレットから調製した。スマトリプタンコハク酸塩(Imitrex(登録商標)、GlaxoSmithKline)を、溶液を形成するようHPLC分画液に懸濁させた粉砕タブレットから抽出した。その後、溶解していない添加物を取り除くために当該溶液を0.45μmのナイロンシリンジフィルターでろ過し、コハク酸塩群を取り除くために、当該ろ液を第4級アミンイオン分取抽出カラムに通した。その後、溶液内における10mg/mLよりも大きい濃度のスマトリプタンは、溶液内の約10mg/mLよりも大きい濃度のNaFDKPの溶液と混合した。当該NaFDKPは、前もって調製しておくか、または水酸化ナトリウムの2当量での溶解によるFDKP遊離酸から調製した。いくつかの実施の形態では、FDKPに対するスマトリプタンの出発溶液の濃度の割合は1よりも大きい。当該溶液は、約145℃から約200℃の注入時の温度、約75℃から約85℃の排出時の温度にて噴霧乾燥した(Buchi Mini Spray Dryer Model B-290)。乾燥ガスは、約670L/hrの流量における窒素にて行った。そのように、乾燥粉末を得た。
【0045】
粉末内のスマトリプタンの量を確かめるため、粉末の試料をHPLC溶液に溶解し、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを使用して含有量を分析した。HPLCでの方法は、FDKPの存在下におけるスマトリプタンを定量化した。図1は、溶解させた粉末の溶液のHPLCクロマトグラムを示し、2つの化合物が容易に分離、特定できることを示している。粉末は、熱分析(TGAおよびDSC)、ならびにカスケードインパクトによっても試験が行われた。テーブル1は、その方法により作られたスマトリプタン−NaFDKP特性の代表的なデータを示しており、溶液におけるFDKPに対するスマトリプタンコハク酸塩濃度の割合は、約1.5であった。
【表1】
【0046】
本発明の方法により作られたスマトリプタン−NaFDKP粉末は、スマトリプタンの重量に基づくと約40%も含有していた。乾燥減量(LOD)により決定した水分含有量は、約3.4%であった。フィル毎の吸入可能な画分は約18%であり、米国特許出願番号第12/473,125号(US2009/0308390)において開示されているような呼吸での吸入器を使用すると、吸入器(カートリッジが空の状態、CE)により送達される、または放出される粉末の量は約68%であった。なお、当該出願の開示内容は、その全体において参照により組み込まれる。
【0047】
テーブル2は、バルク乾燥粉末の特性を示しているものである。
【表1a】
【0048】
実施例2
スマトリプタン−NaFDKP乾燥粉末における、ラットでの薬物動態学(PK)および薬効学(PD)の試験
粉末調製および特性評価:スマトリプタンコハク酸塩をLGM Pharma(Boca Raton, FL)から得ること、結果として形成される噴霧乾燥での粉末の空気力学的特性が改良されるかどうかを調べるためL−ロイシンを加えることを除き、スマトリプタン−NaFDKP粉末は、前述の実施例1の記載と同様に調製した。5gでの4.5%の全固形濃度における、3つの試料溶液を調製した。試料溶液は、FDKPジナトリウム塩、スマトリプタンコハク酸塩、およびL−ロイシン(0−20wt%)を脱イオン水に加えて攪拌することにより調製した。当該溶液は、希アンモニア水を用いて滴定し、pH6.00とした。この結果生じた透き通った試料溶液は、0.2μmPESろ過膜を通して減圧ろ過され、実施例9にて記載するように噴霧乾燥を行った。しかし、乾燥ガスの流量を25kg/hrとし、噴霧流量を約4kg/hr、噴霧圧力を約4barとした。それぞれの溶液における(乾燥での)スマトリプタンコハク酸濃度は56%で、40%のスマトリプタン目標荷重を得られた。当該粉末を、HPLC、カスケードインパクト、カールフィッシャー滴定、電子顕微鏡走査(SEM)、ならびにタップおよびバルク密度により分析した。これらの試験の結果を、テーブル2および図2に示す。
【表2】
【0049】
テーブル2におけるデータでは、標的物と、バルクスマトリプタン−NaFDKP粉末で測定されたスマトリプタン含有量とが比較できるよう示されている。空気力学的特性は、ロイシンの追加にて改良していた。ロイシンなしの粉末は58.8%のCEにて9.8%の%RF/fillを有し、10%のロイシンの追加では93.3%のCEにて61.3%へと%RF/fillが増加し、そして20%のロイシンの追加では88.2%のCEにて63.3%へと%RF/fillが増加した。また、ロイシンを含有しているスマトリプタン−NaFDKP粉末は、ロイシンなしの粉末よりも、より高い残余水分含有量を有していた。さらに、ロイシンの追加は、大凡30%バルク粉末密度をも減少させていた。
【0050】
図2は、テーブル2において特性化された3つの粉末の電子顕微鏡走査写真の図である。パネルA−Fにて示すように、それぞれの粉末は異なる形態を有していた。ロイシンなしの粒子は決まった形状を持たない溶けた断片をしていた(パネルAおよびB)。10%のロイシンを有する粒子(パネルCおよびD)はなめらかな表面を持つ実質的に球状になっており、20%のロイシンを有する粒子(パネルEおよびF)は干された様な、または縮んだ形態をしており、インシュリン−FDKP塩粉末の典型的なものであった。
【0051】
スマトリプタン−NaFDKP粉末の安定性:当該粉末では、それらの安定性の程度を決める試験についても行った。粉末のサンプルを、開口皿にて25℃/60%相対湿度(RH)および40℃/70%RHにて曝し、3ヶ月の期間においてインキュベートを行った。当該粉末のサンプルは、実験の開始後1、2および3ヶ月においてHPLCにて解析した。当該結果を、以下のテーブル3およびテーブル4において示す。
【表3】
【表4】
【0052】
当該データは、L−ロイシンの有無に関わらず、25℃/60%RHにて、3ヶ月間、曝された後でさえも、組成物においてスマトリプタンの分解は起こらないということを示している。しかし、より高い温度での40℃/70%RHでは、目立ってはいないが、L−ロイシンを含有しているサンプルと比較した場合、1および2週間のインキュベーションの後に、スマトリプタンの含有量においてわずかな減少が観察される。
【0053】
スマトリプタン−NaFDKP粉末を使用するラットにおける吸入試験:上述のように調製した粉末を、実験において使用した。肺への吸入によって、スマトリプタン−NaFDKP粉末(重量で37.4%スマトリプタン)として投与されたスマトリプタンのPK特性について評価した。なお、肺への滴下注入により投与されるスマトリプタン鼻腔噴霧、または、静脈注入もしくは皮下注入により投与されるスマトリプタンとの比較も行った。当該実験は、雌のSprague Dawley rat(n=6/グループ)を用いて行った(テーブル5)。
【表5】
【0054】
スマトリプタン分析のための血液サンプルは、投与前、ならびに投与後2、5、10、15、30、60、90、120および240分において収集した。動物は、血液収集のため、2つの組(n=3/タイムポイント)に分けた。血清中におけるスマトリプタンは、LCMS解析を利用して分析を行った。スマトリプタン−NaFDKP粉末として吸入したスマトリプタンの最大濃度およびバイオアベイラビリティーは、液体の滴下注入(鼻腔噴霧方法)にて投与したスマトリプタンよりも、より大きく、皮下注入により投与したスマトリプタンと比較に値するものであった(図3)。図3は、最大濃度までの時間が、吸入グループでは5分であることに対し、肺への滴下注入グループでは15分であることを示している。全体的な投与の標準化した曝露では、スマトリプタンの肺への吸入と、肺への滴下注入は類似しているが、PK特性がかなり異なる。スマトリプタンは、全ての処置・方法のグループにわたり、よく耐性を持っていた。実際に投薬したものでの収集後の平均濃度曲線(n=3/タイムポイント/製剤)に基づき、ノンコンパートメンタル法および非線形回帰プログラムWinNonlin v5.2を使用し、薬物動態学のパラメータを算出した(テーブル5)。テーブル6は、雌のSprague Dawley ratにおける、代表的な薬物動態学のデータの概要である。
【表6】
【0055】
肺への吸入によりNaFDKPスマトリプタン粉末として投与されたスマトリプタンのバイオアベイラビリティーは、SC注入とは類似しているPK特性(tmax、cmax)を除き、滴下注入による投与でのスマトリプタン鼻腔噴霧と比較に値することは明らかである。
【0056】
実施例3
スマトリプタン−NaFDKP乾燥粉末における、ビーグル犬でのPKおよびPDの試験
薬効学の試験:スマトリプタンの薬効学および薬物動態学を、麻酔下状態の犬において、許容された偏頭痛モデルを評価した。偏頭痛の病因・発病は、主に、顕著で長期間にわたる頭蓋導管(血管)の血管拡張に起因するものである。偏頭痛のモデルは、頸動脈血管拡張を作り出すカプサイシンの単回の動脈内注入により誘発させた。動物に、空気でのコントロール(n=2)、マイクロスプレーを利用した鼻腔内滴下注入によるスマトリプタン(0.28mg/kg;n=3)、肺への吸入によるスマトリプタン−NaFDKP乾燥粉末(0.28mg/kgスマトリプタン;n=3)、または、周囲導管(血管)内への静脈内ボーラス注入によるスマトリプタン(0.03mg/kg;n=2)のいずれかを受けさせた。そして、心拍数、収縮期・拡張期の平均動脈血圧、ならびに、頸動脈血液の流量および導管(血管)直径(平均、最大、最小流量)をモニターし、継続的に記録した。スマトリプタン投与後、特定のタイムポイントにおいて、データを継続的に収集し、1分間の平均として記録した。当該実験概要をテーブル7において示し、当該結果を図5において示す。
【表7】
【0057】
スマトリプタン分析のための当該犬からの血液サンプルは、投与前、投与後2、5、10、15、30、60、90、120および240分において収集した。血清中のスマトリプタンは、LCMS解析を利用して分析した。
【0058】
PKのデータに基づくと、スマトリプタン−NaFDKP粉末処方グループにおける1匹の動物は、おそらく技術的困難性のため、試験項目を受けられなかったようである。この動物は、異常と疑われる顕著な血管収縮を示していた。このグループにおけるもう別の1匹の動物は、乏しい血管収縮と、高レベルのスマトリプタンの曝露とを示した。このことは、これらの2匹の動物からの血液サンプルのためのチューブが、収集の間、気づかないうちに変わっていることが考えられる。そのため、ここに示されているデータは、n=2の誤って投与した動物を除いたn=3にて評価されている。なお、両方のデータでは、同様の結果を示している。
【0059】
血圧および心拍数は、投与経路に関わらず、スマトリプタンの投与またはコントロール項目によって変化しなかった。スマトリプタンの全身曝露は、血管拡張における減少に関連していた。コントロールを含む全てのグループは、投与後3時間を経て、カプサイシンの投与を終えた後からの頸動脈管径において減少していた。スマトリプタン−NaFDKP粉末の吸入は、鼻腔内および静脈内での投与経路よりも、より顕著な頸動脈の収縮という結果となっていた。血管収縮の大きさは投与グループの間にて著しく変化しており、当該データは、基準線直径に相対的な導管(血管)直径の点から、または、カプサイシン投与後もしくは基準線からの導管(血管)直径における変化として、分析された。
【0060】
スマトリプタン−NaFDKP乾燥粉末、鼻腔噴霧または静脈内注入でのスマトリプタン投与の薬物動態学特性(図4)は、前のラットにおけるPK実験と一致していた。図4は、雌の犬において、肺への吸入により投与されたスマトリプタンFDKP塩粉末(38%スマトリプタン)、鼻腔滴下注入により投与されたスマトリプタン、および静脈内注入により投与されたスマトリプタンの薬物動態学的特性を示しており、当該データは標準偏差を含んでプロットされている。当該データでは、最大平均ピーク循環スマトリプタン濃度となる時間(Tmax)は、スマトリプタンFDKP塩粉末では5分であり、鼻腔滴下注入では60分である、ということが示されている。鼻腔噴霧を受けた動物に対し、スマトリプタン−NaFDKP乾燥粉末はCmaxおよびバイオアベイラビリティーは低いが、スマトリプタン−NaFDKPを吸入された動物は、鼻腔噴霧を受けた動物よりも、同様だがより速い薬物動態学的反応を示した。
【0061】
図5は、これらの実験の結果を示す。当該データでは、カプサイシン投与後から実験の終わりまでの導管(血管)直径における減少が、スマトリプタン−NaFDKP粉末を処方したグループにおいて最も大きかったということを示している。グループの間での最初の血管拡張における変化の可能性は分析を複雑としたが、グループ2(鼻腔噴霧)およびグループ3(スマトリプタン−NaFDKP乾燥粉末)は、カプサイシンに同等に反応した。すなわち、スマトリプタン−NaFDKP乾燥粉末にて処方したグループは、血管でのより大きい正味の収縮という結果となり、さらには当該効果はより速い作用の始まりを有していた。
【0062】
本発明は特定の実施の形態に関して特定して示し、記載しているが、記載の変形例および他の特徴・機能またはその代替となるものが、多くの他の異なるシステムまたは用途を以て望ましく組み合わされていてもよいということは、もちろん認められるだろう。当業者により続いて作られ得る、現在においてはまだ不測の予期されていない様々な代替、変形、変化または改善においても、次の請求の範囲により包含されるべきであることも意図される。
【0063】
特定しない限り、本明細書および請求の範囲において用いられる、成分の量、分子量のような特性、および反応条件を表している全ての数字は、“約”の用語にて、全ての場合において変形されるものとして理解される。従って、明白に否定していない限り、明細書および添付の請求の範囲において用いられている数値パラメーターは、本発明により得られると考えられる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、そして請求の範囲の観点への均等論の適用を制限しようとするものではないものとして、それぞれの数値パラメーターは、少なくとも、報告された重要な数値を鑑み、そして通常の丸め法を適用することにより解釈されるべきである。本発明の広い観点にて用いている数値範囲およびパラメーターが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例にて使用された数値は可能な限り正確に報告されている。しかし、いずれの数値も、それぞれの実験測定に見られる標準偏差から必然的に起因する特定の誤差を、固有に含んでいる。
【0064】
本発明を記載する文章において(特に、次の請求の範囲の文章において)使用されている“a”、“an”、“the(前記、当該)”および同様の言及は、当該箇所において指定しない限り、または文章により明白に否定しない限り、単数のものと複数のものとの両方を含有するよう用いられている。ここにおける値の範囲の記述は、単に、範囲内のそれぞれの別れた値を個々という簡易な方法として扱うことを意図している。他に指定しない限り、ここでの個々の記述と同様に、それぞれの個々の値は明細書に組み込まれる。ここに記載の全ての方法は、当該箇所において指定しない限り、または文章により明白に否定しない限り、任意の適当な順序において実施することができる。いずれの、および全ての実施例、またはここに適用されている例示的な用語(例えば、“のような、等”)の使用は、単に、より明瞭に本発明を解説しようとすることを意図しているのであって、要求しない限り本発明の観点において制限を課すものではない。明細書におけるいずれの言語も、本発明の実施に対し必須の要求されていない任意の要素を示しているように解釈すべきではない。
【0065】
ここに記載された代替の構成要素の群(グループ)および実施の形態は、限定するものとしては解釈されるべきではない。それぞれの群の構成要素は、個々に、または他の群の構成要素もしくは他のここに見出されている要素との任意の組み合わせにおいて、参照とされ、請求の範囲としてもよい。群の1つまたは複数の構成要素は、利便性および/または特許性の理由のために群において含まれ得ること、またはそこから削除され得ることが予想される。何らかのそのような含有または削除が起きる場合、明細書は修正された群を含むものとみなされ、従って、添付された請求の範囲において使用された全てのマーカッシュ群の記述を充足する。
【0066】
この発明の特定の実施の形態は、本発明を実施するために本発明者が知る最良の形態を含めてここに記載されている。もちろん、これらの記載された実施の形態を元とした変形は、前述の記載を読んだ上で、当該技術分野の通常の技術を持つ者には明瞭となるだろう。本発明者は、当業者が適用にあたりそのような変形を採用することを予期し、本発明がここに具体的に記載されていない方法で実施することを意図する。従って、この発明は、適用される法律により認められるように添付の請求の範囲において記述されている本発明の主題の全ての変形および均等なものを含む。さらに、全ての可能な変形において、上述の構成要素の任意の組み合わせが、当該箇所において指摘されない限り、または文章により明瞭に否定されない限り、本発明に包含される。
【0067】
さらに、本明細書では、多数の参照を特許および刊行物について行った。上述の引例および刊行物のそれぞれは、個々に、それらの全体において、参照によりここに組み込まれる。
【0068】
最後に、ここに記載した実施の形態は本発明の原理の説明であることを理解されるべきである。採用され得る他の変形は本発明の観点内におけるものである。そのため、限定されることはないが、例を挙げると、本発明の代替の構成は、ここに教示されているものに従って行うことができる。従って、本発明は、ここに示され記載されたような正確なものに限定はされない。
【0069】
(付記)
(付記1)
効果的な量におけるセロトニン受容体アゴニスト、および、ジケトピペラジンまたはその塩を含む、薬学的組成物。
【0070】
(付記2)
乾燥粉末である、付記1に記載の薬学的組成物。
【0071】
(付記3)
前記セロトニン受容体アゴニストは血管収縮剤である、付記1または2に記載の薬学的組成物。
【0072】
(付記4)
前記セロトニン受容体アゴニストはトリプタンである、付記1ないし3のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
【0073】
(付記5)
前記トリプタンは、スマトリプタン、アルモトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタンおよび薬学的に許容可能なこれらの塩からなる群から選択される、付記4に記載の薬学的組成物。
【0074】
(付記6)
前記トリプタンは、スマトリプタンコハク酸塩である、付記4に記載の薬学的組成物。
【0075】
(付記7)
前記トリプタンは、リザトリプタン安息香酸塩である、付記4に記載の薬学的組成物。
【0076】
(付記8)
ビス−3,6−[(N−フマリル−4−アミノブチル)]−2,5−ジケトピペラジンまたはその塩、および、スマトリプタンまたはリザトリプタンを含む、付記1ないし7のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
【0077】
(付記9)
乾燥粉末形状における、ビス−3,6−[(N−フマリル−4−アミノブチル)]−2,5−ジケトピペラジンおよびスマトリプタンを含む、付記1ないし8のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
【0078】
(付記10)
当該組成物において、前記スマトリプタンは1mgよりも多い、付記5、8または9に記載の薬学的組成物。
【0079】
(付記11)
さらに、脂肪族アミノ酸を含む、付記1ないし10のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
【0080】
(付記12)
前記脂肪族アミノ酸は、アラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシンまたはセリンである、付記11に記載の薬学的組成物。
【0081】
(付記13)
前記脂肪族アミノ酸は、当該組成物の重量での約0.5%から約30%である、付記11または12に記載の薬学的組成物。
【0082】
(付記14)
当該組成物は、さらに、L−ロイシンを含む、付記1ないし13のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
【0083】
(付記15)
前記ジケトピペラジンは、2,5−ジケト−3,6−ジ(4−X−アミノブチル)ピペラジン、または、薬学的に許容可能なその塩であり、
Xは、スクシニル、グルタリル、マレイルおよびフマリルからなる群から選択される、付記1ないし14のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
【0084】
(付記16)
前記ジケトピペラジンは、ビス−3,6[(N−フマリル−4−アミノブチル)]−2,5−ジケトピペラジンまたはその塩である、付記1ないし15のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
【0085】
(付記17)
ジケトピペラジン塩は、ビス−3,6−[(N−フマリル−4−アミノブチル)]−2,5−ジケトピペラジンジナトリウム塩である、付記16に記載の薬学的組成物。
【0086】
(付記18)
さらに、薬学的に許容可能なキャリアまたは添加剤を含む、付記1ないし17のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
【0087】
(付記19)
当該薬学的組成物は、経口吸入のための単位用量として作られている、付記1ないし18のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
【0088】
(付記20)
偏頭痛に関連する症状の治療のために哺乳動物に投与される、付記1ないし19のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
【0089】
(付記21)
当該薬学的組成物は吸入により投与される、付記20に記載の薬学的組成物。
【0090】
(付記22)
当該薬学的組成物は、呼吸での乾燥粉末吸入システムを利用する肺吸入により患者へと投与される、付記21に記載の薬学的組成物。
【0091】
(付記23)
前記呼吸での乾燥粉末吸入システムは、当該薬学的組成物を含有しているカートリッジを含む、付記22に記載の薬学的組成物。
【0092】
(付記24)
前記セロトニン受容体アゴニストは、偏頭痛に関連する中度から重度の頭痛を治療するためのものである、付記20ないし23のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
【0093】
(付記25)
ビス−3,6[(N−フマリル−4−アミノブチル)]−2,5−ジケトピペラジン、L−ロイシンおよびトリプタンを含有する乾燥粉末組成物を含み、当該乾燥粉末組成物の治療上効果的な量が経口吸入により患者へと投与される、偏頭痛に関連する症状の治療のために哺乳動物に投与される薬学的組成物。
【0094】
(付記26)
偏頭痛の症状の治療を必要とする対象へ、付記1ないし19のいずれか1つに記載の薬学的組成物を投与することを含む、偏頭痛に関連する症状の治療の方法。
【0095】
(付記27)
前記薬学的組成物は吸入により投与される、付記26に記載の方法。
【0096】
(付記28)
前記薬学的組成物は、呼吸での乾燥粉末吸入システムを利用する肺吸入により患者へと投与される、付記27に記載の方法。
【0097】
(付記29)
前記呼吸での乾燥粉末吸入システムは、当該薬学的組成物を含有しているカートリッジを含む、付記28に記載の方法。
【0098】
(付記30)
前記セロトニン受容体アゴニストは、偏頭痛に関連する中度から重度の頭痛を治療するためのものである、付記26ないし29のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
(付記31)
ビス−3,6[(N−フマリル−4−アミノブチル)]−2,5−ジケトピペラジン、L−ロイシンおよびトリプタンを含有する乾燥粉末組成物を含む呼吸での乾燥粉末吸入器を、中度から重度の偏頭痛の症状を持つ患者へ提供することを含み、
当該乾燥粉末組成物の治療上効果的な量が経口吸入により患者へと投与される、偏頭痛の治療の方法。
【0100】
(付記32)
前記ビス−3,6[(N−フマリル−4−アミノブチル)]−2,5−ジケトピペラジンは塩形態である、付記31に記載の薬学的組成物。
【0101】
(付記33)
前記ビス−3,6[(N−フマリル−4−アミノブチル)]−2,5−ジケトピペラジンは非塩形態である、付記31に記載の薬学的組成物。
【0102】
(付記34)
前記ジケトピペラジンは塩形態である、付記1ないし30のいずれか1つに記載の薬学的組成物または方法。
【0103】
(付記35)
前記ジケトピペラジンは非塩形態である、付記1ないし30のいずれか1つに記載の薬学的組成物または方法。
図1
図2
図3
図4
図5