(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閉位置においては、前記流体ポートは前記頭部部分によって流体的に封止され、前記開位置においては、前記頭部部分は前記流体ポートから変位して前記流体ポートを流体的に封止しない、請求項11に記載の無針弁システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本説明で参照する図面は、特に記載のない限り、一定の縮尺で描かれていないものと理解すべきである。
【0009】
ここで、本技術の実施形態について詳細に言及し、その例を添付図面に示す。本技術を種々の実施形態(単数または複数)に関連して説明するが、それらは、本技術をこれらの実施形態に限定するように意図されていないことが理解されよう。反対に、本技術は、添付の特許請求の範囲により定義される種々の実施形態の精神および範囲に含まれ得る、代替物、修正物および均等物を網羅するように意図されている。
【0010】
更に、以下の実施形態の説明では、本技術の完全な理解のために、数多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本技術をこれらの具体的な詳細なしに実施してもよい。他の例において、周知の方法、手順、構成部品、および回路については、本実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないために詳細に説明していない。
【0011】
図1は、無針弁システム内に配置されるように構成されたピストン100の実施形態を描いている。無針弁システムの構造および機能を以下に更に詳細に説明する。
【0012】
ピストン100は、頭部部分110と基部部分150とを含む。種々の実施形態において、基部部分150は、頭部部分110が無針弁システムを通る流体の流れを制御するのを容易にする任意の物理的構造とすることができる。このように、基部部分150は、全体的に単純な正方形として点線で描かれている。よって、本明細書の説明では、主に無針弁システムに対する頭部部分110の構造および機能性に焦点が置かれる。
【0013】
頭部部分110は、連続した上面120と、開口部130と、圧縮機構140および141とを含む。
【0014】
連続した上面120は、以下に詳細に説明するが、ハウジングのポートを封止するように構成される。連続した上面120は、任意の破断部分を含まない(または必要としない)。例えば、連続した上面120は、切り込み、切れ目、孔などを含まない連続した機構である。
【0015】
連続した上面120は滑らかな表面である。よって、連続した上面120を消毒綿で拭うと、病原菌が直ぐに除去され、連続した上面120が適切に消毒される。
【0016】
連続した上面120は、頭部部分110の弛緩した状態において非平面である。このことは、
図1に描かれているように、開口部130が弛緩した状態の開位置にあることに部分的に基づいている。弛緩した状態は、頭部部分110に力が加えられていない頭部部分110の自然な物理的位置として理解される。
【0017】
一例において、連続した上面120は、弛緩した状態において非平面構成の谷部122を含む。非平面構成は、連続した上面120周囲での流体の流れを可能にする助けとなる任意の非平面構成とすることができることを理解すべきである。非平面構成の例は、限定されるものではないが、凹面、谷、空隙などであり得る。
【0018】
一実施形態において、頭部部分110は円筒形である。したがって、連続した上面120は円形である。
【0019】
開口部130は、連続した上面120近接して配置される。上で説明したように、頭部部分110が弛緩した状態にあるときに、開口部130は開位置にある。
【0020】
開口部130は、閉位置まで圧縮させることができる。例えば、頭部部分110が横方向に圧縮されると、次いで、開口部130もまた、横方向に閉位置まで圧縮される。換言すれば、頭部部分の外面または壁は、開口部130が閉じられるまで内側に圧縮される。
その結果、連続した上面120を平面に変形させる。
【0021】
開口部130は、頭部部分110内に任意の向きで配置された任意の物理的機構(例えば、中空、空隙、流路など)とすることができ、弾性的に開閉することができる。加えて、開口部は、連続した上面120が平面に変形するような頭部部分110の変形を容易に可能にする任意の形状とすることができる。例えば、開口部130の形状は、限定されるものではないが、楕円形、長円形、菱形、円形などとすることができる。
【0022】
開口部130は、頭部部分110に含まれる。例えば、開口部130の周縁(または側面)は、頭部部分110に完全に含まれる。
【0023】
一実施形態において、開口部130は、頭部部分110の直径に沿って配置される。別の実施形態において、開口部130は、頭部部分110の中心軸線に沿って中央に配置される。種々の実施形態において、開口部130は、連続した上面120の変形を可能にする任意の位置に配置される。
【0024】
圧縮機構140および141は、頭部部分110の周縁に配置される。圧縮機構140および141は、開口部130が閉位置に圧縮されるような、ハウジングとの係合を容易にするように構成される。
【0025】
一実施形態において、圧縮機構140および141は膨出部である。圧縮機構は、開口部130が閉位置に圧縮されるような、ハウジングとの係合を容易にする任意の物理的機構とすることができることを理解すべきである。
【0026】
図2は、開口部130内に配置されたスペーサ232の実施形態を描いている。スペーサ232は、開口部130が閉位置から開位置へ弾性的に開放するのを容易にするように構成される。スペーサ232が弛緩位置または自然な位置にある状態で描かれている。しかしながら、スペーサ232は、開口部130が閉位置にあるときには、完全に圧縮させることができる。スペーサ232は任意の弾性的に圧縮可能な材料とすることができることを理解すべきである。加えて、スペーサ232は、開口部130が閉位置から開位置へ弾性的に開放するのを容易にするために、開口部130内に任意の向きで配置される任意の形状とすることができる。
【0027】
図3および
図4は、無針弁システム300の実施形態を描いている。一般に、無針弁システム300は、医療機器(例えば、カテーテル)に連結されて、針を使用せずに流体を輸送するように構成される。
【0028】
無針弁システム300は、ハウジング310内に配置されたピストン100を含む。ハウジング310は、ポート315と、内壁320と、基部360とを含む。
【0029】
無針弁システム300は、
図3に描かれているように、最初は封止されている。詳細には、ピストン100は、ポート315が頭部部分110により流体的に封止されるように、ハウジング310内で固定される。その上、頭部部分110の外径が、内壁320内で圧縮され固定されて、封止を形成する。
【0030】
開口部130が閉位置に圧縮され、その結果、連続した上面120が平面に変形する。
その結果、連続した上面120の周縁がポート315に嵌合するので、ポート315が連続した上面120により封止される。
【0031】
一実施形態において、無針弁システム300は、カテーテルに流体的に接続される。例えば、基部360の雌型ルアー継手361が、カテーテルに接続される。よって、流体の流れは、カテーテルへ/から流れることができる。
【0032】
図4は、無針注射器の先端410が無針弁システム300に挿入されているため開位置にある無針弁システム300を描いている。先端410は、頭部部分110を内壁320に沿って下方に変位させる。一実施形態において、ハウジング310は、注射器の雌型ルアー継手に対応する雄型ルアー継手312を含む。
【0033】
内壁320の直径は、下方向に向かって増大する。よって、頭部部分110の直径もまた、頭部部分110が下方向に移動すると増大する。したがって、開口部130は、続いて自然な開位置に拡張する。
【0034】
加えて、連続した上面120は、平面から非平面に変形して、谷部122を形成する。
それゆえ、流体は、谷部122を経て連続した上面120の周囲から容積330へ流れることができる。その後、流体は、容積330から基部360を通ってカテーテルなどの医療機器へ流れる。
【0035】
一実施形態において、流体は、逆方向に流れることができる。例えば、血液は、患者から谷部122を経て連続した上面120周囲の容積330に流入して、注射器に流入する。
【0036】
種々の実施形態において、無針弁システム300が正および/または負の流体変位を可能にすること認識すべきである。
【0037】
ピストン100は弾性体である。このように、ピストン100は、頭部部分110が内壁320内で押し上げられるようにして元の位置に変形して戻ることができる。よって、頭部部分が内壁320に押し付けられて圧縮され、続いて、ポート315が封止される。
【0038】
詳細には、基部部分350は、ばねとして機能して、開口部130が閉位置に変形しかつ頭部部分110がポート315を再び封止するのを容易にする。例えば、基部部分350は、先端410がハウジング310から取り外されることに応じて、元の位置まで弾性的に変形する尾部を含む。基部部分350のばね力により、頭部部分110が内壁320内を上方に移動し、頭部部分110が内壁320内で圧縮される。その結果、開口部310が閉位置に変形し、連続した上面120が平面に変形する。加えて、ダイヤフラム355のばね力により、頭部部分110が内壁320内を移動し、内壁320内で圧縮される。
【0039】
追加的に、圧縮機構140および141(例えば、膨出部)は、ハウジング310内での頭部部分110の圧縮を促進する。圧縮機構140および141は、頭部部分110の直径を増大させ、したがって、開口部130を閉じるために頭部部分110に加えられる力を増大させる。
【0040】
ポート315が再び封止されるように、内壁320内で頭部部分110を移動させるばね力をもたらす任意の弾性機構を基部部分350が含み得ることを認識すべきである。
【0041】
種々の実施形態において、基部部分(例えば、基部部分150または基部部分350)は、テイルおよび/またはダイヤフラムの任意の組み合わせを含むことができる。一実施形態において、基部部分は、テイルおよび/またはダイヤフラムを含まない。
【0042】
しばしば、病原菌は、注射器の先端410を無針弁システム300から取り外した後の連続した上面120にまたはその周囲に存在する場合がある。しかしながら、病原菌は、滑らかな連続した上面から消毒綿で簡単に拭い取られる。それゆえ、患者の感染の危険性が低減される。
【0043】
図5は、流体の流れを制御するための方法500の実施形態を描いている。いくつかの実施形態において、方法500は、
図3および
図4に描かれている、少なくとも無針弁システム300により行われる。
【0044】
方法500の510にて、ハウジングのポートが連続した上面で封止される。ポートが封止されるときに、連続した上面は平面であり、連続した上面に近接して配置された流路は、閉位置に圧縮される。例えば、ポート315は、連続した上面120が平面であるときに、連続した上面120で流体的に封止される。加えて、開口部130(例えば、流路)は、連続した上面120に近接して配置され、かつ、折り畳まれるかまたは圧縮される。
【0045】
520にて、連続した上面は、無針装置により押し下げられる。例えば、連続した上面120は、無針注射器の先端410によりハウジング310内を下方に押し下げられる。
【0046】
530にて、流路は、連続した上面が非平面となるように、開放される。例えば、頭部部分110がハウジング310内を下方に摺動すると、開口部130は、自然な開位置まで拡張する。
【0047】
540にて、流体は、流路の開放に応じて、非平面の連続した上面の周囲を流れることが可能とされる。例えば、開口部130は、連続した上面120が曲がるかまたは折れ曲がるようにして、この上面120に谷部122を形成させる自然な開位置まで拡張する。
その結果、流体が非平面の連続した上面120の周囲からハウジング310を通って流れることが可能とされる。
【0048】
550にて、流体は、無針装置を介してポートを通して注入される。例えば、薬剤は、無針注射器の先端410の流体流路を介してポート315を通して注入される。
【0049】
560にて、ポートから無針装置を取り外すことに応じて、ポートが連続した上面で再び封止される。例えば、先端410がハウジング310から取り外される。これに応じて、頭部部分110が内壁320内で圧縮されると、開口部130が閉位置まで圧縮されて、連続した上面120が平面状態に変形し、したがって、ポート315が流体的に封止される。
【0050】
上述のように、本発明の種々の実施形態を説明してきた。本発明を特定の実施形態において説明してきたが、本発明はかかる実施形態により限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ以下の特許請求の範囲に従って解釈されるべきであることを理解すべきである。
【0051】
本明細書で説明した全ての要素、部品およびステップが含まれることが好ましい。これらの要素、部品、およびステップはいずれも、当業者には明らかであるように、他の要素、部品、およびステップと置き換えてもよく、または完全に取り除いてもよいことを理解されたい。
【0052】
概念
本記載は、少なくとも以下に示す概念を開示する。
概念1
無針弁システム用ピストンであって、
前記無針弁システム内に配置されるようにかつ前記無針弁システムを通る流体の流れを制御するように構成され、連続した上面と、開口部が開位置にあるときに非平面である前記連続した上面に近接して配置された前記開口部とを備える頭部部分
を備える無針弁システム用ピストン。
概念2
前記連続した上面は、前記開口部が閉位置にあるときに、平面であるように構成される、概念1に記載のピストン
概念3
前記連続した上面は、前記開口部が前記開位置にあるときに、窪みを備える、概念1又は2に記載のピストン。
概念4
前記連続した上面が、切り込みを必要としない、概念1、2又は3に記載のピストン。
概念5
前記開口部が、前記頭部部分に含まれる、概念1乃至4のいずれか一つに記載のピストン。
概念6
前記開口部が、前記頭部部分の直径に沿って配置される、概念1乃至5のいずれか一つに記載のピストン。
概念7
前記開口部が長円状である、概念1乃至6のいずれか一つに記載のピストン。
概念8
前記開口部内に配置されたスペーサを更に備える、概念1乃至7のいずれか一つに記載のピストン。
概念9
前記頭部部分の円周に沿って配置された圧縮機構を更に備える、概念1乃至8のいずれか一つに記載のピストン。
概念10
前記圧縮機構が膨出部である、概念9に記載のピストン。
概念11
前記開位置が、前記開口部の弛緩した状態である、概念1乃至10のいずれか一つに記載のピストン。
概念12
無針弁システムであって、
流体ポートを備えるハウジングと、
前記ハウジング内に配置された頭部部分であって、前記ハウジングを通る流体の流れを制御するように構成され、連続した上面と、開口部が開位置にあるときに非平面である前記連続した上面に近接して配置された前記開口部とを備える頭部部分と
を備える無針弁システム。
概念13
前記ハウジングが、無針注射器と係合するように構成される、概念12に記載の無針弁システム。
概念14
前記ハウジングが、カテーテルと流体的に接続されるように更に構成される、概念12又は13に記載の無針弁システム。
概念15
前記ポートは、前記連続した上面が非平面であるときに、流体的に封止されない、概念12乃至14のいずれか一つに記載の無針弁システム。
概念16
前記ポートは、前記連続した上面が平面位置にあるときに、流体的に封止される、概念12乃至15のいずれか一つに記載の無針弁システム。
概念17
前記連続した上面が、切り込みを必要としない、概念12乃至16のいずれか一つに記載の無針弁システム。
概念18
前記開口部が、前記頭部部分に含まれる、概念12乃至17のいずれか一つに記載の無針弁システム。
概念19
前記開口部が、前記頭部部分の直径に沿って配置される、概念12乃至18のいずれか一つに記載の無針弁システム。
概念20
前記開口部内に配置されたスペーサを更に備える、概念12乃至19のいずれか一つに記載の無針弁システム。
概念21
前記頭部部分の円周に沿って配置された圧縮機構を更に備える、概念12乃至20のいずれか一つに記載の無針弁システム。
概念22
前記圧縮機構が膨出部である、概念21に記載の無針弁システム。
概念23
無針弁システム内における流れ制御のための方法であって、
連続した上面でハウジングのポートを封止するステップであって、前記ポートが封止されるときに前記連続した上面が平面であり、前記連続した上面に近接して配置された流路が閉位置に圧縮される、前記封止するステップと、
無針装置により前記連続した上面を押し下げるステップと、
前記連続した上面が非平面となるようにして前記流路を開放するステップと、
前記流路の開放に応じて、流体が前記非平面の連続した上面の周囲を流れることを可能にするステップと
を含む、方法。
概念24
前記無針装置を介して前記ポートを通して流体を注入するステップを更に含む、概念23の記載の方法。
概念25
前記ポートから前記無針装置を取り外すことに応じて、前記ポートを前記連続した上面で再び封止するステップを更に含む、概念23又は24に記載の方法。