特許第6458122号(P6458122)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6458122触媒コンバータおよびケーシングの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6458122
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】触媒コンバータおよびケーシングの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20190110BHJP
   F02D 35/00 20060101ALI20190110BHJP
   F01N 13/00 20100101ALI20190110BHJP
   F01N 3/00 20060101ALI20190110BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20190110BHJP
【FI】
   F01N3/28 311U
   F01N3/28 301W
   F01N3/28 311A
   F01N3/28 311S
   F02D35/00 368C
   F01N13/00 A
   F01N3/00 F
   B01D53/94 300
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-223388(P2017-223388)
(22)【出願日】2017年11月21日
【審査請求日】2018年3月20日
(31)【優先権主張番号】特願2017-141797(P2017-141797)
(32)【優先日】2017年7月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高柳 淳
(72)【発明者】
【氏名】大岡 俊啓
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲隆
(72)【発明者】
【氏名】石井 和将
(72)【発明者】
【氏名】畠山 由章
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−117443(JP,A)
【文献】 特開2009−127604(JP,A)
【文献】 特開2002−97944(JP,A)
【文献】 特開2004−92461(JP,A)
【文献】 特表2010−511825(JP,A)
【文献】 特開2000−73755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の保持筒部(16,17)ならびにそれらの保持筒部(16,17)間を一体に連結する縮径筒部(18,32,33)を有する筒状のケーシング(11A,11B,11C,11D,11E,11F)と、前記保持筒部(16,17)内に個別に収容されるモノリス型触媒担体(12,13)とを備え、前記保持筒部(16,17)に対応した筒状のケーシング素材(24)のうち前記保持筒部(16,17)間に対応する部分のプレス成形で前記縮径筒部(18,32,33)が形成される触媒コンバータにおいて、前記縮径筒部(18,32,33)の周方向に間隔をあけた複数箇所に平坦部(18a,32a,33a)が形成され、それらの平坦部(18a,32a,33a)の少なくとも1つにセンサー(23)が取付けられることを特徴とする触媒コンバータ。
【請求項2】
一対の前記平坦部(33a)が、相互に直交する一対の仮想平面(34,35)に沿うようにして前記縮径筒部(33)に形成されることを特徴とする請求項1に記載の触媒コンバータ。
【請求項3】
前記縮径筒部(18,32)の周方向に等間隔をあけた複数箇所に前記平坦部(18a,32a)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の触媒コンバータ。
【請求項4】
前記縮径筒部(18,32,33)の周方向に沿う前記平坦部(18a,32a,33a)の両端部に、前記縮径筒部(18,32,33)の外側方に突出しつつ当該縮径筒部(18,32,33)の軸線方向に延びる第1の突条(18b,32b,33b)が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒コンバータ。
【請求項5】
複数の前記平坦部(18a,32a,33a)相互間の周方向中央部で前記縮径筒部(18,32,33)の外面に、外側方に突出しつつ当該縮径筒部(18,32,33)の軸線方向に延びる第2の突条(18c,32c,33c)がそれぞれ形成されることを特徴とする請求項4に記載の触媒コンバータ。
【請求項6】
前記ケーシング素材(24)が、複数の前記平坦部(18a,32a,33a)の1つに電縫部(28)が配置されるようにした電縫管であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒コンバータ。
【請求項7】
前記ケーシング素材(24)が、複数の前記第2の突条(18c,32c,33c)の1つに電縫部(28)が配置されるようにした電縫管であることを特徴とする請求項5に記載の触媒コンバータ。
【請求項8】
上記請求項1〜7のいずれか1項に記載の触媒コンバータにおける前記ケーシング(11A〜11F)を製造するためのケーシングの製造方法であって、前記筒状のケーシング素材(24)のうち前記保持筒部(16,17)間に対応する部分を、前記平坦部(18a,32a,33a)を形成するための平面(29a)を有する分割金型(29)を含むとともに前記ケーシング素材(24)の周方向に分割された複数の分割金型(29,30)でプレス成形して前記縮径筒部(18,32,33)を形成することを特徴とするケーシングの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一対の保持筒部ならびにそれらの保持筒部間を一体に連結する縮径筒部を有する筒状のケーシングと、前記保持筒部内に個別に収容されるモノリス型触媒担体とを備え、前記保持筒部に対応した筒状のケーシング素材のうち前記保持筒部間に対応する部分のプレス成形で前記縮径筒部が形成される触媒コンバータ、ならびにケーシングを製造するためのケーシングの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような触媒コンバータは、たとえば特許文献1および特許文献2で既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−92461号公報
【特許文献2】特開2012−117443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示される触媒コンバータでは、ケーシングの縮径筒部に単一の平坦部が設けられ、その平坦部にセンサーを取付けるための取付け座が形成されている。このため、単一の平坦部を形成するための一方向のプレス荷重が縮径筒部に作用することになり、縮径筒部の周方向で不均等な荷重の作用によってケーシングの両端部が広がる方向に変形する虞があり、それを修正するために煩雑な手数がかかっている。
【0005】
一方、上記特許文献2で開示される触媒コンバータでは、縮径筒部が、1つの平坦部と、その平坦部の両端部間を結ぶ複数の優弧状部とで構成されており、優弧状部で周長の調整をし、しわの発生を防止するようにしているが、優弧状部の形成が難しく、調整が複雑となるという課題があるだけでなく、単一の平坦部を形成するための一方向のプレス荷重が縮径筒部に作用するので、上記特許文献1で開示の触媒コンバータと同じく、縮径筒部にその周方向で不均等な荷重が作用することになる。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ケーシングの縮径筒部をプレス成形する際のプレス荷重が縮径筒部の周方向に大きく不均等となることを抑制し得るようにした触媒コンバータ、ならびにケーシングを適切に製造し得るようにしたケーシングの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも一対の保持筒部ならびにそれらの保持筒部間を一体に連結する縮径筒部を有する筒状のケーシングと、前記保持筒部内に個別に収容されるモノリス型触媒担体とを備え、前記保持筒部に対応した筒状のケーシング素材のうち前記保持筒部間に対応する部分のプレス成形で前記縮径筒部が形成される触媒コンバータにおいて、前記縮径筒部の周方向に間隔をあけた複数箇所に平坦部が形成され、それらの平坦部の少なくとも1つにセンサーが取付けられることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、一対の前記平坦部が、相互に直交する一対の仮想平面に沿うようにして前記縮径筒部に形成されることを第2の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記縮径筒部の周方向に等間隔をあけた複数箇所に前記平坦部が形成されることを第3の特徴とする。
【0010】
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記縮径筒部の周方向に沿う前記平坦部の両端部に、前記縮径筒部の外側方に突出しつつ当該縮径筒部の軸線方向に延びる第1の突条が形成されることを第4の特徴とする。
【0011】
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、複数の前記平坦部相互間の周方向中央部で前記縮径筒部の外面に、外側方に突出しつつ当該縮径筒部の軸線方向に延びる第2の突条がそれぞれ形成されることを第5の特徴とする。
【0012】
本発明は、第1〜第5の特徴の構成のいずれかに加えて、前記ケーシング素材が、複数の前記平坦部の1つに電縫部が配置されるようにした電縫管であることを第6の特徴とする。
【0013】
本発明は、第5の特徴の構成に加えて、前記ケーシング素材が、複数の前記第2の突条の1つに電縫部が配置されるようにした電縫管であることを第7の特徴とする。
【0014】
さらに本発明は、第1〜第7の構成のいずれかを特徴とする触媒コンバータにおけるケーシングを製造するためのケーシングの製造方法であって、前記筒状のケーシング素材のうち前記保持筒部間に対応する部分を、前記平坦部を形成するための平面を有する分割金型を含むとともに前記ケーシング素材の周方向に分割された複数の分割金型でプレス成形して前記縮径筒部を形成することを第8の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、平坦部を形成するためにケーシング素材に複数の方向からプレス荷重が作用するので、プレス荷重が縮径筒部の周方向に大きく不均等となるのを防止して、1箇所当たりの変形量を小さく抑えることができる。
【0016】
また本発明の第2の特徴によれば、縮径筒部に形成される一対の平坦部が相互に直交する一対の仮想平面に沿っているので、一方の平坦部が他方の平坦部の変形を抑えるように相互に影響しあうことで1箇所当たりの変形量を小さく抑えることができる。
【0017】
本発明の第3の特徴によれば、縮径筒部の周方向に等間隔をあけた複数箇所に平坦部が形成されるので、平坦部が縮径筒部にバランスよく配置されることになり、隣接して平坦部同士で補強し合うようにして縮径筒部の強度を高めることができ、ケーシング素材の板厚を薄くしてケーシングの軽量化を図ることができる。
【0018】
本発明の第4の特徴によれば、縮径筒部の外側方に突出しつつ当該縮径筒部の軸線方向に延びる第1の突条が平坦部の両端部に形成されるので、平坦部を形成することで縮径筒部の一部が半径方向内方側に収縮する分を第1の突条で吸収することができ、平坦部の強度増強にも寄与することができる。
【0019】
本発明の第5の特徴によれば、複数の平坦部相互間の周方向中央部で縮径筒部の外面に第2の突条がそれぞれ形成されるので、保持筒部に対する縮径筒部の周長差を小さくすることができ、縮径筒部にしわ等が発生することを抑えることが可能となるとともに縮径筒部の強度をより増強することができる。
【0020】
本発明の第6の特徴によれば、ケーシング素材が電縫管であり、複数の平坦部の1つに電縫部が配置されるので、ケーシングの横断面形状において電縫部が配置される部分での形状変化がなく、起伏がある形状に比べると、電縫部にかかる応力を低減することができる。
【0021】
本発明の第7の特徴によれば、ケーシング素材が電縫管であり、複数の第2の突条の1つに電縫部が配置されるので、電縫部の変形量を小さくし、電縫部にかかる負担を軽減することができる。
【0022】
さらに本発明の第8の特徴によれば、平坦部を形成するための平面を有する分割金型を含む複数の分割金型で縮径筒部を形成するので、1つの分割金型によるプレス荷重を小さくして変形量を小さく抑え、縮径筒部の変形を抑えてケーシングを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施の形態の触媒コンバータの縦断面図である。
図2図1の2−2線断面図である。
図3】プレス成形前のプレス成形装置の横断面図である。
図4】プレス成形完了時のプレス成形装置の横断面図である。
図5】第2の実施の形態の触媒コンバータの横断面図である。
図6】第3の実施の形態の触媒コンバータの横断面図である。
図7】第4の実施の形態の図2に対応した断面図である。
図8】第5の実施の形態の図5に対応した断面図である。
図9】第6の実施の形態の図6に対応した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら説明する。
【0025】
本発明の第1の実施の形態について図1図4を参照しながら説明すると、先ず図1において、この触媒コンバータは、筒状たとえば円筒状であるケーシング11A内に、外周に保持材である弾性マット14,15がそれぞれ巻き付けられた複数個たとえば2個のモノリス型触媒担体12,13が、前記ケーシング11Aの軸線に沿う方向に間隔をあけて直列に収容されて成るものである。
【0026】
前記ケーシング11Aは、少なくとも一対(この実施の形態では一対)の保持筒部16,17と、それらの保持筒部16,17間を一体に連結する縮径筒部18と、一対の保持筒部16,17の前記縮径筒部18とは反対側の端部にそれぞれ連なる一対のファンネル状の接続筒部19,20とを一体に有するように形成される。
【0027】
前記モノリス型触媒担体12,13は、前記保持筒部16,17にそれぞれ前記弾性マット14,15を介して嵌入、保持される。前記一対の接続筒部19,20のうち一方の接続筒部19には、車両用内燃機関の排気ポート(図示せず)に連なる上流側排気管21が接続され、他方の接続筒部20は、下流側排気管22を介して排気マフラー(図示せず)に接続される。
【0028】
前記内燃機関から排出される排ガスは、上流側排気管21から前記ケーシング11A内に導かれ、一対の前記モノリス型触媒担体12,13を前記排ガスが順次通過することで、排ガス中の有害物質が酸化還元作用によって浄化され、浄化された排ガスは、前記下流側排気管22および前記排気マフラーを経て大気中に放出される。
【0029】
前記ケーシング11Aにおける前記縮径筒部18には、少なくとも1つのセンサー、この実施の形態では1つのO2 センサー23が取付けられており、このO2 センサー23は、一対の前記モノリス型触媒担体12,13間での排ガス中のO2 濃度を検出し、その検出信号を図示しない電子制御ユニットに入力する。そして電子制御ユニットは、O2 センサー23で得られるO2 濃度に基づいて前記内燃機関への燃料供給量を制御し、それにより内燃機関の吸入混合気の空燃比が適切に制御されることになる。
【0030】
前記ケーシング11Aの前記縮径筒部18は、前記保持筒部16,17に対応した筒状のケーシング素材24のうち前記保持筒部16,17間に対応する部分のプレス成形によって形成されるものであり、前記縮径筒部18の周方向に間隔をあけた複数箇所に平坦部18aが形成され、それらの平坦部18aの少なくとも1つ(この実施の形態では1つ)に前記O2 センサー23が取付けられる。
【0031】
前記平坦部18aは、前記縮径筒部18の周方向に等間隔をあけた複数箇所望ましくは3〜6箇所に形成されるものであり、この実施の形態では、前記縮径筒部18の周方向に等間隔をあけた4箇所に前記平坦部18aが形成される。
【0032】
前記平坦部18aのうち前記O2 センサー23が取付けられる平坦部18aには取付け孔25が穿設され、その取付け孔25にセンサー取付けボス26が嵌合され、溶接によって前記センサー取付けボス26が前記平坦部18aの一つに固定される。前記センサー取付けボス26はねじ孔27を有しており、そのねじ孔27に前記O2 センサー23が螺着され、当該O2 センサー23が先端部に有する感知部23aが一対の前記モノリス型触媒担体12,13間の中間部に配置される。
【0033】
また前記縮径筒部18の周方向に沿う前記平坦部18aの両端部には、前記縮径筒部18の外側方に突出しつつ当該縮径筒部18の軸線方向に延びる第1の突条18bがそれぞれ形成される。さらに複数の前記平坦部18a相互間の周方向中央部で前記縮径筒部18の外面には、外側方に突出しつつ当該縮径筒部18の軸線方向に延びる第2の突条18cがそれぞれ形成される。
【0034】
図3において、前記ケーシング素材24は電縫部28を有する電縫管から成るものであり、前記縮径筒部18は、前記ケーシング素材24のうち前記保持筒部16,17間に対応する部分を、前記平坦部18aを形成するための平面29aを有する分割金型29を含むとともに前記ケーシング素材24の周方向に分割された複数の分割金型29,30によるプレス成形で形成されるものであり、この実施の形態では、前記平面29aを有する4個の分割金型29と、前記縮径筒部18のうち前記平坦部18aを除く部分に対応した4個の分割金型30とが、前記ケーシング素材24の外側に配置され、前記ケーシング素材24の内部には、前記縮径筒部18の内周形状に対応した外周形状を有する芯型31が固定配置される。
【0035】
上述のような8個の分割金型29,30で前記ケーシング素材24を前記芯型31に向けて前記ケーシング素材24の半径方向内方にプレス成形することで、図4で示すように、4個の平坦部18aを有する前記縮径筒部18が形成されることになる。しかもケーシング素材24が有する前記電縫部28は、複数の前記第2の突条18cの1つに配置される。
【0036】
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、ケーシング11Aは、モノリス型触媒担体12,13がそれぞれ個別に収容される一対の保持筒部16,17と、それらの保持筒部16,17間を一体に連結する縮径筒部18とを有しており、前記保持筒部16,17に対応した筒状のケーシング素材24のうち前記保持筒部16,17間に対応する部分のプレス成形で縮径筒部18が形成されるのであるが、縮径筒部18の周方向に間隔をあけた複数箇所たとえば4箇所に平坦部18aが形成され、それらの平坦部18aの少なくとも1つ(この実施の形態では1つ)にO2 センサー23が取付けられるので、平坦部18aを形成するためにケーシング素材24に複数の方向(この実施の形態では4方向)からプレス荷重が作用することになり、プレス荷重が縮径筒部18の周方向に大きく不均等となるのを防止して、1箇所当たりの変形量を小さく抑えることができる。
【0037】
また前記平坦部18aは、前記縮径筒部18の周方向に等間隔をあけた複数箇所(この実施の形態では4箇所)に形成されるので、平坦部18aが縮径筒部18にバランスよく配置されることになり、しかも隣接した平坦部18aが相互に直交する平面に沿うことになるので、隣接した平坦部18aのうち一方の平坦部18aが他方の平坦部18aの変形を抑えるように相互に補強し合うようにして縮径筒部18の強度を高めることができ、ケーシング素材24の板厚を薄くしてケーシング11Aの軽量化を図ることができる。
【0038】
また前記縮径筒部18の周方向に沿う前記平坦部18aの両端部に、前記縮径筒部18の外側方に突出しつつ当該縮径筒部18の軸線方向に延びる第1の突条18bが形成されるので、平坦部18aを形成することで縮径筒部18の一部が半径方向内方側に収縮する分を第1の突条18bで吸収することができ、平坦部18aの強度増強にも寄与することができる。
【0039】
また複数の前記平坦部18a相互間の周方向中央部で前記縮径筒部18の外面に、外側方に突出しつつ当該縮径筒部18の軸線方向に延びる第2の突条18cがそれぞれ形成されるので、保持筒部16,17に対する縮径筒部18の周長差を小さくすることができ、縮径筒部18にしわ等が発生することを抑えることが可能となるとともに縮径筒部18の強度をより増強することができる。
【0040】
また前記ケーシング素材24が、複数の前記第2の突条18cの1つに電縫部28が配置されるようにした電縫管であるので、電縫部28の変形量を小さくし、電縫部28にかかる負担を軽減することができる。
【0041】
さらに筒状のケーシング素材24のうち前記保持筒部16,17間に対応する部分を、前記平坦部18aを形成するための平面29aを有する分割金型29を含むとともに前記ケーシング素材24の周方向に分割された複数の分割金型29,30でプレス成形して前記縮径筒部18を形成するので、1つの分割金型29,30によるプレス荷重を小さくして変形量を小さく抑え、縮径筒部18の変形を抑えてケーシング11Aを形成することができる。
【0042】
本発明の第2の実施の形態について図5を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0043】
ケーシング11Bの縮径筒部32は、保持筒部16,17に対応した筒状のケーシング素材24のうち前記保持筒部16,17間に対応する部分のプレス成形によって形成されるものであり、前記縮径筒部32の周方向に等間隔をあけた複数箇所、この第2の実施の形態では3箇所に平坦部32aが形成される。それらの平坦部32aの1つにO2 センサー23が取付けられる。
【0044】
また前記縮径筒部32の周方向に沿う前記平坦部32aの両端部には、前記縮径筒部32の外側方に突出しつつ当該縮径筒部32の軸線方向に延びる第1の突条32bがそれぞれ形成される。さらに複数(この第2の実施の形態では3つ)の前記平坦部32a相互間の周方向中央部で前記縮径筒部18の外面には、外側方に突出しつつ当該縮径筒部32の軸線方向に延びる第2の突条32cがそれぞれ形成される。
【0045】
この第2の実施の形態によっても上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0046】
本発明の第3の実施の形態について図6を参照しながら説明するが、上記第1および第2の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0047】
ケーシング11Cの縮径筒部33は、保持筒部16,17に対応した筒状のケーシング素材24のうち前記保持筒部16,17間に対応する部分のプレス成形によって形成されるものであり、前記縮径筒部33の周方向に間隔をあけた複数箇所、この第3の実施の形態では2箇所に平坦部33aが形成される。
【0048】
しかもそれらの平坦部33aは、相互に直交する一対の仮想平面34,35に沿うようにして前記縮径筒部33に形成されており、両平坦部33aの1つにO2 センサー23が取付けられる。
【0049】
また前記縮径筒部33の周方向に沿う前記平坦部33aの両端部には、前記縮径筒部33の外側方に突出しつつ当該縮径筒部33の軸線方向に延びる第1の突条33bがそれぞれ形成され、複数(この第3の実施の形態では2つ)の前記平坦部33a相互間の周方向中央部で前記縮径筒部33の外面には、外側方に突出しつつ当該縮径筒部33の軸線方向に延びる第2の突条33cがそれぞれ形成される。
【0050】
この第3の実施の形態によれば、縮径筒部33に形成される一対の平坦部33aが相互に直交する一対の仮想平面34,35に沿っているので、一方の平坦部33aが他方の平坦部33aの変形を抑えるように相互に影響しあうことで1箇所当たりの変形量を小さく抑えることができる。
【0051】
本発明の第4の実施の形態について図7を参照しながら説明するが、上記第1〜第3の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0052】
この触媒コンバータのケーシング11Dは、図1図4で示した第1の実施の形態と同様に、一対の保持筒部16,17と、それらの保持筒部16,17間を一体に連結する縮径筒部18とを一体に有しており、前記縮径筒部18は、電縫部28を有する電縫管であるケーシング素材24(図1参照)のうち前記保持筒部16,17間に対応する部分のプレス成形によって形成される。
【0053】
しかも前記縮径筒部18が有する4つの平坦部18aのうちO2 センサー23が取付けられる平坦部18aを除く3つの平坦部18aの1つに、前記電縫部28が配置されるように、前記ケーシング素材24がプレス成形される。
【0054】
この第4の実施の形態によれば、ケーシング11Dの横断面形状において電縫部28が配置される部分での形状変化がなく、起伏がある形状に比べると、電縫部28にかかる応力を低減することができる。
【0055】
本発明の第5の実施の形態について図8を参照しながら説明するが、上記第1〜第4の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0056】
この触媒コンバータのケーシング11Eは、図5で示した第2の実施の形態と同様に、一対の保持筒部16,17と、それらの保持筒部16,17間を一体に連結する縮径筒部32とを一体に有しており、前記縮径筒部32は、電縫部28を有する電縫管であるケーシング素材24(図1参照)のうち前記保持筒部16,17間に対応する部分のプレス成形によって形成される。
【0057】
しかも前記縮径筒部32が有する3つの平坦部32aのうちO2 センサー23が取付けられる平坦部32aを除く2つの平坦部32aの1つに、前記電縫部28が配置されるように、前記ケーシング素材24がプレス成形される。
【0058】
この第5の実施の形態によっても第4の実施の形態と同様に、電縫部28にかかる応力を低減することができる。
【0059】
本発明の第6の実施の形態について図9を参照しながら説明するが、上記第1〜第5の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0060】
この触媒コンバータのケーシング11Fは、図6で示した第3の実施の形態と同様に、一対の保持筒部16,17と、それらの保持筒部16,17間を一体に連結する縮径筒部33とを一体に有しており、前記縮径筒部33は、電縫部28を有する電縫管であるケーシング素材24(図1参照)のうち前記保持筒部16,17間に対応する部分のプレス成形によって形成される。
【0061】
しかも前記縮径筒部33が有する一対の平坦部33aのうちO2 センサー23が取付けられる平坦部33aを除く1つの平坦部33aに、前記電縫部28が配置されるように、前記ケーシング素材24がプレス成形される。
【0062】
この第6の実施の形態によっても第4および第5の実施の形態と同様に、電縫部28にかかる応力を低減することができる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0064】
11A,11B,11C,11D,11E,11F・・・ケーシング
12,13・・・モノリス型触媒担体
16,17・・・保持筒部
18,32,33・・・縮径筒部
18a,32a,33a・・・平坦部
18b,32b,33b・・・第1の突条
18c,32c,33c・・・第2の突条
23・・・センサーであるO2 センサー
28・・・電縫部
29,30・・・分割金型
29a・・・平面
34,35・・・仮想平面
【要約】
【課題】少なくとも一対の保持筒部ならびにそれらの保持筒部間を一体に連結する縮径筒部を有する筒状のケーシングと、保持筒部内に個別に収容されるモノリス型触媒担体とを備え、保持筒部に対応した筒状のケーシング素材のうち保持筒部間に対応する部分のプレス成形で前記縮径筒部が形成される触媒コンバータにおいて、縮径筒部をプレス成形する際のプレス荷重が縮径筒部の周方向に大きく不均等となることを抑制する。
【解決手段】縮径筒部18の周方向に間隔をあけた複数箇所に平坦部18aが形成され、それらの平坦部18aの少なくとも1つにセンサー23が取付けられる。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9