特許第6458132号(P6458132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458132
(24)【登録日】2018年12月28日
(45)【発行日】2019年1月23日
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F02M 51/06 20060101AFI20190110BHJP
【FI】
   F02M51/06 G
   F02M51/06 A
   F02M51/06 H
   F02M51/06 S
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-506334(P2017-506334)
(86)(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公表番号】特表2017-524096(P2017-524096A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(86)【国際出願番号】EP2015067479
(87)【国際公開番号】WO2016020254
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2017年2月3日
(31)【優先権主張番号】102014215466.9
(32)【優先日】2014年8月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】クローマー、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】アベル、ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】ラーゲル、ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】グルス、カトリン
【審査官】 堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−130085(JP,A)
【文献】 特開2001−165014(JP,A)
【文献】 特開平08−284775(JP,A)
【文献】 特開2000−008990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外極(2)と、内極(3)と、電磁コイル(20)と、電機子(25)と、を備えた電磁弁(1)であって、
前記内極(3)は、少なくとも1つの非導磁性の又は導磁性が低い分離体(32)、及び、少なくとも1つの導磁性体(33)を介して前記外極(2)と接続され、前記電磁コイル(20)に通電された際には、前記内極(3)と、前記電機子(25)と、前記外極(2)と、を介して通る磁気回路が生成され、ハウジング部分(4)は、前記外極(2)の隣に、前記少なくとも1つの分離体(32)、及び、前記少なくとも1つの導磁性体(33)を有し、
前記導磁性体(33)は、リング状の構造を成し及び/又はスリーブ形状に形成され、及び/又は、前記分離体(32)は、リング状の構造を成し及び/又はスリーブ形状に形成され、
前記導磁性体(33)は、当該導磁性体(33)の径方向の厚さ(36)が薄くなった軸方向に延びる接続リップ(35)を有し、前記分離体(32)は、内側に存在する空所(37)を有し、当該空所(37)に前記導磁性体の前記接続リップ(35)が差し込まれ、
前記分離体(32)及び前記導磁性体(33)は、前記分離体(32)の内面及び前記導磁性体(33)の内面に段が形成されることなく接続され、
前記分離体(32)は、前記導磁性体(33)がそれを介して前記外極(2)から分離される間隔領域(38)を有し、前記電機子(25)は、軸方向に部分的には前記間隔領域(38)に存在するが軸方向に常に前記導磁性体(33)から分離されているよう配置され、
前記導磁性体(33)は、軸方向に前記内極(3)内に配置され、前記分離体(32)は軸方向に、前記電機子(25)の方を向いた前記内極(3)の端面(26)を越えて延びている、電磁弁(1)。
【請求項2】
前記内極(3)は、少なくとも実質的に前記導磁性体(33)と接続され、前記外極(2)は、少なくとも実質的に前記非導磁性の又は導磁性が低い分離体(32)と接続されることを特徴とする、請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記非導磁性の又は導磁性が低い分離体(32)は、少なくとも実質的に、オーステナイト組織を有する材料で形成され、及び/又は、前記導磁性体(33)は、少なくとも実質的に、強磁性材料で形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記導磁性体(33)が、前記導磁性の又は導磁性が低い分離体(32)に挿入されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記導磁性体(33)は、少なくとも前記電機子(25)の作業ストローク範囲(54)に渡って、前記電磁コイルが通電された際の、前記電機子(25)に作用する磁気的な吸引力(F)の増幅が、前記内極(3)と前記電機子(25)との間の所与の作業空隙(s)において、前記導磁性体(33)により可能となる前記磁気回路の形成に基づいて、達成されるように構成されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項6】
前記電磁弁(1)は、内燃機関の装置として用いられる電磁弁である、請求項1〜のいずれか1項に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に内燃機関の装置として用いられる電磁弁に関する。内燃機関のためのそのような装置は、噴射装置、又は、排気管路で適切な媒体が噴射される排気後処理のための装置でありうる。特に、本発明は、内燃機関の燃焼室への燃料、特にガソリンの直接噴射が行われる混合気圧縮型の火花点火式内燃機関の噴射装置のインジェクタ分野に関する。その際には、直接的なニードル駆動が実現されうる。但し、電磁弁は、サーボ弁としても構成されうる。その際に、空気圧縮型の自己着火式内燃機関での適用も構想されうる。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102011089999号明細書では、電磁弁、特に、燃料高圧ポンプの電磁制御弁が開示されている。公知の電磁弁は、極鉄心と、軸方向に移動可能な電機子と、を有し、その際に、極鉄心の端面が、電機子のためのストッパを形成する。その際に、極鉄心は、フェライト系材料で、特にフェライトステンレス鋼で製造される。さらに、ストッパを形成する極鉄心の端面は、プラスチック冷間加工により製造された部分に存在する。ストッパには、硬質クロム膜が施されうる。その際に、電機子は、リング形状の非磁性部品に挿入されている。このリング形状の非磁性部品は、軸方向の一部の領域で電機子を取り囲み、さらに、ストッパを形成する冷間加工された端面を有するフェライト極鉄心を一部の領域で取り囲む。
【0003】
独国特許出願公開第19827267号明細書では、内燃機関の燃焼室へと、高圧の蓄圧器からの燃料を高圧噴射するための燃料噴射弁が開示されている。公知の燃料噴射弁は、チャネル壁により画定される少なくとも1つの絞り弁‐チャネル部を有する絞り弁を介して、制御室内の燃料圧力を低下し(噴射ポジション)、又は当該燃料圧力を構築する(閉鎖ポジション)ために用いられる電磁弁を有する。電磁弁は、閉鎖方向に作用するばねと、電磁コイルと、を有し、この電磁コイルが励起した際に弁要素の吸引を引き起こし、これにより絞り弁が開放される。
【0004】
これにより、上記の電磁弁の構成では、内極と電機子との間の空隙の領域で、対応して構成された構成要素による磁気回路の磁気分離が設けられる。この構成要素は、独国特許出願公開第102011089999号明細書の場合のように、リング形状の非磁性部品として形成されうる。非導磁性材料で製造された分離部には、内極が固定されうる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の特徴を備えた本発明に係る電磁弁には、特に、電磁コイルが通電された場合に、磁気回路を介して生じた、電機子を操作するための吸引力が高められる改良された構成が可能となるという利点がある。
【0006】
従属請求項に記載された手段によって、請求項1に示される電磁弁の有利な発展形態が可能である。
【0007】
これにより特に、内極で電機子を保持する磁気的な保持力が高められる。その際に、複数の非導磁性の分離体、及び/又は、複数の導磁性体が使用されうる。但し、好適な構成では、厳密に1つの非導磁性の分離体と、厳密に1つの導磁性体と、が設けられる。このことは、非導磁性の分離体及び導磁性体の適切な構成及び配置によって、電磁コイルに通電された場合に、磁気回路に対して、又は磁気回路において生成する磁力線に対して既に好都合な影響を与えることを可能にする。
【0008】
分離体は、導磁性が低い分離体として構成されてもよい。
【0009】
導磁性体は、少なくとも磁性材料で形成される。その際に、磁性材料は、提供される磁性材料から適切に選択され、特にフェライト系材料が使用されうる。
【0010】
上記の分離体及び導磁性体の構成では、磁束のための磁力線に対して好都合な影響を与えることが重要である。その際に有利に、内極は、少なくとも実質的に導磁性体と接続され、外極は、少なくとも実質的に非導磁性の分離体と接続される。さらに有利に、非導磁性の分離体は、少なくとも実質的に、オーステナイト組織を有する材料で形成される。追加的又は代替的に、導磁性体が、少なくとも実質的に強磁性材料で形成される場合には有利である。その際に、導磁性体は、有利に、非導磁性の分離体に挿入されうる。このようなやり方で、導磁性体が、一方では、非導磁性の分離体と固定的に接合され、他方では、内極と固定的に接合されうる。
【0011】
導磁性体が、リング状の構造を成し及び/又はスリーブ形状に形成されることも有利である。さらに、非導磁性の分離体がリング状の構造を成し及び/又はスリーブ形状に形成されることは有利である。これにより特に、非導磁性の分離体は、分離リングとして構成されうる。さらに、導磁性体は特に、このような分離リングと固定的に接合された導磁性のリングとして構成されうる。その際にさらに、導磁性体が、当該導磁性体の径方向の厚さが薄くなった軸方向に延びる接続リップを有し、非導磁性の分離体は、内側に存在する空所を有し、当該空所に導磁性体の接続リップが差し込まれる場合には有利である。これにより、特に、導磁性体と非導磁性の分離体との接合領域に、分離体と導磁性体とからなる結合体の、シリンダジャケット形状の内面が生じる。これによりさらに、高精度での合目的的な内極の位置決めと、上記結合体の構成でのこれに関する公差と、が可能となる。
【0012】
少なくとも電機子の作業ストローク範囲に渡って、電磁コイルが通電された際の、電機子に作用する磁気的な吸引力の増幅が、内極と電機子との間の所与の作業空隙において、導磁性体により可能となる磁気回路の形成に基づいて達成されるように、導磁性体が構成されることも有利である。即ち、内極と電機子との間の所与の作業空隙が与えられた際に、導磁性体の構成によって、導磁性体の代わりに非導磁性の分離体が設けられるであろう構成と比べて、電機子への磁気的な吸引力の増幅が達成される。作業ストローク範囲において、各所与の作業空隙について上記の増幅が達成される。電磁弁の全可能なストローク範囲は、場合によっては、作業ストローク範囲よりも大きくなりうる。
【0013】
但し、変更された構成において、増幅は、作業ストローク範囲の特に関連する区間についてのみ達成されてもよい。このことは、任意の適用ケースにおいては十分でありうる。特に、導磁性体は、電磁コイルが通電された際の、電機子に作用する磁気的な吸引力の増幅が、電機子の作業ストローク範囲内の小さな作業空隙又は大きな作業空隙において、導磁性体により可能となる磁気回路に基づいて達成されるように構成されうる。これにより、構成に従って、電機子が吸引された際の磁気的な保持力の増幅、又は、操作の開始時の吸引力の増幅が達成されうる。
【0014】
しかしながら、好適に、電機子の全作業ストローク範囲に渡って、電磁コイルが通電された際の、電機子に作用する磁気的な吸引力の増幅が達成される。
【0015】
さらに、非導磁性の分離体は、導磁性体がそれを介して外極から分離される間隔領域を有し、電機子は、軸方向に部分的には間隔領域に存在するが軸方向に常に導磁性体から分離されているよう配置されることは有利である。これにより、電機子は、当該電機子の全作業ストローク範囲に渡って、導磁性体から常に分離されている。従って、このことは場合によっては、作業空隙が消滅し又は作業空隙がほぼ消滅した場合にも当てはまる。これにより、上記空隙を埋める導磁性体を介した内極と電機子との間の間接的な磁気回路が防止される。これにより、作業空隙が小さく又はほぼ消滅している際にも、信頼性の高い機能形態が保証される。
【0016】
従って、導磁性体が軸方向に内極内に配置され、非導磁性の分離体が軸方向に、電機子の方を向いた内極の端面を越えて延びていることも有利である。特に、外極は、少なくとも部分的に、弁ハウジングにより形成されうる。構成によっては、内極も、少なくとも部分的に、弁ハウジングにより形成されうる。通常では、弁ハウジングは、複数の部分で構成され、従って、個々のハウジング部分が磁性材料で形成され、さらに、他のハウジング部分は、少なくとも非磁性材料で形成されうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の好適な実施例を、以下の明細書の記載において、対応する構成要素に統一的に符号が付された添付の図面を参照して詳細に解説する。
図1】本発明の一実施例に対応する電磁弁の抜粋による概略的な断面図を示す。
図2】本発明の同実施形態に対応する、図1にIIで示された電磁弁の部分を抜粋した図を示す。
図3】可能な構成に対応する本発明の電磁弁の機能形態を解説するグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施例に対応する電磁弁の抜粋による概略的な断面図を示す。電磁弁1は、特に、内燃機関の装置として用いられる。その際に、電磁弁1は特に、内燃機関の燃焼室へと燃料を噴射するための燃料噴射弁として用いられる。但し、電磁弁1は、内燃機関の排気管路へと排気後処理のための媒体を噴射するためにも、又は、内燃機関の装置の枠組みにおける他の目的のためにも用いられうる。さらに、電磁弁1は、対応して適合された構成において他の適用ケースのために適している。
【0019】
電磁弁1は、外極2と内極3とを有する。さらに、電磁弁1は、複数の部分で構成可能なハウジング4を有する。簡素化のために、ハウジング部分4のみが示されている。内極3は、ハウジング4の中に挿入されている。ここでは、内極3と外極2との間の機械的な接続が形成されている。外極2は、本実施例では、ハウジング部分4の構成要素である。
【0020】
ハウジング部分4には、弁座面6が形成された弁座体5が設けられている。さらにハウジング部分4の内部には、弁ニードル7が配置されている。本実施例では、弁座面6に対応配置された弁閉鎖体8が、弁ニードル7に形成されている。その際に、弁ニードル7は、電磁弁1により直接的に操作される。その際に、弁ニードル7の弁閉鎖体8が、弁座面6と協働してシール部を成す。
【0021】
弁ニードル7は、軸9に沿って弁ニードルガイド部10を通って案内される。その際に、通常では、軸9に沿って少なくとも2つのこのような弁ニードル案内部10が設けられる。ハウジング部分4の内部空間11へと、燃料が燃料チャネル12を介して案内されうる。このために、電磁弁1は燃料接続管13を有し、この燃料接続管13に、例えば、燃料ポンプ、又は、コモンレール(Common‐Rail)が接続されうる。弁閉鎖体8が操作される際には、この弁閉鎖体8が弁座面6から持ち上げられ、従って、燃料が、噴射孔14を介して、ハウジング部分4の内部空間11から、内燃機関の対応付けられた燃料室、吸入マニホルド、又は予燃焼室等へと噴射されうる。
【0022】
変更された構成において、弁閉鎖体8の直接的な駆動も構想されうる。その際に、電磁弁1のために、及び、弁座面6での噴射孔14の閉鎖のために、別々の弁ニードルが設けられうる。ここでは、弁ニードル7を備えた電磁弁1が、サーボ弁1として機能する。更なる別の可能性は、場合によりストローク伝達(Hubuebersetzung)を可能とする油圧結合である。
【0023】
さらに、電磁弁1は、燃料としての他の媒体を噴射又は調量するためにも使用されうる。その際には対応するやり方で、例えば、ポンプを接続管13に接続することが可能であり、これに関する媒体が、チャネル12を介して内部空間11へと圧送される。特に、これにより、排気後処理のための媒体が調量されうる。
【0024】
燃料又は媒体は、液体の燃料又は媒体のみならず、気体の燃料又は媒体であってもよい。例えば、燃料として天然ガスが使用されうる。
【0025】
電磁弁1はさらに、電磁コイル20を有する。電磁コイル20は、電線21を介して、電気接続部22と接続されている。電気接続部22は、例えば、燃料噴射装置のための制御装置と接続されうる。但し、電磁コイル20の制御部は、完全に又は部分的に電磁弁1に組み込まれうる。
【0026】
内極3の中には弁ばね23が配置されており、この弁ばね23は、弁ニードル7の鍔部24で支持されており、本実施例では、軸9に沿ってシール部の方向に弁ニードル7に負荷を加える。
【0027】
さらに、内極3の端面26に対応配置された電機子25が設けられている。
【0028】
電磁弁1の電磁コイル20に通電された場合には、内極3と、電機子25と、外極2とを介して通る磁気回路(Magnetschluss)が生成される。これにより、電機子25が端面26の方向に操作される。その際にこの操作は、弁ばね23の予圧に抗して行われる。この操作の際に、電機子25は、鍔部24を介して弁ニードル7に対して作用し、従って、弁閉鎖体8と弁座面6との間のシール部が開放される。
【0029】
以下では、図2を参照しながら電磁弁1の構成を説明する。
【0030】
図2は、同実施例に対応する、図1にIIで示された電磁弁1の部分を抜粋した図を示している。ハウジング部分4には、分離体32と、導磁性体33と、が設けられている。その際に、分離体32は、ハウジング部分4の基部31に接合されている。本実施例では、分離体32は非導磁性である。分離体32には導磁性体33が固定されている。本実施例では、分離体32と導磁性体33とは、基部31を起点としてほぼ軸方向に軸9に沿って延びている。その際に、分離体32と導磁性体33とは径方向の厚みを有し、この径方向の厚みは、分離体32と導磁性体33とから成る結合体の軸方向の伸長に沿って変化する。代替的に、上記の厚みは一定であってもよい。いずれにせよ、本実施例では、シリンダジャケット形状の内面34が設けられており、このシリンダジャケット形状の内面34は、分離体32及び導磁性体33、即ち分離体32及び導磁性体33から成る結合体上を延びている。これにより、シリンダジャケット形状の内面34上に、非導磁性の分離体32と導磁性体33との間の特に段の無い移行部が生じる。さらに、シリンダジャケット形状の構成による内面34は、一方では基部31と、他方では分離体32及び導磁性体33と、の間の接続領域上にも延びている。ハウジング部分4の製造は、例えば、2K3S(2つの構成要素、3回噴射)又は3K3S(3つの構成要素、3回噴射)MIM(金属射出成形)プロセスにより製造されうる。その際に、基部31の、射出成形された導磁性の素地(Rohling)の上に、分離体32の非導磁性の素地が射出成形され、この上に、導磁性体32の導磁性の素地が射出成形される。その後で、3つの部分射出成形から製造された加工物が焼結されて、ハウジング部4となる。
【0031】
これにより図2では、ハウジング部分4の内部の要素、特に電機子25及び内極3が、可能な有利な構成において、特に分離体32に対して、及び、基部31と、分離体32と、導磁性体33と、へのハウジング部分4の可能な有利な分割に対して位置決めされている。
【0032】
内極3は、導磁性体33に接合されており、好適に、導磁性体33に圧入されて当該導磁性体33に溶接されている。外極2は、非導磁性の分離体32と接合されている。その際に外極2は、少なくとも、基部31の一構成要素によって形成される。
【0033】
本実施例では非導磁性の分離体32は、好適にオーステナイト組織を有する材料で形成される。但し、本発明の機能形態に関して、非導磁性の又は導磁性が低い分離体32の、非導磁性の特性又は導磁性が低い特性が実現される他の材料も構想されうる。導磁性体33は、好適に強磁性材料で形成される。一般に導磁性体33は、本発明の機能形態に関して、磁力線に対して有利な影響を与える材料で形成される。
【0034】
導磁性体33は、好適にリング状の構造を成し、好適にスリーブ形状に形成される。さらに、非導磁性の分離体32は、好適にリング状の構造を成し、好適にスリーブ形状に形成される。導磁性体33は、好適に、導磁性体33の径方向の厚さが薄くなった軸方向に延びる接続リップ35を有する。非導磁性の分離体32は、対応して適合された構成を有する。その際に、非導磁性の分離体32は、導磁性体33のため、又は導磁性体33の接続リップ35のための内側の空所37を有する。この非導磁性の分離体32の内側の空所37に、導磁性体33の接続リップ35が挿入されている。その際には、適切なやり方で接合が実現される。例えば、導磁性体33は、非導磁性の分離体32へと圧入されて当該分離体32に溶接され、又は、2K3S又は3K3S MIMプロセスの一部として製造される。これにより、導磁性体33が、非導磁性の分離体32に挿入される。
【0035】
非導磁性の分離体32は、軸方向の長さ39を有する間隔領域38を有し、この間隔領域38を介して、導磁性体33は外極2から分離されている。電機子25は、軸方向に部分的には間隔領域38に存在するが、軸方向に常に導磁性体33から分離され又は間隔が置かれるように、配置されている。これにより、作業ストローク範囲内での電機子25の各可能な位置について、上記の分離が保証される。導磁性体33は、軸方向に内極3内に配置されており、その際に、非導磁性の分離体32は好適に、軸方向に、電機子25の方を向いた内極3の端面26を超えて延びている。本実施例では、間隔領域38には、分離体32と導磁性体33とが互いに接合した、分離体32及び導磁性体33の接合領域40が連接する。接続領域40は、軸方向の長さ41を有する。さらに、接続領域40には軸方向に、導磁性体33の純粋に導磁性の領域42が連接する。この純粋に導磁性の領域42は、軸方向の長さ43を有する。分離体32及び導磁性体33の軸方向の全長39、41、43は、間隔領域38の軸方向の長さ39と、接続領域40の軸方向の長さ41と、純粋に導磁性の領域42の軸方向の長さ43と、の和から得られる。さらに、軸方向の長さ45に渡って延びる継ぎ足し部44が、外極2に接して設けられる。この継ぎ足し部44に、分離体32が接合される。これにより構造的及び接続技術的な利点が実現される。
【0036】
図3は、電磁弁1の可能な構成に対応する電磁弁1の機能形態を解説するためのグラフを示している。ここでは、縦軸に、磁気力Fがニュートン(N)で示され、横軸に、作業空隙sがメートル(m)で示されている。本発明の可能な構成に対応する電磁弁1について特性曲線46が獲得され、この特性曲線46は、2つの範囲47、48に分けられている。比較として、範囲51、52に分けられた特性曲線50が示されている。範囲47、48への特性曲線46の分割、及び51、52への特性曲線50の分割は、双方の特性曲線46、50の交点53により得られ、この交点53は、空隙60μm及びこれに関する力40Nの近傍に存在する。作業ストローク範囲54は、好適に、0μmから、交点53に対応付けられた作業ストロークsまでの範囲内で選択される。逆に言えば、分離体32及び導磁性体33の構成は、好適に、交点53についての(想定可能ではあるが駆動時には実現されない)作業ストロークsが、駆動時に実現される作業ストロークsが存在する所望の作業ストローク範囲54の外に存在するように、予め定められる。
【0037】
特性曲線50には、導磁性体33が、形状的に同一に構成された非導磁性材料で製造された部品と置換されている電磁弁1の構成が対応している。これにより、図3のグラフは、導磁性体33及び非導磁性の分離体部分32の作用形態、即ち、結合体の組み合わされた作用形態を示している。
【0038】
範囲47では、特徴曲線46は、特性曲線50の範囲51を上回っている。これにより、所与の作業空隙sにおいてより大きな磁気力Fが実現される。即ち、特に作業ストローク範囲54において磁気力Fの増幅が可能となる。
【0039】
作業ストローク範囲54の外では、図3から分かるように、磁気力Fの弱化も起こりうる。なぜならば、特性曲線46の範囲48は、特性曲線50の範囲52を下回っているからである。
【0040】
従って分離体32及び導磁性体33は、電機子25の作業ストローク範囲54に渡って、磁気コイル20が通電された際の、電機子25に対して作用する磁気的な吸引力Fの増幅が、内極3と電機子25との間の所与の作業空隙sにおいて、導磁性体33により可能となる磁気回路の形成に基づいて達成されるように、構成される。
【0041】
電磁弁1の変更された構成において、磁気力Fの増幅は、場合によっては、作業ストローク範囲54の一区間に限定されてもよい。即ち、その場合には、交点53が作業ストローク範囲54に存在し、又は、作業ストローク範囲54が、交点53を超えて拡大している。これにより、電磁弁1の変更に応じて、例えば、操作されている状態での、シール部を閉じた状態に保つばね力に抗して作用する保持力の増幅が達成されうる。
【0042】
本発明は、記載された実施例に限定されない。
図1
図2
図3