【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DE RECHERCHE EN INFORMATIQUE ET EN AUTOMATIQUE
【文献】
Natale Guzzo (TRAXENS & INRIA),A cluster-based and on-demand routing algorithm for large-scale multi-hop wireless sensor networks,INRIA (france) HAL documents,2014年 9月22日,URL,https://www.researchgate.net/publication/278798175_A_Cluster-Based_and_On-Demand_Routing_Algorithm_for_Large-Scale_Multi-hop_Wireless_Sensor_Networks
【文献】
Wittawat Tantisiriroj (トロント大学),The cluster protocol,Toronto university,2008年 1月31日,URL,https://www.comm.utoronto.ca/hypercast/material/CT_mechanism_2008_01_30.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1通信電子装置(10)の処理部(11)によって実行される方法(P100)であって、前記第1通信電子装置(10)はさらに、データメモリ(12)と、複数の通信電子装置(10、10i、a1、…、a8、b1、…、b8、…、j1、…、j5)を備えるクラスタ(C1、C2)内の通信範囲内に位置する他の通信電子装置(10i)との近接無線通信を提供する第1の通信手段(13)とを含み、前記メモリ(12)および前記通信手段(13)は前記処理部(11)と協働し、前記データメモリ(12)は、前記第1通信電子装置(10)に専用の識別子(ID、IDm、IDa)の値と、クラスタ(C1、C2)のヘッドとして機能する通信電子装置(d2、h3)の識別子(IDH)の現在値(IDHc)を含むように構成されたレジスタ(RH)とを保存し、前記方法(P100)は、前記クラスタヘッドとして機能する装置にサービスメッセージ(MS)を送信するステップを含み、
前記方法は、
前記サービスメッセージ(MS)を送信する前に、前記クラスタに属することの確認メッセージ(MAS)を生成し、前記第1の通信手段(13)を介して送信するステップ(125)を含み、前記確認メッセージ(MAS)において、
i.第2通信電子装置の識別子の値(MAS−1)が、前記クラスタに属することの確認メッセージ(MAS)の受信者である通信電子装置の識別子として符号化され、
ii.前記第1装置の識別子の値(MAS−2)が、前記クラスタに属することの確認メッセージ(MAS)のソースである通信電子装置の識別子として符号化されていることを特徴とする方法(P100)。
前記サービスメッセージ(MS)を送信する前に、前記クラスタに属することの確認メッセージ(MAS)を生成し、前記第1の通信手段(13)を介して送信するステップは、前記装置が前記クラスタ(C1、C2)に所属していることを検査ステップ(124)が示す場合にのみ、実行される(124−y)、請求項1に記載の方法。
前記クラスタに属することの確認メッセージの受信を通知するメッセージ(MAA)が、前記クラスタに属することの確認メッセージ(MAS)の送信からの所定の最大待機時間が終了する前に受信された場合そしてその場合にのみ実行されるステップ(126)であって、前記受信を通知するメッセージ(MAA)を復号し、そこから、
i.前記クラスタに属することの確認メッセージ(MAS)の受信を通知するメッセージ(MAA)の受信者装置の識別子の値(MAA−2)と、
ii.前記クラスタに属することの確認メッセージ(MAS)の受信を通知するメッセージ(MAA)のソース装置の識別子の値(MAA−1)と、を推測するステップ(126)を含み、
サービスメッセージ(MS)を生成するステップ(123a)、および前記サービスメッセージ(MS)の送信をトリガするステップ(123)は、
前記クラスタに属することの確認メッセージ(MAS)の受信を通知するメッセージ(MAA)の受信者装置の識別子の推測値(MAA−2)が前記第1通信電子装置の識別子の値と等しく、
前記クラスタに属することの確認メッセージ(MAS)の受信を通知するメッセージ(MAA)のソース装置の識別子の推測値(MAA−1)が前記第2通信電子装置の識別子の値と等しい場合(126−y)にのみ実行される、請求項2に記載の方法。
クラスタ(C1、C2)への所属を要請する第3通信電子装置(c5、i5)によって生成されて送信される所属要請メッセージ(MAR)を受信するステップ(201)であって、前記所属要請メッセージ(MAR)は、前記所属を要請する第3装置(c5、i5)の識別子(IDa)の値を含むステップ(201)と、
前記所属要請メッセージ(MAR)を復号し、そこから前記所属を要請する第3装置の識別子(IDa)の値を推測するステップ(202)と、
前記所属要請の受信を通知するメッセージ(MAA)を生成するステップ(204)であって、前記メッセージ(MAA)内に、
i.前記第1装置の識別子(ID)の値を、前記所属要請の受信を通知するメッセージ(MAA)のソース装置の識別子として符号化し(MAA−1)、
ii.前記所属を要請する第3装置の識別子(IDa)の値を、前記所属要請の受信を通知するメッセージ(MAA)の受信者装置の識別子として符号化し(MAA−2)、
iii.クラスタヘッドとして機能する第4通信電子装置の識別子(IDH)の現在値(IDHc)を符号化する(MAA−3)ことを含み、前記値(IDHc)は前記レジスタ(RH)に読み込まれているステップ(204)と、
前記第1の通信手段(13)による、前記所属要請の受信を通知するメッセージ(MAA)の送信をトリガするステップ(205)と、を含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法(P100)。
前記所属要請の受信を通知するメッセージ(MAA)を生成するステップ(204)はさらに、前記クラスタ(C1、C2)のヘッドとして機能する第4通信電子装置(d2、h3)におけるサービスを実行する能力(CH1、CH2)を表す値(CHc1、CHc2)を符号化する(MAA−6、MAA−7)ことを含み、前記値は、前記クラスタ(C1、C2)のヘッドとして機能する第4通信電子装置(d2、h3)の識別子(IDH)の現在値(IDHc)をさらに保存する前記レジスタ(RH)に記録されている、請求項4に記載の方法(P100)。
クラスタ(C1、C2)のヘッドとして機能する通信電子装置(d2、h3)の識別子(IDH)の現在値(IDHc)を含むレジスタ(RH)を、前記データメモリ(12)が保存する場合(203−a)にのみ、前記第1の通信手段(13)による、所属要請の受信を通知するメッセージ(MAA)の送信をトリガするステップ(205)が実行される、請求項1から5のいずれかに記載の方法(P100)。
前記第1装置(c5、i5)の識別子(ID、IDa)の値を、クラスタへの所属を要請する装置の識別子として符号化する(MAR−1)ことを含む所属要請メッセージ(MAR)を生成するステップ(211)と、
前記第1の通信手段(13)による前記所属要請メッセージ(MAR)の送信をトリガするステップ(212)と、
第5装置(10i)によって生成されて送信され、前記所属要請メッセージ(MAR)の受信を通知するメッセージ(MAA)を、前記通信手段(13)によって受信するステップ(213)と、
前記所属要請メッセージ(MAR)の受信を通知するメッセージ(MAA)が、前記所属要請メッセージ(MAR)の送信からの所定の最大待機時間が終了する前に受信された場合(213、213−y)そしてその場合にのみ実行されるステップ(214)であって、前記所属要請メッセージの受信を通知するメッセージ(MAA)を復号し、そこから
i.前記所属要請の受信を通知するメッセージ(MAA)の受信者装置の識別子(MAA−2、IDa)の値と、
ii.前記所属要請の受信を通知するメッセージ(MAA)のソースである第5装置が属するクラスタヘッドとして機能する第6通信電子装置の識別子(MAA−3、IDH)の値とを推測するステップ(214)と、
前記受信者装置の識別子の推測値(MAA−2)が、所属を要請する前記第1装置の識別子(ID)の値と等しい場合そしてその場合にのみ実行されるステップ(215)であって、前記クラスタヘッドとして機能する第6通信電子装置の識別子(IDH)の推測値を、前記クラスタヘッドとして機能する装置の識別子の現在値(IDHc)として前記レジスタ(RH)に記録するステップ(215)と、を含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法(P100)。
前記所属要請メッセージの受信を通知するメッセージ(MAA)を復号するステップ(214)はさらに、前記メッセージ(MAA)から、前記メッセージ(MAA)のソースである第5通信電子装置の識別子(IDm)の値を推測すること(MAA−1)を含み、
前記レジスタ(RH)を更新するステップ(215)はさらに、前記識別子の推測値を、所属を要請する前記第1通信電子装置と前記クラスタヘッドとして機能する第6通信電子装置とを隔てるアップリンクルート(Ru)上の通信電子装置の識別子として前記レジスタ(RH)に記録することを含む、請求項7に記載の方法(P100)。
前記クラスタヘッドとして機能する装置に向けられたサービスメッセージ(MS)を送信するステップの前に、前記クラスタヘッドとして機能する通信電子装置の識別子の現在値(IDHc)として識別子(IDH)の値が前記レジスタ(RH)によって保存されている通信電子装置に向けられた、サービスメッセージ(MS)を生成し(123a)、前記第1の通信手段(13)を介した前記サービスメッセージ(MS)の送信をトリガする(123)ステップを含む、請求項1から8のいずれかに記載の方法(P100)。
処理部(11)と、データメモリ(12)と、プログラムメモリ(14)と、通信範囲内に位置する他の電子装置(10i)との無線近接通信を提供する第1の通信手段(13)とを含む電子装置(10)であって、前記メモリ(12、14)および前記第1の通信手段(13)は前記処理部(11)と協働し、前記データメモリ(12)は、前記装置専用の識別子(ID)の値と、クラスタヘッドとして機能する装置の識別子の現在値を含むレジスタ(RH)とを含み、
請求項10に記載のプログラム(P)の命令をプログラムメモリ(14)内に含むことを特徴とする電子装置(10)。
固体、流体または液体の品物または商品の複数の容器を含み、前記容器はそれぞれ前記通信電子装置(10、10i)と協働し、前記通信電子装置は、前記容器の内部および/または外部環境に関する特性を測定し収集するために前記処理部(11)と協働するセンサ(15)をそれぞれ含む、請求項12に記載のシステム。
【背景技術】
【0003】
非限定的な好ましい適用例として、品物もしくは商品の容器、またはより一般的には容器の内部および/または外部環境に関する、例えば、温度、水分レベル、明るさ、振動数、衝撃などの特性の収集に関連する適用例を通して本発明を説明する。その適用例によると、上記容器は、共に集められ、および/または保管場所に積み重ねられ、またはコンテナ船や貨物列車などの輸送プラットホームもしくはその他の適切な輸送プラットホーム上で移動している。各容器は上記通信装置のうちの1つと協働する。その通信装置は、上記特性を収集し、サービスメッセージを通して「クラスタヘッド」または「ヘッド」として機能するピア装置に上記特性を運ぶ役割を担う。ヘッドの使命の1つは所定のサービスの実行からなる。そのようなサービスは例えば、通信装置によって収集されたデータを集約し、集約後に、該データを、衛星接続または無線電話接続型の長距離(long−rangeまたはlong−distance)接続を介して遠隔エンティティに送信することからなっていてもよい。しかしながら、本発明はこの適用例のみに限定されることはない。より一般的には、「ヘッド」装置は、そのピアによって収集され運ばれたデータに関して所与のサービスを実行する役割を担い、該所与のサービスは、遠隔エンティティとの通信の代わりに、またはそれに加えて、監督またはアラーム管理に関係し得る。
【0004】
現在、通信オブジェクトのネットワークの種類または構造は数多く存在する。
図1は無線通信ネットワークの2つの例R1およびR2を概略的に表したものである。動作するネットワークにかかわらず、各通信装置は、通常そのようなネットワーク内において「ノード」とも呼ばれ、第三者ノードまたはピアノードとのデータメッセージおよび/またはサービスメッセージの交換を上記通信装置に可能にする通信方法を実行する。したがって、ネットワークR1は、a1からa8、b1からb8、c1からc8、d1からd8、およびe1からe8によって
図1においてそれぞれに参照される40個の通信電子装置を設ける。ネットワークR2は同様に、f1からf5、g1からg5、h1からh5、i1からi5、およびj1からj5によって
図1においてそれぞれに参照される25個の通信装置を設ける。
【0005】
図1に関して説明されるネットワークR2ようなシングルホップネットワーク、または
図1に関して説明されるネットワークR1のようなマルチホップネットワークのどちらが用いられても、以降「ソース」ノードと呼ぶ第1ノードは、
図1において単線の両矢印で示すサービスメッセージを準備することが可能であり、サービスメッセージは、非限定的な例として、上記第1ノードと協働するセンサによって測定された特性に関するデータを含み、第2の、いわゆる「受信者」ノードに向けられている。
【0006】
シングルホップネットワークによれば、第1ノードと第2ノードの間の通信は直接的である。対照的に、マルチホップネットワークによれば、そのような通信は間接的であり得る。したがって、ソースノードから送信されるメッセージは1つ以上の「中継または中間」ノードによって中継されることが可能であり、「中継または中間」ノードのそれぞれの役割は、最終的に受信ノードに運ばれて受信されるようにソースノードからの上記メッセージを再送信することからなる。ソースノードは、ヘッドノードと直接的または間接的に通信することが可能であり、例えば
図1の点線で囲まれたクラスタC1およびC2のような「クラスタ」を構成する。第1ソースノードから発せられ、1つ以上の中継ノードを介して第2受信ノードに向けられるサービスメッセージがたどる経路は、一般的に「ルート」と呼ばれる。したがって、
図1によると、ノードa4からノードd2に送信されるメッセージは中継ノードb4およびc3によって次々に中継される。
【0007】
シングルホップまたはマルチホップ通信ネットワーク内の通信は、一般的に無線によって行われる。そのような通信は、異なるノード間でサービスメッセージが次々に送信されるように、一般的に近距離、すなわち数メートルから数十メートルの距離のものである。データがサーバ、またはより一般的には遠隔エンティティに運ばれる場合、例えば、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communication)もしくはGPRS(General Packet Radio Service)、または衛星接続による第2の通信方式が実行される。
【0008】
ノード間のやり取り、やり取りされたデータに基づきノードによって実行される処理動作または計算処理、および通信装置のネットワークまたはクラスタ内で収集されたデータの可能な遠隔伝達は全て、電力を消費するアクションである。
【0009】
図2で好ましい例として示すように、ノードは一般的に、例えば、マイクロコントローラの形式の処理部11を含む電子装置10で主に構成され、処理部11は、データメモリ12と、場合によりプログラムメモリ14と協働し、これらのメモリは場合により分離していてもよい。処理部11は内部通信バスを用いて上記メモリ12および14と協働する。電子装置10は一般的に、自身の環境に関する物理的特性を測定する1つ以上の測定センサ15を含む。そのようなセンサは、周囲の温度、水分レベル、または光の有無を測定することができる。装置10はさらに、処理部11と協働する第1の通信手段13を含み、該通信手段13は、通信範囲内に位置する他の電子装置10iとの無線近接通信を提供する。装置10はまた、処理部11と協働する「長距離」型の第2の通信手段16を含んでもよい。これらの第2の通信手段によって、このような装置10は、例えばGSM(登録商標)、GPRS、または衛星技術を用いたネットワークRRによって配布されるメッセージMCを介して、例えばサーバRSなどの遠隔エンティティにデータを送信することが可能になる。動作のために、すなわち、プログラムメモリ14に保存されたプログラムPの命令を、処理部自身で解釈または実行して得た方法を、処理部11が実行するために、装置10は例えば1つ以上のバッテリーの形式の電源17を含む。ノードの通信能力、または単なる動作能力は、該ノードの利用可能な残存エネルギー容量に直結している。
【0010】
ネットワークまたはクラスタの電力容量を全体的に維持するために、ネットワークまたはクラスタ内のノードによって実行されるネットワークまたは通信方法の設計が試みられてきた。概して、第1のアプローチは、ノード間のやり取りにより生じるエネルギーコストをネットワークまたはクラスタの上記ノード全てに分散することからなる。第2のアプローチは、収集されたデータに対し実行される、例えば長距離送信などの処理動作により生じるエネルギー消費を大部分のノードに分散することで、複数のノードで電力消費を分担することからなる。したがって、非接触通信ネットワークがシングルホップ構造またはマルチホップ構造のいずれであっても、ノードは、任意に、「ヘッド」、少なくともクラスタヘッド、またはヘッドノードとして指定または昇格されてもよい。
図1に関して、ヘッドとして機能する装置は太線の丸で示される。それはネットワークR1におけるノードd2、そしてネットワークR2におけるノードh3である。したがって、ノードd2およびh3はそれぞれ、クラスタC1およびC2のヘッドとして機能する。このようにして、特にネットワーク内で収集されたデータの遠隔送信のために消費されるエネルギーは、複数のノードで分担される。代替として、ヘッドは、ランダムに指定されることが可能であり、より正確には、所定のサービスを実行するための十分なハードウェアおよび/またはソフトウェア資源を有する限りにおいて、自らをヘッドとしてランダムに指定することが可能である。
【0011】
一例として、「An Application−Specific Protocol Architecture for Wireless Microsensor Networks」(W.Heinzelman,A.Chandrakasan,H.Balakrishnan−IEEE TRANSACTIONS ON WIRELESS COMMUNICATIONS,VOL.1,NO.4,OCT.2002)という表題の文書に特に記載されている「LEACH」方法により、シングルホップネットワークにおいて、ノードがヘッドになるように、そのノードをランダムに指定することが可能になる。上記ヘッドのクラスタに属するその他のノード(それらのノードをそれぞれ「メンバー」と呼ぶ)は、自らのサービスメッセージをクラスタヘッドに、したがってヘッドに送信する。
図1に関して、各メンバーノードは細線の丸で示される。したがって、ネットワークR2内で、ヘッドh3はノードg2からg4、h2およびh3、ならびにノードi2からi4と直接通信する。ヘッドは、異なるメンバーノードから送信された上記データを収集し、それを処理し、それを集約または統合し、そして、例えば、
図2に関して説明されるサーバRSのような遠隔エンティティへの長距離送信をトリガする。この周知の技術によると、一度ノードがヘッドとして機能すると、そのようなノードは、所定の期間が経過するまでは、再びその役割を引き受けることができない。その後、新たなメンバーノードがランダムにヘッドに指定され、そのようにしてサービスの継続が保証される。
図1に関して二重丸で示されるノード(「自由(loose)」と呼ぶ)が、ヘッドに「参加」し、したがってクラスタを形成するか、または既存のクラスタに参加することができるように、ヘッドに昇格または指定されたノードの無線通信範囲内に位置するそのような自由ノードは、該ヘッドが発信する登録メッセージMHを受信するように配置されており、登録メッセージMHは、一般的に、ヘッドの無線通信範囲内に位置する任意のノードに対する登録メッセージMHの一様な送信(「ブロードキャスト」とも呼ぶ)の形式で発信される。
図1のネットワークR2を通して、ヘッドとして機能するように指定されたノードh3から送信されるメッセージMHの送信結果を説明することができる。このメッセージMHは、近距離ブロードキャスト方式によって、通信範囲内に位置するノード(この場合、
図1において二重線の丸で示される非網羅的にノードf1からf5などのその他のノードのように最初は自由ノードであった、ノードg2からg4、h2およびh4、ならびにノードi2からi4)に送信される。そのような登録メッセージMHを受信すると、自由ノード、例えばノードh4は、自らのデータメモリを更新し、該メモリは、ヘッドの座標または識別子の値、すなわち
図1におけるノードh3の識別子の値を自身に記録するために、処理部と協働する。以前は自由であった装置h4は、細線の丸で示されるクラスタC2のメンバーとなる。ヘッドとして機能する装置h3は、上記クラスタのその他のメンバー装置、すなわちノードg2、g3、g4、i2、i3、およびi4のように、新たにクラスタC2のメンバーになった装置h4によって収集されたデータを含む任意のサービスメッセージMSの受信者になる。このように、以前はノードi2からi4のように自由ノードであった上記ノードg2からg4、h2およびh4は、
図1において単線の丸で示されるメンバーノードになる。ノードh3によるメッセージMHの送信は範囲が限定されたものである。その結果、その範囲外に位置するノードは、メッセージMHを理解可能なメッセージとして受信できないか、またはメッセージを全く受信することができない。ネットワークR2はシングルホップ型であるため、ノードf1からf5、g1、g5、h1、h5、i1、i5、またはノードj1からj5のようなh3の通信範囲外のノードは、二重線の丸で示される自由ノードにとどまる。クラスタC2はヘッドとして機能するノードh3、およびメンバーノード(すなわち、ヘッドh3の登録を受け入れたノード)のみを含む。
【0012】
図1に関して説明されたネットワークR1のようなマルチホップネットワークの状況にLEACHの教示を置き換えると、ヘッドとして機能するノードを含むクラスタのメンバーとなるノードは、各自のデータメモリ内に、ルート、すなわち、ヘッドとして機能するノードの識別子の値、および少なくとも該ヘッドの登録メッセージを中継したノードの識別子の値、または代替として、該ヘッドから自身を隔てる中間または中継ノードのそれぞれの識別子の値を記録するであろうと想定することができる。したがって、一例として、ノードc2は、ノードd2から登録メッセージMHを直接受信して、該ヘッドd2の識別子の値を保存する。一方、ノードb2はまた、ノードd2の識別子の値に加えて、ノードb2のためにd2の登録メッセージMHを中継したノードc2の識別子の値を記録する。
【0013】
そのようなアプローチによれば、理論上、または少なくとも完全な適用方式に従って、複数の通信ノードを含む通信ネットワークのエネルギー源全体を維持することが可能になる。実際または現実的には、また特に、通信電子装置と協働する容器の輸送に関連する通信ネットワークのような適用または使用分野においては、そのような解決法は、不適切であるか、または少なくとも役に立たない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ここから、品物または商品の容器などの複数の容器に関する測定値をノードが記録し、収集し、送信する無線通信ネットワークの使用からなる非限定的な好ましい例について検討する。各容器は、LEACHまたはマルチホップ型の同等な方法などの通信方法を実行する通信電子装置と関連付けられていると考える。この仮定によると、容器に関連付けられた各通信電子装置は、
図1に関して説明されたネットワークR2のような無線ネットワーク内でノードとして機能する。ノード間の通信方式は無線チャネルによるものと考える。LEACH型の通信方法がシングルホップアプローチを必要とする、つまり各ノードがヘッドと直接通信可能であることを必要とする事実は別として、例えば船上、保管場所、または任意の道路もしくは鉄道輸送プラットホームにおける容器の相対的な配置によって、ヘッドとして指定されたノードが例えば積み重ねた容器の中に位置しているという事実のみのために、例えば、集約されたデータを遠隔部に送信することからなる使命を実行できないおそれがある適用状況が生じる。実際に、容器を収容する構造、あるいは容器自体同士の相互作用により課される区分または部分的な制限を原因として、輸送プラットホームおよび/または保管場所により形成される障害が数多く生じ、容器の積み重ねは、長距離送信を行うヘッドの能力の劣化または喪失にさえつながり得る。データ損失、データ伝達の遅延、および、ヘッドがその役割またはサービスを効果的に実行することができなくなったクラスタを「活気づける」ための不要かつ不適切なエネルギー消費の危険性が高い。連続するヘッドのランダムな選択が非生産的な「選択」に終わった場合に、この危険性はより高まる。このような欠点を解決するために、TRAXENS社は、フランス国立情報学自動制御研究所(the Institut National francais de Recherche en Informatique et en Automatique)と連携し、ノードの相対的な配置に関係なく、ネットワークがシングルホップ型またはマルチホップ型のいずれであっても、ネットワークの適用または動作枠組みにも関係のない、特に革新的で高性能の無線通信ネットワークを設計した。そのようなネットワークにより、異なるノードによって収集されたデータに基づく所定のサービスを実行するネットワークの全体的な能力を最適化することが可能になる。通信装置が、例えば長距離通信方式によるデータ送信のためのヘッドとしての役割を真に引き受けることができる場合そしてその場合にのみ、上記ネットワークは、ヘッド選択方式による通信装置のクラスタへの参加方法に基づくことが好ましい。そのような方法を実行する各ノードは、一度、自身が効果的に自らの役割を実行する状況にあることを認識したら、ヘッドとして機能することを決定してもよい。さらには、任意の自由ノードはノードのクラスタへの参加の有無を決定してもよく、該クラスタは有利に自己指定した上記ヘッドを含む。
【0015】
そのような革新により、以下を可能にすることを含む多くの利点が提供される。
【0016】
−エネルギー消費をネットワークのノードで適切に分担することで、該ネットワークの能力を伸ばし、前述の解決法との比較において類のないサービスを実行すること。
【0017】
−例えば、電子装置に関連付けられた各容器の取扱い、保管、または輸送中に、ノード間の相対的な位置に変化が発生した際、または該ノードの動作状態が変化した際、所望した通りに自動的に適応可能かつ動作可能であるノードのネットワークを設計すること。
【0018】
−共有されるノードの無線通信範囲内に位置する複数のヘッドが同時に選択される際のクラスタの衝突または修正を最小限にしながら、ネットワーク内での自らの役割を決定し、問題のサービスに対する最良のヘッドを常に参照する機会を、各ノードに与えて、サービス(例えば長距離チャネルによるデータ送信)の堅牢性を支持すること。
【0019】
このような解決法は著しい進歩を提供するものの、前述の競合する解決法と同様に、次のような場合に一定の限界または欠点を有する。それは特に、そのような通信ネットワークが、該ネットワークのトポロジーが特に変化しやすい適用状況において使用される場合、すなわち、新たなノードがネットワークへの参加を望む場合、または、ノードが互いに対して動くことにより、ノードが、無線通信範囲内、もしくは反対に以前に参加していたクラスタのヘッドもしくはメンバーの無線通信範囲外になる場合である。
【0020】
実際に、選択された通信ネットワークにかかわらず、該ネットワークのルートまたはトポロジー、すなわちクラスタの形成または破棄は、該ネットワークのダイナミクスの原因を説明するのに十分なほど規則的または頻繁には更新されない。周知の解決法を使用して、そのような更新が高い頻度で行われたならば、登録数、クラスタ破棄の数、またはサービスメッセージの数は10倍に増加し、ネットワークのノードのエネルギー消費を維持するという主な目的は達成されないであろう。
【0021】
本発明により、周知の解決法がもたらす欠点の大部分の解決が可能となる。特に革新的で堅牢な無線通信ネットワークを形成することによって、該ネットワークを構成するノード同士が互いに対して移動可能な場合、またはネットワークのトポロジーが変動することになる場合でも、任意の自由ノード(すなわち、クラスタヘッドではない、またはクラスタメンバーではないノード)は、必要に応じて、クラスタのメンバーに所属手続きを要請してもよい。そのような所属手続きは、前述した異なるネットワーク、特に
図1または
図2に関して示したものへの適合から生じてもよい。自由ノードの所属要請は二重線の矢印によって示される。この場合において、自由ノードはノードc5またはi5を含み、ノードc5およびi5はそれぞれノードc4およびノードi4に所属を要請し、ノードc4およびi4はそれぞれクラスタC1およびC2のメンバーであり、クラスタC1およびC2のヘッドは、ネットワークR1に対してノードd2であり、ネットワークR2に対してノードh3である。
図1はまた本発明による代替も示し、その代替においては、ノードc8のような自由ノードが同様に、クラスタヘッドがノードd2であるクラスタC1に先に所属したノード(この場合、
図1におけるノードc5)に、所属要請を送信することができる。
【0022】
したがって、本発明による方法を実行する各ノードは、ヘッドの登録方針とは無関係に自らの必要に応じて、クラスタのメンバーに所属を要請することができ、その結果、登録メッセージを送信するヘッドが、所属を要請するノードの無線通信範囲外にあったとしても、特に所属手続きを受け入れたメンバーノードを介して、サービスメッセージを上記ヘッドに送信することができる。したがって、本発明は、登録手続き後に形成されたクラスタを拡張すること、または、シングルホップネットワークを「擬似マルチホップネットワーク」に変換することを可能にし、所属要請を受け入れたメンバーノードは、所属ノードがサービスメッセージを送信するために中継ノードとして機能する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
このために、本発明は第1通信電子装置の処理部によって実行される方法に関し、第1通信電子装置はさらに、データメモリと、複数の通信電子装置を備えるクラスタ内の通信範囲内に位置する他の通信電子装置との近接無線通信を提供する第1の通信手段とを含み、該メモリおよび該通信手段は処理部と協働し、データメモリは、第1通信電子装置に専用の識別子の値と、クラスタのヘッドとして機能する通信電子装置の識別子の現在値を含むように構成されたレジスタとを保存する。上記方法は、クラスタヘッドとして機能する装置にサービスメッセージを送信するステップを含む。
【0024】
クラスタの存続を確かめ、サービスメッセージに含まれた情報を失うリスクを防止するために、本方法は以下のステップを含む。
【0025】
−サービスメッセージを送信する前に、クラスタに属することの確認メッセージを生成し、第1の通信手段を介して送信するステップであって、該メッセージにおいて、
i.第2通信電子装置の識別子の値が、クラスタに属することの確認メッセージの受信者である通信電子装置の識別子として符号化され、
ii.第1装置の識別子の値が、クラスタに属することの確認メッセージのソースである通信電子装置の識別子として符号化されているステップ。
【0026】
メッセージの流量を制限するために、本方法は、サービスメッセージを送信する前に、クラスタに属することの確認メッセージを生成し、第1の通信手段を介して送信するステップが、装置がクラスタに所属していることを検査ステップが示す場合にのみ、実行されることを提供してもよい。
【0027】
クラスタの存続を証明するために、本方法は以下のステップを含んでもよい。
【0028】
−クラスタに属することの確認メッセージの受信を通知するメッセージが、クラスタに属することの確認メッセージの送信からの所定の最大待機時間が終了する前に受信された場合そしてその場合にのみ実行されるステップであって、受信を通知するメッセージを復号し、そこから以下を推測するステップ。
【0029】
i.クラスタに属することの確認メッセージの受信を通知するメッセージの受信者装置の識別子の値。
【0030】
ii.クラスタに属することの確認メッセージの受信を通知するメッセージのソース装置の識別子の値。
【0031】
この有利な実施形態によれば、サービスメッセージを生成するステップ、およびサービスメッセージの送信をトリガするステップは有利に以下の場合にのみ実行される。
【0032】
−クラスタに属することの確認メッセージの受信を通知するメッセージの受信者装置の識別子の推測値が第1通信電子装置の識別子の値と等しく、
−クラスタに属することの確認メッセージの受信を通知するメッセージのソース装置の識別子の推測値が第2通信電子装置の識別子の値と等しい場合。
【0033】
上記クラスタを拡張するために、本発明による所属方法は以下のステップを含んでもよい。
【0034】
−クラスタへの所属を要請する第3通信電子装置によって生成されて送信される所属要請メッセージを受信するステップであって、所属要請メッセージは所属を要請する第3装置の識別子の値を含むステップ。
【0035】
−所属要請メッセージを復号し、そこから所属を要請する第3装置の識別子の値を推測するステップ。
【0036】
−所属要請の受信を通知するメッセージを生成するステップであって、該メッセージ内に、
i.第1装置の識別子の値を、所属要請の受信を通知するメッセージのソース装置の識別子として符号化し、
ii.所属を要請する第3装置の識別子の値を、所属要請の受信を通知するメッセージの受信者装置の識別子として符号化し、
iii.クラスタヘッドとして機能する第4通信電子装置の識別子の現在値を符号化することを含み、該値はレジスタに読み込まれている、ステップ。
【0037】
−第1の通信手段による、所属要請の受信を通知するメッセージの送信をトリガするステップ。
【0038】
電子装置による所定のサービスを実行する能力を定量化することが可能な場合、所属要請の受信を通知するメッセージを生成するステップはさらに、クラスタのヘッドとして機能する第4通信電子装置におけるサービスを実行する能力を表す値を符号化することを含むことができ、該値は、クラスタのヘッドとして機能する第4通信電子装置の識別子の現在値をさらに保存するレジスタに保存されている。
【0039】
第1通信電子装置が、所属要請に対し好意的かつ適切に対応することを可能にするために、本発明は、クラスタヘッドとして機能する通信電子装置の識別子の現在値を含むレジスタをデータメモリが保存する場合にのみ、第1の通信手段による、所属要請の受信を通知するメッセージの送信をトリガするステップが実行され得ることを提供してもよい。
【0040】
本発明はまた、第1通信電子装置が同様にクラスタへの所属を要請することができることを提供してもよい。そのような状況は、例えば第1装置が属するクラスタの解体によって生じ得る。このために、本発明による所属方法は以下を含んでもよい。
【0041】
−第1装置の識別子の値を、クラスタへの所属を要請する装置の識別子として符号化することを含む所属要請メッセージを生成するステップ。
【0042】
−第1の通信手段による所属要請メッセージの送信をトリガするステップ。
【0043】
−第5装置によって生成されて送信され、所属要請メッセージの受信を通知するメッセージを、通信手段によって受信するステップ。
【0044】
−所属要請メッセージの受信を通知するメッセージが、所属要請メッセージの送信からの所定の最大待機時間が終了する前に受信された場合そしてその場合にのみ実行されるステップであって、所属要請メッセージの受信を通知するメッセージを復号し、そこから下記を推測するステップ。
【0045】
i.所属要請の受信を通知するメッセージの受信者装置の識別子の値。
【0046】
ii.所属要請の受信を通知するメッセージのソースである第5装置が属するクラスタヘッドとして機能する第6通信電子装置の識別子の値。
【0047】
−受信者装置の識別子の推測値が、所属を要請する第1装置の識別子の値と等しい場合そしてその場合にのみ実行されるステップであって、クラスタヘッドとして機能する第6通信電子装置の識別子の推測値を、クラスタヘッドとして機能する装置の識別子の現在値としてレジスタに記録するステップ。
【0048】
本実施形態によれば、有利に、
−所属要請メッセージの受信を通知するメッセージを復号するステップはさらに、該メッセージから、該メッセージのソースである第5通信電子装置の識別子の値を推測することを含んでもよく、
−レジスタを更新するステップはさらに、上記識別子の推測値を、所属を要請する第1通信電子装置とクラスタヘッドとして機能する第6通信電子装置とを隔てるアップリンクルート上の通信電子装置の識別子としてレジスタに記録することを含んでもよい。
【0049】
クラスタヘッドとして機能する装置に向けて、例えば第1通信電子装置の環境に関する情報を運ぶために、本発明による方法は、クラスタヘッドとして機能する装置に向けられたサービスメッセージを送信するステップの前に、クラスタヘッドとして機能する通信電子装置の識別子の現在値として識別子の値がレジスタによって保存されている通信電子装置に向けられた、サービスメッセージを生成し、第1の通信手段を介した送信をトリガするステップを含んでいてもよい。
【0050】
第2の目的によれば、特に通信電子装置を適合させるために、本発明はまた複数のプログラムの命令を含むコンピュータプログラムに関し、
−プログラムの命令が電子装置のプログラムメモリに事前に保存され、電子装置は、処理部と、通信範囲内に位置する他の電子装置との無線近接通信を確保する第1の通信手段と、クラスタヘッドとして機能する装置の識別子の現在値を含むレジスタ、および装置専用の識別子の値を保存するデータメモリとをさらに含み、上記メモリおよび第1の通信手段は処理部と協働し、かつ
−プログラムの命令が処理部によって実行または解釈される場合に、
コンピュータプログラムは、本発明によって提供されるような所属方法の実行をもたらす。
【0051】
第3の目的によれば、本発明はさらに、処理部と、データメモリと、プログラムメモリと、通信範囲内に位置する他の電子装置との無線近接通信を提供する第1の通信手段とを含む電子装置に関し、上記メモリおよび第1の通信手段は処理部と協働し、データメモリは、装置専用の識別子の値と、クラスタヘッドとして機能する装置の識別子の現在値を保存するレジスタとを含む。上記装置が本発明による所属方法を実行することができるように、該装置は、前述のプログラムの命令をプログラムメモリ内に有利に含む。
【0052】
本発明はまた、複数のそのような通信電子装置を含むシステムを提供する。好ましい非限定的な1つの適用例によれば、そのようなシステムは、固体、流体または液体の品物または商品の複数の容器を有利に含んでもよく、容器はそれぞれ通信電子装置と協働し、通信電子装置は、容器の内部および/または外部環境に関する特性を測定し収集するために処理部と協働するセンサをそれぞれ含む。
【0053】
他の特徴および利点は、情報のために非限定的に与えられる実施形態の一例に関する以下の説明、および添付図の検討からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明による通信電子装置は、
図2に関して前述したような周知の装置10に類似している。
【0056】
このために、本発明による通信電子装置は、特にデータに対する処理動作を実行する役割を担う1つ以上のマイクロコントローラからなる処理部11を含む。データは、有利に、一般的に電気的に消去および書き込み可能な1つ以上のデータメモリ12に、全体としてまたは部分的に保存される。メモリ12は、物理的に分離されるか、または、書き込みもしくは消去アクセスが禁止されるようにもしくは認証手続きを満たすことを必要とするように、単に設計された消去不可セクションを有利に含むことができる。そのようなメモリ12の有利なセクションは、修正アクセスが制限されており、特に、通信電子装置専用の識別子IDの値をそこに記録することを可能にする。有利に、しかし必ずというわけではなく、装置10はさらに、1つ以上のプログラムP、またはより一般的にはプログラムの命令の1つ以上の組を保存するための1つ以上のプログラムメモリ14を含んでもよく、上記プログラムの命令は処理部11により理解可能である。該処理部による該命令の実行または解釈によって、装置10のデータ処理または動作方法の実行が引き起こされる。装置10はまた、装置10iなどの他の電子装置が通信範囲内にある限り、それらとの無線近接通信を提供する第1の通信手段13を含む。該第1の通信手段13を介して、装置10、またはより正確にはその処理部11は、通信範囲内に位置する第三者装置へメッセージを送信すること、および/または該第三者装置からメッセージを受信することができる。そのようなメッセージはどのような種類であってもよい。異なる種類のメッセージには、特定のサービスSに関するデータメッセージMS、登録メッセージMH、クラスタ破棄メッセージMRが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0057】
通信装置の中には、ネットワークによって生成された電磁場を利用することができ、短い期間のみではあるが、自身の動作に十分な電力をそこから引き出すことができるものもある。しかしながら、継続動作を保証するため、および/またはより多くの電力を必要とする処理動作を実行するために、本発明による通信電子装置10は自らの電源17を有利に含むことができ、電源17は、特に、処理部11、または電力を必要とする上記装置を構成するその他の要素に電力を供給する。そのような電源17は一般的に1つもしくは複数のバッテリーからなる。特に容器の監視に関して好ましい適用状況によると、この特定の状況は本発明の利用範囲を限定するものではないが、通信電子装置10は、処理部11と協働する1つ以上のセンサ15を含むことができる。そのようなセンサは、上記容器の内部および/または外部環境に関する1つ以上の特性を測定し、そこからデータを作成することができる。
図2に一例として示すように、センサ15は、容器内の温度および/もしくは湿度、容器の不測の開封を示す容器内の暗さもしくは暗さの低下、または衝撃を測定することができる。必要であれば、特に、上記装置10を用いて容器の内部環境を監視しようとするときに、装置10が容器の外壁に固定される場合、センサは、プローブまたは導電性フラットリボンケーブルを介して装置の処理部と協働することができる。そのような装置10はさらに、収集された測定値へのタイムスタンプ付与を可能にするクロックを含むことができる。該クロックは
図2には図示されない。
【0058】
本発明による通信電子装置を用いて実行されることを望まれるサービスによって、通信電子装置は付加的かつ選択的手段を含むことができる。1つの好ましい例として、サービスは以下からなってもよい。
【0059】
−本発明による通信電子装置のネットワークのノードから、例えば該ノードによって測定された特性に関するデータを収集すること。
【0060】
−複数のノードから収集された上記データを集約し、その後、統合されたサービスデータを符号化してサーバRSなどの遠隔エンティティに向けたメッセージMCを生成すること。
【0061】
そのようなメッセージMCを送信するために、装置10は、処理部11と協働する第2の長距離通信手段16を有利に含む。そのような通信は、GPRSもしくは衛星チャネル、または他の適切な通信チャネルによるネットワークRRを介して行うことができる。電子装置の異なる内部構成部品は、有利にバス配線または結合(coupling)によって処理部11と協働する。装置10は上記構成部品を収容する筐体を含むことができ、該筐体は、監視対象である支持体上に装置10を固定するための固定手段を有利に含み、この場合、支持体は好ましい適用例における容器である。
【0062】
本発明の実行のために、処理部の動作、より正確には該処理部により実行される通信方法に従うことが必要である。このような方法については
図3に関して後述する。1つの好ましい適合方式は、プログラムの提供、またはより一般的には、処理部による上記プログラムの命令の実行または解釈の間に上記方法を実行するために、相互に配置されたプログラムの命令の提供からなる。有利に、上記プログラムPは、上記装置の組み立て時、または上記装置の組み立て段階後にメモリ14内に上記プログラムをダウンロードすることによって、プログラムメモリ14にロードされる。
【0063】
本発明は主に、各ノードが前述した装置10のような通信電子装置からなる、シングルホップネットワーク(例えばLEACHネットワーク)または有利にはマルチホップネットワークを実行することにある。
【0064】
そのようなネットワークのノードは一般的に、装置のクラスタに参加する方法を実行するように適合または配置される。データメモリ12は、通信電子装置専用の識別子IDの値に加えて、
図1におけるノードd2またはh3などの、ヘッドとして機能する通信電子装置の識別子の現在値IDHcを保存するためのレジスタRHを含む。
【0065】
ノードのうちの少なくとも1つがヘッドとして機能するクラスタへの参加を、装置が選択するとき、その参加は一般的に専属である。言い換えると、ノードは、同一のサービスに対して、異なるクラスタ、すなわちそれぞれに異なるヘッドノードを有するクラスタのメンバーになることはできない。クラスタに参加するノードは上記サービスに対する最良のヘッドを選択する。
【0066】
しかしながら、複数のヘッドが異なるサービスを実行するように選定された場合、例えば、1つのヘッドは長距離データ送信(サービスSi)を実行し、2つ目のヘッドはある場所でのアラーム管理サービス(サービスSj)を実行するといった場合、ノードは複数のヘッドに付属することもまた可能である。
【0067】
このために、前述したLEACH解決法のように、
図1に関して説明したネットワークR1およびR2のクラスタC1およびC2のような通信電子装置のクラスタは、
図1に関して説明したノードd2またはh3ような、ヘッドとして機能する装置を含む。その他の装置は、非網羅的に、
図1に関して説明したノードc2またはi3のような、上記クラスタのメンバーとして機能する。メンバーの役割は主に、例えば環境特性の測定値のような情報を収集し、それらをデータに変換(トランスレート)し、所定のサービスを実行する能力を有するヘッドへ向けられたサービスメッセージMSの形式で、該データを符号化することからなる。このヘッドは該サービスメッセージMSを認識し、その後、所定のサービスSを実行する。例えば、そのようなサービスは、メッセージMSを介して複数のメンバーからヘッドに送信されたデータを集約し、その後、遠隔エンティティRSへ向けられたメッセージMCの形式で、集約またはさらには統合されたデータの長距離送信を実行することからなってもよい。
【0068】
クラスタメンバーからヘッドへ送信されるサービスメッセージMSは、以下を含むように構成される。
【0069】
−メッセージの種類(MS、MH、MR、など)を特徴づける情報。
【0070】
−一般的にメンバーノードでもあるソースノードの識別子の値。
【0071】
−この場合はヘッドである受信者ノードの識別子の値、またはさらにはマルチホップネットワークの場合における中間または中継ノードの識別子。
【0072】
−例えば装置のセンサによって測定された特性に関するデータ。
【0073】
−場合により、冗長符号、さらには暗号、またはそのようなサービスメッセージを受信するノードが該サービスメッセージを復号、使用、または中継することを可能にするその他の制御情報。
【0074】
ネットワーク内を流れる他のメッセージと同様に、メッセージMSは、該メッセージの受信者からソースノードに送信される受信メッセージMACKの通知をトリガすることができる。所定期間の終了、すなわち「タイムアウト」に際し、メッセージMACKが受信されていなかった場合、有限回数のイテレーション(反復)の間、メッセージMSの新たな送信がトリガされ、そのイテレーションの後、ソースノードは「ルート」または受信ノードとの通信がもはや得られないと考える。そのようなソースノードは、クラスタを放棄して自由ノード状態に戻るか、別のクラスタへの参加を模索することを決定できる。
【0075】
ヘッドとして機能するノードへの自由ノードの参加は、LEACH解決法において実行されるものと類似する。しかしながら、例えば、フランス国立情報学自動制御研究所(INRIA)と連携してTRAXENS社が提示するように、ヘッドの選択方式、およびクラスタメンバーになるための自由ノードによる参加方式は非常に異なり得る。この代替によると、所定のサービスを実際に実行することができるノードのみが、自らをヘッドとして指定することができる。その他のノードは、自由に、ヘッド間の競争を仲裁し、自らが貢献するサービスの実行に最良の候補者と思われるヘッドを選択することができる。
【0076】
ヘッド選択の方式にかかわらず、通信装置の第1の設計方式は、ピア装置から届くメッセージの存在を検査するために、通信装置に無線通信周波数を聴き続けさせることからなる。そのようなアプローチはエネルギーを著しく消費し、ネットワーク全体の自律性を損なうことにつながり得る。Wake On Radio(WOR)として知られる第2のアプローチは、各動作時間の大部分においてノードを相対的なスリープ状態に置くことからなる。無線通信は、電力の大半を消費するため、特に停止状態にされる。しかしながら、そのようなノードは、エネルギーをあまり消費しない内部処理動作を実行し続けることが可能である。そのようなノードは、ピアから届く任意のメッセージを聴くために、または、次に、登録メッセージ、サービスメッセージなどを送信するために周期的にウェイクアップする。
【0077】
図3は、例えば
図2に関して説明した装置10のような、本発明による第1装置によって実行される、クラスタへの所属要請の手続きを含む通信方法P100を示す。そのようなオンデマンドの所属手続きにより、自由ノード(例えばノードc5またはノードi5)は、自身の周辺にあるメンバーノードまたはヘッドノードの発見段階においてイニシアティブをとることができる。例えば、クラスタがすでに形成されている一方でそのような自由ノードが出現する結果、そのような状況が生じる。また、ヘッドノードおよびメンバーノードが自由になる一方で該メンバーノードが新たなヘッドにサービスメッセージを送信する必要があることになるクラスタの破棄の結果、この状況は生じ得る。また、メンバー候補者になる能力を有するノードとヘッドとの間の過度の隔たりまたは最適でない位置決めの結果、この状況が生じる可能性があり、上記候補者ノードは、無線通信範囲外にあるか、または、上記ヘッドから届くメッセージが候補者ノードまで運ばれるにはホップ数において遠すぎる。
【0078】
周知技術によれば、ノードは、自らをヘッドに選択するか、またはヘッドに指定されるイニシアティブをとり、登録手続きをトリガする必要があり、それによって自由ノードはメンバーノード状態を回復することができる。このようにして、サービスメッセージを運ぶ際に貴重な時間とエネルギーが失われ得る。
【0079】
したがって、本発明は、オンデマンドの所属手続きを通じ、クラスタへの付属、したがってヘッドへの直接の付属を、自由ノードが要請することを可能にする。
【0080】
最初に、方法P100を実行する本発明による通信電子装置10によって実行される処理動作210について説明する。このような処理は所属手続きをトリガすることからなる。
【0081】
処理動作210は、例えば、Wake On Radio(WOR)技術を用いる場合、装置10をウェイクアップする先行ステップ219を有利に含んでいてもよい。上記処理動作210は、所属要請メッセージMARを生成するステップ211を含む。そのようなメッセージは、装置10の識別子IDaの値を、第1情報MAR−1として含む、および/または符号化している。上記識別子は有利に、上記装置10の記憶手段12に一意的に保存される。処理動作210は、第1の通信手段13を介した任意の隣接ノードへの上記所属要請メッセージMARの送信をトリガするステップ212をさらに含む。そのようなメッセージMARは、他の付加情報IMrを付加フィールドMAR−3の形式で符号化していてもよい。
【0082】
そのようなメッセージMARの送信電力は予め決定され、固定されていてもよい。代替として、上記送信電力は、例えば、上記方法P100を実行する装置の内部電力供給手段17の残余エネルギー容量に基づき低減されるように、可変であってもよい。上記送信電力は徐々に変化してもよく、後に見ていくように、所属要請に対して応答がない状態が続く場合、送信ステップ212は繰り返される。
【0083】
全ての場合において、所属要請メッセージMARの送信をトリガするステップ212の後に、該所属要請メッセージMARの受信を通知するメッセージMAAの受信を待つステップ213が続き、メッセージMAAはクラスタメンバーまたはクラスタヘッドである隣接ノードによって送信される。所定時間経過後に、上記方法P100を実行する装置10が、孤立しすぎているか悪すぎる位置にいるためクラスタに参加できないと考える(
図3で番号213−nのリンクで表される状況)ように、ステップ213におけるそのようなメッセージMAAに対する最大待機期間が構成または決定されていてもよい。したがって、処理動作210はステップ220において中断される。そのようなステップ220はさらに、例えばWOR技術を用いて、所定の期間、装置をスリープモードまたはスタンバイモードに置くことからなり得る。
【0084】
ステップ213の間に、受信を通知するメッセージMAAが手段13によって受信されたとき(
図3で番号213−yのリンクで表される状況)、処理動作210は上記メッセージMAAを復号するステップ214を含む。実際に、本発明は、そのようなメッセージMAAが特に、該メッセージMAAのソースである装置の識別子IDmの値からなる第1情報MAA−1を含む、または符号化していることを提供する。上記メッセージMAAはさらに、所属要請メッセージのソースである装置の識別子IDaの値を、メッセージMAAの受信者装置の識別子として、
図3に関して説明する非限定的な例においてMAA−2と参照される情報の形式で符号化している。上記メッセージMAAはさらに、
図3においてMAA−3と参照される情報の形式で、アップリンクルートRuを有利に符号化しており、該アップリンクルートRuは、上記メッセージMAAのソースノードと該ソースノードが属するクラスタのヘッドとの間で、登録メッセージMHおよび/またはサービスメッセージMSを中継するメンバーノードおよび/またはノードの識別子の値を含む。そのようなフィールドMAA−3は有利に、少なくとも、メッセージMAAのソース装置に最も近い上記ルートに属する中継ノードの識別子の値と、ヘッドの識別子IDHとを含む。フィールドMAA−4はさらに、または代替として、メッセージMAAのソースノードと所属を要請するノードとを隔てるダウンリンクルートを符号化していることが可能である。有利に、メッセージMAAはさらに、フィールドMAA−3および/またはMAA−4の代替として、またはそれらに加えて、アップリンクルートRuまたはダウンリンクルートRdに必要なホップ数TTLを表す情報MAA−5を含むことができる。メッセージMAAは、有利に、例えば所与のサービスを行うヘッドの能力の現在値CHc1、CHc2に関するフィールドMAA−6、MAA−7、または
図3においてMAA−8と参照されるフィールドの形式のその他の付加情報IMaを含む、または符号化していることが可能である。
【0085】
このように、ステップ214は、メッセージMAAから、該メッセージ内に符号化された実際に重要な情報の全てを推測することからなる。ステップ214において、フィールドMAA−2に符号化された識別子の値が、所属を要請する装置の識別子IDaの値と一致することが確認されるとき、メッセージMAAは上記所属要請の受信を通知するメッセージとみなされる。処理動作210は次に、ステップ214に続くステップ215を含み、該ステップ215は、上記メッセージMAAから推測された情報、特に、ヘッドノードの識別子IDHの値、または所属を要請するノードから見てアップリンクルートRu上の最初のノードの識別子の値を、装置の記憶手段12内に保存することからなる。そのようなアクションは有利に、上記記憶手段12内のレジスタRHを更新することからなることができる。識別子IDHの値は特に、レジスタRH内に現在値IDHcとして記録される。装置10はこのようにヘッドノードのクラスタに「所属した」ノードになる。方法P100は次に、特に、所属要請に好意的に対応したノードを介した、すなわちメッセージMAAのソース装置を介したヘッドへのサービスメッセージMSの送信からなる処理動作120を含み、その実行をトリガすることができる。
【0086】
本発明が、所属要請メッセージMARの送信電力が漸進的であり得ることを提供することはすでに見てきた。この実施形態が目指すのは、本発明による装置10の手段17のエネルギー源を維持することである。そのような漸進的なアプローチを実行するために、メッセージMARの送信電力はまず、処理部によって、近距離ブロードキャスト型技術を用いて該メッセージMARを送信するように設定される。したがって、ステップ212の最初のイテレーションは送信電力を最低値Pminに設定することからなる。ステップ213において設定された最大待機期間の経過後において、所属要請の受信を通知するメッセージMAAが受信されていない場合(
図3における番号213−nのリンクで表される状況)、前述の実施形態のように自動的にはステップ220は実行されない。その代わり、処理動作210は、ステップ212の新たなイテレーションをトリガし、したがって、増加された送信電力Pmin+でメッセージMARを再送信することからなる。ステップ217において、例えば最低電力Pminに適用される所与の増加率または所定の増加間隔に従って、処理動作210を実行する処理部によって、この増加が行われる。ステップ213において設定された最大期間の経過後に、メッセージMAAが受信されていない場合(
図3における番号213−nのリンクで表される状況)、処理動作210はステップ212の新たなイテレーションをトリガできる。したがって、電力Pmin+がメッセージMARの最大送信電力Pmaxを下回っている間(
図3における番号218−nのリンクで表される状況)、メッセージMAAが受信されない限り、ステップ217および212の1回以上のイテレーションは互いに繰り返されることが可能である。上記イテレーションは、218において、送信電力がメッセージMARの最大送信電力に一度到達すると停止する。この場合、処理動作210は220において中断される。
【0087】
本発明は、メッセージMARの漸進的な送信電力に関し、前述の実施形態の代替またはその付加的な形態を提供する。この新たな実施形態によれば、メッセージMARの生成からなるステップ211は、クラスタのメンバーノードまたはヘッドと所属を要請するノードとを隔てる承認されたホップ数(以後、TTLと呼ぶ)を示すフィールドMAR−2を、上記メッセージ内に組み込むことからなる。上記ホップ数が1よりも多い場合、本発明は、所属要請メッセージMARがクラスタのメンバーまたはヘッドとして機能しないノードによって中継され得ることを提供する。後ほど、そうした機能がどのようにして可能になるのかについて、本発明による方法P100の処理動作200を説明することで、見ていく。この処理動作は所属要請メッセージMARを受信することでトリガされるものである。
【0088】
この実施形態によれば、メッセージMARを生成するステップ211、およびその送信をトリガするステップ212の後に、メッセージMAAの受信を待つステップ213が続くが、そのステップ211,212は、無益な各イテレーションの後に、すなわちステップ213においてメッセージMAAが受信されていない限り(
図3で番号213−nのリンクで表される状況)、ステップ217において上記承認されたホップ数を加算または乗算で増加させた状態で、併せて反復される。上記ホップ数TTLが所定の上限に達し(
図3において番号218−yのリンクで表される状況)、かつステップ213でメッセージを受信できていない場合、処理動作210は、ステップ220をトリガして中断される。方法P100を実行する装置は自由ノードにとどまる。非限定的な例として、ステップ211の最初のイテレーションにおけるTTLの最低値は1に等しくてよく、そのことは、メッセージMARの中継が所属要請者によって承認されていないことを意味する。各イテレーションにおいて、この数は、上記TTLの値が16に等しい上限値に達するまで、例えば、2に等しい値を有する所与の増加率を乗算されてもよい。代替として、TTLの値は、各イテレーションにおいて、例えば1またはその他のゼロ以外の整数に等しい1間隔(刻み)ごとに増加してもよい。本発明はさらに、ステップ213において設定された最大待機期間も、徐々に変化し、ステップ217の各イテレーションにおいて修正されることが可能であることを提供する。
【0089】
図2に関して説明した装置10のような、本発明による装置の処理部11によって実行される処理動作200のいくつかの実施形態を検証していく。そのような処理動作200は
図3において説明される。所属方法P100の実行時に、クラスタへの所属を要請する第三者装置によって送信された所属要請メッセージMARの受信に反応して、この処理動作はトリガされる。
【0090】
本発明によるそのような処理動作200はしたがって、
図2に関して説明されたノードc5またはノードi5のような通信電子装置によって生成および送信される所属要請メッセージMARを受信する第1ステップ201を含む。そのようなメッセージMARは特に、クラスタへの所属を要請する装置の識別子IDaの値を、例えば、フィールドMAR−1内に含むか、または符号化している。方法P100はまた、上記所属要請メッセージMARを復号し、したがって特に、そこから識別子IDaの値を推測するステップ202を含む。
【0091】
本発明は主に、本発明による装置が、201において、クラスタへの所属を要請する本発明による第2装置によって送信された所属要請メッセージMARを受信した場合に、
図3においてそれぞれ番号203−aおよび203−bのリンクで表される2つの状況を提供する。
【0092】
−上記メッセージMARを受信する装置はクラスタのメンバーノードまたはヘッドであり、例えば、
図1および
図2に関して説明されるように、ノードi5から送信されたメッセージMARを受信するノードi4のような装置は、この場合クラスタC2のヘッドノードとして機能するノードh3の識別子である識別子IDHの現在値IDHcを符号化しているレジスタRHを含む。
【0093】
−上記メッセージMARを受信する装置は自由ノードであり、例えば、
図1および
図2に関して説明されるように、ノードc8によって送信されたメッセージMARを受信するノードc5のような装置は、ヘッドノードとして機能するd2のようなノードの識別子IDHの現在値に等しい現在値IDHcを符号化しているレジスタRHを含まない。代替として、そのような自由ノードは、該ノードがクラスタのメンバーまたはヘッドではないことを示す所定の値を符号化しているレジスタRHを含んでもよい。
【0094】
第1の状況(
図3におけるリンク203−a)において、処理動作200は、所属を要請する装置からの所属要請の受信を通知するメッセージMAAを生成するステップ204を含む。そのようなステップ204は、メッセージMAA(
図3の例におけるフィールドMAA−2)内に、所属要請元である装置の識別子IDaの値を、メッセージMAAの受信者装置の識別子として符号化することからなる。前述したように、そのようなステップ204はさらに、処理動作200を実行しクラスタのメンバーノードまたはヘッドノードとして機能する装置の識別子IDmの値を符号化する(
図3の例におけるフィールドMAA−1)ことからなる。ステップ204において、さらに、アップリンクルートRu、すなわち、メッセージMAAの送信を準備しているノードと該ノードが属するクラスタのヘッドとを隔てるノードの識別子の値を符号化することができ(
図3の例におけるフィールドMAA−3)、上記ルートは上記ヘッドの識別子IDHの値を備える。ステップ204はさらに、ヘッドが所与のサービスを行う1つ以上の能力を表す付加情報または値CHc1、CHc2を符号化する(
図3の例におけるフィールドMAA−5、MAA−6)ことからなっていてもよい。ステップ204において、さらに、メッセージMAAのソースノードと所属を要請するノードとを隔てるダウンリンクルートRd(
図3の例におけるフィールドMAA−4)、または付加情報(
図3の例におけるフィールドMAA−8)を符号化してもよい。処理動作200は次に、上記処理動作200を実行する装置10の通信手段13を介した、上記メッセージMAAの送信をトリガするステップ205を含む。
【0095】
所属要請メッセージMARを受信するそのような装置が自由ノードである場合において(
図3でリンク203−bで表される第2の状況)、本発明は有利に、第1実施形態によれば、そのような装置がミュート状態に留まる(ステップ207)ことを提供する。第2の実施形態によれば、特に本発明による前述の処理動作210のステップ211が、承認されたホップまたは中継の数を示すフィールドを符号化しているメッセージMARを生成することからなる場合、本発明は、処理動作200が、上記メッセージMARの受信の間にクラスタのメンバーまたはヘッドとして機能しない1つ以上のノードを介して、所属要請メッセージMARを中継することを可能にすることを提供する。この実施形態によれば、処理動作200は、所定の間隔(刻み)で、例えば1つだけ、ステップ202において推測または復号された値TTLを減少させようとするステップ206を含む。ステップ206はさらに、減少したフィールドTTLの値を、非限定的な例としてゼロ値のような最低値と比較することからなる。上記減少した値が上記最低値に達した場合(
図3におけるリンクlink206−nで表される状況)、処理動作200は207において中断され、上記処理動作を実行する装置はメッセージMARの受信に対応してミュート状態に留まる。そうでない場合(
図3におけるリンク206−yで表される状況)、処理動作200は、受信されたメッセージMARから202において推測された情報を、ステップ206で減少させた値TTLをとる更新されたフィールドTTLを除いて、再度符号化するステップ208を含む。ステップ208はさらに、自身のために所属要請メッセージMARを生成し送信する処理動作210を実行するピア装置のように、再符号化されたメッセージMARの装置の周辺への送信をトリガすることからなる。このように、中継装置は他者の代わりに所属要請を送信する。したがって、ステップ208は、さらに、有利に、ノードの識別子IDaの値を記憶手段内に記録することからなる。本発明による装置は該ノードのためにメッセージMARを中継する。
【0096】
本発明による装置はさらに、メッセージMARの受信を通知する任意のメッセージMAAも中継することができ、該メッセージMAAは、クラスタのヘッドまたはメンバーとして機能する第三者装置が、特に、本発明による処理動作200のステップ204および205を実行することによって、事前に生成および送信したものである。このために、本発明は、メッセージMAAの中継装置によって実行される処理動作200がメッセージMAAを復号するステップ209を含むことを提供する。このステップは特に、メッセージMAAを受信する装置の識別子IDaの値、すなわち、最初のメッセージMARを送信した装置の識別子の値を決定することからなる。該識別子の値が208で保存された識別子の値に一致する場合、所属要請の受信を通知するメッセージの送信をトリガしようとするステップ205のイテレーションが、上記メッセージMAAを伝えるために実行される。したがって、クラスタのメンバーまたはヘッドから送信されるメッセージMAAは、本発明による1つ以上の中継装置を次々に経由して、最初の所属要請のソースである装置に運ばれることが可能である。
【0097】
前述のように所属方法P100を実行することで、
図2において非限定的な例として説明された装置10のような装置はまた、クラスタに所属するノードになることができる。
図3に関して、それを実現するために、そのような装置は以下を行うために処理動作210を実行する。
【0098】
−最初に、所属要請メッセージMARを生成して、それをクラスタに送信し、次に、
−上記所属要請に対応して、該所属要請の受信を通知するメッセージMAAを検討する。そのようなメッセージMAAは、クラスタのメンバーまたはヘッドである第三者装置によって生成され、場合により、1つ以上の自由および/または所属装置を介して所属を要請する装置に送信される。上記第三者装置はまた、本発明による方法P100、より正確には処理動作200を実行する。
【0099】
図1および
図2に関して前述したように、本発明によるシングルホップネットワークR2またはマルチホップネットワークR1の実行は、センサ15を通じて、異なるノードの環境に関する情報を収集することを主な目的とする。実際に、各通信装置10は有利に容器の壁に固定される。状況に則して、メンバーとして機能するか、または本発明により所属ノードとして機能する各通信装置10の処理部11は、装置の環境情報を符号化しているサービスメッセージMSの作成および送信をトリガするのに適している。ヘッドとして機能する装置10の処理部11は、そのようなサービスメッセージMSを受信し、1つ以上のメンバーまたは所属者から届いた環境情報をそこから推測し、例えば、GPRSまたは同等のネットワークを介した、遠隔サーバRSに向けられたメッセージMCの長距離送信のようなサービスを実行することに適している。
【0100】
1つ以上のセンサから伝達された測定値から、シングルホップまたはマルチホップネットワークのメンバーを通じてサービスメッセージMSを生成することは大体において周知である。しかしながら、本発明の意味における所属装置による、ヘッドに向けられたサービスメッセージMSの作成および送信は、そのようなメッセージMSの革新的な作成および送信処理120を必要とする。
図3ではそのような処理動作120の実施形態の一例について説明する。
【0101】
処理動作120は、従来的な方法に従って、すなわち従来技術によるメンバーノードによって実行される処理動作のように、サービスメッセージMSを生成するステップ123aと、所定のサービスSのためにヘッドとして機能する装置に、上記メッセージを送信するステップとを含む。そのようなステップ123は、例えば、方法P100を実行する装置10が固定されている容器の内部の温度に関する測定値をセンサ15から収集するための先行ステップ121の後に実行される。
【0102】
そのようなステップ123はまた、
図2に関して説明された装置10のデータメモリ12に記録されたレジスタRHのようなレジスタの存在を条件とし(
図3におけるステップ122で表される検査)、そのようなレジスタは、ヘッドとして機能する装置またはノードの識別子の値IDHcを含み(
図3においてリンク122−yで表される状況)、それは、ノードがクラスタのメンバーであるか、またはクラスタに所属することを示す。そうでなければ(
図3においてリンク122−nで表される状況)、処理動作は129において中断され、そのようなメッセージの送信はトリガされない。
【0103】
上記レジスタRHが直接アップリンクルートRuを含む、すなわちレジスタRH内にヘッドの識別子の値IDHcが1つだけ存在するか、または上記レジスタRHが間接アップリンクルートRuを含む、すなわち上記レジスタRHが中継メンバーの識別子の値ID’をさらに含むかに応じて、メッセージMSは、上記ヘッドに直接送信されるか、または上記中継メンバーに直接送信される。
【0104】
さらには、サービスメッセージMSのそのような送信123はまた、同じクラスタのメンバーから装置10に送信されたサービスメッセージMSの受信121bによってトリガされることが可能であり、装置10は上記所属方法P100を実行し中継メンバーとして機能する。したがって、同じクラスタのメンバーからのそのようなサービスメッセージの受信に続き、ステップ121bは、そのようなメッセージMSを受信および復号するステップ、さらに復号されたサービスメッセージMSに含まれたデータをメモリ12に一時的に保存するステップを含むことができる。したがって、該メッセージMSの再送信により、上記メッセージMSの中継の遅延がもたらされる可能性がある。
【0105】
第1の好ましい実施形態によれば、サービスメッセージの送信に先行して、クラスタに所属するノードとして機能する通信装置が、自らの所属の継続を検証することが適切であるかもしれない。実際に、例えば、ヘッドのイニシアティブによって、またはノード同士の相互構造の修正に従って、上記装置が所属するクラスタは破棄されているかもしれない。
【0106】
処理動作120はしたがって、装置がメンバーノードとして機能するのか、または所属ノードとして機能するのかを決定しようとする検査ステップ124を含む。この状態は、例えば、ブーリアン状態インジケータを読み取ることによって、またはその他の技術によって決定されることが可能であり、ブーリアン状態インジケータの現在値は上記装置のデータメモリ12に保存される。したがって、そのような状態インジケータは、ノードが「メンバーまたはヘッド」であるか、または「所属する」かをそれぞれに表す2つの所定値を二者択一的にとることができる。したがって、処理動作210のステップ215はさらに、反証されるまで装置が所属ノードであることを示すように、上記状態インジケータを更新することからなることができる。ノードがクラスタのメンバーであることを上記状態インジケータが証明する場合(
図3においてリンク124−nで示される状況)、123aにおいてメッセージMSが生成されると直ちにステップ123が実行される。反対に、上記状態インジケータが、ノードが所属していることを証明する場合(
図3においてリンク124−yで示される状況)、処理動作120は、その所属の継続を確認するメッセージMASを生成して、第1の通信手段13による該メッセージの送信をトリガするステップ125を含む。そのようなメッセージMASの目的は、後続のステップ126において、以前に所属要請に好意的に対応したメンバーノードが、いまだ同じクラスタのメンバーであること、すなわち同じヘッドノードに付属することを確認することからなる。
図3において非限定的な例として示したように、125において生成され送信されたメッセージMASは有利に、2つのフィールドMAS−1およびMAS−2を含み、これらのフィールドはそれぞれに、上記メッセージMASの受信者装置の識別子IDmの値および所属装置の識別子IDaの値を符号化している。そのようなメッセージMASは付加フィールドMAS−3の形式で他の付加情報IMsを符号化していることが可能である。
【0107】
所属要請の受信を通知するメッセージの受信を待つステップ213を含む処理動作210のように、処理動作120は、メッセージMASを受信したノードによって生成され送信される、メッセージMASの受信を通知するメッセージMAAの受信を待つステップ126を含む。
【0108】
実際に、以前に所属要請に好意的に対応した装置によって実行される処理動作200は、201aにおいて第1の通信手段によって事前に受信された所属確認メッセージMASを復号するステップ202aを有利に含んでいてもよい。ステップ202aは、メッセージMASのソース装置の識別子IDaの値および該メッセージを受信する装置の識別子の値をそこから推測するために、上記確認メッセージMASを復号することからなることができる。推測された、上記メッセージを受信する装置の識別子の値が、処理動作200を実行する上記装置専用の識別子の値に一致する場合、装置は、メッセージMASが自身に向けられたものであると考える。
【0109】
203において、自身がクラスタのメンバーであることを装置が検出した場合(
図3においてリンク203−aで示される状況)、装置は、好意的に対応する所属要請メッセージMARの受信に対応して生成されその後に送信されるメッセージMAAのように、メッセージMASの受信を通知するメッセージMAAを生成しその後に第1の通信手段13を介してそれを送信するために、ステップ204続いてステップ205を実行する。そうでない場合(
図3でリンク203−bで示される状況)、装置は207においてミュート状態に留まる。処理動作200は中断される。
【0110】
所属装置側では、ステップ126におけるそのようなメッセージMAAに対する最大待機期間は、所定時間経過後に、すでに自身がクラスタに所属していないと所属装置が考えるように(
図3における番号126−nのリンクで表される状況)、設定または決定され得る。処理動作120はしたがってステップ129において中断される。この装置は再び自由ノードになる。そのようなステップ129は特に、レジスタRHを消去することからなることができる。そのようなステップはさらに、例えばWOR技術を用いて、所定の期間、装置をスリープモードまたはスタンバイモードに置くことからなってもよい。
【0111】
本発明は、代替としてまたは付加的に、メッセージMASの受信者がもはやクラスタのメンバーでない場合、所属確認メッセージMASの受信に対応して、「サイレンス」つまりメッセージMAAの非送信の代わりに、通信電子装置によって、所属終了メッセージMAARが生成されその後に送信されることが可能であることを提供する。そのために、ステップ207において、そのような装置は、所属終了メッセージMAARを生成し、第1の通信手段による該メッセージMAARの送信をトリガしてもよい。
【0112】
そのようなメッセージMAARの作成は以下を符号化することからなっていてもよい。
【0113】
−識別子IDaの値をメッセージMAARの受信者装置の識別子の値として符号化する。
【0114】
−装置の識別子IDmの値を上記メッセージMAARのソース装置の識別子の値として符号化する。
【0115】
そのようなメッセージは、他のメッセージMAR、MAA、MAS、またはMSのように、上記メッセージの特徴を表す付加情報を含んでもよい。
【0116】
この代替によれば、ステップ126の間に、上記受信者装置の識別子の値がメッセージMASのソース装置の識別子IDaの値に等しく、上記メッセージMAARのソースの識別子の値がメッセージMASの受信者装置の識別子の値に一致することを証明するメッセージMAARが受信され、次に復号された場合、前述のように処理動作120は129において終了する。以前に所属していた装置は再び自由ノードになる。
【0117】
ステップ126の間に、メッセージMASの受信を通知するメッセージMAAが第1の通信手段13によって受信された場合、特にフィールドMAA−1、MAA−2、およびMAA−3の内容をそこから推測し、したがってメッセージMAAのソース装置の識別子IDmの値、所属ノードの識別子IDaの値、およびクラスタのヘッドノードの識別子の値IDHcを決定するために、上記メッセージMAAは復号される。このようにステップ126によって、所属ノードが実際にメッセージMAAの受信者であること、メッセージMAAが実際に所属要請に好意的に対応したメンバーノードによって送信されたこと、およびクラスタがいまだ同じヘッドに付属することを確認できる(
図3における番号126−yのリンクで表される状況)。ステップ126において、さらに、メッセージMAAから、例えば、フィールドMAA−5またはMAA−6に符号化された、特定のサービスを実行するヘッドの能力の値を推測することができる。したがって、本発明は、該能力が事前に設定された基準に照らして十分であることを、所属ノードが確認または否定することができる実施形態を提供する。ステップ126はさらに、上記能力の現在値CHcを更新するために、データメモリ12内のレジスタRHを更新することからなることができる。そうでない場合、ステップ129が実行され、所属ノードはその所属自体を終了する。メッセージMAAが実際に所属ノードの期待を満たし、したがって所属の継続が確認された場合、サービスメッセージMSの送信をトリガするステップ123が実行される。
【0118】
所属要請メッセージMARの送信電力が徐々に変化し得ることを本発明が提供することは、処理動作210に関してすでに見てきた。有利に、メッセージMASの送信に対しても同様である。このように、本実施形態による主な目的は所属装置の手段17のエネルギー源を維持することである。そのような漸進的なアプローチを実行するために、まず、処理部は、メッセージMASを近距離で送信するように該メッセージMASの送信電力を設定することができる。したがって、ステップ125の最初のイテレーションは、送信電力を最低値P’minに設定することからなる。ステップ126において設定された最大待機時間の経過後に、メッセージMASが受信されていない場合(
図3で番号126−nのリンクで表される状況)、前述の実施形態のように自動的にはステップ129は実行されない。その代わり、処理動作120は、ステップ125の新たなイテレーションをトリガすること、したがって、増加させた送信電力P’min+でメッセージMASを再送信することからなる。ステップ127において、例えば、最低電力P’minに適用される所与の増加率または所定の増加間隔に従って、処理動作120を実行する処理部によって、この増加が行われる。ステップ126において設定された最大期間の経過後に、メッセージMAAが受信されていない場合(
図3で番号126−nのリンクで表される状況)、処理動作120においてステップ125の新たなイテレーションをトリガできる。したがって、メッセージMASが受信されず、かつ電力P’min+がメッセージMASの最大送信電力P’maxを下回っている限り(
図3で番号128−nのリンクで表される状況)、ステップ127および125の1回以上のイテレーションは互いに繰り返されることが可能である。上記イテレーションは、128において、送信電力がメッセージMASの最大送信電力に一度到達すると停止する(
図3において番号128−yのリンクで表される状況)。この場合、処理動作120は129において中断される。
【0119】
本発明はさらに、ステップ126に設定された最大待機期間もまた漸進的であり、ステップ127の各イテレーションにおいて修正されることが可能であることを提供する。
【0120】
さらには、
図2に関して説明された手段17のような、本発明によるネットワークのノードのエネルギー源を維持するために、本発明は特に、メッセージ、特に、所属要請メッセージMAR、所属確認メッセージMAS、それらのメッセージの受信を通知するメッセージMAA、またはサービスメッセージMSの中継または最初の送信が、(例えば、メッセージの種類に応じて、または上記メッセージが中継もしくは初めて送信されたかに応じて)上記通信電子装置の手段17の残存電力容量に関する1つ以上の最小しきい値を有する、上記ネットワークのメンバーノード、所属ノードまたは自由ノードとして機能する通信電子装置内で条件を設けられ得ることを提供する。したがって、
図3に関して、本発明は、メッセージを送信するステップ、すなわち非限定的に、ステップ212、125、123、205、または208が、それぞれ、または一部において、適切な最小しきい値と比較して残存エネルギー容量を検査することからなる先行ステップを含むことを提供する。上記残存容量が上記しきい値を上回る場合、メッセージの送信がトリガされる。そうでなければ、本発明による所属方法を実行する装置はサイレント状態に留まる。そのような代替実施形態は例えば、ネットワークの管理メッセージMAR、MAS、MAAに対し、サービスメッセージMSの送信の方を支持することを可能にする。
【0121】
第2の好ましい実施形態によれば、本発明は、メンバーが、所属ノードのように、サービスメッセージMSまたはより一般的には中継されたメッセージの送信に先行して、クラスタヘッドに向けられた、自身の所属の継続ではもはやなく、クラスタにおける自身のメンバーシップの継続の確認メッセージMASを生成することができることを提供する。そのようなメッセージMASは、ヘッドの識別子を符号化している第1フィールドMAS−1、および上記メッセージMASのソースメンバーノードの識別子を符号化しているフィールドMAS−2を含む。ヘッドは、メンバーシップ要請に好意的に対応したメンバーノードのように、メッセージMAAを送信することができ、該メッセージMAAは、確認メッセージMASの受信を通知し、ヘッドとしての自身の役割の継続を証明する。そのようなメッセージMAAはさらに、例えば、所与のサービスを実行する上記ヘッドの能力の現在値CHc1、CHc2を更新するために、フィールドMAA−6、MAA−7を含むことができる。メッセージMAAは、該メッセージのソースヘッドの識別子を符号化しているフィールドMAA−1、および該メッセージの受信者ノードの識別子を符号化しているフィールドMAA−2を含む。この第2の好ましい実施形態によれば、メンバーノードと所属ノードとを区別しようとするステップ124はもはや実行されなくてもよい。実際に、任意のメンバーノードまたは所属ノードは、特に上記クラスタのヘッドに向けられたメッセージの送信の前に、クラスタにおけるメンバーシップ確認メッセージMASを送信するとともに、メッセージMAAを受信することによって、クラスタにおけるメンバーシップの継続を確認する。メッセージMAAは、メッセージMASの受信に対応して該メッセージの受信者によって送信され、上記クラスタにおけるメンバーシップ確認メッセージの受信を通知し、クラスタにおけるメンバーシップを証明する。
【0122】
所属ノードのように、任意のメンバーノードまたは所属ノードは、メッセージMASの受信者がもはやクラスタに属していない場合、クラスタにおけるメンバーシップ確認メッセージMASの受信に対応して、「サイレンス」つまりメッセージMAAの非送信の代わりに、通信電子装置によって生成されその後に送信される、所属終了メッセージMAARのようなクラスタにおけるメンバーシップ終了メッセージを受信することができる。
【0123】
代替としてまたは付加的に、本発明は、一度メンバーノードが所属要請に好意的に対応した場合、所属ノードは有利に、登録メッセージMHに従ってクラスタに参加したメンバーノードと同様にまたは同等にふるまうことができることを提供する。したがって、所属ノードは、所属要請メッセージMARを受信することができ、有利には、該所属要請メッセージMARの受信を通知するメッセージMAAを生成し送信することで、所属要請に対応することができる。
【0124】
代替として、本発明は、所属ノードが、所属要請に好意的な応答を直接与えることはできないが、クラスタのメンバーが任意に所属要請にアクセスできるように該要請の中継者として機能することを提供する。同様に、所属ノードは、クラスタのメンバーからの所属要請への応答を、所属要請のソースノードに中継することができる。
【0125】
本発明によるクラスタに参加するための方法P100の構成にかかわらず、
図2に関して説明されたような、通信電子装置に対する1つの好ましい適合方式は、複数のプログラムの命令を含むコンピュータプログラムPをプログラムメモリ14に保存またはダウンロードすることからなり、コンピュータプログラムPは、上記装置の処理部によって実行または解釈されると、上記方法P100の実行をもたらす。
【0126】
固体、流体または液体の品物または商品の容器の監視に関する1つの好ましい適用例を通じて本発明を説明してきた。上記容器はそれぞれに、
図2における装置10のような、
図3に示した方法P100のような所属方法を実行する通信電子装置と協働し、該装置はそれぞれに、上記容器の内部および/または外部環境に関する特性を測定し収集するために処理部と協働するセンサを含む。
【0127】
そのような装置は、収集されたデータを長距離リンクで送信しようとする適用とは別の他の適用に用いることができる。それらはまた、代替としてまたは付加的に、1つ以上の他のサービスを実行することもできる。そのために、前述のように、各装置のデータメモリ12は、特定のサービスS専用の1つのレジスタRHではなく、テーブルを形成する複数のレジスタRHnを含むことができ、各レジスタは特定のサービスSnに専用である。この代替によれば、所属要請メッセージMARまたはサービスメッセージMSは、該メッセージそれぞれによって定められ、影響を受けるサービスSnを特定することができる情報を含む。そのために、本発明による所属方法P100のステップ211、123aは、サービスSnの特定を可能にする上記情報を符号化するよう適合される。
【0128】
さらに、本発明は、通信装置が、メッセージMARを通じた所属要請の受信によって、同じサービスに対し複数のクラスタに所属することができることを提供する。したがって、複数のレジスタRHmはテーブルを形成し、各レジスタは特定のヘッドに専用である。この代替によれば、このように多数の所属を有する装置は、サービスメッセージMSを上記ヘッドのうちの1つに送信することを選択することができる。サービスを実行するためのヘッドの各能力に基づいて、またはさらに、非限定的に、ホップ数における上記ヘッドの各距離に基づいて、そのような選択がなされることが可能である。そのような多数の所属を実行するために、サービスメッセージを生成するステップ123aにおいて、有利に、最良の能力を有するヘッドまたは装置に最も近いヘッドの識別子の値を、上記サービスメッセージの受信者の識別子の値として符号化することができる。上記ヘッドの能力の各値は実際に、例えば、
図3に関して説明されたように、処理動作120のステップ126において受信され復号されたメッセージMAAに従って、更新されることが可能である。所属装置はこのように、非限定的な例として、ヘッドの能力、該ヘッドのホップ数に基づく距離などの異なる基準によって、自身が所属するクラスタ間を仲裁することができる。
【0129】
さらには、本発明は、本発明による複数の通信電子装置を含む任意のシステムに関する。より詳細には、本発明は、保管場所または輸送プラットホームに位置する容器に対する任意の追跡可能システムに関し、該システムはさらに、1つ以上の上記装置がクラスタヘッドとして機能するとき、該装置から送信されるメッセージMCを収集し利用する遠隔エンティティを含む。そのようなシステムは、エネルギー自律性、堅牢性、および動作条件に対する適応性の点において、例えば、LEACH方法のような周知の解決法によって提供されるものとは比較ができないパフォーマンスレベルを有する。実際に、本発明のおかげで、クラスタヘッドの利用は、その選択から所定のサービスの影響を受けたアクションの実行にいたるまで最適であり、ネットワーク内の、または第三者エンティティに向けられた不必要または非効率的な通信をしないようにする。