(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定パターンで周方向に延びる線材で構成され、軸方向に沿って所定間隔で配置された複数のストラット部、及び、隣接するストラット部どうしを軸方向に連結する線材で構成される複数の連結部を有するステント本体と、
該ステント本体の内面及び/又は外面を覆うように配置されるカバー部材とを備え、
前記ステント本体は、小径部と、該小径部の軸方向の少なくとも一端側に、傾斜部を介して配置された大径部とを有しており、
前記大径部は、最端部に位置するストラット部、又は、最端部に位置するストラット部と該ストラット部に枠状をなして連結されたストラット部とで構成され、
前記傾斜部には、前記小径部に配置された前記ストラット部の中で、最も前記傾斜部寄りに位置する前記ストラット部と、前記大径部に配置された前記ストラット部の中で、最も前記傾斜部寄りに位置する前記ストラット部とを連結する、前記連結部のみが存在するように構成されており、
前記大径部に配置された前記ストラット部の中で、最も前記傾斜部寄りに位置する前記ストラット部の、前記小径部側を向く折曲部の全てが、前記連結部によって、前記小径部に配置された前記ストラット部の中で、最も前記傾斜部寄りに位置する前記ストラット部に連結されていることを特徴とするステント。
前記傾斜部は、前記小径部から前記ステント本体の軸方向に対して所定の傾斜角度θ1で延び、更に、前記ステント本体の軸方向に対して、前記傾斜角度θ1よりも小さい傾斜角度θ2で延びて前記大径部に至る形状をなす請求項1又は2記載のステント。
前記傾斜部に配置された前記連結部は、前記ステント本体をその周面に対して垂直方向から見たときに、周方向に折曲した部分を有している請求項1〜3のいずれか1つに記載のステント。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1〜8を参照して、本発明に係るステントの第1実施形態について説明する。
【0016】
図1及び
図2に示すように、この実施形態のステント10は、複数のメッシュ状の開口13が設けられ、軸方向両端部が開口した略円筒状をなしたステント本体11を有している。
【0017】
このステント本体11は、所定パターンで周方向に延びる線材で構成され、軸方向に沿って所定間隔で配置された複数のストラット部20,22,24と、隣接するストラット部どうしを軸方向に連結する線材で構成される複数の連結部30,32とを有している。
【0018】
この実施形態における各ストラット部20,22,24は、金属線材を、山部や谷部からなる折曲部25を有するように、ジグザグ状に屈曲させて、その周方向両端が連結されて環状に構成されている。ただし、ストラット部は、ジグザグの屈曲パターンに限らず、例えば屈曲部が円弧状をなして波形に延びるパターンであってもよく、枠状のパターンが繋がって周方向に延びるパターンであってもよく、様々なパターンとすることができる。
【0019】
また、
図3に示すように、ステント10は、ステント本体11の内面及び/又は外面を覆うように配置されるカバー部材15を有しており、いわゆるカバードステントとなっている。この実施形態におけるカバー部材15は、ステント本体11の内面に配置された内側カバー16と、ステント本体11の外面に配置された外側カバー17とから構成されているが(
図3参照)、ステント本体11の内面又は外面の一方のみに被覆させてもよい。
【0020】
前記ステント本体11について詳述すると、このステント本体11は、小径部40と、該小径部40の軸方向の少なくとも一端側、又は、ステント本体11の軸方向の少なくとも一端側に、小径部40よりも拡径した傾斜部50を介して配置された大径部60とを有している。この実施形態におけるステント本体11は、前記小径部40の軸方向の両端側に、傾斜部50,50を介して大径部60,60がそれぞれ配置された構造をなしている(
図2参照)。
【0021】
前記小径部40は、この実施形態の場合、一定外径で所定長さ伸びるストレート形状をなしている。また、この小径部40の軸方向両端部から、斜め外方に向けて次第に拡径するように、傾斜部50,50が延びている。そして、これらの傾斜部50,50の延出方向先端部から、小径部40及び傾斜部50よりも大きな外径の大径部60,60が所定長さで延びている。前記傾斜部50及び前記大径部60によって、いわゆるダンベル形状が構成されている。
【0022】
前記小径部40には、複数のストラット部20,22が軸方向に所定間隔で配置されている。この実施形態の場合、軸方向両端部に配置されたストラット部22は、中間部に配置されたストラット部20よりも折曲部25の数が少なくなっているが(
図2参照)、折曲部25の数は同じであってもよい。そして、隣接するストラット部20,20の所定の折曲部25,25どうし、及び、隣接するストラット部20,22の所定の折曲部25,25どうしが、連結部30によって連結されることで、小径部40が構成されている。
【0023】
一方、各大径部60は、一定の外径で所定長さ伸びるストレート形状をなしている。また、各大径部60には、その最端部(ステント10の軸方向の最端部)に、1つのストラット部24のみが配置されている。そして、この大径部60に配置されたストラット部24の、前記小径部40側を向く折曲部25の全てが、小径部40の軸方向端部に配置されたストラット部22の折曲部25に、傾斜部50に配置された連結部32によって連結されている。
【0024】
また、大径部60に配置されたストラット部24は、小径部40の軸方向端部に配置されたストラット部22の折曲部25に整合する個数で形成されているが、異なる個数で形成されていてもよく、特に限定はされない。
【0025】
また、
図8に示すように、大径部60としては、傾斜部50の延出方向先端部から連続してラッパ状に延びる形状としてもよく、少なくともステントの軸方向最端部に位置するストラット部24を有する構造であればよい。
【0026】
更に、上記のように、この実施形態における大径部60は、最端部に位置する1つのストラット部24のみで構成されているが、大径部60としては、
図10及び
図11に示すように、最端部に位置するストラット部24及び該ストラット部24に枠状をなして連結されたストラット部24aのみで構成されていてもよい(これらの実施形態においては後述する)。
【0027】
すなわち、本発明における「大径部」とは、ステントの軸方向の最端部に位置するストラット部、又は、最端部に位置するストラット部と該ストラット部に枠状をなして連結されたストラット部とで構成されているものである。
【0028】
そして、
図2に示すように、前記傾斜部50には、小径部40に配置された複数のストラット部20,22の中で、最も傾斜部寄りに位置するストラット部22と、大径部60に配置されたストラット部24の中で、最も傾斜部寄りに位置するストラット部24とを連結する、連結部32のみが存在するように構成されている。すなわち、傾斜部50には、軸方向に向いた折曲部を有するストラット部が存在しない構造となっている。
【0029】
また、傾斜部50に配置された連結部32の長さは、前記小径部40に配置されたストラット部20の長さ(折曲部25,25間の長さ)及び連結部30の長さよりも長く、また、前記大径部60に配置されたストラット部24の長さ(折曲部25,25間の長さ)よりも長くなるように形成されている。
【0030】
更に、この実施形態においては、傾斜部50に配置された連結部32は、ステント本体11の軸方向C(
図2参照)に対して螺旋形状をなすように延びており、かつ、該連結部32がステント本体11の周方向に複数配置されている。
【0031】
なお、この実施形態における傾斜部50は、ステント本体11の軸方向Cに対して所定の傾斜角度θで拡径する形状をなしており、連結部32は、小径部40の最も傾斜部寄りに位置するストラット部22の折曲部25から、傾斜部50の傾斜面に沿って、かつ、軸方向Cに対して螺旋をなすように延びて、その延出方向の先端部32aが大径部60に至ると、ステント本体11の軸方向に沿って屈曲して、大径部60に位置するストラット部24の折曲部25に連結されている。
【0032】
また、傾斜部50のステント本体11の軸方向Cに対する傾斜角度(テーパ状の広がり角度)θは、10〜80°であることが好ましく、20〜70°であることがより好ましい。更に、連結部32は、ステント本体11の周方向に対して、2〜18本存在することが好ましく、3〜16本存在することがより好ましい。また、
図2に示す傾斜部50の先端部32aを含む軸方向長さLは、3〜80mmであることが好ましく、5〜60mmであることがより好ましい。
【0033】
更に
図13に示すように、ステントを軸方向端部から見たときに、傾斜部50に配置された連結部32の螺旋のねじれ角度Rは、連結部32が、小径部40の最も傾斜部寄りに位置するストラット部22の折曲部25から、大径部60に位置するストラット部24の折曲部25に至る間に、周方向に好ましくは10〜270°、より好ましくは20〜180°回転するように定めるのがよい。
【0034】
上記のステント本体11の材質は、特に限定されないが、例えば、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、W等や、Ni−Ti系合金、Co−Cr系合金、Co−Cr−Ni系合金、Cu−Zn−X(X=Al,Fe等)合金、Ni−Ti−X(X=Fe,Cu,V,Co等)合金等の形状記憶合金などが好ましい。
【0035】
また、上記ステント本体11は、メッシュ状に成形された金属筒の、軸方向両端部を拡径させて形成されている。例えば、金属円筒をレーザー加工やエッチング等で加工して、複数のストラット部20,22,24や連結部30,32からなる筒状体を形成し、又は、金属板にレーザー加工等で複数のストラット部20,22,24や連結部30,32を予め形成して、この金属板を屈曲して筒状体に形成する。
【0036】
そして、この筒状体を、例えば、
図7に示すような芯材3に被せて、上記筒状体を芯材3の外周形状に適合させる。なお、レーザー加工等からなる上記筒状体の初期内径を、芯材3の小径部4よりも小さく形成することにより、筒状体を芯材3の外周に弾性的に密接させることができる。
【0037】
この状態で、所定の熱処理(例えば、Ni−Ti系合金等の形状記憶合金の場合は形状記憶処理)を施したり、塑性変形させたりすることで、芯材3の外周形状に沿って、小径部40、傾斜部50及び大径部60を形成することができる。なお、ステント本体11の傾斜部50や大径部60は、上記形成方法のみならず、種々の方法により形成することができ、特に限定はされない。
【0038】
また、上記ステント本体11は、常時は拡径した状態となる自己拡張型であるが、バルーンカテーテルの外周に装着しておき、ステント内側に配置されたバルーンを膨らませることで、拡径させるバルーン拡径型としてもよい。
【0039】
更に
図3に示すように、ステント本体11の大径部60の軸方向一端部には、リング状をなした引き抜き部65が設けられ、これらの引き抜き部65には、ループ状をなした引き抜きワイヤ67が挿通されており、
図5及び
図6に示すように、この引き抜きワイヤ67を鉗子2等で把持して引っ張ることで、ステント10をカテーテルやシース等の医療用チューブ1に回収できるようになっている。なお、
図1(a)及び
図2においては、便宜上、引き抜き部65を省略している。
【0040】
更に上述した、内側カバー16及び外側カバー17からなるカバー部材15は、次のような構造をなしている。すなわち、
図3に示すように、内側カバー16は、ステント本体11の内側を被覆すると共に、その厚さ方向途中に至る部分まで埋設し、外側カバー17は、ステント本体11の外側を被覆すると共に、内側カバー16に埋設されていない部分に至るまで埋設しており、両カバー16,17によって、ステント本体11のメッシュ状の開口13が塞がれている。
【0041】
また、内側カバー16及び外側カバー17は、例えば、ポリウレタン、シリコーン、天然ゴム、ナイロンエラストマー、ポリエーテルブロックアミド、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルや、更には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、ポリブタジエン等のオレフィン系ゴム、スチレン系エラストマーなどで形成されることが好ましい。
【0042】
なお、
図5〜8や、後述する
図9〜12においては、便宜上、内側カバー16及び外側カバー17からなるカバー部材15を省略している。
【0043】
次に、上記構成からなる本発明のステント10の、使用方法の一例について説明する。なお、この使用方法は一例であり、特に限定はされない。
【0044】
図4に示すように、十二指腸7の下部には、乳頭7aが設けられており、この乳頭7aから胆管8や膵管9が分岐して伸びている。また、図示しない肝臓により生成される胆汁は、胆管8内を流動し、乳頭7aを通過して十二指腸7へと供給されるようになっている。ここでは、乳頭7aを通して、胆管8内にステント10を留置する際の手順について説明する。
【0045】
なお、本発明のステント10は、胆管8以外にも、膵管9や、十二指腸7、食道、気管、大腸、血管等の管状器官や、体腔、その他の体内組織に留置することもでき、適用箇所は特に限定されない。
【0046】
まず、ステント10を縮径させて、カテーテルやシース等の医療用チューブ1(
図5参照)内に収納する。この状態で周知の方法によって、図示しない内視鏡のルーメンを通じてガイドワイヤを胆管8に挿入した後、同ガイドワイヤを介して医療用チューブ1を挿入していくことで、ステント10を胆管8内に挿入する。そして、医療用チューブ1の先端部が胆管8の所定位置に到達したら、医療用チューブ1を停止する。その後、プッシャ等を介してステント10の移動を規制しつつ、医療用チューブ1を手前に引くことで、医療用チューブ1の先端からステント10を解放させ、ステント10を拡径させることにより、
図4に示すように、ステント10の他端側(基端側)を胆管8内に配置すると共に、ステント10の一端側(先端側)を乳頭7aからやや突き出るように配置して、ステント10を留置する。
【0047】
このとき、このステント10においては、傾斜部50を介して大径部60を設けたので、胆管8等の体内組織の所定位置にステント10を留置したときに、大径部60が体内組織の内壁に密接することとなり、体内組織に対するアンカリング効果を高めることができ、ステント10の位置ずれを抑制することができる(
図4参照)。
【0048】
一方、ステント10の内腔が閉塞したり、不要となったり、或いは、交換したりしたい場合に、ステント10を体内から回収する必要が生じることがある。
【0049】
この場合には、例えば、内視鏡等を通じて医療用チューブ1を、ステント10の一端近傍まで挿入配置し、その状態で、
図5に示すように、ステント本体11の引き抜きワイヤ67を鉗子2で把持して、ステント10を操作者の手元側に向けて引っ張ったり、或いは、図示しないループ状のスネアを、ステント一端側に引っ掛けて、スネアを介してステントを引っ張る。すると、ステント一端側の大径部60が縮径して医療用チューブ1内に引き込まれると共に、ステント10の小径部40が医療用チューブ内に収容され、更に、医療用チューブ1の先端開口に、ステント他端側の傾斜部50が押圧されて縮径し、該傾斜部50を介して、ステント他端側の大径部60が縮径しつつ、医療用チューブ1内に収容されていく(
図5参照)。
【0050】
このとき、このステント10においては、胆管8内で最もアンカリング効果を発揮するステント本体11の傾斜部50に、連結部32のみが存在するように構成されていて、引き抜き方向に向く遊離した角部、例えば、ジグザグパターンからなるストラット部の山状の折曲部25が存在しないので、上記のように、傾斜部50を介して大径部60を縮径させるときに、傾斜部50が縮径しやすく、ストラット部の角部が胆管8等の内壁に引っ掛かったり、医療用チューブ1の先端開口に引っ掛かることが抑制され、ステント10を医療用チューブ1内にスムーズに引き込んで体内から抜き出すことができる(
図6参照)。
【0051】
また、体内組織の所定位置にステント10を留置するときに、ステント10の位置を修正する際にも、その作業を行いやすい。すなわち、ステント留置時には、医療用チューブ1の先端部からステント10を徐々に開放して、その位置を確認しつつ留置していくが、位置ずれしている場合は、上述の、ステント10を体内から回収する作業と同様に、ステント一端側を引っ張って医療用チューブ1内に引き戻す。この際に、最もアンカリング効果を発揮するステント本体11の傾斜部50に連結部32のみが存在するので、ステント引っ張り時に、傾斜部50が縮径しやすく、傾斜部50が医療用チューブ1の先端開口に引っ掛かることが抑制され、医療用チューブ1内にステント10をスムーズに引き込むことができる(
図6参照)。
【0052】
更にこの実施形態においては、
図2に示すように、ステント本体11の傾斜部50に配置された連結部32は、ステント本体11の軸方向Cに対して螺旋形状をなすように延びているので、体内組織の所定位置にステント10を留置する際において、ストラット部の存在しない傾斜部50においても、充分な拡張力が得られるようにすることができる。
【0053】
図9には、本発明に係るステントの第2実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0054】
この実施形態のステント10Aは、傾斜部50の拡径形状が、前記実施形態と異なっている。
【0055】
すなわち、
図9に示すように、この実施形態における傾斜部50は、ステント本体11の軸方向Cに対して所定の傾斜角度θ1で途中まで広がり、その後にステント本体11の軸方向Cに対して、前記傾斜角度θ2よりも小さい傾斜角度θ2で広がる形状、すなわち途中でテーパの角度が変わる形状をなしている。
【0056】
そして、連結部34は、傾斜角度θ1で広がるテーパ面に沿って延びる第1線状部35と、傾斜角度θ2で広がるテーパ面に沿って延びる第2線状部36とで構成されている。このため、第1線状部35と第2線状部36との間に傾斜角の変わる緩やかな角部が形成され、その部分において、体内組織の内壁に対する傾斜部50のアンカリング効果を高めることができる。
【0057】
なお、第1線状部35が配置された傾斜部50の、ステント本体11の軸方向Cに対する傾斜角度θ1は、10〜80°であることが好ましく、20〜70°であることがより好ましい。また、第2線状部36が配置された傾斜部50の、ステント本体11の軸方向Cに対する傾斜角度θ2は、25〜65°であることが好ましく、30〜60°であることがより好ましい。
【0058】
図10には、本発明に係るステントの第3実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0059】
この実施形態のステント10Bは、大径部60の構造が前記実施形態と異なっている。
【0060】
すなわち、
図10に示すように、この実施形態における大径部60は、ステント10Bの軸方向の最端部に位置するストラット部24及び該ストラット部24に枠状をなして連結されたストラット部24aのみで構成されている。また、大径部60の、最端部に配置されたストラット部24の小径部40側を向く折曲部25の全てが、該ストラット部24に隣接して対向配置されたストラット部24aの折曲部25の全てに、直接的に互いに連結されていて、菱形の開口13を有する枠状パターンが周方向に配列されている。
【0061】
そして、この実施形態によれば、大径部60は、その最端部に位置するストラット部24と、該ストラット部24に、枠状をなして連結されたストラット部24aとからなり、枠状をなすパターンが周方向に配列された形状をなすので、体内へのステント留置時に、大径部60における拡張力を高めることができる。
【0062】
図11には、本発明に係るステントの第4実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0063】
この実施形態のステント10Cは、大径部60の構造が前記実施形態と異なっている。
【0064】
すなわち、この実施形態における大径部60は、ステント10Cの軸方向の最端部に位置するストラット部24及び該ストラット部24に枠状をなして連結されたストラット部24aのみで構成されている。また、大径部60の、最端部に配置されたストラット部24の小径部40側を向く折曲部25の全てが、該ストラット部24に隣接して対向配置されたストラット部24aの折曲部25の全てに、ストラット部24の折曲部25から延出した線状部24bを介して連結されて、略菱形の開口13を有する枠状パターンが周方向に配列されている。
【0065】
この第4実施形態においても、前記第3実施形態と同様に、大径部60は、その最端部に位置するストラット部24と、該ストラット部24に、枠状をなして連結されたストラット部24aとからなり、枠状をなすパターンが周方向に配列された形状をなすので、体内へのステント留置時に、大径部60における拡張力を高めることができる。
【0066】
図12には、本発明に係るステントの第5実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0067】
この実施形態のステント10Dは、傾斜部50に配置された連結部の構造が、前記実施形態と異なっている。
【0068】
すなわち、
図12に示すように、この実施形態における連結部37は、ステント本体11をその周面に対して垂直方向から見たときに、周方向に折曲した部分37aを有している。そして、この周方向に折曲した部分37aの端部に、ストラット部24の折曲部25(谷部)が連結されており、このストラット部24が大径部60を構成している(連結部37の周方向に折曲した部分37aは含まない)。なお、この実施形態では、連結部37の螺旋方向に対して、連結部37aは、周方向に逆向きに延びるように折曲され、その折曲角度が比較的大きくされているが、上記折曲角度は特に限定されない。
【0069】
そして、この実施形態によれば、傾斜部50に配置された連結部37は、ステント本体11をその周面に対して垂直方向から見たときに、周方向に折曲した部分37aを有しているので、体内の所定位置にステント10Dを留置したときの、体内組織の内壁に対する傾斜部50のアンカリング効果を高めることができる。
【0070】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。