(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0001】
本発明は、グレリンO−アシルトランスフェラーゼ(GOAT)を阻害するために有用な化合物、医薬組成物、及びGOAT活性に関連する疾患を治療するための方法に関する。
【0002】
GOATは、膜結合型O−アシルトランスフェラーゼ(MBOAT)ファミリーの酵素に属する。それは、脂肪酸をデスアシルグレリンペプチドのSer3残基に転移することによって、デスアシル−グレリン(非アシル型グレリンまたはUAGとしても知られている)を生物学的に活性な形態であるアシル−グレリン(AG)に変換する。アシル−グレリンは、ヒト及びげっ歯類における食物摂取を増加させ、脂肪分泌を増加させることが示されている。ヒトへのAGの注入は、グルコース誘発インスリン分泌を抑制することも示されている。グレリン遺伝子の排除は、高脂肪食餌を与えたob/obマウスにおいてインスリン放出を増強して、グルコース不耐性を予防または改善することが示されている。
【0003】
小分子GOAT阻害剤が文献に報告されている。WO2013/125732を参照されたい。
【0004】
しかし、現在の肥満及び糖尿病の治療に対する可変の有効性及び応答を伴う肥満及び糖尿病の蔓延は、患者にとってより多くの治療選択肢が利用可能であることを要する。本発明は、GOAT阻害剤である特定の新規化合物を提供する。このような新しい化合物は、肥満の強力で効果的な治療の必要性に応えることができる。さらに、GOAT阻害剤はまた、体重増加または肥満の治療を目的とした食餌及び/または運動、他の治療薬または治療法に対する補助剤として体重増加または体重の再増加を減少させるのに有用であり得ると考えられている。同様に、GOAT阻害剤は、単独でまたは2型糖尿病のための他の治療と組み合わせて、2型糖尿病の治療に有用であり得る。
【0005】
本発明は、以下の式の化合物であって、
【化1】
式中、Rは、任意に−OHで置換されている−C
1〜C
3アルキル基;−OC
1〜C
4アルキル基;ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に−CH
3で1〜2回置換されていてもよい);各々が任意に−Clで置換されていてもよい、ピリジニル基、ピリダジニル基、またはピラジニル基;及び任意に−OCH
3で置換されているフェニル基から選択される、化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。さらなる実施形態では、組成物は、1つ以上の他の治療剤と組み合わせて使用される。
【0007】
本発明のさらなる態様は、体重増加もしくは体重の再増加を減少させるか、または2型糖尿病もしくは肥満を治療する方法であって、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。
【0008】
本発明はまた、特に体重増加もしくは体重の再増加を減少させるためまたは2型糖尿病もしくは肥満の治療のための療法で使用するための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。さらに、本発明は、体重増加もしくは体重の再増加を減少させるのにまたは2型糖尿病もしくは肥満の治療に使用するための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。さらにまた、本発明は、体重増加もしくは体重再増加を減少させるためまたは2型糖尿病もしくは肥満の治療するための医薬の製造における、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0009】
本発明はさらに、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩をそれを必要とする患者に投与することを含む、虚血事象の後遺症を治療する方法を提供する。さらなる実施形態において、虚血事象は、心筋虚血または心虚血または脳虚血である。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、治療に、特に虚血事象の後遺症を治療するために使用するための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。さらにさらに、本発明は、虚血性事象の後遺症の治療に使用するための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。さらに、本発明は、虚血性事象の後遺症を治療するための医薬の製造における、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。さらなる実施形態において、虚血事象は、心筋虚血または心虚血または脳虚血である。
【0011】
本発明はさらに、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、嗜癖障害を治療する方法を提供する。さらなる実施形態では、嗜癖障害は、アルコール、喫煙、過食、または不法薬物の使用などの完了行動を含む。
【0012】
本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、嗜癖行動を促進するストレスの結果を改善する方法を提供する。さらなる実施形態では、嗜癖行動は、アルコール、喫煙、過食、または不法薬物の使用などの完了行動を含む。
【0013】
本発明はまた、治療に、特に嗜癖障害を治療するための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。よりさらには、本発明は、嗜癖障害を治療するのに使用するための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。さらに、本発明は、嗜癖障害を治療するための医薬の製造における、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。さらなる実施形態では、嗜癖障害は、アルコール、喫煙、過食、または不法薬物の使用などの完了行動を含む。
【0014】
本発明はまた、療法において、特に嗜癖行動を促進するストレスの結果を改善するために使用するための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。さらなる実施形態では、嗜癖障害は、アルコール、喫煙、過食、または不法薬物の使用などの完了行動を含む。さらに、本発明は、嗜癖行動を促進するストレスの結果を改善するのに使用するための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。さらに、本発明は、嗜癖行動を促進するストレスの結果を改善するための医薬の製造における、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。さらなる実施形態では、嗜癖行動は、アルコール、喫煙、過食、または不法薬物の使用などの完了行動を含む。
【0015】
本発明はまた、本発明の化合物の合成に有用な中間体及びプロセスを包含する。
【0016】
本明細書で使用する「治療する」(または「治療する」または「治療」)という用語は、既存の症状、状態または障害の進行または重症度を抑制、減速、停止または逆転させることを指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「体重増加を減少させる」は、患者の体重の増加を少なくすることを指す。用語「体重の再増加を減少させる」は、体重減少後に体重のリバウンドを経験している患者の体重の増加を少なくすることを指す。体重の再増加は、食事、運動、行動の変更、または承認された療法によって達成された体重減少の停止後のリバウンド効果に起因する可能性がある。疑義を避けるために、本明細書で使用される場合、体重増加または体重再増加は、食物摂取または食習慣によって誘発された体重増加または体重再増加を指し、体液の蓄積、水分保持による体重、筋肉量、または炎症などの食物摂取に関連する体重増加を指さない。
【0018】
本明細書で使用される「虚血性事象」とは、器官または身体部分への血液の供給が不十分であることを指す。血流の減少は、冒された器官または身体部分への酸素の供給を減少させる。虚血性事象は、虚血としても知られ得る。当業者は、虚血が身体の様々な器官または部分、例えば心筋虚血または心虚血などの心臓、または脳虚血などの脳に影響し得ることを知るであろう。
【0019】
本明細書で使用される「嗜癖障害」は、個人が否定的な結果にもかかわらず制御することができない過剰な不適応行動を記載する。本発明に特に関連するものは、アルコール摂取、喫煙、過食、及び不法薬物の使用などの成果のある行動を伴う嗜癖障害である。本発明は、嗜癖障害を有する個体において調節不全である異常なインセンティブ及び報償神経基質を正常化する。ストレスは、しばしば病因及び嗜癖障害の維持における沈降剤である;本発明は、嗜癖行動を促進するストレスの結果を改善する方法を提供する。
【0020】
本発明の化合物は、反応して薬学的に許容される塩を形成することができる。薬学的に許容される塩及びそれらを調製するための一般的な方法論は、当技術分野において周知である。例えば、P.Stahl,et al.Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,2
nd Revised Edition(Wiley−VCH,2011)、S.M.Berge,et al.,“Pharmaceutical Salts,”Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol.66,No.1,January 1977を参照されたい。
【0021】
当業者は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩が、下記の(I)に*で表される少なくとも1つのキラル中心を含むコアを含むことを理解するであろう。
【化2】
本発明の好ましい化合物は、次式(II):
【化3】
で表されるものまたはその薬学的に許容される塩である。
【0022】
当業者は、特定の変数の選択によって、本発明の化合物において追加のキラル中心が生成され得ることを理解するであろう。本発明は、全ての個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーならびにラセミ体を含む前記化合物のエナンチオマー及びジアステレオマーの混合物を考慮する。
【0023】
当業者であれば、全てのキラル中心のカーン−インゴルド−プレローグ順位則(R)または(S)指定は、特定の化合物の置換パターンに依存して変化することも理解するであろう。単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、キラル試薬で開始するか、または立体選択的または立体特異的合成技術によって調製することができる。あるいは、単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、本発明の化合物の合成における任意の都合のよい時点で、標準的なキラルクロマトグラフィーまたは結晶化技術によって混合物から単離することができる。本発明の化合物の単一エナンチオマーは、本発明の好ましい実施形態である。
【0024】
本発明の化合物は、好ましくは、経口投与のような様々な経路によって投与される医薬組成物として処方される。そのような医薬組成物及びそれを調製するためのプロセスは、当技術分野において周知である。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(A. Gennaro、et al.、eds.、21st ed.、Mack Publishing Co.、2005)を参照されたい。より特に好ましくは、下式で表される本発明の化合物であって、
【化4】
式中、Rは、任意に−OHで置換されている−C
1〜C
3アルキル基;−OC
1〜C
4アルキル基;ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に−CH
3で1〜2回置換されていてもよい);各々が任意に−Clで置換されていてもよい、ピリジニル基、ピリダジニル基、またはピラジニル基;及び任意に−OCH
3で置換されているフェニル基から選択される、化合物、またはその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤とを含む、医薬組成物である。
【0025】
例示される本発明の化合物は全てGOAT阻害剤であるが、ある種の化合物が好ましい。以下の段落では、そのような好ましい種を記載する:
a)Rが、任意に−OHで置換されている−C
1〜C
3アルキル基;−OC
1〜C
4アルキル基;ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に−CH
3で1〜2回置換されていてもよい);各々が任意に−Clで置換されていてもよい、ピリジニル基、ピリダジニル基、またはピラジニル基;
または、任意に−OCH
3で置換されているフェニル基である、
b)Rが、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に−CH
3で1〜2回置換されていてもよい);各々が任意に−Clで置換されていてもよい、ピリジニル基またはピラジニル基;及び任意に−OCH
3で置換されているフェニル基である、
c)Rは、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に−CH
3で1〜2回置換されていてもよい)である、
d)Rは、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に−CH
3で1〜2回置換されていてもよい)である、
e)Rは各々が任意に−Clで置換されていてもよい、ピリジニル基、ピリダジニル基、またはピラジニル基である、
f)Rは任意に−OCH
3で置換されているフェニル基である、
g)Rは任意に−OH、−OCH
3,または−OC(CH
3)
3で置換されている−CH
3である、
h)Rは任意に−OHで置換されている−CH
3である、
i)Rは−OCH
3または−OC(CH
3)
3である、
j)Rはピラゾリル基である、
k)Rは−CH
3で置換されているピラゾリル基である、
l)本発明の化合物は遊離塩基である、
m)本発明の化合物において−NC(O)Rに隣接するメチル置換基は、S配置にある。
【0026】
本発明の好ましい実施形態は、以下の式の化合物であって、
【化5】
式中、Rが、任意に−OHで置換されている−C
1〜C
3アルキル基;−OC
1〜C
4アルキル基;ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に−CH
3で1〜2回置換されていてもよい);各々が任意に−Clで置換されていてもよい、ピリジニル基、ピリダジニル基、またはピラジニル基;及び任意に−OCH
3で置換されているフェニル基から選択される、の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0027】
本発明の別の好ましい実施形態は、以下の式の化合物であって、
【化6】
式中、Rが、任意に−OHで置換されている−CH
3;−OCH
3または−OC(CH
3)
3;ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に、−CH
3で1〜2回置換されていてもよい);各々が任意に−Clで置換されていてもよいピリジニル基、ピリダジニル基、またはピラジニル基;及び任意に−OCH
3で置換されているフェニル基から選択される、化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0028】
本発明の別の好ましい実施形態は、以下の式の化合物であって、
【化7】
式中、Rが、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に−CH
3で1〜2回置換されていてもよい);各々が任意に−Clで置換されていてもよい、ピリジニル基、ピリダジニル基、またはピラジニル基;及び任意に−OCH
3で置換されているフェニル基から選択される、化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0029】
本発明の別の好ましい実施形態は、以下の式の化合物であって、
【化8】
式中、Rが、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、、各々任意に−CH
3で1〜2回置換されていてもよい);各々が任意に−Clで置換されていてもよい、ピリジニル基またはピラジニル基;及び任意に−OCH
3で置換されているフェニル基から選択される、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0030】
本発明の別の好ましい実施形態は、以下の式の化合物であって、
【化9】
式中、Rが、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に−CH
3で1〜2回置換されていてもよい)から選択される、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施形態は、以下の式の化合物であって、
【化10】
式中、Rが、各々が任意に−Clで置換されていてもよい、ピリジニル基、ピリダジニル基、またはピラジニル基から選択される、化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0032】
本発明の別の好ましい実施形態は、以下の式の化合物であって、
【化11】
式中、Rが、任意に−OCH
3で置換されているフェニル基である、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0033】
本発明の別の好ましい実施形態は、以下の式の化合物であって、
【化12】
式中、Rが、任意に−OHで置換されている−CH
3;−OCH
3、及び
−OC(CH
3)
3から選択される、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0034】
本発明の別の好ましい実施形態は、以下の式の化合物であって、
【化13】
式中、Rが、任意に−OHで置換されている−CH
3である、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0035】
本発明の別の好ましい実施形態は、以下の式の化合物であって、
【化14】
式中、Rが、−OCH
3及び−OC(CH
3)
3から選択される、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0036】
本発明の特に好ましい実施形態は、以下の式の化合物、
【化15】
またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0037】
本発明の別の特に好ましい実施形態は、以下の式の化合物、
【化16】
またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0038】
本発明のさらに特に好ましい実施形態は、以下の式の化合物に関する。
【化17】
【0039】
本発明の化合物は、一般に、広い投与量範囲にわたって有効である。例えば、1日あたりの投与量は、約0.03〜約30mg/kg体重の範囲内にある。いくつかの例では、上記範囲の下限を下回る投与量レベルは十分すぎるかもしれないが、他の場合には、より大きな用量が好ましい利益/リスクプロファイルを維持しながら使用され得るので、上記投与量範囲は、本発明の範囲を決して限定するものではない。実際に投与される化合物の量は、治療される状態、選択された投与経路、投与される実際の化合物または化合物、個々の患者の年齢、体重、及び応答、ならびに患者の症状の重症度を含む、関連する状況に照らして、医師によって決定されることが理解されるであろう。
【0040】
糖尿病及び/または肥満の治療のための薬剤は、糖尿病及び/または肥満の治療のための他の薬剤と組み合わせることができることは、当該技術分野において周知である。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は、糖尿病または肥満の他の有効な治療と同時に、または連続的に併用投与することができる。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は、肥満手術、例えば胃バイパス手術または調節可能な胃バンディング術、のような承認された医療処置の後に、単独でまたは他の有効な治療と組み合わせて、同時にまたは連続的に投与することができる。
【0041】
本発明の化合物またはその塩は、当技術分野で公知の様々な手順によって調製することができ、そのいくつかを以下のスキーム、調製及び実施例に例示する。記載された各経路の特定の合成工程は、異なる方法で、または異なるスキームからの工程と組み合わせて、本発明の化合物または塩を調製することができる。以下のスキーム中の各工程の生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、ろ過、研和、及び結晶化を含む、当技術分野で周知の従来の方法によって回収することができる。以下のスキームにおいて、他に示されない限り、全ての置換基は、先に定義した通りである。試薬及び出発物質は、当業者に容易に入手可能である。
【0042】
さらに、以下のスキームに記載される特定の中間体は、1つ以上の窒素保護基を含み得る。可変の保護基は、特定の反応条件及び実施される特定の変換に依存して、それぞれの場合において同じであっても異なっていてもよい。保護及び脱保護の条件は、当業者に周知であり、文献に記載されている“Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”,Fourth Edition,Peter G.M.Wuts and Theodora W.Greene,John Wiley and Sons,Inc.2007)。
【0043】
以下のスキームにおいて、特定の立体化学的中心は不特定のままであり、特定の置換基は、明瞭化のために除去されているが、スキームの教示を限定することを意図するものでは決してない。単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、キラル試薬で開始するか、立体選択的または立体特異的合成技術によって調製することができる。あるいは、単一のエナンチオマーまたはラセミ体を、選択的結晶化技術またはキラルクロマトグラフィーなどの方法によって、本発明の化合物の合成における任意の都合のよい時点で、標準キラルクロマトグラフィーまたは結晶化技術によって混合物から単離することができる(例えば、J.Jacques,et al.,“Enantiomers,Racemates,and Resolutions”,John Wiley and Sons,Inc.,1981、及びE.L.Eliel and S.H.Wilen,”Stereochemistry of Organic Compounds”,Wiley−Interscience,1994)。
【0044】
本発明のいくつかの中間体または化合物は、1つ以上のキラル中心を有することができる。本発明は、全ての個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーならびにラセミ体を含む前記化合物のエナンチオマー及びジアステレオマーの混合物を考慮する。少なくとも1つのキラル中心を含む本発明の化合物は、単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして存在することが好ましい。単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、キラル試薬で開始するか、立体選択的または立体特異的合成技術によって調製することができる。あるいは、単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーを、標準的なキラルクロマトグラフィーまたは結晶化技術によって混合物から単離することができる。いくつかの状況において、エナンチオマーまたはジアステレオマーの溶出順序は、異なるクロマトグラフィーカラム及び移動相のために異なることがあることを当業者は理解するであろう。
【0045】
特定の略語は以下のように定義される。「ACN」はアセトニトリルを指し、「BSA」はウシ血清アルブミンを指し、「DCC」は1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを指し、「DCM」はジクロロメタンを指し、「DIC」は、ジイソプロピルカルボジイミドを指し、「DIPEA」は、ジイソプロピルエチルアミンまたはN−エチル−N−イソプロピル−プロパン−2−アミンを指し、「DMAP」はジメチルアミノピリジンを指し、「DMF」はジメチルホルムアミドを指し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを指し、「EDCI」は、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩を指し、「EDTA」は、エチレンジアミン四酢酸を指し、「ee」はエナンチオマー過剰を指し、「ELISA」は、酵素結合免疫アッセイを指し、「EtOAc」は酢酸エチルを指し、「EtOH」はエタノールまたはエチルアルコールを指し、「Ex」は例を指し、「FBS」は、ウシ胎仔血清を指し、「HATU」は、(ジメチルアミノ)−N、N−ジメチル(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルオキシ)メタンイミニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、「HOAt」は、1−ヒドロキシ−7−アゾベンゾトリアゾールを指し、「HOBt」は1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を指し、「HBTU」は、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを指し、「HRP」は西洋ワサビペルオキシダーゼを指し、「IC
50」は、その薬剤について可能な最大阻害応答の50%を生じる薬剤の濃度IC
50「LC−ES / MS」は、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析法を指し、「min」は分または分(minute or minutes)を指し、「MeOH」はメタノールまたはメチルアルコールを指し、「MS」は質量分析法を指し、「OAc」はアセテートを指し、「PBS」はリン酸緩衝生理食塩水を指し、「PG」は保護基を指し、「Prep」は調製を指し、「PYBOP(登録商標)」は、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、「PYBROP(登録商標)」は、ブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、「RT」は室温を指し、「SCX」は強い陽イオン交換を指し、「SFC」は、超臨界流体クロマトグラフィーを指し、「SPE」は固相抽出を指し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を指し、TMB」は3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを指し、「T
R」は保持時間を指す。
【0046】
以下のスキームにおいて、他に示さない限り、全ての置換基は、先に定義した通りである。試薬及び出発物質は、当業者に容易に入手可能である。他のものは、既知の構造的に類似の化合物の合成に類似する有機及び複素環化学の標準的な技術、ならびに任意の新規手順を含む以下の調製及び実施例に記載の手順によって作製することができる。
【化18】
【0047】
スキーム1において、R
xは適切なアミン保護基である。アミン保護基は、当該技術分野において周知であり、かつ認識されており、カルバメート及びアミドを含み得る。当業者であれば、前記保護基を付加して除去するための代替の試薬及び手順を理解するであろう。
【0048】
化合物(2)は、化合物(1)を、一塩化ヨウ素、I
2またはN−ヨードスクシンイミドなどのハロゲン化剤で処理することによって調製することができる。当業者であれば、ヘテロ芳香族ハロゲン化の多くの方法があることを認識するであろう。さらなる工程において、化合物(4)は、標準的なカップリング条件下、Pd(PPh
3)
2Cl
2、Pd(OAc)
2またはPd
2(dba)
3のようなパラジウム由来の有機金属試薬を利用して、CuIなどの触媒及びEt
3N、DIPEA、K
2CO
3、またはCs
2CO
3などの塩基の存在下で、化合物(2)とアルキン(3)とをカップリングすることによって調製することができる。当業者は、CuまたはZnのような金属から誘導される代替的なオルガノ金属試薬が存在することを認識するであろう。あるいは、化合物(3)の対応する遊離アミンを購入し、適切なアミン保護基で保護することができる。化合物(4)は、酸化白金のような遷移金属触媒の存在下での接触水素添加によって還元される。他の水素化触媒は当該技術分野において周知である。例えば炭素担持パラジウムまたはロジウム誘導体はアルキンを還元することが知られている。当業者は、エタノール中でのナトリウムまたは酸中の亜鉛、による処理を含む、アルキン還元のための他の方法があることを認識するであろう。次いで、保護基を、当該技術分野において周知の条件下、例えば酸性または塩基性条件下で除去して、化合物(5)を得ることができる。
【化19】
【0049】
化合物(7)は、化合物(5)と化合物(6)とを標準カップリング条件下で反応させることにより合成することができる。当業者は、カルボン酸とアミンとの反応から生じるアミド形成のための多くの方法及び試薬が存在することを認識するであろう。化合物(5)と化合物(6)とのカップリングは、適切なカップリング試薬及び適切なアミン塩基、例えばDIPEAまたはトリメチルアミンの存在下で行うことができる。カップリング試薬には、DCC、DIC、EDCIなどのカルボジイミド、ならびにHOBt及びHOAtなどの他のカップリング試薬が含まれる。さらに、HATU、HBTU、PYBOP(登録商標)及びPYBROP(登録商標)などの非求核性アニオンのウロニウムまたはホスホニウム塩を、より伝統的なカップリング試薬の代わりに使用することができる。DMAPなどの添加剤を使用して反応を促進することができる。あるいは、トリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下、化合物(6)の置換アシルクロライドを用いて化合物(5)をアシル化することができる。
【0050】
中間体(7)中の保護基R
xは、酸性条件または塩基性条件のような当該技術分野において周知の条件下で除去することができる。得られたアミン中間体を、化合物(7)の製造において先に記載したものを含む標準的なカップリング条件下で化合物(8)と反応させて式(I)の化合物を得ることができる。当業者は、トリエチルアミンなどの有機塩基の存在下、またはDMAPなどの触媒の存在下で酸塩化物と反応させることを含む、脱保護された化合物(7)から式(I)の化合物を調製する代替方法があるということを認識するであろう。
【0051】
任意の工程において、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、標準条件下で適切な溶媒中、式(I)の適切な遊離塩基と適切な薬学的に許容される酸との反応により形成することができる。さらに、このような塩の形成は、窒素保護基の脱保護の際に同時に起こり得る。そのような塩の形成は、当該技術分野において周知であり、かつ認識されている。
【0052】
調製及び実施例
以下の調製及び実施例は、本発明をさらに例示し、本発明の化合物の典型的な合成を表す。試薬及び出発物質は容易に入手可能であるか、または当業者によって容易に合成され得る。調製物及び実施例は、限定ではなく例示として示されており、当業者によって様々な改変がなされ得ることが理解されるべきである。
【0053】
本発明の化合物のRまたはS配置は、X線分析及びキラルHPLC保持時間との相関などの標準的な技術によって決定することができる。以下の調製と実施例の命名は、一般に、MDL ACCELRYS(登録商標)Drawバージョン4.1のIUPAC命名機能(IUPAC naming feature)を使用して実施する。
【0054】
LC−ES/MSは、AGILENT(登録商標)HP1100液体クロマトグラフィーシステムで実施する。エレクトロスプレー質量分析測定(ポジティブモードで取得)は、HP1100HPLCに接続された質量選択検出器四重極質量分析(Mass Selective Detector quadrupole mass spectrometer)で実施する。LC−MS条件(低pH):カラム:PHENOMENEX(登録商標)GEMINI(登録商標)NX C18 2.1×50mm 3.0m;勾配:3分で5〜100%B、次いで100%B0.75分間 カラム温度:50℃±10℃;流速:1mL/分;溶媒A:0.1%ギ酸を含む脱イオン水;溶媒B:0.1%ギ酸を含むACN。代替LC−MS条件(低pH):カラム:XTERRA(登録商標)MS C18カラム2.1×50mm、3.5μm;勾配:溶媒Aの5%を0.25分間、3分で溶媒Bの5%から100%への勾配、及び100%の溶媒Bを0.5分間、または3分で溶媒Bの10%〜100%及び溶媒Bの100%で0.75分間カラム温度:50℃±10℃;流速:1mL/分;溶媒A:10mM炭酸水素アンモニウムpH9;溶媒B:ACN;波長:214nm。
【0055】
全ての分取逆相クロマトグラフィーは、質量選択検出器質量分析計及びLEAP(登録商標)オートサンプラー/フラクションコレクターを備えたAGILENT(登録商標)1200 LC/MSで実施する。高pH法は、10×20mmのガードを備えた75×30mmのPHENOMENEX(登録商標)GEMINI(登録商標)−NX、5μ粒度カラム上で実施する。流速85mL/分。溶離液は、アセトニトリル中の10mM重炭酸アンモニウム(pH10)である。
【0056】
Waters ZQ質量分析計及び29998ダイオードアレイ検出器は、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)の間に質量及びUVデータを取得するために使用する。補正質量(correct mass)(エレクトロスプレーイオン化)及びUV吸光度を示す物質が収集される。
【0057】
調製1
5−ヨード−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−アミン
【化20】
MeOH(1.4mL)中の6−メチル−2−トリフルオロメチル−ピリミジン−4−アミン(4.14g、23.37mmol)を含むフラスコに、DCM(20.1mL)中のヨウ素一塩化物(4.14g、23.37mmol)の溶液を加える。混合物を室温で48時間撹拌する。反応が完了したら、10%亜硫酸ナトリウム水溶液(200mL)を加える。得られた混合物をEtOAc(4×100mL)で抽出し、有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮して、粗標記化合物を淡黄色固体
(7.0g、99%)として得る。追加の精製をせずに材料を使用する。LC−ES/MS m/z 303.8(M+H)。
【0058】
調製2
4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチニル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【化21】
5−ヨード−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−アミン(2.05g、6.75mmol)、4−エチニル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.41g、6.75mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(239mg、0.34mmol)及びヨウ化銅(I)(130mg、0.68mmol)を20mLのマイクロ波バイアルに入った10mLのDMF中でスラリーにしそして懸濁液中に窒素を5分間泡立てさせる。トリエチルアミン(1.88mL、13.5mmol)を添加し、そして混合物にさらに5分間窒素を泡立たせ続ける。混合物を100℃で60分間マイクロ波で加熱する。混合物を室温に冷却し、飽和NaCl水溶液(500mL)に注ぐ。DCMで抽出し、MgSO
4で有機層を乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(5〜35%EtOAc:ヘキサン、45分かけて)により精製する。精製画分を濃縮して乾燥させて、淡黄色固体として標記化合物(1.25g、48%)を得る。LC−ES/MS m/z 385.2(M+H)。
【0059】
調製3
tert−ブチル4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]ピペリジン−1−カルボキシレート
【化22】
tert−ブチル4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチニル]ピペリジン−1−カルボキシレート(6.28g、16.34mmol)と酸化白金(IV)(744mg、3.27mmol)とをEtOH(110mL)溶液中で合わせる。あるいは、フラスコを排気して水素バルーン下、水素で充填し、系を水素で満たし、室温で18時間撹拌する。混合物をケイソウ土でろ過し、熱EtOH(30mL)、続いて2M NH
3/MeOH(20mL)ですすいだ。溶液を減圧下で濃縮し、標記化合物(6.15g、97%)を白色固体として得る。追加の精製を行うことなく使用する。LC−ES/MS m/z 389.2(M+H)。
【0060】
調製4
6−メチル−5−[2−(4−ピペリジル)エチル]−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−アミン
【化23】
tert−ブチル4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]ピペリジン−1−カルボキシレート(6.07g、15.63mmol)をDCM(25mL)に溶解し、TFA(10mL、132.25mmol)を添加する。溶液を室温で4時間撹拌する。減圧下で混合物を濃縮し、得られた残渣をDCM(15mL)に溶解し、DCM(100mL)、MeOH(100mL)で溶離するSCXカラム(50g)にかけ、所望の物質を2M NH
3/MeOH(100mL)で溶離する。メタノール性アンモニア画分を蒸発乾固して、標記化合物(4.4g、97%)をオフホワイトの固体として得た。追加の精製を行うことなく使用する。LC−ES/MS m/z 289.2(M+H)。
【0061】
調製5
6−メチル−5−[2−(4−ピペリジル)エチル]−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−アミン二塩酸塩
【化24】
イソプロパノール(1.26L)の50℃の溶液にゆっくりとした定常流中で塩化アセチル(180.1mL)を加え、50℃で30分間撹拌する。調製3からのtert−ブチル4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]ピペリジン−1−カルボキシレート(180.1g、463.7mmol)を少量ずつ添加し、1.5時間加熱を続ける。室温に冷却し、ジエチルエーテル(3.6L)を加える。ろ過により固体を集め、ジエチルエーテル(2×300mL)で洗浄する。得られた固体を50℃の真空オーブン中で一晩乾燥させて、白色の自由流動性粉末として標記化合物(174.0g、98%)を得る。追加の精製を行うことなく使用する。LC−ES/MS m/z 289.2(M+H)。
【0062】
実施例1
tert−ブチルN−[(1S)−2−[4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]2−オキソ−エチル]カルバメート
【化25】
6−メチル−5−[2−(4−ピペリジル)エチル]−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−アミン(3.9g、13.53mmol)をDMF(20mL)に溶解し;(2S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸(2.8g、14.88mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(7.46g、54.11mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(2.63g、13.53mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(7.08mL、40.58mmol)を加える。得られた混合物を室温で一晩撹拌する。反応混合物を飽和NaHCO
3水溶液(500mL)に注ぎ、DCMで抽出する。有機相をMgSO
4で乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮し、シリカゲルでのクロマトグラフィー(10−75%EtOAc:ヘキサン、45分かけて)により精製し、溶媒除去後、標記化合物(4.66g、75%)を白色泡状物として得る。LC−ES/MS m/z 460.2(M+H)。
【0063】
実施例1の代替法
tert−ブチルN−[(1S)−2−[4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]2−オキソ−エチル]カルバメート
【化26】
[1]DCM(1.6L)中の(6−メチル−5−[(2−(4−ピペリジル)エチル]−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−アミン二塩酸塩(170g、442.4mmol)、(2S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸(92.1g、486.6mmol)の懸濁液にジイソプロピルエチルアミン(308.6mL、1770mmol)を加え、淡黄色の懸濁液を得る。氷浴中で0℃に冷却し、(ジメチルアミノ)−N、N−ジメチル(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルオキシ)メタンイミニウムヘキサフルオロホスフェート(167.3g、442.4mmol)を少量ずつ加える。鮮やかな黄色の懸濁液を0℃で30分間撹拌し、攪拌しながら2時間室温まで温める。減圧下で約1Lに濃縮し、反応混合物をEtOAc(1L)で希釈し、飽和NH
4Cl水溶液(約500mL)で分配する。有機層を分離し、さらに水層をEtOAc(2×500mL)で抽出する。有機相を合わせ、飽和NH
4Cl水溶液(4×400mL)、飽和NaHCO
3水溶液(400mL)、水(400mL)、飽和NaCl水溶液(400mL)で洗浄する。MgSO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮し、イソヘキサン(750ml)と共沸させて、追加の精製なしに使用するのに適している、標記化合物(237g、99%)を白色泡状物として得る。LC−ES/MS m/z 460.3(M+H)。キラル分析(SFC MiniGram(登録商標)、15%MeOH/CO2/0.2%イソプロピルアミン、5mL/分、100bar、35℃、220nm)>98%ee。
【0064】
調製6
(2S)−2−アミノ−1−[4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]プロパン−1−オン
【化27】
DCM(150mL)中にtert−ブチルN−[(1S)−2−[4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]−1−メチル−2−オキソ−エチル]カルバメート(4.66g、10.14mmol)を溶解させそしてトリフルオロ酢酸(7.67mL、101.4mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌する。真空下で溶媒を濃縮し、残留物をDCM(20mL)で再溶解させ、100mLのDCM、100mLのMeOHで溶離するSCXカラム(50g)にかけ、所望の物質を2M NH
3/MeOH(100mL)で溶離する。メタノール性アンモニア画分を蒸発乾固して、標記化合物(3.58g、98%)を白色泡状物として得る。追加の精製を行うことなく使用する。LC−ES/MS m/z 360.2(M+H)。
【0065】
実施例2
N−[(1S)−2−[4−[2−アミノ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]−1−メチル−2−オキソ−エチル]−2−メチル−ピラゾール−3−カルボキサミド
【化28】
(2S)−2−アミノ−1−[4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]プロパン−1−オン(560mg、1.56mmol)をDMF(3mL)を含有するDCM(20mL)中に溶解し、1−メチル−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(216mg、1.71mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(969mg、6.23mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(303mg、1.56mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(1.36mL、7.8mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌する。反応混合物を飽和NaHCO
3水溶液(200mL)に注ぎ、DCMで抽出する。有機相をMgSO
4で乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮し、シリカゲルによるクロマトグラフィー(0〜10%MeOH:DCM 30分かけて)にて精製し、溶媒除去後、白色の泡状物として標記化合物(665mg、91%)を得る。LC−ES/MS m/z 468.0(M+H)。
【0066】
以下の表1の実施例は、本質的に実施例2に記載の手順に従って、(2S)−2−アミノ−1−[4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]プロパン−1−オン及び適切に置換されているカルボン酸を使用して調製する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0067】
実施例2の代替調製法
N−[(1S)−2−[4−[2−アミノ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]−1−メチル−2−オキソ−エチル]−2−メチル−ピラゾール−3−カルボキサミド
【化29】
[1]氷浴中でDCM(1.5L)中に懸濁させた(2S)−2−アミノ−1−[4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]プロパン−1−オン(168.0g、342.0mmol)、1−メチル−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(64.7g、513.0mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(244.5mL、1400mmol)のスラリーに、内部温度を5〜10℃に維持しながら、1−プロパンホスホン酸環状無水物(410.6mL、683.9mmol)のゆっくりとした安定した流れを加える。2.5時間以上撹拌しながら室温まで温める。減圧下で約500mLに濃縮し、得られた残渣をEtOAc(2L)及び水(1L)で希釈し;層を分離し;水層をEtOAc(2×400mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和NH
4Cl(500mL)、飽和NaHCO
3水溶液(1L)、水(500mL)、飽和NaCl水溶液(500mL)で洗浄する。有機層をMgSO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させる。得られた残渣を酢酸イソプロピル(180mL)に溶解し、ヘプタン(1L)で処理し、70℃で4時間加熱して白色粉末を放出させる。室温に冷却し、ろ過によって固体を集め、9:1ヘプタン:酢酸イソプロピル(100mL)、続いてヘプタン(2×100mL)で洗浄する。真空オーブン中、45℃で一晩乾燥させて、標記化合物を白色粉末として得る(117g、73%)。LC−ES/MS m/z 468.0(M+H)。
【0068】
実施例19
N−[(1S)−2−[4−[2−アミノ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]−1−メチル−2−オキソ−エチル]アセトアミド
【化30】
(2S)−2−アミノ−1−[4−[2−[4−アミノ−6−クロロ−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]プロパン−1−オン(70mg、0.19mmol)、無水酢酸(184.1μL、1.95mmol)、及びDCM(3.9mL、0.05M)中のDMAP(1.2mg、0.01mmol)を使用して、本質的に実施例1に記載の手順に従って、標記化合物(47.7mg、67%)を調製する。ES/LC−MS m/z 402.2(M+1)。
【0069】
実施例20
メチルN−〔(1S)−2−〔4−〔2−〔4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル〕エチル〕−1−ピペリジル〕−1−メチル−2−オキソ−エチル]カルバメート
【化31】
(2S)−2−アミノ−1−[4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]プロパン−1−オン(43.8mg、0.12mmol)をDCM(3mL)中に溶解し、ジメチルジカーボネート(22.0μL、182.8μmol)及びピリジン(30μL、365.6μmol)を加える。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、飽和NaCl水溶液(100mL)に注ぎ、DCM(3×30mL)で抽出する。合わせた有機層を0.1N HCl(2×100mL)、水(100mL)、飽和NaCl水溶液(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、標記化合物をオフホワイトの固体(22mg、43%)として得る。LC−ES/MS m/z 418.2(M+H)。
【0070】
実施例21
N−[(1S)−2−[4−[2−アミノ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]−1−メチル−2−オキソ−エチル]ピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化32】
N−[(1S)−2−[4−[2−[4−アミノ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル]−1−ピペリジル]−1−エチル]ピリジン−2−カルボキサミド(69mg、0.15mmol)をDCM(1mL)中に溶解し、HCl(ジオキサン中1M、500mL)を加える。室温で10分間撹拌し、次いで真空下で濃縮する。得られた残渣をDCM(1mL)、続いてEt
2O(2mL)で粉砕する。得られた淡黄色固体をろ過して集め、標記化合物(74mg、98%)を得る。LC−ES/MS m/z 465.2(M+H)。
【0071】
アッセイ
GOATは、UAGをAGに変換する主要な酵素である。GOAT及びグレリンの役割の概説については、Kristy M. Heppner et al,The ghrelin O−acyltransferase−ghrelin system:a novel regulator of glucose metabolism,Current Opinion in Endocrinology,Diabetes & Obesity 2011,18:50−55;Phillip A.Cole et al.,Glucose and Weight Control in Mice with a Designed Ghrelin OAcyltransferase Inhibitor,Science,2010 December 17;330(6011):1689−1692.doi:10.1126/science.1196154,Matthias H.Tschop et al.,Gastric O−acyl transferase activates hunger signal to the brain,Proc Natl Acad Sci U S A.2008 April 29;105(17):6213−6214、及びJesus Gutierrez,et al.,Ghrelin octanoylation mediated by an orphan lipid transferase,Proc Natl Acad Sci U S A.,2008 April 29,105 (17):6320−6325を参照されたい。
【0072】
GOATの役割は、GOAT遺伝子を欠くマウスで観察される表現型によって支持される。したがって、GOATの阻害は、循環AGを低下させ、循環UAGを上昇させることが期待される。その結果、GOAT阻害剤治療後の総グレリンに対するAGの比(UAG+AG)は減少する。
【0073】
インビトロ無細胞ヒトGOAT酵素アッセイ
ヒトGOAT遺伝子(受託番号:NM_001100916)をpAN51バキュロウイルス発現ベクターにサブクローニングする。バキュロウイルスストックは、供給業者、Invitrogen、California、USAによって提供されたBac−to−Bacプロトコルに従って調製される。5mLのヒトGOATバキュロウイルスストックを、2L三角フラスコ中、1×10
6細胞/mLの密度で、HyQ SFX−Insect(商標)培地(HyCloneカタログ番号SH30278.02)中の500mLのSf9細胞に添加する。ヒトGOAT遺伝子感染Sf9細胞を含むフラスコを、プレート振とう機上、120rpm、28℃で48時間置く。48時間のインキュベーション後、細胞を4℃で10分間、1,000×gで遠心分離する。細胞ペレットを回収し、さらなる処理の準備ができるまで冷凍庫で−80℃で保存する。
【0074】
酵素アッセイのためのGOAT酵素のミクロソーム膜の調製:
1グラムの細胞ペレットを9mLの冷却した均質化緩衝液(50mM Tris−HCl、250mMスクロース、pH7.5に調整し、0.2μmMilliporeフィルターで滅菌ろ過)に懸濁する。細胞懸濁液をDounceガラスホモジナイザーに移す。細胞ペレットを氷上で40ストロークでホモジナイズする。ホモジネートをBeckmanスイングバケットローターで4℃で10分間3,000rpmで遠心分離して、破砕されていない細胞を除去する。上清を回収し、4℃で1時間、40,000×gで遠心分離する。 得られた膜ペレットをDounceガラスホモジナイザーを用いてホモジナイゼーションバッファー中に懸濁させ、アッセイのために冷凍庫に−20℃で保存する。ヒトGOAT酵素膜調製物の長期保存のために、懸濁した膜を−80℃冷凍庫に保存する。
【0075】
ヒトGOAT酵素アッセイプロトコル:
DMSO中で試験化合物を調製して、0.2mMストック溶液を調製する。原液をDMSO中で連続希釈して、96ウェル丸底プレート中の10μM〜0.5nMの範囲の最終化合物濃度で10点希釈曲線を得る。アッセイ緩衝液(50mMトリス中の0.02%TWEEN(商標)−20、pH7.5/250mMスクロース/1mg/mL BSA/10mM EDTA)中で酵素及び基質溶液を調製する。対応する低タンパク質結合384ウェルプレートの列A〜Nの各ウェルに希釈化合物(1μL)を加える。ヒトデスアシル−グレリン−ビオチン(CPC Scientific Inc.、最終6.0μM)、オクタノイル−コエンザイムA(CoA)(Sigma、最終60μM)、及びAG特異抗体(WO2006/091381)(最終1.0μg/mL)よりなるヒトGOAT基質ミックス(10μL)を化合物に添加した。アッセイ緩衝液(9μL)中で調製されたGOAT−His/sf9酵素調製物を、プレート含有基質及び試験化合物の各ウェルに加えて、最終濃度0.01μg/mLとし、反応を開始させる。穏やかに回転する振動装置で室温で1時間、混合物をインキュベートする。全てのウェルに4M塩酸グアニジン(20μL)を添加し、混合し、3時間インキュベートして反応を停止する。
【0076】
PBS(40μL)(Invitrogen)ブロッキング緩衝液中の2%熱不活性化FBSで3時間ブロッキングすることによりELISAプレート(STREPTAVIDIN SPECTRAPLATETM(商標)384、Perkin Elmer)を調製する。ブロッキング緩衝液をELISAプレートから吸引し、ブロッキング緩衝液(23μL)を縦列1〜24、横列A〜Nに加える。アシルグレリン標準曲線の横列O及びPは取っておく。反応混合物(2μL)をELISAプレートに加える。2.5μMで始まる0.2Mグアニジン塩酸塩を含むブロッキング緩衝液中で連続2倍希釈により10点標準曲線(ビオチン標識オクタノイルグレリン)を調製する。反応混合物またはビオチン標識AG標準をELISAプレートで4℃で一晩インキュベートする。翌日、プレートを洗浄バッファー(0.1%TWEEN(商標)20/PBS、各洗浄サイクルでウェルあたり100μL)で3回洗浄する。AG特異的抗体(WO2006/091381)(ブロッキング緩衝液中に0.5μg/mLの25μL)を各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートする。前の手順と同様に、洗浄バッファーでプレートを3回洗浄する。ブロッキング緩衝液で3000倍に希釈したプロテインG−HRP(25μL)(Southern Biotech)を添加し、室温で1時間インキュベートする。前の手順と同様に、洗浄バッファーで3回後半を洗浄する。各ウェルにTMB試薬(25μL)(Kirkegaard&Perry Laboratories、Inc.)を添加し、20分間発色させ、1Mリン酸(ウェルあたり25μL)で停止させる。ENVISION(登録商標)Multilabelプレートリーダーを使用してプレートを450nmで読み取る。適合した標準曲線に対してAGレベルを計算し、阻害率を計算する。10点阻害曲線をプロットし、ACTIVITYBASE(登録商標)(バージョン7.3.2.1)を用いてIC
50値を得るために4パラメータロジスティック方程式を当てはめる。
【0077】
本質的に上記のプロトコルに従い、本明細書の実施例の全ての化合物を試験し、1μM未満のインビトロ無細胞ヒトGOAT酵素アッセイのIC
50を示した。以下の本発明の例示化合物を基本的に上記のように試験し、以下の表2に示すように以下の活性を示した。
【表2】
【0078】
表2のデータは、表2の化合物がインビトロで精製GOAT酵素活性を阻害することを示している。
【0079】
化合物処理群及びビヒクル処理群におけるAGの比の変化を比較することは、GOAT酵素によるUAGのAGへの動的処理に起因するインビボでのGOAT酵素阻害の程度を反映する。本明細書のインビボでの薬力学的研究において、ビヒクル及び化合物処理群における血漿及び胃におけるAG及びUAGのレベルは、これら2つの分析物に特異的にELISAによって測定される。各試料の総グレリンレベルは、これらのELISA測定によるAGとUAGの合計として計算される。総グレリンに対するAGの比は、各試料中のAGのレベルを、同じ試料中の総グレリンのレベルで割った値によって定義される。ビヒクル処置群におけるAG、UAG、及びAGと総グレリンとの比を計算し、100%として設定する。次いで、化合物で処理した群におけるこれらのパラメーターの相対的変化を計算して、試験化合物の有効性を決定する。
【0080】
GOAT阻害剤のインビボ用量依存3日BID試験:E
動物と治療:
9週齢のHarlan(Indianapolis,IN)からのC57BL/6雄マウスを購入する。12時間の明/暗サイクル(2200時間点灯)を備えた温度制御(24℃)施設でマウスを個別に収容し、標準的な齧歯類用固形飼料(diet 2014、Harlan)及び水に自由にアクセスできるようにする。通常、研究の時点で10〜13週齢のマウスを使用する。実験の0日目に、マウスを処置群(N=7/群)にランダム化し、各群に同様の平均体重にさせる。1日目及び2日目に、ビヒクル(1%ヒドロキシエチルセルロース、0.25%TWEEN(商標)80、0.05%の消泡剤)またはビヒクル中で調製した試験化合物を、午前7時及び午後7時に強制経口投与による種々の用量の懸濁液として動物を処置する。3日目に、動物を断食させ、それらをきれいなケージに移し、ビヒクルまたは試験化合物を経口胃管栄養法により午前8時に再び投与する。同じ日の午後1時に、血液を採取するために斬首によって動物を殺す。採血と血漿処理の詳細については、採血と血漿からのグレリンの抽出の項を参照されたい。
【0081】
採血:
新しく調製した防腐剤(4mMのPEFABLOC(登録商標)[4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩]、72mM NaCl、58mM NaF、0.032N塩酸、pH3.0)600μL(V
防腐剤として定義)を含む予め秤量したEDTAチューブに約600μLの血液を集め、直ちに混合する。チューブを再度秤量し、氷上に置く。この採血手順を使用して各試料の正確な血液量を正確に決定するために、各マウスの血液の重量は、以下の式を使用して計算される。
【数1】
【数2】
【0082】
げっ歯類の血液の密度は1.06g/mLと仮定されていることに留意されたい。
【0083】
採血後15分以内に、試料を4℃、5000rpmで8分間遠心分離する。1N塩酸(65μL)を含む5mLのガラス管に血漿(650μL)を除去し、混合し、氷上に置く。
【0084】
SEP−PAK(登録商標)カラムによるグレリン抽出:
AG及びUAGを、SEP−PAK(登録商標)C
18カラムを用いて血漿から抽出し、ELISAを行う前に干渉を除去する。SEP−PAK(登録商標)C
18カラムによるAG及びUAGペプチドの固相抽出は、真空マニホールド(Waters Corp)または蠕動ポンプを用いて行うことができる。試料SEP−PAK(登録商標)カラム抽出手順が、個々のマウスから得られた血漿試料に独立して適用される。一般的な抽出プロトコルは以下のように説明される。
【0085】
SEP−PAK(登録商標)カラム抽出のプロトコル全体に使用される全ての溶液は、氷冷状態でなければならない。SEP−PAK(登録商標)カラム(WAT054960、Waters Corp、Milford MA)を99.9%ACN/0.1%TFA(100mLのACN/0.1mLのTFAの溶液1mL)で湿らせる。圧力をかけて流速を約1mL/分に調整し、カラム床から液体を除去するが、カラムをいつでも乾燥させないようにする。液体がカラムから除去されたら、圧力を止める。3%ACN/0.1%TFA(水97mL、ACN3mL、TFA0.1mL、の1mL)でカラムを平衡させる。圧力をかけて流速を約1mL/分に調整し、カラム床から液体を除去するが、カラムを乾燥させない。約650μLの酸性化された血漿(V
カラムに添加した血漿として定義)を氷冷0.1%TFA 1.4mLに希釈する。前のステップから希釈された全ての酸性化された血漿をカラムにロードする。圧力をかけて流速を約0.5mL/分に調整し、試料がカラムを通過し、グレリンペプチドがカラムの樹脂に吸収されるようにする。カラムは乾燥させない。3%ACN/0.1%TFA(水97mL、ACN3mL、TFA0.1mLの0.9mL)で洗浄する。圧力をかけて流速を約1mL/分に調整して、カラム床から液体を除去するが、カラムを乾燥させない。洗浄をもう2回繰り返す。60%ACN/0.1%TFA(水40mL、ACN60mL、TFA 0.1mL、の1mL)で溶出する。各カラムの下に回収チューブを置き、流量を約0.5mL/分に調整してカラムに液体を押し込み、回収チューブに溶出液を集める。すぐにドライアイスで試料を凍結する。ELISAアッセイが行われるまで、speed−vac(Model#SC110A、Savant)で試料を凍結乾燥し、−20℃で保存する。
【0086】
グレリンのELISAアッセイ:
100μLの1μg/mLの、PBS(Invitrogen)中のグレリンのアシル化及び非アシル化型の両方の中間ドメインと認識される、抗体(WO2005/026211及びWO2006/019577)を用いて、96ウェルMULTI−ARRAY(登録商標)MSD(登録商標)プレート(Meso Scale Discovery、Gaithersberg、MD、カタログ番号L15XA−3)をコートする。ウェルの被覆を確実にするためにプレートの側面をタップし、粘着プレートシーラーでシールし、RTで一晩インキュベートする。内容物を捨てて、各ウェルにPBS(25μL)(Thermo Scientific、Rockford、IL、カタログ番号37528)中のBLOCKER(商標)カゼインを添加する。プレートを再シールし、室温で1時間プレートシェーカーに置く。
【0087】
PBS中のBLOCKER(商標)カゼイン中のSEP−PAK(登録商標)C18カラム抽出物からの凍結乾燥保存血漿試料を再溶解させ(各試料に400μL、この容量はV
再溶解として定義される)、ボルテックスミキサーでよく混合し、45〜60分間氷上でインキュベートする。プレートから内容物を捨て、再溶解された血漿試料を各ウェルに25μLで加える。8000pg/mLで始まり、合計8つの濃度について連続1:4希釈を行うアシルグレリン及び非アシル化グレリン標準曲線を調製する。各ウェルに25μLを加えて、調製した標準液をブロックプレートに2連で加える。プレートをシールし、RTにてプレートシェーカー上で2時間インキュベートする。
【0088】
プレートの内容物を捨て、0.1%TWEEN(商標)20(PBS−T)を含むPBS(150μL)で3回洗浄する。MSD(登録商標)SULFO−TAG(商標)(Meso Scale Discovery)で標識したアシルグリレリン特異的抗体(WO2006/091381)または非アシル化グレリン特異的抗体(WO2006/055347)を0.05%TWEEN(商標)20を含有する0.2×ブロッカーカゼイン中で0.05μg/mLに希釈する(二次抗体溶液と称する)。最終洗浄液を除去し、AGまたはUAGを特異的に認識する二次抗体溶液(各ウェルに25μL)を加える。プレートを再シールし、プレートシェーカー上で室温で1時間インキュベートし、最後にPBS−T(150μL/ウェル)で3回洗浄する。
【0089】
最後の洗浄液を捨て、1×MSD(登録商標)リードバッファー(150μL/ウェル)と置き換える。MSD(登録商標)SECTOR(登録商標)Imager 6000アナライザー(Meso Scale Discovery)を使用して、プレート上の電極に結合したMSD(登録商標)SULFO−TAG(商標)ラベルの活性化によって生成された電気化学発光シグナルを読み取る。MSD(登録商標)ソフトウェアによって生成されたそれぞれの標準曲線に基づいて、アシルレグリンまたは非アシル化グレリンの濃度を計算する。測定されたアシルグレリンまたは非アシル化グレリンレベルに希釈係数を掛けることによって、各試料の実際の血漿中濃度を決定する。各血漿試料の希釈係数は、以下の式で計算される。
【数3】
【0090】
結果:
実施例2の化合物の3日間の投与は、それぞれ0.1、0.3、1、3、及び10mg/kgにおいて、血漿AGを40%、60%、56%、63%、及び63%減少させ、UAGをそれぞれ2.10、2.22、3.57、3.49、及び3.78倍増加させる(結果は以下の表を参照)。0.1、0.3、1,3、及び10mg/kgでの投与は、ビヒクル処置対照動物と比較した場合に、総グレリン比に対するAGでそれぞれ57、62、79、82、及び82%の減少をもたらす。
【表3】
【0091】
結果は、実施例2の化合物がGOATノックアウトマウスに示されるように、インビボでAG産生を抑制し、循環中のUAGを上昇させることを実証する。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 以下の式の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化33】
式中、Rは、任意に−OHで置換されている−C1〜C3アルキル基;−OC1〜C4アルキル基;ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に−CH3で1〜2回置換されていてもよい);各々が任意に−Clで置換されていてもよい、ピリジニル基、ピリダジニル基、またはピラジニル基;及び任意に−OCH3で置換されているフェニル基から選択される。
[2] Rが、任意に−OHで置換されている−CH3;−OCH3または−OC(CH3)3;ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に、−CH3で1〜2回置換されていてもよい);各々が任意に−Clで置換されていてもよいピリジニル基、ピリダジニル基、またはピラジニル基;及び任意に−OCH3で置換されているフェニル基から選択される、[1]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[3] Rが、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはチアジアゾリル基(ここで、ピラゾリル基、オキサゾリル基、またはチアゾリル基は、各々任意に−CH3で1〜2回置換されていてもよい);各々が任意に−Clで置換されていてもよい、ピリジニル基またはピラジニル基;及び任意に−OCH3で置換されているフェニル基から選択される、[1]または[2]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[4] メチル置換基を有する炭素原子の立体配置が以下の(S)である、
【化34】
[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[5] 以下の式の[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【化35】
[6] 以下の式の[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【化36】
[7] 以下の式の[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物。
【化37】
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む、医薬組成物。
[9] 1つ以上の他の治療剤と組み合わされる、[8]に記載の医薬組成物。
[10] [1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、体重増加を減少させる方法。
[11] [1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、体重の再増加を減少させる方法。
[12] [1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、肥満を治療する方法。
[13] [1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、2型糖尿病を治療する方法。
[14] 療法に使用するための、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[15] 体重増加を減少させるのに使用するための、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[16] 体重の再増加を減少させるのに使用するための、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[17] 肥満の治療に使用するための、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[18] 2型糖尿病の治療に使用するための、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[19] 体重増加を減少させるための医薬の製造における、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
[20] 体重の再増加を減少させるための医薬の製造における、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
[21] 2型糖尿病を治療するための医薬の製造における、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
[22] 肥満を治療するための医薬の製造における、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。