(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる空調制御装置10について説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかる空調制御装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
この空調制御装置10は、全体としてサーバ装置、パーソナルコンピュータ、産業用コントローラなどの情報処理装置からなり、制御対象となる部屋RMに配置されている温度センサの出力データから生成した部屋RMの熱画像(サーモグラフィ)に基づいて部屋RMにおける人の在/不在を検知する人検知機能を有し、得られた人検知出力に基づき部屋RMの空調制御さらには部屋RMに設置されている照明器具などの設備機器の制御を行う装置である。
【0016】
本発明は、このような人検知機能で用いる熱画像のうち、人の背景となる床や壁の背景領域に関する背景温度が上昇して、人の表面温度との区別がつかなくなった場合、部屋RMを強制冷房することにより背景温度を低下させ、人の表面温度との区別がつきやすいようにしたものである。
【0017】
空調制御装置10には、主な機能部として、熱画像生成部11、人検知部12、背景温度算出部13、および空調制御部14が設けられている。
【0018】
熱画像生成部11は、部屋RMの各エリアA1,A2の天井や壁に配置されたサーモパイルアレイセンサなどの温度センサS1,S2と通信回線L1を介して接続され、これら温度センサS1,S2からの出力データを取得して結合することにより、部屋RM全域の熱画像を生成する機能を有している。
【0019】
人検知部12は、熱画像生成部11で生成された熱画像のうち、人の背景となる床や壁の背景領域に関する背景温度より高い、人の表面温度を示す人領域を検索することにより、部屋RM内における人の在/不在や位置を検知する機能を有している。
【0020】
背景温度算出部13は、熱画像生成部11で生成された熱画像について、この熱画像を構成する各画素値について平均化や代表値抽出などの統計処理することにより、熱画像のうち人の背景となる床や壁の背景領域に関する背景温度を算出する機能を有している。
【0021】
具体的な背景温度の算出手法については、例えば、熱画像を構成するすべての領域の画素値を対象として統計処理を行うことにより背景温度を求めてもよい。この際、統計処理の対象となる画素値から、人領域や電子機器などの発熱体が存在する発熱体領域に属する画素値を除いた画素値についてのみ統計処理を行うことにより背景温度を求めてもよい。また、窓付近など温度上昇が発生する特定の温度上昇領域が固定的である場合には、この温度上昇領域に属する画素値のみを対象として統計処理を行うことにより背景温度を求めてもよい。
【0022】
空調制御部14は、各エリアA1,A2の室内温度や外気温度などの計測入力や運転者の操作入力に応じて、各エリアA1,A2の天井に配置された空調機21,22,23,24やこれら空調機に空調空気を供給する空調設備20を、通信回線L2を介して遠隔制御することにより、各エリアA1,A2の空調環境を制御する一般的な空調制御機能のほか、人検知部12からの人検知出力に応じて、各エリアA1,A2に対する空調制御の有無さらには各エリアA1,A2に設置されている照明器具31,32などの設備機器の駆動有無を、通信回線L3を介して遠隔制御する機能を有している。
【0023】
また、空調制御部14は、本実施の形態にかかる特徴的な人検知のための支援機能として、部屋RMに対する強制冷房の開始要否を判定するための判定温度Tjと、背景温度算出部13で得られた背景温度Tbとを比較し、背景温度Tbが判定温度Tjを上回った時点(Tb>Tj)で、背景温度Tbを低下させるための強制冷房の開始を、通信回線L2を介して空調機21,22,23,24さらには空調設備20に指示する機能を有している。
【0024】
[第1の実施の形態の動作]
次に、
図2および
図3を参照して、本実施の形態にかかる空調制御装置10の動作について説明する。
図2は、第1の実施の形態にかかる強制冷房要否判定処理を示すフローチャートである。
図3は、第1の実施の形態にかかる強制冷房要否判定処理を示すタイミングチャートである。
【0025】
空調制御装置10は、周期的に温度センサS1,S2の出力データを取得して熱画像生成部11で熱画像を生成するとともに、人検知部12における人検知動作を支援するため、
図2の強制冷房要否判定処理を実行する。
【0026】
まず、背景温度算出部13は、熱画像生成部11から熱画像を取得し(ステップ100)、この熱画像を構成する画素値を統計処理することにより、人の背景となる床や壁の背景領域に関する背景温度Tbを算出する(ステップ101)。
続いて、空調制御部14は、背景温度算出部13で算出した背景温度Tbと、予め設定されている、部屋RMに対する強制冷房の開始要否を判定するための判定温度Tjとを比較する(ステップ102)。
【0027】
ここで、Tb>Tjであり、背景温度Tbが判定温度Tjを上回っている場合(ステップ102:YES)、空調制御部14は、背景温度Tbを低下させるための強制冷房の開始を、通信回線L2を介して空調機21,22,23,24さらには空調設備20に指示し(ステップ103)、一連の強制冷房要否判定処理を終了する。
一方、Tb≦Tjであり、背景温度Tbが判定温度Tjを上回っている場合(ステップ102:NO)、空調制御部14は、強制冷房の開始を指示することなく、一連の強制冷房要否判定処理を終了する。
【0028】
したがって、
図3に示すように、時刻t0に、背景温度Tb>判定温度Tjとなった時点で、部屋RMに対する強制冷房が開始される。このため、部屋RMの床や壁が強制冷房により冷却され、その後の時刻t1に、背景温度Tbが判定温度Tj以下へ低下する。これにより、熱画像のうち、背景温度と人の表面温度との温度差が十分程度大きくなり、両者の区別がつきやすくなるため、在室者の在/不在を正確に検知することが可能となる。
【0029】
この際、強制冷房の具体例としては、例えば、人の表面温度より一定温度だけ強制冷房用目標温度を予め設定しておき、強制冷房を実行する際には、部屋RMの目標温度を強制冷房用目標温度に設定変更する方法がある。この強制冷房用目標温度については、温度センサS1,S2の計測値のばらつき、さらには部屋RMの床や壁の温度変化速度と正確な人検知ができるようになるまでの許容時間などのパラメータに基づき決定すればよい。
【0030】
また、強制冷房の終了については、空調制御部14が、例えば背景温度Tbと予め設定した強制冷房停止用温度Tsとを比較し、TbがTsまで低下した時点(Tb≦Ts)で、強制冷房を停止するよう、空調機21,22,23,24さらには空調設備20に指示すればよい。
【0031】
図4は、背景温度上昇時における熱画像例である。
図5は、強制冷房による背景温度低下後の熱画像例である。これら
図4および
図5は、制御対象となる長方形状の部屋RMを2×4の8つの区画A1〜A8に分割し、これら区画の天井中央部に温度センサS1〜S8を配置し、これら温度センサS1〜S8の出力データから生成した各区画A1〜A8の熱画像を1つに合成したものである。
【0032】
図4の熱画像例では、区画A1,A2の壁面に設けられている窓付近において、温度上昇が見られ、部屋RMの中央部に位置する人領域と同じかそれ以上の背景温度を示している。このような状況において強制冷房が開始された場合、熱画像は
図5のように変化し、窓付近における背景温度が人領域より低下していることが分かる。これにより、背景温度と人領域とを容易に区別することが可能となる。
【0033】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、熱画像のうちから人の背景となる背景領域に関する背景温度を算出する背景温度算出部13を設け、空調制御部14が、部屋RMに対する強制冷房の開始要否を判定するための判定温度Tjと、背景温度算出部13で得られた背景温度Tbとを比較し、背景温度Tbが判定温度Tjを上回った時点(Tb>Tj)で、背景温度Tbを低下させるための強制冷房を開始するようにしたものである。
【0034】
これにより、背景温度Tbが判定温度Tjを上回って、両者の区別がつきにくくなった時点で強制冷房が自動的に開始されて、背景温度Tbが低下することになる。したがって、背景温度Tbが人の表面温度付近まで上昇した場合でも、強制冷房により背景温度Tbが低下するため、両者の区別がつきやすくなり、在室者の在/不在や位置を正確に検知できる。このため、結果として、在室者の在/不在や位置に応じた最適な空調制御を実現することが可能となる。
【0035】
[第2の実施の形態]
次に、
図6および
図7を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる空調制御装置10について説明する。
図6は、第2の実施の形態にかかる強制冷房要否判定処理を示すフローチャートである。
図7は、第2の実施の形態にかかる強制冷房要否判定処理を示すタイミングチャートである。
【0036】
第1の実施の形態では、背景温度Tbが判定温度Tjを上回った時点(Tb>Tj)で、背景温度Tbを低下させるための強制冷房を開始する場合を例として説明した。本実施の形態では、Tb>Tjとなった時点で、人検知部12に対して高精度人検知処理への切り替えを指示し、この高精度人検知処理により人の存在が検知された時点で強制冷房を開始する場合について説明する。
【0037】
本実施の形態において、人検知部12は、熱画像のうちから人の表面温度を示す人領域を検索し、その検索結果に基づき人の在/不在を検知する低精度人検知機能と、時系列で蓄積した当該熱画像のそれぞれから検索した人領域の移動有無に基づき人の在/不在を検知する高精度人検知機能とを有している。例えば、1秒間の間に人領域が移動した場合には人が存在すると判定する場合、熱画像生成部11において、0.1secごとに生成される熱画像を10枚分蓄積し、これら熱画像ごとに人領域の中心位置を算出すれば、1秒間における人領域の移動有無を判定できる。
【0038】
空調制御部14は、背景温度Tbが判定温度Tjを上回った時点で、強制冷房の開始の指示に代えて、人検知部12に対して高精度人検知機能への切り替えを指示する機能と、この高精度人検知機能により人の存在が検知された時点で当該強制冷房を開始する機能とを有している。
【0039】
[第2の実施の形態の動作]
次に、
図6および
図7を参照して、本実施の形態にかかる空調制御装置10の動作について説明する。
空調制御装置10は、周期的に温度センサS1,S2の出力データを取得して熱画像生成部11で熱画像を生成するとともに、人検知部12における人検知動作を支援するため、
図6の強制冷房要否判定処理を実行する。
【0040】
まず、背景温度算出部13は、熱画像生成部11から熱画像を取得し(ステップ200)、この熱画像を構成する画素値を統計処理することにより、人の背景となる床や壁の背景領域に関する背景温度Tbを算出する(ステップ201)。
続いて、空調制御部14は、背景温度算出部13で算出した背景温度Tbと、予め設定されている、部屋RMに対する強制冷房の開始要否を判定するための判定温度Tjとを比較する(ステップ202)。
【0041】
ここで、Tb>Tjであり、背景温度Tbが判定温度Tjを上回っている場合(ステップ202:YES)、空調制御部14は、人検知部12に対して高精度人検知機能への切り替えを指示する(ステップ203)。
これにより、人検知部12は、熱画像生成部11から取得した熱画像について、高精度人検知機能を用いて、時系列で蓄積した各熱画像のそれぞれから検索した人領域の移動有無に基づき人の在/不在を検知する(ステップ204)。
【0042】
ここで、人の存在が検知された場合(ステップ205:YES)、空調制御部14は、背景温度Tbを低下させるための強制冷房の開始を、通信回線L2を介して空調機21,22,23,24さらには空調設備20に指示し(ステップ206)、一連の強制冷房要否判定処理を終了する。
一方、ステップ202においてTb≦Tjであり、背景温度Tbが判定温度Tj以下である場合(ステップ202:NO)、およびステップ205において、人の存在が検知されなかった場合(ステップ205:NO)、空調制御部14は、強制冷房の開始を指示することなく、一連の強制冷房要否判定処理を終了する。
【0043】
したがって、
図7に示すように、時刻t0に、背景温度Tb>判定温度Tjとなった時点で、部屋RMに対する強制冷房を開始するのではなく、人検知部12に対して高精度人検知機能への切り替えが指示され、続く時刻t1に高精度人検知機能により人の存在が確認された時点で、部屋RMに対する強制冷房が開始される。
これにより、部屋RMの床や壁が強制冷房により冷却され、その後の時刻t2に、背景温度Tbが判定温度Tj以下へ低下する。したがって、熱画像において背景温度と人の表面温度との温度差が十分程度大きくなり、両者の区別がつきやすくなるため、在室者の在/不在を正確に検知することが可能となる。
【0044】
[第2の実施の形態の効果]
このように本実施の形態は、空調制御部14が、背景温度Tbが判定温度Tjを上回った時点で、人検知部12に対して高精度人検知機能への切り替えを指示し、この高精度人検知機能により人の存在が検知された時点で強制冷房を開始するようにしたものである。
この際、高精度人検知機能は、複数の熱画像を用いた人検知であるため、低精度検知機能に比較して検知所要時間が長くなるものの、背景温度Tbが人の表面温度とわずかな温度差しかない場合でも正確に人の在/不在を判定できる。
【0045】
このため、背景温度Tbが判定温度Tjを上回った場合、人の存在が確認された時点で初めて強制空調が開始され、人の存在が確認できなかった場合には強制空調の開始が見送られる。したがって、第1の実施の形態のように、背景温度Tbが判定温度Tjを上回った時点で強制空調を開始する場合と比較して、人の存在が確認された場合にのみ強制空調を開始することができ、部屋RMに人がいないにもかかわらず強制空調を行うという無駄を回避することができる。
【0046】
[第3の実施の形態]
次に、
図8および
図9を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる空調制御装置10について説明する。
図8は、第3の実施の形態にかかる強制冷房要否判定処理を示すフローチャートである。
図9は、第3の実施の形態にかかる強制冷房要否判定処理を示すタイミングチャートである。
【0047】
第1の実施の形態では、背景温度Tbが判定温度Tjを上回った時点(Tb>Tj)で、背景温度Tbを低下させるための強制冷房を開始する場合を例として説明した。本実施の形態では、Tb>Tjとなっており、かつ、部屋RMに対する人の入室が外部から通知されている場合、強制冷房を開始する場合について説明する。
【0048】
本実施の形態において、空調制御装置10には、部屋RMにおける人の入退室を管理する入退室管理システム(図示せず)から、部屋RMに対する人の入室が通知される場合を前提としている。この入退室管理システムは、例えば、部屋RMの入口に設置したカード端末で利用者のIDカードから読み取った利用者情報に基づき部屋RMの入室可否を判定し、入室可の判定に応じて入口ドアの電気錠を開錠する一般的なシステムである。
空調制御部14は、背景温度が判定温度を上回っており、かつ、部屋RMに対する人の入室が外部から通知されている場合、強制冷房を開始する機能を有している。
【0049】
[第3の実施の形態の動作]
次に、
図8および
図9を参照して、本実施の形態にかかる空調制御装置10の動作について説明する。
空調制御装置10は、周期的に温度センサS1,S2の出力データを取得して熱画像生成部11で熱画像を生成するとともに、人検知部12における人検知動作を支援するため、
図8の強制冷房要否判定処理を実行する。
【0050】
まず、背景温度算出部13は、熱画像生成部11から熱画像を取得し(ステップ300)、この熱画像を構成する画素値を統計処理することにより、人の背景となる床や壁の背景領域に関する背景温度Tbを算出する(ステップ301)。
続いて、空調制御部14は、背景温度算出部13で算出した背景温度Tbと、予め設定されている、部屋RMに対する強制冷房の開始要否を判定するための判定温度Tjとを比較する(ステップ302)。
【0051】
ここで、Tb>Tjであり、背景温度Tbが判定温度Tjを上回っている場合(ステップ302:YES)、空調制御部14は、外部から部屋RMへの人の入室が通知されているか確認する(ステップ303)。
ここで、外部から部屋RMへの人の入室が通知されている場合(ステップ303:YES)、空調制御部14は、背景温度Tbを低下させるための強制冷房の開始を、通信回線L2を介して空調機21,22,23,24さらには空調設備20に指示し(ステップ304)、一連の強制冷房要否判定処理を終了する。
【0052】
一方、ステップ302においてTb≦Tjであり、背景温度Tbが判定温度Tj以下である場合(ステップ302:NO)、およびステップ303において、人の入室が通知されていない場合(ステップ303:NO)、空調制御部14は、強制冷房の開始を指示することなく、一連の強制冷房要否判定処理を終了する。
【0053】
したがって、
図9に示すように、時刻t0に、背景温度Tb>判定温度Tjとなった時点で、部屋RMに対する強制冷房を開始するのではなく、続く時刻t1に外部から部屋RMへの人の入室が通知された時点で、部屋RMに対する強制冷房が開始される。
これにより、部屋RMの床や壁が強制冷房により冷却され、その後の時刻t2に、背景温度Tbが判定温度Tj以下へ低下する。したがって、熱画像において背景温度と人の表面温度との温度差が十分程度大きくなり、両者の区別がつきやすくなるため、在室者の在/不在を正確に検知することが可能となる。
【0054】
[第3の実施の形態の効果]
このように本実施の形態は、空調制御部14が、背景温度Tbが判定温度Tjを上回っており、かつ、部屋RMに対する人の入室が外部から通知されている場合に、強制冷房を開始するようにしたものである。
このため、背景温度Tbが判定温度Tjを上回った場合、人の存在が外部通知により確認された時点で初めて強制空調が開始され、人の存在が確認できなかった場合には強制空調の開始が見送られる。したがって、第1の実施の形態のように、背景温度Tbが判定温度Tjを上回った時点で強制空調を開始する場合と比較して、人の存在が確認された場合にのみ強制空調を開始することができ、部屋RMに人がいないにもかかわらず強制空調を行うという無駄を回避することができる。
【0055】
[第4の実施の形態]
次に、
図10および
図11を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかる空調制御装置10について説明する。
図10は、第4の実施の形態にかかる強制冷房要否判定処理を示すフローチャートである。
図11は、第4の実施の形態にかかる強制冷房要否判定処理を示すタイミングチャートである。
【0056】
第1の実施の形態では、背景温度Tbが判定温度Tjを上回った時点(Tb>Tj)で、背景温度Tbを低下させるための強制冷房を開始する場合を例として説明した。本実施の形態では、部屋RM付近の背景温度を低下させるための部分冷房を常時行い、当該入口付近で人の存在が検知された時点で強制冷房を開始する場合について説明する。
【0057】
本実施の形態は、空調制御部14が、部屋RMのうち入口付近における背景温度を低下させるための部分冷房を常時行う機能と、人検知部12により当該入口付近で人の存在が検知された時点で強制冷房を開始する機能とを有している。
【0058】
[第4の実施の形態の動作]
次に、
図10および
図11を参照して、本実施の形態にかかる空調制御装置10の動作について説明する。
空調制御装置10は、周期的に温度センサS1,S2の出力データを取得して熱画像生成部11で熱画像を生成するとともに、人検知部12における人検知動作を支援するため、
図10の強制冷房要否判定処理を実行する。この際、空調制御部14は、予め部屋RMのうち入口付近における背景温度を低下させるための部分冷房を常時行っているものとする。
【0059】
まず、人検知部12は、熱画像生成部11で生成された熱画像を取得し(ステップ400)、部屋RMの入口付近の領域について、人の背景となる床や壁の背景領域に関する背景温度より高い、人の表面温度を示す人領域を検索することにより、部屋RM内における人の在/不在や位置を検知する(ステップ401)。
これに応じて、空調制御部14は、人検知部12で得られた検知結果に基づいて、部屋RMの入口付近で人の存在が検知された否か確認する(ステップ402)。
【0060】
ここで、部屋RMの入口付近で人の存在が検知された場合(ステップ402:YES)、空調制御部14は、背景温度Tbを低下させるための強制冷房の開始を、通信回線L2を介して空調機21,22,23,24さらには空調設備20に指示し(ステップ403)、一連の強制冷房要否判定処理を終了する。
一方、部屋RMの入口付近で人の存在が検知されなかった場合(ステップ402:NO)、空調制御部14は、強制冷房の開始を指示することなく、一連の強制冷房要否判定処理を終了する。
【0061】
したがって、
図11に示すように、時刻t0に、部屋RMの入口付近で人の存在が検知された時点で、部屋RMに対する強制冷房が開始される。
これにより、部屋RMの床や壁が強制冷房により冷却され、その後の時刻t1に、背景温度Tbが判定温度Tj以下へ低下する。したがって、熱画像において背景温度と人の表面温度との温度差が十分程度大きくなり、両者の区別がつきやすくなるため、在室者の在/不在を正確に検知することが可能となる。
【0062】
[第4の実施の形態の効果]
このように本実施の形態は、空調制御部14が、部屋RMのうち入口付近における背景温度を低下させるための部分冷房を常時行い、人検知部12により当該入口付近で人の存在が検知された時点で強制冷房を開始するようにしたものである。
これにより、入口付近については背景温度Tbが常時低下しているため、常に人の表面温度との温度差があり、人検知部12により人の在/不在が正確に検知される。したがって、部屋RM全体の強制冷房については、入口付近で人の存在が確認された時点で開始されるため、部屋RMに人がいないにもかかわらず強制空調を行うという無駄を回避することができる。
【0063】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。