【課題を解決するための手段】
【0005】
弾性板による球体を弾き上げる装置の主要部を構成する弾性板構造2について
図1によって説明する。
【0006】
図1(a)は弾性板構造2の平面図、
図1(b)はその側面図、
図1(c)はスライド固定板4位置の断面図である。水平支持材(
図1の斜線部材)の上に前記水平支持材より外側にはみだす幅広の拡幅材4aが固定され、弾性板2aを水平状に挟み込んだ上下2枚のスライド固定板4が拡幅材4aのはみ出し部にクリップ4bの締め付けによって固定され、弾性板2aは片持ち梁構造になる。弾性板2aの固定位置から自由端までの長さや左右の位置については、球体1を効率よく弾き出すことができるように調整してスライド固定板4がクリップ4bの締め付けによって固定される。又、弾性板2aの自由端には下向きに作用する力を受ける当接部2cと、当接部2cに近接して球体1が弾性板2aからはみ出さないように保持する仕切り枠2bが設けられる。当接部2cは他の部材が上から当る下向きの力を受けることができる構造であればよい。
【0007】
図2(a)は弾性板構造2(
図2(a)の点線の囲み部分)の仕切り枠2bの間に球体1を置いて水平状に固定した弾性板2aの状態を実線で示し、弾性板2aの自由端の当接部2cに下向きの外力Fを作用させ、弾性板2aを下方に撓ませた状態を一点鎖線で示している。
図2(b)は、放物線状に撓ませた状態の弾性板2aから、自由端の当接部2cに作用していた外力Fを外した状態を実線で示し、外力Fを外すと同時に、弾性板2aが上方に跳ね返り、弾性板2aの仕切り枠2b内に置いた球体1が空中に弾き飛ばされた状況を一点鎖線で示している。
【0008】
図2で示した弾性板2aの自由端の当接部2cに作用する外力Fは、
図3で説明する方法によって行われる。
【0009】
図3で示す球体を弾き上げる装置Aは、
図1で説明した弾性板構造2と駆動回転体6から構成されている。駆動回転体6は駆動回転体6を回転させる駆動軸5aと駆動回転体6の外周に設けられた突起6aにより構成されている。駆動軸5aの回転により駆動回転体6が回転すると突起6aが弾性板2aの当接部2cに上から当接し(
図3の実線参照)、弾性板2aは下方に撓むが、駆動回転体6がさらに回転して突起6aが当接部2cから外れると(一点鎖線参照)、
図2で説明したように弾性板2aは上方に跳ね返る。駆動軸5aはゴム紐と接続されていて、捩じったゴム紐の戻りにより回転するようになっている。
【0010】
図3で示した球体1を弾き上げる装置Aの突起6aは、駆動回転体6の1回転毎に弾性板2aの当接部2cに当接する。通常ゴム紐の戻り回転速度は速く、球体1を弾き飛ばすための速度としては速すぎるため、回転速度を遅くする減速処置がとられ、例えばゴム紐の回転速度の2分の1に駆動回転体6の回転速度を減速させると、50回のゴム紐の捩じりに対し、突起7aはゴム紐を捩じった回数の2分の1の25回弾性板2aに当接し、球体1を25回上方に弾き出すことができる。この弾き上げる回数は、以下に示す弾き上げる装置BとCとの違いを説明するための算定であり実際とは多少相違する。
【0011】
図4で示す球体を弾き上げる装置Bは、
図1で説明した弾性板構造2と1本の突起6aを有する
図3で説明した駆動回転体6、駆動回転体6の回転の停止とその解除をするための制止板構造8(
図4の点線の囲み部分)、から構成されている。制止板構造8は「特許第6105801号」を適用したもので、駆動回転体6の外周に近接して設置され、制止板8aと、制止板8aを回転可能に固定する回転軸8bを有し、制止板8aは回転軸8bの一方側の停止部8fと他方側の操作部8e(W矢印参照)を備えている。又制止板構造8は当接する突起を停止させることができるように操作部8eを引張するゴム紐8cと、制止板8aの停止部8fが駆動回転体の回転と逆方向には回転できないようにするための止め具8dを備えている。
【0012】
図4で示す駆動回転体6は、駆動回転体6の突起6aが制止板構造8の制止板8aの停止部8fに当接し停止させられている(実線参照)。駆動回転体6を回転させるために制止板構造8の操作部8eを押し下げ力Wで押し下げ、制止板8aを駆動回転体6の回転と同方向に回転させ、突起6aとの当接を外すと、駆動回転体6は回転を始める(一点鎖線参照)。駆動回転体6の回転により突起6aが弾性板2aの当接部2cに上から当接し(弾性板2aの実線参照)、弾性板2aは一旦下方に撓むが駆動回転体6の更なる回転により突起6aは当接部2cから外れる(弾性板2aの一点鎖線参照)。突起6aが外れると
図2で説明したように弾性板2aは上方へ跳ね返り、弾性板2aの上の球体1が上方に弾き出される。回転を続ける駆動回転体6は制止板8aの停止部8fに当接し回転が停止させられる。弾き上げたい時に制止板8aの操作部8eに押し下げ力Wを作用させることにより駆動回転体6を回転させて球体1を上方に高く弾き出すことができる。
【0013】
図4で示す球体を弾き出す装置Bでは、駆動回転体6の1回転毎に突起6aが弾性板2aの当接部2cに当接する。従って、例えばゴム紐を50回捩じると、駆動回転体6も50回転し、突起6aは50回弾性板2aに当接して、球体1を50回上方に弾き出すことができる。
【0014】
図5乃至
図7を用いて球体を弾き上げる装置Cを説明する。装置Cは
図1で説明した弾性板構造2と、180度の間隔で弾性板構造2の当接部2cには届かない短い長さの2本の突起6aを有する
図3で説明した駆動回転体6と、以下で説明する自由回転体7と、駆動回転体6を制止するための二股制止板構造9(
図5の点線の囲み部分)と、から構成されている。
【0015】
駆動回転体6の短い突起6aには、自由回転側方向に突き出す回転翼10が直角に固定されている。この回転翼10は駆動回転体6の回転方向には自由に曲がるが反対方向には曲がらない仕組みになっている。
【0016】
自由回転体7は、駆動軸5aの外周を自由に回転できる自由回転軸5bに固定され、その外周には突起6aより長く弾性板構造2の当接部2cに届く長さの長突起7aが固定され、この長突起7aの端部には錘7bが接着されている。
【0017】
二股制止板構造9は、
図6の斜視図で示すように、駆動回転体6の回転方向後側に配置された停止用制止板9aと、間隔を設けて駆動回転体6の回転方向前側に配置された回転作動板9fとから構成されている。
【0018】
停止用制止板9aは、下側の長方形状の本体板状部9gと、この本体板状部9gの上端の駆動回転体6側に上方向に延びるように一体的に形成された停止板部9hから構成され、本体板状部9gの上端の自由回転体7側に通過スペース9iを有している。停止用制止板9aの本体板状部9gの上端側には回転軸9bが固定され、本体板状部9gの下端部にはこの本体板状部9hが駆動回転体6と反対方向に回転するようにゴム紐9cが設けられ、この本体板状部9gが回転しすぎないように本体板状部9gの下端部に当接するストッパ9dが設けられている。
【0019】
回転作動板9fは、停止用制止板9aの通過スペース9iに対応するように配置され、回転作動板9fの上端は停止用制止板9aの上端よりも多少上側に突出している。回転作動板9fの下端部は、本体板状部9gの通過スペース9i側の上端部と連結材9eにより接続されている。
【0020】
突起6aの可変翼10は
図7aに示すように、下層ゴム材10aと上層硬質材10bの2層からなり、下層ゴム材10aと上層硬質材10bの先端部は接着されていて接着部10cをなしている。可変翼10は駆動軸5aと平行に、下層ゴム材10aは突起6aと直角に固定されている。可変翼10は自由回転体7の長突起7aの回転軌跡上に在り(
図7a参照)回転してくる長突起7aは可変翼10に当接するが(
図7b参照)、可変翼10は長突起の通過方向に折れるため(
図7c参照)、長突起7aの通過を妨げない。長突起7aが通過すると可変翼10は元の状態(
図7a参照)に戻るが上層硬質材10bによって反対方向には折れないようになっている。
【0021】
図5に示すように、回転中の駆動回転体6の一方の突起6aが停止用制止板9aに当接すると駆動回転体6の回転は停止する(
図7a参照)。駆動回転体6が停止しても、自由回転体7の回転は続き、長突起7aは弾性板2aの当接部2cに当接し、更に停止している一方の突起6aの可変翼10に当接するも(
図7b参照)可変翼10を進行方向に曲げて通過し、回転作動板9fに当接する(
図7c参照)。
【0022】
長突起7aの回転作動板9fへの当接により二股制止板構造9には、一方の突起6aによる押圧力と長突起7aによる当接力が合算される。この合算力により二股制止板構造9は回転軸9bを中心にして駆動回転体6と同方向に回転する(
図5の1点鎖線及び
図7d参照)。この結果一方の突起6aの停止が解除され、突起6aの回転が始まり、元の状態に戻っている可変翼10(
図7a参照)によって、回転力が落ちた長突起7aを後ろから押し上げる係合作用が始まる。
【0023】
駆動回転体6が回転し係合した一方の突起6aと長突起7aが頂点に達すると、他方の突起6aが二股制止板構造9の停止用制止板9aに当接し停止するため駆動回転体6が停止し、頂点に達した一方の突起6aの回転も停止させられるが、既に頂点まで押し上げられた長突起7aが錘7bの慣性と重力によって下方へ落下する性状を有することにより自由回転体7は自由回転に移行し、長突起7aは弾性板2aの当接部2cに上から当接し、弾性板2aを撓ませて通過して球体1を跳ね上げて二股制止板構造9の回転作動板9fに達する。駆動回転体6の半回転で自由回転体7は1回転する。従って、例えばゴム紐を50回捩じると、自由回転体7は倍の100回の回転が出来、自由回転体7の長突起7aは100回弾性板2aに当接し、球体1を100回上方に弾き出すことができる。
【0024】
以上3種類の球体を弾き上げる装置AとB,Cについてまとめると、球体を弾き上げる装置Aは、駆動回転体が回転する毎に連続して球体を跳ね上げるのに対して、球体を弾き上げる装置Bは、駆動回転体が1回転する毎に停止と再回転を繰り返して球体を跳ね上げ、球体を弾き上げる装置Cは、駆動回転体が半回転毎に停止と再回転を繰り返して球体を跳ね上げるという特徴が有る。この結果、駆動回転体6を駆動させるゴム紐の捩じり回数に対して、2分の1に減速した弾き上げる装置Aによる球体を跳ね上げる数を1とすると、弾き上げる装置Bではその2倍、弾き上げる装置Cではその4倍になる。