(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  このような風車は、落下してきた遊技球を受け止める複数の羽根を軸受け部の外周に備えており、羽根が落下球を受け止めることで風車が回転するようになっている。風車が回転すると、落下球に対する羽根の角度が不定となるので、風車に対して同じ位置に遊技球が落下しても、該遊技球を多様な方向及び速度で誘導することが出来、遊技球の落下の方向に変化を及ぼす構成としては極めて顕著な効果を奏する装置である。このような効果は、風車が円滑に回転することにより奏し得るものである。
  ところで、このように風車を円滑に回転させるためには、基本的に、風車釘と該風車釘が挿通される軸孔(挿通路、挿通孔)とが、好適な所謂「はめあい公差」に基づいて構成される必要がある。つまり、風車釘と軸孔(挿通路、挿通孔)の隙間が、過度に大きい場合には、回転する風車の回転中心が大きく偏心して(ぶれて)しまい、円滑に回転することが出来ない。よって、風車釘と軸孔(挿通路、挿通孔)の隙間を、適度に小さく設定する必要がある。
  しかしながら、このように風車釘と軸孔(挿通路、挿通孔)の隙間を適度に小さく設定した風車であっても、一定期間稼働させると、風車の回転により風車釘や軸孔(挿通路、挿通孔)の内璧が摩耗して発生した粉塵や、遊技領域を飛び交う埃などが、前記隙間に堆積して目詰まりを起こし、円滑な回転を実現出来る期間を長期間維持することが出来なかった。
  本願発明は係る課題に鑑みなされたものであって、円滑な回転を長期間に亘って維持することが可能な風車を具備してなる弾球遊技機を提供することを目的とした。
 
【課題を解決するための手段】
【0005】
  上記課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、遊技盤の遊技領域を落下する遊技球の落下方向に影響を及ぼす風車を備えた弾球遊技機に関するものである。
【0006】
  この弾球遊技機の、風車は、遊技領域に前後方向に沿って植設される風車釘と、風車釘により回動可能に軸支される回動部とを備え、回動部は、風車釘が挿通可能な挿通孔を、前端部に開設された入口から後端部に開設された出口に亘って貫設してなる軸受筒状部と、該軸受筒状部の外周に放射状線上に延設された複数の羽根部と、軸受筒状部の前端部に直交して設けられる装飾円板部と、で構成される。
  さらに、挿通孔の内周面には、
内周面から軸受筒状部の外周面まで貫通してなる粉塵収容部が設けられる。
【0007】
  このように構成することにより、風車の風車釘と挿通孔の隙間を適度に小さく設定して、一定期間稼働させたとしても、風車の回転により風車釘や挿通孔の内周面が摩耗して発生した粉塵や、遊技領域を飛び交う埃などは、粉塵収容部に堆積し、前記隙間に堆積して目詰まりを起こすことが無いため、円滑な回転を実現出来る期間をより長期間維持することが可能となる。
  また、粉塵等を収容する粉塵収容部を、挿通孔の内周面に設けるので、風車の回転によって発生する遠心力で、回転中心から内周面より外側に向かって形成される粉塵収容部に、粉塵は変位して容易に収納可能となる。さらに、収納された粉塵は、前記遠心力によって粉塵収容部の最外側方向に向かって押しつけられ、強固に押し固められるので、前記隙間に逆流して目詰まりの原因となる危険性が低下する。
【0008】
  また、粉塵収容部は、風車の回転軸方向に沿って溝状に条設される構成が好適である。このように構成することで、軸受筒状部をプラスチック等で成形する場合には、加工を容易とすることが出来、コストダウンを図ることが可能となる。
【0009】
  また、粉塵収容部は、風車の回転中心から放射状線上に、複数箇所且つ均等な割り出し角度の位置に設ける構成が好ましい。これにより、風車の重心と回転中心とが一致するので、円滑な回転を実現し易くなる。但し、1箇所だけ設ける方法を採用しても構わない。
【0010】
  また、粉塵収容部は、挿通孔の入口又は出口から内部に進むに従って、回転中心から外側方向に向かって深く形成されるようにしても良い。このようにすることで、粉塵収容部が収容可能な容積が増加し、より多くの粉塵を収容できるので、更に長期間に亘って円滑な回転を維持することが可能となる。
【0011】
  また、粉塵収容部を溝状に形成する場合、挿通孔の入口から出口に向かって、螺旋状に形成するようにしても良い。このように構成することで、挿通孔の入口から出口に向けた直線状に形成される場合よりも、溝の全長が長くなることで、粉塵収容部が収容可能な容積が増加し、より多くの粉塵を収容できるので、更に長期間に亘って円滑な回転を維持することが可能となる。加えて、螺旋状に形成することで、粉塵収容部の溝状の形成が開始されるエッジと、風車釘との接する角度が、螺旋の角度となるため、抵抗が少なく引っ掛かることが無いことから、より円滑な回転を実現できる。
【0012】
  また、粉塵収容部は、挿通孔の入口又は出口に向かって連続した構成でなくても良い。例えば、断続的に構成されていても良い。また、挿通孔の入口付近だけ、或いは出口付近だけに設けるようにしても良い。また、入口付近及び出口付近だけに設けるようにしても良い。逆に、入口付近及び出口付近を除く部分にだけに設けるようにしても良い。粉塵収容部の設置箇所は、適宜、設定し得る。このようにすることで、粉塵収容部が粉塵を効果的に収納することが出来る箇所に自由に設定することが可能で、設計に自由度が向上する。
【0013】
  また、粉塵収容部を挿通孔の入口又は出口に向かって連続しない構成とした場合、例えば、挿通孔の内周面に所定の面積及び形状で凹部形成された複数の粉塵収容部を、点在させることも考えられる。このように構成しても、本発明の効果を奏することができる。
  さらに、このように粉塵収容部を挿通孔の入口又は出口に向かって連続しない構成とした場合、所定の深さで底付きに形成するのではなく、そのまま軸受筒状部の外周面まで貫通して設けるようにしても良い。これにより、粉塵を風車の外部へ排出するので、風車釘と挿通孔の隙間に目詰まりすることがない。また、相当長期間に亘って稼働しても、粉塵収容部に粉塵が満杯になって逆流することがない。
【0014】
  なお
、軸受筒状部は、少なくとも挿通孔の入口に前側凸部、又は挿通孔の出口に後側凸部を備えるようにしても良い。
【0015】
  このようにすることで、風車釘の首の部分が、挿通孔の入口に設けられた前側凸部に当接するので、軸受筒状部の前端部全体が当接するよりも、風車の回転による摩擦力が軽減され、円滑な回転を維持し易くすることができる。または、遊技領域の表面が、挿通孔の出口に設けられた後側凸部に当接するので、軸受筒状部の後端部全体が当接するよりも、風車の回転による摩擦力が軽減され、円滑な回転を維持し易くすることができる。
  また、前側凸部と後側凸部の両方を備えることで、更に上記効果を奏し易くなる。
【0016】
  なお
、軸受筒状部は、前端部を含む第1軸受部材と、後端部を含む第2軸受部材とを備え、第1軸受部材を第2軸受部材の前側端部に圧入して形成され、挿通孔は、第1軸受部材に設けられると共に風車釘の軸径と略同一径で形成される第1挿通孔部と、第2軸受部材に設けられると共に風車釘の軸径と略同一径で形成される第2挿通孔部と、該第2挿通孔部よりも大きな径で形成される第3挿通孔部と、により構成しても良い。
【0017】
  このようにすることで、風車釘を第1挿通孔部と第2挿通孔部で支持し、第3挿通孔部では支持しないので、挿通孔の第3挿通孔部に係る部分は摩擦力が生じることがなく、円滑な回転を実現可能となる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0019】
  以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
 
【0020】
  [第一実施形態]
  先ず、  
図1を参照して第一実施形態の弾球遊技機としてのパチンコ機50の全体構成を説明する。
  なお、以下の各図面を参照した説明において、方向、向き、及び位置関係等を示す場合には、遊技機設置島に設置されて且つ遊技者に対向して位置するパチンコ機50(
図1に示す状態)を基準として、向かって右方向を、右、右側、右側方、右側方向、右方向等として説明する。
  また、向かって左方向を、左、左側、左側方、左側方向、左方向等として説明する。
  また、パチンコ機50(
図1に示す状態)を基準として、天井方向を、上、上側、上方、上方向等として説明する。
  また、パチンコ機50(
図1に示す状態)を基準として、床向を、下、下側、下方、下方向等として説明する。
  また、パチンコ機50(
図1に示す状態)を基準として、遊技者(手前)側の方向を、前、前側、前方、前方向、手前、手前側、手前側方向、表、表側、表方、表方向等として説明する。
  さらに、パチンコ機50(
図1に示す状態)を基準として、遊技機設置島の内部側の方向を、後、後側、後方、後方向、奥、奥側、奥方、奥方向、裏、裏側、裏方、裏方向等として説明する。
  このように、以下の図面説明では、個々に視点及び視座が変化しても、該規定した方向に関する用語に基づいて説明を行うものとする。なお、部位の説明等において、上記記載の用語に、「部」や「面」等の用語を複合して記載した場合でも、方向に関しては、無論、上記規定に遵うものである。
 
【0021】
  図1に示すように、第一実施形態の弾球遊技機としてのパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて各構成を保持する構造を有している。外枠51の左側上には、ヒンジ53bが、左側下にはヒンジ53aが設けられており、ヒンジ53a及び53bにより、板ガラス61が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)52及び該前枠52の後方に位置する内枠60が、外枠51に対し開閉可能に構成される。また、前枠52の板ガラス61の奥には、内枠60に保持された遊技盤101(
図2参照)が設けられている。
 
【0022】
  前枠52の上部の左右両側にはスピーカ66が設置されており、これらにより遊技音が出力され、遊技の趣向性を向上させる。また前枠52には、遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65のほか、遊技の異常を報知するLEDが設けられている。
 
【0023】
  前枠52の下部には、上皿55と下皿63とが一体に形成されている。また、下皿63の右側には発射ハンドル64が設けられており、該発射ハンドル64を時計回りに操作することにより発射装置が作動し、上皿55から供給された遊技球が遊技盤101に向けて発射される。
 
【0024】
  下皿63は、上皿55から溢れた賞球を受けるよう構成されており、球抜きレバーを操作することで、下皿63に溜まった遊技球を遊技店に備えられたドル箱に移すことができる。また、上皿55の中央には、演出ボタン67及びジョグダイヤル68が設けられている。
 
【0025】
  本パチンコ機50は、いわゆるCR機であり、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属されていると共に、上皿55の右側には球貸ボタン57,精算ボタン58,残高表示器59が設けられている。
 
【0026】
  なお、
図1の39は、前枠52及び前記内枠60を外枠51にロックするシリンダ錠であり、該シリンダ錠39に所定の鍵を挿入して鍵を時計回りに操作すると、内枠60が開放され、反時計回りに操作すると、前枠52が開放される。
 
【0027】
  また、パチンコ機50の前面且つ最下部には、横長平板状に形成され且つ図示意匠が施されてなる幕板54が設けられ、パチンコ機50の装飾性を向上させている。該幕板54は、外枠51の下部且つ前面に取付けられる。
 
【0028】
  また、
図2に示すように、遊技盤101には、レール102によって囲まれた略円形の遊技領域103が形成されている。遊技領域103の前面側には、その中央部にセンターケース105が装着され、センターケース105に向かって左横には、普通図柄作動ゲート117が設置されている。普通図柄作動ゲート117を遊技球が通過すると、普通図柄の当否抽選用の複数種類の乱数が抽出され、抽出された乱数に基づく当否判定(普通図柄抽選)が行なわれる。
 
【0029】
  センターケース105の直下には、遊技球の入球に起因して、特別図柄(特図とも記載)の変動表示を伴う大当り抽選が行われる第1始動口111及び第2始動口112が、上下に並んで配設されている。本パチンコ機50は、第1始動口111への入球と、第2始動口112への入球により変動する1つの特別図柄を備える。第1始動口111は、常時遊技球が入球可能に構成されているが、第2始動口112は、普通図柄抽選での当選により開放される普通電動役物として構成されており、開放時のみ入球可能となっている。
 
【0030】
  第1始動口111,第2始動口112に遊技球が入球すると、特図に対応する複数種類の乱数が抽出され、保留記憶として記憶される。
  普通電動役物として構成された第2始動口112は、普通図柄抽選での当選時に、所定時間の開放が行われる。
 
【0031】
  第2始動口112の下方には、大当り抽選で当ると行われる大当り遊技の際に開放される特別電動役物からなる大入賞口114が配設されている。また、遊技領域103における向かって左下の領域には、複数の一般入賞口131〜134が配設されている。
 
【0032】
  遊技盤101における向かって右下の領域には、7セグメントの特図表示装置41と、4個のLEDからなる特図保留数表示装置42と、2個のLEDからなる普通図柄表示装置43と、4個のLEDからなる普図保留数表示装置44が設置されている。
 
【0033】
  図2に示す遊技盤101のセンターケース105には、中央に演出図柄表示装置36(全体の図示は省略)のLCDパネルが配設され、LCDパネルの画面上では、演出図柄の変動表示や各種報知表示等を行うことで、特図に対応する大当り抽選の結果を報知する図柄演出や各種報知演出が行われる。
 
【0034】
  また、センターケース105には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージ等が設けられている。
  なお、遊技盤101の遊技領域103には多数の遊技釘104が植設されており、盤面最下部にはアウト口が設けられている。発射された遊技球は、遊技領域103に到達すると、遊技釘104等に衝突することで流下(落下)方向を変化させつつ、上記各種入賞口等に入球し、或いは入球しなかった場合には、アウト口に流入して機内に取り込まれるようになっている。
 
【0035】
  さらに、遊技盤101の遊技領域103の図示左側領域には、上記遊技釘104と同様に、遊技球の落下方向に変化を与える、風車70を備える。風車70は、本発明の要部を備えており、以下、風車70について説明する。
 
【0036】
  図3及び
図4を参照して、先ず、風車70の概略構成について説明する。
  
図3及び
図4(A)に示すように、風車70は、風車釘71と、該風車釘71に回動可能に枢設(軸支)される風車基体72と、該風車基体72の前面側に圧入して取り付けられると共に風車基体72の回動に伴い回動する前軸受部材73を備える。
 
【0037】
  風車釘71は、後で詳述するが、前軸受部材73の第1挿通孔部88及び風車基体72の第2挿通孔部77に挿通されて、遊技盤101の遊技領域103に対して前方から植設される。
 
【0038】
  風車基体72は、略筒形状に形成された後軸受部材74と、該後軸受部材74の外周面から外側方向に延設される3箇所の羽根部76と、該羽根部76及び後軸受部材74の前方位置にて後軸受部材74の前側端面部に対して直交するように設けられる略円板形状の装飾円板部75と、を備える。
 
【0039】
  本実施形態の3箇所の羽根部76は、
図3の正面図に示すように、略薄板状に形成されると共に風車70の回転軸芯を中心として割り出し角度を120度に均等割りした位置に設けられている。
 
【0040】
  また、本実施形態の装飾円板部75は、前面側の中央が後方に向かって擂り鉢状に形成されており、該擂り鉢状の底近傍に後軸受部材74の前側端部が露出するように構成されている。
 
【0041】
  図4(B)及び(C)を参照して、風車70の構成について、より具体的に説明すると共に、風車釘71、風車基体72及び前軸受部材73の組み立て手順も説明する。
  風車釘71は、略半球形状に形成される釘頭部71aと、該釘頭部71aの平面部から図示後方に向かって延設されると共に所定の軸径の略円柱形状に形成されてなる釘胴部71bとを備える。なお、釘胴部71bの後端部は略円錐形状に形成される。
 
【0042】
  前軸受部材73は、略段付筒状に形成される。具体的には、図示後端に圧入軸部85を備え、該圧入軸部85の図示前方に圧入軸部85の軸径より大きな外径で形成されるフランジ部86を備え、更に該フランジ部86の図示前方に前側に向かって突出して略リング形状に形成される第1凸部87を備える。
  さらに、前軸受部材73は、前後方向に沿って第1挿通孔部88が穿設されている。該第1挿通孔部88の内径は、風車釘71の釘胴部71bの前記所定の軸径よりも僅かに大きく、釘胴部71bが第1挿通孔部88の中で円滑に回転可能な大きさで形成されている。
 
【0043】
  風車基体72は、後軸受部材74の前側部分に、圧入孔部79が穿設されている。該圧入孔部79は、前記前軸受部材73の圧入軸部85の軸径より僅かに大きく、前軸受部材73を圧入軸部85に圧入して容易に抜け落ちることのない内径で形成されている。なお、圧入孔部79は、後述する第3挿通孔部80及び第2挿通孔部77に連通しており、後軸受部材74は前後方向に風車釘71が挿通可能となっている。
  風車基体72を左後方から視た図である
図4(C)を参照して、風車基体72の後側部分の構成について説明する。上述した後軸受部材74の後端部には、更に後側に向かって、突出して略リング形状に形成される第2凸部92を備える。
  さらに、後軸受部材74は、前後方向に沿って、上述した第2挿通孔部77が穿設されている。該第2挿通孔部77の内径は、風車釘71の釘胴部71bの前記所定の軸径よりも僅かに大きく、釘胴部71bが第2挿通孔部77の中で円滑に回転可能な大きさで形成されている。
 
【0044】
  このような概略構成でなる風車釘71、風車基体72及び前軸受部材73は、次のような組み立て手順により組み付けられることで風車70を形成する。
  すなわち、
図4(B)を参照すると、先ず前軸受部材73の圧入軸部85を、風車基体72の圧入孔部79に対して前方から圧入する。次いで、風車釘71の釘胴部71bの円錐状に形成された後端部を、前軸受部材73の第1挿通孔部88から、後述する第3挿通孔部80を介して、後軸受部材74の第2挿通孔部77に挿通し、後方に突き出すことで、
図4(A)の風車70の状態に組み付けることが可能となっている。
  また、このように風車70が組み付けられた状態において、風車釘71が挿通されると共に上述した第1挿通孔部88、第3挿通孔部80及び第2挿通孔部77で構成される挿通孔は、前軸受部材73の前端部すなわち第1凸部87の前側端面に形成される挿通孔入口90を始点として、後軸受部材74の後端部すなわち第2凸部92の後側端面に形成される挿通孔出口91を終点として、構成される。
  なお、このように組み付けられた状態で、風車釘71の釘胴部71bの円錐状に形成された後端部を、遊技盤101の遊技領域103の前方から後方に向かって植設することで、風車70が遊技盤101に配設されるようになる(
図6参照)。
 
【0045】
  本実施形態の風車70は、以上説明したような概略構成を備えるものであるが、次に本発明の要部である第1粉塵収容部89、第2粉塵収容部78、第1凸部87及び第2凸部92の具体的な構成について、
図5を参照して説明する。なお、第1凸部87及び第2凸部92の概略構成は、既に説明しているので、より詳細な構成について説明する。
  
図5(A)は、前軸受部材73の正面図及び側面図であり、
図5(B)は、後軸受部材74の後端部の側面図及び背面図である。
  
図5(A)に示すように、前軸受部材73は、前方視中央に上述した第1挿通孔部88が、前方から後方に向かって貫通して設けられている。前軸受部材73の前側端面部、換言すれば第1凸部87の前側端面部には第1挿通孔部88の入口となる挿通孔入口90が形成される。
 
【0046】
  また、前軸受部材73は、前方視第1挿通孔部88よりも外側に向けて4箇所の第1粉塵収容部89が設けられている。具体的には、4箇所の第1粉塵収容部89は、前軸受部材73の回転中心から上下左右(割り出し角度を均等に90度とする)の放射状線上に沿った位置に、且つ前軸受部材73の前端から後端に亘って直線状の溝形状に条設されてなる。本実施形態では、溝形状の深さは一定に形成されている。
 
【0047】
  さらに、前軸受部材73は、上述したように、フランジ部86の前端面から更に前方に向かって突出する第1凸部87が突設されてなる。上述したように、第1凸部87は、略リング形状に形成されている。また、本実施形態の第1凸部87は、前軸受部材73の回転中心から第1粉塵収容部89の溝形状の底部までの長さよりも大きな半径で形成される。つまり、前方視した場合、第1凸部87の円形領域の内部に、4箇所の第1粉塵収容部89及び第1挿通孔部88が設けられる。
  更に第1凸部87の大きさ(外径)について詳述する。第1凸部87の外径は、組み付け状態にて該第1凸部87の前側端面が当接する釘頭部71aの平面部(首部分)の外径よりも小さく形成されている(
図6参照)。
  なお、第1粉塵収容部89を備えない実施例の場合には、第1凸部87の外径は、釘頭部71aの平面部(首部分)の外径よりも小さく且つ、第1挿通孔部88の外径よりも大きく形成されることが好ましい。
 
【0048】
  図5(B)に示すように、風車基体72の後軸受部材74は、後方視中央に上述した第2挿通孔部77が、後方から前方に向かって貫通して設けられている。後軸受部材74の後側端面部、換言すれば第2凸部92の後側端面部には第2挿通孔部77の出口となる挿通孔出口91が形成される。
  また、第2挿通孔部77は、第2凸部92の後側端面部から図示所定の深さで前方に向かって形成され、第2挿通孔部77に連通して更に前方に向かって僅かに広がるテーパ状に第3挿通孔部80が設けられている。第3挿通孔部80の内径は、第2挿通孔部77の内径よりも大きく、換言すれば釘胴部71bの前記所定の軸径よりも大きく形成されてなる。上述したように、第3挿通孔部80は、さらに前方の圧入孔部79に連通している。
 
【0049】
  また、後軸受部材74は、後方視第2挿通孔部77よりも外側に向けて4箇所の第2粉塵収容部78が設けられている。具体的には、4箇所の第2粉塵収容部78は、後軸受部材74の回転中心から上下左右(割り出し角度を均等に90度とする)の放射状線上に沿った位置に、且つ後軸受部材74の後端から前方に向けて(第2挿通孔部77の前端まで)直線状の溝形状に条設されてなる。本実施形態では、溝形状の深さは一定に形成されている。
 
【0050】
  さらに、後軸受部材74は、後端面から更に前方に向かって突出する第2凸部92が突設されてなる。上述したように、第2凸部92は、略リング形状に形成されている。また、本実施形態の第2凸部92は、後軸受部材74の回転中心から第2粉塵収容部78の溝形状の底部までの長さよりも大きな半径で形成される。つまり、後方視した場合、第2凸部92の円形領域の内部に、4箇所の第2粉塵収容部78及び第2挿通孔部77が設けられる。
  組み付け状態にて該第2凸部92の後側端面は、遊技領域103の前面部に当接する(
図6参照)。
  なお、第2粉塵収容部78を備えない実施例の場合には、第2凸部92の外径は、第2挿通孔部77の外径よりも大きく且つ後軸受部材74の外径より小さく形成されることが好ましい。
 
【0051】
  次に、本実施形態の風車70の作用について、
図6を参照して説明する。
図6は、風車70を遊技盤101に配設した状態を示す概略断面図である。
  風車70は、遊技領域103の前方且つ上方から流下してくる遊技球(図示しない)が羽根部76に衝突すると、釘胴部71bに枢設されて時計回り又は反時計回りに回転して、遊技球の落下方向を変更する。このように風車70が回転すると、釘胴部71bと第1挿通孔部88又は第2挿通孔部77との摩擦により発生する粉塵や、釘頭部71aの平面部(首部分)と第1凸部87の前側端部との摩擦により発生する粉塵や、遊技領域103の前面部と第2凸部92の後側端部との摩擦により発生する粉塵や、遊技領域103の前側且つ板ガラス61の後側に形成される空間を浮遊する埃等が、釘胴部71bと第1挿通孔部88又は第2挿通孔部77の隙間に入り込む。このような粉塵や埃は、回転による振動等によって、第1粉塵収容部89や、第2粉塵収容部78へ変位し、ここに収容される。
  収容された粉塵等は、風車70の回転による遠心力で外側すなわち釘胴部71bと第1挿通孔部88又は第2挿通孔部77の隙間から離隔した位置に変位し、堆積する。
  堆積した粉塵は、さらに遠心力により固められることで、容易に前記隙間の方向に向かって逆流し難くなる。
  ゆえに、前記隙間に粉塵等が目詰まりすることなく、円滑な回転をより長期間に亘って持続することができる。
 
【0052】
  また、第1凸部87の外径は、釘頭部71aの平面部(首部分)の外径よりも小さく形成されているので、両者が回転により当接しても平面部の全体が摩擦するよりも小さな摩擦力しか発生しないため、円滑な回転をより長期間に亘って持続することができる。
 
【0053】
  また、第2凸部92の外径は、第2挿通孔部77の外径よりも大きく且つ後軸受部材74の外径より小さく形成されているので、第2凸部92の後端部と遊技領域103の表面とが回転により当接しても、後軸受部材74の外径で形成される端面が摩擦するよりも小さな摩擦力しか発生しないため、円滑な回転をより長期間に亘って持続することができる。
 
【0054】
  さらに、釘胴部71bを支持する風車70の軸受筒状部を、後軸受部材74と前軸受部材73で構成し、風車70の釘の挿通孔を、前方から後方に向けて、釘胴部71bの軸径と略同一で僅かに大きな内径で形成される第1挿通孔部88、次いで、釘胴部71bの軸径よりも(第2挿通孔部77の内径よりも)大きく形成される第3挿通孔部80、次いで、釘胴部71bの軸径と略同一で僅かに大きな内径で形成される第2挿通孔部77、で構成する。これにより、挿通孔部の内の第3挿通孔部80に係る部位は、摩擦が生じず、円滑な回転をより長期間に亘って持続することができる。また、軸受筒状部を、後軸受部材74と前軸受部材73で構成するので、前端と後端でのみ支持する構成を、容易に形成できる。
 
【0055】
  [変形例]
  
図7を参照して本発明の変形例について説明する。本変形例は、上述した第一実施形態の構成とほぼ同様なので、本変形例に係る相違点のみ説明し、同様の構成は便宜上、割愛する。
図7は、本発明の変形例における前軸受部材173を示す概略図である。
  
図7(A)に示すように、前軸受部材173は、前方視中央に第1挿通孔部188が、前方から後方に向かって貫通して設けられている。
  また、前軸受部材173は、前方視第1挿通孔部188よりも外側に向けて3箇所の第1粉塵収容部189が設けられている。具体的には、3箇所の第1粉塵収容部189は、前軸受部材73の回転中心から割り出し角度を均等に120度とする放射状線上に沿った位置に、且つ前軸受部材173の前端から後端に亘って回転中心から外側に膨らむ曲線状の溝形状に条設されてなる。より具体的には、前後方向の中央部ほど、溝の深さが深く形成される。
  このように構成されることで、前軸受部材173の前端から後端に亘って第1粉塵収容部189を溝形状に条設しても、第1粉塵収容部189の粉塵を収容可能な容積をより大きくすることが出来るので、さらに一層、円滑な回転をより長期間に亘って持続することができる。
  なお、当該構成を、前軸受部材173のみでなく、後軸受部材にも採用しても良い。
 
【0056】
  以上、本発明に係る実施形態を説明してきたが、これに限定せず、本発明の技術範囲を逸脱しない限り、他の構成を採用しても構わない。
  例えば、第1粉塵収容部及び第2粉塵収容部を、前後方向に向かって直線状に形成するものに限らず、溝状の粉塵収容部を、前後方向に向かって螺旋状に形成するようにしても良い。これにより、軸受筒状部の前端部から後端部までの区間において、溝状の粉塵収容部を直線状に形成するよりも、粉塵収容部の粉塵を収容可能な容積をより大きくすることが出来るので、さらに一層、円滑な回転をより長期間に亘って持続することができる。
  なお、上述した実施形態及び変形例では、本発明の軸受筒状部を、前軸受部材(第1軸受部材)と後軸受部材(第2軸受部材)に分割して構成する例を示したが、これに限らず、分割しない1つの構成としても良い。このような状態でも、挿通孔の内周面に粉塵収容部を備えることで、本発明の効果を奏するものである。
 
【0057】
  [特許請求の範囲との対応]
  上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
 
【0058】
  風車基体72に前軸受部材73を組み付けた構成が、回動部に相当する。
 
【0059】
  第1挿通孔部88、圧入孔部79、第3挿通孔部80、及び第2挿通孔部77が、挿通孔に相当する。
 
【0060】
  前側凸部87の前側端面部が、前端部に相当する。
 
【0062】
  後側凸部92の後側端面部が、後端部に相当する。
 
【0064】
  前軸受部材73及び後軸受部材74を組み付けた構成が、軸受筒状部に相当する。
 
【0065】
  第1粉塵収容部89及び第2粉塵収容部78が、粉塵収容部に相当する。
 
【0066】
  第1凸部87が、前側凸部に相当する。
 
【0067】
  第2凸部92が、後側凸部に相当する。
 
【0068】
  前軸受部材73が、第1軸受部材に相当する。
 
【0069】
  後軸受部材74が、第2軸受部材に相当する。
 
【0070】
  第1凸部187が、前側凸部に相当する。
 
【0071】
  前軸受部材173が、第1軸受部材に相当する。