(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モールド部によりモールドされ、前記第1磁性体コアおよび前記接続端子の間の前記導電バーに固着される第3固定部と、前記金属製筐体に接続される第4固定部と、前記第3固定部と前記第4固定部との間を容量素子で接続する第2実装基板とを備えることを特徴とする請求項1に記載の出力ノイズ低減装置。
前記導電バーの前記接続端子が前記金属製筐体の内部において前記電子機器の前記出力端に接続され、前記導電バーの前記出力端子が前記導電バーの貫通する前記金属製筐体の開口を介して前記金属製筐体より外方に配置された状態で、前記第1実装基板の容量素子の容量成分を有する本体部分の少なくとも一部が、前記金属製筐体より外方に位置し、あるいは前記金属製筐体の開口内に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の出力ノイズ低減装置。
前記第1磁性体コアの前記導電バーの貫通方向の端面のうち少なくとも何れか一端面には、電磁遮蔽板を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の出力ノイズ低減装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本願に係る第1実施形態の回路図である。出力ノイズ低減装置の一例としてノイズフィルタモジュール1がスイッチング電源5の出力端子VXと出力端子VOとの間に接続される場合を示す。スイッチング電源5は、アルミダイカスト製などの金属製
筐体3に収納されている。
図1においては、ノイズフィルタモジュール1に関する電気的な作用効果を説明する。
【0023】
スイッチング電源5は、例えば、車載用の電源である。ハイブリッド車あるいは電気自動車等における駆動系の電源電圧VINを供給するメインバッテリー(不図示)から電圧値を降圧して補機バッテリー(不図示)への電力供給を行う降圧型のスイッチング電源である。補機バッテリーは、オーディオ機器、エアコン機器、照明機器などの車内電装機器に電源電圧を供給する。
【0024】
スイッチング電源5は、パワートランジスタ(不図示)を所定スイッチング周波数fでオンオフ制御させることで所定電圧の出力を得る。スイッチング電源5では、このスイッチング動作に応じて、内部結線によってはスイッチング周波数fで高電圧と低電圧との間で交互に電圧変動が生ずる。また、負荷電流に応じた電流が電源電圧VINおよび接地電位GNDに交互に断続して流れ電流変動が生ずる。スイッチング動作による電圧変動と電流変動とがノイズ源となり出力端子へのノイズを招来する場合がある。
【0025】
こうしたノイズ源は、信号経路や接地配線を介して回り込む伝導性ノイズとして出力端子に伝搬する他、容量結合や誘導結合などの電磁的結合により放射される放射性ノイズとして出力端子に伝搬するおそれがある。ここで、放射性ノイズとしては、例えば、内部結線の電圧変動に伴って生ずる場合がある。回路要素間や配線間等に介在する寄生の容量成分による容量結合に応じて結合先の回路要素に対して不測の電圧変動を招来する場合である。また、電源電圧VINや接地電位GNDの電流変動に伴って生ずる場合がある。配線される電源電圧VINや接地電位GNDの配線経路に介在する寄生の誘導成分による逆起電力に応じて電源電圧VINや接地電位GNDに不測の電圧変動を招来する場合である。
【0026】
スイッチング電源5の出力端子VXにはノイズフィルタモジュール1が接続されている。ノイズフィルタモジュール1は、スイッチング電源5の出力端子VXと出力端子VOとを結ぶ出力電圧経路にチョークコイルL1が設けられ、出力端子VOと接地電位GNDとの間にコンデンサC1が接続された構造を有している。いわゆるLCフィルタの構成である。ノイズフィルタモジュール1により、伝導性ノイズのうち信号経路を伝搬するスイッチング周波数fやその高調波周波数のノイズは抑制することができる。ここで、スイッチング電源5におけるスイッチング周波数fは、出力される電力定格や各構成素子の仕様や定格などに応じて定められる。例えば、車載用のスイッチング電源では数100kHzで動作することが考えられる。このため、スイッチング周波数fやその高調波周波数が、車載AMラジオの周波数帯域に重なる場合があり、ノイズフィルタモジュール1を備えることにより、これらの帯域で信号経路を伝搬する伝導性ノイズを抑制することができる。
【0027】
また、第1実施形態のノイズフィルタモジュール1は、チョークコイルL1の出力端子VO側の一部およびコンデンサC1は、金属製
筐体3より外方に位置するように配置されている。これにより、金属製
筐体3が電磁的なシールドの効果を奏するため、金属製
筐体3内でのスイッチング動作により発生する放射性ノイズが出力端子VOに伝搬することが抑制される。
【0028】
第1実施形態のノイズフィルタモジュール1によれば、チョークコイルL1のうち出力端子VO側の一部およびコンデンサC1が金属製
筐体3より外方に位置するように配置されている。このため、チョークコイルL1とコンデンサC1との接続点である出力端子VO、すなわち後述する導電バー11のうち磁性体コア13から出力端子VO側に突出した部分は金属製
筐体3によりシールドされる。これにより、出力端子VOへの放射性ノイズの伝播が抑制される。出力電圧に放射性ノイズが混入することを抑制することができる。
【0029】
次に、ノイズフィルタモジュール1のモジュール構成である形状・構造に関して説明する。
図2はノイズフィルタモジュール1の分解斜視図である。
図3はノイズフィルタモジュール1の斜視図である。
図3の(A)がモールドされた状態の斜視図であり、
図3の(B)が内部の構造を透視した状態の斜視図である。尚、作図上、実装基板17の構成については一部の作図を省略して記載している。
【0030】
図1に示すスイッチング電源5の出力端子VXと出力端子VOとをつなぐ出力電圧経路は導電バー11で構成される。導電バー11は、概ね円柱状の形状を有し、例えばクロムモリブデン鋼や炭素鋼等の金属材料で形成されている。中央部11bを挟んで軸方向の両側にアンカー部11cが形成され、さらにその外側の両端部にボルト部11aが形成されている。ボルト部11aは雄ネジが設けられたボルト構造でありスタッドボルトの形状を有している。ボルト部11aの一方(
図2の右側)は金属製
筐体3内に設けられたスイッチング電源5の出力端子VXに接続される。他方(
図2の左側)のボルト部11aは出力端子VOであり、後段の電子機器等に接続される。ボルト部11aの軸心、中央部11bの軸心、およびアンカー部11cの軸心は、同一直線状に配置されており、導電バー11は、直線状に単一の金属部材で形成されている。中央部11bおよびアンカー部11cの軸方向からみた断面は軸心を中心とした同心円形であり、アンカー部11cの直径が中央部11bの直径よりも大きく形成されている。
【0031】
磁性体コア13は、中空部13aを有する中空円筒状に形成されており、例えばフェライト等の磁性材料で形成されている。また、軸方向に平行に径方向に貫通して切り欠かれたスリット13bが設けられており周方向に周回する経路の一部が不連続とされている。いわゆるコアギャップであり、磁性体コア13における磁気抵抗を調整して磁気飽和の発生を防止している。磁性体コア13の中空部13aに導電バー11が貫通し、中空部13aの内側面と導電バー11の中央部11bとを対向させて配置することにより、チョークコイルL1が構成される。スリット13bの幅を調整することにより、磁気抵抗を調整して磁気飽和を抑制し、ノイズ成分の除去に必要なチョークコイルL1のインダクタンスを確保する。
【0032】
ここで、導電バー11の軸方向は、磁性体コア13を貫通する貫通方向に相当する。
【0033】
磁性体コア13の貫通方向の両端面には電磁遮蔽板15が配置されている。電磁遮蔽板15は磁性体コア13と同様に、中空部15aを有する円環状に形成されており、中空部15aに導電バー11が貫通する。電磁遮蔽板15は、例えば銅、ニッケル、あるいは鉄等の導電性の金属材料で形成され、あるいは金属材料の粉や箔を含む導電性の塗料や導電性の高分子フィルムにより形成されている。また、導電バー11との接触を防止するため、中空部15aの径が調整される。この電磁遮蔽板15は磁性体コア13の中空部13aを貫通する導電バー11を電気的にシールドする効果を有している。導電バー11への容量結合を抑制して、導電バー11から外部に伝搬する放射性ノイズの伝搬を抑制する効果を奏するものである。同時に、外部から導電バー11に伝搬する放射性ノイズを抑制することもできる。なお、本実施形態では電磁遮蔽板15を磁性体コア13の両端面に設けているが、一方の端面に設ける構成としても良い。
【0034】
台座部21は、ノイズフィルタモジュール1がモールドされたモールド部23(
図3(A)に後述)を金属製
筐体3に固定するための不図示のネジ等を挿入する貫通孔21aが開口された円筒状の金属部材である。台座部21は、モールド部23のフランジ部23b(
図3(A)に後述)において、導電バー11の左右両端部に配置される。
【0035】
実装基板17は導電バー11と台座部21とを連結する。実装基板17は中央の第1固定部31、両端部の第2固定部33、第1固定部31と両端部の第2固定部33の間に位置する接続部35で構成される。第1固定部31、第2固定部33、および接続部35は、導電性の良好な金属材料(例えば黄銅、銅等)で形成されている。第1固定部31は導電バー11のアンカー部11cの外周面に沿った円弧状の胴部31aと胴部31aの両端部から接続部35に向かって延伸する直線状のリブ31bとを備える。第2固定部33は台座部21の外周面に沿った円弧状の胴部33aと胴部33aの端部から接続部35に向かって延伸する直線状のリブ33bとを備える。胴部31aはアンカー部11cの、胴部33aは台座部21の、半周分程度を覆う円弧状である。また、リブ31b、33bは、アンカー部11cと台座部21とを結ぶ方向、すなわち、導電バー11の軸方向に略直交する方向に延伸して設けられる。接続部35はチップコンデンサ37ごとに固片化された矩形板状の形状を有している。リブ31bと接続部35、およびリブ33bと接続部35とは、各々の間にスリット17aを設けて、樹脂材料等の絶縁材料により相対位置が固定される。すなわち、リブ31bと接続部35、およびリブ33bと接続部35とは、各々、チップコンデンサ37の各端子が半田付等により固着されるランド領域を形成する。胴部31aはアンカー部11cに、胴部33aは台座部21に、各々、溶接等により固着される。第1固定部31から各々の第2固定部33に至る間には、各々4個のチップコンデンサ37が実装される。直列接続される2つのチップコンデンサ37を1組として2組が並列に実装される。ここで、第1固定部31が固着されるアンカー部11cは出力端子VOであり、第2固定部33が固着される台座部21には接地電位GNDが供給されている。チップコンデンサ37でコンデンサC1を構成する。
【0036】
実装基板17の形成は、例えば以下のような工程で行うことができる。まず、打ち抜き加工等で金属平板を打ち抜き、未だ平板状の状態にある第1固定部31、第2固定部33が予定される部材と、第1固定部31が予定される部材と第2固定部33が予定される部材との間に位置して接続部35が予定される部材とが、互いに金属細線で架橋された状態の平板状部材を成型する。次に、プレス加工等により、第1固定部31、第2固定部33を円弧状に成型する。次に、チップコンデンサ37を実装した後、エポキシ樹脂などの絶縁部材により、第1固定部31と接続部35、および第2固定部33と接続部35とを接続する。その後、金属細線の架橋部分の分断を行う。
【0037】
図3は、組み立てられたノイズフィルタモジュール1を熱硬化性樹脂でモールドしたモールド部23を示す(
図3(A)参照)。
図3(B)は、モールド部23を透視して内部構成を示す。熱硬化性樹脂は、磁性体コア13に過度な圧力を加えないために使用される。フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなどが使用される。
【0038】
モールド部23は、コア部23aとフランジ部23bとで構成される。コア部23aは、導電バー11が貫通する磁性体コア13を導電バー11と共に貫通方向を軸として円筒状にモールドした形状である。フランジ部23bは、導電バー11の出力端子VO側のアンカー部11c、実装基板17、および台座部21を、ボルト部11a(出力端子VO)と台座部21の軸方向両端面を露出させて軸方向に直交する矩形面状としてモールド成型される。
【0039】
図4に示すように、モールド部23は、フランジ部23bのコア部23a側の端面(内方端面)が金属製
筐体3の外方端面に対向した状態で取り付けられる。台座部21の開口を介して金属製
筐体3にネジ・ボルト等(不図示)により螺合されて、モールド部23が金属製
筐体3に取り付けられる。これにより、フランジ部23bと金属製
筐体3との両端面が密着して取り付けられるので、ノイズフィルタモジュール1を金属製
筐体3に確実に固定して取り付けることができる。尚、取り付けは、螺合の他、かしめや溶接などの一般的な固定方法を用いることができる。
【0040】
ここで、チップコンデンサ37(コンデンサC1)はフランジ部23bにモールドされている。さらに、磁性体コア13は、中間領域まではコア部23aにおいてモールドされている一方(
図4中の領域(2))、残りの領域はフランジ部23bにおいてモールドされている(
図4中の領域(1))。モールド部23を金属製
筐体3に固定する際、フランジ部23bの内方端面が金属製
筐体3の外方端面と密着する状態で固定される。このとき、チップコンデンサ37(コンデンサC1)はフランジ部23bに配置されており、フランジ部23bは金属製
筐体3の外方に配置する。また、磁性体コア13の領域(1)の端部(外方側端部)がフランジ部23bに配置されており、磁性体コア13の外方側端部から外方に突出する導電バー11の部分(出力端子VO)は金属製
筐体3の外方に配置される。このため、金属製
筐体3による電磁的なシールド効果により、チップコンデンサ37(コンデンサC1)および磁性体コア13の領域(1)の外方側端部から突出する導電バー11(出力端子VO)への電磁的結合は抑制され、放射性ノイズがチップコンデンサ37(コンデンサC1)および出力端子VOに伝搬することが抑制される。また、接地電位GNDを介してチップコンデンサ37(コンデンサC1)に回り込む電圧変動も抑制され、伝導性ノイズがチップコンデンサ37(コンデンサC1)および出力端子VOに伝搬することが抑制される。チップコンデンサ37(コンデンサC1)の接地電位GNDは台座部21を介して金属製
筐体3に接続されているところ、金属製
筐体3のインピーダンスは十分に低いため、伝導性ノイズに起因する接地電位GNDの電圧変動が抑制されるからである。
【0041】
図5(A)、(B)、(C)はモールド部23の断面形状を示した図である。
図5(A)は貫通方向の断面を示し、
図5(B)、(C)は、それぞれ
図5(A)に示したBB断面、およびCC断面の面形状を示している。尚、作図上、
図5(C)については実装基板17の構成について一部を省略して記載している。
【0042】
図5(A)に示すように、導電バー11において、ボルト部11aより径大であるアンカー部11cはモールド部23の外端面11c2を露出させてモールドされている。そして、前段あるいは後段の電子機器の端子にボルト部11aを介して接続する際に、外端面11c2は座部として機能する。即ち、接続状態において、電子機器の端子と導電バー11との接触面積を大きく確保することができる。これにより、接触抵抗を低くすることができ、大電流が流れるモールド部23において、接続部位における発熱等を低減することができる。
【0043】
また、アンカー部11cの直径W1は中央部11bの直径W2よりも径大である。これにより、導電バー11に貫通方向へ移動させるような外力が加わる場合、モールド部23に充填されている樹脂材料との間の導電バー11の貫通方向への相対的な移動は、アンカー部11cによって規制される。例えば、導電バー11に図示左方向へ移動させるような外力が加わる場合は、図示右側のアンカー部11cの中央部11b側の内端面11c1がアンカーとして機能する。同様に、導電バー11に図示右方向へ移動させるような外力が加わる場合は、図示左側のアンカー部11cの中央部11b側の内端面11c1がアンカーとして機能する。この場合、実装基板17も貫通方向への移動を規制する部材として機能する。アンカー部11cおよび実装基板17の貫通方向から見た場合の形状が導電バーのその他の部分の形状とは異なり貫通方向と直交する方向に広がっているため、この形状が樹脂材料と対向して貫通方向への移動に対して抵抗となるからである。
【0044】
また、導電バー11に周方向へ回転させるような外力が加わる場合、モールド部23に充填されている樹脂材料との間の導電バー11の周方向への相対的な移動は、実装基板17によって規制される。導電バー11に周方向へ回転させるような外力が加えられる場合とは、例えば、導電バー11に電子機器を接続する場合や、接続された後の使用時においての振動等が加えられる場合等がある。
図5(B)および(C)に示すように、導電バー11の中央部11bおよびアンカー部11cの断面形状は共に円形であるため、外力が加わる場合に、導電バー11の周方向への移動を生じやすい。しかし、
図5(C)に示すように、実装基板17の第1固定部31、第2固定部33、および接続部35(
図2)の基板面は周方向に充填されている樹脂材料と対向している。このため、実装基板17の対向面が周方向に対して抵抗となるので、モールド部23に充填されている樹脂材料との間の導電バー11の周方向への相対的な移動は規制される。また、実装基板17の第2固定部33が台座部21に固定されているので、台座部21も周方向に向かって樹脂材料と対向して周方向に対して抵抗となり、導電バー11の相対的な移動を規制する。さらに、アンカー部11cにおいて導電バー11に固定された実装基板17は、台座部21にも固定されているので、台座部21が金属製
筐体3に固定されていれば、導電バー11の周方向への移動は規制される。
【0045】
図6は本願に係る第2実施形態の回路図である。出力ノイズ低減装置の一例として、第1実施形態におけるノイズフィルタモジュール1(
図1参照)に代えてπ型フィルタモジュール1Aを備える場合について説明する。π型フィルタモジュール1Aは、第1実施形態のノイズフィルタモジュール1の構成に加えて、モジュール内にコンデンサC2を含む構成である。第1実施形態と同様の構成については第1実施形態と同じ符号を付し、以下での説明を省略する。
【0046】
π型フィルタモジュール1Aは、ノイズフィルタモジュール1の場合と同様にスイッチング電源5の出力端子VXに接続されている。π型フィルタモジュール1Aは、出力端子VXと出力端子VOとを結ぶ出力電圧経路に設けられるチョークコイルL1に加えて、チョークコイルL1の各端子と接地電位GNDとの間に、コンデンサC1、C2が備えられる構成である。また、チョークコイルL1、コンデンサC1、C2が、金属製
筐体3Aより外方に位置するように配置されている。
【0047】
第2実施形態のπ型フィルタモジュール1Aは、第1実施形態のノイズフィルタモジュール1の場合と同様に、スイッチング電源5のスイッチング動作に起因する放射性ノイズおよび伝導性ノイズが出力端子VOに伝搬することを抑制する。
【0048】
すなわち、π型フィルタモジュール1Aを構成するチョークコイルL1において、磁性体コア13の両端から突出する導電バー11は金属製
筐体3Aより外方にあり、金属製
筐体3Aの電磁的なシールド効果により電磁的結合は抑制される。その結果、導電バー11のこの部分への放射性ノイズの伝搬は抑制される。
【0049】
また、π型フィルタモジュール1Aを構成するコンデンサC1、C2についても、電磁的結合による放射性ノイズの伝搬は抑制される。コンデンサC1、C2が金属製
筐体3Aより外方にあり金属製
筐体3Aの電磁的なシールド効果により電磁的結合が抑制されるからである。また、接地電位GNDを介する電圧変動の回り込みも抑制される。コンデンサC1、C2に供給される接地電位GNDは、台座部21を介して金属製
筐体3Aから供給されており金属製
筐体3Aは幅広板状の形状を有しているのでインピーダンスは充分に低いからである。低インピーダンスであるため供給される接地電位GNDに電圧変動が混入することが抑制され、伝導性ノイズが抑制された安定した接地電位GNDを維持することができる。
【0050】
これにより、スイッチング電源5のスイッチング動作に伴い発生する放射性ノイズおよび伝導性ノイズは、何れも出力端子VOに伝搬することが抑制され、出力電圧にノイズが伝播することが抑制される。
【0051】
次に、π型フィルタモジュール1Aのモジュール構成である形状・構造に関して説明する。
図7は樹脂モールドされたπ型フィルタモジュール1Aの内部の構造を透視した状態の斜視図である。第1実施形態と同様の構成については第1実施形態と同じ符号を付し、以下での説明を省略する。尚、作図上、実装基板17の構成については一部の作図を省略して記載している。
【0052】
第1実施形態では1つ配置されていた実装基板17が、第2実施形態では2つ配置される。即ち、導電バー11に備えられる2つのアンカー部11cのうち外方側のアンカー部11cの外周面に固着される実装基板17(第1実施形態の実装基板)に加えて、内方側のアンカー部11cの外周面にも固着される。内方側の実装基板17に実装されているチップコンデンサ37がコンデンサC2(
図6参照)であり、外方側の実装基板17に実装されているチップコンデンサ37がコンデンサC1(
図6参照)である。
【0053】
モールド部23Aは、第1実施形態のモールド部23におけるコア部23a(
図3(A)参照)に代えてフランジ部23b(
図3(A)参照)が軸方向に延伸した形状を有している。内外の両端面を貫く台座部21Aおよびアンカー部11cが、各々の端面をモールド部23Aの端面から露出させた角柱状の形状である。
【0054】
モールド部23Aは、金属製
筐体3Aの外方端面に台座部21Aの内方側の露出端面を密着させて台座部21Aの開口を介してネジ・ボルト等により螺合される。これにより、π型フィルタモジュール1Aが構成されるモールド部23Aは金属製
筐体3Aの外方に配置される。また、導電バー11の内方側でモールド部23Aから突出するボルト部11aは、金属製
筐体3Aの開口(不図示)から
筐体の内部に挿入される。ここで、金属製
筐体3Aの開口は金属製
筐体3の開口部30(
図4参照)より小径の開口である。第1実施形態では磁性体コア13を含むコア部23aが金属製
筐体3に挿入されるのに対し、第2実施形態ではモールド部23Aから突出したボルト部11aが挿入すれば足るためである。
【0055】
モールド部23A全体が金属製
筐体3Aの外方に配置されるので、モールドされている、チョークコイルL1を構成する磁性体コア13の両端部から突出する導電バー11の部分、およびコンデンサC1、C2を構成するチップコンデンサ37も金属製
筐体3Aの外方に配置されることとなる。これにより、チョークコイルL1の両端の導電バーおよびコンデンサC1、C2に対する金属製
筐体3Aの内部からの電磁的結合が抑制される。出力端子VO(ボルト部11a)に電磁的結合による放射性ノイズが伝わることが抑制される。
【0056】
また、π型フィルタモジュール1Aを実装する場合、台座部21Aの内方側の端面が金属製
筐体3Aの外方端面と密着する状態で固定される。これにより、コンデンサC1、C2は、台座部21Aおよび金属製
筐体3Aを介して接地電位GNDに接続される。金属製
筐体3Aが安定した接地電位GNDであることから、接地電位GNDからコンデンサC1、C2を介して出力端子VOに回り込む電圧変動は抑制される。出力端子VO(ボルト部11a)に電圧変動の回り込みによる伝導性ノイズが伝わることが抑制される。
【0057】
また、導電バー11に貫通方向への外力が加わることによるモールド部23Aに充填されている樹脂材料との間の導電バー11の貫通方向への相対的な移動は、第1実施形態の場合と同様にアンカー部11cによって規制される。また、実装基板17が貫通方向への移動を規制する部材として機能することも第1実施形態と同様である。第2実施形態では、実装基板17が貫通方向の両端部に2つ配置されているため、貫通方向への移動規制は第1実施形態より強められている。
【0058】
また、導電バー11に周方向への外力が加わることによるモールド部23Aに充填されている樹脂材料との間の導電バー11の周方向への相対的な移動は、第1実施形態の場合と同様に実装基板17によって規制される。第2実施形態では、実装基板17が貫通方向の両端部に2つ配置されているため、周方向への移動規制は第1実施形態より強められている。
【0059】
また、モールド部23Aは、導電バー11の貫通方向の厚みが、第1実施形態のモールド部23におけるコア部23aとフランジ部23bとを合わせた厚みであり、この部分が金属製
筐体3Aの外方に突出する。しかしながら、スイッチング電源5等の電子機器が収納されている金属製
筐体3Aのサイズからすれば、金属製
筐体3Aの外方に突出するモールド部23Aの厚みは、第1実施形態の場合と同様に僅少なものであるとすることができる。π型フィルタモジュール1Aを金属製
筐体3Aに内蔵する場合に比して、実装容積の増大は軽微に抑えることができる。
【0060】
図8は本願に係る第3実施形態のノイズフィルタモジュール1の構成を示す。第1実施形態のノイズフィルタモジュール1(
図1参照)と回路構成は同じで、形状・構造が異なる。
図8は実装基板17Bの構造を示し、金属製
筐体3Bへの取り付け方向から見た図である。
図9は組み付けられた内部構成の斜視図である。
図10は金属製
筐体3Bに取り付けた状態での断面構造を示した図である。
図11はノイズフィルタモジュール1のモールドされた状態の斜視図である。第1実施形態と同様の構成については第1実施形態と同じ符号を付し、以下での説明を省略する。
【0061】
図8に示すように、実装基板17Bは第1実施形態の実装基板17と形状が異なる。第1固定部31B、第2固定部33B、接続部35Bは、何れも平板状の形状を有しており、導電性の良好な金属材料(例えば黄銅、銅等)で形成されている。実装基板17Bは第1固定部31Bで分割された左右対称の形状を有している。各々の第1固定部31Bは導電バー11Bのアンカー部11Bcの外方端面の左半周面あるいは右半周面を覆う先端部が半円状に切り欠かれた形状を有している。アンカー部11Bcは、貫通方向の外方側に短径の円柱形状を備え内方側に拡径の円柱形状を備えた径の異なる円柱を2段に重ねた形状を有している。第1固定部31Bはアンカー部11Bcのうち拡径側の円柱形状の外端面を覆ってスポット溶接(第1固定部31B上の黒丸で示す)等により固着されている。第1固定部31Bの半円状の内径側は、アンカー部11Bcのうち短径の円柱形状、および更に短径のボルト部11Baが貫通方向の外方に突出している。第2固定部33Bは、金属製
筐体3Bに取り付ける際、ボルト等を挿入するための貫通孔33Baが開口されている。接続部35Bは第1実施形態の接続部35と同様な構成を有している。チップコンデンサ37ごとに固片化された矩形板状の形状であり第1固定部31Bと第2固定部33Bとの間に配置され、チップコンデンサ37が実装されている。尚、
図9、
図10においては、実装されたチップコンデンサ37は1次モールド38で樹脂モールドされている。
【0062】
図10に示すように、導電バー11Bは、第1実施形態の導電バー11とは異なり、内方側にアンカー部を備えていない。また、内方側のボルト部11aに代えて端子部11Bdを備えている。端子部11Bdは、拡幅平板状の矩形形状を有し中央部に接続孔を設けたものとなっている。導電バー11Bは、第1実施形態と同様に、磁性体コア13および電磁遮蔽板15を貫通して配置される。電磁遮蔽板15は磁性体コア13の両端面に配置される。
【0063】
モールド部23Bによりモールドされる実装基板17Bは、金属製
筐体3Bにボルト等により螺合されて取り付けられる。金属製
筐体3Bは、実装基板17Bの貫通孔33Baの位置および径に合わせ、第2固定部33Bと密着するように外方の突出した凸部3Baを有している。モールド部23Bは、凸部3Baにおいて実装基板17Bの第2固定部33Bが金属製
筐体3Bに密着して取り付けられるように、両端面が貫通孔33Baとその周辺の第2固定部33Bとが露出するように開口されている。この時の開口の径は、螺合のためのボルト等や凸部3Baがフランジ部23Bbと干渉しない程度の大きさで開口されている。そして、凸部3Baが、モールド部23Bの開口に挿入され、露出した第2固定部33Bに凸部3Baが密着された状態で螺合される。尚、取り付けは、螺合の他、かしめや溶接などの一般的な固定方法を用いることができる。
【0064】
図11に示すように、モールド部23Bは、コア部23Baとフランジ部23Bbとで構成される。コア部23Baは、導電バー11Bが貫通する磁性体コア13を導電バー11Bと共に貫通方向を軸として円筒状にモールドした形状である。フランジ部23Bbは、貫通方向に直交する矩形面状として、導電バー11Bのアンカー部11Bc、および実装基板17Bがモールドされている。また、第1実施形態(
図4参照)の場合と同様に、磁性体コア13は、外方側端部から突出する導電バー11B(出力端子VO)が金属製
筐体3Bの外方に突出するようにフランジ部23Bbにモールドされている。フランジ部23Bbの外方側端部からは、短径円柱のアンカー部11Bcの一部とボルト部11Baとが突出している。
【0065】
ここで、チップコンデンサ37(コンデンサC1)はフランジ部23Bbにモールドされている。フランジ部23Bbは金属製
筐体3Bの外方に配置する。このため、金属製
筐体3Bより外方には、磁性体コア13の外方側端部から突出する導電バー11B(出力端子VO)とチップコンデンサ37(コンデンサC1)とが配置されている。この結果、導電バー11B(出力端子VO)とチップコンデンサ37(コンデンサC1)とに対する金属製
筐体3Bの内方からの電磁的結合は抑制される。また、チップコンデンサ37(コンデンサC1)に接続される接地電位GNDが金属製
筐体3Bから供給されることから、接地電位GNDを介してチップコンデンサ37(コンデンサC1)に回り込む電圧変動も抑制される。したがって、出力端子VOへの放射性ノイズおよび伝導性ノイズを、何れも抑制することができる。
【0066】
第3実施形態のノイズフィルタモジュール1では、第1実施形態と比して、台座部21が不要である。また、実装基板17Bを形成する工程で、第1実施形態で必要であった第1固定部31と第2固定部33とを円弧状に成型する工程が不要となる。これにより、製造コストを低減することができる。
【0067】
また、第1実施形態の場合と同様に、導電バー11Bの貫通方向および周方向に対する相対的な移動は規制される。導電バー11Bにはボルト部11Baより拡径のアンカー部11Bcが備えられており、貫通方向から見た場合の形状がその他の部分の形状とは異なるからである。また、実装基板17Bも貫通方向および周方向に対する導電バー11Bの相対的な移動を規制する。実装基板17Bの貫通方向および周方向から見た形状がそれぞれの方向に対して抵抗となるからである。さらに、実装基板17Bは、金属製
筐体3Bに固定され、導電バー11Bの周方向への移動を規制されるからである。
【0068】
図12は本願に係る第4実施形態のノイズフィルタモジュール1の構成である。第1実施形態のノイズフィルタモジュール1(
図1参照)と回路構成は同じで、形状・構造が異なる。
図12に、金属製
筐体3への取り付け方向から見た実装基板17Cの構造を示す。例えば、エポキシ樹脂等を加工した硬質の矩形状のプリント基板に銅等のプリント配線が形成されている。中央に導電バー11のボルト部11aが挿入される貫通孔17Caが開口されている。貫通孔17Caの左右に、台座部21が挿入される貫通孔17Cbが開口されている。
【0069】
実装基板17Cの表面には、貫通孔17Caの外周を取り囲み貫通孔17Caから左右にある貫通孔17Cbに向かう導電配線39a、貫通孔17Cbの外周を取り囲み貫通孔17Cbから貫通孔17Caに向かう導電配線39b、および導電配線39aと導電配線39bとに挟まれた導電配線39cとが形成されている。また、
図13で貫通孔17Cbの断面図について例示するように、実装基板17Cの裏面には、貫通孔17Ca、17Cbの各々の外周を取り囲んで導電配線39dが形成されている。導電配線39aと導電配線39c、導電配線39bと導電配線39bcとの間にはスリット17Ccが設けられている。スリット17Ccを挟んで、各々、導電配線39aと導電配線39cとの間、および導電配線39bと導電配線39cとの間に、チップコンデンサ37が実装されている。スリット17Ccを挟んだ導電配線39aと導電配線39c、導電配線39bと導電配線39cは、各々、チップコンデンサ37を半田付けなどで実装するためのランド領域を形成する。導電配線39aから導電配線39bに至る間には、直列接続される2つのチップコンデンサ37を1組として2組が並列に接続されている。
【0070】
図13に、貫通孔17CbのAA断面図を示す。貫通孔17Cbには、内側面を覆って筒状導電配線39eが形成されている。そして、筒状導電配線39eは、実装基板17Cの表面の導電配線39b、および裏面の導電配線39dと接続する。図示はしないが貫通孔17Caも同様に内側面が筒状導電配線で覆われ、筒状導電配線と、実装基板17Cの表面の導電配線39aおよび裏面の導電配線39dとを接続する。貫通孔17Caには導電バー11が、貫通孔17Cbには台座部21が、各々嵌入され固着される。さらに、嵌入された導電バー11および台座部21と、実装基板17Cの表面の導電配線39aまたは39b、および裏面の導電配線39dとが、半田付けなどにより接続される。これにより、強固な固定と十分な導通を取ることができる。ここで、導電バー11のアンカー部11cの外方側の端面は実装基板17Cに密着される。尚、導電バー11および台座部21の貫通孔17Caおよび17Cbへの取り付けには、圧入の他、かしめ、溶接等の一般的な固定方法を用いることができる。
【0071】
実装基板17Cが固着された導電バー11に、磁性体コア13や電磁遮蔽板15が取り付けられる点、更に全体がモールドされる点、モールドされたモールド部の金属製
筐体への取り付けなど、その他の構成については第1実施形態の場合と同様である。したがって、容量結合や誘導結合等の電磁的結合や接地配線の引き回しなどに起因した放射性ノイズおよび伝導性ノイズが実装基板17Cや導電バー(出力端子VO)に伝搬することが抑制されノイズが抑制されること、実装基板17Cを備えることにより導電バー11の周方向および貫通方向への移動を規制することができること、などといった作用効果も第1実施形態の場合と同様である。
【0072】
第4実施形態の実装基板17Cによれば、貫通孔17Cbの内側面を金属で被覆し筒状導電配線39eが形成されており、筒状導電配線39eが、実装基板17Cの表面および裏面の導電配線39b、39dと接続されている。このため、台座部21は、貫通孔17Cbに挿入してやれば、実装基板17Cの表面および裏面の導電配線39b、39dと接続され導通を取ることができる。尚、貫通孔17Caも同様である。すなわち、貫通孔17Caの内側面を被覆する筒状導電配線により、実装基板17Cの表面および裏面の導電配線が接続され、導電バー11と実装基板17Cの表面および裏面との導通を取ることができる。これにより、導電バー11と直列接続されるチップコンデンサ37の一端、および台座部21と直列接続されるチップコンデンサ37の他端が、接続され、直列接続されるチップコンデンサ37を出力端子VOと接地電位GNDとの間に接続することができる。
【0073】
貫通孔の内側面が筒状導電配線で覆われていない場合には、貫通孔に台座部を挿入しただけでは導電配線39b、39dと導通を取ることができない。このため、台座部に、貫通孔に挿入した状態で貫通孔から基板の表裏面に突出する部分に拡径したフランジ部を設けて、フランジ部において実装基板17Cの表面および裏面の導電配線39b、39dと導通をとる必要があった。台座部の両端をフランジ部とするためには、台座部の構成をボルト状の部材とナット状の部材との2部材構成とせざるを得ず部品点数の増大を招いていた。また、組み付けの際には、先ず、ボルト状の部材を貫通孔に挿入し、その後、ナット状部材をボルト状部材と連結するといった作業が必要となり、作業が煩雑であった。
【0074】
これに対して、第4実施形態では、円柱状の台座部21を貫通孔17Cbに挿入するだけで、実装基板17Cの表面および裏面にある導電配線39b、39dと接続され導通を取ることができる。部品点数の削減と組み付け作業性の効率化を図ることができる。
【0075】
また、筒状導通配線は、貫通孔17Ca、17Cbの内側面の全体を金属で被覆することによって形成される。このため、導電バー11や台座部21との導通をとるのに充分な接触面積を確保することができ、接触抵抗を低くすることができる。
【0076】
第4実施形態のノイズフィルタモジュール1は、1枚の実装基板17Cで構成されることから、第1実施形態の場合と比較して部品点数および組立工程が少なく、製造コストを低減することができる。
【0077】
図14は本願に係る第5実施形態のノイズフィルタモジュール1の構成である。第1実施形態のノイズフィルタモジュール1(
図1参照)と回路構成は同じで、形状・構造が異なる。すなわち、第1実施形態の実装基板17を備えておらず、チップコンデンサ37に代えて、例えばフィルムコンデンサや積層セラミックコンデンサ等のリードタイプコンデンサ41を備え、台座部21に代えて台座部21Dを備えている。ここで、リードタイプコンデンサ41とはリード線を端子とする一般的なコンデンサ素子である。
【0078】
図14は分解斜視図である。台座部21Dは、円筒状の一部を平板状に加工された金属部材で、ネジ等を螺合する貫通孔が開口されている。リードタイプコンデンサ41は、導電バー11のアンカー部11cおよび台座部21Dの平板状の部分に、半田付けや抵抗溶接等の溶接などにより接続される。
【0079】
第5実施形態では、リードタイプコンデンサ41を導電バー11と台座部21Dとに直接接続する構成であり実装基板が不要である。また、LCフィルタに使用される容量素子を表面実装部品に代えて汎用のリード部品とすることができる。この結果、部品点数の削減や安価な部品を使用することで部品コストの低減を図ることができる。なお、その他の構成および作用効果については、第1実施形態と同様である。
【0080】
図15乃至17は本願に係る第6実施形態である。T型フィルタモジュール1Bを備える場合である。第3実施形態の構成(
図8)に磁性体コア14(チョークコイルL2)を追加した構成を有している。ここで、第3実施形態の構成(
図8)に備えられている導電バー11Bに代えて導電バー11Cを備えている。
図15に回路図を示し、
図16に要部の分解斜視図を示し、
図17にモジュールの斜視図を示す。
【0081】
図15に示すT型フィルタモジュール1Bは、第1実施形態のノイズフィルタモジュール1のチョークコイルL1およびコンデンサC1の接続点と出力端子VOとの間にチョークコイルL2が追加される構成である。
【0082】
図16に示すように、追加されたチョークコイルL2を構成するために磁性体コア14が実装基板17Bの外方面側に実装される。磁性体コア14の内側面が導電バー11Cのアンカー部11Ccを覆うように装着される。この場合、アンカー部11Ccは、導電バー11Bのアンカー部11Bcのうち短径の円柱形状の貫通方向長さを拡長した形状である。尚、
図16では、表面実装したチップコンデンサ(
図8、参照)を樹脂モールドした1次モールド38の構成を図示している。
図17に示すモジュール23Cを構成するための樹脂モールドに先立ち、表面実装部品の保護等のため実装されたチップコンデンサを先行して1次モールド38している。
【0083】
アンカー部11Ccのうち磁性体コア14に覆われる部分は、導電バー11Bのアンカー部11Bcより拡長されている。このため、
図17に示すモジュール23Cにおいて、磁性体コア14が実装される部分は、フランジ部23Cbから外方に突出してモールドされる。
【0084】
ここで、スイッチング電源5は電子機器の一例である。出力電圧は出力信号の一例ある。また、出力電圧経路は導電バーの一例である。導電バー11、11Bのボルト部11a、11Ba、後述する導電バー111、112、113、115のボルト部111a、112a、113a、115a、および、導電バー113、114の端子部113d、114dは、接続端子および出力端子の一例である。また、磁性体コア13、131、132、133は第1磁性体コアの一例であり、磁性体コア14は第2磁性体コアの一例である。また、実装基板17、17B、17Cは第1実装基板、第2実装基板の一例である。また、第2実施形態において、内方側にある実装基板17、17B、17Cの第3固定部および第4固定部は、各々、外方側にある実装基板17、17B、17Cの第1固定部および第2固定部に対応する。また、導電バー11、11B、および後述する導電バー112、113、114、115のアンカー部11c、11Bc、および後述するアンカー部112c、113c、後述する導電バー111、115の後述する胴体部111b、115b、導電バー115の後述する溝部115c、および実装基板17、17B、17Cは、移動規制部の一例である。
【0085】
以上、詳細に説明したように、本願に開示される第1実施形態のノイズフィルタモジュール1によれば、チップコンデンサ37(コンデンサC1)が金属製
筐体3より外方にある。また、磁性体コア13の出力端子VO側の一部が金属製
筐体3より外方にあるため導電バー11のうち出力端子VOにあたる部分が金属製
筐体3より外方に位置する。これにより、コンデンサC1および出力端子VOとスイッチング電源5との電磁的結合が金属製
筐体3より抑制される。コンデンサC1および出力端子VOにスイッチング動作に起因して発生する放射性ノイズが伝搬することは抑制される。
【0086】
また、フランジ部23b内に収納されているコンデンサC1の接地電位GNDは台座部21を介して金属製
筐体3から供給されるため、接地電位GNDに混入するスイッチング動作に伴う電圧変動が抑制される。金属製
筐体3は充分に低いインピーダンスを有しているため、スイッチング動作に伴って生ずる過渡的な動作電流の流れに伴う電圧変動が金属製
筐体3を介して回り込むことが抑制されるからである。これにより、接地電位GNDから回り込みによる伝導性ノイズがコンデンサC1を介して出力端子VOに伝搬することを抑制することができる。
【0087】
ここで、チップコンデンサ37(コンデンサC1)への接地電位GNDの供給は、金属製
筐体3を介して行うものとして説明した。しかしながら、本願はこれに限定されるものではない。コンデンサC1に供給される接地電位GNDにスイッチング動作に起因する電圧変動が回り込むことを抑制する構成であればよい。例えば、スイッチング動作により流れる動作電流が通過する接地線経路では、経路のインピーダンスが低い場合であっても流れる動作電流によっては電圧降下が生じる場合があり接地線経路に電圧変動が生じてしまう場合もある。また、接地線経路に寄生のインダクタンス成分があれば動作電流の断続に応じて電磁誘導により逆起電力が生じ、接地線経路に電位差が生ずる場合があり接地線経路に電圧変動が生じてしまう場合もある。こうした接地線経路の電圧変動をコンデンサC1に供給される接地電位GNDに伝搬させないためには、金属製
筐体3のように充分に低いインピーダンスを有する経路を介して接地電位GNDを供給することが一例である。他の例としては、例えば、スイッチング電源5に接地電位GNDを供給する接地線経路と、コンデンサC1に接地電位GNDを供給する接地線経路とを、接地電位GNDを供給する基端の接地端子から分岐して結線することが考えられる。これにより、スイッチング動作に応じて接地電位GNDに流れる動作電流はコンデンサC1に接地電位GNDを供給する接地線経路から分岐された接地線経路を流れることとなる。コンデンサC1に供給される接地電位GNDへの動作電流の影響を排除することができる。この結果、スイッチング動作による接地電位GNDの電圧変動が回り込むことを防止することができる。
【0088】
また、金属製
筐体3内での部品相互の位置関係や配線の引き回しによって、放射性ノイズや伝導性ノイズの大きさや伝搬の程度は異なる場合がある。このため、ノイズを抑制するためには、配置や配線の引き回し等を様々に検討して配置の位置決めや配線の決定をすることが必要である。これに対して、ノイズフィルタモジュール1をモールド部23として金属製
筐体3に装着することで、これらの配置や配線の引き回し等を考慮することなくノイズを抑制することができる。金属製
筐体3を介してスイッチング電源5等の電子機器とノイズフィルタモジュール1とを接続するからである。すなわち、金属製
筐体3により、電磁的なシールド効果が得られると共に接地電位の抵抗値を低減して電圧変動の回り込みを抑制できるからである。従って、金属製
筐体3内での個々の回路配置や配線の引き回し等を、出力端子VOにおけるノイズ状況や電子機器や
筐体の仕様・定格に応じて最適化する必要はない。抑制すべきノイズ帯域に応じて汎用的に使用して効果を奏することができる。簡易かつ簡単に、そして汎用的に出力信号に混入する放射性ノイズおよび伝導性ノイズの抑制を図ることができる。
【0089】
また、モールド部23のうちフランジ部23bのモールドの厚みは、アンカー部11cあるいは台座部21の厚みで規定される。この厚みはスイッチング電源5等の電子機器が収納されている金属製
筐体3のサイズからすれば僅少なものとすることができる。実施形態のノイズフィルタモジュール1では、内蔵に代えてフランジ部23bが金属製
筐体3より外方に突出するのであるが、フランジ部23bの厚みは僅少であり、ノイズフィルタモジュール1を金属製
筐体3に内蔵する場合に比して、実装容積の増大は軽微に抑えることができる。
【0090】
また、ノイズフィルタモジュール1をモールド樹脂が充填されたモールド部23で構成するため、振動、塵芥、温度等の周辺環境に対する信頼性を確保することができる。特に、過酷な周辺環境で使用される自動車用途に適用することで信頼性を向上させることが可能である。
【0091】
また、磁性体コア13の貫通方向の両端面に電磁遮蔽板15を備えることにより、磁性体コア13に挿通される導電バー11を外界からシールドすることができる。これにより、導電バー11から他の電子部品や外部の電子機器に放射性ノイズが伝搬することを抑制することができる。同時に、他の電子部品や外部から導電バー11に放射性ノイズが混入することを抑制することができる。
【0092】
また、導電バー11は、両端部に外部部材を接続するための接続部であるボルト部11aが設けられ、一方のボルト部11aから他方のボルト部11aまでが直線状で単一の金属部材で形成される。導電バーが複数の部材で構成され各々を固定する固定部材も必要となる一般的な構成とは異なり、部材間の接触抵抗を低減することができる。また、部品点数の削減と組み付け作業の簡略化をすることができる。製造コストを低減することができる。
【0093】
また、導電バー11は、ボルト部11a、中央部11b、およびアンカー部11cの各々が円柱状に形成されているので、1つの円柱状の基材から冷間圧造加工により導電バー11を形成することができる。したがって、導電バー11を容易に製造することができる。
【0094】
また、導電バー11に、ボルト部11aや中央部11bより径大のアンカー部11cを備えることにより、導電バー11に貫通方向の力が加えられた場合に、モールド部23との間の導電バー11の貫通方向への相対的な移動を規制することができる。また、導電バー11に実装基板17が固着されており貫通方向から見た両者の形状が異なることから、導電バー11に貫通方向の力が加えられた場合に、実装基板17によってもモールド部23との間の導電バー11の貫通方向への相対的な移動を規制することができる。さらに、実装基板17を備えていることにより、導電バー11に周方向の力が加えられた場合に、周方向へのモールド部23との間の導電バー11の相対的な移動を規制することができる。
【0095】
また、導電バー11の両端部にボルト部11aを備えることにより、部材を追加することなく、スイッチング電源5にノイズフィルタモジュール1がモールドされたモールド部23を接続し、モールド部23に設けられる出力端子VOを外部の電子機器に接続することができる。例えば、自動車用等の用途においてノイズ低減装置を固定する際にボルト締めが推奨される場合にも、導電バー11にボルト部11aを備えていることから一体に取り付けることができる。固定の際に固定部材等の追加部品は不要であり作業工数も削減することができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0096】
また、本願に開示される第2実施形態のπ型フィルタモジュール1Aを構成するコンデンサC1、C2、チョークコイルL1について、スイッチング電源5との間の電磁的結合が抑制される。π型フィルタモジュール1Aが金属製
筐体3Aより外方に設置して取り付けられた際、モールド部23A内に収納されているコンデンサC1、C2、チョークコイルL1が金属製
筐体3Aより外方に配置され、金属製
筐体3Aにより電磁的にシールドされるからである。
【0097】
また、モールド部23A内に収納されているコンデンサC1、C2の接地電位GNDは台座部21Aを介して金属製
筐体3Aから供給されるため、接地電位GNDに混入するスイッチング電源5の動作に伴う電圧変動が抑制される。金属製
筐体3Aは充分に低いインピーダンスを有しているため、スイッチング電源5の動作に伴って生ずる過渡的な動作電流の流れに伴う電圧変動が金属製
筐体3Aに伝搬することが抑制されるからである。これにより、接地電位GNDを介したコンデンサC1、C2への電圧変動の回り込みは抑制される。
【0098】
コンデンサC1、C2への電磁的結合の抑制および接地電位GNDを介した電圧変動の回り込みの抑制により、放射性ノイズおよび伝導性ノイズが出力端子VOに伝搬することが抑制される。
【0099】
また、第2実施形態のπ型フィルタモジュール1Aは、実装基板17を導電バー11に2つ配置したことによって、第1実施形態と比し、貫通方向および周方向への導電バー11の相対的な移動をさらに規制することができる。
【0100】
また、第2実施形態のπ型フィルタモジュール1Aのモールド部23Aのフランジ部は、第1実施形態のフランジ部23bより、金属製
筐体3Aの外方に突出する部分の厚みが増すが、スイッチング電源5等の電子機器が収納されている金属製
筐体3Aのサイズからすれば僅少なものとすることができる。π型フィルタモジュール1Aを金属製
筐体3Aに内蔵する場合に比して、実装容積の増大は軽微に抑えることができる。
【0101】
また、本願に開示される第3実施形態のノイズフィルタモジュール1は、実装基板17Bの第1固定部31Bおよび第2固定部33Bは平板状の形状を有しているので、第1実施形態の第1固定部31および第2固定部33とは異なり、実装基板17Bを形成する工程で円弧状の形状に成型する工程が不要となる。これにより、製造コストを低減することができる。
【0102】
また、本願に開示される第4実施形態のノイズフィルタモジュール1は、貫通孔17Cbの内側面を、実装基板17Cの表面および裏面の導電配線39b、39dと接続される筒状導電配線39eで被覆するので、円柱状の台座部21を貫通孔17Cbに挿入することで、台座部21と導電配線39b、39dとの導通を取ることができる。貫通孔17Caについても同様であり、導電バー11のボルト部11aを貫通孔17Caに挿入することで、導電バー11と導電配線39a、39dとの導通を取ることができる。また、貫通孔17Ca、17Cbの内側面を覆う筒状導電配線で、導電バー11、台座部21に接続するため、導通をとるのに充分な接触面積を確保し接触抵抗を低くすることができる。
【0103】
また、本願に開示される第5実施形態のノイズフィルタモジュール1は、第1実施形態とは異なり実装基板17がないため、部品点数の低減および製造工程の簡素化を図ることができ、製造コストを低減することができる。
【0104】
また、第2乃至第6実施形態において、特に言及しない構成および作用効果については、第1実施形態と同様の構成および作用効果を奏するものである。
【0105】
尚、本願に開示される技術は前記実施形態に限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、第1実施形態では、チップコンデンサ37(コンデンサC1)が金属製
筐体3より外方に位置することに加えて、磁性体コア13の出力端子VO側の一部がフランジ部23bに収められて導電バー11のうち出力端子VOに係る部分が金属製
筐体3より外方に位置する場合について例示した。これにより、金属製
筐体3を利用して、スイッチング電源5等の金属製
筐体3の内部との電磁的結合を抑制して放射性ノイズの混入を低減することを説明した。しかしながら、本願はこれに限定されるものではない。磁性体コア13の出力端子VO側の先端部が金属製
筐体3の外方に突出していなくとも、出力端子VO側から突出する導電バーが金属製
筐体3の開口部30の内部に位置していれば、出力端子VOに係る導電バー11の部分は金属製
筐体3によりシールドされる。これにより、電磁的結合を抑制して放射性ノイズの混入を低減することができる。また、磁性体コア13が金属製
筐体3の内方に位置していたとしても、チップコンデンサ37(コンデンサC1)が金属製
筐体3より外方あるいは金属製
筐体3の開口部30内に位置していれば、チップコンデンサ37(コンデンサC1)が放射性ノイズからシールドされたノイズフィルタモジュールを構成することができる。ここで、シールドされるチップコンデンサ37はノイズフィルタモジュールを構成するすべてのコンデンサC1である必要はない。複数のチップコンデンサ37が直列あるいは並列に接続されている場合に、直列あるいは並列接続されているチップコンデンサ37の少なくとも一つが金属製
筐体3より外方あるいは金属製
筐体3の開口部30内に位置していれば、シールド効果を奏することができる。
【0106】
また、モールド部23の全体、または、チップコンデンサ37(コンデンサC1)があるフランジ部23b、あるいは磁性体コア13の出力端子VO側の一部があるコア部23aやフランジ部23bを金属製部材(金属製壁)で囲むことも考えられる。これにより、金属製部材(金属製壁)で囲まれたチップコンデンサ37(コンデンサC1)や磁性体コア13から突出した出力端子VOに係る導電バー11が電磁シールドされるので、放射性ノイズの伝搬を抑制することができる。この場合、電磁シールドを施すべき部位は、出力端子VOから、少なくとも、チップコンデンサ37(コンデンサC1)の一部までの領域であればよい。これにより、電磁的結合が抑制されて、出力電圧に放射性ノイズが混入することを抑制することができる。
【0107】
また、第1実施形態では、ノイズフィルタモジュール1をモールドする樹脂として熱硬化性樹脂を使用する場合について説明したが、PPS(PolyPhenylene Sulfide)やPBT(PolyButylene Terephthalate)などの熱可塑性樹脂を使用することができることは言うまでもない。
【0108】
また、第2実施形態では、π型フィルタモジュール1Aを構成する構成として、実装基板17を2つ使用する場合について例示して説明をした。しかしながら本願はこれに限定されるものではない。実装基板17の少なくとも1つを実装基板17B(
図8)、実装基板17C(
図12)に置き換えることもできる。さらに、実装基板に代えて積層セラミックコンデンサ等のリードタイプコンデンサを実装することも可能である。
【0109】
図18(A)乃至(E)に導電バーのその他の実施形態を示す。
図18(A)に示す導電バー111はボルト部111aと胴体部111bを有する。導電バー111は第1実施形態の導電バー11の中央部11bを設けず、すなわち、第1実施形態のアンカー部11cがない構造である。また、第1実施形態で示した実装基板17を備えることにより、貫通方向および周方向への移動を規制することができる。
【0110】
図18(B)に示す導電バー112は、ボルト部112a、中央部112b、およびアンカー部112cを有する。導電バー112の中央部112bが平板状に形成されたものである。この導電バー112の場合には、後述する
図19に示すような内側壁が矩形形状を有する磁性体コア(例えば、コ字状の磁性体コア132(
図19(B)参照)、分離型の磁性体コア133(
図19(C)参照))を使用すれば、導電バー112の中央部112bの各面から磁性体コアの内側面までの距離を均等にすることができる。また、中央部112bを形成するには、第1実施形態で例示した導電バー11の中央部11bを鍛造加工等により押しつぶすことで成型することができる。
【0111】
図18(C)に示す導電バー113は、ボルト部113a、中央部113b、アンカー部113c、および端子部113dを有する。第1実施形態の導電バー11における一方側(スイッチング電源5と接続する側)のボルト部11aに代えて端子部113dを備える。端子部113dは平板状の形状を有し接続孔を設けたものとなっている。端子部113dの形状は一般的な導電バーと同様な構成であり、既設の電子機器に、本発明の導電バー113を適応することができる。
【0112】
図18(D)に示す導電バー114は、導電バー113(
図18(C)参照)の中央部113bに代えて、導電バー112(
図18(B)参照)の中央部112bと同様の形状を有する中央部114bを備える構成である。導電バー112の場合と同様に、
図19(B)に示すようなコ字状の磁性体コア132や、
図19(C)に示す分離型の磁性体コア133を使用して好都合である。また、導電バー113の場合と同様に、端子部114dに接続孔が設けられた平板状の形状であり、一般的な導電バーを用いている既設の電子機器に適応することができる。
【0113】
図18(E)の導電バー115はボルト部115aと胴体部115bとを有する。胴体部115bには、内側に凹んで形成された溝部115cを有する。胴体部115bがボルト部115aより拡径で構成されることに加えて、溝部115cにモールド部材が入り込むことにより、貫通方向への相対的な移動を規制することができる。さらに、溝部115cにより周方向への相対的な移動も規制することができる。なお、溝部115cに代えて、胴体部115bの内径側に凹む形状を有していれば、溝状に限定されるものではなく、例えば、円形、矩形などの開口形状を有する孔部などの形状を設けることで、同様の作用効果を奏することができる。また、孔部をネジ穴とし、モールド部材で覆うことができる程度の小さいボルトを胴体部115bから突出するように取り付ける構成としてもよい。また、胴体部115bを加工することにより、胴体部115bから外側に凸となるような構成を形成してもよい。
【0114】
図19(A)乃至(C)に磁性体コアのその他の実施形態を示す。
図19(A)に示す磁性体コア131は、半円環状に形成された第1のコア131aおよび第2のコア131bを組み合わせて中空部131cとスリット131dとを形成する分割型磁性体コアである。
図19(B)に示す磁性体コア132は中空部132cとスリット132dとを有するコ字状の磁性体コアである。
図19(C)に示す磁性体コア133は第1コア133aおよび第2コア133bを組み合わせて中空部133cとスリット133dとを形成する分割型の磁性体コアである。
図19では、磁性体コアの磁束が周回する磁路の1か所にスリット131d、132b、133dを備える。
【0115】
また、磁性体コア13、131〜133を例示して、軸に平行にスリット13b、131d〜133dが設けられているものとして説明した。しかしながら、本願はこれに限定されるものではない。スリット13b、131d〜133dが設けられるのは、磁性体コア13、131〜133における磁気抵抗を調整して磁気飽和の発生を防止するためである。したがって、磁性体コアの体格や流れる電流定格などによっては、スリットを設けなくとも磁気飽和を生じない構成とすることが可能であることは言うまでもない。また、
図19(A)、(C)については、2つのコアを組み合わせるそれぞれの接続部に2つのスリットを備える構成とすることもできる。