(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の第1位置と第2位置との間を移動可能な装飾体を有する可動遊技手段を備えており、所定の条件が満たされると、前記装飾体が前記第1位置から前記第2位置へ移動する遊技機であって、
前記可動遊技手段に、固定レール、前記固定レール上をスライドする移動レール、及び前記移動レール上をスライドする移動体を備え、前記固定レール上の前記移動レールのスライドと前記移動レール上の前記移動体のスライドとの組み合わせにより、前記移動体が基端位置と先端位置との間をスライドするスライド手段を設けるとともに、前記基端位置と前記先端位置とが水平、若しくは、前記基端位置が前記先端位置よりも下方に位置する第1回動姿勢と、前記先端位置が前記基端位置よりも下方に位置する第2回動姿勢との間で、前記基端位置側を軸として前記スライド手段を回動させる回動手段を設け、さらに前記スライド手段が前記第2回動姿勢となったことに伴い先端位置へスライドした前記移動体を、前記スライド手段が前記第1回動姿勢へ復帰するに際して、前記基端位置へ復帰させる復帰手段を設けており、
前記装飾体を前記移動体に固定し、前記スライド手段が前記第1回動姿勢にあって前記移動体が前記基端位置にあると前記装飾体は前記第1位置にあり、前記所定の条件が満たされると、前記スライド手段が前記第1回動姿勢から前記第2回動姿勢へ回動することにより、前記装飾体は前記移動体と共に回動しながら前記先端位置側へスライドし、前記移動体の前記先端位置への到達をもって、前記装飾体は前記第2位置へ移動する一方、
前記装飾体に、飾り部を有する飾り部材を、前記飾り部が前記装飾体内に位置する退避姿勢と、前記飾り部が前記装飾体から突出する演出姿勢との間を回動可能に設けるとともに、
前記固定レールに作用突起を、前記飾り部材に、前記作用突起との干渉を避けるための逃げ部と、前記逃げ部から連続して設けられ、前記作用突起が干渉可能な被作用部とを夫々設け、前記装飾体が前記第1位置にある際には、前記作用突起が前記逃げ部に対応した位置にあって、前記飾り部材が前記退避姿勢をとっており、
前記作用突起が、前記装飾体の前記先端位置側へのスライドに伴って前記被作用部側へ相対的に移動し、前記被作用部に干渉することによって、前記飾り部材を前記退避姿勢から前記演出姿勢へ姿勢変更させることを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるパチンコ機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
(パチンコ機の全体的な説明)
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図である。
図2は、装飾可動体32が退避位置にある遊技盤2を前面側から示した説明図である。
図3は、装飾可動体32が演出位置にある遊技盤2を前面側から示した説明図である。
図4は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。
パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス板を支持してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に機枠3に蝶着されており、該前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域16とされている。
【0011】
当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23及び内レール24等によって囲まれており、遊技領域16に左部における両レール23、24間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の略中央には、「0」〜「9」の数字からなる装飾図柄やキャラクター等を表示するための演出用表示部6が設けられている。さらに、演出用表示部6を囲むようにセンター部材26が遊技盤2に設置されており、該センター部材26には、演出用表示部6の上側の退避位置(第1位置)と、演出用表示部6の前側の演出位置(第2位置)との間を移動可能な装飾体32を有する電動役物31が設けられている。また、センター部材26の下方には、遊技球が入賞可能な始動入賞口19と、開閉可能な扉部材を有する第1大入賞装置17とが設けられている。さらにまた、センター部材26の左方から下方にかけては、遊技球が流下可能な左打ち用スペースSLが形成されており、左打ち用スペースSLを流下させることで、効率良く始動入賞口19や開成した第1大入賞装置17へ入賞させ得るようになっている。さらに、センター部材26の左側部には、左打ち用スペースSLを流下させるべく遊技領域16の上部空間へ打ち込まれた遊技球を、左打ち用スペースSL側へ導くための合成樹脂製の遊技球通路部30が、センター部材26と一体的に設けられている。
【0012】
一方、センター部材26の右方にも遊技球が流下可能な右打ち用スペースSRが形成されている。また、該右打ち用スペースSRには、可動体(図示せず)を有して遊技球の入賞を可能/不可能とする可動入賞役物を内蔵した入賞装置20、及び開閉可能な扉部材を有する第2大入賞装置18が設置されている。そして、遊技球を左打ち用スペースSLではなく右打ち用スペースSRを流下させることにより、入賞装置20の可動入賞役物や、開成した第2大入賞装置18へ入賞させることができる。なお、左打ち用スペースSLや右打ち用スペースSRには、多数の遊技釘(図示せず)が植設されている。また、遊技領域16外となる遊技盤2の右下部には、第1特別図柄及び第2特別図柄を夫々別個に表示可能とした特別図柄表示部83が設けられている。
【0013】
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、発射装置10へ供給する遊技球を貯留するための供給皿7、及び供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が取り付けられており、供給皿7は前扉4の開放に伴い、貯留皿8はミドル枠5の開放に伴い夫々機枠3に対して片開き可能となっている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させ、遊技球の遊技領域16への打ち込み強度を調整するためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。加えて、供給皿7の前方には、遊技者が任意に押し込み操作可能な押しボタン25が設けられている。
さらに、前扉4の上部には、効果音や各種メッセージ等を報音する夫々一対のスピーカ14、14が設けられている。加えて、前扉4の左右両側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを内蔵したランプ部材15、15・・が設けられている。
【0014】
一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、及び各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、21は、合成樹脂製のカバー状に形成されたセンターカバーであって、当該センターカバー21の内部には、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂大当たり抽選等)を実行するためのメイン制御装置(図示せず)、演出用表示部6における表示動作等を制御する表示制御装置(図示せず)、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置(図示せず)、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置(図示せず)、及び表示制御装置や音制御装置等の動作を統合的に制御するサブ制御装置(図示せず)等が設置されている。尚、22は、パチンコ機1をトランスに接続するためのプラグであり、27は、アースである。
【0015】
以上のようなパチンコ機1では、遊技者はハンドル9を回動操作して発射装置10を作動させ、発射通路13を介して遊技球を遊技領域16内へ打ち込み、まずは遊技球通路部30を介して左打ち用スペースSLを流下させる等し(所謂左打ちを行い)、始動入賞口19への遊技球の入賞を狙う。そして、始動入賞口19への遊技球の入賞検知に起因して実行される所謂大当たり抽選の結果が「大当たり」になると、特別図柄表示部83及び演出用表示部6に夫々所定の「大当たり図柄」が確定表示される(たとえば、演出用表示部6に「7、7、7」と確定表示させる)。また、「大当たり図柄」が確定表示されると、第1大入賞装置17を所定回数にわたって断続的に開成させるといった所謂「大当たり状態」が生起する。そこで、遊技者は左打ちを継続し、断続的に開成する第1大入賞装置17への遊技球の入賞を狙う。なお、始動入賞口19へ遊技球が入賞した場合、特別図柄表示部83では第1特別図柄を変動/確定表示させる。
【0016】
また、大当たり状態が終了すると、第1特別図柄及び第2特別図柄の合計の確定表示回数が所定回数に達するまで、入賞装置20への遊技球の進入検知に起因して実行される所謂当たり抽選の結果が「当たり」となりやすく、入賞装置20の内部において可動入賞役物が頻繁に開状態となって遊技球の入賞を可能とする所謂時短状態が生起する。そこで、遊技者は、遊技球を右打ち用スペースSRへ打ち込んで流下させる所謂右打ちを行い、可動入賞役物への遊技球の入賞を狙う。そして、可動入賞役物へ遊技球が入賞すると、上記始動入賞口19へ遊技球が入賞した場合と同じく大当たり抽選が実行され、該大当たり抽選の結果が「大当たり」になると、特別図柄表示部83及び演出用表示部6に夫々所定の「大当たり図柄」が確定表示される。また、可動入賞役物への遊技球の入賞に応じて「大当たり図柄」が確定表示されると、第2大入賞装置18を所定回数にわたって断続的に開成させるといった「大当たり状態」が生起する。そこで、遊技者は右打ちを継続し、断続的に開成する第2大入賞装置18への遊技球の入賞を狙う。なお、可動入賞役物へ遊技球が入賞した場合、特別図柄表示部83では第2特別図柄を変動/確定表示させる。
【0017】
一方、「大当たり状態」が生起することなく、第1特別図柄及び第2特別図柄の合計の確定表示回数が所定回数に達して時短状態が終了すると、右打ちを止めて左打ちを行う上記遊技へと戻る。
さらに、図柄の変動表示中において、特定のリーチ演出が実行される等といったように所定の条件が満たされると、サブ制御装置による制御のもと電動役物31を作動させ、後述の如き動作で装飾可動体32を退避位置から演出位置へ移動させ、遊技者に「大当たり状態」生起の期待感を抱かせる。
【0018】
(電動役物の説明)
ここで、本発明の要部となる電動役物31について、
図5〜
図18にもとづき詳細に説明する。
図5は、装飾可動体32が退避位置にある状態の電動役物31を前側から示した説明図である。
図6は、装飾可動体32が演出位置にある状態の電動役物31を前側から示した説明図である。
図7は、支持アーム体56が第1回動姿勢にある状態の回動機構及びスライド機構を前側から示した説明図である。
図8は、支持アーム体56が第2回動姿勢にある状態の回動機構及びスライド機構を前側から示した説明図である。
図9は、分解状態にある回動機構を前側から示した斜視説明図である。
図10は、分解状態にある回動機構を後側から示した斜視説明図である。
図11は、スライド機構及び分解状態にある装飾可動体32を前側から示した斜視説明図である。
図12は、スライド機構及び分解状態にある装飾可動体32を後側から示した斜視説明図である。
図13は、上飾り部材68及び下飾り部材69が退避姿勢にある状態の装飾可動体32の内部を前側から示した説明図である。
図14は、退避姿勢にある下飾り部材69と作用突起63との関係を前側から示した説明図である。
図15は、退避姿勢にある上飾り部材68及び下飾り部材69と作用突起63との関係を後側から示した説明図である。
図16は、上飾り部材68及び下飾り部材69が演出姿勢にある状態の装飾可動体32の内部を前側から示した説明図である。
図17は、演出姿勢にある下飾り部材69と作用突起63との関係を前側から示した説明図である。
図18は、演出姿勢にある上飾り部材68及び下飾り部材69と作用突起63との関係を後側から示した説明図である。
【0019】
電動役物31は、退避位置と演出位置との間を移動する装飾可動体32と、前後方向を軸として装飾可動体32を上下に回動させるための回動機構と、回動に応じて装飾可動体32を所定方向へスライドさせるためのスライド機構とを備えてなる。
回動機構は、モータ35と、モータ35に直結されたモータピニオン36と、モータピニオン36が噛合する連結用ピニオン37と、連結用ピニオン37が噛合するカム付きピニオン38と、カム付きピニオン38の回転に応じて上下方向へスライドするスライド体39と、スライド体39のスライドに応じ前後方向を軸として回動する回動アーム体40と、後ケース及び前ケースからなる第1ケーシング部材43とを有する。
【0020】
モータ35は、前後方向を軸として回転可能に第1ケーシング部材43へ固定されており、前方へ突出するモータ35の軸にモータピニオン36が嵌着されている。また、モータピニオン36の近傍に、モータ35の回転駆動をカム付きピニオン38に伝えるための連結用ピニオン37が、前後方向を軸として回転可能に取り付けられている。さらに、連結用ピニオン37の近傍に、後面にカム44を備えたカム付きピニオン38が、前後方向を軸として回転可能に取り付けられている。カム44は、外周縁部の一部が径方向で他の部位よりも突出するような形状に形成されており、その外周面にスライド体39に設けられた突起45が当接している。そして、カム付きピニオン38の回転に伴い、突起45がカム44の外周面に沿って移動することで、スライド体39が上昇位置と下降位置との間を上下方向へ作動するようになっている。
【0021】
また、カム付きピニオン38の後方に、スライド体39が取り付けられている。そして、該スライド体39の前面上端部に、上述したようにカム44の外周面に当接する突起45が突設されている。また、スライド体39の後面には、後方へ突出する2つの案内突起46、46が設けられている。各案内突起46は、第1ケーシング部材43の後ケースに設けられた上下方向へ長い長孔状の案内孔47に嵌入しており、案内突起46、46が案内孔47、47内を移動することで、スライド体39の上下方向へのスライドが案内され、案内突起46、46が案内孔47、47の下端に到達したことをもって、スライド体39の下降位置からの更なる下方へのスライドが規制されるようになっている。さらに、スライド体39の前面下端部には、回動アーム体40の連結突起50を差し込み可能な凹部48が設けられている。加えて、カム付きピニオン38の下方で、スライド体39の前方となる位置に、回動アーム体40が左端部を軸として回動可能に取り付けられている。回動アーム体40は、左右方向に長い合成樹脂製の棒状部材であり、左端部に、第1ケーシング部材43へ軸着される回動軸部49が設けられている。また、回動軸部49の右隣に、スライド体39の凹部48内へ相対的に回動可能に差し込み可能な連結突起50が後方へ突設されている。さらに、回動体アーム体40の右端部に、装飾可動体32の後面から突出する連結軸72の後端を軸支する軸受け部51が設けられている。
【0022】
一方、スライド機構は、スライドレール55と、スライドレール55を支持する支持アーム体56と、支持アーム体56が軸着される第2ケーシング部材61とを有する。スライドレール55は、左右方向へ長い帯状の固定レール57と、固定レール57内を固定レール57に沿ってスライド自在な移動レール58と、移動レール58内を移動レール58に沿ってスライド自在な移動体59とを備えてなる。また、支持アーム体56は、左右方向へ長い合成樹脂製の棒状部材であり、前面に固定レール57を固定可能となっている。さらに、支持アーム体56の右端部に、前後方向を軸として回動可能に第2ケーシング部材61へ軸着するための軸部60が設けられている。加えて、支持アーム体56の下辺部で、固定レール57の固定部の下側となる位置には、下方へ突出する舌部が設けられており、該舌部には、後述する上飾り部材68及び下飾り部材69を作動させるための作動突起63が前方へ突設されている。なお、第2ケーシング部材61は、板金62等を介して第1ケーシング部材43と一体化されている。
【0023】
また、装飾可動体32は、前側ケース65と後側ケース66とを組み付けてなる本体ケースを有しており、該本体ケース内に、複数のLEDが搭載された発光基板67や、本体ケースに対して突出/埋入する上飾り部材68及び下飾り部材69等が設置されてなる。前側ケース65は、後側に開口し、後側ケース66の前方を覆うように組み付けられるケース体であって、正面視が所定のキャラクター形状(ここでは魚)に形成されている。該前側ケース65の中央部には、透光窓70が開設されており、該透光窓70には、透光性を有する合成樹脂からなる装飾カバー71(
図11等では省略)が取り付けられている。一方、後側ケース66は、前面に発光基板67等の各種部材を固定可能な基台状に形成されてなるものであって、上部稍左寄りとなる位置には、回動アーム体40に連結される連結軸72が挿通可能な軸孔部73が設けられている。また、軸孔部73の右側には、左右方向(スライドレール55における固定レール57の延設方向、すなわち装飾可動体32のスライド方向に平行な方向)へ長い長孔状のスリット74が開設されており、支持アーム体56に設けられた作動突起63が、該スリット74を介して本体ケース内へ進入可能となっている。さらに、後側ケース66の後面で、スリット74の上方となる位置には、移動体59に後側ケース66を固定するための固定部82が設けられている。
【0024】
上飾り部材68は、左右方向(すなわち、装飾可動体32のスライド方向に平行な方向)に長い正面視への字状の上アーム部68aと、上アーム部68aの先端側の上辺部に沿って設けられた上飾り部68bとを有している。また、上アーム部68aの基端部(基端位置側の端部)に、上飾り部材68を本体ケースに対し前後方向を軸として上下へ揺動自在に取り付けるための下揺動軸部75が設けられている。そして、上飾り部材68は、当該下揺動軸部75を軸として、上飾り部68bが上昇して本体ケースから上方に突出する第1演出姿勢と、上飾り部68bが下降して本体ケース内へ埋入する第1退避姿勢との間で揺動可能となっている。また、下揺動軸部75の上方には、自身の揺動に際して下飾り部材69を押圧するとともに、下飾り部材69の揺動に際して押圧され、両飾り部材68、69を互いに連動させるための押圧突起76が後方へ突設されている。
【0025】
下飾り部材69は、上飾り部材68同様、左右方向に長く形成され、上飾り部材68とは上下逆さとなるような正面視逆への字状の下アーム部69aと、下アーム部69aの先端側の下辺部に沿って設けられた下飾り部69bとを有しているとともに、上飾り部材68よりも軽量となっている。また、下アーム部69aの基端部(基端位置側の端部)に、下飾り部材69を本体ケースに対し前後方向を軸として上下へ揺動自在に取り付けるための上揺動軸部77が設けられている。そして、下飾り部材69は、上飾り部材68の後方で上揺動軸部77を軸として、下飾り部69bが下降して本体ケースから下方に突出する第2演出姿勢と、下飾り部69bが上昇して本体ケース内へ埋入する第2退避姿勢との間で揺動可能となっている。また、上揺動軸部77の下方には、押圧突起76が進入可能で、上飾り部材68の揺動に際して押圧突起76により押圧されるとともに、自身の揺動に際して上飾り部材68の押圧突起76を押圧し、両飾り部材68、69を互いに連動させるための被押圧孔78が設けられている。さらに、下アーム部69aの上辺部には、装飾可動体32(移動体59)のスライドに伴いスリット74内を相対的に移動する作用突起63との干渉を避けるべく、スリット74よりも下方へ切り欠かれた逃げ部85が設けられている。加えて、下アーム部69aの上辺部で、逃げ部85よりも基端側の上辺部には、本体ケースへの取付時に、スリット74の前方(すなわち、作用突起63の移動軌跡上)に達するまで上方へ膨出する被作用部79が逃げ部85から連続して設けられており、装飾可動体32のスライドに伴い作用突起63がスリット74内を相対的に右側へ移動した際、被作用部79の上面に作用突起63が干渉し、下飾り部材69に対して第2演出姿勢へと揺動する側へ負荷がかかるようになっている。なお、押圧突起76の被押圧孔78への進入位置は、上下に所定間隔離して並設された上揺動軸部77と下揺動軸部75との上下間で両軸部75、77よりも稍左寄り(先端位置寄り)の位置となっているとともに、下揺動軸部75と押圧突起76との直線距離と、上揺動軸部77と被押圧孔78との直線距離は略同じとなっている。
【0026】
加えて、80は、発光基板67を前面側から押さえるように後側ケース66へ固定される押さえ板であり、連結軸72の前端の軸支にも使用される。また、81は、上飾り部材68及び下飾り部材69の揺動軸の前端を軸支するために後側ケース66へ固定される軸支板である。そして、該軸支板81には、第1退避姿勢にある上飾り部材68の上アーム部68aの下面に当接し、上飾り部材68の第1退避姿勢を越えての下方への揺動を規制する規制突起84が設けられている。なお、連結軸72の後端は回動アーム体40の軸受け部51に、上飾り部材68及び下飾り部材69の揺動軸の後端は後側ケース66に設けられた軸支部に夫々軸支される。
【0027】
上記構成を有する装飾可動体32は、軸孔部73を介して連結軸72を後側ケース66よりも後方へ突出させた状態で、押さえ板80を固定する等して発光基板67を取り付けるとともに、上飾り部材68の押圧突起76を下飾り部材69の被押圧孔78内へ前側から差し込んだ状態で、軸支板81等を用いて両飾り部材68、69を取り付け、さらに後側ケース66の前方を覆うように前側ケース65を組み付けることによって、組み立てられる。また、該装飾可動体32は、連結軸72の後端を回動アーム体40の軸受け部51に軸支させるとともに、固定部82を移動体59の前面側に固定することによって、回動機構及びスライド機構と連結される。このとき、支持アーム体56の作用突起63は、スリット74を介して装飾可動体32の内部へ進入しており、その先端と下飾り部材69とが上下方向で重なった状態となっている。また、作用突起63の先端は、下飾り部材69の前方に位置する上飾り部材68までは達しておらず、上飾り部材68の揺動時に、上飾り部材68と作用突起63とは干渉しないようになっている。
【0028】
そして、上述したような電動役物31における装飾可動体32の退避位置と演出位置との間の移動について説明すると、通常時、回動機構においてカム44の突出部の先端上に突起45が位置しており、スライド体39が上昇位置にある。そのため、回動アーム体40は、装飾可動体32との連結部が上方に位置する上回動姿勢をとっており、装飾可動体32は、
図5等に示すような退避位置にある。また、このとき支持アーム体56は先端側と基端側とが略水平(厳密には、先端側が基端側よりも僅かに上方に位置している)となるような第1回動姿勢をとっており、装飾可動体32も退避位置では略水平姿勢となっている。さらに、支持アーム体56において、移動体59は移動レール58の右端に位置しており、移動レール58は固定レール57の略右端に位置している(移動体が基端位置に位置している)。
【0029】
ここで、モータ35が駆動してカム付きピニオン38、ひいてはカム44が右回りに回転すると、突起45がカム44の突出部の先端を越えて下方へ落下する格好となり、スライド体39が上昇位置から下降位置へスライドする。そのため、回動アーム体40は、連結突起50が下方へ押されることになり、左端を軸として上記上回動姿勢から装飾可動体32との連結部が下方に位置する下回動姿勢側へ回動を開始する。このとき、装飾可動体32が連結部に下側へ引っ張られるため、装飾可動体32が固定されている移動体59、ひいては支持アーム体56に下方へ負荷がかかり、支持アーム体56が右端(スライド手段の基端位置側)を軸として上記第1回動姿勢から先端側が基端側よりも下方に位置する第2回動姿勢側へ回動を開始し、装飾可動体32の姿勢も支持アーム体56と同じ左下がりの傾斜姿勢となる。また、装飾可動体32が回動アーム体40により左側へ引っ張られること、及び、支持アーム体56が左下がりの姿勢になることにより、移動レール58が固定レール57に沿って左側へスライドを開始するとともに、移動体59が移動レール58に沿って左側へスライドを開始する。すなわち、装飾可動体32は、支持アーム体56と共に回動しながら、スライドレール55によって左下方へスライドすることになる。そして、スライド体39が下降位置に達して回動アーム体40が下回動姿勢を、支持アーム体56が第2回動姿勢を夫々とったことをもって、装飾可動体32は、
図6等に示すような演出位置へと移動することになる。このとき、移動レール58は固定レール57の左端に達しており、移動体59は移動レール58の略左端に達している(移動体が先端位置に位置する)。
【0030】
なお、演出位置から退避位置への復帰は、上記カム44の突出部の先端上に突起45が位置するまで、モータ35を更に駆動させてカム44を右回りに回転させればよい。すると、カム44の外周面に沿って突起45、ひいてはスライド体39が持ち上げられ、回動アーム体40が上回動姿勢へと復帰する。したがって、支持アーム体56も第1回動姿勢へ復帰し、装飾可動体32は回動アーム体42に押し戻される格好で退避位置へ復帰することになる。
【0031】
次に、装飾可動体32における上飾り部材68及び下飾り部材69の動作について説明すると、装飾可動体32が退避位置にある(移動体が基端位置にある)と、作用突起63はスリット74の略左端に位置して逃げ部85の上方にあり、下飾り部材69と干渉していない。そして、上飾り部材68は、自重によって退避姿勢をとっている。一方、下飾り部材69については、押圧突起76と被押圧孔78とのリンクにより、第2退避姿勢へと揺動する側へ負荷がかけられた状態となっている。したがって、そのような負荷に加え、下飾り部材69が上飾り部材68よりも軽量に形成されていることから、下飾り部材69は重力に抗して第2退避姿勢をとっている。
【0032】
ここで、装飾可動体32が演出位置へ移動する(移動体が先端位置へスライドする)と、作用突起63は、スリット74内を相対的に右側(基端位置側)へ移動する。そして、作用突起63は、スリット74の右端に到達するまでの間に、下飾り部材69の被作用部79の上面に当接し、被作用部79、ひいては下飾り部材69を押し下げる。したがって、下飾り部材69は、第2退避姿勢から下方へ揺動して第2演出姿勢をとる。一方、上飾り部材68は、下飾り部材69の揺動に連動して第1退避姿勢から上方へ揺動し、重力に抗して第1演出姿勢をとる。なお、両飾り部材68、69が演出姿勢にある間、作用突起63は被作用部79の上面に当接しており、下飾り部材69の上方への揺動を規制し、両飾り部材68、69を演出姿勢のまま保持する。また、装飾可動体32の退避位置への復帰に伴い、作用突起63がスリット74内を相対的に左側へ移動して被押圧部79の上面から離れると、上飾り部材68が自重によって第1退避姿勢へ復帰し、下飾り部材69は当該上飾り部材68の復帰に連動して第2退避姿勢へ復帰する。
【0033】
(本実施形態のパチンコ機による効果)
以上のような構成を有する電動役物31を備えたパチンコ機1によれば、スライドレール55の移動体59に装飾可動体32を固定するとともに、当該スライドレール55を、先端側と基端側とが略水平となる第1回動姿勢と、先端側が基端側よりも下方に位置する第2回動姿勢との間で、基端側を軸として回動可能とし、装飾可動体32が、回動のみならず、スライドレール55の回動に応じた移動体59のスライドにより退避位置から演出位置へ移動するようにしている。したがって、従来の回動のみにより退避位置から演出位置へ移動させるものと比較して、装飾可動体32を広い範囲にわたり移動させることができ、電動役物31による演出効果の高い、すなわち遊技性の高いパチンコ機1とすることができる。
また、スライドレール55を、固定レール57と、固定レール57上をスライドする移動レール58と、移動レール58上をスライドする移動体59とから構成しているため、移動体59のスライド速度が速く、より電動役物31による演出効果の高いパチンコ機1とすることができる。さらにまた、移動体59をスライドさせるためのモータ等の駆動手段が必要でなく、部品点数の削減やそれに伴うコスト低下といった効果に加え、煩雑な配線作業を必要としない、配線用のスペースを確保する必要がない等の効果もある。
【0034】
さらに、移動体59のスライドに伴い、装飾可動体32の内部を相対的に移動する作用突起65を設ける一方、作用突起65の移動を妨げない逃げ部85と、作用突起65が干渉する被作用部79とを有する下飾り部材69を第2退避姿勢と第2演出姿勢との間で揺動可能に設け、更に、第1退避姿勢と第1演出姿勢との間で揺動する上飾り部材68を、両飾り部材68、69が互いの揺動に連動するように下飾り部材69にリンクさせて設けており、移動体59の初期位置から進出位置へのスライドにより作用突起65が被作用部79に干渉し、下飾り部材69を第2退避姿勢から第2演出姿勢へと揺動させるとともに、当該下飾り部材69の揺動に連動して上飾り部材68が第1退避姿勢から第1演出姿勢へと揺動するようにしている。また、上飾り部材68を下飾り部材69よりも重く形成することにより、作用突起65と被作用突起79との干渉が解除になると、上飾り部材68が自重により第1退避姿勢へと復帰し、当該上飾り部材68の復帰に連動して下飾り部材69も第2退避姿勢へと復帰するようにしている。したがって、装飾可動体32の内部にソレノイドやモータ等の駆動手段を設けずとも、両飾り部材68、69を作動させることができるため、部品点数を減らすことができ、コストの低減を図ることができる上、煩雑な配線作業や配線に係るスペース確保に係る問題が生じない。
【0035】
(本発明の変更例について)
なお、本発明の遊技機に係る構成は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、遊技機全体の構成は勿論、可動遊技手段に係る構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
【0036】
たとえば、上記実施形態では、回動手段とスライド手段とを別体としており、回動手段の駆動に伴い、装飾体を介して間接的にスライド手段が回動するような構成としているが、たとえば支持アーム体を直接回動させるモータを設ける等、回動手段とスライド手段とを一体に設けるような構成(すなわち、上記実施形態の回動アーム体等を設けないような構成)を採用することも可能である。
また、上記実施形態では、回動機構が復帰手段を兼ね備えるように構成しているが、装飾体を基端位置側へ付勢するバネを設ける等することにより、復帰手段を構成することも可能である。
【0037】
さらにまた、可動遊技手段をどこに設けるかといった事項、すなわちどのような位置を第1位置や第2位置とするかといった事項や、何個設けるかといった事項については適宜設計変更可能であるし、第1回動姿勢についても、基端位置と先端位置とが水平となるような姿勢を第1回動姿勢としても何ら問題はない。
またさらに、可動遊技手段が作動する契機となる所定の条件についても、上記実施形態では演出用表示部において特定のリーチ演出が実行されるとしているが、他の条件(たとえば、確変大当たり等の特定特別遊技状態が生起したといった条件や、デモ演出中に押しボタンが操作されたといった条件等が考えられる)を所定の条件としてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、上飾り部材が下側となり、下飾り部材が上側となるように両飾り部材を夫々軸着しているが、上飾り部材が上側となり、下飾り部材が下側となるように両飾り部材を夫々軸着することも可能である。さらに、上記実施形態では、下飾り部材が後側となり、上飾り部材が前側となるように両飾り部材を夫々軸着しているが、上飾り部材が後側となり、下飾り部材が前側となるように両飾り部材を夫々軸着してもよい。その場合、上飾り部材の下辺部に、スリット内を異動する作用突起との干渉を避けるためにスリットよりも上方へ切り欠かれた逃げ部を設けるとともに、逃げ部よりも基端位置側の下辺部に、本体ケースへの取付時に、スリットの前方に達するまで下方へ膨出する被作用部を逃げ部から連続して設け、移動体の先端位置側へのスライドに伴い、作用突起が被作用部の下面に干渉して、上飾り部材を押し上げるように構成すれば良い。なお、上記実施形態では、上飾り部材に押圧突起を、下飾り部材に被押圧孔を夫々設けているが、上飾り部材に被押圧孔を、下飾り部材に押圧突起を夫々設けることは当然可能であり、上飾り部材と下飾り部材とをどのように連動可能にリンクさせるかについては適宜設計変更可能である。
さらにまた、上記実施形態では、スライド手段としてスライドレールを採用し、スライド手段の回動に伴い移動体が基端位置と先端位置との間をスライドするように構成しているが、移動体をスライドさせるためのモータ等の駆動源を設けてもよいし、ピニオンとラックとを利用して移動体をスライドさせるように構成しても何ら問題はない。
【0039】
またさらに、上記実施形態では、上可動部材の自重のみにより両可動部材を演出姿勢から退避姿勢へ復帰させるように構成しているが、上可動部材と下可動部材との少なくとも何れか一方に、その可動部材を退避姿勢側へ付勢するようなねじりバネやコイルバネ等の付勢手段を補助的に設けることも可能である。また、そのような付勢手段を設けるにあたり、上可動部材の自重ではなく、付勢手段の付勢力により付勢された可動部材を退避姿勢へ復帰させるとともに、両可動部材を退避姿勢のまま維持するように構成することも可能である。その場合、上可動部材を下可動部材よりも重く形成せずとも良いことは言うまでもない。なお、ねじりバネを用いるにあたっては、下揺動軸部や上揺動軸部を利用して各可動部材を退避姿勢側へ付勢するようにねじりバネを取り付ければよいし、コイルバネを用いるにあたっては、上可動部材と下可動部材とにコイルバネの端部を夫々掛止するための掛止部等を設ければよい。
【0040】
加えて、上記実施形態では、遊技機の一例であるパチンコ機について説明しているが、本発明は、たとえば封入式パチンコ機等といった他の遊技機に対しても当然適用可能である。
なお、特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、可動遊技手段やスライド手段、回動手段、復帰手段、装飾体、移動体等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。さらには、全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、敢えて特許請求の範囲等において特定していない限り、何れも当業者であれば容易に考えられる事項である。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。