(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ディーゼルエンジンからの排出ガスを浄化する浄化要素と前記浄化要素を収容したケースとを有し、前記ケースが排出ガスを前記ケースの内部に通すための第1及び第2開口を有する浄化ユニットをディーゼル機械から取り外した状態で設置し、かつ前記浄化要素を洗浄する洗浄液を循環させるように構成される洗浄装置であって、
前記ケースの第1開口に洗浄液を送るように前記第1開口に着脱可能に接続される流入管と、
前記ケースの第2開口から洗浄液を受けるように前記第2開口に着脱可能に接続される流出管と、
前記流入管内の洗浄液をその流れに沿って付勢するように前記流入管内に圧縮気体を送る注入機構と
を備え、
前記注入機構が、前記流入管上に配置される加圧チャンバと、前記加圧チャンバ内の空洞を流れる洗浄液に向けて前記圧縮気体を噴出する加圧ノズルとを有し、
前記加圧チャンバ内の空洞が、前記流入管を通過する洗浄液の流れを屈曲させるようにくの字形状に形成される屈曲区域と、前記屈曲区域からそのくの字形状の突出側に膨らむように形成される膨出区域とを有し、
前記加圧ノズルが、前記加圧チャンバ内を通過する洗浄液をその流れ方向に沿って加圧するように前記膨出区域内に配置される、洗浄装置。
ディーゼルエンジンからの排出ガスを浄化する浄化要素と前記浄化要素を収容したケースとを有し、前記ケースが排出ガスを前記ケースの内部に通すための第1及び第2開口を有する浄化ユニットをディーゼル機械から取り外した状態で設置し、かつ前記浄化要素を洗浄する洗浄液を循環させるように構成される洗浄装置であって、
前記ケースの第1開口に洗浄液を送るように前記第1開口に着脱可能に接続される流入管と、
前記ケースの第2開口から洗浄液を受けるように前記第2開口に着脱可能に接続される流出管と、
前記流出管から送られた洗浄液を溜める貯留槽と、
前記貯留槽内の洗浄液を前記流入管に送る循環機構と
を備え、
前記ケースが、その内部を通過する洗浄液の流れを水平方向に沿わせるように配向され、かつ前記ケースが上面視で前記貯留槽と重複させるように前記貯留槽の上方に配置される、洗浄装置。
洗浄液を濾過可能とする洗浄液濾過機構を内部に収容し、かつ前記流出管から洗浄液を受けるように前記流出管に接続される濾過タンクをさらに備え、前記濾過タンクが、前記濾過タンクの内部にて前記洗浄液濾過機構を通過する洗浄液を前記貯留槽に送り、かつ上面視で前記濾過タンクの全体を前記貯留槽と重複させるように配置される、請求項2に記載の洗浄装置。
前記流入管の長手方向の一端に配置され、かつ前記ケースの第1開口に挿入されることによって前記第1開口に着脱可能に接続される流入側接続栓と、前記流出管の長手方向の一端に配置され、かつ前記ケースの第2開口に挿入されることによって前記第2開口に着脱可能に接続される流出側接続栓とをさらに備え、前記流入側及び流出側接続栓それぞれが、前記第1及び第2開口に接続された状態で前記第1及び第2開口の周縁部に当接する外周面を有し、前記流入側及び流出側接続栓の外周面のそれぞれがその挿入方向に向かって先細るように形成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る洗浄装置を含む洗浄システムについて以下に説明する。特に、本実施形態に係る洗浄装置は、ディーゼル自動車、例えば、ディーゼルエンジンを搭載するトラック、トラクター、バス等に用いられるDPFユニットを洗浄することに適する。しかしながら、本発明の洗浄装置は、ディーゼルエンジンを搭載する鉄道、船舶、発電機、ポンプ等のディーゼル機械に用いられるDPFユニットを洗浄してもよい。さらに、本発明の洗浄装置は、DPF以外の排出ガス浄化要素を含む排出ガス浄化ユニットを洗浄してもよい。例えば、洗浄装置は、尿素SCRを含む尿素SCRユニットを洗浄してもよい。さらに、洗浄装置は、尿素SCRユニット及びDPFユニットを排気ガスの流れる方向に接続することによって構成された排出ガス浄化ユニットを洗浄してもよい。
【0015】
[洗浄システムの概略について]
図1〜
図3を参照して、洗浄システムの概略について説明する。洗浄システムは、セラミック製のDPF2とこのDPF2を収容するケース3とを有するDPFユニット1を設置し、かつDPFユニット1、特に、DPF2を洗浄する洗浄装置4を備える。なお、本発明にて洗浄されるDPFは、セラミック以外の素材から作製されてもよく、例えば、DPFはステンレス製であってもよい。なお、本発明において、排出ガス浄化ユニットが、上述のように尿素SCRユニット及びDPFユニットを排気ガスの流れる方向に接続することによって構成される場合には、ケースもまた、尿素SCRユニット及びDPFユニットのケースを接続することによって構成されるものとして考慮されたい。
【0016】
本実施形態においては、洗浄システムは2つの洗浄装置4を備える。各洗浄装置4は1つのDPF2を洗浄するように構成される。DPFユニット1は、ディーゼル自動車から取り外されたものとなっている。特に、DPFユニット1は、ディーゼルエンジンからの排出ガスを通過させるディーゼル自動車のマフラーの一部であるとよい。
【0017】
各洗浄装置4においては、ケース3内を通過する洗浄液CによってDPF2が洗浄される。各洗浄装置4は、洗浄液Cを循環させるための循環経路を有する。循環経路は実質的に鉛直平面に沿って配置されると好ましく、さらに、2つの洗浄装置4が循環経路を上面視で並列とするように配置されると好ましい。しかしながら、本発明の洗浄システムが、1つ又は3つ以上の洗浄装置を有してもよい。
【0018】
洗浄液Cは、洗剤を含有する水溶液であるとよく、特に、洗浄液Cは発泡性を有する水系発泡液であるとよい。また、堆積物質を効率的に除去するためには、洗剤はアルカリ性であるとよい。しかしながら、本発明に用いられる洗浄液は、DPFを洗浄可能であれば、洗剤を含有する水溶液以外の液体であってもよい。DPFから堆積物質を除去可能であれば、本発明で用いられる洗剤は中性であってもよい。
【0019】
洗浄装置4は、ケース3の内部に洗浄液Cを送るようにケース3に接続される流入管5と、ケース3の内部の洗浄液Cを受けるようにケース3に接続される流出管6とを備える。洗浄装置4はまた、流入管5及び流出管6それぞれをケース3に接続可能とするように構成された流入側接続機構7と流出側接続機構8とを備える。さらに、DPF2の洗浄に伴って循環する洗浄液Cに粒子状物質、アッシュ等の堆積物質が混入する。そのため、洗浄装置4は、洗浄液Cから堆積物質を除去するように洗浄液Cを濾過する洗浄液濾過機構9と、この洗浄液濾過機構9を収容する濾過タンク10とを備える。洗浄液Cは流出管6から濾過タンク10に送られ、その後、洗浄液Cは濾過タンク10を通過するときに洗浄液濾過機構9によって濾過される。
【0020】
洗浄装置4はまた、洗浄液濾過機構9によって濾過された洗浄液Cを溜める貯留槽11と、洗浄液Cを洗浄装置4内で循環させるべく、貯留槽11内の洗浄液Cを流入管5に向けて送る循環機構12とを備える。さらに、洗浄装置4は、流入管5内の洗浄液Cをその流れに沿って付勢するように流入管5内に圧縮空気を送る注入機構13を備える。特に、注入機構13は、洗浄液Cが静止している状態で洗浄装置4を起動するときに、圧縮空気を流入管5に送ると好ましい。この場合、圧縮空気は、洗浄液Cが静止した状態から洗浄装置4の循環経路をスムーズに流れた状態となるように洗浄液Cの流れを勢い付けることができる。なお、本発明において、注入機構は、圧縮空気以外の圧縮気体を送るように構成されてもよい。
【0021】
洗浄装置4は、洗浄液Cを泡立てるバブル発生機構14をさらに備える。洗浄液Cが発泡性を有する場合、各洗浄装置4に消泡剤Dが設置されるとよく、消泡剤Dは、水系発泡液に対する消泡効果を有するとよい。一例として、消泡剤Dは固形型とすることができる。この場合、洗浄装置4は、固形型の消泡剤Dを収容可能とするネット部材15を備えるとよい。例えば、ネット部材15は、消泡剤Dを収容した状態で貯留槽11内の洗浄液C中に配置されるとよい。
【0022】
洗浄システムは、2つの洗浄装置4の水平方向の周囲に配置される共に略鉛直方向に立ち上がる外周枠16を備えるとよい。外周枠16の一部には、洗浄システム内にDPFユニット1を搬入するときに作業者が出入りできるように搬入口16aが設けられるとよく、搬入口16aは、柔軟性を有するカーテン16bによって開閉可能であるとよい。
【0023】
[DPFユニットの詳細について]
図1〜
図3を参照して、DPFユニット1の詳細について説明する。DPFユニット1のケース3は、筒形状の胴体部3aと、この胴体部3aの長手方向の両側それぞれに位置し、かつ胴体部3aよりも細く形成される第1及び第2端部3b,3cとを有する。胴体部3aは直線状に延びている。なお、本発明の浄化ユニットでは、胴体部は湾曲して形成されることもある。例えば、胴体部は、略U字形状、略S字形状等に形成されてもよい。
【0024】
第1及び第2端部3b,3cそれぞれには、第1開口3d及び第2開口3eが設けられる。特に図示はしないが、DPFユニット1は、ディーゼル自動車に設置された状態で、排出ガスが第1開口3dからケース3の内部に入り、さらに、ケース3の内部のDPF2を通過した排出ガスが第2開口3eから排出されるように構成される。しかしながら、本発明において、DPFユニット1は、ディーゼル自動車に設置された状態で、排出ガスが第2開口3eからケース3の内部に入り、さらに、ケース3の内部のDPF2を通過した排出ガスが第1開口3dから排出されるように構成されてもよい。
【0025】
第1及び第2端部3b,3cは胴体部3aから互いに反対側に向かって突出し、かつ第1及び第2開口3d,3eもまた互いに反対側に向かって開口する。しかしながら、本発明の浄化ユニットにおいて、第1及び第2端部は、胴体部から互いに対してあらゆる方向に向かって突出してもよく、第1及び第2開口は互いに対してあらゆる方向に向かって開口してもよい。例えば、第1及び第2端部が、胴体部から互いに実質的に同方向に突出してもよく、第1及び第2開口が互いに対して実質的に同方向に開口してもよい。
【0026】
さらに、第1及び第2端部3b,3cそれぞれには、第1及び第2フランジ3f,3gが設けられる。第1及び第2フランジ3f,3gそれぞれは、第1及び第2開口3d,3eの周囲にてその中心から外周に向かう方向に突出する。
【0027】
DPF2は、かかるケース3の長手方向、すなわち、排出ガスの流出入方向(矢印Lにより示す)に沿って配置される。DPF2はまた、ケース3の内部にて、DPF2の排出ガスの流出入方向(矢印Lにより示す)を洗浄液Cの流れ方向(矢印Fにより示す)に対応させて配置される。このようなDPFユニット1が、その内部を通過する洗浄液Cの流れを水平方向に沿わせるように配向される。
【0028】
なお、本発明の浄化ユニットにおいて、ディーゼル自動車に設置された状態で他の装置に接続するための孔がケースに形成される場合、特に、尿素SCRユニットにおいて、ディーゼル自動車に設置された状態で尿素水を注入するための孔がケースに形成される場合において、浄化ユニットを洗浄装置に設置した状態で、このような孔がプラグキャップ等によって封止されるとよい。
【0029】
[流入管、流出管、並びに流入側及び流出側接続機構の詳細について]
図1、
図2、
図4及び
図5を参照して、流入管5、流出管6、並びに流入側及び流出側接続機構7,8の詳細について説明する。流入管5の長手方向の一端は、流入側接続機構7を介してケース3の第1開口3dに接続され、流入管5の長手方向の他端は循環機構12に接続される。また、流出管6の長手方向の一端は、流出側接続機構8を介してケース3の第2開口3eに接続され、流出管6の長手方向の他端は濾過タンク10に接続される。そのため、流入管5から送られた洗浄液Cが第1開口3dを通ってケース3の内部に入り、ケース3の内部を通過した洗浄液Cが他方口3eを通って流出管6に送られる。
【0030】
流入側接続機構7は、流入管5の一端に取り付けられるアダプタ21と、このアダプタ21に取り付けられると共に第1開口3dに挿入される接続栓22と、ケース3及び流入管5の接続を保持するために用いられる固定板23及びクランプ24とを有する。なお、
図1及び
図4においては、一例として、流入側接続機構7が2つのクランプ24を有する。アダプタ21は筒形状に形成され、アダプタ21には、その軸線方向に貫通する流通経路21aが形成される。アダプタ21の横断面は流入管5の横断面よりも大きく形成される。アダプタ21の流通経路21aは、流入管5の一端から送られる洗浄液Cを受ける。
【0031】
接続栓22は、その基端から先端に向かう方向にて第1開口3dに挿入される。接続栓22には、洗浄液Cを流通可能とするようにその基端から先端に向かって貫通する流通経路22aが形成される。接続栓22の流通経路22aは、アダプタ21の流通経路21aから送られる洗浄液Cを受ける。接続栓22は、第1開口3dに挿入された状態で第1開口3dの周縁部に当接する外周面22bを有し、外周面22bは接続栓22の挿入方向、すなわち、接続栓22の基端から先端に向かって先細るように形成されるとよい。
【0032】
固定板23は略I字形状の平面を有するように形成される。固定板23の中央には、流入管5を挿入可能とする挿入孔23aが形成される。固定板23は、挿入孔23aに流入管5を挿入した状態でアダプタ21の一端に当接可能に配置される。クランプ24は、接続栓22を第1開口3dに挿入した状態で第1フランジ3fと固定板23とを洗浄液Cの流れ方向に挟み込むように構成される。クランプ24によって、接続栓22の外周面22bが第1開口3dの外周縁部に押し付けられて、接続栓22が第1開口3dを密封する。特に、クランプ24はシャコ万力であると好ましい。
【0033】
流出側接続機構8は、アダプタ25と、接続栓26と、固定板27と、クランプ28とを有し、これらは、流入管5の一端をケース3の第1開口3dに接続する代わりに、流出管6の一端をケース3の第2開口3eに接続する点を除いて、流入側接続機構7のものと同様になっている。特に、流出側接続機構8の接続栓26について具体的に述べると、かかる接続栓26もまた、洗浄液Cを流通可能とするようにその基端から先端に向かって貫通する流通経路26aと、第2開口3eに挿入された状態で第2開口3eの周縁部に当接する外周面26bとを有し、外周面26bは接続栓26の挿入方向、すなわち、接続栓26の基端から先端に向かって先細るように形成されるとよい。
図1においては、一例として、流出側接続機構8は2つのクランプ28を有する。なお、流入側及び流出側接続機構7,8の接続栓22,26は、ケース3の第1及び第2開口3d,3eの大きさに対応した大きさを有するものに取り替え可能であってもよい。
【0034】
[洗浄液濾過機構の詳細について]
図6(a)を参照して、洗浄液濾過機構9の詳細について説明する。洗浄液濾過機構9は、洗浄液Cを濾過可能とする複数の洗浄液フィルタ31を有し、複数の洗浄液フィルタ31は洗浄液Cの流れ方向(矢印Fにより示す)に互いに間隔を空けた状態で並んで配置される。各洗浄フィルタ31は、洗浄液Cを通過可能とし、かつ堆積物質を捕集可能に構成されるとよい。しかしながら、洗浄液を濾過可能であれば、本発明の洗浄液濾過機構は少なくとも1つの洗浄液フィルタを有すればよい。
【0035】
一例として、
図6(a)においては、洗浄液濾過機構9は3つの洗浄液フィルタ31を有する。3つの洗浄液フィルタ31は、洗浄液Cの流れ方向にて、第1〜第3の洗浄液フィルタ31a〜31cの順に並ぶ。第1及び第2の洗浄液フィルタ31a,31bは、網形状に形成するとよく、さらには、ステンレス製の網であると好ましい。第3の洗浄液フィルタ31cは、多孔質体であるとよく、さらには、ポリ塩化ビニル製の多孔質体であると好ましく、特に、クレハンロック(登録商標)のフィルタであると好ましい。
【0036】
洗浄液濾過機構9は、洗浄液フィルタ31を取り付け可能に構成される取付用組立体32をさらに有する。取付用組立体32は筒形状に形成され、特に、筒形状の取付用組立体32は鉛直方向に延びると好ましい。3つの洗浄液フィルタ31は、取付用組立体32の内部で取付用組立体32の長手方向に並んで配置される。
【0037】
具体的には、取付用組立体32は、洗浄液Cを流入可能とする流入側部材32aと、洗浄液フィルタ31を取り付ける取付部材32bと、隣り合う取付部材32b間の間隔を維持するスペーサ部材32cとを有する。流入側部材32aと、取付部材32bと、スペーサ部材32cとは筒形状に形成される。取付部材32bの内周面は洗浄液フィルタ31の外周縁部に対応して形成されるとよい。取付部材32bの内部には、洗浄液フィルタ31を載置可能とすると共に洗浄液Cを通過可能とする支持部32dが配置される。支持部32dの外周縁部は取付部材32bの内周面に取り付けられるとよい。特に図示はしないが、支持部32dは略十字形状に形成することができる。しかしながら、本発明の支持部は、略十字形状以外の形状、例えば、網形状、リング形状、有孔板形状等に形成されてもよい。
【0038】
取付用組立体32においては、流入側部材32aの下方で、取付部材32b及びスペース部材32cが取付用組立体32の長手方向にて交互に配置されるとよい。この配置関係にて、流入側部材32aと、取付部材32bと、スペーサ部材32cとが積み重ねられるとよい。流入側部材32aの外周はまた、洗浄液Cを受け易くするように取付部材32b及びスペース部材32cの外周よりも大きく形成されるとよい。
【0039】
[濾過タンクの詳細について]
図6(a)及び
図6(b)を参照して、濾過タンク10の詳細について説明する。濾過タンク10は筒形状に形成される胴体部10aを有する。筒形状の胴体部10aは実質的に鉛直方向に延びるとよく、この場合、複数の洗浄液フィルタ31もまた、胴体部10aに対応して鉛直方向に並んで配置される。
【0040】
さらに、濾過タンク10は、胴体部10aの上端及び下端それぞれに位置する頂部10b及び底部10cを有する。濾過タンク10の頂部10bには流出管6の他端が取り付けられる。特に、略L字形状のコネクタ41が、濾過タンク10の頂部10bに形成された流入口10dに取り付けられ、コネクタ41に流出管6の他端が接続されると好ましい。この場合、洗浄液Cは、濾過タンク10の内部で濾過タンク10の頂部10bから底部10cに向かって自由落下する。濾過タンク10の底部10cには、洗浄液Cを通過可能とするように複数の流出孔10eが形成される。かかる濾過タンク10の底部10c上に取付用組立体32が載置される。
【0041】
[貯留槽の詳細について]
図1〜
図3を参照して、貯留槽11の詳細について説明する。貯留槽11は、桶状に形成され、かつケース3の長手方向に沿って配置される。貯留槽11の上端部には上部開口11aが形成される。貯留槽11は、その内周側に位置する内側層11bと、その外周側に位置する外側層11cと、内側層11b及び外側層11c間に位置する断熱層11dとを有するとよい。例えば、断熱層11dは発泡ウレタン材から構成されると好ましい。
【0042】
上部開口11aには、ケース3を支持可能とする支持部材として複数の支持チェーン51が配置される。しかしながら、本発明の支持部材は、支持チェーン以外の部材、例えば、細長形状、網形状、シート形状等に形成された部材であってもよい。複数の支持チェーン51は、ケース3の長手方向に互いに間隔を空けて配置され、さらに、各支持チェーン51の長手方向は上面視でケース3の長手方向に交差する方向、特に、ケース3の長手方向に直交する方向に配向される。各支持チェーン51の長手方向の両端は、貯留槽11の上部開口11aの周縁部に取り付けられる。例えば、各支持チェーン51の両端にフック51aが取り付けられて、フック51aが貯留槽11の上部開口11aの周縁部に掛けられるとよい。
【0043】
DPFユニット1は、複数の支持チェーン5のうち少なくとも2つによってケース3が支持された状態で洗浄装置4に設置される。なお、本発明の洗浄ユニットのケース、特に、尿素SCRユニットのケースが、当該ケースの長手方向に直交する方向にて貯留槽の上部開口の周縁部よりも大きくなっている大型ケースである場合、大型ケースが周縁部に載置されてもよく、さらに、この大型ケースを支える支持部材が貯留槽又はその外部に設けられてもよい。また、大型ケースが、当該大型ケースの長手方向に直交する方向にて貯留槽の上部開口を跨ぐと共に貯留槽からその外側に突出し、かつ下方に膨らむアーチ形状に形成された複数の支持部材に載置されてもよい。
【0044】
貯留槽11には、洗浄液Cを加熱可能に構成されるヒータ52が設置されるとよい。貯留槽11の上部開口11aは蓋53(仮想線により示す)によって開閉可能であるとよい。蓋53によって上部開口11aを閉じた状態では、貯留槽11内の洗浄液Cが保温され易くなる。蓋53は、支持チェーン51の下方に配置されるとよい。
【0045】
[貯留槽とそれ以外の要素との位置関係について]
ここで、
図1〜
図3を参照して、貯留槽11とそれ以外の要素との位置関係について説明する。DPFユニット1の少なくとも一部、すなわち、ケース3の少なくとも一部は、上面視で貯留槽11に重複するように貯留槽11の上方に配置される。特に、ケース3は、上面視でその全体を貯留槽11に重複させるように貯留槽11の上方に配置されると好ましい。ケース3はまた、水平方向から見てその少なくとも一部を貯留槽11と重複させるように配置されると好ましい。言い換えれば、ケース3が、貯留槽11内の洗浄液Cの液面c1上方に配置されると好ましく、さらに、ケース3が、その少なくとも一部を上部開口11aから貯留槽11内に入り込ませるように配置されると好ましい。
【0046】
また、流入側及び流出側接続機構7,8と、注入機構13と、バブル発生機構14とが、上面視でそれらの全体を貯留槽11に重複させるように貯留槽11の上方に配置されるとよい。濾過タンク10が、上面視でその全体を貯留槽11と重複させるように配置されるとよい。濾過タンク10はまた、貯留槽11内に配置されると好ましい。この場合、濾過タンク10は、貯留槽11の内部で濾過タンク10の底部10cを貯留槽11の底部11eと鉛直方向に間隔を空けた状態で配置されるとよい。濾過タンク10は、ケース3に対して流出管6側に配置されると好ましい。
【0047】
[循環機構の詳細について]
図1及び
図3を参照して、循環機構12の詳細について説明する。循環機構12は、貯留槽11内の洗浄液Cを流入管5に向けて汲み上げるように構成された循環ポンプ61と、貯留槽11及び循環ポンプ61間を連結する循環管62とを有する。2つの洗浄装置4の循環ポンプ61は、ケース3の長手方向にて互い違いに配置されると好ましい。循環管62の長手方向の一端は、貯留槽11の下部に接続され、特に、ケース3に対して流入管5側で貯留槽11の下部に接続されると好ましい。循環管62の長手方向の他端は流入管5の他端に接続される。
【0048】
[注入機構の詳細について]
図4を参照して、注入機構13の詳細について説明する。注入機構13は、流入管5における長手方向のケース3寄りの領域に配置される。注入機構13は、流入管5上に配置される加圧チャンバ71と、この加圧チャンバ71に取り付けられる加圧ノズル72及び安全弁73とを有する。加圧チャンバ71は、流入管5の上流側領域5aと下流側領域5bとを接続するように構成される。具体的には、加圧チャンバ71は、流入管5の上流側領域5aに接続される上流側接続部71aと、流入管5の下流側領域5bに接続される下流側接続部71bとを有する。
【0049】
加圧チャンバ71の内部には空洞71cが形成され、この空洞71c内を洗浄液Cが通過する。加圧チャンバ71の空洞71cは、流入管5を通過する洗浄液Cの流れを屈曲させるように略くの字形状に形成される屈曲区域71dを有する。具体的には、屈曲区域71dは、上流側及び下流側接続部71a,71bを通る流体Cの流れに沿った軸線を所定の屈曲角度にて交差させるように屈曲する。特に、屈曲区域71dの屈曲角度は鈍角であると好ましい。さらに、空洞71cは、屈曲区域71dからその略くの字形状の突出側に膨らむ膨出区域71eを有する。
【0050】
加圧ノズル72は、コンプレッサ等の流体供給手段(図示せず)から供給される圧縮空気を噴出するように構成される。加圧ノズル72は、加圧チャンバ71の内部を通過する洗浄液Cをその流れ方向に沿って加圧するように配置される。特に、加圧ノズル72は、加圧チャンバ71の下流側接続部71bに向けて圧縮空気を噴出するとよい。
【0051】
加圧ノズル72は、筒形状に形成されるノズル本体72aと、このノズル本体72aの先端に圧縮空気を噴出するように形成される噴出口72bとを有する。ノズル本体72aには、その周方向に間隔を空けるように配置され、かつ空気を引き込み可能とするようにノズル本体72aを貫通する複数の引込孔72cが形成されると好ましい。本実施形態では、一例として、ノズル本体72aに4つの引込孔72cが形成されている。流体供給手段から供給される圧縮空気に加えて、引込孔72cからノズル本体72a内に引き込まれる空気を噴出口72bから噴出することができる。そのため、噴出口72bから噴出される空気を増加することができる。
【0052】
安全弁73は、加圧チャンバ71内の圧力が許容限界値以上となった場合に、洗浄液Cを加圧チャンバ71から逃がすように構成される。なお、許容限界値は、ケース3と流入管5との接続が外れること、流出管5と加圧チャンバ71との接続が外れること、及び加圧チャンバ71が破損することのうち少なくとも1つを防ぐように定められると好ましい。このような加圧ノズル72と安全弁73とは、洗浄液Cの流れを避けるように空洞71cの膨出区域71eに配置されるとよい。さらに、加圧ノズル72と安全弁73とは、加圧チャンバ71の下流側接続部71bと対向するように配置されると好ましい。
【0053】
[バブル発生機構の詳細について]
図4を参照して、バブル発生機構14の詳細について説明する。バブル発生機構14は、流入管5の上流側領域5aを流れる洗浄液Cの一部を分岐させ、かつ分岐した洗浄液Cの一部を加圧チャンバ71に送るバイパス管81と、このバイパス管81上に配置されるバブル発生器82とを有する。バイパス管81の長手方向の一端は流入管5の上流側領域5aに接続され、バイパス管81の長手方向の他端は加圧チャンバ71に接続される。バブル発生器82は、バイパス管81を流れる洗浄液Cを用いて加圧チャンバ71内の洗浄液Cに気泡を発生させるように構成される。特に、バブル発生器82は、マイクロバブル発生器、マイクロナノバブル発生器又はナノバブル発生器であると好ましい。
【0054】
[洗浄装置の循環経路の材料について]
さらに、洗浄装置4の循環経路の材料について説明する。洗浄液Cに含有する洗剤がアルカリ性である場合、洗浄液Cの循環経路の構成要素は、アルカリ性の洗剤に対して耐性を有する材料を用いて作製されるとよい。
【0055】
例えば、流入管5と、流出管6と、循環機構12の循環管62と、バブル発生機構14のバイパス管81とは、ポリ塩化ビニルを用いて作製されるとよく、特に、これらは柔軟性を有すると好ましい。流入側及び流出側接続機構7,8のアダプタ21,25と、濾過タンク10のコネクタ41とは、ポリプロピレンを用いて作製されるとよい。流入側及び流出側接続機構7,8の接続栓22,26は、ゴムを用いて作製されるとよい。洗浄液濾過機構9の取付用組立体32の流入側部材32aと取付部材32bとスペーサ部材32cとは、ポリオレフィン樹脂と炭酸カルシウムとを含有する材料を用いて作製されるとよい。濾過タンク10と、貯留槽11の内側層11b及び外側層11cと、注入機構13の加圧チャンバ71とは、ステンレスを用いて作製されるとよい。
【0056】
以上、本実施形態に係る洗浄装置4によれば、洗浄液Cを、洗浄装置4内で循環させながら、流入管5からDPFユニット1のケース3を通って流出管6に継続的に流すことができる。そのため、洗浄装置4内にて循環する洗浄液CによってDPFユニット1、特に、DPF2を効率的に洗浄することができる。また、DPF2を収容したケース3を流入管5と流出管6とに接続するという簡単な作業によって、DPF2を含むDPFユニット1を洗浄装置4に設置できるので、DPF2の設置作業を容易にできる。よって、DPF2の洗浄に関連する作業の効率を改善することができる。
【0057】
本実施形態に係る洗浄装置4によれば、注入機構13によって、洗浄液Cを効率的に循環させるように洗浄液Cの流れをDPF2に流れる直前で効率的に付勢するので、堆積物質を洗い流すように十分に付勢された洗浄液CをDPFユニット1内に流すことができる。そのため、循環する洗浄液CによってDPFユニット1、特に、DPF2を効率的に洗浄することができる。例えば、洗浄液Cが洗浄装置4の起動前に静止している場合であっても、注入機構13によって、洗浄装置4の起動時に、洗浄液Cを即座にスムーズに循環させることができるので、洗浄装置4の起動時からDPF2を効率的に洗浄することができる。また、注入機構13が、循環する洗浄液Cを効率的に付勢可能な位置に配置されるので、注入機構13から洗浄液Cに加える圧力を抑えることができる。その結果、注入機構13が洗浄液Cに加える圧力を増加させるために大型化することを抑制できる。よって、洗浄液Cを循環させるように構成された洗浄装置4の大型化を抑制することができる。
【0058】
本実施形態に係る洗浄装置4によれば、注入機構13の加圧チャンバ71の空洞71cに加圧ノズル72が配置されるので、循環する洗浄液Cの流れを効率的に付勢することができる。そのため、循環する洗浄液CによってDPFユニット1、特に、DPF2を効率的に洗浄することができる。特に、空洞71cの屈曲区域71dが洗浄液Cの主な流路となる一方で、空洞71cの膨出区域71eはこの主な流路から外れるので、加圧ノズル72を膨出区域71eに配置する場合には、加圧ノズル72が洗浄液Cの流れを遮ることを防止できる。
【0059】
本実施形態に係る洗浄装置4によれば、DPFユニット1のケース3が、その内部を通過する洗浄液Cの流れを水平方向に沿わせるように配向され、さらに、ケース3が、上面視でケース3を貯留槽11と重複させるように貯留槽11の上方に配置されるので、洗浄液Cを循環させるように構成された洗浄装置4の大型化を抑制することができる。また、DPFユニット1及びその周辺部分から洗浄液Cが漏れた場合であっても、かかる洗浄液Cを上方開口11bから貯留槽11内にて受けることができるので、洗浄液Cが洗浄装置4の外部に漏れることを防止できる。
【0060】
本実施形態に係る洗浄装置4によれば、濾過タンク10が、流出管6からの洗浄液Cを受けるように流出管6に接続され、さらに、濾過タンク10が、その内部で洗浄液濾過機構9を通過した洗浄液Cを貯留槽11に送り、かつ上面視で濾過タンク10の全体を貯留槽11と重複させるように配置されるので、洗浄液Cを循環させるように構成された洗浄装置4の大型化を抑制することができる。
【0061】
本実施形態に係る洗浄装置4によれば、流入管5及び流出管6の一端に配置された接続栓22,26の外周面22b,26bが先細り形状に形成されるので、かかる接続栓22,26を、DPFユニット1の種類に応じて様々な大きさを有するケース3の第1及び第2開口3d,3eに対して接続することができる。その結果、DPFユニット1の種類に応じた設置態様の変更作業の負担を軽減できて、DPF2の設置作業を容易にできる。よって、DPF2の洗浄に関連する作業の効率を改善することができる。
【0062】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。