(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示では、本発明の実施形態を十分に理解するために、装置、方法、及び構造の例など、多数の具体的な詳細が提供される。しかしながら、当業者であれば、本発明はこれらの具体的な詳細のうちの1つ以上を欠いても実施できることは理解されよう。他の例では、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるため、周知の詳細については図示又は説明をしていない。
【0011】
いくつかの高効率太陽電池設計では、ある極性の拡散領域用の金属接点が、反対の極性の拡散領域の上に延在することがある(例えば、N型拡散領域用の金属接点が、P型拡散領域の上に形成される)。この太陽電池設計では、金属接点を拡散領域から電気的に絶縁する層間絶縁膜に欠陥がないことが重要である。欠陥があると、ある極性の金属接点が、層間絶縁膜内の欠陥を介して、反対の極性の拡散領域に電気的に短絡することがある。
【0012】
図1は、反対の極性の拡散領域の上に形成された金属接点を有する例示的な裏面接点裏面接合(BCBJ)太陽電池300を概略的に示す。
図1の例では、P型拡散領域(352で示される)とN型拡散領域(351で示される)が、基板401(例えば、単結晶又は多結晶シリコン)内に形成される。他の実施形態では、P型及びN型拡散領域は、基板401の裏面上の別の層(例えば、ポリシリコン)内に形成される。
図1では、分かりやくするために、層間絶縁膜は示されない。
【0013】
太陽電池300は、金属接点301及び303を有する。金属接点301は、対応するN型拡散領域に電気的に結合するので、N極性金属接点である。同様に、金属接点303(
図1では1つだけ示されている)は、対応するP型拡散領域に電気的に結合するP極性金属接点である。金属接点301及び303は、交互に配置されてもよい。
図1では、下にあるN型拡散領域をより明瞭に示すために、一方の金属接点301が、透過線トレースとして示されている。
図1に示されるように、N極性金属接点301は、P型拡散領域の一部分の上を通る。これにより、N極性金属接点301が、間の層間絶縁膜を介してP型拡散領域に電気的に短絡される可能性が生じる(
図1には示されていない。
図3と
図8の305を参照)。
【0014】
図2は、太陽電池300の一部分の上面図を示す。太陽電池300は、N極性金属接点301を下にある拡散領域から分離する層間絶縁膜を貫通して形成されたコンタクトホール302を有する。N極性金属接点301は、対応するコンタクトホール302を介して下にあるN型拡散領域と接触する。
【0015】
図3は、
図2の切断面A−Aに沿った太陽電池300の断面を示す。
図3に示されるように、太陽電池300は、N極性金属接点301を下にある拡散領域から電気的に絶縁する層間絶縁膜305を有する。層間絶縁膜305には、N極性金属接点301を対応するN型拡散領域と電気的に接続させるコンタクトホール302が形成される。コンタクトホール302は、典型的には、従来のマスキングとウェットエッチングによって形成される。発明者等は、エッチング工程で使用されるいくつかのエッチング液が、層間絶縁膜305内の既存の不備(例えば、ピンホール、ピット、その他の欠陥)を悪化させ、その不備を本格的な欠陥に変えることがあることを発見した。例えば、いくつかのエッチング液は、既存のピンホールを拡大させる。別の例として、いくつかのエッチング液は、中間層絶縁膜305内に電気的ショート306を作成する原因になることがある。
【0016】
従来のウェットエッチング工程ではなく、レーザを使用してコンタクトホール302を形成することにより、層間絶縁膜305内に存在する可能性がある欠陥の悪化が有利に回避される。コンタクトホールを形成する際に層間絶縁膜305を有害なエッチング液に晒すのを防ぐことによって、レーザアブレーション工程での、層間絶縁膜305の完全性が保たれる。
【0017】
図4は、本発明の一実施形態により製造された太陽電池300の断面を示す。太陽電池300は、前面153と裏面152を有する。前面153は太陽の方を向き、通常動作中に日射を収集する。裏面152は、前面153の反対側である。
【0018】
図4の例では、基板101は、N型単結晶シリコンウェハを含む。P型及びN型拡散領域は、太陽電池基板101内に形成されているが、太陽電池基板101上に形成された別の層(例えば、ポリシリコン)内にあってもよい。基板101の前面の表面は、太陽放射収集効率を高めるためにランダムな角錐が設けられてでテクスチャ化される。パッシベーション領域107が、基板101の前面の表面を不動態化して再結合を最小限にする。一実施形態では、パッシベーション領域107は、前面153からN型ドーパントを拡散させることによって形成されたN型パッシベーション領域である。N型ドーパントは、リンを含んでもよい。一実施形態では、パッシベーション領域107は、リンが導入された炉内で基板101を加熱することによって形成される。リンが、基板101の前面に拡散されて、パッシベーション領域107が形成される。太陽電池の裏面152上の二酸化シリコン層108は、パッシベーション領域107を形成する副産物である。より具体的には、N型ドーパントを基板101内に拡散させパッシベーション領域107を形成する加熱工程によって、基板101の裏面上に酸化物層108も成長する。
【0019】
前面153に反射防止コーティング109が形成され、裏面152に反射防止コーティング110が形成される。一実施形態では、反射防止コーティング109及び110は、窒化ケイ素を含む。前面153では、反射防止コーティング109は、基板101の前面面のパッシベーション領域107上に形成される。裏面152では、反射防止コーティング110は、酸化物層108上に形成される。
【0020】
図5では、太陽電池300にレーザアブレーション工程が行なわれて、P型及びN型拡散領域にコンタクトホールが形成される。レーザアブレーション工程は、1つ又は複数のレーザ・ビームを発射して裏面152から材料を除去し、それによりメタライゼーション用のP型及びN型拡散領域を露出させる工程を含んでもよい。
図5の例では、レーザアブレーション工程は、反射防止コーティング110と酸化物層108の一部分を除去してP型及びN型拡散領域へのコンタクトホールを形成する。レーザアブレーション工程は、レーザスキャナによってレーザ・ビームを発射することにより行なわれてもよく、レーザスキャナは、裏面152にレーザ・ビームを走査してコンタクトホールを形成する。市販のレーザ源及びスキャナを使用して、レーザアブレーションを行なうことができる。レーザを使用する例示的な太陽電池アブレーションシステムは、2010年7月1日に出願された同出願人の米国出願第12/829,275号に開示されている。レーザを使用する他のアブレーションシステムを使用してもよい。
【0021】
従来のエッチング工程でコンタクトホールを形成する他の工程では、マスキング及び硬化工程が必要であるが、レーザを使用してP型及びN型拡散領域にコンタクトホールを形成することによって、このような工程が必要なくなる。更に、レーザアブレーションは、反射防止コーティング110と酸化物層108、及び、必要に応じて設けられる層間絶縁膜を、既存の欠陥又は不備を悪化させるエッチング液に晒すのを防ぐ。
【0022】
図6では、コンタクトホール内に、対応する拡散領域への電気接続を行う金属接点112及び113が形成される。
図6の例では、P型拡散領域に電気接続する金属接点112がコンタクトホール内に形成されている。同様に、N型拡散領域に電気接続する金属接点113がコンタクトホール内に形成される。金属接点112及び113は、交互に配置されてもよく、メタライゼーションに使用される銅又は他の単層若しくは多層導電材料を含んでもよい。例えば、金属接点112及び113は、電気めっきによって形成されてもよい。金属接点112及び113は、外部電子回路が太陽電池に接続され太陽電池によって電力供給されることを可能にする。P型拡散領域への金属接点112は、N型拡散領域の上を通ってもよい。同様に、N型拡散領域への金属接点113は、P型拡散領域の上を通ってもよい。金属接点が、レーザアブレーションによって形成されたコンタクトホール内に形成されるので、金属接点が反対の極性の拡散領域に電気的に短絡する可能性が大幅に低下する。
【0023】
次に、
図7と
図8を参照して、発明者によって発見された起こる可能性のあるレーザと関連した問題について述べる。
図7は、
図1の太陽電池300の一部分の別の平面図を示す。太陽電池300は、P極性金属接点303を下の拡散領域から分離する層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール307を有する。
【0024】
図8は、
図7の切断面B−Bに沿った太陽電池300の断面を示す。P極性金属接点303が下のP型拡散領域と電気的に接続できるようにするために、コンタクトホール307(即ち、307−1、307−2、...)が層間絶縁膜305に形成される。
【0025】
図8の例では、コンタクトホール307は、レーザアブレーションによって形成される。レーザが適切に制御されない場合、レーザ・ビームが、拡散領域を突き抜け、それにより、後で形成された金属接点が基板と電気的に短絡して、太陽電池の動作に悪影響を及ぼすことがある。
図8の例では、レーザアブレーション工程は、コンタクトホール307−1を、層間絶縁膜305とP型拡散領域を完全に貫通し基板401内まで形成した。レーザ突抜け問題に対処する1つの方法は、次に
図9を参照して説明するように、拡散領域をより深く作成することである。
【0026】
図9は、本発明の一実施形態による深い拡散領域を有する太陽電池400の断面を示す。
図9の例では、P型拡散領域(402と示された)は、単結晶シリコンウェハを含む太陽電池基板411内に形成される。他の実施形態では、P型拡散領域は、基板411の裏面に形成された別の層(例えば、ポリシリコン)内に形成される。
図9の例では、コンタクトホール405(即ち、405−1、405−2、...)が、レーザアブレーションによって層間絶縁膜403内に形成される。P極性金属接点404は、コンタクトホール405を介してP型拡散領域に電気的に接続する。この開示では、
図9を含む全ての図が、一律の倍率で描かれているとは限らないことに注意されたい。
【0027】
図9の例では、P型拡散領域は、相対的に深くなるように形成される。例えば、P型拡散領域は、0.5μmを超える深さ407を有してもよい。P型拡散領域の深さは、レーザアブレーション工程のプロセスマージンによって指定される。好ましくは、必要なレーザアブレーション深さは、処理のために最小化され、次に断面で測定される。次に、拡散領域のドーパント深さは、ドーパント形成処理(例えば、炉の温度と時間、開始ドーパント濃度など)を制御することによって、必要なレーザアブレーション深さより大きく設定される。拡散領域が深いと、より広いプロセスマージンのレーザアブレーション工程が可能になり有利である。また、太陽電池の裏面にP型拡散領域と共に形成される深いN型拡散領域は、P型拡散領域と同じ深さを有してもよい。
【0028】
図9の例では、コンタクトホール405−1は、P型拡散領域内に比較的深く形成されている。深いコンタクトホール405−1は、一般にプロセス制御と関連した問題、レーザアブレーションのプロセスマージン、又はその他の問題によって生じることがある。しかしながら、
図8の場合と違って、コンタクトホール405−1は、P型拡散領域の深さのため、P型拡散領域を完全に突き抜けない。金属接点404は、コンタクトホール405(即ち、405−1、405−2、...)内に形成される。金属接点404は、レーザアブレーションによって形成されたコンタクトホール内に形成されるので、金属接点404は、反対の極性(即ち、N型拡散領域)の拡散領域の上を安全に通ることができる。
【0029】
また、発明者等は、いくつかの太陽電池設計に見られる異なる膜厚が、レーザアブレーションを複雑にする場合があることを発見した。
図10に、そのような太陽電池設計の一例を示す。
【0030】
図10は、コンタクトホールが形成される不均一な膜423を有する太陽電池420の断面を示す。
図10の例では、膜423は層間絶縁膜を含む。膜423は、太陽電池基板421の上に形成された単層絶縁体又は多層絶縁体スタック(例えば、酸化物及び/又は窒化物;酸化物及び/又はポリイミド)でもよい。太陽電池基板421は、単結晶シリコンウェハを含んでもよい。P型及びN型拡散領域は、太陽電池基板421内、又は太陽電池基板421上で形成された別の層(例えば、ポリシリコン)内に形成されてもよい。
【0031】
図10の例では、膜423のP型拡散領域の上の部分は、膜423のN型拡散領域の上の部分より厚い。他の場合では、膜423のN型拡散領域の上の部分は、膜423のP型拡散領域の上の部分より厚い。膜厚のこの違いは、拡散領域の上にドーパント源を形成する順序など、P型及びN型拡散領域を形成する処理により生じることがある。膜423にN型拡散領域までコンタクトホールを形成するには、膜423にP型拡散領域までコンタクトホールを形成するより必要なレーザ・エネルギーが少ない。したがって、同じレーザ・エネルギーを使用してP型及びN型拡散領域までコンタクトホールを形成すると、P型拡散領域の突き抜けや他の問題が生じることがある。他方、異なるレーザ・エネルギーを使用してP型及びN型拡散領域までコンタクトホールを形成するには、複数のレーザアブレーション工程が必要な場合があり、また、追加工程だけでなく、様々なエネルギーのためにレーザを再構成するので、処理に遅延が生じることがある。
【0032】
図10の太陽電池設計では、P型拡散領域の上の絶縁体スタックの厚さは、500〜10000オングストロームでもよく、P型拡散領域の拡散深さは、200〜2000nmの範囲でもよい。高効率太陽電池、即ち効率が20%を超える太陽電池の場合、標準内部再結合度(BRR)と飽和電流密度(Jo)は、レーザ損傷がなければ1000Hzと120fA/cm
2未満になる。基部内の接合部全体のアブレーションを回避し、かつBRRとJoを高め、同時にアブレーションされる膜も完全に除去するには、適切なレーザ条件を使用しなければならない。540nmより短い波長を使用し、同時に吸収深さを最小に維持することで、BRRが1000Hzより高くなるのを防ぐ。パルス幅が20ピコ秒より短いレーザを使用することにより、アブレーション深さが2000nm未満に維持される。次に、レーザ・エネルギーは、アブレーションしきい値が達成されるように調整される(例えば、1〜20μJ)。次に、酸化物を完全に除去すると、完成した太陽電池内の直列抵抗が1Ω−cm
2未満になる。しかしながら、高効率太陽電池に関するこれらの膜スタック厚さ条件により、BRRとJoを高めることなく、単一レーザパルスが、絶縁体スタック全体を除去することはできない。即ち、BRRを1000Hz未満に維持し、Joを120fA/cm
2未満に維持することにより、直列抵抗が1Ω−cm
2を超え、直列抵抗が1Ω−cm
2未満になると、BRRが1000Hzより高くなる。この問題は、2つ以上のレーザパルスを使用することによって解決されることがあり、その場合、パルスとパルスの間隔は、500ナノ秒未満離され、後のパルスの振幅は、最初のパルスの振幅の10%〜100%である。これにより、BRRとJoを更に高めることなくより多くの材料の除去が可能になる。例示的なマルチパルスレーザアブレーション処理は、2010年6月7日に出願された同出願人の米国出願第12/795,526号に記載されており、この出願は、引用により本明細書に組み込まれる。他のマルチパルスレーザアブレーション処理を使用することもできる。
【0033】
P型及びN型拡散領域の上の絶縁体スタック厚が異なり、したがって、適切なBRR/直列抵抗を釣りあわせるために異なるレーザ・エネルギーを必要とすることがあるので、レーザアブレーションツールは、比較的複雑になり、製造される太陽電池の様々な領域に電力の変更が必要になる。これにより、レーザ出力と位置を同期させ、かつレーザの位置ずれによるシャント(即ち、電気的短絡)が生じるのを防ぐために、レーザとビーム伝達システムとの間で正確な空間調整が必要になる。位置ずれは、ビーム伝達システムを遅くすることにより回避することができる。しかしながら、そうすると、ツールの処理量が低下し、したがって処理量が一定の場合にツールコストが高くなる。解決策として、ある領域でのパルスエネルギーやパルス数などの理想的なレーザパラメータが、別の領域内でアブレーションを引き起こさないように、絶縁体スタックが調整されもよい。例えば、P型拡散領域の上の絶縁体スタック厚さは、5000〜10000オングストロームになるように作成されてもよく、N型拡散領域の上の絶縁体スタック厚さは、2500オングストローム未満になるように作成されてもよい。これにより、2つのパルスを含む3μJのレーザ・エネルギーは、N型拡散領域の上の絶縁体スタックを除去できるが、P型拡散領域の上の絶縁体スタックは除去できない。
【0034】
レーザの位置ずれにより前述のようなシャント問題(例えば、
図3の電気的短絡306)が引き起こされる可能性がある場合、発明者は、更なる絶縁体層を堆積させて、レーザをブロックしてアブレーションが行われないようにパターニングしてもよいことを発見した。
図15は、層間絶縁膜層305のP型拡散領域の上の部分にパターン形成された更なる絶縁体層355が追加されたこと以外は
図3と同じ断面を示す。
図15に示された他の構成要素は、
図3に関して述べた。
【0035】
図15の例では、更なる絶縁体層355が、着色インクなどの犠牲的に除去されることがある材料を含んでもよい。更なる絶縁体層355は、使用されるレーザ波長を吸収しないようにするのに十分な厚さ(例えば、500オングストローム超え)でもよい。更なる絶縁体層355は、また、レーザを透過するが下の除去材料を突き抜けるのを防ぐのに十分な厚さ(例えば、500オングストローム超え)の材料(例えば、ポリイミド)を含んでもよい。また、犠牲層の直接アブレーションと下からの射出材料の組み合わせが、更なる絶縁体層355にピンホールを形成しない限りにおいて、更なる絶縁体層355が半透明材料を含んでもよい。この更なる絶縁体層355は、また、後述するように、絶縁破壊を防ぐ特性を有してもよいことに注意されたい。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、
図10の太陽電池420は、P型及びN型拡散領域上に予め形成された膜423や他の材料を除去することによって、レーザアブレーションの準備がされる。この手法は、特に、絶縁体スタックが互いに200オングストローム以上異なる場合に有利である。この手法は、更に、
図11に示され、この図では、P型及びN型拡散領域上の全ての材料が除去されて、P型及びN型拡散領域の裏面が露出されている。例えば、
図10の膜423は、従来のウェットエッチング処理を使用して除去されてもよい。P型及びN型拡散領域上の膜423及び他の材料は、P型及びN型拡散領域上にその後で形成される膜の厚さを制御するために除去される。したがって、
図12の例では、P型及びN型拡散領域上に実質的に均一な膜424が形成される。実質的に、膜424で、不均一な膜423が置き換えられる。膜424は、実質的に均一な厚さで付着された層間絶縁膜(例えば、蒸着又は熱成長した酸化物と、その後の窒化ケイ素)を含んでもよい。膜424は、均一な膜の堆積を可能にする化学蒸着、その他の蒸着、又は成長プロセスによって堆積されてもよい。
図13では、不均一膜423を均一膜424と置き換えた後で、膜424にコンタクトホールを形成してP型及びN型拡散領域の一部分を露出させるレーザアブレーション工程が続く。コンタクトホールは、金属接点が対応する拡散領域に電気的に接続することを可能にする。P型拡散領域への金属接点は、一のN型拡散領域の上を通ってもよい。同様に、N型拡散領域への金属接点は、P型拡散領域の上を通ってもよい。金属接点は、レーザアブレーションによって形成されたコンタクトホール内に形成されるので、金属接点が反対の極性拡散領域に電気的に短絡する可能性が大幅に低下する。
【0037】
図10の膜423を貫通するコンタクトホールは、レーザアブレーション工程で使用されるレーザを適切に制御することによって形成されてもよい。絶縁体膜の典型的なアブレーションは、間接アブレーション処理によるものであり、その場合、レーザ・エネルギーが、基板に吸収され、除去される基板の外向きの力によって膜が射出される。このタイプの膜アブレーションは、間接アブレーションとして知られる。例えば、対象の膜が、レーザ波長と強く相互作用しないとき、基板内のアブレーション深さと破損は、主に、レーザのパルス幅、波長及びパルス数によって決定され、基板アブレーション深さを最小にするにはこれらを全て小さくしなければならない。対象となる膜、又は、積層体内の1つの膜が、レーザ波長と強く相互作用する場合は、それに応じて、例えば、パルスの数を増やすか、直接アブレーションが行われるようにレーザ波長を切り替えることによって、レーザ処理パラメータを調整しなければならない。特定のタイプの膜は、複数のパルスを使用することによって、シリコンのアブレーションなしに、直接アブレーションにより除去することができる。複数のレーザパルスを使用する例示的なレーザアブレーション処理は、2010年6月7日に出願された同出願人の米国特許出願第12/795,526号に記載されてており、その内容は引用により本明細書に組み込まれる。本発明の長所を損なうことなく、他のマルチパルスレーザアブレーションプ処理を使用することもできる。
【0038】
絶縁体層(例えば、P型又はN型ドープト二酸化シリコン)又は絶縁体スタックの光学特性を、レーザアブレーションパラメータに適合するように修正する方法には、組成制御によって絶縁体の屈折率と吸収係数を調整するか、絶縁体層に吸収剤を添加して絶縁体層が直接又は間接アブレーションされるように調整することが挙げられる。特定の例として、レーザ波長が530nm以上で屈折率が2.0未満の場合は、間接アブレーションが行われ、残留材料が基板上に残るのを防ぐ。
【0039】
図10に適用されたように、膜423のP型拡散領域の上の部分にコンタクトホールを形成するために、第1のレーザアブレーション工程が行なわれてもよい。第1のレーザアブレーション工程は、特に膜423のP型拡散領域の上の部分の特性に関して調整されたパラメータを有する第1のレーザ設定によるものでもよい。膜423のN型拡散領域の上の部分にコンタクトホールを形成するために、第2のレーザアブレーション工程が行なわれてもよい。第2のレーザアブレーション工程は、特に膜423のN型拡散領域の上の部分の特性に関して調整されたパラメータを有する第2のレーザ設定にしたがって行われてもよい。第1の設定は、第2の設定と異なる。例えば、第1の設定は、膜423のP型拡散領域の上の部分に穿孔するためにレーザが発射される複数のレーザパルスを有してもよい。別の例として、第2の設定は、膜423のN型拡散領域の上の部分を穿孔するために単一のレーザパルスを発射するレーザを有してもよい。
【0040】
得られた構造が、
図14に概略的に示されており、膜423を貫通しP型拡散領域を露出させるコンタクトホール435−1及び435−2が、第1の設定に従うレーザ発射によるレーザアブレーションによって形成され、膜423を貫通し、N型拡散領域を露出するコンタクトホール435−3が、第2の設定に従うレーザ発射によるレーザアブレーションによって形成される。金属接点は、コンタクトホール435(即ち、435−1、435−2、435−3)内に形成されてもよい。金属接点が、レーザアブレーションによって形成されたコンタクトホール内にあるので、金属接点は、反対の極性拡散領域の上に安全に形成され得る(例えば、P型拡散領域の上のN極性金属接点)。
【0041】
別の実施形態では、層間絶縁膜内に、
図3に関して述べたような欠陥がある場合、裏面(例えば、
図4〜
図6の反射防止コーティング110)に堆積される反射防止コーティングは、後側スタックの絶縁完全性を改善するように調整されてもよい。例えば、裏面反射防止コーティングの厚さ及び/又は固有抵抗は、約50〜100オングストローム大きくなる。別の例として、反射防止コーティングは、窒化ケイ素層の上又は下に均一に付着されたアモルファスシリコン層などの2つの層を含んでもよい。製造コストを節約するために、アモルファスシリコン層と窒化ケイ素層は、元の場所に(即ち、同じ装填量で)、同じ工程と同じツールで形成されることが好ましい。本明細書に記載されたいような二層反射防止コーティングの使用は、反射防止コーティングの厚さだけでなく、その誘電率も高め、それによりレーザアブレーションを容易にする。
【0042】
逆方向バイアスでは、例えば、層間絶縁膜の両側に6ボルト以上が印加される。約400オングストロームの範囲の厚さを有する典型的なプラズマ化学蒸着(PECVD)窒化膜に、このような電圧が局所的に印加されると、破壊する。そのような用途の絶縁体膜の目標とする破壊電界強度は、1×10
7V/cmを超えてもよい。このような破壊電界強度を、スタック内に加わる有効磁界を減少させることができる50〜100オングストロームのアモルファスシリコン層を窒化ケイ素層に追加することによって達成してもよい。
【0043】
太陽電池を製造する改善された方法及び構造を開示した。本発明の具体的な実施形態を提供したが、これらの実施形態は説明を目的としたものであり、限定的なものでないことは理解されよう。多くの追加的実施形態が、本開示を読む当業者にとっては明らかとなろう。
(項目1)
太陽電池を製造する方法であって
複数のP型及びN型拡散領域上に予め形成された材料を除去して、前記複数のP型及びN型拡散領域の裏面を露出させる工程と、
上記複数のP型及びN型拡散領域上に絶縁体層を形成する工程と、
レーザを使用して、上記複数のP型及びN型拡散領域のうち対応するP型又はN型拡散領域の表面をそれぞれ露出する複数のコンタクトホールを上記絶縁体層に形成する工程と、
上記複数のコンタクトホールのそれぞれに金属接点を形成して、上記複数のP型及びN型拡散領域それぞれへの電気接続を形成する工程と、を備える方法。
(項目2)
上記複数のP型及びN型拡散領域が、太陽電池基板内に形成される、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記太陽電池基板は、単結晶シリコンウェハを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記複数のP型及びN型拡散領域が、上記太陽電池基板上に形成される別の層に形成される、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記他の層が、ポリシリコンを含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
上記複数のP型及びN型拡散領域のうちの一のP型拡散領域に電気接続を行う金属接点が、上記複数のP型及びN型拡散領域のうちの一のN型拡散領域の上を通る、項目1に記載の方法。
(項目7)
項目1に記載の方法を使用して製造される太陽電池。
(項目8)
太陽電池を製造する方法であって、
複数のP型及びN型拡散領域を有する太陽電池構造を設ける段階と、
レーザを使用して、上記複数のP型及びN型拡散領域のうち対応するP型又はN型拡散領域の表面をそれぞれ露出する複数のコンタクトホールを、上記複数のP型及びN型拡散領域上に形成された少なくとも1つの絶縁体層に形成する段階と、
上記複数のコンタクトホールのそれぞれに金属接点を形成して、上記複数のP型及びN型拡散領域のそれぞれへの電気接続を形成する段階とを備え、上記複数のP型及びN型拡散領域のうちの一のP型拡散領域に電気接続を行う金属接点が、上記複数のP型及びN型拡散領域のうちの一のN型拡散領域の上を通る、方法。
(項目9)
上記複数のP型及びN型拡散領域のP型拡散領域へのコンタクトホールが、第1の設定に従うレーザ発射によって形成され、上記複数のP型及びN型拡散領域のN型拡散領域へのコンタクトホールが、上記第1の設定と異なる第2の設定に従うレーザ発射により形成される、項目8に記載の方法。
(項目10)
上記第1の設定が、P型拡散領域へのコンタクトホールを形成するべく、複数のレーザパルスをレーザ発射することを含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
上記複数のP型及びN型拡散領域が、太陽電池基板内に形成される、項目8に記載の方法。
(項目12)
上記太陽電池基板は、単結晶シリコンウェハを含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
上記複数のP型及びN型拡散領域が、太陽電池基板上に形成された別の層内に形成される、項目8に記載の方法。
(項目14)
上記別の層がポリシリコンを含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
項目8に記載の方法を使用して製造される太陽電池。
(項目16)
太陽電池を製造する方法であって、
太陽電池の、少なくとも0.5μmの深さを有する深い拡散領域を形成工程と、
レーザを使用して、絶縁体層にコンタクトホールを形成して上記深い拡散領域を露出させる工程と、
上記深い拡散領域を電気的に接続するべく、上記コンタクトホール内に金属接点を形成する工程とを備える、方法。
(項目17)
上記深い拡散領域が、P型であり、
上記金属接点が、N型拡散領域の上を通る項目16に記載の方法。
(項目18)
上記深い拡散領域が、単結晶シリコンウェハを含む太陽電池基板内に形成される項目16に記載の方法。
(項目19)
上記深い拡散領域と別の深い拡散領域が、上記太陽電池の裏面に形成され、
上記深い拡散が、P型拡散領域であり、上記別の深い拡散領域が、N型拡散領域である、項目16に記載の方法。
(項目20)
項目16に記載の方法を使用して製造される太陽電池。
(項目21)
太陽電池を製造する方法であって、
太陽電池の裏面の層間絶縁膜の上に、上記層間絶縁膜と合わせた特定の絶縁破壊電圧を有する反射防止コーティングを形成する工程と、
レーザを使用して、上記絶縁体層と上記反射防止にコンタクトホールを形成して拡散領域を露出させる工程と、
上記拡散領域に電気的に接続するべく、上記コンタクトホール内に金属接点を形成する工程とを備える、方法。
(項目22)
上記反射防止コーティングが、アモルファスシリコン層と窒化ケイ素層を含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
上記特定の絶縁破壊電圧が、1×10
7V/cmを超える、項目21に記載の方法。
(項目24)
上記特定の絶縁破壊電圧が、上記層間絶縁膜の屈折率を1.95未満に低下させることによって設定される、項目21に記載の方法。
(項目25)
項目21に記載の方法を使用して製造される太陽電池。
(項目26)
太陽電池を製造する方法であって、
ドープされた基板上に、特定タイプのレーザアブレーション用に設定された光学特性を有する絶縁体スタックを形成工程と、
レーザを使用して、上記特定タイプのレーザアブレーションによって上記絶縁体スタックにコンタクトホールを形成する工程と、
上記ドープ領域に電気的に接続するべく、上記コンタクトホール内に金属接点を形成工程とを備える、方法。
(項目27)
上記特定タイプのレーザアブレーションが、間接アブレーションを含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
上記絶縁体スタックが、1.97未満の屈折率を有し、上記レーザが、530nm以上の波長を有する、項目27に記載の方法。
(項目29)
上記絶縁体が、ドープされた二酸化シリコンを含む、項目26に記載の方法。
(項目30)
項目26に記載の方法を使用して製造された太陽電池。