特許第6458270号(P6458270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デューク ユニバーシティの特許一覧 ▶ ユニバーシティ オブ ノース カロライナの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458270
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】置換されたヒドロキサム酸化合物
(51)【国際特許分類】
   C07C 259/06 20060101AFI20190121BHJP
   C07D 231/12 20060101ALI20190121BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 31/5375 20060101ALI20190121BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20190121BHJP
   C07D 295/135 20060101ALI20190121BHJP
   C12Q 1/44 20060101ALI20190121BHJP
   C12N 9/18 20060101ALN20190121BHJP
【FI】
   C07C259/06CSP
   C07D231/12 A
   A61P31/04ZNA
   A61K31/165
   A61K31/5375
   A61K31/415
   C07D295/135
   C12Q1/44
   !C12N9/18
【請求項の数】18
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2016-534884(P2016-534884)
(86)(22)【出願日】2014年8月18日
(65)【公表番号】特表2016-535758(P2016-535758A)
(43)【公表日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】US2014051459
(87)【国際公開番号】WO2015024010
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2017年8月18日
(31)【優先権主張番号】61/867,933
(32)【優先日】2013年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/866,823
(32)【優先日】2013年8月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509307842
【氏名又は名称】デューク ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(73)【特許権者】
【識別番号】518420536
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ノース カロライナ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】ペイ ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジェイ.トゥーン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エー.ニコラス
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−519772(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/031298(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/132712(WO,A1)
【文献】 特表2012−502946(JP,A)
【文献】 特表2013−507434(JP,A)
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2013年,23,pp.2362-2367
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
の化合物、又は、その医薬的に許容される塩であって、ここで、
Q、Y、D、及びXは、独立してCH又は窒素を表わし、ただし、Q、Y、D、及びXの少なくとも2つはCHであり;
各Rは、独立して水素又はC1〜C6アルキルであるか、又は2つのR基は=0を形成し;
1は、−C≡C−R4、R6で任意に置換されたアリール、R6で任意に置換されたヘテロアリール、又はR6で任意に置換されたヘテロシクリルであり;
2は、
【化2】
であり;
3は、水素又はC1〜C6アルキルであり;
4は、R7で任意に置換されたC1〜C6アルキル、R8で任意に置換されたアリール、R8で任意に置換されたヘテロアリール、又はR8で任意に置換されたヘテロシクリルであり
6は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、アリール、アリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)からなる群から独立して選択され、ここで、各アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル部分は、1つ以上のR12で任意に置換され;
各R7は、ハロゲン、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、及びC1〜C6ハロアルコキシからなる群から独立して選択され;
各R8は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、オキソ、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−CH2−NH(C1〜C6アルキル)、−CH2−N(C1〜C6アルキル)2、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−COH、−CO2H、−CO2(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルコキシ)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−NHC(=NH)NH2、−NH−S(O)0-2−(C1〜C6アルキル)、−NH−S(O)0-2−アリール、−NH−S(O)0-2−ヘテロアリール、アリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)、−CH2−NHCONH2、−CH2NHCONH(C1〜C6アルキル)、及び−CH2−OCO(C1〜C6アルキル)からなる群から独立して選択され;
10は、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−CO2H、又は−CO2(C1〜C6アルキル)であり;
各R12は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、オキソ、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−COH、−CO2H、−CO2(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルコキシ)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−NHC(=NH)NH2、−NH−S(O)0-2−(C1〜C6アルキル)、−NH−S(O)0-2−アリール、及び−NH−S(O)0-2−ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、
24が、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、及び−NHCO(C1〜C6アルコキシ)からなる群から選択され;
25が、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、及びアミノ(C1〜C6アルキル)からなる群から選択され;
26が、C1〜C6アルキル又はC1〜C6ハロアルキルである、上記化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
26がC1ハロアルキルであるか、R26が−CH2F、−CHF2、又は−CF3であるか、R26が−CHF2であるか、R26がC1〜C6アルキルであるか、あるいは、R26がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
25が水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、又はC1〜C6ハロアルキルであるか、R25が水素又はC1〜C6アルキルであるか、R25が水素であるか25がC1〜C6アルキルであるか、あるいは、R25がメチルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
10が、−CONH−OH、−CONH−NH2、又は−CO2Hである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
2が、式:
【化3】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R基が=Oを形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
1が−C≡C−R4である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
は、場合によってRで置換されたアリール、又は場合によってRで置換されたヘテロアリールであるか;あるいは、Rは、場合によってRで置換されたフェニルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
8は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、−CONH2、−COH、−CO2H、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、及び−NH−S(O)0-2−(C1〜C6アルキル)からなる群から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
8は、ハロゲン、−NO2、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、及びC1〜C6ハロアルコキシからなる群から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
は、場合によってRで置換されたアリール、又は、場合によってRで置換されたヘテロアリールであるか;あるいは、場合によってRで置換されたフェニルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
各R6は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、及びC1〜C6ハロアルコキシからなる群より選択されるか、あるいは、アリール、アリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)からなる群から選択され、ここで、各アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル部分は、場合によって1つ以上のR12で任意に置換される、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
各Q、Y、D、及びXが、独立にCHである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
4−((4−アミノフェニル)ブタ−1,3−ジイニル)−N−(3−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシアミノ)−2−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ベンズアミド;
N−(4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシアミノ)−2,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−((4−(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)ベンズアミド
【化4】
である、請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物と、医薬的に許容される担体、溶媒、補助剤、又は希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の1つ以上の化合物の有効量を含むグラム陰性細菌感染症を治療するための医薬組成物であって、かかる治療の必要な対象に投与される、医薬組成物。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の1つ以上の化合物の有効量を含むグラム陰性細菌中のデアセチラーゼ酵素を阻害するための医薬組成物であって、グラム陰性細菌感染症の治療の必要な対象に投与される、医薬組成物。
【請求項18】
デアセチラーゼ酵素はLpxCである、請求項17に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、置換されたヒドロキサム酸化合物、特にUDP−3−O−(R−3−ヒドロキシデカノイル)−N−アセチルグルコサミンデアセチラーゼ(LpxC)と、グラム陰性細菌感染症を治療するためのかかる化合物の使用方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本の出願は、2013年8月16日に出願された米国仮特許出願第61/866,823号、及び2013年8月20日に出願された米国仮特許出願第61/867,933号(これらの全体が参照のため本明細書に組み込まれる)の利益を主張する。
【0003】
連邦政府により支援された研究又は開発に関する陳述
本発明は、NIH助成金番号第GM051310、AI055588号、及びAI094475号で与えられた米国政府の支援によってなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0004】
(関連技術の説明)
抗菌薬耐性が増加しており、驚くほど一般的になってきている。細菌株が複数の抗菌剤に耐性である場合、この問題は悪化する。新しい抗菌剤、特に新規な作用機序を有する抗菌剤に対する必要性が、明らかに存在する。
【0005】
遺伝子lpxCは、酵素ウリジンジホスホ−3−0−(R−ヒドロキシデカノイル)−N−アセチルグルコサミンデアセチラーゼ(LpxC)をコードする。この酵素は、すべてのグラム陰性菌の必須成分であるリポ多糖類の脂質部分である脂質Aの合成に関与している。商業的に有用なLpxC阻害剤としては、種々の細菌のLpxCの酵素活性を阻害することと、グラム陰性菌の耐性機構を無効化することとの両方が必要であろう。
【発明の概要】
【0006】
広い態様において、本開示は、以下に示す式Iの化合物、これらの化合物を含有する医薬組成物、及び細菌感染症を治療及び/又は予防するためのそのような化合物の使用方法を開示する。
【0007】
すなわち、本開示の1つの態様(実施態様1)は、式I:
【0008】
【化1】
【0009】
の化合物、又は、その医薬的に許容される塩を提供し、ここで、
Q、Y、D、及びXは、独立してCH又は窒素を表わし、ただし、Q、Y、D、及びXの少なくとも2つはCHであり;
各Rは、独立して水素又はC1〜C6アルキルであるか、又は2つのR基は=0を形成し;
【0010】
1は、−C≡C−R4、R6で任意に置換されたアリール、R6で任意に置換されたヘテロアリール、又はR6で任意に置換されたヘテロシクリルであり;
2は、
【0011】
【化2】
【0012】
であり;
3は、水素又はC1〜C6アルキルであり;
4は、R7で任意に置換されたC1〜C6アルキル、R8で任意に置換されたアリール、R8で任意に置換されたヘテロアリール、又はR8で任意に置換されたヘテロシクリルであり;
各R5は、独立して水素又はC1〜C6アルキルであり;
【0013】
各R6は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、アリール、アリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)からなる群から独立して選択され、ここで、各アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル部分は、1つ以上のR12で任意に置換される;
各R7は、ハロゲン、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、及びC1〜C6ハロアルコキシからなる群から独立して選択され;
【0014】
各R8は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、オキソ、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−CH2−NH(C1〜C6アルキル)、−CH2−N(C1〜C6アルキル)2、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−COH、−CO2H、−CO2(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルコキシ)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−NHC(=NH)NH2、−NH−S(O)0-2−(C1〜C6アルキル)、−NH−S(O)0-2−アリール、−NH−S(O)0-2−ヘテロアリール、アリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)、−CH2−NHCONH2、−CH2NHCONH(C1〜C6アルキル)、及び−CH2−OCO(C1〜C6アルキル)からなる群から独立して選択され;
【0015】
9は、C1〜C6アルキル、アリール、アリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)であり、ここで、各アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル部分は、1つ以上のR12で任意に置換され;
10は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、オキソ、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−CO2H、及び−CO2(C1〜C6アルキル)からなる群から独立して選択され;
【0016】
11は、C1〜C6アルキルであり;
各R12は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、オキソ、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−COH、−CO2H、−CO2(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルコキシ)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−NHC(=NH)NH2、−NH−S(O)0-2−(C1〜C6アルキル)、−NH−S(O)0-2−アリール、及び−NH−S(O)0-2−ヘテロアリールからなる群から独立して選択される。
【0017】
本開示の他の態様(実施態様1−A)は、式(I):
【0018】
【化3】
【0019】
の化合物、又は、その医薬的に許容される塩を提供し、ここで、
Q、Y、D、及びXは、独立してCH又は窒素を表わし、ただし、Q、Y、D、及びXの少なくとも2つはCHである;
各Rは、独立して水素又はC1〜C6アルキルであるか、又は2つのR基は=0を形成し;
【0020】
1は−C≡C−R4、R6で任意に置換されたアリールであり;
【0021】
2は、
【0022】
【化4】
【0023】
であり;
3は、水素又はC1〜C6アルキルであり;
4は、1つ以上のR12で任意に置換されたヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)であり;
各R5は、独立して水素又はC1〜C6アルキルであり;
【0024】
各R6は、アリール、アリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)からなる群から独立して選択され、ここで、各アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル部分は、1つ以上のR12で任意に置換され;
【0025】
9は、C1〜C6アルキル、アリール、アリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)であり、ここで、各アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル部分は、1つ以上のR12で任意に置換され;
10は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、オキソ、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−CO2H、及び−CO2(C1〜C6アルキル)からなる群から独立して選択され;
【0026】
11は、水素又はC1〜C6アルキルであり;
各R12は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、オキソ、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−COH、−CO2H、−CO2(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルコキシ)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−NHC(=NH)NH2、−NH−S(O)0-2−(C1〜C6アルキル)、−NH−S(O)0-2−アリール、及び−NH−S(O)0-2−ヘテロアリールからなる群から独立して選択されるが、
ただし、この化合物は、
N−(4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシアミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−((4−(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)ベンズアミド;
N−(4,4−ジフルオロ−1−(ヒドロキシアミノ)−3−メトキシ−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−((4−(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)ベンズアミド;
N−(3−アミノ−4,4−ジフルオロ−1−(ヒドロキシアミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−((4−(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)ベンズアミド;
N−(3−アセトアミド−4,4−ジフルオロ−1−(ヒドロキシアミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−((4−(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)ベンズアミド;及び
N−(4,4−ジフルオロ−1−(ヒドロキシアミノ)−3−メチル−3−(3−メチルウレイド)−1−オキソブタン−2−イル)−4−((4−(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)ベンズアミド、ではない。
【0027】
本開示の他の態様(実施態様65)は、式(II):
【0028】
【化5】
【0029】
の化合物、又は、その医薬的に許容される塩を提供し、ここで、
3は、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−C(O)NH2−、又は−C(O)NH2−CH2−を表わし;
4は、CH又はNR33を表わし;
33は、水素又はC1〜C6アルキルであり;
【0030】
各R34は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、オキソ、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−COH、−CO2H、−CO2(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルコキシ)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−NHC(=NH)NH2、−NH−S(O)0-2−(C1〜C6アルキル)、−NH−S(O)0-2−アリール、−NH−S(O)0-2−ヘテロアリール、アリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)からなる群から独立して選択され、ここで、各アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル部分は、1つ以上のR35で任意に置換され;
【0031】
37は、C1〜C6アルキル又は−S(O)2−(C1〜C6アルキル)であり、ここで、各アルキル部分は1つ以上のR35で任意に置換され;
38は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、オキソ、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−CO2H、及び−CO2(C1〜C6アルキル)からなる群から独立して選択され;
【0032】
39は、水素又はC1〜C6アルキルであり;
各R35は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、オキソ、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−COH、−CO2H、−CO2(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルコキシ)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−NHC(=NH)NH2、−NH−S(O)0-2−(C1〜C6アルキル)、−NH−S(O)0-2−アリール、及び−NH−S(O)0-2−ヘテロアリールからなる群から独立して選択される。
【0033】
本開示の他の態様(実施態様108)は、式III:
【0034】
【化6】
【0035】
の化合物、又は、その医薬的に許容される塩を提供し、ここで、
1は、CH又はNを表わし;
【0036】
各R21は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、及びC1〜C6ハロアルコキシからなる群から独立して選択され;
【0037】
22は、
【0038】
【化7】
【0039】
であり;
23は、水素又はC1〜C6アルキルであり;
27は、C1〜C6アルキル又は−S(O)2−(C1〜C6アルキル)であり、ここで、各アルキルは、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、オキソ、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−COH、−CO2H、−CO2(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルコキシ)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−NHC(=NH)NH2、−NH−S(O)0-2−(C1〜C6アルキル)、−NH−S(O)0-2−アリール、及び−NH−S(O)0-2−ヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され;
【0040】
28は、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、オキソ、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−CO2H、及び−CO2(C1〜C6アルキル)からなる群から独立して選択され;
29は、水素又はC1〜C6アルキルである。
【0041】
本開示はまた、式I又は式II又は式IIIの化合物を作製するのに有用な合成中間体を提供する。
本開示はまた、本開示の化合物を調製するための方法と、これらの方法で使用される中間体とを提供する。
本開示はまた、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩と、少なくとも1種の医薬的に許容される担体、溶媒、補助剤、又は希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
本開示はまた、UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシデカノイル)−N−アセチルグルコサミンデアセチラーゼ(LpxC)を阻害する方法と、グラム陰性細菌感染症を治療する方法とを提供する。
本開示はさらに、キット中に化合物又はその医薬組成物を、その化合物又は組成物の使用説明書とともに、提供する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ある実施態様において、本開示は式Iの化合物を提供し、ここで、R2は、
【0043】
【化8】
【0044】
であり、
24は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、及び−NHCO(C1〜C6アルコキシ)からなる群から選択され;
25は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、及びアミノ(C1〜C6アルキル)からなる群から選択され;
26は、C1〜C6アルキル又はC1〜C6ハロアルキルであり;
10は、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−CO2H、又は−CO2(C1〜C6アルキル)(実施態様2)である。
【0045】
式Iに基づく具体例には、実施態様3の化合物、すなわち、R26がC1ハロアルキルである実施態様2の化合物がある。別の実施態様は、R26が−CH2F、−CHF2、又は−CF3であるものである(実施態様4)。実施態様2に基づくさらに別の実施態様において、R26は−CHF2である(実施態様5)。
式Iに基づく具体例には、実施態様6の化合物、すなわち、R26がC1〜C6アルキルである実施態様2の化合物がある。別の実施態様は、R26がメチルであるものである(実施態様7)。
本発明の別の実施態様、すなわち実施態様8は、R25が水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、又はC1〜C6ハロアルキルである実施態様2〜7のいずれか1つの化合物を包含する。
【0046】
式Iに基づくさらに別の実施態様には、実施態様9の化合物、すなわち、R25が水素又はC1〜C6アルキルである実施態様8の化合物がある。他の実施態様は、R25が水素であるものである(実施態様10)。実施態様8に基づくさらに別の実施態様において、R25はC1〜C6アルキルである(実施態様11)。式Iと実施態様8に基づく実施態様12において、化合物は、R25がメチルであるものである。
【0047】
式Iに基づく別の実施態様において、実施態様2の化合物は、R25がメチルであり、R26が−CHF2であるものである(実施態様13)。
式Iに基づく実施態様14において、実施態様2の化合物は、R25が水素であり、R26が−CHF2であるものである。
【0048】
本発明の別の実施態様、すなわち実施態様15は、R24が、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、及び−NHCO(C1〜C6アルコキシ)からなる群から選択される、実施態様2〜14のいずれかの化合物を包含する。
【0049】
式Iに基づくさらに別の実施態様は、実施態様16の化合物、すなわち、R24が、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、及び−NHCO(C1〜C6アルコキシ)からなる群から選択される、実施態様15の化合物を含む。別の実施態様は、R24が−NH2であるものである(実施態様17)。
【0050】
式I及び実施態様16に基づく実施態様18において、化合物は、R24が、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、又は−NHCO(C1〜C6アルコキシ)であるものである。別の実施態様は、R24が、−OH又はC1〜C6アルコキシであるものである(実施態様19)。さらに別の実施態様は、R24が−OHであるものである(実施態様20)。
【0051】
本発明の別の実施態様、すなわち実施態様21は、R10が、−CONH−OH、−CONH−NH2、又は−CO2Hである、実施態様2〜20のいずれかの化合物を包含する。
式I及び実施態様21に基づく実施態様22において、化合物は、R10が−CONH−OHであるものである。
【0052】
式Iに基づく具体例は、実施例23のもの、すなわち、R2が式:
【0053】
【化9】
【0054】
である実施態様2の化合物を含む。
【0055】
式Iに基づく実施態様24は、R9が、C1〜C6アルキル、アリール(C1〜C6アルキル)、又はヘテロアリール(C1〜C6アルキル)(ここで、各アルキル、アリール、及びヘテロアリール部分は、1つ以上のR12で任意に置換される)であり;
10が、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CHNH−OH、−CONH−NH2、−CO2H、又は−CO2(C1〜C6アルキル)であり;
11が、C1〜C6アルキルである、
化合物を提供する。
【0056】
式Iと実施態様24に基づく実施態様25において、R11はメチルである。
式Iと実施態様24及び25に基づく別の実施態様において、本開示は、R10が−CONH−OH又は−CONH−NH2である化合物(実施態様26)を提供する、
【0057】
式Iと実施態様24及び25に基づくさらに別の実施態様において、本開示は、
9が、1つ以上のR12で任意に置換されたベンジルであり;
各R12が、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルコキシ)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、及び−NHCONH(C1〜C6アルキル)(実施態様27)からなる群から独立して選択される、
化合物を提供する。
【0058】
別の実施態様は、R9が、1つ以上のR12で任意に置換されたC1〜C6アルキルであるもの(実施態様28)である。実施態様8に基づくさらに別の実施態様において、R12は、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、オキソ、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−COH、−CO2H、−CO2(C1〜C6アルキル)、−NHC(=NH)NH2、−OCO(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルコキシ)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、及び−NHCONH(C1〜C6のアルキル)からなる群から独立して選択される(実施態様29)。
【0059】
式Iと任意の前記実施態様に基づく実施態様30は、R3が水素又はメチルである化合物を提供する。実施態様30−1において、R3は水素である。実施態様31において、R3はメチルである。
【0060】
式Iと任意の前記実施態様に基づく実施態様32は、2つのR基が=Oを形成する化合物を提供する。
【0061】
式Iと任意の前記実施態様に基づく別の実施態様において、化合物は、R1が−C≡C−R4であるもの(実施態様33)である。式Iと実施態様24に基づく実施態様34において、R1は−C≡C−R4であり、R4は、R8で任意に置換されたアリール、又はR8で任意に置換されたヘテロアリールである。式Iと実施態様34に基づくさらに別の実施態様において、本開示は、R4が、R8で任意に置換されたアリールである化合物(実施態様35)を提供する。
【0062】
式Iと任意の前記実施態様に基づく別の実施態様において、化合物は、式:
【0063】
【化10】
【0064】
で示される。
【0065】
式Iに基づくさらに別の実施態様において、R8は、ハロゲン、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NO2、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、−CONH2、−COH、−CO2H、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、及び−NH−S(O)0-2−(C1〜C6アルキル)からなる群から選択される(実施態様37)。
【0066】
式Iと実施態様37に基づく実施態様38において、R8は、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、及び−NH−S(O)0-2−(C1〜C6アルキル)からなる群から選択される。
【0067】
式Iに基づく実施態様39において、R8は、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、又は−N(C1〜C6アルキル)2からなる群から選択される。式Iに基づく別の実施態様において、R8は−NH2である(実施例40)。
【0068】
式Iに基づく実施態様41において、R8は、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−CH2−NH(C1〜C6アルキル)、−CH2−N(C1〜C6アルキル)2、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)、−CH2−NHCONH2、及び−CH2−NHCONH(C1〜C6アルキル)からなる群から選択される。
【0069】
式Iと実施態様36に基づく実施態様42は、R8が、アミノ(C1〜C6アルキル)、−CH2−NH(C1〜C6アルキル)、−CH2−N(C1〜C6アルキル)2、−CH2−NHCONH2、及び−CH2−NHCONH(C1〜C6アルキル)からなる群から選択される化合物を提供する。別の実施態様は、R8が、ハロゲン、−NO2、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、及びC1〜C6ハロアルコキシからなる群から選択される化合物(実施例43)を提供する。
【0070】
式Iと任意の前記実施態様に基づく実施態様44は、式:
【0071】
【化11】
【0072】
の化合物を提供する。
【0073】
式Iと任意の前記実施態様に基づく実施態様44−1において、化合物は、式:
【0074】
【化12】
【0075】
【化13】
【0076】
で示される。
【0077】
式Iに基づく実施態様45は、式:
【0078】
【化14】
【0079】
の化合物を提供する。
【0080】
式Iに基づく実施態様46は、式:
【化15】
【0081】
の化合物を提供する。
【0082】
式Iの具体例は、実施態様47のものお、すなわち、R1が、R6で任意に置換されたアリール、又はR6で任意に置換されたヘテロアリールである、実施態様1〜32のいずれか1つの化合物を含む。
【0083】
式Iと実施態様47に基づくさらに別の実施態様において、本開示は、R1が、R6で任意に置換された化合物(実施態様48)を提供する。
そのような化合物は、式:
【0084】
【化16】
【0085】
の化合物でもよい。
【0086】
式Iと実施態様49に基づく実施態様50は、R6が、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、及びC1〜C6ハロアルコキシからなる群から選択される化合物を提供する。
【0087】
これも式Iと実施態様49に基づく実施態様51は、R6が、アリール、アリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、及びヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)からなる群から選択され、各アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル部分は、1つ以上のR12で任意に置換される、化合物を提供する。
【0088】
式Iと実施態様51に基づくある実施態様において、化合物は、R6がアリール又はアリール(C1〜C6アルキル)であり、アリールは1つ以上のR12で任意に置換されたものである(実施態様52)。式Iと実施態様51に基づく実施態様53において、化合物は、R6がヘテロアリール又はヘテロアリール(C1〜C6アルキル)であり、ヘテロアリールは1つ以上のR12で任意に置換されたものである。さらに別の実施態様において、化合物は、R6がヘテロシクリル又はヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)であり、ヘテロシクリルは1つ以上のR12で任意に置換されたもの(実施態様54)である。式Iと実施態様51に基づく実施態様55は、R6が、非置換ヘテロシクリル又は非置換ヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)である化合物を提供する。
【0089】
式Iの具体例は、実施態様56のもの、すなわち、R6がヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)であり、ヘテロシクリルは、1つ以上のR12で任意に置換された化合物を含む。実施態様57は、R6が非置換ヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)であるものであり、実施態様58は、R6が非置換ヘテロシクリル(C1アルキル)であるものである。
【0090】
式Iの具体例は、実施態様56の化合物、すなわち、ヘテロシクリルが、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、ジアゼパニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール−4−イル、1,4,5,6−テトラヒドロピラジン−2−イル、2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル、1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル、4,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル、及び3,4−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−6−イルからなる群から選択される、実施態様54〜57の化合物を含む。別の実施態様において、ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、又はモルホリニルである(実施態様60)。
【0091】
式I及び実施態様49に基づく実施態様61において、化合物は、R6がモルホリニル−CH2−であるものである。
【0092】
式I又は実施態様1又は49に基づく実施態様62は、式:
【0093】
【化17】
【0094】
(式中、モルホリニル部分は、1つ以上のR12で任意に置換される)の化合物を提供する。
【0095】
式I及び実施態様62に基づく実施態様63において、化合物は、式:
【0096】
【化18】
【0097】
(式中、モルホリニル部分は、1つ以上のR12で任意に置換される)の化合物で示される。
【0098】
式IIに基づく具体例は、実施態様66の化合物、すなわち、R34が存在しない実施態様65の化合物を含む。このような化合物は、式:
【0099】
【化19】
【0100】
で示される。
【0101】
式IIに基づく他の具体例は、実施例66−1のもの、すなわち、R34が、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、オキソ、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−COH、−CO2H、−CO2(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルコキシ)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−NHC(=NH)NH2、−NH−S(O)0-2−(C1〜C6アルキル)−NH−S(O)0-2−アリール、及び−NH−S(O)0-2−ヘテロアリールからなる群から独立して選択される、実施態様65の化合物を含む。式IIに基づくさらに別の具体例は、実施例66−2の化合物、すなわち、R34が、ハロゲン、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、オキソ、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)からなる群から独立して選択される、実施態様65の化合物を含む。式IIに基づくさらに別の具体例は、実施例66−3の化合物、すなわち、R34が、アリール、アリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)(ここで、各アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル部分は、1つ以上のR35で任意に置換される)からなる群から独立して選択される、実施態様65の化合物を含む。
【0102】
本発明の別の実施態様、すなわち実施態様67は、
【0103】
【化20】
【0104】
部分が式:
【0105】
【化21】
【0106】
である、実施態様65、66,66−1、又は66−3の化合物を包含し、ここで
41が、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、及び−NHCO(C1〜C6アルコキシ)からなる群から選択され;
42が、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、及びアミノ(C1〜C6アルキル)からなる群から選択され;
43が、C1〜C6アルキル又はC1〜C6ハロアルキルであり;
38が、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−CO2H、又は−CO2(C1〜C6アルキル)であり;
38が、水素、C1〜C6アルキルである。
【0107】
式IIに基づく具体例は、実施態様68の化合物、すなわち、R43がC1ハロアルキルである実施態様67の化合物を含む。別の実施態様は、R43が、−CH2F、−CHF2、又は−CF3であるもの(実施態様69)である。式IIに基づくさらに別の実施態様は、実施態様70の化合物、すなわちR43が−CHF2である実施態様69の化合物を含む。
【0108】
実施態様67に基づく別の実施態様は、R43がC1〜C6アルキルであるもの(実施態様71)である。実施態様67に基づくさらに別の実施態様において、R43はメチルである(実施態様72)。
【0109】
式IIと任意の実施態様67〜72に基づく実施態様73において、化合物は、R42が、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、又はC1〜C6ハロアルキルであるものである。
【0110】
式IIに基づく別の実施態様において、実施態様73の化合物は、R42が水素又はC1〜C6アルキルであるもの(実施態様74)である。式IIに基づく実施態様75において、化合物は、R42が水素であるものである。本発明の別の実施態様、すなわち実施態様76は、R42がC1〜C6アルキルである化合物を包含する。式IIに基づくさらに別の実施態様は、実施態様77の化合物、すなわちR42がメチルである実施態様76の化合物を含む。
【0111】
式IIと実施態様67に基づく実施態様78において、化合物は、R42がメチルであり、R43が−CHF2であるものである。
【0112】
式IIと実施態様67に基づく実施態様79において、化合物は、R42が水素であり、R43が−CHF2であるものである。
【0113】
本発明の別の実施態様、すなわち実施例80は、R41が、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、及び−NHCO(C1〜C6アルキル)からなる群から選択される、実施態様67〜79の任意のの化合物を包含する。さらに別の実施態様は、R41が、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、及び−NHCO(C1〜C6アルコキシ)からなる群から選択されたもの(実施例81)である。
【0114】
本発明の別の実施態様、すなわち実施態様82は、R41が−NH2である実施態様66〜81のいずれかの化合物を包含する。式II及び実施態様82に基づく実施態様83において、化合物は、R41が、−ΝΗΟΟ(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、又は−NHCO(C1〜C6アルコキシ)であるものである。
【0115】
式IIに基づく具体例は、実施態様84のもの、すなわちR17が、−OH又はC1〜C6アルコキシである実施態様80の化合物を含む。式IIに基づき実施態様85は、R41が−OHである化合物を提供する。
式IIに基づく具体例は、R37が、−S(O)2−(C1〜C6アルキル)(ここで、アルキル部分は1つ以上のR11で任意に置換される)であるもの(実施態様86)を含む。
【0116】
式IIと実施態様86に基づく実施態様87において、化合物は、R37が−S(O)2−CH3であるものである。
【0117】
式IIと実施態様65〜87のいずれか1つに基づく実施態様88において、R38は、−CONH−OH、−CONH−NH2、又は−CO2Hである。式IIと実施態様88に基づく別の実施態様において、本開示は、R38が−CONH−OHである化合物(実施態様89)を提供する。
【0118】
式II及び実施態様65〜89のいずれか1つに基づくさらに別の実施態様、例えば実施態様90において、本開示は、R39が水素である化合物を提供する。別の実施態様は、R39がC1〜C6アルキルであるか、又はR39がメチルであるもの(実施態様91)である。
【0119】
式IIと実施態様65又は66に基づくさらに別の実施態様において、部分
【0120】
【化22】
【0121】
は、式:
【0122】
【化23】
【0123】
である。
【0124】
式IIと実施態様65又は66に基づくさらに別の実施態様において、部分
【0125】
【化24】
【0126】
は、式:
【0127】
【化25】
【0128】
である。
【0129】
式IIに基づく具体例は、実施態様94の化合物、すなわち、X4が式:
【0130】
【化26】
【0131】
のCHを表わす実施態様65〜93のいずれか1つの化合物を含む。
【0132】
実施態様65〜93と式IIのいずれか1つの化合物はまた、X4がNR33であり、R33が式:
【0133】
【化27】
【0134】
の水素であるものを含む。
【0135】
式IIと実施態様65〜95のいずれか1に基づく別の実施態様、例えば実施態様96において、本開示は、X3が−CH2−、−(CH22−、又は−(CH23−を表わす化合物を提供する。
【0136】
いくつかの実施態様において、−X3−CH2−X4−部分は、−(CH23−、−(CH24−、又は−(CH25−(実施態様97)を表わす。実施態様97の具体的な化合物は、−X3−CH2−X4−部分が−(CH23−であるもの(実施態様98)、又は−X3−CH2−X4−部分が−(CH24−であるもの(実施態様99)、又は−X3−CH2−X4−部分が−(CH25−であるもの(実施態様100)である。
【0137】
いくつかの実施態様において、−X3−CH2−X4−部分は、−(CH22NH−、−(CH23NH−、又は−(CH24NH−(実施態様101)である。実施態様101の具体的な化合物は、−X3−CH2−X4−部分が−(CH22NH−(実施態様102)であるか、又は−X3−CH2−X4−部分が−(CH23NH−(実施態様103)であるものである。
【0138】
実施態様65〜95及び式IIのいずれか1つの化合物はまた、X3が、−C(O)NH2−又は−C(O)NH2−CH2−であるもの(実施態様104)を含む。実施態様104の具体的な化合物は、−X3−CH2−X4−部分が−C(O)NH2−(CH22−(実施態様105)であるか、又は−X3−CH2−X4−部分が−C(O)NH2−CH2−NH−又は−C(O)NH2−(CH22−NH−(実施態様106)であるものである。
【0139】
式IIIに基づく具体例は、実施態様109のもの、すなわち、化合物が、N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−(2−オキソ−4−(フェニルエチニツ)ピリジン−1(2H)−イル)ブタンアミドではない実施態様108の化合物を含む。
【0140】
実施態様108及び109と式IIIのいずれか1つの化合物はまた、X1がCを表わし、R23が式:
【0141】
【化28】
【0142】
の水素であるものを含む。
実施態様108〜110のいずれか1つに基づく実施態様111は、式:
【0143】
【化29】
【0144】
の化合物を提供する。
【0145】
式IIIと実施態様108〜111のいずれか1つに基づく実施態様112において、化合物は、R27が−S(O)2−CH3であるものである。
【0146】
式III及び実施態様108〜112のいずれか1つに基づく実施態様113において、R28は、−CONH−OH、−CONH−NH2、又は−CO2Hである。式IIIと実施態様113に基づく別の実施態様において、本開示は、R28が−CONH−OHである化合物(実施態様114)を提供する。
【0147】
さらに別の実施態様、例えば式III及び実施態様108〜114のいずれか1つに基づく実施態様115において、本開示は、R29が水素である化合物を提供する。他の実施態様は、R29がC1〜C6アルキルであるか、又はR29がメチルであるもの(実施態様116)である。
【0148】
式III及び実施態様108〜112のいずれか1つに基づくさらに別の実施態様において、R22は、式:
【0149】
【化30】
【0150】
である。
【0151】
式IIIに基づく別の具体例は、実施態様118の化合物、すなわち、R21が存在しない実施態様108〜117の化合物である。
【0152】
式IIIに基づく別の具体例は、実施態様118の化合物、すなわちR21が、ハロゲン、−OH、C1〜C6アルコキシ、及びC1〜C6ハロアルコキシから選択される実施態様108〜117の化合物を含む。
【0153】
ある実施態様において、本開示は、実施態様1−Aの化合物を提供し、ここで、
2は、式:
【0154】
【化31】
【0155】
であり、
24は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、アミノ(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、及び−NHCO(C1〜C6アルコキシ)からなる群から選択され;
25は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、ヒドロキシ(C1〜C6アルキル)、アルコキシ(C1〜C6アルキル)、及びアミノ(C1〜C6アルキル)からなる群から選択され;
26は、C1〜C6アルキル又はC1〜C6ハロアルキルであり;
10は、−CONH2、−CON(C1〜C6アルキル)、−CON(C1〜C6アルキル)2、−CONH−OH、−CONH−NH2、−CO2H、又は−CO2(C1〜C6アルキル)である(実施態様121)。
【0156】
実施態様1−Aに基づく具体例は、実施態様122の化合物、すなわち、R26がC1ハロアルキルである実施態様122の化合物を含む。別の実施態様は、R26が、−CH2F、−CHF2、又は−CF3(実施態様123)であるものである。実施態様2に基づくさらに別の実施態様において、R26は−CHF2である(実施態様124)。
【0157】
実施態様1−Aに基づく具体例は、実施態様125のもの、すなわちR26がC1〜C6アルキルである実施態様121の化合物を含む。別の実施態様は、R26がメチルであるもの(実施態様126)である。
【0158】
本発明の別の実施態様、すなわち実施態様127は、R25が、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、又はC1〜C6ハロアルキルである、実施態様121〜126のいずれかの化合物を包含する。
【0159】
実施態様1−Aに基づくさらに別の実施態様は、実施態様128の化合物、すなわち、R25が水素又はC1〜C6アルキルである実施態様127の化合物を含む。別の実施態様は、R25が水素であるもの(実施態様129)である。実施態様127に基づくさらに別の実施態様において、R25はC1〜C6アルキルである(実施態様130)。式Iと実施態様127に基づく実施態様131において、化合物は、R25がメチルであるものである。
【0160】
実施態様1−Aに基づく別の実施態様において、本開示は、R25がメチルであり、R26が−CHF2である実施態様121の化合物(実施態様132)を包含する。
実施態様1−Aに基づく実施態様133において、本開示は、R25が水素であり、R26が−CHF2である実施態様121の化合物を包含する。
【0161】
本発明の別の実施態様、すなわち実施態様134は、R24が、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、−SH、−S(C1〜C6アルキル)、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、−OCO(C1〜C6アルキル)、及び−NHCO(C1〜C6アルコキシ)からなる群から選択され、実施態様121〜133のいずれかの化合物を包含する。
【0162】
実施態様1−Aに基づくさらに別の実施態様において、本開示は、実施態様135の化合物、すなわち、R24が、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、及び−NHCO(C1〜C6アルコキシ)からなる群から選択される、実施態様134の化合物(実施態様136)を包含する。
【0163】
実施態様1−Aと実施態様135に基づく実施態様137において、本開示は、R24が、−NHCO(C1〜C6アルキル)、−NHCONH2、−NHCONH(C1〜C6アルキル)、又は−NHCO(C1〜C6アルコキシ)である化合物を含む。別の実施態様は、R24が−OH又はC1〜C6アルコキシであるもの(実施態様138)である。さらに別の実施態様は、R24が−OHであるもの(実施態様139)である。
【0164】
本発明の別々の態様、すなわち実施態様140は、R10が−CONH−OH、−CONH−NH2、又は−CO2Hである、実施態様1−A、121〜130のいずれかの化合物を包含する。
【0165】
実施態様1−Aと実施態様140に基づく実施態様141において、本開示は、R19が−CONH−OHである化合物を包含する。
【0166】
実施態様1−Aに基づく具体例は、実施態様142の化合物、すなわちR2が式:
【0167】
【化32】
【0168】
である、実施態様121のものを含む。
実施態様1−Aと任意の前記実施態様に基づく実施態様143は、R3が水素又はメチルである化合物を提供する。実施態様143−1において、R3は水素である。実施態様144において、R3はメチルである。
【0169】
実施態様1−Aと任意の前記実施態様に基づく実施態様145は、2つのR基が=Oを形成する化合物を提供する。
【0170】
実施態様1−Aと任意の前記実施態様に基づく別の実施態様において、本開示は、R1が−C≡C−R4である化合物(実施態様146)を包含する。実施態様1−Aと実施態様146に基づく実施態様147において、R1は−C≡C−R4であり、R4はR8で任意に置換されたアリールであるか、又はR8で任意に置換されたヘテロアリールである。実施態様147に基づくさらに別の実施態様において、本開示は、R4がR8で任意に置換されたアリールである化合物(実施態様148)を提供する。
【0171】
実施態様1−Aの具体例は、実施態様149の化合物、すなわちR1が、R6で任意に置換されたアリール、又はR6で任意に置換されたヘテロアリール、である、実施態様120〜145のいずれか1つの化合物を含む。
【0172】
実施態様149に基づくさらに別の実施態様において、本開示は、R1がR6で任意に置換されたアリールである化合物(実施態様150)を提供する。このような化合物は、以下の式:
【0173】
【化33】
【0174】
で示される。
【0175】
実施態様1−Aと実施態様151に基づく実施態様152は、R6が、−NO2、−CN、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、−NH2、−NH(C1〜C6アルキル)、−N(C1〜C6アルキル)2、−OH、C1〜C6アルコキシ、及びC1〜C6ハロアルコキシ、からなる群から選択される化合物を提供する。
【0176】
これも実施態様1-Aと実施態様151に基づく実施態様153は、R6が、アリール、アリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1〜C6アルキル)、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)(ここで、各アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル部分は、1つ以上のR12で任意に置換される)からなる群から選択される化合物を提供する。
【0177】
実施態様153に基づくある実施態様において、本開示は、R6がアリール又はアリール(C1〜C6アルキル)(ここで、アリールは、1つ以上のR12で任意に置換される)である化合物(実施態様154)を包含する。実施態様153に基づく実施態様155において、本開示は、R6がヘテロアリール又はヘテロアリール(C1〜C6アルキル)(ここで、ヘテロアリールは、1つ以上のR12で任意に置換される)である化合物を包含する。さらに別の実施態様において、本開示は、R6が、ヘテロシクリル又はヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)(ここで、ヘテロシクリルは、1つ以上のR12で任意に置換される)である化合物(実施態様156)を包含する。実施態様153に基づく実施態様157は、R6が、非置換ヘテロシクリル又は非置換ヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)である化合物を提供する。
【0178】
式Iの具体例は、実施態様158の化合物、すなわち、R6がヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)(ここで、ヘテロシクリルは、1つ以上のR12で任意に置換される)である実施態様153の化合物を含む。実施態様159は、R6が非置換ヘテロシクリル(C1〜C6アルキル)であり、実施態様160は、R6が非置換ヘテロシクリル(C1アルキル)である。
【0179】
式Iの具体例は、実施態様161の化合物、すなわち、ヘテロシクリルが、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、ジアゼパニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール−4−イル、1,4,5,6−テトラヒドロピラジン−2−イル、2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル、1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル、4,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル、及び3,4−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−6−イルからなる群から選択される、実施態様156〜160の化合物を含む。別の実施態様において、ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、又はモルホリニルである(実施態様162)。
【0180】
実施態様153に基づく実施態様163において、本開示は、R6がモルホリニル−CH2−である化合物を包含する。
【0181】
実施態様1−A又は153に基づく実施態様164は、式:
【0182】
【化34】
【0183】
(式中、モルホリニル部分は1つ以上のR12で任意に置換される)の化合物を提供する。
【0184】
実施態様164に基づく実施態様165において、本開示は、式:
【0185】
【化35】
【0186】
(式中、モルホリニル部分は1つ以上のR12で任意に置換される)の化合物を包含する。
【0187】
治療薬用途
本発明は、グラム陰性細菌感染症を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に本発明の一つ以上の化合物の有効量を投与することを含む方法を提供する。具体的なグラム陰性細菌は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、アルカリゲネス・キシロースオキシダンス(Alcaligenes xylosoxidans)、アシネトバクター(Acinetobacter)、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ナイセリア種(Neisseria species)、野兎病菌(Francisella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、バークホルデリア疽菌(Burkholderia pseudomallei)、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)、リケッチア・プロワツェキイ(Rickettsia prowazekii)、Q熱リケッチア(Coxiella burnetii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、赤痢菌(Shigella)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、及びクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)である。ある実施態様において、グラム陰性細菌は淋菌(Neisseria gonorrhoeae)である。ある実施態様において、グラム陰性細菌はアシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter Baumannii)である。
【0188】
具体的な腸内細菌は、セラチア(Serratia)、プロテウス(Proteus)、クレブシエラ(Klebsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、シトロバクター(Citrobacter)、サルモネラ(Salmonella)、プロビデンシア(Providencia)、モルガネラ(Morganella)、セデセア(Cedecea)、エドワードシエラ(Edwardsiella)、大腸菌(Escherichia coli)、エンテロバクター・クロアカエ (Enterobacter cloacae)、及びエンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)からなる群から選択される。
【0189】
別の態様において本発明は、グラム陰性細菌中のデアセチラーゼ酵素を阻害する方法であって、前記細菌に、本発明の1つ以上の化合物の有効量を接触させることを含む方法を提供する。具体的なデアセチラーゼ酵素はLpxCである。
【0190】
医薬組成物
別の態様において本開示は、式Iに関連して上述したような化合物の1つ以上と、適切な担体、賦形剤、又は希釈剤とを含む組成物を提供する。担体、賦形剤又は希釈剤の正確な性質は、組成物の所望の用途に依存し、獣医学的使用に適切であるか又は許容される範囲から、ヒトでの使用に適切であるか又は許容される範囲にわたることができる。本組成物は、任意に1つ以上の追加の化合物を含むことができる。
【0191】
このような疾患を治療又は予防するために使用される場合、本明細書に記載の化合物は、単独で、1つ以上の化合物の混合物として、又はそのような疾患もしくはそのような疾患に関連する症状を治療するのに有用な他の薬剤との混合物もしくは組合せとして、投与してもよい。本化合物はまた、他の障害又は病気を治療するのに有用な薬剤、例えば、少し例を挙げると、ステロイド、膜安定化剤、5LO阻害剤、ロイコトリエン合成及び受容体阻害剤、IgEアイソタイプスイッチ若しくはIgE合成の阻害剤、IgGアイソタイプスイッチもしくはIgG合成の阻害剤、βアゴニスト、トリプターゼ阻害剤、アスピリン、COX阻害剤、メソトレキセート、抗TNF薬、リツキサン、PD4阻害剤、p38阻害剤、PDE4阻害剤、及び抗ヒスタミン薬、との混合物として又は組合せて投与することができる。本化合物は、化合物自体の形で、又は化合物を含む医薬組成物として投与することができる。
【0192】
本化合物を含む医薬組成物は、従来法の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、乳化、カプセル化、封入、又は凍結乾燥プロセスによって製造することができる。組成物は、医薬的に使用できる製剤への化合物の処理を促進する1種以上の医薬的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、又は補助剤を使用して、従来法で製剤化することができる。
【0193】
化合物は、前述のように、それ自体が、又は水和物、溶媒和物、N−オキシド、又は医薬的に許容される塩の形態で、医薬組成物に製剤化することができる。典型的には、このような塩は、対応する遊離酸及び塩基よりも水溶液中でより可溶性であるが、対応する遊離酸及び塩基よりも低い溶解度を有する塩も形成することができる。
【0194】
医薬組成物は、例えば、局所、眼、経口、口腔、全身、経鼻、注射、経皮、直腸、膣内等、又は吸入もしくは吹送による投与に適した形態を含む、実質的に任意の投与形態を取ることができる。
【0195】
当技術分野でよく知られているように、局所投与用に、化合物は、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁液などとして製剤化することができる。全身性製剤は、例えば皮下、静脈内、筋肉内、くも膜下腔内、又は腹腔内注射注射による投与のために設計されたもの、ならびに経皮、経粘膜経口、又は肺投与のために設計されたものを含む。
【0196】
有用な注射用製剤は、滅菌懸濁液、溶液、又は水性もしくは油性ビヒクル中の活性化合物のエマルジョンを含む。組成物はまた、懸濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有してもよい。注射用製剤は、アンプルなどの単位投与形態、又は複数回投与容器で提供することができ、追加の保存剤を含有してもよい。あるいは、注射可能な製剤は、使用前に、特に限定されないが、パイロジェンフリー不含無菌水、緩衝液、デキストロース溶液などを含む適切なビヒクルで再構成するための粉末形態で提供されてもよい。この目的のために、活性化合物は、凍結乾燥などの任意の当技術分野で公知の技術によって乾燥し、使用前に復元することができる。
【0197】
経粘膜投与については、浸透すべき障壁に適した浸透剤が製剤中で使用される。このような浸透剤は当技術分野で公知である。
【0198】
経口投与の場合、医薬組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、乳糖、微結晶性セルロース、又はリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、又はシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン、又はデンプングリコール酸ナトリウム);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬的に許容される賦形剤を用いて、例えば、従来法により調製されるロゼンジ剤、錠剤、又はカプセル剤の形態を取ることができる。錠剤は、例えば糖、フィルム、又は腸溶コーティングを用いて、当技術分野で公知の方法によってコーティングしてもよい。
【0199】
経口投与用の液体製剤は、例えば、エリキシル、溶液、シロップ、又は懸濁液の形態をとることができるか、又はこれらは、使用前に水又は他の適切なビヒクルで復元するための乾燥製品として提供することができる。このような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、又は水素化食用脂);乳化剤(例えば、レシチン、又はアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、クレモフォア(登録商標)、又は分画植物油);及び防腐剤(例えば、メチル又はプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、又はソルビン酸)などの医薬的に許容される添加剤を用いて、従来法により調製することができる。調製物はまた、適宜、緩衝塩、防腐剤、香料、着色剤、及び甘味剤を含有してもよい。
【0200】
公知のように、経口投与のための製剤は、適切には、化合物の制御放出を与えるように処方することができる。
【0201】
口腔内投与の場合、組成物は、従来法で製剤化された錠剤又はトローチ剤の形態を取ることができる。
【0202】
直腸及び膣投与経路用に、化合物は溶液(保持浣腸用)、坐剤、又はココアバター又は他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する又は軟膏として処方することができる。
【0203】
経鼻投与又は吸入もしくは吹送による投与のために、化合物は、加圧パック、又は例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、フルオロカーボン、二酸化炭素、又は他の適切なガスを使用する噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で、便利に送達することができる。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することにより決定することができる。吸入器又は吹送器で使用するためのカプセル及びカートリッジ(例えば、ゼラチンで構成されるカプセル及びカートリッジ)は、本化合物と、乳糖又はデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含んで処方されてもよい。
【0204】
眼内投与のために、化合物は、眼への投与に適した溶液、エマルジョン、懸濁液などとして製剤化することができる。化合物を眼に投与するのに適した種々のビヒクルが当技術分野で知られている。
【0205】
長期送達のために、化合物は、移植又は筋肉内注入による投与のためのデポー製剤として製剤化することができる。化合物は、適切なポリマー又は疎水性物質を用いて(例えば、許容される油中のエマルションとして)、又はイオン交換樹脂として、又は難溶性誘導体(例えば難溶性塩として)製剤化することができる。あるいは、経皮吸収のための化合物をゆっくり放出する接着ディスク又はパッチとして製造される経皮送達システムを、使用することができる。この目的のために、化合物の経皮浸透を促進するために、浸透促進剤を使用することができる。
【0206】
あるいは、他の薬剤送達系を用いることができる。リポソーム及びエマルジョンは、化合物を送達するために使用され得る送達ビヒクルの公知の例である。ジメチルスルホキシド(DMSO)などの特定の有機溶媒も使用できるが、通常は毒性がより大きくなる。
【0207】
医薬組成物は、所望であれば、化合物を含有する1種以上の単位剤形を含み得るパック又はディスペンサー器具で提供することができる。パックは、例えば金属箔又はプラスチック箔、例えばブリスターパックを含むことができる。パック又はディスペンサー器具は、投与のための説明書を添付することができる。
【0208】
本明細書に記載の化合物又はその組成物は一般に、意図した結果を達成するために有効な量で、例えば治療される特定の疾患を治療又は予防するのに有効な量で使用されるであろう。治療的利益は、患者が、まだ基礎疾患に罹患しているにもかかわらず、感覚又は状態の改善を報告するように、治療されている基礎疾患の根絶又は改善、及び/又は基礎疾患に関連する症状の1つ以上の根絶又は改善を意味する。治療的利益はまた一般に、改善が実現されているかどうかにかかわらず、疾患の進行を停止又は減速させることを含む。
【0209】
投与される化合物の量は、治療される特定の適応症、投与様式(所望の利益が予防的又は治療的であるかどうか)、治療される特定の適応症の重症度、及び患者の年齢と体重、具体的な化合物の生物学的利用能、選択された投与経路での活性化合物への変換速度と効率を含む、種々の要因に依存する。
【0210】
具体的な用途と投与様式のための化合物の有効投与量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。有効投与量は、まずインビトロ活性と代謝アッセイとから推定することができる。例えば、動物における使用のための化合物の初期投与量は、インビトロアッセイのように測定される具体的な化合物のIC50以上である代謝活性化合物の、循環血液濃度又は血清濃度を達成するように製剤化することができる。所望の投与経路を経る具体的な化合物の生物学的利用能を考慮して、このような循環血液又は血清濃度を達成するように投与量を計算することは、当業者の能力の範囲内である。化合物の初期投与量はまた、動物モデルなどのインビボデータから推定することができる。上述の種々の疾患を治療又は予防するための活性代謝物の有効性を試験するのに有用な動物モデルは、当技術分野において公知である。活性代謝物への化合物の生物学的利用能及び/又は代謝を試験するための適切な動物モデルも、公知である。当業者は、ヒトへの投与に適した具体的な化合物の投与量を決定するために、そのような情報を適合させることができる。
【0211】
投与量は、典型的には約0.0001mg/kg/日、0.001mg/kg/日、又は0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であろうが、特に、活性代謝化合物の活性、化合物の生物学的利用能、その代謝動態、及び他の薬物動態的性質、投与様式、及び上記した種々の他の要因に依存して、投与量は、より高くくても低くてもよい。投与量及び投与間隔は、治療又は予防効果を維持するのに十分な化合物の及び/又は活性代謝物の血漿レベルを提供するために個々に調節することができる。例えば化合物は、特に、投与様式、治療される具体的な適応症、及び処方医師の判断に応じて、1週間に1回、週に数回(例えば一日おき)、一日一回、又は一日あたり複数回、投与してもよい。局所投与又は局所投与などの選択的取り込みの場合に、化合物及び/又は活性代謝物の有効な局所濃度は、血漿濃度に関連しなくてもよい。当業者は、過度の実験を行うことなく、有効な局所投与量を最適化することができるであろう。
【0212】
定義
本明細書において以下の用途及び表現は、記載の意味を有する。
【0213】
本明細書で使用される用語は、記載の置換基と親成分との間の結合の次数を示すために、その前及び/又は後にダッシュ「−」が1つ又は2つ「=」与えられているが、ダッシュ1つは1重結合を意味し、ダッシュ2つは2重結合を意味する。1つのダッシュも2つのダッシュも無い場合は、置換基と親成分との間には、1重結合が形成されていると理解され、さらに、置換基は、ダッシュにより指定されない場合は、「左から右」に読むように意図されている。例えば、C1〜C6アルコキシカルボニルオキシ及び−OC(O)C1〜C6アルキルは、同じ官能基を示し、同様に、アリールアルキル及び−アルキルアリールは、同じ官能基を示す。
【0214】
本明細書において用語「アルケニル」は、特に別の指定がなければ、2〜10個の炭素を含有し、少なくとも1つの炭素−炭素2重結合を有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素を意味する。アルケニルの代表例には、特に限定されないが、エテニル、2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル、2−ヘプタニル、2−メチル−1−ヘプテニル、3−デセニル、及び3,7−ジメチルオクタ−2,6−ジエニルが挙げられる。
【0215】
本明細書において用語「アルコキシ」は、本明細書で定義される、酸素原子を介して親分子成分に付加されたアルキル基を意味する。アルコキシの代表例には、特に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシが挙げられる。
【0216】
本明細書において用語「アルキル」は、特に別の指定がなければ、1〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素を意味する。アルキルの代表例には、特に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、及びn−デシルが挙げられる。「アルキル」基が2つの他の成分間の連結基である時、これはまた、直鎖又は分岐鎖でもよい。例としては、特に限定されないが、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CHC(CH3)−、−CH2CH(CH2CH3)CH2−が挙げられる。
【0217】
用語「アルキレン」は、2価のアルキル基を指す。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、すなわち−(CH2n−であり、ここで、nは、正の整数、好ましくは1〜6、1〜4、1〜3、1〜2、又は2〜3である。置換されたアルキレン鎖は、1つ以上のメチレン水素原子が置換基で置換されたポリメチレン基である。適切な置換基には、置換脂肪族基について後述されるものが挙げられる。アルキレン鎖はまた、1つ以上の位置で、脂肪族基又は置換された脂肪族基で置換されてもよい。
【0218】
本明細書において用語「アルキニル」は、2〜10個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの炭素−炭素3重結合を有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を意味する。アルキニルの代表例には、特に限定されないが、アセチレニル、1−プロピニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、及び1−ブチニルが挙げられる。
【0219】
本明細書において用語「アリール」は、フェニル(すなわち、単環式アリール)、又は少なくとも一つのフェニル環、又は芳香族2環式環系中に炭素原子のみを含む芳香族2環式環、を含む2環式環系を意味する。2環式アリールは、単環式ヘテロシクリルに縮合したアズレニル、ナフチル、又は単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、又は単環式ヘテロシクリルであることができる。2環式アリールは、2環系のフェニル部分内に含まれる任意の炭素原子、又はナフチルもしくはアズレニル環を有する任意の炭素原子、を介して親分子部分に結合している。2環式アリールの縮合した単環式シクロアルキル又は単環式ヘテロシクリル部分は、1個又は2個のオキソ及び/又はチア基で置換される。2環式アリールの代表例には、特に限定されないが、アズレニル、ナフチル、ジヒドロインデン−1−イル、ジヒドロインデン−2−イル、ジヒドロインデン−3−イル、ジヒドロインデン−4−イル、2,3−ジヒドロ−インドール−4−イル、2,3−ジヒドロインドール−5−イル、2,3−ジヒドロインドール−6−イル、2,3−ジヒドロインドール−7−イル、インデン−1−イル、インデン−2−イル、インデン−3−イル、インデン−4−イル、ジヒドロナフタレン−2−イル、ジヒドロナフタレン−3−イル、ジヒドロナフタレン−4−イル、ジヒドロナフタレン−1−イル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−イル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−6−イル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−4−イル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル、2H−クロメン−2−オン−5−イル、2H−クロメン−2−オン−6−イル、2H−クロメン−2−オン−7−イル、2H−クロメン−2−オン−8−イル、イソインドリン−1、3−ジオン−4−イル、イソインドリン−1、3−ジオン−5−イル、インデン−1−オン−4−イル、インデン−1−オン−5−イル、インデン−1−オン−6−イル、インデン−1−オン−7−イル、2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン−5−イル、2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン−6−イル、2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン3(4H)−オン−5−イル、2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン3(4H)−オン−6−イル、2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン3(4H)−オン−7−イル、2H−ベンゾ[b][1、4]オキサジン3(4H)−オン−8−イル、ベンゾ[d]オキサジン−2(3H)−オン−5−イル、ベンゾ[d]オキサジン−2(3H)−オン−6−イル、ベンゾ[D]オキサジン−2(3H)−オン−7−イル、ベンゾ[d]オキサジン−2(3H)−オン−8−イル、キナゾリン−4(3H)−オン−5−イル、キナゾリン−4(3H)−オン−6−イル、キナゾリン−4(3H)−オン−7−イル、キナゾリン−4(3H)−オン−8−イル、キノキサリン−2(1H)−オン−5−イル、キノキサリン−2(1H)−オン−6−イル、キノキサリン−2(1H)−オン−7−イル、キノキサリン−2(1H)−オン−8−イル、ベンゾ[d]チアゾール−2(3H)−オン−4−イル、ベンゾ[d]チアゾール−2(3H)−オン−5−イル、ベンゾ[d]チアゾール−2(3H)−オン−6−イル、及び、ベンゾ[d]チアゾール−2(3H)−オン−7−イルが挙げられる。特定の実施態様において、2環式アリールは、5員もしくは6員の単環式シクロアルキル、5員もしくは6員の単環式シクロアルケニル、又は5員もしくは6員の単環式ヘテロシクリルのいずれかに縮合した(i)ナフチル環、又は(ii)フェニル環であり、ここで、縮合シクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクリル基は、独立してオキソ又はチアである1個又は2個の基で任意に置換される。
【0220】
「アラルキル」又は「アリールアルキル」基は、アルキル基に共有結合したアリール基を含み、そのいずれかは、独立して任意に置換される。好ましくはアラルキル基は、特に限定されないが、ベンジル、フェネチル、及びナフチルメチルを含むアリール(C1〜C6)アルキルである。
【0221】
本明細書において用語「シアノ」と「ニトリル」は、−CN基を意味する。
【0222】
本明細書において用語「シクロアルキル」は、単環式又は2環式シクロアルキル環系を意味する。単環式環系は、3〜8個の炭素原子を含む環状炭化水素基であり、ここで、このような基は飽和又は不飽和であることができるが、しかし芳香族ではない。特定の実施態様において、シクロアルキル基は完全に飽和されている。単環式シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。2環式シクロアルキル環系は、架橋された単環式環又は縮合された2環式環である。架橋された単環式環は、単環式シクロアルキル環を含み、ここで、単環式環の2個の非隣接炭素原子は、1〜3個の追加の炭素原子のアルキレン架橋によって連結されている(すなわち、−(CH2W−型の架橋基、ここで、wは1、2、又は3である)。2環式環系の代表例には、特に限定されないが、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、及びビシクロ[4.2.1]ノナンが挙げられる。
【0223】
縮合した2環式シクロアルキル環系は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式ヘテロシクリル、又は単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した、単環式シクロアルキル環を含む。架橋又は縮合した2環式シクロアルキルは、単環式シクロアルキル環内に含まれるいずれかの炭素原子を介して、親分子部分に結合している。シクロアルキル基は、独立してオキソ又はチアである1個又は2個の基で、任意に置換される。特定の実施態様において、縮合2環式シクロアルキルは、フェニル環、5員又は6員の単環式シクロアルキル、5員又は6員の単環式シクロアルケニル、5員又は6員の単環式ヘテロシクリル、又は5員又は6員の単環式ヘテロアリールであり、ここで、縮合2環式シクロアルキルは、独立してオキソ又はチアである1個又は2個の基で任意に置換された5員又は6員の2環式シクロアルキルである。
【0224】
本明細書において用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、−Cl、−Br、−I、又は−Fを意味する。
【0225】
用語「ハロ脂肪族」、「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、及び「ハロアルコキシ」は、場合により、1つ以上のハロゲン原子で置換された脂肪族、アルキル、アルケニル、又はアルコキシ基を指す。
【0226】
本明細書において用語「ヘテロアリール」は、単環式ヘテロアリール、又は少なくとも一つの芳香族複素環を含む2環式環系を意味する。単環式ヘテロアリールは、5員又は6員環であることができる。5員環は、2つの2重結合及び1,2,3、又は4個の窒素原子と、任意に1つの酸素又は硫黄原子から成る。6員環は、3個の二重結合及び1,2,3、又は4個の窒素原子からなる。5員又は6員ヘテロアリールは、ヘテロアリール内に含まれる任意の炭素原子又は任意の窒素原子を介して、親分子部分に接続される。単環式ヘテロアリールの代表例には、特に限定されないが、フリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、及びトリアジニルが挙げられる。2環式ヘテロアリールは、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式ヘテロシクリル、又は単環式ヘテロアリールに縮合した単環式ヘテロアリールからなる。2環式ヘテロアリール基の縮合シクロアルキル又はヘテロシクリル部分は、独立してオキソ又はチアである1個又は2個の基で任意に置換される。2環式ヘテロアリールが、縮合シクロアルキル、シクロアルケニル、又はヘテロシクリル環を含む場合、2環式ヘテロアリール基は、2環式環系の単環式ヘテロアリール部分内に含まれる任意の炭素又は窒素原子を介して、親分子部分に接続されている。2環式ヘテロアリールが、ベンゾ環に縮合した単環式ヘテロアリールである場合、2環式ヘテロアリール基は、2環式環系内の任意の炭素原子又は窒素原子を介して、親分子部分に接続されている。2環式ヘテロアリールの代表例には、特に限定されないが、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、シンノリニル、5,6−ジヒドロキノリン−2−イル、5,6−ジヒドロイソキノリン−1−イル、フロピリジニル、インダゾリル、インドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、キノリニル、プリニル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−2−イル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−3−イル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−4−イル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−1−イル、チエノピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、及び6,7−ジヒドロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール−4(5H)−ロニルが挙げられる。特定の実施態様において、縮合2環式ヘテロアリールは、フェニル環、5員又は6員の単環式シクロアルキル、5員又は6員の単環式シクロアルケニル、5員又は6員の単環式ヘテロシクリル、又は5員又は6員の単環式ヘテロアリール環に縮合した単環式ヘテロアリール環であり、ここで、縮合シクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクリル基は、独立してオキソ又はチアである1個又は2個の基で任意に置換される。
【0227】
本明細書において用語「ヘテロシクリル」及び「ヘテロシクロアルキル」は、単環式複素環又は2環式複素環を意味する。単環式複素環は、O、N、及びSからなる群から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、3、4、5、6、又は7員環であり、ここで、この環は、飽和又は不飽和であるが、芳香族ではない。3員又は4員環は、O、N及びSからなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する。5員環は、0又は1個の2重結合、及びO、N及びSからなる群から選択される1個、2個、又は3個のヘテロ原子を含むことができる。6員又は7員環は、0、1、又は2個の二重結合、及びO、N及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含む。単環式複素環は、単環式複素環内に含まれる任意の炭素原子又は任意の窒素原子を介して、親分子部分に接続される。単環式複素環の代表例には、特に限定されないが、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジチオラニル、1,3−ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニル、及びトリチアニルが挙げられる。2環式複素環は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式複素環、又は単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した単環式複素環である。2環式複素環は、2環式環系の単環式複素環部分内に含まれる任意の炭素原子又は任意の窒素原子を介して、親分子部分に接続される。2環式ヘテロシクリルの代表例には、特に限定されないが、2,3−ジヒドロベンゾフラン−2−イル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル、インドリン−1−イル、インドリン−2−イル、インドリン−3−イル、2,3−ジヒドロベンゾチエン−2−イル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロ−1H−インドリル、及びオクタヒドロベンゾフラニルが挙げられる。ヘテロシクリル基は、独立してオキソ又はチアである1個又は2個の基で任意に置換される。特定の実施態様において、2環式複素環は、フェニル環、5員又は6員の単環式シクロアルキル、5員又は6員の単環式シクロアルケニル、5員又は6員の単環式ヘテロシクリル、又は5員又は6員の単環式ヘテロアリールに縮合した、5員又は6員の単環式ヘテロシクリル環であり、ここで、2環式複素環は、独立してオキソ又はチアである1又は2個の基で任意に置換される。
【0228】
本明細書において用語「ニトロ」は、−NO2基を意味する。
本明細書において用語「オキソ」は、=O基を意味する。
【0229】
本明細書において用語「飽和された」は、参照された化学構造が多重炭素−炭素結合を含有しないことを意味する。例えば、本明細書で定義される飽和されたシクロアルキル基は、シクロヘキシル、シクロプロピルなどを含む。
【0230】
本明細書において用語「置換された」は、指定された部分の水素基が、特定の置換体の基で置換されたことを意味するが、ただし、この置換は、安定であるか又は化学的に実現可能な化合物を与える。指定の原子について使用される用語「置換可能な」は、原子に結合しているものが水素基であり、これは、適切な置換体の基で置換することができることを意味する。
【0231】
本明細書において用語「1つ以上の」置換基は、利用可能な結合部位の数に基づいて可能な置換基の、1〜最大数に等しい置換基の数を指すが、ただし、安定性と化学的実現可能性は満たされている。特に別の指定がなければ、任意に置換された基は、基のそれぞれの置換可能な位置に置換基を有することができ、その置換基は同じか又は異なってもよい。本明細書において用語「独立して選択される」は、1つの化合物中のある変量の複数の例について、同じか又は異なる値が選択できることを意味する。
【0232】
本明細書において用語「チア」は、=S基を意味する。
【0233】
本明細書において用語「不飽和の」は、参照されている化学構造が少なくとも1つの多重炭素−炭素結合を含むが、芳香族ではないことを意味する。例えば、本明細書で定義される不飽和のシクロアルキル基は、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニルなどを含む。
【0234】
本開示の特定の化合物は互変異性体形態で存在してもよく、本化合物の全てのそのような互変異性体形態は本開示の範囲内にあることは、当業者には明らかであろう。特に別の指定がなければ、本明細書に示される構造はまた、構造の全ての立体化学形態を含むことを意味し、すなわち、各不斉中心のR及びS配向を含む。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体ならびに鏡像異性体及びジアステレオマー混合物は、本開示の範囲内である。R及びS立体異性体の両方とも、ならびにそれらのすべての混合物は、本開示の範囲内に含まれる。
【0235】
「医薬的に許容される」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は、妥当な医学的判断の範囲内で合理的な利益/リスク比に釣り合った他の問題又は合併症無しで、ヒト及び動物の組織と接触するのに適しているか、又はヒト又は家畜に使用するために許容可能であるとして米国食品医薬品局によって承認されている、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指す。
【0236】
「医薬的に許容される塩」は、酸及び塩基付加塩の両方を指す。
【0237】
「治療有効量」は、対象に投与される時、本明細書に記載の疾患又は障害の治療を行うのに充分な化合物の量を指す。「治療有効量」を構成する化合物の量は、その化合物、障害とその重症度、治療すべき対象の年齢に依存して変化するであろうが、当業者はこれをルーチン的に決定することができる。
【0238】
「調節する」又は「調節」は、機能、状態、又は障害の、治療、予防、抑制、増強、又は誘導を指す。例えば、本開示の化合物は、ヒトにおけるアテローム硬化性病変からのコレステロールの除去を刺激することによって、アテローム性動脈硬化症を調節することができると考えられる。
【0239】
本明細書において「治療する」又は「治療」は、対象、好ましくはヒトにおいて、本明細書に記載の疾患又は障害の治療をカバーし、
i. 疾患又は障害を阻害、すなわち、その進行を停止させること;
ii. 疾患又は障害を軽減、すなわち、疾患の退行を引き起こすこと;
iii. 疾患の進行を遅らせること;及び/又は
iv. 疾患又は障害の1つ以上の症状の進行を、阻害、緩和、改善、又は遅延すること、を含む。
【0240】
「対象」は、本明細書に記載の1つ以上の疾患及び障害に罹患しているか、又は罹患する可能性を有する、哺乳動物、好ましくはヒト、又はヒト小児などの温血動物を指す
【0241】
「EC50」は、特定の試験化合物によって誘導される、誘発される、又は増強される特定の応答の最大発現の50%の用量依存的応答を誘発する、特定の試験化合物の用量、濃度、又は量を指す。
【0242】
「IC50」は、そのような応答を測定するアッセイにおける最大応答の50%阻害を達成する特定の試験化合物の量、濃度又は用量を指す。
【0243】
調製方法
本開示の化合物は、公知の化学反応及び手順を使用することにより調製することができる。本開示の化合物を合成するための代表的な方法を以下に示す。所望の標的化合物に要求される置換基の性質は、しばしば好ましい合成方法を決定することが理解される。具体的に定義されていない場合は、これらの方法のすべての変数群は、一般的な説明で記載されている。
【0244】
一般的な手順
以下の実施例により実証されるように、出発物質及び反応条件を変更できること、反応の順序を変更できること、及び本開示により包含される化合物を製造するために追加の工程を使用できることを、当業者は認識するであろう。開示された化合物を合成するために有用な一般的に知られている化学合成スキームと条件を提供する多くの一般的な参考文献が、利用可能である(例えば、Smith and March, March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, Fifth Edition, Wiley-lnterscience, 2001 ; 又は、Vogel, A Textbook of Practical Organic Chemistry, Including Qualitative Organic Analysis, Fourth Edition, New York: Longman, 1978を参照)。
【0245】
出発物質は、商業的供給源から得られるか、又は当業者に公知の確立された文献の方法によって調製することができる。反応は、使用される試薬及び材料に適切で、変換が行われるのに適した溶媒中で行われる。分子上に存在する官能基は、提唱される変換と適合する必要があることは、有機合成の当業者には理解されるであろう。これは時に、合成工程の順序を変更するか、又は本開示の目的化合物を得るための、又はある1つの特定のプロセススキームを選択するための、判断を必要とする。
【0246】
いくつかの場合に、上記の変換のいくつかを達成するために、特定の反応性官能基の保護が必要になることがある。一般に、このような保護基の必要性ならびにこのような基を結合及び除去するために必要な条件は、有機合成分野の当業者には明らかであろう。熟練者に多くの選択肢を説明する信頼できる文献は、J. F. W. McOmie, "Protective Groups in Organic Chemistry", Plenum Press, London and New York 1973、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, "Protective Groups in Organic Synthesis", Third edition, Wiley, New York 1999、"The Peptides"; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1 981 、"Methoden der organischen Chemie", Houben-Weyl, 4.sup.th edition, Vol. 15/1, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1 974、H .-D. Jakubke and H. Jescheit, "Aminosauren, Peptide, Proteine", Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982, 及び/又は Jochen Lehmann, "Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide and Derivate", Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974である。保護基は、当技術分野で公知の方法を用いて、後の都合の良い段階で除去することができる。
【0247】
LC/MS分析は、四重極質量分析器を有するAgilent 1200 HPLCで実施される。LCクロマトグラフィーは、0.5mL/分の流速で、水/アセトニトリル勾配(それぞれ0.2%(v/v)のギ酸を有する)を備えたAgilent XDB-C18カラム(4.6x50ミリメートル、1.8μm)を使用した。HRMS分析は、Duke MS Centerで行われた。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、蛍光指示薬を用いてシグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich)プレートで行われる。プロトン(1H)及び炭素(13C)NMRスペクトルは、Varian分光計で、それぞれ300及び75MHzで記録される。化学シフト(δ)は、1H(0.00でTMS)、13C(39.55でDMSO、77.0でCDCl3、及び49.0でCD3OD)基準に対して、百万分率(ppm)で報告される。カラムクロマトグラフィーは、ISCO CombiFlash Rf計測器に、シリカゲル(Silicycle 40〜64ミクロン)又はプレパックしたRediSepカラム(Teledyne Isco Inc., Lincoln, NE)のいずれかを使用して行われる。水分に敏感なすべての反応は、乾燥溶媒を用いて、超純品質アルゴンのわずかな圧力下で行われる。ガラス器具は使用前に140℃のオーブンで少なくとも12時間乾燥させ、その後、熱いうちに迅速に組み立て、ゴム隔膜で密封し、アルゴン流下で冷却される。反応物は、テフロン被覆磁気攪拌棒を用いて磁気的に攪拌される。市販の使い捨て注射器は、試薬及び溶媒を移動させるために使用される。
【0248】
本出願において言及される全ての論文及び参考文献(特許を含む)の開示は、参照のためその全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0249】
本開示の化合物の調製は、以下の実施例によりさらに例示されるが、これらは、そこに記載された特定の手順及び化合物の範囲又は精神において、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。特に別の指定がなければ、全ての場合に、カラムクロマトグラフィーは、シリカゲル固相を用いて行われる。
【0250】
実施例1
【0251】
【化36】
【0252】
4−((4−アミノフェニル)ブタ−1,3−ジイニル)−N−(3−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシアミノ)−2−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ベンズアミド
【0253】
【化37】
【0254】
アジドアルコール1は、NaOH水溶液を用いて加水分解してアジドカルボン酸2を得て、これを、標準的なEDCカップリング条件を使用して、O−ベンジル保護されたヒドロキサメート3に変換した。触媒としてパラジウム担持活性炭を使用する水素化分解により、ヒドロキサメート3がアミノアルコール4に変換された。このアミノアルコールとペンタフルオロフェニル(PFP)エステルとの反応により、4−((4−アミノフェニル)ブタ−1,3−ジイニル)−N−(3−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシアミノ)−2−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ベンズアミドが得られた。
【0255】
実施例2
【0256】
【化38】
N−(4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシアミノ)−2,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イル)−4−((4−(モルホリノメチル)フェニル)エチニル)ベンズアミド
【0257】
実施例3〜29
追加の化合物は、実質的に上記の手順に従って調製される:
【0258】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0259】
実施例30
【0260】
【化39】
N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−(2−オキソ−4−(フェニルエチニル)ピリジン−1(2H)−イル)ブタンアミド
【0261】
実施例31
生物学的実施例
タンパク質精製
野生型大腸菌のLpxCと、C40S突然変異を有する緑膿菌(P. aeruginosa)のLpxC(残基1〜299)と、8個のC末端アミノ酸を欠き、C181A変異を含む高度好熱菌(A. aeolicus)のLpxC(1〜274)とを、コードするプラスミドが、以下の確立された手順に従って調製される。完全長の大腸菌LpxC遺伝子からQuikChange部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を使用して、C末端の5個のアミノ酸が欠如している大腸菌のLpxC構築物(1〜300)が調製される。LpxCタンパク質は、LB培地中で増殖させたBL21(DE3)STAR細胞(Invitrogen)中で過剰発現され、陰イオン交換(Qセファロース・ファーストフロー、Amersham)及びサイズ排除(セファクリルS−200HR、Amersham)クロマトグラフィーを用いて精製される。精製されたタンパク質は濃縮され、100mM KCI及び0.1mM ZnSO4を有する25mM HEPES、pHを7.0に緩衝液交換される。EcLpxCのタンパク質用に、2mMジチオスレイトールがすべての精製緩衝液に追加される。酵素アッセイ及び結晶学のための全てのタンパク質試料は−80℃で保存される。
【0262】
酵素阻害アッセイ
UDP−3−0−[(R)−3−ヒドロキシミリストイル]−N−アセチルグルコサミン及び[α−32P]UDP−3−O−[(R)−3−ヒドロキシミリストイル]−N−アセチルグルコサミンは、前述のように調製される。特に別の指定がなければ、LpxC活性の測定は、30℃で、25mMリン酸ナトリウム、pH7.4中、1mg/mlのウシ血清アルブミン、100mMのKCI及び2mM DTT中で、5μMの基質と0.2nMのEcLpxCの存在下で行われる。10%DMSOが加えられ、アッセイ混合物中で一定に保持される。初期速度は、反応進行曲線(生成物への基質の<10%の変換)の直線部分から計算される。
【0263】
M及びVmaxの値は、基質濃度を0.5から50μΜに変化させることによって決定される。データはEadie-Hofsteeプロットを使用し、非線形曲線フィッティングプログラム(KaleidaGraph, Synergy Software)により解析され、結果として得られる値は実験誤差内でほぼ同一である。KI値を決定するために、化合物の濃度を12.5pMから15nmまで、又は0.8pMから51nMまで変化させる。分画活性(Ui/U0)対化合物濃度がプロットされフィッティングされ、モリソンの方程式を使用してKappI値が計算される:
【0264】
【数1】
【0265】
ここで、uiは、阻害剤の存在下での初期反応速度であり、U0は、阻害剤の非存在下での初期反応速度であり、[E]Tは、総酵素濃度であり、[L]Tは総阻害剤濃度である。KI値は、KI=KappI/(1+[S]/KM)を使用して計算され、ここで、[S]は基質濃度である。すべての測定は三重測定で行われる。
【0266】
大腸菌W3110PAの構築
緑膿菌IpxCは、大腸菌染色体IpxCを置換するために使用される。大腸菌IpxCの上流の5’領域に相補的な33塩基対のDNAと、大腸菌IpxCの下流の3’領域に相補的な45塩基対のDNAとを、含有するフランキング配列を有する緑膿菌ORFを含む線状PCR産物が、緑膿菌IpxCを有するプラスミドから、プライマーpa−LpxC−5’(5’-TCG GTT GGA TAG GTA ATT TGG CGA GAT AAT ACG ATG ATC AAA CAA CGC ACC TTG AAG AAC ATC-3')及びpa−LpxC−3’(5'- GTG CCA GAT TTG CCA GTC GAA TTT TAT ACG ACA GTA TAA ATG TCG CTA CAC TGC CGC CGC C-3')を使用して増幅される。このPCR産物はゲル精製され、次に2.5kV、25μF、及び400Ωに設定されたBioRad Gene Pulser IIを使用して、λ−赤リコンビナーゼを担持する大腸菌DY330細胞に電気穿孔される。DY330は、本開示の化合物15μg/mLを添加したLB/寒天プレート上で生存することはできないが、大腸菌IpxCが緑膿菌IpxCに置き換えられた細胞は、この培地上で生き残ることができる。従って形質転換体は、異なる抗生物質マーカーのために、密接にリンクされている耐性カセットを導入することなく、本開示の化合物を使用して直接選択される。耐性コロニーからゲノムDNAを単離し、そしてIpxC周囲の領域は、プライマー300−アップ−IpxC(5’-ACA AAC GTC CTG AAA TCA CTC TGG TG-3')及び300−ダウン−IpxC(5’-TCC CTA ATA AGA GAT GCG GCC AGA A-3')を用いて増幅され、及びプライマーpaLpxC−361−5’(5’-GAG CAG GAA GCT GCC AA-3')とpaLpxC−581−3’(5’-GTA CTC GAT GTC GCG CA-3')を用いて配列決定される。PalpxCが染色体EclpxCを置換した一つのクローンを選択し、30℃で増殖させる。この株を使用して、P1vir溶解物を生成させ、これを使用して、大腸菌W3110の染色体に染色体PalpxCが形質導入される。形質導入された細胞は、本開示の化合物15μg/mLと10mMクエン酸ナトリウムとを含むLB/寒天上にプレーティングされる。得られたコロニーは、この培地で3回精製される。耐性コロニーからゲノムDNAを単離し、IpxCの周辺領域を、プライマー300−アップ−lPXCと300−ダウン−lPXCで増幅し、paLpxC−361−5’とpaLpxC−581−3’を用いて配列決定する。緑膿菌IpxCノックインを有するコロニーは、W3110PAと命名される。
【0267】
最小阻止濃度(MIC)
MICは、NCCLSプロトコルに従って96ウェルプレートを用いて決定される。簡単に述べると、希釈した細菌細胞(106細胞/mL)を、5%DMSOと種々の濃度の本開示の化合物とを有するLB培地を含む96ウェルプレートの各ウェルに添加する。プレートを37℃で22時間インキュベートした後、[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド溶液(MTT)を添加し(最終濃度は0.2mg/mL)、37℃でさらに3時間Cインキュベートする。MICは、色の変化(黄色から紫色へ)を防止した抗生物質の最低濃度として決定される。
【0268】
本開示の方法において有用ないくつかの例示化合物の抗生物質活性は、野生型大腸菌(W3110)、緑膿菌(PA01)、フランシセラ・ノビシダ(F. novicida)U112(FNU112)、及びネイティブIpxC遺伝子がリゾビウム・レグミノサルム(R. leguminosarum)(W3110RL)又は緑膿菌(W3110PA)の化合物で置換された改変大腸菌株を使用して、最小阻止濃度(MIC)を測定することにより評価される。
【0269】
本発明の化合物は、一般に、約0.01μg/ml〜約400μg/mlの範囲のMIC値を有する。代表的な結果は表1にも示される。
【0270】
【表2】
【0271】
コレラ菌(V. cholera)(P4)、ネズミチフス菌(S. typhimurium)(LT2)、及び肺炎桿菌(K. pneumoniae)(43816)を使用した最小発育阻止濃度(MIC)の追加の結果が表2に示される。
【0272】
【表3】
【0273】
本開示の方法に有用ないくつかの例示化合物の抗生物質活性は、2種類の淋菌(N. gonorrhoeae)株[FA19(薬剤感受性株)と35/02(薬剤耐性株)]を使用して、最小発育阻止濃度(MIC)を測定することにより評価される。FA19は、合併症の無い感染からの分離株であり、1962年に凍結乾燥された。35/02は、広域スペクトルセファロスポリン、例えばセフトリアキソン(MIC=0.12μg/ml)及びセフィキシム(MIC=0.28μg/ml)に対する中間レベルの耐性、及びペニシリン(MIC=6μg/ml)に対する高レベルの耐性を示す。この株は、高レベルの染色体性抵抗性に関与する機構を解明するために配列決定されている。
【0274】
ディスク拡散アッセイ
アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)の2種類の株[抗生物質感受性株(Sus.A.b.分離株)と多剤耐性株(MDR A.b.分離株)]について、アッセイを行なった。また2種類の淋菌(N. gonorrhoeae)株[FA19(薬剤感受性株)及び35/02(薬剤耐性株)]についてもアッセイを行なった。直径6mmのディスク当たり2μgの化合物を加えた。活性は、増殖阻害(単位mm)の直径として測定される。
【0275】
本明細書に記載の実施例及び実施態様は例示のみを目的とし、その様々な修正や変更が当業者に示唆され、本出願の精神と範囲及び添付の特許請求の範囲の範囲内に組み込まれることを理解されたい。本明細書で引用された全ての刊行物、特許、及び特許出願は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]