特許第6458294号(P6458294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6458294湿紙の搬送装置、抄紙装置及び古紙再生処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458294
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】湿紙の搬送装置、抄紙装置及び古紙再生処理装置
(51)【国際特許分類】
   D21F 7/08 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
   D21F7/08 Z
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-216944(P2014-216944)
(22)【出願日】2014年10月24日
(65)【公開番号】特開2016-84551(P2016-84551A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】奥野 将人
(72)【発明者】
【氏名】谷本 晋基
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−241712(JP,A)
【文献】 特開2010−024590(JP,A)
【文献】 特開平02−269893(JP,A)
【文献】 特開2001−055684(JP,A)
【文献】 特開平02−091295(JP,A)
【文献】 特開2013−007137(JP,A)
【文献】 特開2000−321914(JP,A)
【文献】 特開平06−305120(JP,A)
【文献】 米国特許第05147508(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B−D21J
B08B11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿紙を搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトとの間で湿紙を挟持して走行する無端状の挟持用ベルトと、
搬送ベルトまたは挟持用ベルトのうち少なくともいずれか一方のベルトの内周面及び/または外周面に接触することによって前記ベルトから転移させた付着物を保持する付着物保持部材とを備え
付着物保持部材は、接触する搬送ベルトまたは挟持用ベルトと同じ傾斜角度に形成され、
付着物保持部材の表面は、搬送ベルトまたは挟持用ベルトに所定圧力で押し当てられる湿紙の搬送装置。
【請求項2】
付着物保持部材は、ベルトの湿紙搬送面に対向配置される請求項1に記載の湿紙の搬送装置。
【請求項3】
付着物保持部材は、シート状に形成されている請求項1または請求項2に記載の湿紙の搬送装置。
【請求項4】
付着物保持部材は、不織布により構成される請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の湿紙の搬送装置。
【請求項5】
搬送ベルトにより搬送される湿紙を乾燥させる乾燥手段を備えた請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の湿紙の搬送装置。
【請求項6】
湿紙を形成する湿紙形成部と、
湿紙形成部で形成された湿紙を搬送する請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の湿紙の搬送装置とを備えた抄紙装置。
【請求項7】
古紙を離解してパルプ懸濁液を製造する再生パルプ製造部と、請求項6に記載の抄紙装置とを備えた古紙再生処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湿紙の搬送装置、抄紙装置及び古紙再生処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製紙装置のドライパートには、カンバスに付着した紙粉等を除去するための機構が設置されている。下記特許文献1には、カンバスの表面を擦過させるブラシ体と、カンバスの表面に剥離用空気を吹き付ける空気吹付手段を備えたカンバスの清掃機構に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5280259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の装置は、空気吹付手段によってカンバスに空気が吹き付けられ、カンバスから剥離された紙粉等の付着物を、吸引手段により吸引回収している。このような吸引手段を設けると、装置が大型化するとともに、吸引に要するコストがかかる。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、装置を大型化させず、運転コストを抑制可能な湿紙の搬送装置、抄紙装置及び古紙再生処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる湿紙の搬送装置は、湿紙を搬送する無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトとの間で湿紙を挟持して走行する無端状の挟持用ベルトと、搬送ベルトまたは挟持用ベルトのうち少なくともいずれか一方のベルトの内周面及び/または外周面に接触することによってベルトから転移させた付着物を保持する付着物保持部材とを備え、付着物保持部材は、接触する搬送ベルトまたは挟持用ベルトと同じ傾斜角度に形成され、付着物保持部材の表面は、搬送ベルトまたは挟持用ベルトに所定圧力で押し当てられる
【0007】
また、前記構成において、付着物保持部材は、ベルトの湿紙搬送面に対向配置される。
【0008】
そして、前記各構成において、接触部は、ベルトの湿紙搬送面に対向配置される。
【0009】
更に、前記各構成において、付着物保持部材は、シート状に形成されている。
【0010】
更に、前記各構成において、付着物保持部材は、不織布により構成される。
【0011】
更に、前記各構成において、搬送ベルトにより搬送される湿紙を乾燥させる乾燥手段を備えた。
【0012】
更に、本発明にかかる抄紙装置は、湿紙を形成する湿紙形成部と、湿紙形成部で形成された湿紙を搬送する前記各構成の湿紙の搬送装置とを備えた。
【0013】
更に、本発明にかかる古紙再生処理装置は、古紙を離解してパルプ懸濁液を製造する再生パルプ製造部と、前記構成の抄紙装置とを備えた。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、搬送ベルトまたは挟持用ベルトのうち少なくともいずれか一方のベルトの内周面及び/または外周面に接触することによって前記ベルトから転移させた付着物を保持する付着物保持部材とを備え、付着物保持部材は、接触する搬送ベルトまたは挟持用ベルトと同じ傾斜角度に形成され、付着物保持部材の表面は、搬送ベルトまたは挟持用ベルトに所定圧力で押し当てられるので、付着物保持部材の接触によりベルトから転移された付着物は、付着物保持部材に保持される。よって、装置を大型化することなくベルトから付着物を除去することができ、運転コストを抑制可能である。
【0015】
また、付着物保持部材は、ベルトの湿紙搬送面に対向配置される場合は、ベルトの湿紙搬送面に残存する繊維や再生紙の端材等を効率よく除去可能である。
【0016】
そして、付着物保持部材は、シート状に形成されている場合は、付着物保持部材を設置するための空間が小さくて済む。
【0017】
更に、付着物保持部材は、不織布により構成される場合は、凸凹のある不織布の表面をベルトに接触させ、ベルトから付着物を容易に絡め取って保持することができる。
【0018】
更に、搬送ベルトにより搬送される湿紙を乾燥させる乾燥手段を備えた場合は、乾燥手段で湿紙を乾燥させるため湿紙を搬送する搬送ベルト、または搬送ベルトとの間で湿紙を挟持する挟持用ベルトの少なくともいずれかのベルトの付着物を、効率よく除去可能である。
【0019】
更に、本発明の抄紙装置は、湿紙を形成する湿紙形成部と、湿紙形成部で形成された湿紙を搬送する搬送ベルトを備え、搬送ベルトまたは挟持用ベルトのうち少なくともいずれか一方のベルトの内周面及び/または外周面に接触することによって前記ベルトから転移させた付着物を保持する付着物保持部材とを備えたので、装置を大型化することなくベルトから付着物を除去することができる。
【0020】
更に、本発明の古紙再生処理装置は、古紙を離解してパルプ懸濁液を製造する再生パルプ製造部と、湿紙を形成する湿紙形成部及び湿紙形成部で形成された湿紙を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトまたは挟持用ベルトのうち少なくともいずれか一方のベルトの内周面及び/または外周面に接触することによって前記ベルトから転移させた付着物を保持する付着物保持部材とが設けられた抄紙装置とを備えたので、装置を大型化することなくベルトから付着物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る古紙再生処理装置の構成概略図である。
図2】前記古紙再生処理装置の抄紙装置の概略構成を示す縦断面図である。
図3】前記抄紙装置の付着物保持部周辺の構成を示す部分拡大図である。
図4】前記付着物保持部の斜視図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る抄紙装置の概略構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態にかかる湿紙の搬送装置を備えた古紙再生処理装置の構成概略図である。図1において、古紙再生処理装置100は、再生パルプ製造部1、脱墨部2、抄紙部3、仕上部4及び各部を制御する制御部8を備えてなる。
【0023】
尚、以下では、本発明の湿紙の乾燥装置を、古紙10を原料として再生紙7を製造する古紙再生処理装置100の抄紙部3に用いた場合について記載するが、必ずしもこれに限定されず、木材等の他のパルプ原料を用いた製紙装置の抄紙部に用いても構わない。
【0024】
再生パルプ製造部1は、古紙10を離解してパルプ懸濁液を製造する。脱墨部2は、再生パルプ製造部1において製造されたパルプ懸濁液を脱墨する。抄紙部3は、脱墨部2において得られた脱墨後のパルプ懸濁液を抄紙して湿紙を形成し、得られた湿紙を脱水し、乾燥する。仕上部4は、抄紙部3において得られた仕上げ前の再生紙7を裁断等することにより仕上げを行って定型サイズの再生紙7を得る。制御部8は古紙再生処理装置100全体の動作を制御する。再生パルプ製造部1及び脱墨部2は、それぞれ公知の再生パルプ製造装置及び脱墨装置を利用可能である。
【0025】
図2は、抄紙部3を構成する抄紙装置Sの縦断面図である。尚、以下では、図2に示す抄紙装置Sの右側を「前側」、左側を「後側」、図2の紙面の手前を「右側」、紙面の奥側を「左側」として説明することとする。抄紙部3は、湿紙形成部11、脱水部14及び乾燥部15が筐体41内に収容されてなる。筐体41内には、左右一対の側板37が配設されており、この側板37が各部を構成するほとんどのローラを、回動自在に軸支している。
【0026】
湿紙形成部11は、湿紙を形成する。湿紙形成部11は、ヘッドボックス12とワイヤー部13とを有する。ヘッドボックス12は、脱墨後のパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー23上に均一に供給するためのものであり、パルプ懸濁液を貯留する貯留部18と、貯留部18に貯留するパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー23上に流出させる流出部19と、貯留部18の底部に形成されたパルプ懸濁液の流入部20とを有する。
【0027】
ワイヤー部13は、複数のローラ24に掛け渡され、展張された無端状の抄紙ワイヤー23を備えている。抄紙ワイヤー23の上側の往路軌道の下方には、パルプ懸濁液を水切りする複数の縦板26が、抄紙ワイヤー23の走行方向に所定間隔で配置されており、各縦板26は抄紙ワイヤー23の走行方向と交差する方向に向けて、且つ、抄紙ワイヤー23の下面に摺動接触させて配置されている。これにより、縦板26が抄紙ワイヤー23の網目から流下する白水を下方へと導くようになっている。
【0028】
また、縦板26の下方には、該縦板26より、または抄紙ワイヤー23の網目から直接流下する白水を受ける受水部27を設けている。受水部27は図示しない配管、ガイド等により下方に設置された白水タンク29に接続されている。白水タンク29は、内部に収容する白水を再生パルプ製造部1及び脱墨部2に送るための図示しない配管及びポンプを備え、受水部27において回収した白水を再利用可能に構成している。
【0029】
脱水部14は、湿紙の脱水装置Dにより構成され、該湿紙の脱水装置Dは、脱水用ベルト31と、複数のローラ32と、脱水ローラ対43とを備えている。脱水用ベルト31は湿潤状態にある湿紙を搬送する無端状の搬送ベルトを構成する。脱水用ベルト31は、フェルト、毛布等の吸水性の素材により形成され、複数のローラ32の間に掛け渡されてなる。脱水用ベルト31は下方に配設された抄紙ワイヤー23及び上方に配設された乾燥部15の乾燥用ベルト47に所定箇所でそれぞれ当接しており、この当接部分において、順次湿紙を転移するようになっている。
【0030】
脱水ローラ対43は、脱水用ベルト31と乾燥用ベルト47との当接箇所に設置されている。脱水ローラ対43は脱水用ベルト31と乾燥用ベルト47を表裏方向に挟持し、両ベルト間の湿紙を押圧して脱水しつつ、湿紙を脱水用ベルト31から乾燥用ベルト47に転移させるものである。脱水ローラ対43は脱水用ベルト31の内方に設置された第1脱水ローラ45と、乾燥用ベルト47の内方であって、第1脱水ローラ45の上方対向位置に設置された第2脱水ローラ46とからなる。
【0031】
第2脱水ローラ46は図示しない駆動部に連結され、駆動部の駆動により、第2脱水ローラ46が回転駆動される。第2脱水ローラ46の回転によって、脱水用ベルト31及び乾燥用ベルト47を走行させるとともに、脱水用ベルト31及び乾燥用ベルト47を介して、第2脱水ローラ46に所定圧力で転接する第1脱水ローラ45を従動回転させる。
【0032】
乾燥部15は、湿紙の乾燥装置Vにより構成される。該湿紙の乾燥装置Vは、乾燥用ベルト47、挟持用ベルト48、乾燥手段44、複数のローラ51、先端?がし部52、付着物保持部53,63、カレンダー部54及び、ガイド55を備えている。乾燥用ベルト47は、脱水部14での脱水後、湿潤状態にある湿紙を搬送する無端状の搬送ベルトを構成する。乾燥用ベルト47は、乾燥手段44を構成する乾燥ドラム50及び複数のローラ51の間に掛け渡されている。挟持用ベルト48は、搬送ベルトとの間で湿紙を挟持して走行する。挟持用ベルト48は、無端状に形成され、乾燥ドラム50及び複数のローラ49に掛け渡されている。
【0033】
乾燥用ベルト47と挟持用ベルト48とは、乾燥ドラム50に巻回された範囲を含む所定箇所で重ね合わされて走行し、この乾燥用ベルト47と挟持用ベルト48との間で、湿潤状態にある湿紙を挟持して搬送する。乾燥用ベルト47及び挟持用ベルトの材質は特に限定されず、例えば、金属、ポリエステルやポリフェニレンサルファィド等の化学繊維、麻や木綿等の天然繊維が用いられる。挟持用ベルト48は、経糸と緯糸を織り込んだ織物によって形成されることが湿紙の乾燥効率が高い点で好ましい。
【0034】
乾燥手段44は、乾燥ドラム50を備える。乾燥ドラム50は、中空円筒状に形成された筒体58を備え、該筒体58の筒心に直交する左右の側面は、円盤形状の蓋体59により閉塞されている。また、筒体58は、3個の支持ローラ61により回転自在に支持されている。筒体58の内周面には、加熱手段62を備えている。加熱手段62は、柔軟で可撓性を有し、シート状に形成されたシリコンラバーヒータ等の加熱体により構成され、該加熱体が、乾燥ドラム50の内周面に全周に亘って貼着されている。
【0035】
また、図2に示すように、乾燥ドラム50の前側には、筒体58の表面温度を検出する温度センサ66を設けている。本実施形態では、温度センサ66が、筒体58の表面に摺接し、筒体58の温度を検出する構成としたが、筒体58に非接触のセンサを用いてもよい。
【0036】
筒体58は、後側の略半円部分に、乾燥用ベルト47及び挟持用ベルト48が重ね合わされた状態で巻回されている。そして、筒体58は、乾燥用ベルト47及び挟持用ベルト48が図示しない各々の駆動部によってそれぞれ走行駆動されることにより、従動して回転するようになっている。
【0037】
先端?がし部52は、乾燥用ベルト47に接触して、湿紙の先端部分を乾燥用ベルト47から剥離させる。先端?がし部52は、乾燥ドラム50の下方位置に設置される。先端?がし部52は、剥離板56と揺動部57とを備える。剥離板56は、所定のタイミングで揺動部57によって揺動される。
【0038】
付着物保持部53,63は、本実施形態では、挟持用ベルト48の外周面に接触し、挟持用ベルト48の付着物を転移させ、保持する挟持用ベルト48のための付着物保持部53と、湿紙の搬送ベルトとしての乾燥用ベルト47の外周面に接触し、乾燥用ベルト47から転移させた付着物を保持する乾燥用ベルト47のための付着物保持部63の双方が設けられている。図3は、乾燥ドラム50、挟持用ベルト48のための付着物保持部53及びその周辺の構成を示す拡大図、図4は挟持用ベルト48のための付着物保持部53の拡大斜視図である。図3,4に示すように、付着物保持部53は、付着物保持部材76と、押当支持部77と、固定用部材78とを備える。
【0039】
前記付着物保持部材76を挟持用ベルト48に所定の圧力で押し当てるための押当支持部77と、押当支持部77を筐体41へ固定する固定用部材78を備える。
【0040】
付着物保持部材76は、挟持用ベルト48の外周面に接触することによって挟持用ベルト48から転移させた付着物を保持する。付着物保持部材76は、付着物を落下させたり、剥離させたりすることが抑制され、表面及び/または内部に付着物を所定時間にわたって保持可能な構造を有する。
【0041】
付着物保持部材76は、乾燥用ベルト47との間で湿紙を挟持し搬送する挟持用ベルト48の湿紙搬送面としての外周面の所定箇所に対向配置される。付着物保持部材76の形状は、平板状、直方体状、円柱状、角柱状、棒状、球状、シート状等いずれであってもよく特に限定されないが、所定厚さのシート状に形成されることが好ましい。付着物保持部材76がシート状に形成されている場合は、付着物保持部材を設置するための空間が小さくて済むという利点がある。付着物保持部材76の幅方向長さWは、挟持用ベルト48と略同じである。一方、挟持用ベルト48の走行方向における付着物保持部材76の挟持用ベルト48への接触する部分80の長さLは、挟持用ベルト48から転移させた付着物を保持可能な所定長さを有する。
【0042】
付着物保持部材76の厚さTは、0.05mm〜100mm程度とすることが好ましく、0.1mm〜50mmとすることがより好ましく、0.5mm〜30mmとすることがさらにより好ましい。付着物保持部材76の厚さが0.05mmより厚い場合、挟持用ベルト48から転移させた付着物をより多くに保持することができる。付着物保持部材76の厚さが100mmより薄い場合は、付着物保持部材76の設置空間を小さくすることができる。
【0043】
付着物保持部材76としては、例えば、不織布、織布、編地、フェルト、スポンジ、海綿、粘着物、多孔性材料等を用いることができる。付着物保持部材76の材質は、合成樹脂、天然樹脂、合成ゴム、天然ゴム、合成繊維、天然繊維、ガラス繊維、羽毛、羊毛、脱脂綿、綿花等を用いることができる。これらのうち、付着物保持部材76は、不織布により構成されることが好ましい。付着物保持部材76が、不織布により構成される場合は、凸凹のある不織布の表面を挟持用ベルト48に接触させ、挟持用ベルト48から付着物を容易に絡め取って保持することができる。
【0044】
押当支持部77は、薄板が2回折り曲げられた縦断面視略逆U字状に形成される。押当支持部77の上部には、幅方向に延在し、付着物保持部材76の上端の幅方向における所定範囲が固定される固定部83が設けられている。固定部83には、付着物保持部材76の上端部が押え板84により挟まれ、所定間隔毎に設置された複数の螺子85より固定されている。
【0045】
押当支持部77の前側には、付着物保持部材76を挟持用ベルト48に所定圧力で押し当てる押当部87が設けられる。押当部87の鉛直方向に対する傾斜角度θは、付着物保持部材76が接触する挟持用ベルト48の傾斜角度を同じとなるように形成される。また、押当部87が付着物保持部材76を支持することで、付着物保持部材76の表面を挟持用ベルト48に所定圧力で押し当てるよう後述する位置調整部91により押当支持部材77の高さ位置が調整される。
【0046】
図3に示すように、押当部87の下端部は、後側へ向けて湾曲した湾曲部88が形成されている。このように湾曲部88が形成されることで、押当部87の下端縁の切断面により挟持用ベルト48や付着物保持部材76が破損するのを抑制可能である。
【0047】
押当支持部77の後部には、鉛直方向に延在する鉛直支持部90が設けられる。鉛直支持部90には、押当支持部77を挟持用ベルト48に対し位置合わせするための位置調整部91が設けられる。位置調整部91は、押当支持部77の幅方向両端部近傍にそれぞれ形成される。押当支持部77は、長穴93、丸穴94及び止め螺子95を備える。長穴93は上下に長く形成され、長穴93の上端部は丸穴94に連通している。丸穴94の穴径は長穴93の幅方向長さより大きく形成される。
【0048】
止め螺子95の雄螺子部97が長穴93に挿通され、固定用部材78に形成された螺子穴98に螺合される。その際、押当支持部77の高さ位置を調整するため、押当支持部77が固定用部材78に対し上下に移動される。すると、螺子穴98に先端部が挿通された止め螺子95の雄螺子部97に対し、長穴93が上下に移動する。これより、押当支持部材77の位置調整が可能となる。付着物保持部材76が挟持用ベルト48に適正に接触し、挟持用ベルト48の付着物が効率よく付着物保持部材76に転写する位置で、止め螺子95の雄螺子部97が螺子穴98に螺合され、鉛直支持部90が固定用部材78に固定される。
【0049】
固定用部材78は、抄紙装置Sの後側面を形成する上下に延在する左右一対のフレーム42に固定される。固定用部材78には、幅方向の両端部近傍上部であって、丸穴94の対向位置に、前述した一対の止め螺子95の雄螺子部97が螺合する螺子穴98がそれぞれ形成されている。
【0050】
乾燥用ベルト47のための付着物保持部63は、図2に示すように、前側のローラ51の下方に設置される。付着物保持部63を構成する付着物保持部材68には、乾燥用ベルト47に接触する接触部64が設けられる。接触部64は、再生紙がガイド55設置位置において、乾燥用ベルト47の湿紙搬送面から剥離された後の、湿紙及び該湿紙乾燥後の再生紙のいずれも担持していない箇所の乾燥用ベルト47の外周面に接触する。
【0051】
また、乾燥用ベルト47のための付着物保持部63は、付着物保持部材68を乾燥用ベルト47に押し当てる押当部65を備える。押当部65は、接触部64が接触する箇所における乾燥用ベルト47の設置角度と同じ角度になるよう傾斜して形成される。図2においては、押当部65は、鉛直方向からの傾斜角度が45度程度となる場合を示している。このように、乾燥用ベルト47に付着物保持部材68を押し当てるため押当部63は、鉛直方向からの傾斜角度が、挟持用ベルト48に付着物保持部材76を押し当てるための押当部87の傾斜角度θより大きく形成されている。乾燥用ベルト47のための付着物保持部63の他の構成は、挟持用ベルト48のための付着物保持部53と略同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0052】
カレンダー部54は、乾燥ドラム50の下方やや後側よりの位置に設けられている。カレンダー部54は、乾燥ドラム50の外周面に対向して設置される。カレンダー部54は乾燥用ベルト47との間で湿紙を挟持し搬送するプレスローラ73を有する。プレスローラ73は、湿紙に当接するプレス位置と、湿紙から離間する退避位置とに亘って変位可能に構成されている。
【0053】
ガイド55は、乾燥用ベルト47で搬送された乾燥後の再生紙の下方を支持し、再生紙を仕上部4へと案内する。
【0054】
(仕上部)
図1に示す仕上部4は、帯状の再生紙を所定のシートサイズにカットする裁断刃(図示省略)を備えている。裁断刃は、左右一対のスリッターとカッターとを備える。スリッターは、丸刃により構成される。カッターは、幅方向に沿って延在する上下一対の直刃により構成される。裁断刃の下方には、裁断により生じた端材を回収する図示しない端材回収箱が設置されている。
【0055】
(作用)
本実施形態にかかる古紙再生処理装置100の作用につき以下に説明する。まず、再生パルプ製造部1において所定量の古紙10を所定量の水とともに所定時間攪拌することで、パルプ懸濁液を製造する。次に、得られたパルプ懸濁液を脱墨部2へ送り、脱墨処理を行って、脱墨後のパルプ懸濁液を得る。脱墨後のパルプ懸濁液に対し、脱墨部2においてまたは脱墨部2から抄紙部3への流通経路の途中位置で加水し、抄紙に適する所定のパルプ濃度に調製し、抄紙部3のヘッドボックス12へ送る。
【0056】
ヘッドボックス12では、パルプ懸濁液が流入部20から貯留部18に流入され、流出部19から抄紙ワイヤー23上に流出される。抄紙ワイヤー23上に供給されたパルプ懸濁液のうち液体分が抄紙ワイヤー23の網目を通り抜け、縦板26により下方の受水部27へと導かれ、受水部27で受水された後、白水タンク29内に収容される。白水タンク29内の白水は、再生パルプ製造部1や脱墨部2等へ送られ、再利用される。抄紙ワイヤー23上に残存した再生パルプにより、水分を比較的多く含んだ繊維の層である湿紙が形成される。
【0057】
抄紙ワイヤー23上の湿紙が脱水用ベルト31との当接部30に至ると、抄紙ワイヤー23から脱水用ベルト31へと転移される。脱水用ベルト31は、湿潤状態にある湿紙を担持しつつ走行する。脱水ローラ対43の設置位置では、脱水ローラ対43により湿紙を挟持押圧し、脱水するとともに、乾燥用ベルト47に転移する。
【0058】
脱水用ベルト31から乾燥用ベルト47に転移された湿紙は、乾燥用ベルト47に担持されつつ搬送される。湿紙の先端部分が、先端?がし部52の設置位置に近づくと、制御部8によって揺動部57が駆動され、剥離板56が図2において二点鎖線で示すよう反時計回りに揺動する。そして、剥離板56の前側端縁が乾燥用ベルト47に接触し、乾燥用ベルト47の下面に担持された湿紙を、乾燥用ベルト47から剥離させる。このように、湿紙の先端部分が乾燥用ベルト47から?がされた後、制御部8は、再び揺動部57を駆動する。そして、先ほどとは逆の図2において時計回りに剥離板56を揺動して剥離板56を乾燥用ベルト47に対し非接触となる位置に揺動させる。
【0059】
制御部8は、乾燥用ベルト47から剥離された湿紙の先端部分がカレンダー部54を通過した後に、プレスローラ73を退避位置からプレス位置へ移動する。そして、プレスローラ73によって湿紙を乾燥用ベルト47及び乾燥ドラム50に押し当ててプレスする。これより、得られる再生紙7の平坦度を高める。
【0060】
湿紙が、乾燥用ベルト47と挟持用ベルト48との当接位置に至ると、湿紙は、乾燥用ベルト47と挟持用ベルト48の間に挟持される。そして、湿紙は、加熱手段62によって加熱された乾燥ドラム50に、乾燥用ベルト47を介し当接される。これより、湿潤状態にある湿紙は、乾燥され、仕上げ前の帯状の再生紙7が得られる。尚、乾燥ドラム50は、温度センサ66によって温度が検出され、所定温度に維持されている。
【0061】
乾燥部15で得られた仕上げ前の帯状の再生紙7は、乾燥用ベルト47から剥離され、ガイド55に案内されつつ仕上部4に送られる。仕上部4に送られた帯状の再生紙7は、裁断刃で所定のシートサイズに裁断されて再生紙7が完成する。その際、スリッターは、帯状の再生紙の幅方向両端部を長手方向に沿って裁断する。カッターは、上直刃が下直刃に対し、上下動し、再生紙を幅方向に沿って裁断する。裁断刃により裁断された再生紙7の端材は、端材回収箱に回収される。端材回収箱内の端材は、図1に示すように再生パルプ製造部1に戻され、再度古紙原料として再生紙7の製造に利用される。
【0062】
このような一連の工程で、端材の小片、紙粉、繊維、塵等が乾燥用ベルト47や挟持用ベルト48に付着することがある。例えば、仕上部4でのスリッターやカッターによる裁断の際、帯状の再生紙7から切り取られた端材のうち所定値より小さい小片は、端材回収箱内にうまく落下せず乾燥用ベルト47や挟持用ベルト48に付着することがある。また、脱水用ベルト31で繊維の目詰まりが発生した場合には、該脱水用ベルト31に詰まっていた繊維があるタイミングで剥がれ、後続の湿紙に付着し、その後湿紙が乾燥用ベルト47に転写した際、該乾燥用ベルト47にこのような繊維が付着することがある。そして、湿紙が挟持用ベルト48に挟持された際に該挟持用ベルト48にこのような繊維が付着することもある。更に、筐体41内で浮遊する紙粉や塵などが乾燥用ベルト47や挟持用ベルト48に付着することがある。
【0063】
このような端材の小片、紙粉、繊維、塵等は、乾燥用ベルト47や挟持用ベルト48の付着物となる。この付着物を除去することなく放置すると、後続の乾燥前の湿紙に再付着して得られる再生紙7の品質低下を招く。そこで、本実施形態では、付着物保持部63、53によって乾燥用ベルト47や挟持用ベルト48の付着物をこれらのベルト47、48から転移させて保持する。その際、付着物保持部材68、76が、走行する乾燥用ベルト47や挟持用ベルト48に接触し、付着物を絡め取る。付着物保持部材68、76は、押当部65、87によって乾燥用ベルト47や挟持用ベルト48に所定の押圧力で押し当てられる。これより、乾燥用ベルト47及び挟持用ベルト48の付着物は効率よく付着物保持部材76に転移する。
【0064】
また、付着物保持部材76は、乾燥用ベルト47や挟持用ベルト48の付着物を転移させてそのまま付着物保持部材68、76の表面乃至内部に保持することができる。この付着物保持部材68、76に保持されている付着物は、所定期間毎の装置メンテナンスの際に、掃除機等で吸引され、除去される。これより、従来のように付着物を回収するための機構を別途設ける必要がない。よって、簡単な機構により安価に製造可能である。即ち従来は、乾燥用ベルト47や挟持用ベルト48の付着物を、ブラシ体等によって掻き取った上で下方に落下させ回収するか、または掻き取った付着物を吸引手段により吸引し回収していたが、本実施形態では、このような付着物の回収機構が不要となる。
【0065】
また、付着物保持部材68、76の厚さが所定値より厚い場合は、付着物保持部材68、76の耐久性が向上可能であるとともに、内部により多くの付着物を保持することも可能となる。よって、付着物保持部材68、76から、保持している付着物を取り除くまでの期間を長くすることができ、メンテナンスの回数を少なくできる。
【0066】
付着物保持部材76、68が、湿紙を乾燥させる乾燥手段44を備えた湿紙の乾燥装置Vに設置されているので、乾燥手段44で湿紙を乾燥させるため湿紙を搬送する搬送ベルトとしての乾燥用ベルト47、または搬送ベルトとの間で湿紙を挟持する挟持用ベルト48の双方のベルトの付着物を、効率よく除去可能である。そして、付着物保持部材68、76は、乾燥用ベルト47及び挟持用ベルト48の湿紙搬送面に対向配置されるので、これらのベルト47,48の湿紙搬送面に残存する繊維や再生紙の端材等を効率よく除去可能である。
【0067】
また、挟持用ベルト48が、経糸と緯糸を織り込んだ織物によって形成される場合には、付着物保持部材76によって挟持用ベルト48の付着物を、非常に効率よく除去可能である。
【0068】
長期間の使用等により、付着物保持部材68、76が劣化、摩耗、損傷等すると、作業者は付着物保持部材76を新たな付着物保持部材76へ交換する。これより、付着物のベルトからの転移及び表面や内部における付着物の保持能力を回復できる。
【0069】
付着物保持部材68,76を交換する際は、付着物保持部材68、76を押当支持部77に固定したままで、押当支持部77を固定用部材97から取り外す。その際、止め螺子95を緩め、雄螺子部97が挿通された長穴91に案内させつつ押当支持部77を下方に移動させる。止め螺子95が丸穴94形成位置に至ると、雄螺子部97の先端側が未だ螺子穴98に螺合したままの状態で、作業者は、止め螺子95の頭部を丸穴94から抜き取る。丸穴94の穴径は、長穴93の幅方向長さより大きく形成され、且つ、止め螺子95の頭部直径より大きく形成されているので、雄螺子部97の先端側が未だ螺子穴98に螺合したままで、止め螺子95の頭部を丸穴94から抜き取ることが可能である。このようにして押当支持部77を容易に固定用部材78から取り外すことができる。
【0070】
その後、作業者は、螺子85を緩めて外し、押え板84を外して劣化、摩耗、損傷等した付着物保持部材76を押当支持部77の固定部83から取り外す。そして、別の付着物保持部材68,76に交換する。新たな付着物保持部材68、76は、上記と逆の動作により固定部83に固定され、押当支持部77が固定用部材97に固定されることで、交換作業は完了する。これより容易に付着物保持部材68,76の交換作業が行える。
【0071】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態にかかる湿紙の搬送装置を備えた抄紙装置Saの縦断面図である。上記第1の実施形態では、搬送ベルトにより搬送される湿紙を乾燥させる乾燥手段44を備えた湿紙の乾燥装置Vに、付着物保持部材76、68を設置したが、本第2の実施形態では、脱水部14aに付着物保持部材103を設置している。尚、図5では、乾燥部15においては挟持用ベルト48のための付着物保持部53のみ示したが、乾燥用ベルト47のための付着物保持部63も設けてもよく、挟持用ベルト48及び乾燥用ベルト47の双方のための付着物保持部も設けない構成とすることも可能である。
【0072】
そして、上記第1の実施形態では、脱水用ベルト31は、単体で湿紙を搬送したが、本第2の実施形態では、脱水用ベルト31aと、該脱水ベルト31aとの間で湿紙を挟持して走行する無端状の挟持用ベルト101とが設けられている。付着物保持部材103は、この挟持用ベルト101の外周面に接触し、挟持用ベルト101から転移させた付着物を保持する。
【0073】
付着物保持部材103は脱水部14aの付着物保持部102に設けられる。付着物保持部材103は、挟持用ベルト101の鉛直方向に延在する箇所に対し、押当部104によって所定圧力で押し当てられる。付着物保持部102の押当部104は、挟持用ベルト101の設置された鉛直方向と同じになるように形成され、配設されている。
【0074】
これより、脱水部14aに付着物保持部材103が設置され、脱水用ベルト31aとの間で湿紙を挟持し搬送する挟持用ベルト101の外周面に接触し、挟持用ベルト101から転移した付着物を保持する付着物保持部材103を備えたので、挟持用ベルト101に付着した付着物を除去できる。
【0075】
尚、上記実施形態では、付着物保持部材76は、搬送ベルト及び挟持用ベルト48,101の外周面に接触したが、これに限定されず、搬送ベルト及び/または挟持用ベルの内周面に接触し、付着物を転移させてもよい。また、搬送ベルトとしては乾燥用ベルト47とする場合を示したが、脱水用ベルトであってもよく湿紙を搬送可能な他のベルトであってもよい。また、搬送ベルト及び挟持用ベルトの少なくとも1つのベルトに接触する付着物保持部材が設けられればよく、1つのベルトのみに付着物保持部材を接触させてもよく、同時に3つ以上のベルトに付着物保持部材を接触させてもよい。
【0076】
また、付着物保持部材76は、ベルトの湿紙搬送面に対向配置されたが、ベルトの湿紙を担持しない側の面に対向して配置してもよい。また、古紙再生処理装置100に脱墨部2を設けたが、脱墨部2を省略しても構わない。
【符号の説明】
【0077】
S,Sa 抄紙装置
1 再生パルプ製造部
11 湿紙形成部
48、101 挟持用ベルト
44 乾燥手段
68,76,103 付着物保持部材
100 古紙再生処理装置
図1
図2
図3
図4
図5