特許第6458311号(P6458311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458311
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】遊技装置及び遊技システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
   A63F5/04 682
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-154873(P2013-154873)
(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2015-23966(P2015-23966A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩原 康平
【審査官】 東 治企
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−147727(JP,A)
【文献】 特開2005−081060(JP,A)
【文献】 特開2012−034993(JP,A)
【文献】 特開2010−268920(JP,A)
【文献】 特開2001−231911(JP,A)
【文献】 特開2005−027938(JP,A)
【文献】 特開2005−102805(JP,A)
【文献】 特開2010−227338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常状態よりも遊技者に有利な一の特別遊技状態中において、出力態様のそれぞれ異なる第一の状態信号と第二の状態信号を含む少なくとも二つの状態信号を同時に出力するタイミングを有する遊技機の遊技データを集計する遊技装置であって、
前記第一の状態信号が出力される期間に対応する第一期間における前記遊技データを収集し、前記第二の状態信号が出力される期間に対応する第二期間における前記遊技データを収集する状態信号データ収集手段と、
前記第一の状態信号と前記第二の状態信号が同時に出力されるタイミングにおいて、前記遊技データを収集する動作を制御する動作制御手段と、
前記状態信号データ収集手段によって収集された前記遊技データに基づいて、前記特別遊技状態中の前記遊技データを集計する遊技状態データ集計手段と、を備え、
前記特別遊技状態は、所定ゲーム数で構成される小単位区間が複数発生可能に構成され、
前記第一の状態信号は、一の前記小単位区間から他の前記小単位区間へ移行する状態に対応して出力される信号であり、
前記第二の状態信号は、前記特別遊技状態の開始から前記特別遊技状態の終了に対応して出力される信号であり、
前記動作制御手段は、前記第一の状態信号と前記第二の状態信号が同時に出力されるタイミングにおける前記遊技データを前記第一期間における前記遊技データとして収集させ、前記第二期間における前記遊技データとして収集させないように制御し、
前記遊技状態データ集計手段は、前記第一期間における前記遊技データと前記第二期間における前記遊技データとを含めて前記特別遊技状態中の前記遊技データとして集計し、
前記状態信号データ収集手段は、前記第二の状態信号の出力回数を前記第二期間における遊技データとして収集可能であり、前記第二の状態信号の出力中に前記第一の状態信号が出力された場合の前記第二の状態信号の出力回数は、当該第二の状態信号の出力回数に前記第一の状態信号の出力回数を加算して収集し、
前記動作制御手段は、前記第二の状態信号の出力中に前記第一の状態信号が出力された場合の前記第二の状態信号の出力回数は、前記第二の状態信号の出力回数に前記第一の状態信号の出力回数を加算せずに収集するように制御し、
前記遊技状態データ集計手段は、前記状態信号データ収集手段によって収集された前記第二の状態信号の出力回数に基づいて前記特別遊技状態の発生回数を集計する
ことを特徴とする遊技装置。
【請求項2】
通常状態よりも遊技者に有利な一の特別遊技状態中において、出力態様のそれぞれ異なる第一の状態信号と第二の状態信号を含む少なくとも二つの状態信号を同時に出力するタイミングを有する遊技機の遊技データを集計する遊技装置であって、
前記第一の状態信号が出力される期間に対応する第一期間における前記遊技データを収集し、前記第二の状態信号が出力される期間に対応する第二期間における前記遊技データを収集する状態信号データ収集手段と、
前記第一の状態信号と前記第二の状態信号が同時に出力されるタイミングにおいて、前記遊技データを収集する動作を制御する動作制御手段と、
前記状態信号データ収集手段によって収集された前記遊技データに基づいて、前記特別遊技状態中の前記遊技データを集計する遊技状態データ集計手段と、を備え、
前記動作制御手段は、前記第一の状態信号と前記第二の状態信号が同時に出力されるタイミングにおける前記遊技データを前記第一期間における前記遊技データとして収集させ、前記第二期間における前記遊技データとして収集させないように制御し、
前記遊技状態データ集計手段は、前記第一期間における前記遊技データと前記第二期間における前記遊技データとを含めて前記特別遊技状態中の前記遊技データとして集計し、
前記状態信号データ収集手段は、前記第二の状態信号の出力回数を前記第二期間における遊技データとして収集可能であり、前記第二の状態信号の出力中に前記第一の状態信号が出力された場合の前記第二の状態信号の出力回数は、当該第二の状態信号の出力回数に前記第一の状態信号の出力回数を加算して収集し、
前記動作制御手段は、前記第二の状態信号の出力中に前記第一の状態信号が出力された場合の前記第二の状態信号の出力回数は、前記第二の状態信号の出力回数に前記第一の状態信号の出力回数を加算せずに収集するように制御し、
前記遊技状態データ集計手段は、前記状態信号データ収集手段によって収集された前記第二の状態信号の出力回数に基づいて前記特別遊技状態の発生回数を集計する
ことを特徴とする遊技装置。
【請求項3】
遊技機ごとに設けられる表示機である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技装置。
【請求項4】
前記第一の状態信号は、遊技機の内部に設置された光センサーが、遊技機に設けられるランプの発光を検知した場合に出力される信号である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技装置。
【請求項5】
前記遊技機が、特定のゲーム区間に亘って前記第一の状態信号又は前記第二の状態信号を出力する場合において、
所定の操作に応じ、前記特定のゲーム区間に対応するゲーム回数を設定するゲーム回数設定手段を備え、
前記遊技状態データ集計手段は、
前記第一の状態信号又は前記第二の状態信号の出力が開始されてから、前記ゲーム回数設定手段により設定されたゲーム回数に至るまでに、前記状態信号データ収集手段が複数の前記第一の状態信号又は前記第二の状態信号に係る遊技データ群を集計する場合に、前記複数の前記第一の状態信号又は前記第二の状態信号を一回の前記特定のゲーム区間とみなして所定の遊技データを集計する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の遊技装置。
【請求項6】
通常状態よりも遊技者に有利な一の特別遊技状態中において、出力態様のそれぞれ異なる第一の状態信号と第二の状態信号を含む少なくとも二つの状態信号を同時に出力するタイミングを有する遊技機と、前記遊技機から出力される遊技データを集計する遊技装置とを備えた遊技システムであって、
前記遊技装置は、
前記第一の状態信号が出力される期間に対応する第一期間における前記遊技データを収集し、前記第二の状態信号が出力される期間に対応する第二期間における前記遊技データを収集する状態信号データ収集手段と、
前記第一の状態信号と前記第二の状態信号が同時に出力されるタイミングにおいて、前記遊技データを収集する動作を制御する動作制御手段と、
前記状態信号データ収集手段によって収集された前記遊技データに基づいて、前記特別遊技状態中の前記遊技データを集計する遊技状態データ集計手段と、を備え、
前記特別遊技状態は、所定ゲーム数で構成される小単位区間が複数発生可能に構成され、
前記第一の状態信号は、一の前記小単位区間から他の前記小単位区間へ移行する状態に対応して出力される信号であって、遊技機の内部に設置された光センサーが、遊技機に設けられるランプの発光を検知した場合に出力される信号であり、
前記第二の状態信号は、前記特別遊技状態の開始から前記特別遊技状態の終了に対応して出力される信号であり、
前記動作制御手段は、前記第一の状態信号と前記第二の状態信号が同時に出力されるタイミングにおける前記遊技データを前記第一期間における前記遊技データとして収集させ、前記第二期間における前記遊技データとして収集させないように制御し、
前記遊技状態データ集計手段は、前記第一期間における前記遊技データと前記第二期間における前記遊技データとを含めて前記特別遊技状態中の前記遊技データとして集計し、
前記状態信号データ収集手段は、前記第二の状態信号の出力回数を前記第二期間における遊技データとして収集可能であり、前記第二の状態信号の出力中に前記第一の状態信号が出力された場合の前記第二の状態信号の出力回数は、当該第二の状態信号の出力回数に前記第一の状態信号の出力回数を加算して収集し、
前記動作制御手段は、前記第二の状態信号の出力中に前記第一の状態信号が出力された場合の前記第二の状態信号の出力回数は、前記第二の状態信号の出力回数に前記第一の状態信号の出力回数を加算せずに収集するように制御し、
前記遊技状態データ集計手段は、前記状態信号データ収集手段によって収集された前記第二の状態信号の出力回数に基づいて前記特別遊技状態の発生回数を集計する
ことを特徴とする遊技システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機から出力される遊技信号に基づいて遊技データを集計する遊技装置及び遊技システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシン、パチンコ機などの遊技機は、遊技の進行や遊技状態に応じ種々の遊技信号を出力する機能を有しており、このような遊技信号に基づき、遊技機ごとの遊技データを収集・集計することができる遊技装置が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1のホールコンピュータ(遊技装置)によれば、スロットマシンから出力されるRB(レギュラーボーナス)信号やBB(ビッグボーナス)信号を入力し、これらの信号に基づいて各種ボーナスに関する遊技データを集計することができる。
このような遊技装置では、BB信号出力中の払出信号の入力数から、ビッグボーナスの払出数を集計し、RB信号出力中の払出信号の入力数から、レギュラーボーナスの払出数を集計するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−172193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、ART機と称されるスロットマシンが知られている。
ART機では、所定のゲーム区間に亘って停止ボタンの操作順序をナビゲートするARTゲームを有し、ARTゲームが連チャンする間、通常状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態を有している。
このようなART機からは、各ARTゲームの区間を特定可能な状態信号(例えば、図14のAT(1)信号及び図15の光センサー信号)と、ARTゲームを包含しARTゲームの連チャンする遊技状態であるART遊技状態を特定可能な状態信号(例えば、図14図15のAT(2)信号)とが出力される。
これらの信号は、例えば、一のART遊技状態において、AT(2)信号の出力中にAT(1)信号や光センサー信号が出力されるタイミングとこれらの信号が出力されないタイミングとをそれぞれ有する。
このような出力態様を有するスロットマシンでは、AT(2)信号によりART遊技状態を特定するとともに、AT(2)信号の出力中の払出信号の入力数よりART遊技状態中の払出数を集計し、AT(1)信号等の入力回数よりARTゲームの連チャン回数を集計することができる。
【0005】
しかしながら、従来の遊技装置には改善の余地があった。
【0007】
本発明は、遊技データを集計する遊技装置及び遊技システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の遊技装置は、通常状態よりも遊技者に有利な一の特別遊技状態中において、出力態様のそれぞれ異なる第一の状態信号と第二の状態信号を含む少なくとも二つの状態信号を同時に出力するタイミングを有する遊技機の遊技データを集計する遊技装置であって、前記第一の状態信号が出力される期間に対応する第一期間における前記遊技データを収集し、前記第二の状態信号が出力される期間に対応する第二期間における前記遊技データを収集する状態信号データ収集手段と、前記第一の状態信号と前記第二の状態信号が同時に出力されるタイミングにおいて、前記遊技データを収集する動作を制御する動作制御手段と、前記状態信号データ収集手段によって収集された前記遊技データに基づいて、前記特別遊技状態中の前記遊技データを集計する遊技状態データ集計手段と、を備え、前記特別遊技状態は、所定ゲーム数で構成される小単位区間が複数発生可能に構成され、前記第一の状態信号は、一の前記小単位区間から他の前記小単位区間へ移行する状態に対応して出力される信号であり、前記第二の状態信号は、前記特別遊技状態の開始から前記特別遊技状態の終了に対応して出力される信号であり、前記動作制御手段は、前記第一の状態信号と前記第二の状態信号が同時に出力されるタイミングにおける前記遊技データを前記第一期間における前記遊技データとして収集させ、前記第二期間における前記遊技データとして収集させないように制御し、前記遊技状態データ集計手段は、前記第一期間における前記遊技データと前記第二期間における前記遊技データとを含めて前記特別遊技状態中の前記遊技データとして集計し、前記状態信号データ収集手段は、前記第二の状態信号の出力回数を前記第二期間における遊技データとして収集可能であり、前記第二の状態信号の出力中に前記第一の状態信号が出力された場合の前記第二の状態信号の出力回数は、当該第二の状態信号の出力回数に前記第一の状態信号の出力回数を加算して収集するところ、前記動作制御手段は、前記第二の状態信号の出力中に前記第一の状態信号が出力された場合の前記第二の状態信号の出力回数は、前記第二の状態信号の出力回数に前記第一の状態信号の出力回数を加算せずに収集するように制御し、前記遊技状態データ集計手段は、前記状態信号データ収集手段によって収集された前記第二の状態信号の出力回数に基づいて前記特別遊技状態の発生回数を集計するようにしてある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施形態に係る遊技システムを模式的に示す概略図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る遊技システムにおいて送受される遊技信号を示すブロック図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る遊技機から出力される状態信号を説明するための図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るホールコンピュータの構成を示すブロック図である。
図5】状態信号に基づく優先処理を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の第一実施形態に係るホールコンピュータにおいて行われる遊技データの集計処理を説明するための図である。
図7】本発明の第一実施形態に係る遊技データに関する履歴表である。
図8】本発明の第一実施形態に係る遊技データ集計方法を示すフローチャートである。
図9】本発明の第二実施形態に係るホールコンピュータにおいて行われる遊技データの集計処理を説明するための図である。
図10】本発明の第二実施形態に係る遊技データに関する履歴表である。
図11】本発明の第二実施形態に係る遊技データ集計方法を示すフローチャートである。
図12】本発明の第三実施形態に係るホールコンピュータにおいて行われる遊技データの集計処理を説明するための図である。
図13】本発明の第四実施形態に係るホールコンピュータにおいて行われる遊技データの集計処理を説明するための図である。
図14】ART遊技状態中に複数の状態信号が同時に出力される遊技データを集計する際の問題を説明するための第一の図である。
図15】ART遊技状態中に複数の状態信号が同時に出力される遊技データを集計する際の問題を説明するための第二の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態に係る遊技装置について、各図を参照して説明する。
ここでは、遊技機の遊技データを集計する遊技装置としてホールコンピュータ10を適用し、また、遊技データの集計対象の遊技機として、スロットマシン1を適用した遊技システムSの例について説明する。
【0013】
本実施形態の遊技システムSは、図1又は図2に示すように、スロットマシン1及びメダル貸出機2とホールコンピュータ10とが、呼出ランプ3、台コンピュータ4、島コンピュータ5などの中継情報処理装置を介してデータ通信可能に接続されて構成される。
【0014】
ホールコンピュータ10は、遊技場に設置されるパチンコ機、スロットマシンなどの遊技機から出力される遊技信号に基づいて当該遊技機に関する遊技データを収集することが可能な遊技装置である。
【0015】
スロットマシン1は、遊技媒体となるメダルを投入してスタートレバーを押下することにより、外周面に絵柄や数字,文字等からなる複数の図柄が表された複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが操作されることでリールが停止するとともに、停止したときの図柄の組合せに応じてメダルが払い出される回胴式遊技機としての通常の構成に加え、特典遊技としてのART遊技状態を有する。
【0016】
ART遊技状態は、通常状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態であって、抽選処理においてメダルを投入することなく次回遊技可能となるリプレイの当選確率が通常遊技よりも高くなっているとともに(RT遊技)、スロットマシン1のメイン制御部からの指令を受けて動作するサブ制御部が停止ボタン操作に係るナビゲートを行い、このナビゲートに従った停止ボタン操作を遊技者に行わせること(ARTゲーム)により、小役入賞に導かれメダル獲得の機会が増加する遊技状態となっている。ARTゲームは、特定小役の入賞をナビゲートするゲームが所定回数(例えば40回)を1セットとして提供され、抽選結果に応じ、このARTゲームの継続が期待できるようになっている。
スロットマシン1は、主にメイン制御部の動作により、以下の各種信号を所定のタイミングで出力するようになっている。
【0017】
「投入信号」は、スロットマシン1への投入メダル数に対応する数のパルス列からなり、スロットマシン1に備えるスタートレバーの操作タイミングで出力され、この投入信号の出力パルス数を計数することにより、スロットマシン1に投入された投入メダル数の累計を取得することができる。
「払出信号」は、投入信号と同様、スロットマシン1からの払出メダル数に対応する数のパルス列からなり、スロットマシン1に備える複数のリールに表された図柄が小役入賞及びリプレイに係る図柄の組合せで停止したときに、出力される信号である。この払出信号の出力パルス数を計数することにより、スロットマシン1から払い出された払出メダル数の累計を取得することができる。
【0018】
メダル貸出機2から出力される「売上信号」は、メダルの貸し出しに際してその代償として投入された投入金額を示す遊技信号である。この売上信号は、投入金額に対応する数のパルス列からなり、例えば、1パルスで1千円の投入金額を識別可能な信号となっている。
【0019】
「AT初当り信号」は、図3に示すように、ART遊技状態の開始とともに出力され、初回のARTゲームの区間に亘り出力される状態信号である。ART遊技状態の開始時にオン出力され、初回のARTゲームの終了時にオフ出力される。
「AT初当り信号」は、例えば、スロットマシン1の遊技進行を制御するメイン制御部が、ART遊技状態の開始に伴うAT遊技の始まりを検知したことを契機にオン出力される。
また、「AT初当り信号」は、特定小役(例えば、ベル)の入賞回数が所定回数に達したタイミングにオフ出力される。
【0020】
「AT(1)信号」は、ARTゲームが連チャンするたびに、各ARTゲームの区間に亘り出力される状態信号である。
具体的には、図3に示すように、「AT初当り信号」の出力時から間もなく(1.5秒後)、又は、出力時にオン出力され、特定小役の入賞回数が所定回数(30回)に達したときにオフ出力され、ART遊技状態である限りは、その後、1秒ごとに、この出力のオン→オフが、ART遊技状態が終了するまで繰り返される。
AT(1)信号は、出力開始から特定小役が30回入賞するまでの区間を一回のARTゲームの区間に相当するものとして、その間に亘りオン出力することで、ARTゲームの区間を特定できるようにしている。
【0021】
「AT(2)信号」は、ART遊技状態中に終始出力される状態信号である。
具体的には、図3に示すように、ART遊技状態の開始時にオン出力され、ART遊技状態の終了時にオフ出力される。
【0022】
「光センサー信号」は、スロットマシン1の内部等に設置した光センサーから出力される状態信号である。この点、「光センサー信号」は光センサーの出力信号であるが、本実施形態では、スロットマシン1から出力される状態信号として取り扱う。
本実施形態のスロットマシン1は、演出手段として、ARTゲームが連チャンするたびに、そのゲーム直後に発光を行う表示ランプ等を備えており、この表示ランプ等の近傍に設置されたセンサーが、その発光を検知するたびに出力する信号を「光センサー信号」として用いる。
具体的には、図3に示すように、ARTゲームの所定ゲーム回数(40ゲーム)を1ゲームとするARTゲームが連チャンするたびに、そのゲーム直後にオン出力され、数ゲーム分の遊技経過後、オフ出力される。この出力のオン→オフは、ARTゲームが継続する間、すなわち、ART遊技状態が終了するまで繰り返される。
【0023】
このように、各状態信号は、それぞれが異なった態様で出力され、また、他の状態信号と同時に出力されることがある。
例えば、図3に示すように、AT(1)信号や光センサー信号は、AT(2)信号の出力中の所定のタイミングで重なって出力される。
以下、このような出力態様を有する状態信号に基づき所定の遊技データを集計するホールコンピュータ10について詳細に説明する。
【0024】
本実施形態のホールコンピュータ10は、図4に示すように、スロットマシン1及びメダル貸出機2から出力される遊技信号を受信する通信部12と、制御部11が集計した遊技データの表示が可能な表示部13と、ハードディスク等の記憶媒体からなる記憶部14と、キーボード、マウス等の入力デバイスからなる操作部15と、CPUなどの中央演算処理装置、ROM、RAMなどの記憶手段を備えるコンピュータとして構成され、通信部12が受信した遊技信号(状態信号)に基づいて所定の遊技データを算出する制御部11と、を備えている。
以下、遊技データの集計に関する制御部11の動作について説明する。
【0025】
制御部11は、状態信号データ収集手段として動作することで、出力態様がそれぞれ異なる第一の状態信号及び第二の状態信号に基づいて遊技データを収集する。
本実施形態では、「第一の状態信号」として光センサー信号を用い、「第二の状態信号」としてAT(2)信号を用いる。
光センサー信号は、ARTゲームが連チャンするたびに出力される出力態様の状態信号であり、光センサー信号のパルスを計数することによって、ARTゲームの発生回数を収集することができる。
AT(2)信号は、ART遊技状態中に終始出力される出力態様の状態信号であり、AT(2)信号のパルスを計数することによってART遊技状態の発生回数(以下、「ART回数」という)を収集することができる。
また、AT(2)信号のパルスで特定されるART遊技状態中のメダル投入・払出に関する遊技データも集計することができる。「メダル投入・払出に関する遊技データ」としては、投入信号及び払出信号の入力数の差分を表す差枚数(=払出信号数−投入信号数)がある。
【0026】
制御部11は、特別遊技状態判定手段として動作することで、少なくとも一方の状態信号に基づいて特別遊技状態中であることを判定する処理を行う。
例えば、第二の状態信号であるAT(2)信号は、ART遊技状態中にオン出力されることから、AT(2)信号がオン出力かオフ出力かによって、ART遊技状態かどうかを判定することができる。
【0027】
また、AT初当り信号を用いてART遊技状態を判定することもできる。
具体的には、AT初当り信号の検出により、ART遊技状態の開始を判定し、所定の条件の成立により、ART遊技状態の終了を判定することができる。
所定の条件としては、例えば、ART遊技状態中に頻出するリプレイの発生確率(例えば、1/2)を監視し、この発生確率が所定の確率(1/5)以下になったらART遊技状態の終了と判定することもできる。
【0028】
さらに、ART遊技状態中に終始出力されるAT(2)信号を第二の状態信号として用いる場合、第一の状態信号と第二の状態信号のいずれかが「処理中」であることを検知した場合に、その区間は、第二の状態信号が「処理中」とみなしてART遊技状態中と判定することができる。
例えば、「処理中」を「1」、「停止」を「0」として、第一の状態信号と第二の状態信号との論理和が「1」であるときは、ART遊技状態中と判定することができる。
【0029】
ところで、本実施形態のホールコンピュータ10は、特別遊技状態中(ART遊技状態中)に同時に発生する信号についてはそれぞれ独立して処理することができず、一方の信号のみを択一的に優先処理する仕様となっている。
このような処理は、制御部11が、動作制御手段として動作することにより、第一の状態信号と第二の状態信号が同時に出力されるタイミングにおいて、第一の状態信号に基づいて遊技データを収集する動作を優先させることで実現している。
つまり、本実施形態では、光センサー信号の出力とAT(2)信号の出力を同時に検出した場合には、光センサー信号の処理を優先させるようになっている。
以下、このような優先処理について、図5を参照しながら説明する。
【0030】
図5は、光センサー信号とAT(2)信号とが同時に出力されたときの優先処理を説明するためのフローチャートである。
制御部11は、光センサー信号とAT(2)信号の出力状態を監視しており、光センサー信号の「オン」中に(S41−Yes)、AT(2)信号の「オフ」→「オン」を検出すると(S42−Yes)、AT(2)信号に基づく遊技データの集計は行わない(S43)。
また、制御部11は、光センサー信号が「オン」中ではなく(S41−No)、AT(2)信号の「オン」中に(S44−Yes)、光センサー信号の「オフ」→「オン」を検出すると(S45−Yes)、光センサー信号に基づく遊技データを集計する。
つまり、光センサー信号のオン出力と、AT(2)信号のオン出力とが同時に発生したタイミングでは、光センサー信号に基づいてのみ遊技データを集計し、AT(2)信号に基づく遊技データは集計しない。
【0031】
制御部11がこのような優先処理を内部的に行うことで、図6に示すように、AT(2)信号は、光センサー信号が同時にオン出力されている間において、入力形態と内部処理形態が見かけ上異なることになる。
図6は、上段が、光センサー信号及びAT(2)信号の入力時の形態を示し、下段が、これらの信号の内部処理時の形態を示している。
このように、AT(2)信号は、入力形態ではART遊技状態中に終始出力されるものの、内部処理形態では、優先される光センサー信号の出力時に処理が停止されることから、AT(2)信号によってART遊技状態中の遊技データを一貫して集計しようとしてもAT(2)信号により集計が分断されることになる。
【0032】
制御部11は、遊技状態データ集計手段として動作することで、状態信号データ収集手段によって収集された遊技データに基づいて、特別遊技状態中の遊技データを集計する。
具体的には、遊技状態データ収集手段として、以下の固有の動作を行うことによって、所定の遊技データを正確に集計するようにしている。
【0033】
制御部11は、遊技状態データ収集手段として動作することで、特別遊技状態中においては、第二の状態信号に基づいて収集された所定の遊技データに、第一の状態信号に基づいて収集された所定の遊技データを加えて、所定の遊技データを集計する。
本実施形態では、ART遊技状態中においては、AT(2)信号に基づいて収集した差枚数に、光センサー信号に基づいて収集した差枚数を加えることで、ART遊技状態中の差枚数(以下、「ART中差枚数」という)を集計するようにしている。
すなわち、図6中の下段の内部処理に示す場合においては、AT(2)信号の集計処理の実行中(以下、処理中という)は、その間における差枚数を収集しつつ、光センサー信号の処理中は、その間における差枚数を収集し、これら収集した差枚数をその都度累計することによって、ART中差枚数の集計を行う(図6の破線部参照)。
このようにすると、ART遊技状態中に終始出力されるAT(2)信号が、その間に出力された光センサー信号の影響を受けて複数の信号に分断される場合であっても、ART中差枚数を正しく求めることができる。
【0034】
また、制御部11は、他の遊技状態データ収集手段の動作として、特別遊技状態中においては、状態信号データ収集手段が、複数の第二の状態信号に基づいてそれぞれの状態信号に係る遊技データを複数収集する場合に、その複数の第二の状態信号を一の第二の状態信号とみなして所定の遊技データを集計する。
本実施形態では、ART遊技状態中に、上記優先処理によって複数のAT(2)信号(第二の状態信号)の出力を検出したときには、その複数のAT(2)信号を一のAT(2)信号とみなすことで、この一のAT(2)信号を一のART回数として計数するようにしている。
すなわち、図6中の下段に示すように、ART遊技状態中における3つのAT(2)信号のパルスを、1つのパルスとしてみなすものであり、AT(2)信号が、光センサー信号の優先処理の影響を受けて、複数に分断される場合であっても、その複数のAT(2)信号を一のAT(2)信号としてART回数を集計する。
【0035】
より具体的には、制御部11は、第二の状態信号に係る状態の発生回数に関する遊技データ(ART回数)を集計するに際し、特別遊技状態中(ART遊技状態中)においては、順次収集される第二の状態信号にかかわらず、最初に収集される第二の状態信号に基づいて発生回数を1回として集計する処理を行う。
例えば、ART遊技状態中に、AT(2)信号の「処理中」を初めて検出したときにはART回数として「+1」カウントするが、同じART遊技状態中と判定されている限り、次のAT(2)信号の「処理中」を検出したとしても、カウントを行わないように集計処理を行う。
また、AT(2)信号の「停止→処理中」を検出したときにART回数を「+1」カウントするが、AT(2)信号の「停止→処理中」と同時に、光センサー信号の「処理中→停止」を検出したときにはカウントを行わないようにすることもできる。
このようにすると、ART遊技状態中においては、優先処理によって生じた複数のAT(2)信号を一の信号とみなす処理を、状態信号の状態(「処理中」、「停止」)の検出を介して合理的に行うことができ、このため、ART回数の正確な集計を円滑に行うことができる。
【0036】
また、制御部11は、他の遊技状態データ収集手段の動作として、第一の状態信号の出力回数を計数することで、特定ゲームの発生回数を集計する。
本実施形態では、光センサー信号の出力回数を計数することで、ART回数を集計するようにしている。
【0037】
制御部11は、このようにして集計した遊技データを、ホールコンピュータ10の表示部13に表示させることができる。
例えば、AT(2)信号や光センサー信号の処理時又は停止時ごとに各遊技データを時刻に対応付けて記憶させておけば、図7に示すような履歴表としての遊技データを表示部13に随時表示させることができる。
このため、遊技場の管理者にとっては、遊技機を管理する際の正確な遊技データとして利用することができる。
【0038】
また、ホールコンピュータ10以外の他の遊技装置でも、各遊技データを表示させることもできる。
例えば、遊技機ごとに設けられる表示機の場合、一のART遊技状態中に初めてAT(2)信号の「処理中」を検出したときのみ一回カウントしつつ、このカウント値を表示することにより、ART遊技状態が発生するたびにART回数をリアルタイムに更新表示させることができる。
また、AT(2)信号の「処理中」に順次累計される差枚数と、光センサー信号の「処理中」に順次累計される差枚数とを加算しつつ、この加算値を表示することにより、ART遊技状態中のトータルの差枚数をリアルタイムに更新表示させることができる。
また、AT(1)信号のオン出力を順次計数しつつ、この計数値を表示することにより、ART遊技状態中のARTゲームの発生回数をリアルタイムに更新表示させることができる。
このため、遊技者は、ART機で遊技をしながらその遊技機の正確な遊技データを把握することができる。
【0039】
また、遊技場内の各遊技機に関する遊技データを表示することが可能なデータ表示機(島端等に設置されるデータ表示機など)の場合、営業時間中の現タイミングにおけるART回数とARTゲームの発生回数を台番号ごとに一覧表示させることができる。
このため、遊技者は、ART機を選ぶ際の正確な遊技傾向を把握する手段として活用することができる。
【0040】
次に、本発明の第一実施形態に係る遊技データの集計方法について説明する。
図8は、本発明の第一実施形態に係る遊技データの集計方法を示すフローチャートである。
ここでは、一のART遊技状態中における各種遊技データの集計手順について説明する。
【0041】
図8に示すように、制御部11は、AT(2)信号の内部処理状態を監視する(S1)。
制御部11は、AT(2)信号の処理開始(「停止」→「処理中」)を検出することで(S1−Yes)、ART遊技状態の開始を検知すると(S2)、ART回数を1加算する(S3)。
また、制御部11は、ART中差枚数を算出する(S4)。ここでは、分断されたAT(2)信号の1パルスの区間における差枚数を算出するため、AT(2)信号の「処理中」検出時(S1−Yes)から、光センサー信号の「処理中」検出時(S11)までの差枚数を集計する。
【0042】
ARTゲーム処理(S5)では、制御部11が、光センサー信号の内部処理状態を監視する(S11)。
制御部11は、光センサー信号の処理開始(「停止」→「処理中」)を検出することで(S11−Yes)、ARTゲームの開始を検知すると(S12)、ARTゲームの発生回数を1加算する(S13)。
また、制御部11は、ARTゲーム中差枚数を算出する(S14)。本実施形態の「ARTゲーム中差枚数」は、光センサー信号の1パルスの区間における差枚数に相当する。このため、ここでは、光センサー信号の「処理中」検出時(S11−Yes)から、光センサー信号の「停止」検出時(S15−No)までの差枚数を集計する。
【0043】
制御部11は、光センサー信号の処理終了(「処理中」→「停止」)を検出することで(S15−Yes)、ARTゲームの終了を検知すると(S16)、S14で算出したARTゲーム中差枚数をART中差枚数に加算して(S17)、ARTゲーム処理を終了する。
ARTゲーム処理は、S11において、光センサー信号の処理開始が検出されない場合にも終了する(S11−No)。
ARTゲーム処理が終了した後、制御部11は、AT(2)信号の処理終了(「処理中」→「停止」)が検出されるまで、ART中差枚数の算出(S4)とARTゲーム処理(S5)を繰り返し行う(S6−No)。
制御部11は、AT(2)信号の処理終了を検出することで(S6−Yes)、ART遊技状態の終了を検知すると(S7)、一連の処理を終了する。
【0044】
このような工程に基づく遊技データの集計処理によっても、ART中差枚数、ART回数、及びARTゲームの発生回数を正確に集計することができる。
【0045】
以上のように、本発明の第一実施形態に係る遊技装置及び遊技データ集計方法によれば、通常状態よりも遊技者に有利な一の特別遊技状態中において、出力態様のそれぞれ異なる少なくとも第一の状態信号と第二の状態信号を同時に出力するタイミングを有するスロットマシン1に関する遊技データを正確に集計することができる。
【0046】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る遊技装置について図9を参照しながら説明する。
本実施形態のホールコンピュータ10は、図9に示すように、光センサー信号及びAT(2)信号を、第一の状態信号及び第二の状態信号として処理する点において第一実施形態と共通するが、光センサー信号とAT(2)信号の内部処理の態様が第一実施形態と異なる。
具体的には、図9中の上段に示すように、AT(2)信号と光センサー信号の同時出力を検出した場合、光センサー信号の「オフ→オン」と「オン→オフ」が同時に発生したものとみなすことで、図9中の下段に示すように、光センサー信号については、見かけ上パルス幅がないものとして内部処理するようにしている。
【0047】
すなわち、光センサー信号が、瞬時に生起された信号として内部処理することで、AT(2)信号が、光センサー信号の影響により複数の信号に分断されないようにしている。
このようにすると、分断されていないAT(2)信号に基づきART中差枚数を集計することができ、また、AT(2)信号をそのままART回数として集計することができる。
また、光センサー信号の出力自体は検出するようにしているため、ARTゲームの発生回数を正しく集計することができる。
【0048】
なお、第二実施形態に係るホールコンピュータ10の構成や基本的な動作は、第一実施形態と同様である。このため、第一実施形態と共通する構成及び動作に関する説明は省略する。
【0049】
図10は、本実施形態に係る遊技履歴を示す履歴表である。
図10に示すように、履歴表の各欄は、前述した図7の履歴表と同じであるが、「ART中差枚数の累計」の更新時が異なる。
すなわち、第一実施形態においては、光センサー信号の処理時及び停止時に差枚数の集計値を更新するのに対し、本実施形態では、光センサー信号の処理時にのみ差枚数の集計値を更新するようにしている。
本実施形態において、「ART中差枚数の累計」が、このようなタイミングで更新されるのは、光センサー信号の出力が、「オフ→オン」と「オン→オフ」が同時に発生したものとみなすことで、内部処理上、「停止→処理→停止」が同時に処理されるようにしているからである(図10の「時刻」欄等参照)。
このため、本実施形態のホールコンピュータ10によれば、第一実施形態と同様に所定の遊技データを正確に集計することができることに加え、第一実施形態の場合よりも更新頻度を少ないため、遊技データの集計にかかる負荷を抑えることができる。
【0050】
次に、本発明の第二実施形態に係る遊技データの集計方法について、図11を参照しながら説明する。
図11に示すように、制御部11は、AT(2)信号の内部処理状態を監視する(S21)。
制御部11は、AT(2)信号の処理開始(「停止」→「処理中」)を検出することで(S21−Yes)、ART遊技状態の開始を検知すると(S22)、ART回数を1加算する(S23)。
また、制御部11は、ART中差枚数を算出する(S24)。すなわち、図9に示すAT(2)信号のパルスのうち、光センサー信号の処理のタイミングで区画された1区間における差枚数となる。このため、「ART中差枚数の算出」は、AT(2)信号の「処理中」検出時(S21−Yes)から、光センサー信号の「処理中」検出時(S31)までに集計した差枚数に基づいて行う。
【0051】
ARTゲーム処理(S25)では、制御部11が、光センサー信号の内部処理状態を監視する(S31)。
制御部11は、光センサー信号の処理開始(「停止」→「処理中」)を検出することで(S31−Yes)、ARTゲームの開始を検知すると(S32)、ARTゲームの発生回数を1加算する(S33)。
また、制御部11は、ARTゲーム中差枚数をART中差枚数として算出する(S34)。ART中差枚数の算出は、光センサー信号の「処理中」検出時(S31−Yes)から光センサー信号の「停止」検出時(S35−No)までに集計した差枚数に基づいて行う。ただし、本実施形態の場合、光センサー信号は、「オフ→オン」と「オン→オフ」は同時に発生するものとして処理されるため、この工程で算出されるART中差枚数は0となる。
【0052】
制御部11は、光センサー信号の処理終了を検出することで(S35−Yes)、ARTゲームの終了を検知すると(S36)、ARTゲーム処理を終了する。
なお、ARTゲーム処理は、S31において、光センサー信号の処理開始が検出されない場合にも終了する(S31−No)。
ARTゲーム処理が終了した後、制御部11は、AT(2)信号の処理終了が検出されるまで、ART中差枚数算出(S24)とARTゲーム処理(S25)を繰り返し行う(S26−No)。
制御部11は、AT(2)信号の処理終了を検出することで(S26−Yes)、ART遊技状態の終了を検知すると(S27)、一連の処理を終了する。
【0053】
以上のように、本発明の第二実施形態に係る遊技装置及び遊技データ集計方法によれば、第二の状態信号(AT(2)信号)の出力中に第一の状態信号(光センサー信号)の出力があっても、内部処理上、第一の状態信号はあたかも瞬時に発生しているようにみなすことで、第二の状態信号が分断されないようにしている。
このため、分断されていない第二の状態信号に基づいて、所定の遊技データ(ART中差枚数、ART回数)を正確に求めることができ、また、第一の状態信号に基づいて、所定の遊技データ(ARTゲームの発生回数)を正確に求めることができる。
【0054】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態に係る遊技装置について説明する。
本実施形態のホールコンピュータ10は、第一実施形態の変形実施形態であり、光センサー信号の代わりに、AT(1)信号(図3参照)を用いる点で第一実施形態と異なる。
すなわち、図12に示すように、AT(1)信号及びAT(2)信号を、第一の状態信号及び第二の状態信号として処理するようにしている。
AT(1)信号は、ARTゲームの区間に亘って出力を行うのに対し、光センサー信号は、ARTゲームが終わった後に出力を行う点で異なる。
構成及び基本的な動作については、第一実施形態と同様である。
【0055】
図12に示すように、AT(1)信号及びAT(2)信号の内部処理信号に対し、制御部11は、遊技状態データ集計手段として動作することで、4つのAT(1)信号のパルスの区間における差枚数と、AT(1)信号によって分断されたAT(2)信号の4つのパルスの区間における差枚数とを加算することによって、ART中差枚数を求める(図12中の下段の破線部参照)。
また、AT(2)信号の分断された4つのパルスを一つのAT(2)信号のパルスとみなしてART回数を計数するようにしている。
また、AT(1)信号の出力数(4回)を、ARTゲームの発生回数として求めるようにしている。
【0056】
ところで、AT(1)信号は、ARTゲームの区間に亘って出力されるところ、遊技機によっては、ARTゲーム中にナビゲートされる停止ボタンの操作順序を誤った場合、ARTゲームの遊技状態を維持しつつも、AT(1)信号の出力を一時的に中断・再開するものがある。
この場合、ホールコンピュータ10では、AT(1)信号の出力の中断(オフ出力)に応じてARTゲームが終了し、また、出力の再開(オン出力)に応じて、次のARTゲームが開始されたものと判断する結果、ARTゲームの回数が、実際のARTゲームの連チャン回数よりも多く集計される問題が生じる。
【0057】
そこで、制御部11は、ゲーム回数設定手段として、所定の操作に応じ、特定のゲーム区間に対応するゲーム回数を設定する動作を行った場合、第一の状態信号又は第二の状態信号の出力が開始されてから、ゲーム回数設定手段により設定されたゲーム回数に至るまでに、状態信号データ収集手段が複数の第一の状態信号又は第二の状態信号に係る遊技データ群を集計する場合には、遊技状態データ収集手段の動作として、その複数の第一の状態信号又は第二の状態信号を一回の特定のゲーム区間とみなして所定の遊技データを集計するようにしている。
具体的には、本実施形態では、ARTゲームの区間に対応するゲーム回数(40回)を設定し、第一の状態信号であるAT(1)信号の出力が開始されてから、その設定したゲーム回数に至るまでに、AT(1)信号が複数検出される場合であっても、ARTゲームが一回発生したものとしてARTゲームの発生回数を計数する。
【0058】
「設定したゲーム回数に至るまで」は、例えば、投入信号の入力数にもとづいて判定することができる。
投入信号は、スロットマシン遊技が一回実行されるごとに投入メダル数に対応する数のパルス列が出力されるため、このパルス列の一塊をARTゲームの1ゲームとして設定することができる。このため、この一塊を単位とするパルス列を所定数(40回)計数することによって、ARTゲームの区間の終わりを特定することができる。
【0059】
このようにすると、仮に何らかの理由でAT(1)信号が一のARTゲーム中に複数出力された場合であっても、ホールコンピュータ10では、ARTゲームの発生回数を複数回計数せず、一回のARTゲームの区間として計数するため、ARTゲームの連チャン回数を正しく集計することができる。
また、ゲーム回数は、キーボード等、操作部15の操作によって任意に設定することができ、設定されたゲーム回数は記憶部14に記憶されるため、機種等の違いによりゲーム数が異なる場合でも、設定回数を変更することで柔軟に対応することができる。
また、ARTゲームのゲーム回数の代わりに、特定小役の入賞回数を設定し、この入賞回数に基づいてARTゲームの区間に相当する区間として代替設定することもできる。
払出信号は、特定小役が一回入賞するごとに払出メダル数に対応する数のパルス列が出力されるため、このパルス列の一塊を特定小役の一回の入賞として設定することができる。このため、この一塊を単位とするパルス列を所定数(30回)計数することによって、ARTゲームの区間に相当する区間の終わりを特定することができる。
【0060】
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態に係る遊技装置について説明する。
本実施形態のホールコンピュータ10は、第二実施形態の変形実施形態であり、光センサー信号の代わりに、AT(1)信号を用いる点で第二実施形態と異なる。
構成及び基本的な動作については、第二実施形態と同様である。
【0061】
具体的には、図13に示すように、AT(1)信号及びAT(2)信号を、第一の状態信号及び第二の状態信号として入力することで、AT(1)信号及びAT(2)信号の内部処理信号に対し、制御部11が、遊技状態データ集計手段として動作するようにしている。
この場合、図13中の下段に示すようにAT(2)信号は分断されていないため、AT(2)信号のパルスの区間における差枚数に基づいて、ART中差枚数を求めることができる。
また、分断されていない一つのAT(2)信号の出力数に基づいてART回数を正しく計数することができる。
また、AT(1)信号のパルスの発生回数(4回)をARTゲームの発生回数として正しく求めることができる。
【0062】
なお、第三実施形態及び第四実施形態に係るホールコンピュータ10の構成は、第一実施形態と同様である。
また、第三実施形態及び第四実施形態の基本的な動作は、第一実施形態及び第二実施形態と共通する。
このため、共通する事項については、適宜、「光センサー信号」を「AT(1)信号」と読み替えることで、その詳細な説明を省略する。
【0063】
このように、本発明の第三実施形態及び第四実施形態に係る遊技装置によれば、光センサー-信号の代わりに、光センサー信号とは出力態様が異なるAT(1)信号を用いることでも、第一実施形態や第二実施形態と同様に、所定の遊技データ(ART中差枚数、ART回数、ARTゲームの発生回数)を正確に求めることができる。
【0064】
従来の遊技装置では、一つの遊技状態において複数の状態信号が同時に出力されることを想定していないことから(例えば、前述のBB信号とRB信号は同時に出力されない)、AT(1)信号とAT(2)信号とが同時に出力されるタイミングでは、予め定められたいずれか一の信号に基づいて遊技データを集計することになる。
例えば、同時に出力されるタイミングでAT(1)信号の処理を優先する場合、AT(2)信号の出力中にAT(1)信号が出力されると、AT(2)信号に基づく遊技データの集計が中断され、AT(1)信号による遊技データの集計に切り替えられることになる。
そうすると、AT(2)信号に基づいてART遊技状態におけるトータルの払出数を集計したいにもかかわらず、AT(1)信号の出力される間は、AT(1)信号等に基づいて払出数が集計されてしまい、AT(2)信号に基づいて払出数を集計できない事態が生じていた。
また、AT(2)信号の出力中にAT(1)信号が出力されると、AT(2)信号は連続して出力されているにもかかわらずAT(1)信号の出力によりAT(2)信号が分断されることから、AT(1)信号の出力停止によってAT(2)信号の出力が検知されると、新たなART遊技が開始されたものと認識され、一のART遊技状態が発生する回数(ART回数)を間違って計数してしまうという事態も生じていた。例えば、図14図15に示すように、「ART回数」は、実際にART遊技状態が発生した回数よりも多く計数される。
本発明は、このような従来の問題を解決するために提案されたものであり、通常状態よりも遊技者に有利な一の特別遊技状態中において、出力態様のそれぞれ異なる少なくとも二つの状態信号を同時に出力するタイミングを有する遊技機に関する遊技データを正確に集計することができる。
以上、本発明の遊技装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技装置は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0065】
例えば、前述の各実施形態では、遊技装置としてホールコンピュータ10を適用した例について説明したが、呼出ランプ3、台コンピュータ4、島コンピュータ5、遊技機に対応して設けられる表示機、遊技機の間に設置されTV等の表示手段を備える台間表示機等にも適用することもできる。
また、第一の状態信号と第二の状態信号が同時に出力する場合には、第一の状態信号に基づく遊技データの集計処理を優先する例について説明したが、第二の状態信号に基づく遊技データの集計処理を優先することもできる。
【0066】
また、第三実施形態において、AT(1)信号がARTゲーム中に複数出力されることがある遊技機への対応処理として、ゲーム回数によってARTゲームの区間を特定することについて説明したが、このような対応処理は、AT(1)信号に限らず、「AT初当り信号」、「AT(2)信号」、「光センサー信号」に対しても適用することができる。
例えば、第二の状態信号である「AT(2)信号」に適用した場合、ART遊技状態中に、何らかの理由でAT(2)信号の出力が一時的に中断・再開され、ART期間にAT(2)信号が複数出力されることになっても、一回のART回数として正しく求めることができる。
【0067】
また、ART機(スロットマシン1)を遊技データの集計対象として例示したが、通常状態よりも遊技者に有利な遊技状態を示す二つの状態信号が同時に出力されるタイミングを有するパチンコ機その他の遊技機についても集計対象として本発明を適用することができる。
また、スロットマシン1は、「AT初当り信号」や「AT(2)信号」を、AT遊技を制御するサブ制御部が、AT遊技の開始を検知したことを契機にオン出力する信号であってもよい。
【0068】
また、スロットマシン1は、特定小役の入賞数により特定される一のARTゲームの区間に亘りAT(1)信号をオン出力するようになっているが、所定の場合(例えば、ARTゲーム中にナビゲートされる停止ボタンの操作順序を誤った場合等)には、一のARTゲームの区間に複数出力されることも考えられ、この場合、ホールコンピュータ10では、ARTゲームの発生回数を誤って多く計数する問題が生ずる。
このため、スロットマシン1は、ゲーム回数でARTゲームの区間を特定し、この特定したARTゲームの区間においては、AT(1)信号を一回だけ出力するように制御することもできる。
【0069】
例えば、ARTゲームの区間を特定するためのゲーム回数を40回に設定した場合、スロットマシン1は、ゲームが40回行われるまでの間にAT(1)信号の出力が途中で中断されたときには、そのゲームが40回行われるまでは、再出力を許容しない。
ただし、この場合であっても、そのゲームが40回行われた後は、AT(1)信号の出力を許容するようにしている。
このようにすると、ARTゲームの区間においてはAT(1)信号が複数回出力されることがなくなるため、ホールコンピュータ10側では、特別な制御を行うことなく、AT(1)信号の出力回数に基づいて、ARTゲームの発生回数(連チャン回数)を正しく集計することができる。
【0070】
なお、このように、所定の状態中に状態信号を一回だけ出力する制御は、AT(1)信号以外の状態信号にも適用することができる。
また、上記スロットマシン1は、通常状態よりも遊技者に有利な一の特別遊技状態中に出力態様の異なる二つの状態信号が同時に出力されるタイミングを有する遊技機であることを前提としているが、二つの状態信号が同時に出力されないスロットマシン、パチンコ機その他の遊技機にも適用することができる。
すなわち、状態信号の種別や、状態信号が同時に出力されるか否かにかかわらず、所定の方法で特定した区間においては、状態信号を一回のみ出力させることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 スロットマシン(遊技機)
2 メダル貸出機
3 呼出ランプ
4 台コンピュータ
5 島コンピュータ
10 ホールコンピュータ(遊技装置)
11 制御部(状態信号データ収集手段、動作制御手段、遊技状態データ集計手段、特別遊技状態判定手段、ゲーム回数設定手段)
12 表示部
13 通信部
14 記憶部
15 操作部
S 遊技システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15