(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458317
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】自己消費のためにローカルに生成され、複数のユーザの1又は複数のコミュニティーに属する複数のユーザに分配される電気エネルギーを管理するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20190121BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20190121BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20190121BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20190121BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J3/38 160
H02J3/32
H02J13/00 311R
G06Q50/06
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-559343(P2014-559343)
(86)(22)【出願日】2013年3月1日
(65)【公表番号】特表2015-510386(P2015-510386A)
(43)【公表日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】IB2013051658
(87)【国際公開番号】WO2013128422
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2016年2月16日
(31)【優先権主張番号】TO2012A000181
(32)【優先日】2012年3月1日
(33)【優先権主張国】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511022203
【氏名又は名称】シズベル テクノロジー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ストリウリ、アレッサンドロ
【審査官】
猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−134673(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/001796(WO,A1)
【文献】
特開2003−324850(JP,A)
【文献】
特開2011−205871(JP,A)
【文献】
特開2007−330002(JP,A)
【文献】
特開平10−285825(JP,A)
【文献】
特開2000−004545(JP,A)
【文献】
特開2010−253816(JP,A)
【文献】
特開2011−167048(JP,A)
【文献】
特開2002−238153(JP,A)
【文献】
特開2002−124897(JP,A)
【文献】
特開2002−044870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00− 5/00
H02J 13/00
G06F 19/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザのコミュニティーに属するユーザへの電気エネルギーの供給を管理するための装置であって、
前記コミュニティーは、ローカルな電源から電気エネルギーを生成する少なくとも1つのシステムと、外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する少なくとも1つのシステムとを利用可能に有し、
前記複数のユーザの装置の各々は、一方向メーターを介して前記外部の配給者の送電線に接続され、
前記装置は、
前記ローカルな電源から前記ローカルな電源の送電線に電気エネルギーを送るためのメーターを介して前記外部の配給者の前記送電線に接続された前記ローカルな電源から電気エネルギーを生成する前記少なくとも1つのシステムからくる、前記外部の配給者の前記送電線に送られる前の電気エネルギーと、前記外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する前記少なくとも1つのシステムからくる電気エネルギーとを組み合わせる組み合わせ手段と、
前記ローカルな電源から前記ユーザに供給される電気エネルギーの部分を、複数のユーザの前記コミュニティーの複数の他のユーザに供給されるべき前記ローカルな電源からくる前記電気エネルギーの関数として調整する調整手段と、
を備え、
前記調整手段は、前記外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する前記少なくとも1つのシステムからよりも、前記ローカルな電源から電気エネルギーを生成する前記少なくとも1つのシステムから電気エネルギーを直接受け取ることを優先し、
ローカルな前記複数のユーザの少なくとも一人の瞬時使用が、割り当てられた電気エネルギーの部分を超える場合に、前記コミュニティーの1または複数の他のユーザに割り当てられた前記ローカルな電源によって生成された電気エネルギーの少なくとも1部の未使用の部分は、ローカルな前記複数のユーザの少なくとも一人に供給される
装置。
【請求項2】
前記ローカルな電源から電気エネルギーを生成する前記少なくとも1つのシステムが、要求された電気エネルギーの全てを前記ユーザに供給可能な場合には、前記調整手段が、前記外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する前記少なくとも1つのシステムから前記ローカルな複数のユーザの少なくとも一人への電気エネルギーの供給を遮断する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ローカルな電源から前記ユーザに供給されている電気エネルギーを測定する測定手段を備える請求項1に記載の装置。
【請求項4】
複数のユーザの前記コミュニティーに属する複数の他のユーザに関連する他の装置と通信する電子通信インターフェースを備える請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ローカルな電源から電気エネルギーを生成する前記少なくとも1つのシステムによって電気エネルギーの供給を管理するシステムと通信するインターフェースを備える請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ユーザに分配され、前記ローカルな電源からくる電気エネルギーの部分を調整する前記調整手段は、ユーザの前記コミュニティーに属する複数の他のユーザに供給され、前記ローカルな電源からくる電気エネルギーについての情報に基づいて、前記部分を決定し、
前記情報は、複数の他の装置と通信する前記電子通信インターフェースを介して及び/又は管理システムと通信する前記インターフェースを介して受信される請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ローカルな電源から電気エネルギーを生成する前記少なくとも1つのシステムからの電気エネルギーを運ぶライン上で一方向電力潮流制御するための素子を備え、
該素子は、前記ローカルな電源から電気エネルギーを生成する前記少なくとも1つのシステムからくる電気エネルギーが前記ライン上で運ばれることのみをできるようにする請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、電気サービスの前記外部の配給者のメーターに物理的に組み込まれ、
前記メーターは、スマートタイプである又は分配可能な電気エネルギーのみを測定するように構成されたメーターである請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
電気エネルギー充電システムに接続するための手段を備え、
前記接続する手段は、前記ローカルな電源から電気エネルギーを生成する前記少なくとも1つのシステムからくる電気エネルギー、及び/又は、前記外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する前記少なくとも1つのシステムからくる電気エネルギーを貯めることができるようにする請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
複数のユーザのコミュニティーへの電気エネルギーの供給を管理する方法であって、
前記コミュニティーは、ローカルな電源から電気エネルギーを生成する少なくとも1つのシステムと、外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する少なくとも1つのシステムとを利用可能に有し、
前記複数のユーザの各々は、一方向メーターを介して前記外部の配給者の送電線から電気エネルギーを供給され、
前記方法は、
複数のユーザの前記コミュニティーの各ユーザへの、前記ローカルな電源から前記ローカルな電源の送電線に電気エネルギーを送るためのメーターを介して前記外部の配給者の前記送電線に接続された前記ローカルな電源から電気エネルギーを生成する前記少なくとも1つのシステムからくる、前記外部の配給者の前記送電線に送られる前の電気エネルギーと、前記外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する前記少なくとも1つのシステムからくる電気エネルギーとの組み合わせの供給を決定する段階であって、前記電気エネルギーの組み合わせは各ユーザに対して決定できる、段階と、
前記外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する前記少なくとも1つのシステムからよりも、前記ローカルな電源から電気エネルギーを生成する前記少なくとも1つのシステムから電気エネルギーを直接受け取ることを優先するように、複数のユーザの前記コミュニティーの各ユーザについて、前記ローカルな電源からくる電気エネルギーの部分の前記供給を、複数のユーザの前記コミュニティーの複数の他のユーザに分配される前記ローカルな電源からくる前記電気エネルギーの関数として調整する段階であって、ローカルな前記複数のユーザの少なくとも一人の瞬時使用が、割り当てられた電気エネルギーの部分を超える場合に、前記コミュニティーの1または複数の他のユーザに割り当てられた前記ローカルな電源によって生成された電気エネルギーの少なくとも1部の未使用の部分は、前記ローカルな複数のユーザの少なくとも一人に供給される、前記調整する段階と
を備える方法。
【請求項11】
前記ローカルな電源からくる電気エネルギーの前記部分が、複数のユーザの前記コミュニティーの1又は複数のユーザについて固定されている請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ローカルな電源からくる電気エネルギーの前記部分が、前記ローカルな電源から複数のユーザの前記コミュニティーの複数の他のユーザへ分配されている前記電気エネルギーの関数として、複数のユーザの前記コミュニティーの1又は複数のユーザについて可変である請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ローカルな電源から前記ユーザへ供給される電気エネルギーの前記部分の前記調整は、前記ローカルな電源から電気エネルギーを生成する前記少なくとも1つのシステムが要求された電気エネルギーの全てを前記ユーザに供給可能である場合に、前記外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する前記少なくとも1つのシステムからの電気エネルギーの前記供給を遮断するように行う請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ローカルな電源から前記ユーザへ供給される電気エネルギーの前記部分の前記調整は、前記外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する前記少なくとも1つのシステムから購入した電気エネルギーの購入価格の関数、及び/又は、前記外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する前記少なくとも1つのシステムへ売られた電気エネルギーの販売価格の関数としても決定される請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ローカルな電源から電気エネルギーを生成する前記少なくとも1つのシステムからくる電気エネルギー、及び/又は、前記外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する前記少なくとも1つのシステムからくる電気エネルギーを貯めることができるように、電気エネルギー充電システムへの接続を制御する段階を備える請求項10に記載の方法。
【請求項16】
1又は複数の前記段階が、前記複数のユーザのレベルでの、集中化された方法で又は分散された方法で実行される請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
複数のユーザのコミュニティーに属する複数のユーザへの電気エネルギーの供給を管理するシステムであって、各ユーザについて、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置を備え、
前記コミュニティーは、ローカルな電源から電気エネルギーを生成する少なくとも1つのシステムと、外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する少なくとも1つのシステムとを利用可能に有する
電気エネルギーの供給を管理するシステム。
【請求項18】
請求項10から16のいずれか一項に記載の方法の1又は複数の前記段階を実行する集中化されたコントローラを更に備える請求項17に記載の電気エネルギーの供給を管理するシステム。
【請求項19】
コンピュータ上で実行されたときに、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法を実行するプログラム符号化手段を備えるコンピュータプログラム。
【請求項20】
記録されたプログラムを備えるコンピュータ可読手段であって、
前記コンピュータ可読手段は、前記プログラムがコンピュータ上で実行されたときに、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法を実行するプログラム符号化手段を備えるコンピュータ可読手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギー分配システムの分野に関し、より具体的には、自己消費のためにローカルに生成され、1又は複数のユーザコミュニティーに属する複数のユーザに分配される電気エネルギーを管理するための方法及び装置に関する。
【0002】
発明の範囲は、その最終的なユーザにもなりうる対象者によってローカルに生成可能な電気エネルギーの管理に関する。
【0003】
この種類のエネルギー生成は、典型的には、例えば太陽放射、風、又はバイオマス燃焼のような、いわゆる再生可能なエネルギー源を利用する。
【0004】
発明は、分配された電力生成シナリオの全ての典型的な状況に利用可能であり、しかし、好適な応用では、通常は生成場所の近くに住む潜在的なユーザのコミュニティーに属するシステムを用いて、再生可能なエネルギー源(以下、FER(イタリア語でFonti Energia Rinnovabile)、即ちFER再生可能エネルギー源と称され、これは、以下でいかなる限定する意図もなく参照される)から生成されたエネルギーの管理に関係する。
【背景技術】
【0005】
プライベートFERシステムと個人用のFERシステムは、多くの場合、太陽エネルギーを変換するシステムであり、近年、太陽光発電システムは主に2つの要因でかなりの進歩を遂げてきた。その2つの要因は、そのようなシステムに投資することが先進国に住む人々にとって有利になるようにするとても強いインセンティブと、そのようなシステムの購入に生じるコストの著しい低減である。
【0006】
従来技術のシステム設計では、個人用太陽光発電システムから得られる産物は、自己消費に向けられて、例えば、生成されたエネルギーは、電力分配システムに送られることなく、システムオーナーによって直接消費され、あるいは、それは双方向のメーターを介してパブリックネットワークに送られることがある。
【0007】
このため、一般的には、FERで生成されたエネルギーは、最初に、生成システムの下流に備えられたメーターで測定される。
その後、2つの部分に分けられ、一方の部分は、ローカルで消費され、他方の部分は、ネットワークに送られる。
そのため、各システムによって、ネットワーク、大抵パブリックネットワークに送られたエネルギーを測定するために、追加のメーターが必要である。
【0008】
そのようなシステムの1つのとても重要な特徴は、発電が地域にわたって拡散、散在されているということである。
至る所に小さな又はとても小さなシステムがあり、その重要な部分は個人の家に関連づけられている。
もはやごくわずかの大きな発電所ではなく、たくさんの小さな生成施設で行われる電気エネルギー生成のこの新たな特徴は、確実に、国の電気システムのインフラ全般へのとても強いインパクトを有する。
概して、大きな発電所とは対照的に、小さな分散型のエネルギー源の数の増加傾向は、FERの数の増加によって進められるが、理論的にはFERの数のみには限定されない。
FERのものと太陽光発電システムの場合の例を参照するが、本発明の範囲は、実際には、例えば、風、バイオマス、化石燃料等を用いる電力生成システムのようなローカルで分散された方法で電気エネルギーを生成するいかなるシステムにも及ぶ。
【0009】
そのため、以下の説明は、通常は包括的なローカルエネルギーソースFLE(イタリア語でFonti Locali di Energia)を参照する。
【0010】
そのため、従来技術では、ローカル発電システムFLE又はFERを含むレイアウトは、交流として利用可能にされた生成エネルギーが、合計発電量を測定する機能を実行するメーターを介して、最初に測定されることを必要とする。
続いて、エネルギーは、ローカルユーザーに消費されるか、又は、ローカルのエネルギー配給者のネットワークに送られてエネルギー配給者に売られる。
ローカルに生成された余剰エネルギーがローカルな配給者に売られるケースだけではないので、ローカルな配給者とのエネルギー交換は、概して双方向の交換であることは明確である。
実際、ローカルに生成されたエネルギーがローカルユーザーの要求を満たすには不足しているので、ローカルユーザーがローカルな配給者からエネルギーを買う必要がある場合がある。
従来技術では、そのような場合には、ローカルシステムと配給者の間のメーターが、概して双方向のメーターである。
【0011】
例えば共同所有のシステムのようなより複雑な自己消費の要件について、又はより一般的にはユーザのコミュニティーに関する要件について、たくさんの問題が生じ、それは、独身ユーザの自己消費の制御管理を提供する問題を含む。独身ユーザは、ネットワークから受け取った電力を測定するそれ自身のメーターによってそれぞれ、すべて個別にネットワークに接続され、独身ユーザは、ローカル発電が不足しネットワークからエネルギーを受け取ることを許可されるべきであるため、ネットワークに接続されたままにする必要がある。
【0012】
多くの共同所有のシステム又は概してコミュニティーシステムは、既に取り付けられ、存在し、運転可能である。
例えば、適切なサイズの太陽光発電システムを作成するために、複数の対象者が組織化され投資する場合がある。
このような共同の投資は、規模の経済から、及びいくつかの場合には、共通領域(例えば共同所有の建物の屋根)の使用から恩恵を受けるようにできる。
【0013】
この種の典型的な共同システムでは、システムが(通常は必須ではないが個々のユーザも接続される)配給者のネットワークに接続される。
この配給者は、システムで生成されたエネルギーを取り入れ、必要なエネルギーを複数の独身のユーザに供給する仕事を引き受ける。
生成されたエネルギーと消費されたエネルギーの間のバランスは、オフラインで実施され、このため、外部の分配システムを通ることなく、生成システムで利用可能なようにされて即時に使用されるエネルギーの自己消費は実際にはない。
【0014】
最もありふれた従来技術は、この問題にとても過度に単純化した解決策を提供する。それは、場合によっては、(通常共同所有おいて)一人の独身ユーザにのみ限定される極端に低い局在性の自己消費によって、電気エネルギー生成のほとんどの部分を受け入れるために、ローカルな配給者の存在を利用する。
この種の管理は、一人の独身ユーザを有することによって特徴付けられた個人用システムのために意図された同じレイアウトを同様にコミュニティーシステムにも適用することを可能にする。
【0015】
従来技術は、エネルギーを受け入れることができ、接続されたユーザに供給できる1又は複数の配給者が依然として存在し、複数のユーザについてローカルな自己消費を最大化させる解決策を提案していない。
【0016】
電気ネットワークを、エネルギー移動が最小化されるますます経済的なシステムにし、消費施設をより自発的にする観点で、局所的にされた自己消費が、追求されるべき目標であることは明らかである。
事実、エネルギーが生成されてすぐにその場で消費されうる場合、移動、管理及び充電コストの観点で節約が達成される。
【0017】
このため、解決される必要がある問題としては、ローカルに生成されたエネルギーがエネルギー配給者のネットワークに送られる前に、コミュニティーに属する複数の別個の独身ユーザが、そのようなエネルギーを直接消費することを可能にすることである。
しかし、ローカルな発電が無い又は不足しているときはいつでも、このような独身のユーザは、彼らのエネルギー要求量を満たすことが可能なエネルギー配給者に、独立したメーターにより接続されるべきである。
【0018】
より一般的には、解決される必要がある問題としては、包括的な配給者に(又は複数の異なる配給者にさえも)接続された複数のユーザが、ローカルに生成されたエネルギーの調節された電力消費管理について一緒に参加し、このような調節は、直接消費及び関連した測定を含む。
【0019】
概して、コミュニティーのユーザがエネルギー生成コストに異なって貢献しうるので、複数のユーザがそれらのエネルギーの割り当てに参加するときに、利用可能なエネルギーが各ユーザの権利に従って分割されるべきであるため、ローカルに生成されて自己消費されるエネルギーの割り当ては、十分に柔軟に処理されるべきである。
【0020】
最後に、解決策は、コミュニティーが電気エネルギーの生成と自己消費に参加する複数のユーザを含む(場合によって除外する)可能性を提供することが重要である。
概して、特に限定せずにコミュニティーが変更され拡大されることができることが重要であり、このため、解決策が、装置に関する限りは、全ての新たなユーザに対する1つの装置の追加の取り付けに基づいていることや、システムの全体のレイアウトがスカラー(scalar)で、容易にアップグレード可能であることが有用である。
【0021】
特許特開2003−134672号公報には、ユーザのグループによってローカルに生成された電気エネルギーを管理するシステムが記載されている。
システムは、電力購入のために電力会社とそれぞれ契約した複数のユーザが、エネルギー生成太陽光発電施設を共同で所有することを可能にし、これにより、複数のグループユーザに割り当てられた固定の分け前に従って生成電力を使用でき、又は、いかなる余剰電気エネルギーも電力会社に売ることができる。
このシステムは、ローカルな電源によって利用可能にされたエネルギーについて、グループの各ユーザの権利に比例する固定されて公平な分配を確保することを目的とする。
任意のユーザの太陽光発電電力システムが電気エネルギーの余剰分まで生成した場合には、それは電力会社に売られる。
ユーザ間でのローカルに生成された電気エネルギーの固定された分配を前提とすると、ユーザがさらにエネルギーを必要とするときには、彼/彼女はそれをネットワークから購入する必要がある。このため、余剰エネルギーが1以上のユーザによって生成され、電力会社へ売られ、さらにエネルギーを必要とするユーザにネットワークからエネルギーが戻り、電力会社のネットワークへの及び電力会社のネットワークからの無駄な2重の移動を生成し、これが、より高いコストとライン損失をもたらす。
このため、この特許で記載されたシステムは、ローカルな消費の最適化及びエネルギー節約に関する上記問題を解決しない。
【発明の概要】
【0022】
このため、本発明の目的は、自己消費のためにローカルに生成され、ユーザの1又は複数のコミュニティーに属する複数のユーザに分配される電気エネルギーを管理するための方法及び装置を提供することであり、これらは、上記の問題を克服するために構成される。
【0023】
本発明の目的は、ユーザのコミュニティーへの電気エネルギーの供給を管理する方法を提供することであり、コミュニティーは、ローカルな電源から電気エネルギーを生成するための少なくとも1つのシステムと、外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給するための少なくとも1つのシステムとを利用可能に備え、当該方法は、ローカルな電源から電気エネルギーを生成する少なくとも1つのシステムからくる電気エネルギーと、外部の配給者によって管理されたエネルギーを供給する少なくとも1つのシステムからくる電気エネルギーとの組み合わせの、複数のユーザのコミュニティーの各ユーザへの供給を決定する段階であって、電気エネルギーの組み合わせは各ユーザに特有である、段階と外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する少なくとも1つのシステムについて、ローカルな電源からエネルギーを生成するシステムから、電気エネルギーを直接受け取ることを優先するように、複数のユーザのコミュニティーの各ユーザについて、ローカルな電源からくる電気エネルギーの部分の供給を、複数のユーザのコミュニティーの他のユーザに分配されるローカルな電源からくる電気エネルギーの関数として調整する段階とを含む。
【0024】
本発明の更なる目的は、複数のユーザのコミュニティーに属するユーザへの電気エネルギーの供給を管理するための装置を提供することであり、コミュニティーは、ローカルな電源から電気エネルギーを生成する少なくとも1つのシステムと、外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する少なくとも1つのシステムとを利用可能に有し、当該装置は、ローカルな電源から電気エネルギーを生成する少なくとも1つのシステムからくる電気エネルギーと、外部の配給者によって管理されたエネルギーを供給する少なくとも1つのシステムからくる電気エネルギーとを組み合わせる組み合わせ手段と、ユーザに供給されるローカルな電源からくる電気エネルギーの部分を、複数のユーザのコミュニティーの他のユーザに分配されるローカルな電源からくる電気エネルギーの関数として調整する手段と、を備え、調整手段は、外部の配給者によって管理された電気エネルギーを供給する少なくとも1つのシステムに対して、ローカルな電源からエネルギーを生成する少なくとも1つのシステムから、電気エネルギーを直接受け取ることを優先するように構成される。
【0025】
本発明の特定の目的は、本記載の不可欠の部分である添付されたクレームで提示されているように、自己消費のためにローカルに生成され、複数のユーザの1又は複数のコミュニティーに属する複数のユーザに分配される電気エネルギーを管理する方法及び装置を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明のさらなる目的と利点は、好ましい実施形態(及びその変形例)の以下の詳細な説明と添付の図面とから明らかになる。これらは、限定しない例によって供給されるのみである。
【
図1】従来技術に従ったFLEを含むレイアウトを示す。
【
図2】複数のユーザによる直接の自己消費の管理を行う、発明のFLEを含むレイアウトを示す。
【
図3】発明を実施するために、各ユーザに備えられる必要がある装置の必須要素を示す。
【
図4】
図3に概略的に示された装置のさらに好ましい機構のいくつかを示す。
【0027】
図において、矢印は、電力潮流の方向を示し、一方、データ伝送は全ての電気接続ライン上で双方向に生じることが可能である。
図において、同じ参照符号と文字は、同じ要素又は素子を特定する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、符号100で指定された、ローカル電力生成FLEのためのシステムを挿入したレイアウトを示す。
この従来技術のレイアウトは、エネルギーがFLEオーナーによって自己消費されるか、又は、ローカルエネルギーサービス配給者によって管理されたネットワークへ送られることを可能にし、以下、DLSE(イタリア語で、Distributore Locale di Servizi Energetici)として参照され、図において、当該DLSEのネットワークは、符号110で指定される。
図1のレイアウトは、2つのメーターを必要とするのみであり、メーター200は、FLE100によって生成された全エネルギーを測定し、メーター210は、単一の相互接続点でのDLSEとのエネルギー交換を測定する。
【0029】
このため、一般的なブロック100は様々な特質のFLEであってよく、この詳細な説明は、本発明の目的にとって必要ではない。
全体として、FLE100は、電気エネルギーが、公共の電力配給ネットワークと互換性がある形態で、例えば、交流電流(このため、必要であれば、FLEはDC/AC変換のインバータステージを組み込んでよいことが想定される)として、利用可能である出力接続を提供する。
【0030】
図から分かるように、生成され、FLEの下流に配置されたメーター200によって測定されたエネルギーは、配給者のネットワークに送られる前に、個人のユーザUPへ運ばれることができる。
【0031】
上記したように、メーター210は双方向性であり、このため、ローカル発電が不足している場合にユーザによって配給者に要求されたエネルギー(購入されたエネルギー)と同様に、ネットワークに送られる生成され未使用のエネルギー(売られたエネルギー)も測定できる。
事実、FER発電システムを有するユーザがエネルギーの観点から完全に自給自足ではなく、彼/彼女自身のシステムでエネルギー生成が不足しているか又は全く生成していない時にエネルギーを必要とすることは、しばしば生じ、この可能性は、考慮に入れられるべきである。
【0032】
太陽放射と風はエネルギー要求量に応じて自由自在に活発化できるものではないので、太陽光又は風エネルギー変換システムは、この点で代表的なものであり、このため、パブリックネットワークから、ユーザがエネルギーを受け取る必要が生じる可能性があり、エネルギーがそのとき適切に測定されるべきである。
これが、さらに、DLSEとの関係が双方向のメーターによってサポートされるべき理由である。
図2は、発明に従ったFLE100の管理の基本的な図を示す。
この場合、FLE100は、ユーザUP1のコミュニティーに属する。
UPNは、DLSE110のネットワークに送られる前にそれによって生成されたエネルギーを消費できる。
【0033】
提案された解決策は、
図2のレイアウトに示されるように、
図1の典型的なレイアウトから、多くの新たな装置300が加えられたもの(取り付けられる必要があるもの)になり、当該新たな装置300は、1つずつが各ユーザに対応する。加えて、共有ユーザUCは、ユーザのグループによって共有された複数の装置、例えば、共同所有の建物については、階段照明、エレベーター、共通の暖房システム等に電力を供給することができる。本発明の構成内で、「共同所有」という言葉は、ビルディング又は家を共同で所有するユーザに限定されると理解されるべきものではなく、より一般的な意味では、グループに属し、どのような権限によっても、FLEによって生成されたエネルギーを利用する権利を有するいかなるユーザについて参照される。
【0034】
複数の装置300を設置する時に実際に採用されるべき十分な解決策としては、配給者に接続されるために、各ユーザに必要とされるメーター220の近くにそれらを取り付けることである。
新たな装置300の機能は、短期間及び中期間で広がることが期待されているいわゆるスマートメーターに、それらが将来一体化され、これにより新たなタイプのスマートメーターの機能性特徴になるように標準化されてよい。
【0035】
図2は、複数のメーター220を示し、それらは、エネルギー消費を測定してレートや他の契約条件(タイムスロット、電力制限等)を設定する目的で各ユーザにDLSEによって典型的に設置されたメーターのような従来のメーターである。
それらは、従来のメーター(すなわち、電気機械式メーター)又は最新世代のメーター(例えばスマートメーター)のいずれかであってよい。
それらは、各共有ユーザUPNのN個のメーターであり、通常の一方向メーターであり、例えば、それらは、すべての単身のユーザの消費量を測定するのみである。
【0036】
図2は全体として、FLEを有するコミュニティーの構成の1例を示す。
上記のように、このレイアウトは、従来技術のレイアウトの進化を表し、このため、少なくとも1つの双方向のメーター210を含み、当該双方向のメーターは、ローカルエネルギー配給者DLSEのネットワーク、又はより一般的には、コミュニティーの外部にあって、それと電気エネルギーの交換が可能な対象のネットワークに、生成されたがコミュニティーで自己消費されないエネルギーを送ることができる位置に取り付けられる。
【0037】
単身のユーザのメーターと独立した双方向のメーター210の存在によって、コミュニティーシステムへ接続されている単身ユーザが複数であろうと単数であろうと、多様な配給者との関係上いかなる動作も要求しないで、コミュニティーへの又はコミュニティーからの単身ユーザの参加と除外を促進する。
【0038】
このレイアウトは、複数の単身ユーザが装置300を介してローカルな発電からエネルギーを受け取ることも可能である方法を強調する。
ユーザ毎に(共同所有の各ユーザについて、一般的には、ローカル発電に参加しているコミュニティーの各ユーザについて少なくとも1つの)装置があり、装置は、
図1において例示されたような既知のシステムレイアウトに加えられる必要がある装置のみとなるために想到された革新的なものである。
【0039】
上記のような装置300は、革新的装置であり、典型的には、以下の機能を実行する。
十分に利用可能なローカルエネルギーがある場合には、装置は、ネットワークからの供給を遮断する。
装置は、場合によっては、配給者DLSEのネットワークから供給されたエネルギーを、必要な場合にはFLEによって提供されたローカル発電から受け取ったエネルギーと組み合わせて、各ユーザに必要な瞬時電力を提供する。
装置は、ローカル発電から受け取ったエネルギーを測定し、場合によっては、ローカルに生成されたエネルギーの競合を処理するために、他のユーザの装置と通信する。
【0040】
注目すべきは、全体的なシナリオにおいて、1のオペレータのみに接続されるべきエネルギー生成システムFLEという点では制限はなく、理論上は、事実、それは複数の配給者に接続されてよく、コミュニティーは、そのエネルギーを複数の異なる相手と交換してよい。
この後者の選択肢は、相手が通常の公共の配給者である場合には非常に有用となり、他の対象は、それらの仲間とエネルギーを交換できる複数の隣接するコミュニティーである。
【0041】
図3は、革新的装置300の1つを示し、その主要な構成要素を強調する。
【0042】
従来のメーター220に関連し、同じく各ユーザに関連する送電線110は、今は一般的なように、その特定のユーザの住宅のネットワークと直接には接続されず、代わりに、革新的装置300を介してユーザに接続される。当該革新的装置は、少なくとも、ネットワーク電力とローカルに発電された電力の両方がユーザに供給されるようにするコンバイナ310と、FLEによってローカルに生成され、ユーザに供給される(この消費量は内部の共有管理目的で測定される)エネルギーの部分を測定するように構成された「スマート」メーター320と、ローカル発電システムから来ないエネルギーが双方向のメーター210の方に流れることを防止し、ローカルな電源(100)から電気エネルギーを生成する少なくとも1つのシステムから来る電気エネルギーが、装置(300)が関連付けられたユーザの方向にのみ流れるようにする、ダイオード記号で表された要素330とを備える。
【0043】
ユーザの瞬時の要求が内部発電で満たされる場合には、コンバイナ310は、ネットワークからの供給をオフにし、このため、内部発電の最大限の利用を確保する。それはまた、外部のパブリックネットワークからの供給を、ユーザの要求を完全に満たすのに必要なエネルギーに制限してよい。
【0044】
スマートメーター320は、単純な計測タスク以上のことを行う機能も実行する。事実、コミュニティーが、できる限り多くのエネルギーを自己消費することは概して有意義であり、単身ユーザが、ローカルに生成されたエネルギーを消費することは、(その同等のもののコストがより低いため)概して有意義である。
【0045】
当然、ローカルな生成が全ての共有者の要求を満たすには不足している場合、内部生成から利用可能であるエネルギーについての潜在的な競争がある。このエネルギーは、予め合意された管理基準又は方針に従って単身ユーザの間で分割されるべきである。例えば、幾人かの共同所有者がFLEの取り付けにより貢献した場合には、彼らは、利用可能なエネルギーが、彼らのより大きな貢献に比例して考慮され、分割されることを期待する権利を有してよい。
【0046】
基準、より一般的には、コミュニティーに属する複数のユーザ間でローカルに生成されたエネルギーを分配するために採用された方針は、様々な方法で定義可能であり、複数の異なるユーザの複数の装置300の間で、異なるレベルの通信を必要としてよい。これは、他のユーザの消費を考慮せずに(結果他の装置300と通信する必要がなく)、各ユーザに適用される固定された制限に従ってローカルに生成されたエネルギーを受動的に分配するように制限する、装置300が全く通信しないという極端なケースから、ユーザのコミュニティーについて定義されたエネルギー分配基準を実行するのに必要な情報を交換する、装置300が互いに通信するケースまで、多岐にわたる。
【0047】
特に単純なケースでは、全ユーザが、コミュニティーのFLEでローカルに生成された瞬時電力P
FLE(t)を等分される権利を有することが想定される。
このため、N人のユーザの各一人ずつが、公称電力P
FLE(t)/Nを得る権利がある。
【0048】
ユーザU
iが公称値より小さい電力を取り入れる間、優先権が自己消費に与えられる場合、各装置300(D
i)は、利用可能であればFLEからの全てのエネルギーを受け取ることによって要求されたエネルギーを供給するように自身を制限する。
【0049】
図3又は4の分岐100−310上に、公称値と等しい瞬時値を有する譲渡可能な電力の動的リミッターがあってよく、これにより、各ユーザがローカルに生成された電力のそのような量を消費することのみ許可される。
ユーザのコミュニティーのFLEから利用可能な合計の瞬時電力値P
FLE(t)は、一方向メーター200によって、例えば、同じ送電線を介して又は専用データラインを介して装置300に通信される。
装置300は、この合計の値から、各ユーザについての全ての及び利用可能であるのと同じ閾値、P
FLE(t)/N、を容易に取得できる。
【0050】
ユーザに割り当てられる最大電力の部分P
FLE(t)/Nが、ユーザのエネルギー要求量を満たすには不十分である場合には、コンバイナ310は、DLSEネットワーク110から取り入れることによって、その部分に不足分を追加する。
【0051】
このため、装置300は、適切なモニタリング頻度で、そのユーザの瞬時電力消費と、FLE100から利用可能な瞬時電力P
FLE(t)を監視でき、コンバイナ310を制御して、全ての利用可能エネルギーの利用の基準に準拠し、後者の瞬時電力要件に従って、関連のユーザの電力継続性を確保する。
【0052】
もちろん、スマートメーター320は、ローカルシステム100から来て、その各ユーザに供給されるエネルギーを測定でき、そのため、コミュニティーの単身ユーザによって実際に自己消費されたエネルギーの部分を最後に集計可能にする。
単身ユーザの消費の合計を超えるFLEによって生成されたいかなる瞬時電力量も、その値を測定する双方向のメーター210を介して、DLSEネットワーク110へ売られることができる。
【0053】
より複雑なケースでは、平等の原理に基づいてはいるがローカル発電からの直接の供給を優先することによって、公称部分P
FLE(t)/Nを超えるローカルユーザーによって要求されたいかなる電力使用の残りも満たされることができるということに従った共有エネルギー管理基準を考慮に入れ、これにより、他の共有ユーザにそれらの瞬時電力要求を満たすべくネットワーク110から電力を取ることをさせることなく、DLSEに売られた損失量にまでエネルギーの自己消費を最大化できる。
【0054】
予め説明したケースとは異なり、このシナリオでは、他のユーザによって使用された瞬時電力を知り、FLE110から取得可能な最大電力値を計算することができるようにするために、装置300はまた、他のユーザの電力使用を監視し、一方同時に、エネルギー管理基準によって課された条件を監視する。ユーザが過度に電力を使用しているときに、FLEによって生成されたローカルな瞬時電力が合計の共有者の要求量未満であれば、他のユーザがそれらの要求を満たすためにネットワーク110からエネルギーをとる必要がない。
【0055】
この条件が満たされた場合、装置300は、ローカルな電源FLE100によって瞬間的に生成された余剰エネルギーの全てをそのユーザに供給し、コンバイナ310は、ネットワーク110から、ユーザによって必要とされうる任意の残りの電力部分を受け取る。
【0056】
他のユーザにネットワーク110からのそれらのエネルギー要求量の部分を満たすようにさせることなく、余剰消費量の部分のみがFLEから受け取り可能な場合には、装置300は、FLEからの電力の供給を、その制限を超えることない範囲で許可される最大値にまで制限し、通常、コンバイナ310は、DLSEのネットワーク110から損失電力を受け取ることによって、残りの要求量の埋め合わせをする。
【0057】
他の共有ユーザのエネルギー消費に関連し、他の装置300で測定されたデータは、全ての装置300の入力によって共有された同じ送電線上で又は専用データラインを介して運ばれた波を用いて、送信されることができる。
【0058】
ユーザの要求量が公称電力値を超える場合、ローカルな発電の減少及び/又は複数の共有ユーザの合計使用の増大のために、ローカルなエネルギー発電が使用の超過分をまかなうことができないことが生じうる。
そのような場合、FLE100から使用した電力に対して、超過前に採用された公称値に制限することによって、及び、コンバイナ310を介してネットワーク110からユーザの要求量を満たすために必要な残り部分を受け取ることによって、装置300は、新たな状況に自身を適用させる。
【0059】
1又は複数の特権ユーザが、それらに特に予約された分配基準に従ってFLEの全てのエネルギーをそれら自身に確保することができ、その特権グループの全消費量に加えて、FLEの任意の過剰な発電のみが、残りのユーザに予約された他の分配基準に従って分配可能であり、当該残りのユーザは、このため、特権ユーザの合計消費量を超える余剰分がある場合のみ、ローカルに生成されたエネルギーを利用する権利を有するユーザの第2の非特権グループに属するということが考えられる。
【0060】
他のシナリオにおいて、複数のユーザが、ローカルエネルギー源110から来るエネルギーを使用する多様な権利を有するということが生じてよく、たとえば、これは、彼らが後者の設置に異なる貢献(割り当てq
iと呼ぶ)を提供したためである。
【0061】
例としては、N=3の共有ユーザU
1,U
2及びU
3がおり、U
1がFLEで生成されたエネルギーの50%を使用する権利があり、U
2が30%を使用でき、U
3が20%を使用できる場合の例がある。
【0062】
このため、FLEエネルギーが、それぞれ、q
1=0.5,q
2=0.3及びq
3=0.2に分けられる。
【0063】
均等に分割されるケースについてすでに説明した同じエネルギー管理基準が適用されることができ、ただし、前のケースで全ての3人のユーザについて同じであった公称電力P
FEL(t)/3が、多様化された公称電力(U
1についてはq
1・.P
FEL(t)、U
2についてはq
2・.P
FEL(t)、及びU
3についてはq
3・.P
FEL(t))により変更される。
【0064】
この同様のシナリオでは、ユーザに割り当てられる公称電力が超える場合には、装置300が全ての損失エネルギーをネットワーク110からいつも受け取るということに従った固定の変化がない管理基準、又は、装置300が、DLSEのネットワークを用いる前に、共有ユーザの合計要求量を超えるFLEによって生成された利用可能な部分からのそのエネルギーを受け取るということに従ったより柔軟な基準のいずれかを適用できる。
【0065】
装置300によって強いられるユーザへのローカルエネルギーの供給の制限は、また、適切なスケジュールに従ってプログラム可能であってよい。
【0066】
いかなる場合も、装置D
i300は、エネルギーを要求する潜在的なユーザの数の関数として、(動的に又はプリセットされた基準に従って)ローカルに利用可能なエネルギーの分配を調節する。
概して、同じコミュニティーのユーザについて同一の又は多様化された基準を用いることによって、特に各ユーザについて、単一の装置300における電力源(ローカルな電源100及びDLSEのネットワーク110)からのエネルギー供給の方針を決定することが可能である。
それらは、装置設置時又は任意の操作上の必要性を満たすために操作が変更された時、例えば、ハウジングユニットの再分割又は統合、共同所有管理方針の変更等のためにユーザが追加又は減った時、規定されることもできる。
【0067】
分配装置300は、実施中のエネルギー基準に基づいて適切な決定を行い、結果的に、エネルギーの流れに影響するのと同様に、入力及び出力電力を測定できるように、空ではない(non−null)期間を必要とする。
さらに、装置300を構成する電子要素又は電気機械要素は、装置がその予定の挙動から逸れることができるようにする許容範囲を運用することによって影響される。
【0068】
これらの理由のため、複数の公称閾値電力値が計算のために用いられる場合、配給者300によって供給されるユーザの瞬時要求量に比べ、電気エネルギーの供給の突然の変更又は断絶さえありうる。
これを避けるために、例えばいくらかの安全なマージンを維持するために、ローカルな電源によって実際に生成された瞬時電力P
FEL(t)に基づかないで、より小さい、典型的には10%−20%小さい値P'
FEL(t)に基づいて、装置D
i300が自身の計算を行うようにすることが有利である。
【0069】
いかなる残りのFLE電力もネットワークに売られ、例えば、それが失われないため、エネルギーが消耗されない。
この方法では、ユーザへの電力供給の中断を生じさせないように、コンバイナ機構を操作することによって、使用の突然のピークが起きると装置300が瞬時に行動を起こすことができる。
【0070】
全てのユーザへの供給が中断されることができない状況、例えば、使用が契約条件に合う状態である限りは、例えばこの具体的なケースとして、最大許容電力の公称値以下であれば、電力供給システムが供給の継続性を確保すべきである状況が想定される。
【0071】
もちろん、エネルギー管理基準が、中断可能なユーザのケースに採用されてよく、当該ケースでは、いくらかの制限の内だけで及び特定の条件で、例えば、いつも又は、1日のうちの所定の時間及び/又は一週間のうちの所定の日数及び/又は所定のタイムスロット及び/又は所定の最大中断期間等で、電気供給の中断が容認されてよい。
そのような場合、各ユーザへエネルギーを供給するとき、また合計利用可能エネルギーと共同所有者エネルギー消費を考慮するとき、配給者300はその基準を考慮する。
【0072】
同じシステムにおいて中断可能なユーザと中断可能でないユーザが同時に存在する場合、異なる優先権グループを有するエネルギー管理基準が使用されることができ、FLEで生成された電力P
FEL(t)が、所定の分配基準に従って、第1の閾値P1まで、中断可能でないユーザグループに全て割り当てられ、一方、P1を超えるエネルギーは、閾値P2>P1まで、他のエネルギー分配基準に従って、中断可能なユーザのグループに割り当てられる。
【0073】
代わりとして、P
FEL(t)は、中断可能でないユーザグループの要求量にいつも向けられ、一方、当該要求量を超えるいかなる生成も、中断可能なユーザに割り当てられる。
【0074】
このため、複数の装置300に一体にされた複数のスマートメーター320が、互いに及び場合によっては(共同所有又はDLSEで提供されたもののいずれであっても)管理サーバとも通信でき、これによって、それらが、エネルギーフロー調整器として動的に動作できる。
【0075】
通信インターフェースを搭載している場合、装置300に組み込まれたスマートメーターは、このため、家庭内消費の「スマート」で協調的な管理のための住居ノードとして動作できる。
それらは、このため、複数の単身ユーザの電気機器(例えば、家電、照明装置、バッテリー充電器、空調システム等)と通信でき、これにより、スマートグリッドに特有である全ての管理消費技術を実行できる。
【0076】
図4は、いわゆるスマートグリッドのために用いる目的での一般的な装置300の機能を改善する概略図である。
特に、当該装置が、スマートグリッドに特有のより複雑な管理機能(例えば、電気機器をオン/オフする、電気機器と通信する、又はコスト情報及び利用可能な瞬時エネルギーに応じたその使用を調整する)を実行するのに必要なプロセッシング及びストレージ機能を有することができるということが強調される。
【0077】
公共のエネルギー配給者のメーター220と装置300との間の破線の接続は、後者は、エネルギーが、情報を交換可能にされたスマートメーターを用いて分配されるコンテキストと、供給されたエネルギーを測定するのみの単純なメーターを介して分配が慣例的に行われるコンテキストの両方に含まれることができることを示す。
【0078】
前のケースでは、スマートメーター220が存在し、装置300は、エネルギー管理基準の適用に有用な多様な性質のデータを交換でき、これらのデータは、ネットワーク110の状態についての情報(全体的な消費ピーク、適用されたレート)、消費履歴、ネットワーク110から受け取った瞬時電力、及び共有システムについての情報(FLEからユーザが受け取った電力)を含み、又は、装置300が上記のスマートグリッド機能を含む場合には住宅のユーザ装置の状態さえ含むことができる。
図4に示されるように、これらのデータ交換は、専用の接続ラインBDを介して、又は装置D
i300とメーター200との間の送電線を用いて生じてよい。
【0079】
上記のような装置300を含むことによって提供された複数の利点の間には、スマートグリッド基準を用いて、そのような機能をまだ採用していない、そのため進化したスマートメーターを用いていない配給者によってエネルギーが供給される状況も管理する場合がある。
【0080】
さらに、装置300はメーター220(スマートメーター又は従来のメーターのいずれの場合も)とは別個に形成可能であるので、異なるDLSEの会員である複数のユーザ間での消費量調整基準の利用が促進される。
【0081】
概して、そのタスクを実行するために、装置300は、ローカルメモリに格納されたデータを基に動作する(例えばマイクロプロセッサ又はワイヤードロジックを有する)データ処理ユニットを必要とし、当該ローカルメモリは、制御マイクロプログラム、及び所望のエネルギー配給基準を実行するために要求されたデータを含む。
データ処理ユニットが他の装置300と及び/又は共有管理サーバと情報を交換できるようにすべく、複数のデータ通信インターフェースも含まれてよい。
【0082】
任意に、外部ユニット(例えばPC、パーソナルデジタルアシスタント等)のための直接通信インターフェースもあってよく、それを介して、オペレータが、ソフトウェア更新、診断テスト、データ交換等のような種々の動作を実行するために、装置300とデータを交換できる。
これらの後者の動作は、集中化された方法で装置300を管理するように構成された共有サーバ(不図示)によって実行されてもよい。
【0083】
原則として、装置300は、限定された範囲で説明された分配制御の代わりに、集中化された電力分配制御を使用しうる。
この代替的なアプローチで、システムの全ての決定、及び結果的にその情報は、単一の中央サーバに集中化され、当該中央サーバは、装置300に接続されたデータバスを介して電力潮流についての情報を継続的に受信し、適用可能なエネルギー管理基準を基に適切な決定を行い、電力潮流メーター及びレギュレータとして動作する複数の装置へ、複数の適切な電力潮流調整コマンドを送信する。
【0084】
これによって、装置の構造及び動作を複雑にしない単純化された動作ロジックを搭載したより単純でより安価な装置300を用いることができ、これは、それらがそれらに直接接続されたユーザ装置を制御及び管理することができるように、スマートグリッドタイプの住居用制御機能を備える場合に特に望ましい。
【0085】
なお、共有サーバは、有利には
図2のノードAに接続され、専用通信線を必要としないで運ばれた波を用いて全ての装置300と通信するために同じ送電線を使用でき、それは、しかし、代替の又は追加の測定として用いられてよい。
【0086】
この説明は、エネルギー移送と結果として生じる損失及び管理非効率性を最小化するために、自己消費を最大化する有利な条件を強調した。
そのような目的に適した、装置300の及びネットワークの残りの部分の実行と動作のいくつかの例は、本明細書で説明された。
このような例は、絶対的又は制限する意味で理解されるべきでなく、装置300及び全体の共有エネルギー分配ネットワークは異なる一般的基準に従って管理されてもよい。
例えば、再生可能なエネルギーソースのための特別な政府のインセンティブ、関税規制又はエネルギーマーケット力学によって、所定の期間又はタイムスロットにおいて、自己消費の代わりにネットワークへFLEによって生成されたエネルギーのほとんどを売ることが有利であり、なぜなら、よりエコに適合するので、DLSEのネットワークからの(非再生)エネルギーの購入価格が、ローカルに生成されたエネルギーの販売額より低いためである。
このため、一般的には、ローカルな配給者が電気エネルギーを売る及び/又は買う価格に依存する入力ソースによって供給されたエネルギーを、装置が分配する方法を変更することができる。
【0087】
より一般的には、装置300及び/又は共有の集中化されたサーバが、例えば、システムから達成できる利益を最大化する、及びシステムの運転コストを最小化する等のような、自己消費最大化基準とさえ一致しない任意の電力潮流管理基準を機能させることができる。
変形例の組が、2以上の外部の供給業者がある場合のために想到されることができる。
【0088】
多分さらなる発達をする一例としては、ほんの一例とは対照的に、複数の公共の配給者からのエネルギーを受け取ることが可能な場合である。
この場合、装置300は、各メーター220を介してそのような異なる電力配給者に調節可能に接続され、他の配給者からの電力潮流を中断しながら、任意の所定の時点に、最低の価格でエネルギーを売っている配給者からエネルギーを受け取る。
単一の配給者に公称設置された電力P
Nの供給の固定されたコストが、P
N以上の合計設置電力を作り出す2つのエネルギー配給者からの2つのより小さな供給のコストよりも高いため、複数の配給者を有することが有利であってもよい。
また、これが、異なる配給者へ生成されたエネルギーを売ることによってローカルな電源から達成できる利益を最大化することを可能にする。異なる配給者は、一日の異なる時間に及び/又は一年の異なる期間にエネルギーを異なる価格で購入する。
【0089】
本発明の変形例をもたらすさらなる場合としては、複数のユーザのコミュニティーが、おそらく異なる優先権で、自身のFLEからだけでなく、隣接するコミュニティーのFLEからもエネルギーを受け取ることができる場合がある。そのような場合は、ローカルに生成されてDLSEに売られるエネルギーの更なる低減を決定する。一般的な装置300はまた、ストレージシステム又は電気自動車の再充電を自身の負荷として処理してよく、後者は、別個の又は部分的に別個のインフラを介して再充電されるべきである。
【0090】
要するに、本明細書に記載された装置300は、(一般的には配給者から来るエネルギーを用いる)個人の消費で特徴づけられる現在の状態から、調整された消費を有し、合理的なFERの利用を介したエネルギー自己充足の程度を増大する可能性を有するエネルギーアイランドによって特徴づけられる状態へ、住居の消費を進化させるための単純な解決策を表す。
【0091】
図4は、装置300が、スマートグリッドコンセプトを実行する大変柔軟な方法で用いられることができるため、その一般的なバージョンに、メモリ341を搭載した現実の多目的サーバ340を組み込むことを明確に示す。
【0092】
この観点から、装置300が現実の住居用のサーバとなると考えられていることが明らかであり、当該サーバは、本発明の目的ための本明細書に記載された機能に加え、典型的なスマートホームである多数の応用を実行及び管理することができ、このため、例えば、癒し、ドモティクス(domotics)、セキュリティ、安全、エンターテイメント、リモートコントロール等に関する機能を組み込んでよい。
【0093】
適切に制御された共有の蓄電池(
図2には示されていないが、それは、ノードAに接続される)を採用して、(例えば、太陽放射又は強い風がある場合に)FLEによって過剰に生成されたエネルギー、及び/又は、エネルギーが有利な価格で配給者から購入される場合にネットワーク110によって供給されたエネルギーを貯めて、ローカルな生成が不足している場合、又はエネルギーをネットワークから有利に購入できない場合、エネルギーをユーザに渡すことも考えられる。
ローカルユーザーによって共有された共有蓄電池によって、装置300により又は使用される場合は集中化されたサーバにより導入された既に記載した操作の遅延をより良く補うことができ、このため、このような抑制できない遅延による任意の望ましくない供給断絶又は中断のリスクをさらに低減する。
【0094】
本発明は、コンピュータによってプログラムが実行された場合に、方法の1または複数の段階を実行するためのコーディング手段を備えたコンピュータプログラムを用いて有利に実装されることができる。
このため、保護範囲が、コンピュータプログラム、及び記録されたメッセージを含むコンピュータ可読手段にまで及び、コンピュータ可読手段は、プログラムがコンピュータによって実行されたときに、方法の1又は複数の段階を実行するためのプログラムコーディング手段を備えている。
【0095】
上記の実施例は、本発明の保護範囲から逸脱することなく、変形され、当業者に知られた全ての同様の設計を含む。
【0096】
本発明の応用から想到する利点は、明らかである。
【0097】
本発明の主な利点は、FLEの取り付けに先立って既に存在しているDLSEからのエネルギー供給を妨げるいかなる手段も用いずに、複数のユーザのコミュニティーに属するFLEによって生成されたエネルギーが、公共のエネルギー分配を制御する政府機関によって課された規則及び制約に準拠して、任意の一般的な共有基準に従って管理されることができることである。
【0098】
特に、とても柔軟で多様なFLE管理基準があり得て、例えば、FLEが属するコミュニティーによって共有される特定の必要及び要望に依存して、FLEエネルギー生成から得られる利益又はエネルギー自己消費を最大化する。
【0099】
更なる利点として、ユーザのコミュニティーに属するFLEによって生成されたエネルギーが、FLEの活動の前に既に存在するシステムに容易に組み込まれる新たな装置を導入することによって、管理されることができるということである。
【0100】
まだ、他の利点として、そのような装置が、エネルギー配給者が主導権をとることを待つ必要がなく、いわゆるスマートグリッドシナリオの全てのコンセプトを段階的に実装することができるようにするということである。
【0101】
上記記載から、当業者が、いかなる更なる構造詳細を導入することなく、発明のものを作成できる。