(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、搬送車システムの稼働状況は各種センサからの情報を人間が把握しやすいように変換して表示しているだけであり、直感的に把握することが困難であるという問題が生じる。
【0006】
また、搬送車システムの現在の稼働状況が表示されているだけであり、過去に遡って稼働状況を把握することはできない。
【0007】
また、自動倉庫が大きくなると、搬送車システム全体の稼働状況を一度に表示することは困難であり、また、表示できたとしても人間がその表示を見て全体を把握することは困難である。
【0008】
本願発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、搬送車システムの所定の箇所の稼働状況を直感的にかつ過去に遡って把握することができる搬送車システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる搬送車システムは、予め定められた経路を走行して荷物を搬送する搬送車と、前記搬送車の走行を管理する管理装置とを備える搬送車システムであって、前記搬送車は、前記搬送車の外方の像を撮像する撮像装置を備え、前記管理装置は、前記撮像装置が撮像した画像と撮像した時刻とを紐付けて記憶する画像記憶部と、前記搬送車の位置を示す位置情報と前記搬送車の位置した時刻とを紐付けて記憶する位置記憶部と、所定時刻に対応する画像を前記画像記憶部から取得し、前記所定時刻に対応する位置情報を位置記憶部から取得し、前記経路を視覚的に示す経路マップと前記画像とを一括して表示すると共に、前記位置情報を視覚的に示す搬送車アイコンを前記経路マップ上に表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0010】
これによれば、搬送車が備える撮像装置が撮像した画像を、撮像時刻と撮像位置を示す情報と共に記憶するため、所定の時刻において搬送車が経路マップ上のどこに位置しているか、および、その搬送車の周囲の状況を示す画像を一括して把握させることが可能となる。
【0011】
前記管理装置はさらに、前記搬送車の状態を示す状態情報と前記状態情報を取得した時刻とを紐付けて記憶する状態記憶部を備え、前記表示部はさらに、前記所定時刻に対応する状態情報を状態記憶部から取得し、前記経路マップと前記画像と前記搬送車アイコンと共に前記状態情報の経時的な変化を視覚的に示す状態グラフを一括して表示するものでもよい。
【0012】
これによれば、画像に加えて搬送車の状態の時間的変化がグラフにより表示されるため、搬送車システムの状況をより適格に把握させることが可能となる。
【0013】
前記管理装置はさらに、前記搬送車に異常が発生したことおよび発生時刻を示す異常情報を取得する異常情報取得部を備え、前記画像記憶部は、異常情報を取得した場合、発生時刻より所定の第一期間より前、および、発生時刻から所定の第二期間までの間の画像は削除せずに異常画像として記憶を維持し、前記位置記憶部は、異常情報を取得した場合、発生時刻より所定の第三期間より前、および、発生時刻から所定の第四期間までの間の位置情報は削除せずに異常位置情報として記憶を維持し、前記表示部は、発生時刻に対応する異常画像を前記画像記憶部から取得し、前記発生時刻に対応する異常位置情報を前記位置記憶部から取得し、前記経路を視覚的に示す経路マップと前記異常画像とを一括して表示すると共に、前記異常位置情報を視覚的に示す搬送車アイコンを前記経路マップ上に表示してもかまわない。
【0014】
これによれば、異常発生時刻の前後の搬送車システムの状況を時系列に把握することができ、しかも、搬送車の位置と搬送車の周囲を示す画像とを一括して把握することができるため、異常発生の原因究明を容易に行うことが可能となる。
【0015】
また、前記撮像装置は、前記搬送車に対する撮像方向を変更する方向変更手段を備え、前記画像記憶部は、前記撮像装置が撮像した画像と撮像した撮像方向とを紐付けて記憶し、前記表示部はさらに、前記画像と共に前記撮像方向を示す撮像方向アイコンを一括して表示してもかまわない。
【0016】
これによれば、例えば異常が発生しやすい箇所に撮像装置の撮像方向を予め設定しておくなどの運用を行うことができ、異常発生時の状況がどのようなアングルで撮像されたかを容易に理解して状況を的確に把握することが可能となる。
【0017】
さらに、当該搬送車システムは、前記撮像装置を備えた前記搬送車を複数台備え、前記画像記憶部は、前記撮像装置が撮像した画像と前記撮像装置が取り付けられた前記搬送車を識別する識別情報とを紐付けて記憶し、位置記憶部は、前記搬送車の位置を示す位置情報と前記搬送車の識別情報とを紐付けて記憶し、前記管理装置はさらに、一の搬送車に対応する識別情報を特定する搬送車特定手段を備え、前記表示部は、特定された識別情報に対応する画像を前記画像記憶部から取得し、前記識別情報に対応する位置情報を位置記憶部から取得し、前記経路を視覚的に示す経路マップと前記画像とを一括して表示すると共に、前記位置情報を視覚的に示す搬送車アイコンを前記経路マップ上に表示すると共に、前記識別情報を視覚的に示す特定搬送車アイコンを一括して表示するものでもよい。
【0018】
これによれば、例えば一の搬送車に搭載された撮像装置により他の搬送車を撮像することができ、他の搬送車に異常が発生した場合などに、搬送車の状況を画像として把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明によれば、搬送車の位置とその周囲の状況を示す画像とを一括して把握することができ、搬送車システムの所望の箇所の状況を的確に把握することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本願発明に係る搬送車システムの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係る搬送車システムの一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、搬送車システムを模式的に示す図である。
【0023】
同図に示すように、搬送車システムは100は、荷物を所定の場所から他の所定の場所へ搬送するシステムであって、搬送装置101と、管理装置102とを備えている。
【0024】
搬送装置101は、荷物を所定の場所から他の所定の場所へ搬送することができる装置である。本実施の形態の場合、搬送装置101は、
図2に示すように、天井側に設けられた軌条111に沿って走行する搬送車112で荷物を搬送し、荷物を保管することができるラック104、または、荷物を加工等して製品を生産する生産設備(図示せず)と搬送車112との間で荷物を移載することのできる装置である。
【0025】
軌条111は、搬送車112の走行経路を予め定めるためのレールである。本実施の形態の場合、軌条111は、天井に吊り下げられた状態で取り付けられている。なお、軌条111は、レールのような具体的な部材ばかりでなく、床面に描かれた線のようなものでもよく、また、ソフトウエアによって仮想的に形成された経路であってもよい。
【0026】
搬送車112は、荷物を軌条111などの予め定められた経路に沿って搬送することができる車であり、撮像装置110を備えている。また、搬送車112は、台車113と、昇降台114とを備えている。本実施の形態の場合、搬送装置101は、複数台の搬送車112を備えている。
【0027】
撮像装置110は、搬送車112の外方の像を撮像するカメラである。本実施の形態の場合、撮像装置110は、レンズを通して取得した画像を画像信号として出力することができるいわゆるデジタルカメラであり、1秒間に複数の画像を画像信号として出力することができるものとなっている。従って撮像装置110から得られる画像信号に基づき動画を看取することが可能である。
【0028】
本実施の形態の場合、撮像装置110は、搬送車112に対する撮像方向を変更することができる方向変更手段(図示せず)、例えばモータで駆動するパンチルト機構を備えている。具体的に撮像装置110は、搬送車112の台車113に取り付けられており、方向変更手段により、昇降台114が昇降する状態の画像や移載装置116(後述)が荷物を移載する状態の画像を搬送車112の外方の像として取得することができるものとなっている。また、撮像装置110は、複数枚に相当する画像信号を蓄積することができるメモリを備えている。
【0029】
方向変更手段は、撮像装置110の外部、例えば管理装置102や搬送車112からの命令によって撮像方向を任意の方向に設定することが可能となっている。なお、方向変更手段は自身のパン角度やチルト角度を出力できる機能を備えていてもかまわない。
【0030】
台車113は、軌条111にぶら下がった状態で軌条111に沿って走行する走行車である。本実施の形態の場合、台車113は、搭載されたバッテリー、または、軌条111に沿って配線される給電線を介して給電される電力によりモータを駆動して走行する。また、台車113は、昇降台114を吊り下げるための吊部材115を巻き取ることができるモータを備えており、吊部材115を巻き取ったり巻き出したりすることにより、吊部材115によって吊り下げられている昇降台114を昇降することができるものとなっている。
【0031】
また台車113は、ボギー台車であり、水平方向に回転可能な複数の部分を備えており、軌条111にあまり負担を掛けることなく曲線部を走行することができるものとなっている。
【0032】
昇降台114は、吊部材115によって台車113に対して吊り下げられた状態で荷物を保持する台である。本実施の形態の場合、昇降台114には移載装置116が取り付けられており、移載装置116がラック104に向かって出退することにより、昇降台114とラック104との間で荷物を移載することができるものとなっている。
【0033】
吊部材115は、台車113と昇降台114とを結び、台車113に昇降台114を吊り下げるための部材である。吊部材115は巻き取ることができる程度の可撓性を備えた部材であり、例えば金属製のワイヤーやチェーンなどである。本実施の形態の場合、4本の吊部材115を用いて昇降台114を吊り下げている。
【0034】
以上のように搬送車112は、軌条111に沿って台車113が走行し、台車113に対して昇降台114が昇降することにより、搬送車112の軌道に沿って設けられたラック104に昇降台114を位置させることができ、いずれの位置のラック104との間でも荷物を移載することができるものとなっている。
【0035】
図3は、搬送車システムの機能構成および機構構成を示すブロック図である。
【0036】
管理装置102は、特に搬送車112の走行、荷物の搬送や移載などを含む搬送装置101の全体を管理する装置であり、機能部として画像記憶部124と、位置記憶部125と、表示部127とを備えている。
【0037】
本実施の形態の場合、管理装置102は、有線や無線のLAN(ローカルエリアネットワーク)などにより搬送装置101と通信可能に接続されており、機構部としてインターフェース120と、ストレージ123とを備え、機能部としてさらに、状態記憶部126を備えている。
【0038】
インターフェース120は、操作者との間で情報の授受を行う装置であり、本実施の形態の場合、固定端末121や移動端末122などのコンピュータがインターフェース120として機能している。固定端末121、および、移動端末122は、情報を視覚的に報知するディスプレイ128、操作者による操作を受け付ける入力手段129などを備えている。なお、固定端末121は、机などに固定されて運用されるコンピュータであり、移動端末122は、操作者が持ち歩くことのできる可搬性を備えたコンピュータである。
【0039】
また、本実施の形態の場合、インターフェース120は、ディスプレイ128と、ディスプレイ128の表示面側に配置されるタッチパッドやキーボード、および、入力手段129により入力された情報を受け付ける受付部130によりグラフィカルユーザーインターフェースを実現している。
【0040】
ストレージ123は、情報を記憶し読み出すことのできる記憶装置である。本実施の形態の場合、ストレージ123は、有線や無線のLAN(ローカルエリアネットワーク)などに接続されるデータストレージサーバであり、搬送装置101から送信される情報を一定の決まりに従って蓄積し、固定端末121や移動端末122からの指示により蓄積した情報を送信することができるものとなっている。
【0041】
また、ストレージ123が記憶することができる情報量は限られているため、古い情報は順次削除するものとなっている。
【0042】
画像記憶部124は、撮像装置110が撮像した画像と撮像した時刻とを紐付けて記憶する処理部である。本実施の形態の場合、撮像装置110が撮像した画像は、搬送車112が備える時計により得られた時刻に紐付けられ、さらに、撮像方向を示す方向情報、および、撮像装置110が取り付けられている搬送車112を識別する識別情報も紐付けられてストレージ123に送信され、画像記憶部124は、当該情報を記憶する。
【0043】
本実施の形態の場合、画像記憶部124は、撮像装置110が撮像した画像と撮像した撮像方向とを紐付けて記憶している。本実施の形態の場合撮像方向とは台車113にたいするパン角度とチルト角度を示す情報である。
【0044】
位置記憶部125は、搬送車112の位置を示す位置情報と搬送車112の位置した時刻とを紐付けて記憶する処理部である。例えば本実施の形態のように、搬送車112が軌条111に沿って走行する場合、バーコードのような相互に異なる情報を備えることができる複数の情報部材を所定の間隔で軌条111に取り付け、搬送車112が当該情報部材から情報を取得した時刻と取得した情報に基づき導出される位置情報とを紐付け、さらに、搬送車112を識別する識別情報を紐付けてストレージ123に送信することで、位置記憶部125は、当該情報を記憶する。
【0045】
なお、搬送車112は、車輪や駆動用のモータに設けられたエンコーダの出力に基づき導出した自己の位置情報と時刻とを紐付けた情報を送信してもよい。また、当該情報は、搬送車112ばかりでなく、搬送装置101全体を統括するような上位のコントローラが送信してもかまわない。
【0046】
状態記憶部126は、搬送車112の状態を示す状態情報と、当該状態情報を取得した時刻とを紐付けて記憶する処理部である。ここで、状態情報とは例えば、搬送車112の運転モードの状態、異常の種類を示す異常コード、昇降台114に設けられている複数の荷物センサの検出状態、昇降台114に荷物が存在しているか否かの情報、台車113の前輪および後輪に対応してそれぞれ設けられたエンコーダの出力値、エンコーダの出力値およびタイマーによる時刻情報により得られる速度、搬送車112に搭載されるバッテリーの出力電圧値などの情報である。以上のような状態情報とこれに紐付けられた時刻とが搬送車112や上位のコントローラからストレージ123に送信され、状態記憶部126は、当該情報を記憶する。
【0047】
本実施の形態の場合、状態記憶部126は、搬送車112を識別する識別情報も状態情報に紐付けて記憶している。
【0048】
図4は、表示部によりディスプレイに表示された内容を示す図である。
【0049】
表示部127は、情報をディスプレイ128に視覚的に表示する処理部である。具体的には
図4に示すように、表示部127は、所定時刻に対応する画像を画像記憶部124から取得し、表示画131としてディスプレイ128の一部に表示する。また、表示部127は、搬送車112の経路を視覚的に示す経路マップ132を表示画131と同じ画面にを一括して表示する。また、表示部127は、表示画131として表示されている画像が記録された時刻と同じ時刻に対応する搬送車112の位置情報を位置記憶部125から取得し、位置情報を視覚的に示す搬送車アイコン133を経路マップ132上に表示する。具体的には、実際の経路と搬送車112との位置関係と、経路マップ132と搬送車アイコン133との位置関係はほぼ一致するように表示部127は表示している。
【0050】
また本実施の形態の場合、ディスプレイ128、入力手段129、表示部127、および、受付部130は、搬送車112の一つに対応する識別情報を特定する搬送車特定手段を構成している。具体的には、入力手段129によりディスプレイ128に表示された複数の搬送車アイコン133の中から一つの搬送車アイコン133を選択すると、選択された搬送車112を識別する識別情報が表示部127に送信され、表示部127は、当該識別情報に対応し、かつ、所定の時刻に対応する画像や位置情報を視覚的に表示させる。また、選択された搬送車アイコン133は、他の搬送車アイコン133と区別できるように表示部127は異なる特定搬送車アイコンを表示している。
【0051】
なお、同じ時刻とは、完全に一致する場合ばかりでなく、ある程度の誤差を含む意味で用いている。具体的には、表示画131として表示されている画像が記録された時刻と搬送車112が位置した時刻とが最も近い場合、同じ時刻とみなしてもよい。
【0052】
表示部127はさらに、表示画131として表示されている画像が記録された時刻と同じ時刻に対応する状態情報を状態記憶部から取得し、経路マップ132と表示画131と搬送車アイコン133と共に状態情報の経時的な変化を視覚的に示す状態グラフ134を一括して表示する。本実施の形態の場合、表示部127は、状態情報を示す文字や記号を状態掲示135として表示している。
【0053】
表示部127はさらに、表示画131として表示されている画像と共に撮像方向を示す撮像方向アイコン136を一括して表示している。また、表示部127は、搬送車112の実際の動作状況(例えば昇降台114の動作など)をアニメーションで表示させてもよい。これによれば表示される画像(アニメーション)に基づき搬送車112がどのような状況であるのかが理解しやすくなる。また、表示部127は、搬送車112の状態情報を数値化した一覧を併せて表示させてもよい。また、表示部127は、表示する時刻を調整する切り替えボタンを設けてもよい。
【0054】
次に、搬送車システム100の運用方法について説明する。
【0055】
搬送車システム100の通常操業時において、表示部127は、搬送車112の現在の位置に対応する経路マップ132上の位置に搬送車アイコン133を表示している。ディスプレイ128を見た操作者は、着目したい搬送車112に対応した搬送車アイコン133を入力手段129を用いて選択する。
【0056】
搬送車アイコン133が選択されると、表示部127は、選択された搬送車アイコン133を特定搬送車アイコンに変更すると共に、搬送車112を識別する識別情報に基づき、選択された時刻における、画像を示す表示画131を経路マップ132と共に表示する。さらに表示部127は、当該時刻から所定時間遡った期間の状態グラフ134、状態掲示135、および、撮像方向アイコン136も同じ画面に一括して表示する。
【0057】
以上により、搬送車システム100の着目する一部に関する種々の情報を一括して把握することができる。
【0058】
また、操作者が特定搬送車アイコンを入力手段129を用いて移動などの操作をすることで、ストレージ123に記憶されている過去の情報を読み出し、当該時刻に対応する表示画131や、状態グラフ134、状態掲示135、撮像方向アイコン136を表示する。
【0059】
さらに、過去に遡った状態からディスプレイ128に表示された再生ボタン(図示せず)などを入力手段129を用いて操作することで、表示画131の部分は動画を表示した状態となる。また、状態グラフ134は、時間の経過と共に変化しアニメーションを表示した状態となる。
【0060】
以上により、現在の状態ばかりでなく、過去の搬送車システム100の状態を把握することができ、さらに、過去から現在の状態の経緯を把握することが可能となる。
【0061】
(実施の形態2)
次に、搬送車システム100の他の実施形態を説明する。なお、実施の形態1で説明した機構部や機能部と同じ構造や機能を有するものは同じ符号を付し説明を省略する場合がある。
【0062】
図5は、他の搬送車システムの機能構成および機構構成を示すブロック図である。
【0063】
これらの図に示すように、管理装置102は、実施の形態1で説明した機能部に加え、異常情報取得部139を備えている。
【0064】
異常情報取得部139は、搬送装置101、特に搬送車112に異常が発生したことおよび発生時刻を示す異常情報を搬送装置101から取得する処理部である。
【0065】
本実施の形態の場合、異常情報には、異常が発生した搬送車112を識別する識別情報、または、搬送装置101のいずれの部分に異常が発生したかを示す識別情報が含まれている。また、搬送車112等に発生する異常としては、荷物の存在を検知するセンサ(光電センサなど)が搬送中には検知しないはずであるのに荷物を検知した場合や、バッテリーの出力電圧が閾値以下であることを示す場合などである。また、異常情報は、搬送車112から発信される情報ばかりでなく、上位コントローラが搬送車112を制御し監視している状態で、上位コントローラが異常であると判断して送信された情報も含んでいる。
【0066】
なお、異常情報取得部139は、取得した異常情報の種類を特定してもよい。例えば、取得した異常情報を分析し、異常が発生した搬送車112を識別する番号や、異常を検知したセンサを特定し、上位コントローラ等から送信される異常情報に異常コードが含まれていれば、当該異常コードに基づき異常の種類を特定してもよい。
【0067】
画像記憶部124は、通常古い画像は順次削除する仕様となっているが、異常情報を取得した場合、発生時刻より所定の第一期間より前、および、発生時刻から所定の第二期間までの間の画像は、通常では古い情報と判断される場合であっても削除せずに異常画像として記憶を維持するものとなっている。
【0068】
位置記憶部125も画像記憶部124と同様に、異常情報を取得した場合、発生時刻より所定の第三期間より前、および、発生時刻から所定の第四期間までの間の位置情報は、通常では古い情報と判断される場合であっても削除せずに異常位置情報として記憶を維持するものとなっている。
【0069】
状態記憶部126も画像記憶部124と同様に、異常情報を取得した場合、発生時刻より所定の第五期間より前、および、発生時刻から所定の第六期間までの間の状態情報は、通常では古い情報と判断される場合であっても削除せずに異常状態情報として記憶を維持するものとなっている。
【0070】
表示部127は、発生時刻に対応する異常画像を画像記憶部124の異常領域から取得し、発生時刻に対応する異常位置情報を位置記憶部125から取得し、
図6に示すように、経路マップ132と共に異常画像を表示画131として表示すると共に、異常位置情報を視覚的に示す搬送車アイコン133を異常搬送車アイコンとして経路マップ132上に表示する。
【0071】
次に、搬送車システム100に異常が発生した場合の運用方法について説明する。なお、実施の形態1で説明した工程は省略する場合がある。
【0072】
搬送装置101の中の一台の搬送車112について昇降台114に載置された荷物が正常な位置からずれた場合を発生した異常として説明する。
【0073】
上記異常が発生すると、管理装置102の異常情報取得部139が異常情報を取得する。
【0074】
表示部127は、異常が発生した旨をディスプレイ128に表示する。また、表示部127は、搬送車アイコン133を異常搬送車アイコンに変更すると共に、搬送車112を識別する識別情報に基づき、発生時刻における、異常画像を示す表示画131を経路マップ132と共に表示する。さらに表示部127は、発生時刻から所定時間遡った期間の状態グラフ134、および、撮像方向アイコン136も同じ画面に一括して表示する。
【0075】
以上により、搬送車システム100の異常が発生した箇所に関する種々の情報を一括して把握することができる。また、事後的に異常が発生した前後の状況を一括して表示することができるため、異常発生の原因究明を容易に行うことが可能となる。
【0076】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【0077】
例えば本実施の形態では搬送装置101として、台車113と昇降台114とを備えた天井走行車に基づき説明したが、搬送装置101は、軌条の上を走行するスタッカクレーンのような搬送車であってもかまわない。搬送装置101は、軌条を備えず平坦な床面に仮想的に設けられた経路を走行する搬送車などでもよい。
【0078】
また、
図7に示すように、搬送装置101が複数台の搬送車112を備えている場合、後続の搬送車112(図中011号車)の撮像装置110を用いて先行する搬送車112(図中012号車)を撮像し、先行する搬送車112の情報としてディスプレイ128に一括して表示してもかまわない。