【実施例】
【0020】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0021】
標準例1、実施例1〜2および比較例1〜6
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
【0022】
加工性:上記ゴム組成物を用い、JIS 6300に従い、100℃における未加硫ゴムのムーニー粘度を測定した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工性が良好であることを示す。
硬度(20℃):JIS K6253に基づき、20℃にて測定した。結果は、標準例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど硬度が高いことを示す。
ウェットグリップ性能:上記ゴム組成物をタイヤトレッドに使用して製造されたサイズ205/55R16のタイヤを排気量2000ccのABSを搭載した車両に装着し、フロントタイヤおよびリヤタイヤの空気圧をともに220kPaとして、水深2.0〜3.0mmに散水したアスファルト路面上で速度100km/hからの制動停止距離を測定した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。指数が大きいほど、制動距離が短く、ウェットグリップ性能に優れることを意味する。
ドライグリップ性能:上記ゴム組成物をタイヤトレッドに使用して製造されたサイズ205/55R16のタイヤを排気量2000ccのABSを搭載した車両に装着し、フロントタイヤおよびリヤタイヤの空気圧をともに220kPaとして、乾燥したアスファルト路面上で速度100km/hからの制動停止距離を測定した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。指数が大きいほど、制動距離が短く、ドライグリップ性能に優れることを意味する。
結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
*1:NR(Tg=-65℃)
*2:E−SBR(日本ゼオン(株)製Nipol 9548、Tg=-42℃)
*3:S−SBR(日本ゼオン(株)製Nipol NS522、Tg=-31℃)
*4:BR(日本ゼオン社製Nipol BR 1220、Tg=-105℃)
*5:シリカ(エボニックジャパン(株)製ULTRASIL VN−3、窒素吸着比表面積(N
2SA)=175m
2/g)
*6:カーボンブラック(東海カーボン(株)製シースト3)
*7:芳香族変性テルペン樹脂:(ヤスハラケミカル(株)製YSレジンTO−125)
*8:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*9:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸YR)
*10:シランカップリング剤(エボニックジャパン(株)製Si69)
*11:オイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*12:スチレン化フェノール化合物−1(三光(株)製SP−24。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール60モル%以上、トリスチレン化フェノール40モル%以下)
*13:スチレン化フェノール化合物−2(三光(株)製TSP。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール30モル%以下、トリスチレン化フェノール65モル%以上)
*14:スチレン化フェノール化合物−3(三光(株)製SP−F。モノスチレン化フェノール65モル%以上、ジスチレン化フェノール32モル%以下、トリスチレン化フェノール1モル%以下)
*15:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄、硫黄含有量=95.24質量%)
*16:加硫促進剤−1(大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G)
*17:加硫促進剤−2(Flexsys社製Perkacit DPG)
【0025】
上記の表1の結果から明らかなように、実施例1〜2で得られたゴム組成物は、特定の平均Tgを有するジエン系ゴムに対し、特定のスチレン化フェノール化合物およびシリカを特定量でもって配合したので、従来の代表的な標準例1に対し、加工性、硬度、ウェットグリップ性能およびドライグリップ性能がいずれも向上している。
これに対し、比較例1は、モノスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を使用しているので、硬度、ウェットグリップ性能およびドライグリップ性能がいずれも悪化した。
比較例2は、シリカの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、硬度、ウェットグリップ性能およびドライグリップ性能がいずれも悪化した。
比較例3は、シリカの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、加工性が悪化した。
比較例4は、ジエン系ゴムの平均Tgが本発明で規定する下限未満であるので、硬度、ウェットグリップ性能およびドライグリップ性能がいずれも悪化した。
比較例5は、スチレン化フェノール化合物の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、各種特性の効果が発現されなかった。
比較例6は、スチレン化フェノール化合物の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、加工性が悪化した。