特許第6458476号(P6458476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458476
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】車両特性試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20190121BHJP
   G01M 17/06 20060101ALI20190121BHJP
   G01M 17/04 20060101ALI20190121BHJP
   G05B 11/32 20060101ALI20190121BHJP
   G05B 11/36 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   G01M17/007 A
   G01M17/007 C
   G01M17/06
   G01M17/04
   G05B11/32 A
   G05B11/36 501Q
   G05B11/36 A
【請求項の数】16
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2014-252505(P2014-252505)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2015-222249(P2015-222249A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年9月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-256575(P2013-256575)
(32)【優先日】2013年12月12日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-92386(P2014-92386)
(32)【優先日】2014年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(72)【発明者】
【氏名】秋山 岳夫
(72)【発明者】
【氏名】野村 昌克
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利道
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−212154(JP,A)
【文献】 特開2010−145226(JP,A)
【文献】 特開2009−271025(JP,A)
【文献】 特開平05−133847(JP,A)
【文献】 特開平10−221215(JP,A)
【文献】 米国特許第06427528(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00 − 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャシダイナモメータ上で被試験の車両を拘束装置によって拘束しつつ試験する車両特性試験装置において、
前記試験装置の床面と車両間であって、車両左右の中心線近傍で車両の前側と後ろ側、および前後輪の略中間位置で車両の左右側にそれぞれアクチュエータを配置すると共に、
前記試験装置に、予め走行シミュレーションによって得られた路上走行時の時刻毎の車速に対する路面と車軸間の垂直力を記憶する垂直力記憶部と、アクチュエータを制御する制御装置を設け、
前記制御装置は、前記垂直力記憶部に記憶された垂直力を車速指令発生信号に同期した時間信号で読み込んで制御器により車両4輪分の制御信号を各別に演算して非干渉化演算部に入力し、非干渉化演算部は、非干渉化演算を行って前記各アクチュエータに対する力指令を生成して各アクチュエータを垂直方向に力制御するよう構成したことを特徴とした車両特性試験装置。
【請求項2】
非干渉化演算部は、非干渉化演算を行って前記各アクチュエータに対する位置指令を生成して各アクチュエータの高さ方向への位置制御を行うよう構成したことを特徴とした請求項1記載の車両特性試験装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記垂直力記憶部に記憶された垂直力を車速指令発生信号に同期した時間信号で読み込んで車両4輪分の垂直力を各別に出力する垂直力指令発生部と、
前記垂直力指令発生部による4輪分の垂直力と、路面と車軸間の垂直力を測定する垂直力測定手段によって測定された測定垂直力との差分をそれぞれ演算し、各差分を各別に入力してそれぞれの制御信号を各別に演算する制御器と、
前記各制御器による制御信号を入力して非干渉化演算を行い、前記各アクチュエータに対する力指令を生成する非干渉化演算部を備えたことを特徴とした請求項1記載の車両特性試験装置。
【請求項4】
前記制御器により算出された制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対し、前記非干渉化演算部は調整変数a,bとし、a+b=1を満足するよう次式(1−1)乃至(1−7)の演算を行って各アクチュエータの力指令FrF,FrR,FrA,FrBを生成するよう構成したことを特徴とした請求項1記載の車両特性試験装置。
【数106】
【数107】
【数108】
【数109】
【数110】
【数111】
【数112】
ただし、M:車体質量、g:重力加速度、xAF,yAF:車輪前方のアクチュエータ位置、xAR,yAR:車輪後方のアクチュエータ位置、xAA,yAA:車両の重心点付近の右側アクチュエータ位置、xAB,yAB:車両の重心点付近の左側アクチュエータ位置、xG,yG:車両重心の位置、HAX:前後アクチュエータのx軸に関する距離、HAY:車両の右側と左側アクチュエータのy軸に関する距離。
【請求項5】
前記垂直力記憶部に記憶される垂直力は、前記試験装置のローラ上に車両を載せ前記各アクチュエータにより力を加えてない初期状態の垂直力からの変動分とし、前記制御器は初期状態の垂直力と垂直力の測定値との差分で制御信号を生成するよう構成したことを特徴とした請求項1記載の車両特性試験装置。
【請求項6】
前記垂直力記憶部に記憶される垂直力は、前記試験装置のローラ上に車両を載せ前記各アクチュエータにより力を加えてない初期状態の垂直力からの変動分とし、前記制御器は初期状態の垂直力と垂直力の測定値との差分で制御信号を生成するものであり、
前記垂直力の測定値は、前記垂直力測定手段によって測定された測定垂直力と前記初期状態の垂直力の初期値との差分であることを特徴とした請求項3記載の車両特性試験装置。
【請求項7】
前記制御器により算出された制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対し、前記非干渉化演算部は調整変数a,bとし、a+b=1を満足するよう次式(2−1)乃至(2−7)の演算を行ってアクチュエータの力指令FrF,FrR,FrA,FrBを生成するよう構成したことを特徴とした請求項1記載の車両特性試験装置。
【数113】
【数114】
【数115】
【数116】
【数117】
【数118】
【数119】
ただし、M:車体質量、g:重力加速度、xAF,yAF:車輪前方のアクチュエータ位置、xAR,yAR:車輪後方のアクチュエータ位置、xAA,yAA:車両の重心点付近の右側アクチュエータ位置、xAB,yAB:車両の重心点付近の左側アクチュエータ位置、xG,yG:車両重心の位置、HAX:前後アクチュエータのx軸に関する距離、HAY:車両の右側と左側アクチュエータのy軸に関する距離。
【請求項8】
前記垂直力記憶部に記憶された垂直力は、路上走行シミュレーションに基づき試験を行う走行パターンでの前輪及び後輪の垂直力を算出して時間に対する垂直力として記憶し、前記非干渉化演算部は、前記制御器が算出した制御信号をもとに各アクチュエータの位置指令を生成して各アクチュエータの位置を制御するよう構成したことを特徴とした請求項1記載の車両特性試験装置。
【請求項9】
前記垂直力記憶部に記憶された垂直力は、路上走行シミュレーションに基づき試験を行う走行パターンでの前輪及び後輪の垂直力を算出して時間に対する垂直力として記憶し、前記非干渉化演算部は、前記制御器が算出した制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対し、次式(3−1)乃至(3−4)の演算を行って各アクチュエータの位置指令ZrF,ZrR,ZrA,ZrBを生成するよう構成したことを特徴とした請求項1又は2記載の車両特性試験装置。
【数120】
【数121】
【数122】
【数123】
ただし、ZF0,ZR0,ZA0,ZB0,:初期状態でのアクチュエータの高さ、KFR,KFL,KRR,KRL,:垂直方向の前後輪タイヤとサスペンションを合成した剛性、xAF,yAF:車輪前方のアクチュエータ位置、xAR,yAR:車輪後方のアクチュエータ位置、H:前後輪車軸間の距離、W:左右車軸間の幅。
【請求項10】
シャシダイナモメータ上で被試験の車両を拘束装置によって拘束しつつ試験する車両特性試験装置において、
前記試験装置の床面と車両間であって、左右前後の車輪近傍か、又は左右前輪の後方近傍と車両先端間、左右後輪の前方近傍と車両後端間にそれぞれアクチュエータを配置し、
走行シミュレーションによって得られた路上走行時の時刻毎の車速に対する路面と車軸間の垂直力を予め算出して記憶する垂直力記憶部と、路面と車軸間の垂直力を測定する垂直力測定手段と、前記アクチュエータを制御する制御装置を設け、
前記制御装置に、前記各アクチュエータ間相互の干渉を防止するための非干渉化演算を行う非干渉化演算部を設け、
被試験車両の試験時に、垂直力記憶部に記憶された垂直力信号を制御装置に読み込んで垂直力の指令値とし、制御装置に設けた制御器により、前記指令値と前記垂直力測定手段によって測定された測定信号との差分が0となるよう制御信号を生成して前記各アクチュエータの垂直力を制御することを特徴とした車両特性試験装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記垂直力記憶部に記憶された垂直力を車速指令発生信号に同期した時間信号で読み込んで車両4輪分の垂直力を各別に出力する垂直力指令発生部と、
前記垂直力指令発生部による4輪分の垂直力と前記垂直力測定手段によって測定された測定垂直力との差分をそれぞれ演算し、各差分を各別に入力してそれぞれの制御信号を各別に演算する制御器と、を備え、
前記非干渉化演算部は、前記各制御器による制御信号を入力して非干渉化演算を行い、前記各アクチュエータに対する力指令を生成することを特徴とした請求項10記載の車両特性試験装置。
【請求項12】
前記制御器により算出された4輪分の垂直力の制御信号をuFR,uFL,uRR,uRLとしたとき、前記非干渉化演算部は調整変数a,bとし、a+b=1を満足するよう次式(4−1)乃至(4−4)の演算を行って各アクチュエータの力指令FrFR,FrFL,FrRR,FrRLを生成するよう構成したことを特徴とした請求項10又は11記載の車両特性試験装置。
【数124】
【数125】
【数126】
【数127】
ただし、M:車体質量、g:重力加速度、xAFR,yAFR,xAFL,yAFL,xARR,yARR,xARL,yARL:アクチュエータの位置、xG,yG:車両重心の位置、HRL,HLR:アクチュエータのx軸に関する距離、WRL,WLR:アクチュエータのy軸に関する距離。
【請求項13】
前記垂直力記憶部に記憶される垂直力は、前記試験装置のローラ上に車両を載せ、前記各アクチュエータにより力を加えてない初期状態の垂直力からの変動分とし、前記制御器は初期状態の垂直力と前記垂直力測定手段によって測定された測定垂直力との差分で制御信号を生成するよう構成したことを特徴とした請求項10又は11記載の車両特性試験装置。
【請求項14】
前記制御器により算出された制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対し、前記非干渉化演算部は調整変数a,bとし、a+b=1を満足するよう次式(5−1)乃至(5−4)の演算を行ってアクチュエータの力指令FrF,FrR,FrA,FrBを生成するよう構成したことを特徴とした請求項10又は11記載の車両特性試験装置。
【数128】
【数129】
【数130】
【数131】
ただし、xAFR,yAFR,xAFL,yAFL,xARR,yARR,xARL,yARL:アクチュエータの位置、HRL,HLR:アクチュエータのx軸に関する距離、WRL,WLR:アクチュエータのy軸に関する距離。
【請求項15】
前記垂直力記憶部に記憶された垂直力は、路上走行シミュレーションに基づき試験を行う走行パターンでの前輪及び後輪の垂直力を算出して時間に対する垂直力として記憶し、前記非干渉化演算部は、前記制御器が算出した制御信号をもとに各アクチュエータの位置指令を生成して各アクチュエータの位置を制御するよう構成したことを特徴とした請求項10又は11記載の車両特性試験装置。
【請求項16】
前記垂直力記憶部に記憶された垂直力は、路上走行シミュレーションに基づき試験を行う走行パターンでの前輪及び後輪の垂直力を算出して時間に対する垂直力として記憶し、前記非干渉化演算部は、前記制御器が算出した制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対し、次式(6−1)乃至(6−4)式の演算を行って各アクチュエータの位置指令ZrF,ZrR,ZrA,ZrBを生成するよう構成したことを特徴とした請求項10又は11記載の車両特性試験装置。
【数132】
【数133】
【数134】
【数135】
ただし、xAFR,yAFR,xAFL,yAFL,xARR,yARR,xARL,yARL:アクチュエータの位置、ZFR0,ZFL0,ZRR0,ZRL0:初期状態でのアクチュエータの高さ、KFR,KFL,KRR,KRL:垂直方向の前後輪タイヤとサスペンションを合成した剛性。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両特性試験装置に係わり、特に性能試験でタイヤに加わる垂直荷重変化に伴う悪影響を防止するようにした車両特性試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11はシャシダイナモメータを用いて車両試験を行う場合の概略構成図を示したもので、被試験機である車両1の車輪をローラ2上に載置し、一般には車輪をローラ2上に拘束するために車両1の前後をワイヤ3などの車両拘束装置によって拘束している。試験にあたっては、予め実路走行によって取得したデータをシャシダイナモメータ4の制御装置に記憶させ、このシャシダイナモメータ4によってローラ2を介して車両1に対し路上走行を模擬しながら制御し、その結果における車両性能の計測が行われる。
【0003】
したがって、車両の状態を実路走行時と同じ状態に模擬しながら試験を行うことが試験精度の向上に重要となる。しかし、図11で示すように車両はワイヤによって拘束されていることから、車両のピッチングやローリングなどの姿勢変化を抑制してしまって実路走行時と同じ状態での試験ができない。例えば、路上を走行する車両では加減速に応じて車体前後が上下動に変化する向きに重心点回りのモーメントが発生してピッチング運動が発生し、タイヤに加わる垂直荷重が変化する。
【0004】
このような姿勢変化を制御するために、試験装置に車体姿勢制御装置を設けるものが特許文献1として公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−271025
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、サスペンションの制御のために、車両の前後左右に4個の拘束装置を取り付け、4個の拘束装置はそれぞれ上下方向と左右方向に伸縮可能に構成されて、伸縮量を姿勢制御装置により制御するように構成したものである。したがって、この特許文献1では特殊な拘束装置を必要としているものである。
【0007】
本発明が目的とするところは、車両の加減速に応じて車体の前後方向が上下動に変化するピッチング運動と、車両のカーブ走行時に発生するローリング運動の走行状態を一致させることのできる車両特性計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1は、シャシダイナモメータ上で被試験の車両を拘束装置によって拘束しつつ試験する試験装置において、
前記試験装置の床面と車両間であって、車両左右の中心線近傍で車両の前側と後側、および前後輪の略中間位置で車両の左右側にそれぞれアクチュエータを配置すると共に、
前記試験装置に、予め走行シミュレーションによって得られた路上走行時の時間に対する路面と車軸間の垂直力を記憶する垂直力記憶部と制御装置を設け、
前記制御装置は、前記垂直力記憶部に記憶された垂直力を車速指令発生信号に
同期した時間信号で読み込んで制御器により車両4輪分の制御信号を各別に演算して非干渉化演算部に入力し、非干渉化演算部は、非干渉化演算を行って前記各アクチュエータに対する力指令を生成して各アクチュエータを垂直方向に力制御するよう構成したことを特徴としたものである。
【0009】
本発明の請求項2の非干渉化演算部は、非干渉化演算を行って前記各アクチュエータに対する位置指令を生成して各アクチュエータの高さ方向への位置制御を行うよう構成したことを特徴としたものである。
【0010】
本発明の請求項3の前記制御装置は、前記垂直力記憶部に記憶された垂直力を車速指令発生信号に同期した時間信号で読み込んで車両4輪分の垂直力を各別に出力する垂直力指令発生部と、
前記垂直力指令発生部による4輪分の垂直力と、路面と車軸間の垂直力を測定する垂直力測定手段によって測定された測定垂直力との差分をそれぞれ演算し、各差分を各別に入力してそれぞれの制御信号を各別に演算する制御器と、
前記各制御器による制御信号を入力して非干渉化演算を行い、前記各アクチュエータに対する力指令を生成する非干渉化演算部を備えたことを特徴としたものである。
【0011】
本発明の請求項4は、前記制御器により算出された制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対し、前記非干渉化演算部は調整変数a,bとし、a+b=1を満足するよう次式(1−1)乃至(1−7)の演算を行って各アクチュエータの力指令FrF,FrR,FrA,FrBを生成するよう構成したことを特徴としたものである。
【0012】
【数1】
【0013】
【数2】
【0014】
【数3】
【0015】
【数4】
【0016】
【数5】
【0017】
【数6】
【0018】
【数7】
【0019】
ただし、M:車体質量、g:重力加速度、xAF,yAF:車輪前方のアクチュエータ位置、xAR,yAR:車輪後方のアクチュエータ位置、xAA,yAA:車両の重心点付近の右側アクチュエータ位置、xAB,yAB:車両の重心点付近の左側アクチュエータ位置、xG,yG:車両重心の位置、HAX:前後アクチュエータのx軸に関する距離、HAY:車両の右側と左側アクチュエータのy軸に関する距離。
【0020】
本発明の請求項5の前記垂直力記憶部に記憶される垂直力は、前記試験装置のローラ上に車両を載せ前記各アクチュエータにより力を加えてない初期状態の垂直力からの変動分とし、前記制御器は初期状態の垂直力と垂直力の測定値との差分で制御信号を生成するよう構成したことを特徴としたものである。
【0021】
本発明の請求項6の前記垂直力記憶部に記憶される垂直力は、前記試験装置のローラ上に車両を載せ前記各アクチュエータにより力を加えてない初期状態の垂直力からの変動分とし、前記制御器は初期状態の垂直力と垂直力の測定値との差分で制御信号を生成するものであり、
前記垂直力の測定値は、前記垂直力測定手段によって測定された測定垂直力と前記初期状態の垂直力の初期値との差分であることを特徴としたものである。
【0022】
本発明の請求項7は、前記制御器により算出された制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対し、前記非干渉化演算部は調整変数a,bとし、a+b=1を満足するよう次式(2−1)乃至(2−7)の演算を行ってアクチュエータの力指令FrF,FrR,FrA,FrBを生成するよう構成したことを特徴としたものである。
【0023】
【数8】
【0024】
【数9】
【0025】
【数10】
【0026】
【数11】
【0027】
【数12】
【0028】
【数13】
【0029】
【数14】
【0030】
ただし、M:車体質量、g:重力加速度、xAF,yAF:車輪前方のアクチュエータ位置、xAR,yAR:車輪後方のアクチュエータ位置、xAA,yAA:車両の重心点付近の右側アクチュエータ位置、xAB,yAB:車両の重心点付近の左側アクチュエータ位置、xG,yG:車両重心の位置、HAX:前後アクチュエータのx軸に関する距離、HAY:車両の右側と左側アクチュエータのy軸に関する距離。
【0031】
本発明の請求項8の前記垂直力記憶部に記憶された垂直力は、路上走行シミュレーションに基づき試験を行う走行パターンでの前輪及び後輪の垂直力を算出して時間に対する垂直力として記憶し、前記非干渉化演算部は、前記制御器が算出した制御信号をもとに各アクチュエータの位置指令を生成して各アクチュエータの位置を制御するよう構成したことを特徴としたものである。
【0032】
本発明の請求項9の前記垂直力記憶部に記憶された垂直力は、路上走行シミュレーションに基づき試験を行う走行パターンでの前輪の平均及び後輪の平均垂直力を算出して時間に対する垂直力として記憶し、前記非干渉化演算部は、前記制御器が算出した制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対し、次式(3−1)乃至(3−4)の演算を行って各アクチュエータの位置指令ZrF,ZrR,ZrA,ZrBを生成するよう構成したことを特徴としたものである。
【0033】
【数15】
【0034】
【数16】
【0035】
【数17】
【0036】
【数18】
【0037】
ただし、ZF0,ZR0,ZA0,ZB0,:初期状態でのアクチュエータの高さ、KFR,KFL,KRR,KRL,:垂直方向の前後輪タイヤとサスペンションを合成した剛性、
AF,yAF:車輪前方のアクチュエータ位置、xAR,yAR:車輪後方のアクチュエータ位置、H:前後輪車軸間の距離、W:左右車軸間の幅。
【0038】
本発明の請求項10は、シャシダイナモメータ上で被試験の車両を拘束装置によって拘束しつつ試験する車両特性試験装置において、
前記試験装置の床面と車両間であって、左右前後の車輪近傍か、又は左右前輪の後方近傍と車両先端間、左右後輪の前方近傍と車両後端間にそれぞれアクチュエータを配置し、
走行シミュレーションによって得られた路上走行時の時刻毎の車速に対する路面と車軸間の垂直力を予め算出して記憶する垂直力記憶部と、路面と車軸間の垂直力を測定する垂直力測定手段と、前記アクチュエータを制御する制御装置を設け、
前記制御装置に、前記各アクチュエータ間相互の干渉を防止するための非干渉化演算を行う非干渉化演算部を設け、
被試験車両の試験時に、垂直力記憶部に記憶された垂直力信号を制御装置に読み込んで垂直力の指令値とし、制御装置に設けた制御器により、前記指令値と前記垂直力測定手段によって測定された測定信号との差分が0となるよう制御信号を生成して前記各アクチュエータの垂直力を制御することを特徴としたものである。
【0040】
本発明の請求項11は、前記制御装置は、前記垂直力記憶部に記憶された垂直力を車速指令発生信号に同期した時間信号で読み込んで車両4輪分の垂直力を各別に出力する垂直力指令発生部と、
前記垂直力指令発生部による4輪分の垂直力と前記垂直力測定手段によって測定された測定垂直力との差分をそれぞれ演算し、各差分を各別に入力してそれぞれの制御信号を各別に演算する制御器と、を備え、
前記非干渉化演算部は、前記各制御器による制御信号を入力して非干渉化演算を行い、前記各アクチュエータに対する力指令を生成することを特徴としたものである。
【0041】
本発明の請求項12は、前記制御器により算出された4輪分の垂直力の制御信号をuFR,uFL,uRR,uRLとしたとき、前記非干渉化演算部は調整変数a,bとし、a+b=1を満足するよう次式(4−1)乃至(4−4)の演算を行って各アクチュエータの力指令FrFR,FrFL,FrRR,FrRLを生成するよう構成したことを特徴としたものである。
【0042】
【数19】
【0043】
【数20】
【0044】
【数21】
【0045】
【数22】
【0046】
ただし、M:車体質量、g:重力加速度、xAFR,yAFR,xAFL,yAFL,xARR,yARR,xARL,yARL:アクチュエータの位置、xG,yG:車両重心の位置、HRL,HLR:アクチュエータのx軸に関する距離、WRL,WLR:アクチュエータのy軸に関する距離。
【0047】
本発明の請求項13は、前記垂直力記憶部に記憶される垂直力は、前記試験装置のローラ上に車両を載せ、前記各アクチュエータにより力を加えてない初期状態の垂直力からの変動分とし、前記制御器は初期状態の垂直力と前記垂直力測定手段によって測定された測定垂直力との差分で制御信号を生成するよう構成したことを特徴としたものである。
【0048】
本発明の請求項14は、前記制御器により算出された制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対し、前記非干渉化演算部は調整変数a,bとし、a+b=1を満足するよう次式(5−1)乃至(5−4)の演算を行ってアクチュエータの力指令FrF,FrR,FrA,FrBを生成するよう構成したことを特徴としたものである。
【0049】
【数23】
【0050】
【数24】
【0051】
【数25】
【0052】
【数26】
【0053】
ただし、xAFR,yAFR,xAFL,yAFL,xARR,yARR,xARL,yARL:アクチュエータの位置、HRL,HLR:アクチュエータのx軸に関する距離、WRL,WLR:アクチュエータのy軸に関する距離。
【0054】
本発明の請求項15は、前記垂直力記憶部に記憶された垂直力は、路上走行シミュレーションに基づき試験を行う走行パターンでの前輪及び後輪の垂直力を算出して時間に対する垂直力として記憶し、前記非干渉化演算部は、前記制御器が算出した制御信号をもとに各アクチュエータの位置指令を生成して各アクチュエータの位置を制御するよう構成したことを特徴としたものである。
【0055】
本発明の請求項16は、前記垂直力記憶部に記憶された垂直力は、路上走行シミュレーションに基づき試験を行う走行パターンでの前輪及び後輪の垂直力を算出して時間に対する垂直力として記憶し、前記非干渉化演算部は、前記制御器が算出した制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対し、次式(6−1)乃至(6−4)式の演算を行って各アクチュエータの位置指令ZrF,ZrR,ZrA,ZrBを生成するよう構成したことを特徴としたものである。
【0056】
【数27】
【0057】
【数28】
【0058】
【数29】
【0059】
【数30】
【0060】
ただし、xAFR,yAFR,xAFL,yAFL,xARR,yARR,xARL,yARL:アクチュエータの位置、ZFR0,ZFL0,ZRR0,ZRL0:初期状態でのアクチュエータの高さ、KFR,KFL,KRR,KRL:垂直方向の前後輪タイヤとサスペンションを合成した剛性。
【発明の効果】
【0061】
以上のとおり、本発明によれば、次のような効果が得られるものである。
(1)路上走行時の車両の加減速に応じて発生する上下方向の変動を、路上走行時の車両の上下変動に倣って制御することにより、4輪に加わる垂直力を、加速状態までを含めて走行状態と一致させることができるので、モード運転による燃費、排ガス試験の試験精度が向上するものである。
(2)また、4輪に加わる垂直力を各々独立に制御できるため、曲線走行時の垂直力の再現が可能となるものである。
(3)前後左右のアクチュエータの配設位置は車両重心を通過する線上位置に配設することが望ましいが、非干渉化演算部を設けたことにより、車両重心を通過する線上位置からずれた場合でも対応が可能なため、アクチュエータの車両重心位置を通過する線上への取付が困難な場合にも対応できるものである。
(4)非干渉化演算部における演算は、単純なPI演算で4輪の各垂直力を独立に制御可能となるものである。
(5)また、初期状態の垂直方向の力をゼロとして変化分のみを補正することによって、アクチュエータが常時力を発生することがないので、アクチュエータの負荷が軽くなる利点を有するものである。
(6)タイヤの剛性をパラメータとした場合、剛性を等しいとすれば非干渉化演算が簡単になるものである。
(7)アクチュエータの配設位置が4輪に近い場所に設置できるので、より正確な垂直力制御が可能となるものである。
(8)アクチュエータの配設位置に対する自由度が増すものである。
(9)アクチュエータの配設位置を、アクチュエータ設置エリアに配置することにより、アクチュエータの負荷が均等になり、同じアクチュエータの利用が可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明の実施形態を示す車両特性計測装置の構成図。
図2】本発明のアクチュエータ配置の説明図。
図3】本発明の制御装置の構成図。
図4】本発明の他の制御装置の構成図。
図5】本発明の他の制御装置の構成図。
図6】本発明の他の実施形態を示す車両特性計測装置の構成図。
図7】本発明の他の実施形態におけるアクチュエータ配置の説明図。
図8】本発明の他の制御装置の構成図。
図9】本発明の他の制御装置の構成図。
図10】本発明の他の制御装置の構成図。
図11】従来の車両特性計測装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0063】
車両特性計測装置では、ダイナモメータ制御装置からの制御信号に基づいて路上走行シミュレーションによる試験が行われる。その際、本発明の車両特性計測装置は、予め試験走行パターンでの路上走行時に測定された垂直力か垂直位置の測定データ、またはコンピュータシミュレーションから得られた垂直力か垂直位置のデータを用いてシャシダイナモメータ上で再現運転を行うものである。
【0064】
尚、本発明において、シャシダイナモメータの床面を路面と称して説明を行うものとする。
以下図に基づいて詳述する。
【実施例1】
【0065】
図1は、本発明の第1の実施例を示す構成図で、図11と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。5(5A,5B及び5F,5R)は床面に立設されるアクチュエータで、このアクチュエータ5は試験装置の床面と車両1間に配設され、その配設位置は、車両左右の中心線近傍で車両の前側と後側、および前後輪の略中間位置で車両の左右側にそれぞれアクチュエータを配置している。すなわち、図2に示すように、車両の中心線近傍に沿った前輪側,後輪側と、車両の重心点近傍の左右線上に略十字状に配設される。各アクチュエータに対する上下位置の制御は、制御装置10からの出力によって制御される。
【0066】
6は垂直力記憶部で、路上走行シミュレーションによって試験を行う走行パターンでの前2輪の垂直力(垂直荷重)Fz(FZFR,FZFL)と後2輪の垂直力Fz(FZRR,FZRL)を算出し、走行時間の時刻毎の車速に対応した垂直力Fzを予め記憶している。7はダイナモメータ制御装置であり、8は垂直力測定手段の一例としての計測器であり、シャシダイナモメータによる試験を実施するとき、路上走行でモード運転を行った時の走行時間若しくは速度に対する路面と車軸間の垂直方向の変化信号に基づいて測定垂直力を検出するものである。また、垂直力測定手段の他の例としては、前記アクチュエータ5から検出された検出信号に基づいて測定垂直力を求めるようにしても良い。
【0067】
なお、各記号は次の通りである。
F:アクチュエータ5Fの発生する力、FR:アクチュエータ5Rの発生する力、
A:アクチュエータ5Aの発生する力、FB:アクチュエータ5Bの発生する力、
ZFR:前右輪の垂直力FZ、FZFL:前左輪の垂直力FZ、FZRR:後右輪の垂直力FZ、FZRL:後左輪の垂直力FZ、アクチュエータの発生する力は下方向を正、FZの発生する力は上方向を正とする。
【0068】
図2は、車両1を上から見た図でタイヤの中間点O(0,0)を原点とする。
F(xAF,yAF):アクチュエータ5Fの位置
R(xAR,yAR):アクチュエータ5Rの位置
A(xAA,yAA):アクチュエータ5Aの位置
B(xAB,yAB):アクチュエータ5Bの位置
FR(xFR,yFR):タイヤFRの位置(H/2,W/2)
FL(xFL,yFL):タイヤFLの位置(H/2,−W/2)
RR(xRR,yRR):タイヤRRの位置(−H/2,W/2)
RL(xRL,yRL):タイヤRLの位置(−H/2,−W/2)
G(xG,yG):車両重心の位置
AX:アクチュエータ5F,5Rのx軸に関する距離(HAX=xAF−xAR
AY:アクチュエータ5F,5Rのy軸に関する距離(HAX=yAF−yAR
AX:アクチュエータ5A,5Bのx軸に関する距離(WAX=xAA−xAB
AY:アクチュエータ5A,5Bのy軸に関する距離(WAY=yAA−yAB
図3は制御装置10の構成図を示したものである。11は垂直力指令発生部で、図示省略されている車速指令発生器による車速指令に同期した時間信号で、垂直力記憶部6に記憶されている垂直力を読み込み、指令値FrzFR,FrzFL,FrzRR,FrzRLを生成して減算部12a〜12dに出力する。減算部12aでは前右輪の指令値FrzFRと前右輪の測定した垂直力FzFRとの差分を求めて前右輪の制御器13aに出力し、この制御器13aで両者の差が0となるような演算を行って制御信号(操作量)uFRを出力する。
【0069】
減算部12bでは前左輪の指令値FrzFLと前左輪の測定した垂直力FZFLとの差分を求めて前左輪の制御器13bに出力し、この制御器13bで両者の差が0となるような演算を行って制御信号(操作量)uFLを出力する。以下同様にして後右輪の指令値FrzRRとFzRR,及び後左輪の指令値FrzRLとFzRLとの各差分を求めて後右輪の制御器13c、及び後左輪の制御器13dに出力して制御信号(操作量)を演算し、uRR,uRLを出力する。
【0070】
14は非干渉化演算部で、この非干渉化演算部14は、前後左右の4輪各々の垂直力制御において他輪の垂直力制御による干渉を避けるために設けられたもので、演算された制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対して後述の非干渉化演算を行ってアクチュエータ位置指令(力指令)FrF,FrR,FrA,FrBを生成してアクチュエータ5F,5R,5A,5Bへ各別に出力し、各アクチュエータに対して垂直方向の力制御を行う。
【0071】
以上のように構成された車両特性試験装置において、車両1の前後に配設されたアクチュエータ5F,5Rの垂直方向の力をFF,FRとし、車両1の左右に配設されたアクチュエータ5A,5Bの垂直方向の力をFA,FBとすると、車両1に加速度、角加速度が生じない条件は以下のようになる。
【0072】
車両に加速度が発生しない条件
FzFR+FzFL+FzRR+FzRL=FF+FR+FA+FB+Mg …… (1)
ただし、M:車体質量、g:重力加速度
x軸に関して角加速度を発生しない条件
FAF+FRAR+FAAA+FBAB−FzFRFR−FzFLFL−FzRRRR
FzRLRL+MgxG=0 …… (2)
y軸に関して角加速度を発生しない条件
FAF+FRAR+FAAA+FBAB−FzFRFR−FzFLFL−FzRRRR
FzRLRL +MgyG=0 …… (3)
ここで、
FzT=FzFR+FzFL+FzRR+FzRL−Mg=FF+FR+FA+FB ……(4)
【0073】
【数31】
【0074】
として、(2),(3)及び(5)式より、(6)〜(9)式を用いてFF,FR,FA,FBを求める。
【0075】
【数32】
【0076】
【数33】
【0077】
【数34】
【0078】
【数35】
【0079】
ただし、dFzFR=FzFR+FzFL−FzRR−FzRL
dFzRF=FzFR−FzFL+FzRR−FzRL
また、(1)式の条件より
a+b=1 …… (10)
を満足するように変数a,b(以下調整変数という)を決定する。
【0080】
調整変数a,bは回転には関与せず、車両前後のアクチュエータ5F,5Rと左右のアクチュエータ5A,5Bの分担を変えることができ、非干渉化演算部14で次の(11)〜(17)式の演算を行うことにより4輪の垂直力Fzを独立に制御することが可能となる。
【0081】
【数36】
【0082】
【数37】
【0083】
【数38】
【0084】
【数39】
【0085】
【数40】
【0086】
【数41】
【0087】
【数42】
【0088】
4輪各々の垂直力Fz制御において、他輪の垂直力Fz制御からの干渉を避けるために、非干渉化演算部14は各輪の制御器13(13a〜13d)による制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対し、(11)〜(17)式の非干渉化演算を行ってアクチュエータ位置指令FrF,FrR,FrA,FrBを生成する。
なお、非干渉化演算はa=b=0.5とした場合である。
【0089】
以上により、単純なPI制御により4輪の垂直力を独立に制御することが可能になる。したがって、この実施例によれば、以下のような効果が生じるものである。
(1)路上走行時の車両の加減速に応じて発生する上下方向の変動を、路上走行時の車両の上下変動に倣って制御することにより、4輪に加わる垂直力を、加速状態までを含めて走行状態と一致させることができるので、モード運転による燃費、排ガス試験の試験精度が向上するものである。
(2)また、4輪に加わる垂直力を各々独立に制御できるため、曲線走行時の垂直力の再現が可能となるものである。
(3)非干渉化演算部を設けたことにより、アクチュエータの取付位置に対する制約が減少するものである。
(4)非干渉化演算部における演算は、単純なPI演算で4輪の各垂直力を独立に制御可能とするものである。
【実施例2】
【0090】
図4は第2の実施例を示した構成図である。第2の実施例では初期状態(試験装置のローラ2に車両1を載せ、アクチュエータにより力を加えない状態)での垂直力FZを基準とし、その値からの変動を制御する。そのため、垂直力記憶部6aには4輪の各初期値からの変動△FZに対応する指令値△FrzFR,△FrzFL,△FrzRR,△FrzRLが記憶される。
【0091】
また、制御装置10aには減算部15(15a〜15d)が設けられ、この減算部15a〜15dにおいて、計測器8又はアクチュエータ5F,5R,5A,5Bによって測定された4輪の垂直力FzFR,FzFL,FzRR,FzRLとそれぞれの初期値FzFR0,FzFL0,FzRR0,FzRL0との差分が算出される。差分は垂直力の測定値△FzFR,△FzFL,△FzRR,△FzRLとして減算部12a〜12dに出力され、この減算部において各測定値と指令値△FrzFR,△FrzFL,△FrzRR,△FrzRLとの差分を各別に算出して前後左右輪の各制御器13a〜13cにそれぞれ入力して差分が0となるような演算を行って制御信号(操作量)uFR〜uRLを非干渉化演算部14に出力する。
【0092】
前後左右の4輪各々の垂直力制御において他輪の垂直力制御による干渉を避けるための演算を実行する非干渉化演算部14は、制御信号uFR,uFL,uRR,uRLに対して後述の非干渉化演算を行ってアクチュエータ位置指令(力指令)
rF,FrR,FrA,FrBを生成してアクチュエータ5F,5R,5A,5Bへ各別に出力し、各アクチュエータに対する垂直方向への力制御を行う。
【0093】
この実施例2では、初期状態での垂直力Fzを基準として変動分を制御することから、FzFR=FzFR0+△FzFRのように、初期値を0,変動を△で現すと、実施例1に倣って以下の(18)〜(23)式の関係が成り立つ。ただし、アクチュエータに発生する力に関しては初期状態が0である。
【0094】
【数43】
【0095】
【数44】
【0096】
として、以下のようになる。
【0097】
【数45】
【0098】
【数46】
【0099】
【数47】
【0100】
【数48】
【0101】
ただし、δFzFR=△FzFR+△FzFL−△FzRR−△FzRL
δFzRL=△FzFR−△FzFL+△FzRR−△FzRL
したがって、非干渉化演算部14は(24)〜(30)式の演算を行う。
【0102】
【数49】
【0103】
【数50】
【0104】
【数51】
【0105】
【数52】
【0106】
【数53】
【0107】
【数54】
【0108】
【数55】
【0109】
したがって、この実施例によれば、実施例1の効果に加えて次のような効果を奏するものである。
路上走行状態をシミュレーションして垂直力を求め、この車両をシャシダイナモメータ上に載置して車両拘束装置によって固定することによって垂直方向の力がシミュレーションの場合と異なってくる。また、シャシダイナモメータ上ではドライバーが運転するが、その際、路上走行でのシミュレーション時のドライバーの体重を想定してもシャシダイナモメータ上でのドライバーとの体重が一致するとは限らない。
【0110】
よって、この実施例では初期状態の垂直方向の力をゼロとして変化分のみを補正している。すなわち、初期状態で記憶された垂直力と実際の車両の垂直力に差がある場合、アクチュエータが常時力を発生することがないので、アクチュエータの負荷が軽くなる利点を有するものである。
【実施例3】
【0111】
図5は第3の実施例を示す構成図で、この実施例の制御装置10bにより出力される制御信号は位置指令ZrF,ZrR,ZrA,ZrBとなっている。垂直力記憶部6は、路上走行シミュレーションによって試験を行う走行パターンでの前2輪の垂直力Fz(FZFR,FZFL)と後2輪垂直力Fz(FZRR,FZRL)を算出し、走行時間に対する垂直力Fzを予め記憶している。
【0112】
垂直力指令発生部11は、図示省略されている車速指令発生器に同期した時間信号で、垂直力記憶部6に記憶されている走行時間の時刻毎の車速に対応した垂直力を読み込み、指令値FrzFR,FrzFL,FrzRR,FrzRLを生成して減算部12a〜12dに出力する。減算部12aでは前2輪の指令値FrzFRと前右輪の測定した垂直力FzFRとの差分を求めて前右輪の制御器13aに出力し、この制御器13aで両者の差が0となるような演算を行って制御信号(操作量)uFRを出力する。
【0113】
減算部12bでは前2輪の指令値FrzFLと前左輪の測定した垂直力FZFLとの差分を求めて前左輪の制御器13bに出力し、この制御器13bで両者の差が0となるような演算を行って制御信号(操作量)uFLを出力する。以下同様にして後2輪の指令値FrzRRとFzRR,及び後2輪の指令値FrzRLとFzRLとの各差分を求めて後右輪の制御器13c、及び後左輪の制御器13dに出力して制御信号を演算し、uRR,uRLを出力する。
【0114】
非干渉化演算部14は、入力されたuFR,uFL,uRR,uRLに対して(31)〜(34)式の非干渉化演算を行い、生成した位置指令zRF,zRR,zRA,zRBによりアクチュエータ5F,5R,5A,5Bの高さ方向への位置制御を行う。
【0115】
【数56】
【0116】
【数57】
【0117】
【数58】
【0118】
【数59】
【0119】
ただし、zF0,zR0,zA0,zB0:初期状態でのアクチュエータの高さ、KFR,KFL,KRR,KRL,:垂直方向の前後輪タイヤとサスペンションを合成した剛性。
【0120】
この実施例は次のような考えに基づくものである。
停止状態で、アクチュエータから車両に力を加えていないときの車軸の高さをzzFR0,zzFL0,zzRR0,zzRL0、試験時の車軸の高さをzzFR,zzFL,zzRR,zzRL、アクチュエータの高さをzFR,zFL,zRR,zRL、初期状態での高さzF0,zR0,zA0,zB0には以下の関係式(A1),(A2)が成り立つ。
【0121】
【数60】
【0122】
【数61】
【0123】
車両のサスペンションとの接続部を含む平面の方程式を
z=α・x+β・y+γ …… (A3)
とすると、
【0124】
【数62】
【0125】
変形して
【0126】
【数63】
【0127】
となるので、Π´を最小二乗法で求める。
【0128】
【数64】
【0129】
式(A2)より
【0130】
【数65】
【0131】
であり、したがって、アクチュエータは(A3)と平行な面上に取付けられるとして、高さは以下のようになる。
【0132】
【数66】
【0133】
垂直力Fzとアクチュエータの高さとの関係は以下のようになる。
【0134】
【数67】
【0135】
【数68】
【0136】
とすることにより、非干渉化された高さ指令に変換できる。
【0137】
【数69】
【0138】
したがって、
【0139】
【数70】
【0140】
【数71】
【0141】
【数72】
【0142】
【数73】
【0143】
となる。
【0144】
この実施例によれば、タイヤの剛性がパラメータとして必要になるが、剛性を等しいとすれば非干渉化演算が簡単になる。他は実施例1,2と同様の効果が得られるものである。
【実施例4】
【0145】
図6は、第4の実施例を示す構成図で、図1と同一部分若しくは相当する部分に同一符号を付してその説明を省略する。この実施例におけるアクチュエータは、車両の前後左右輪の各近辺に設置エリアを設けてそのエリア内に設置される。アクチュエータの設置エリアは、左右前後の車輪近傍か、又は左右前輪の後方近傍と車両先端間、左右後輪の前方近傍と車両後端間で、走行試験においてアクチュエータが発する力に耐えられる強度を持つ車両の設置可能な場所である。
図7は設置エリア内でのアクチュエータの配置例を示したもので、この例では各前輪の前側と各後輪の後側にそれぞれアクチュエータ5FR,5FL,5RR,5RLが設置されている。
【0146】
図6図7で示す各記号は次の通りである。
FR:アクチュエータ5FRの発生する力、FFL:アクチュエータ5FLの発生する力、FRR:アクチュエータ5RRの発生する力、FRL:アクチュエータ5RLの発生する力、
ZFR:前右輪の垂直力、FZFL:前左輪の垂直力、FZRR:後右輪の垂直力、FZRL:後左輪の垂直力、アクチュエータの発生する力は下方向を正、垂直力の発生する力は上方向を正とする。
【0147】
図7は、車両1を上から見た図でタイヤの中間点O(0,0)を原点とする。
FR(xAFR,yAFR):アクチュエータ5FRの位置
FL(xAFL,yAFL):アクチュエータ5FLの位置
RR(xARR,yARR):アクチュエータ5RRの位置
RL(xARL,yARL):アクチュエータ5RLの位置
FR(xFR,yFR):タイヤFRの位置(H/2,W/2)
FL(xFL,yFL):タイヤFLの位置(H/2,−W/2)
RR(xRR,yRR):タイヤRRの位置(−H/2,W/2)
RL(xRL,yRL):タイヤRLの位置(−H/2,−W/2)
G(xG,yG):車両重心の位置
RL:アクチュエータ5FR,5RLのx軸に関する距離(HRL=xAFR−xARL
LR:アクチュエータ5FL,5RRのx軸に関する距離(HLR=xAFL−xARR
RL:アクチュエータ5FR,5RLのy軸に関する距離(WRL=yAFR−yARL
LR:アクチュエータ5FL,5RRのy軸に関する距離(WLR=−yAFL+yARR
図8は、この実施例の制御装置10cの構成図を示したもので、図3との同一部分若しくは相当する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
路上走行シミュレーションにより、試験を行うパターンでの前2輪の垂直力(FZFR,FZFL)及び後2輪の垂直力(FZRR,FZRL)を算出し、走行時間の時刻毎の車速に対応した垂直力が垂直力記憶部6に記憶されている。
【0148】
ダイナモメータにより試験を実施するとき、垂直力指令発生部11は、垂直力記憶部6で走行パターンに同期して記憶されている垂直力を読み込み、指令値FrzFR,FrzFL,FrzRR,FrzRLを減算部12a〜12dに出力する。減算部12aでは前右輪の指令値FrzFRと例えば計測器8で測定した前右輪の垂直力FzFRとの差分を求めて前右輪の制御器13aに出力し、この制御器13aで両者の差が0となるような演算を行って制御信号(操作量)uFRを出力する。
【0149】
減算部12bでは前左輪の指令値FrzFLと例えば計測器8で測定した前左輪の垂直力FZFLとの差分を求めて前左輪の制御器13bに出力し、この制御器13bで両者の差が0となるような演算を行って制御信号(操作量)uFLを出力する。以下同様にして後右輪の指令値FrzRRとFzRR,及び後左輪の指令値FrzRLとFzRLとの各差分を求めて後右輪の制御器13c、及び後左輪の制御器13dに出力して制御信号(操作量)を演算し、uRR,uRLを出力する。
【0150】
非干渉化演算部14は、前後左右の4輪各々の垂直力制御において他輪の垂直力制御による干渉を避けるため演算を実行し、各アクチュエータの力指令FrFR,FrFL,FrRR,FrRLを生成して各アクチュエータへ各別に出力し、各アクチュエータに対して垂直方向の力制御を行う。
車両1の前後左右に配設されたアクチュエータ5FR,5FL,5RR,5RLの垂直方向の力をFFR,FFL,FRR,FRLとすると、車両1に加速度、角加速度が生じない条件は以下のようになる。
【0151】
車両に加速度が発生しない条件
FzFR+FzFL+FzRR+FzRL=FFR+FFL+FRL+FRL+M・g …… (35)
ただし、M:車体質量、g:重力加速度
x軸に関して角加速度を発生しない条件
FRAFR+FFLAFL+FRRARR+FRLARL−FzFRFR−FzFLFL+
FzRRRR+FzRLRL+MgxG=0 …… (36)
y軸に関して角加速度を発生しない条件
FRAFR+FFLAFL+FRRARR+FRLARL−FzFRFR−FzFLFL+
FzRRRR+FzRLRL+MgyG=0 …… (37)
ここで、
【0152】
【数74】
【0153】
【数75】
【0154】
として、(36),(37),(39)式より(40)式に基づいて垂直力FFR,FFL,FRR,FRLを求める。なお、(39)式の部分が実施例1とアクチュエータの配置位置を異にしている部分で、各アクチュエータを4輪近くへの配置を可能とし、これにより、より正確な垂直制御を可能としている。
【0155】
【数76】
【0156】
また、(35)式の条件より
a+b=1 …… (41)
を満たす必要がある。例えば、a=b=1/2とすると(42)式となる。
【0157】
【数77】
【0158】
したがって、非干渉化演算部14は4輪各々の垂直力の制御において、制御演算出力uFR,uFL,uRR,uRLに対して以下の(43)〜(46)式による非干渉化演算を行い、アクチュエータ力指令FrFR,FrFL,FrRR,FrRLを生成することにより、他輪の垂直力制御からの干渉を避けることが出来る。
【0159】
【数78】
【0160】
【数79】
【0161】
【数80】
【0162】
【数81】
【0163】
ただし、a+b=1
以上により、単純なPI制御により4輪の垂直力を独立に制御することが可能になる。
【0164】
この実施例によれば、車両左右の各前後輪のタイヤと平行した線上で、車両先端と前輪間、及び車両後尾と後輪間にアクチュエータを取り付けることによってアクチュエータの取付け位置が4輪に近くなり、実施例1と比較して車両剛性の影響が受け難くなるため、より正確な垂直力制御が可能となって、モード運転による燃費、排ガス試験の精度が向上するものである。また、アクチュエータの設置位置に対する自由度が増すと共に、アクチュエータの負荷が均等になり、同じアクチュエータの使用が可能となる。他は、実施例1と同様な効果を有するものである。
【実施例5】
【0165】
第5の実施例は、初期状態(シャシダイナモメータのローラに車両を載せ、アクチュエータにより力を加えない状態)での垂直力を基準とし、その値からの変動を制御するものである。図9に制御装置10dの構成図を示す。
【0166】
垂直力記憶部6には、路上走行シミュレーションにより、試験を行う走行パターンでの前後左右輪の各垂直値を算出し、各々の時間に対する垂直力FzFR,FzFL,FzRR,FzRLと初期値FzFR0,FzFL0,FzRR0,FzRL0との偏差垂直値△FrzFR,△FrzFL,△FrzRR,△FrzRLが垂直力記憶部6に記憶される。垂直力指令発生部11は、垂直力記憶部6で走行パターンに同期して記憶されている垂直力を読み込み、指令値△FrzFR,△FrzFL,△FrzRR,△FrzRLを減算部12a〜12dに出力する。
【0167】
15a〜15dは減算部で、各減算部15a〜15dには、例えば計測器8により計測された計測値FzFR,FzFL,FzRR,FzRLと初期値FzFR0,FzFL0,FzRR0,FzRL0とが入力されて両者の偏差垂直値△FzFR,△FzFL,△FzRR,△FzRLが求められる。各偏差垂直値は各別に減算部12a〜12dに入力されて読み出された指令値△FrzFR,△FrzFL,△FrzRR,△FrzRLとの差分が求められ、その差分が制御器13a〜13dに入力されて操作量uFR,uFL,uRR,uRLを演算し、出力する。
【0168】
非干渉化演算部14は、前後左右の4輪各々の垂直力制御において他輪の垂直力制御による干渉を避けるための演算を実行し、各アクチュエータの力指令FrFR,FrFL,FrRR,FrRLを生成して各アクチュエータに対して垂直方向の力制御を行う。
【0169】
ここで、FzFR=FzFR0+△FzFRのように、初期値を0,変動を△で表すと、実施例4に倣って以下の(47)式,(48)式の関係が成り立つ。
ただし、アクチュエータの発生する力に関しては初期状態が0である。
【0170】
【数82】
【0171】
【数83】
【0172】
したがって、非干渉化演算部14による非干渉化演算は以下の(49)〜(52)式のように行う。
【0173】
【数84】
【0174】
【数85】
【0175】
【数86】
【0176】
【数87】
【0177】
したがって、この実施例も実施例4と同様な効果を有するものである。
【実施例6】
【0178】
図10は第6の実施例を示す制御装置10bの構成図で、図5で示す第3の実施例と同様に制御装置10bから出力される制御信号は位置指令ZrFR,ZrFL,ZrRR,ZrRLとなっている。したがって、非干渉化演算部14は、制御器13の出力uFR,uFL,uRR,uRLに対して以下の(53)〜(56)式に基づく非干渉化演算を行って生成した位置指令ZrFR,ZrFL,ZrRR,ZrRLによりアクチュエータの高さ方向に対する位置制御を行う。
【0179】
【数88】
【0180】
【数89】
【0181】
【数90】
【0182】
【数91】
【0183】
ここで、ZFR0,ZFL0,ZRR0,ZRL0:初期状態でのアクチュエータの高さ、KFR,KFL,KRR,KRL:垂直方向の前後輪タイヤとサスペンションを合成した剛性。
【0184】
したがって、この実施例も、実施例4と同様な効果を有するものである。
【0185】
なお、この実施例は次のような考えに基づくものである。
停止状態でアクチュエータから車両に力を加えていないときの車軸の高さZZFR0,ZZFL0,ZZRR0,ZZRL0,試験時の車軸の高さをZZFR,ZZFL,ZZRR,ZZRL,アクチュエータの高さZFR,ZFL,ZRR,ZRL,初期状態での高さZFR0,ZFL0,ZRR0,ZRL0には以下の(A16)式,(A17)式の関係が成り立つ。
【0186】
【数92】
【0187】
【数93】
【0188】
車体のサスペンションとの接続部を含む平面の方程式を
z=α・x+β・y+γ …… (A18)
とすると、
【0189】
【数94】
【0190】
【数95】
【0191】
【数96】
【0192】
【数97】
【0193】
であり、したがって、アクチュエータは(A18)式と平行な面上に取り付けられるとして、高さは(A23)式のようになる。
【0194】
【数98】
【0195】
垂直力Fzとアクチュエータの高さとの関係は(A24)式のようになる。
【0196】
【数99】
【0197】
【数100】
【0198】
とすることにより非干渉化された高さ指令に変換できる。
【0199】
【数101】
【0200】
したがって、
【0201】
【数102】
【0202】
【数103】
【0203】
【数104】
【0204】
として、
【0205】
【数105】
【0206】
となる。
【符号の説明】
【0207】
1… 被試験車両
2… ローラ
3… 拘束装置
4… ダイナモメータ
5… アクチュエータ
6(6a)… 垂直力記憶部
7… ダイナモメータ制御装置
8… 計測器
10(10a,10b,10c,10d)… 制御装置
11… 垂直力指令発生部
12(12a〜12d)… 減算部
13(13a〜13d)… 制御器
14… 非干渉化演算部
15(15a〜15d)… 減算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11