(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コイル側ヨーク、あるいは前記第一及び第二ヨークの、前記操作力の入力に伴う可動範囲内において、前記コイル側ヨーク、及び前記第一、第二ヨークが互いに重なる方向から投影した場合の、前記第一磁石、あるいは前記第二磁石に対する前記反発用磁石の重なる面積は、一定となるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
前記コイル、前記コイル側ヨーク、前記第一ヨーク、前記第二ヨーク、前記第一磁石、及び前記第二磁石は、二組設けられて、第一アクチュエータ(39x)、及び第二アクチュエータ(39y)を形成しており、
前記第一アクチュエータにおける前記コイルによって発生する電磁力(EMF_x)が、前記操作平面に沿う第一方向への操作反力(RF_x)として、前記操作ノブに入力され、
前記第二アクチュエータにおける前記コイルによって発生する電磁力(EMF_y)が、前記操作平面に沿う前記第一方向と交差する第二方向への操作反力(RF_y)として、前記操作ノブに入力されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、特許文献1では、磁石と固定ヨークとの間において、z軸方向に磁石による吸引力が発生するので、操作ノブの操作によって可動コア及び磁石が移動される際に、摺動部材との間に摩擦力が発生し、操作フィーリングが悪化するという問題があった。
【0006】
よって、発明者らは、上記の問題点を解決するために、先の出願(特願2013−268746)にて、固定ヨークを挟むように、両側に磁石の固定された可動ヨークを配置して、z軸方向の吸引力を相殺するようにしたものを発案した。
【0007】
しかしながら、固定ヨークに対する磁石までの距離のバラツキ、あるいは磁石自体の寸法のバラツキ等によっては、z軸方向の吸引力にバラツキが発生して、お互いの吸引力を完全には相殺できないことが分かった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、ヨークの両側に磁石を配置するものにおいて、磁石の吸引力の差による影響を効果的に抑制可能とする入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0010】
本発明では、仮想の操作平面(OP)に沿う方向の操作力が入力される入力装置であって、
巻線の巻回しによって形成されるコイル(41)と、
コイルに挿入される板状のコイル側ヨーク(52)と、
コイル側ヨークの両面側に平行配置される板状の第一ヨーク(71)及び第二ヨーク(72)と、
コイル側ヨークと第一ヨークとの対向する面のいずれかに配置されて、コイル側ヨーク及び第一ヨーク間で磁束を発生させる第一磁石(61)と、
コイル側ヨークと第二ヨークとの対向する面のいずれかに配置されて、コイル側ヨーク及び第二ヨーク間で磁束を発生させる第二磁石(62)と、
コイル側ヨーク、あるいは第一及び第二ヨークに接続されて操作力が入力される操作ノブ(73)と、を備え、
コイルへの電流の印加によって発生する電磁力が、操作力に対する操作反力として操作ノブに作用されるようになっており、
第一磁石の、コイル側ヨークあるいは第一ヨークに対する第一吸引力(F1)と、第二磁石の、コイル側ヨークあるいは第二ヨークに対する第二吸引力(F2)との合力を相殺するように、第一磁石、あるいは第二磁石に対して反発力(RF1)を発生させる反発用磁石(55)が、コイル側ヨーク、第一ヨーク、あるいは第二ヨークのいずれかに設けられたことを特徴としている。
【0011】
入力装置を構成する各部材の寸法、あるいは各部材間の寸法等にバラツキ等が発生すると、第一磁石による第一吸引力と、第二磁石による第二吸引力とに差が生じて、両吸引力を相殺できない。この場合、両吸引力の差が合力として残り、この合力によって操作ノブの操作時に、摩擦力を伴う形となるので、操作ノブの操作フィーリングにバラツキが発生してしまう。
【0012】
本発明では、コイル側ヨーク、第一ヨーク、あるいは第二ヨークのいずれかに、第一吸引力と第二吸引力との合力を相殺するように、反発力を発生させる反発用磁石を設けるようにしているので、第一、第二磁石の吸引力の差による影響を効果的に抑制することが可能となる。
【0013】
尚、上記括弧内の参照番号は、本発明の理解を容易にすべく、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
【0016】
(第一実施形態)
図1に示す本発明の第一実施形態による操作入力装置100は、車両に搭載され、車室内の表示器、例えばナビゲーション装置20又はヘッドアップディスプレイ装置120(
図2参照)等と共に表示システム10を構成している。操作入力装置100は、
図2に示されるように、車両のセンターコンソールにてパームレスト19と隣接する位置に設置され、操作者の手の届き易い範囲に操作ノブ73を露出させている。この操作ノブ73は、操作者の手H等によって操作力が入力されると、入力された操作力の方向に変位する。
【0017】
ナビゲーション装置20は、車両のインスツルメントパネル内に設置され、運転席に向けて表示画面22を露出させている。表示画面22には、所定の機能が関連付けられた複数のアイコン、及び任意のアイコンを選択するためのポインタ80等が表示されている。操作ノブ73に水平方向の操作力が入力されると、ポインタ80は、操作力の入力方向に対応した方向に、表示画面22上を移動する。ナビゲーション装置20は、
図1及び
図2に示されるように、通信バス90と接続され、操作入力装置100等とネットワーク通信可能である。ナビゲーション装置20は、表示画面22に表示される画像を描画する表示制御部23、及び表示制御部23によって描画された画像を表示画面22に連続的に表示する液晶ディスプレイ21を有している。
【0018】
以上の操作入力装置100の各構成を詳しく説明する。操作入力装置100は、
図1に示すように、通信バス90及び外部のバッテリ95等と接続されている。操作入力装置100は、通信バス90を通じて、離れて位置するナビゲーション装置20と通信可能とされている。また操作入力装置100は、各構成の作動に必要な電力を、バッテリ95から供給される。
【0019】
操作入力装置100は、通信制御部35、操作検出部31、反力発生部39、反力制御部37、及び操作制御部33等によって電気的に構成されている。
【0020】
通信制御部35は、操作制御部33によって処理された情報を通信バス90に出力する。加えて通信制御部35は、他の車載装置から通信バス90に出力された情報を取得し、操作制御部33に出力する。
【0021】
操作検出部31は、操作力の入力によって移動した操作ノブ73(
図2参照)の位置を検出する。操作検出部31は、検出した操作ノブ73の位置を示す操作情報を、操作制御部33に出力する。
【0022】
反力発生部39は、操作ノブ73に操作反力を生じさせる構成であって、ボイスコイルモータ等のアクチュエータを含んでいる。反力発生部39は、例えば表示画面22上においてポインタ80(
図2参照)がアイコンと重なる際に、操作反力を操作ノブ73(
図2参照)に印加することで、所謂反力フィードバックにより、擬似的なアイコンの触感を操作者に惹起させる。
【0023】
反力制御部37は、例えば種々の演算を行うためのマイクロコンピュータ等によって構成されている。反力制御部37は、操作制御部33から取得する反力情報に基づいて、反力発生部39から操作ノブ73に印加される操作反力の方向及び強さを制御する。
【0024】
操作制御部33は、例えば種々の演算を行うためのマイクロコンピュータ等によって構成されている。操作制御部33は、操作検出部31によって検出された操作情報を取得し、通信制御部35を通じて通信バス90に出力する。加えて操作制御部33は、操作ノブ73(
図2参照)に印加する操作反力の方向及び強さを演算し、演算結果を反力情報として反力制御部37に出力する。
【0025】
操作入力装置100は、
図3に示すように、可動部70及び固定部50等によって機械的に構成されている。
【0026】
可動部70は、後述する一対の可動ヨーク71、72を保持するノブベース74、及び上述の操作ノブ73を有している。可動部70は、固定部50に対し、仮想の操作平面OPに沿うx軸方向及びy軸方向に相対移動可能に設けられている。可動部70は、x軸方向及びy軸方向のそれぞれに移動可能な範囲を、固定部50によって予め規定されている。可動部70は、印加されていた操作力から解放されると、基準となる基準位置に帰着する。
【0027】
固定部50は、ハウジング50a、摺動板50b(
図11、
図12)、及び回路基板59等を有しており、後述する固定ヨーク51を保持している。ハウジング50aは、可動部70を相対移動可能に支持しつつ、回路基板59及び反力発生部39等の各構成を収容する。摺動板50bは、可動部70が移動される際のガイド板となっており、ハウジング50a内に固定されている。回路基板59は、その板面方向を、操作平面OPに沿わせた姿勢にて、ハウジング50a内に固定されている。回路基板59には、操作制御部33及び反力制御部37等を構成するマイクロコンピュータ等が実装されている。
【0028】
以上の可動部70及び固定部50間において、
図3〜
図5に示す反力発生部39が反力フィードバックを実施する。反力発生部39は、2組のアクチュエータとして機能する第一ボイスコイルモータ(VCM)39x及び第二VCM39y、並びに固定ヨーク51及び二つの可動ヨーク71,72等によって構成されている。
【0029】
第一VCM39xは、第一コイル41、二つの磁石61,62、固定ヨーク51(第一コイル側ヨーク部52)、及び可動ヨーク71、72を有している。第二VCM39yは、第二コイル42、二つの磁石63,64、固定ヨーク51(第二コイル側ヨーク部53)、及び可動ヨーク71、72を有している。以下、各コイル41,42、各磁石61〜64、固定ヨーク51、及び各可動ヨーク71,72の詳細を、順に説明する。
【0030】
各コイル41,42は、銅等の非磁性材料よりなる線材を巻線49として、扁平の筒状に巻回しすることにより形成されている。各コイル41,42において、巻線49の巻回軸方向と直交する横断面は、長方形状に形成されている。各巻線49は、各コイル41,42における筒壁の厚さが例えば3mm程度となるまで巻回しされている。各コイル41,42において、巻回しされた巻線49の内周側には、巻回軸方向に延伸する収容室41a,42aが形成されている。各コイル41,42は、回路基板59に設けられた配線パターンを介して反力制御部37と電気的に接続され、当該反力制御部37によって各巻線49に個別に電流が印加される。
【0031】
各コイル41,42は、互いに僅かな隙間を開けつつ、y軸に沿って並べられている。各コイル41,42は、巻線49の巻回軸方向を操作平面OPに沿わせた姿勢にて、回路基板59等の固定部50に対し固定されている。一方のコイル(以下、「第一コイル」)41の巻回軸方向は、x軸に沿っている。他方のコイル(以下、「第二コイル」)42の巻回軸方向は、y軸に沿っている。各コイル41,42は、操作平面OPに沿った一対のコイル側面41u,41d,42u,42dをそれぞれ形成している。各コイル41,42において、操作ノブ73側を向く各一方を上側コイル側面41u,42uとし、回路基板59側を向く各他方を下側コイル側面41d,42dとする。各コイル側面41u,41d,42u,42dは、各辺がx軸又はy軸に沿った略四辺形状に形成されている。
【0032】
各磁石61〜64は、ネオジウム磁石等であって、長手方向を有する略四辺形の板状に形成されている。二つの磁石61,62は、操作平面OPと実質直交するz軸方向において互いに離れて位置し、且つ、当該z軸方向に並んでいる。同様に、他の二つの磁石63,64は、z軸方向において互いに離れて位置し、且つ、当該z軸方向に並んでいる。各磁石61〜64のそれぞれには、平滑な平面状に形成された着磁面68及び取付面69が設けられている。各磁石61〜64において、着磁面68及び取付面69の磁極は、互いに異なっている(
図6及び
図7も参照)。
【0033】
二つの磁石61,63の各取付面69は、長辺をx軸に沿わせた姿勢にて、可動ヨーク71に取り付けられている。可動ヨーク71に保持された磁石61の着磁面68は、z軸方向において所定の間隔を開けつつ、第一コイル41の上側コイル側面41uと対向している。可動ヨーク71に保持された磁石63の着磁面68は、z軸方向において所定の間隔を開けつつ、第二コイル42の上側コイル側面42uと対向している。
【0034】
他の二つの磁石62,64の各取付面69は、長辺をx軸に沿わせた姿勢にて、可動ヨーク72に取り付けられている。可動ヨーク72に保持された磁石62の着磁面68は、z軸方向において所定の間隔を開けつつ、第一コイル41の下側コイル側面41dと対向している。可動ヨーク72に保持された磁石64の着磁面68は、z軸方向において所定の間隔を開けつつ、第二コイル42の下側コイル側面42dと対向している。各着磁面68は、可動部70が基準位置に帰着している場合において、対向する各コイル側面41u,41d,42u,42dの中央に位置する。
【0035】
以上の構成では、
図6に示すように、各磁石61,62の発生磁束は、第一コイル41の巻線49をz軸方向に通過(貫通)する。故に、第一コイル41への電流の印加により、磁場中に置かれた巻線49内を電荷が移動すると、各電荷にはローレンツ力が生じる。こうして第一VCM39xは、第一コイル41及び各磁石61,62間にて、x軸方向(第一方向)の電磁力EMF_xを生じさせる。第一コイル41に印加する電流の向きを反転させることにより、発生する電磁力EMF_xも反転し、x軸に沿った逆向きの方向となる。
【0036】
また
図7に示すように、各磁石63,64の発生磁束は、第二コイル42の巻線49をz軸方向に通過(貫通)する。故に、第二コイル42への電流の印加により、磁場中に置かれた巻線49内を電荷が移動すると、各電荷にはローレンツ力が生じる。こうして第二VCM39yは、第二コイル42及び各磁石63,64間にて、y軸方向(第二方向)の電磁力EMF_yを生じさせる。第二コイル42に印加する電流の向きを反転させることにより、発生する電磁力EMF_yも反転し、y軸に沿った逆向きの方向となる。
【0037】
図3〜5に示す固定ヨーク51は、例えば軟鉄及び電磁鋼板等の磁性材料によって形成されている。固定ヨーク51には、二つのコイル側ヨーク部52,53、及び連結部54が設けられている。コイル側ヨーク部52,53、及び連結部54は、平板状に形成されている。
【0038】
一方のコイル側ヨーク部(以下、「第一コイル側ヨーク部」)52は、第一コイル41の収容室41aに挿入され、当該収容室41aを貫通している。収容室41aに収容された第一コイル側ヨーク部52の両面には、第一対向面52aが形成されている。二つの第一対向面52aは、第一コイル41の内周側に位置し、第一コイル41の外周側に配置された各磁石61,62と共に当該コイル41を内外の両側から挟むよう、これら磁石61,62の各着磁面68と個々に対向配置されている。以上の第一コイル側ヨーク部52に誘導された各磁石61,62の発生磁束は、第一コイル41の巻線49をz軸方向に通過(貫通)する。
【0039】
他方のコイル側ヨーク部(以下、「第二コイル側ヨーク部」)53は、第二コイル42の収容室42aに挿入され、当該収容室42aを貫通している。収容室42aに収容された第二コイル側ヨーク部53の両面には、第二対向面53aが形成されている。二つの第二対向面53aは、第二コイル42の内周側に位置し、第二コイル42の外周側に配置された各磁石63,64と共に当該コイル42を内外の両側から挟むよう、これら磁石63,64の各着磁面68と個々に対向配置されている。以上の第二コイル側ヨーク部53に誘導された各磁石63,64の発生磁束は、第二コイル42の巻線49をz軸方向に通過(貫通)する。
【0040】
連結部54は、各コイル41,42に沿ってL字状に屈曲している。連結部54は、第一コイル41に収容された第一コイル側ヨーク部52から、第二コイル42に収容された第二コイル側ヨーク部53まで延伸することにより、二つのコイル側ヨーク部52,53を連結させている。以上により、第一コイル41の収容室41aから、第二コイル42の収容室42aまで延伸する固定ヨーク51が形成されている。
【0041】
各可動ヨーク71,72は、固定ヨーク51と同様に、軟鉄及び電磁鋼板等の磁性材料によって形成されている。各可動ヨーク71,72は、共に長方形状の平板材によって形成されており、互いに実質同一の形状とされている。各可動ヨーク71、72は、固定ヨーク51(第一コイル側ヨーク部52、第二コイル側ヨーク部53)の両面側に平行配置されている。各可動ヨーク71,72は、二つのコイル41,42をz軸方向において挟みつつ対向する配置にて、ノブベース74に保持されている。
【0042】
各可動ヨーク71,72のそれぞれには、第一保持面71a,72a及び第二保持面71b,72bが形成されている。一方の可動ヨーク71は、第一保持面71aによって磁石61の取付面69を保持し、第二保持面71bによって磁石63の取付面69を保持している。他方の可動ヨーク72は、第一保持面72aによって磁石62の取付面69を保持しつつ、第二保持面72bによって磁石64の取付面69を保持している。
【0043】
第一コイル側ヨーク部52、及び第二コイル側ヨーク部53には、反発用磁石55(
図9〜
図11)が設けられている。反発用磁石55は、長手方向を有する略四辺形の板状に形成されている。反発用磁石55の長手方向は、y軸に沿うように配置されている。反発用磁石55は、各コイル側ヨーク部52、53において、例えば、可動ヨーク72と対向する側の面にそれぞれ設けられており、それぞれ対向する磁石62、64に対して反発力を発生するようになっている。
【0044】
反発用磁石55は、磁石61と第一コイル側ヨーク部52との間の磁気吸引力(第一吸引力)、及び磁石62と第一コイル側ヨーク部52との間の磁気吸引力(第二吸引力)の合力(アンバランス)を相殺するための磁石となっている。同様に、反発用磁石55は、磁石63と第二コイル側ヨーク部53との間の磁気吸引力(第一吸引力)、及び磁石64と第二コイル側ヨーク部53との間の磁気吸引力(第二吸引力)の合力(アンバランス)を相殺するための磁石となっている(詳細後述)。
【0045】
反発用磁石55は、各ヨーク51、71、72が重なる方向(z軸方向)から投影した場合に、磁石62、64に対して交差するように重なっている。よって、操作ノブ73によって可動ヨーク71、72がどの位置に移動されても、操作力の入力に伴う可動ヨーク71、72の可動範囲内においては、両磁石55、62、及び両磁石55、64の重なり合う面積は、常に一定となるように設定されている(
図9)。
【0046】
以上説明した固定ヨーク51及び二つの可動ヨーク71,72等は、磁路形成体66として、
図6〜
図8に示す反力発生部39の磁気回路65を形成している。磁気回路65は、固定ヨーク51及び各可動ヨーク71,72を巡る形状により、第一VCM39xの各磁石61,62の発生磁束を第二VCM39yに導くと共に、第二VCM39yの各磁石63,64の発生磁束を第一VCM39xに導く。
【0047】
詳記すると、
図6及び
図8に示す第一VCM39xの各磁石61,62において、第一コイル41を向く各着磁面68の磁極は、同一とされている。故に、各磁石61,62が発生させる磁束の方向は、z軸に沿って互いに反対の方向となる。そのため、各第一対向面52aから、各第一保持面71a,72aに向かう磁束が生じる。これらの磁束は、各第一保持面71a,72aから各可動ヨーク71,72に入り、各可動ヨーク71,72のそれぞれにおいて、第一保持面71a,72aから第二保持面71b,72bに向う。
【0048】
さらに、
図7及び
図8に示す第二VCM39yの各磁石63,64において、第二コイル42を向く各着磁面68の磁極は、互いに同一とされ、且つ、第一コイル41と対向する二つの着磁面68(
図6も参照)の磁極とは異なっている。故に、各磁石63,64が発生させる磁束の方向は、z軸に沿って互いに対向する方向となる。そのため、各第二保持面71b,72bから、各第二対向面53aに向かう磁束が生じる。以上により、各可動ヨーク71,72によって誘導された磁束は、各第二対向面53aから第二コイル側ヨーク部53に入り、連結部54を通過して、第一コイル側ヨーク部52へと向かう。そして、固定ヨーク51内を誘導された磁束は、再び各第一対向面52aから各第一保持面71a,72a(
図6参照)へと向かう。
【0049】
以上により、
図6〜
図8に示す反力発生部39では、第一VCM39xにおける各磁石61,62の発生磁束は、当該VCM39xの第一コイル41を通過するだけでなく、磁気回路65によって導かれることで、第二VCM39yの第二コイル42を通過する。同様に、第二VCM39yにおける各磁石63,64の発生磁束は、第二コイル42を通過するだけでなく、磁気回路65によって導かれることにより、第一VCM39xの第一コイル41を通過する。よって、各第一対向面52a及び各第一保持面71a,72a間の磁束密度、並びに、各第二対向面53a及び各第二保持面71b,72b間の磁束密度は共に、二つのVCM39x,39yの磁気回路を個別に形成した形態と比較して、高くなる。こうして、第一コイル41の巻線49をz軸方向に貫通する磁束密度が向上することにより、第一VCM39xにて発生可能な電磁力EMF_xが増加する。同様に、第二コイル42の巻線49をz軸方向に貫通する磁束密度の向上により、第二VCM39yにて発生可能な電磁力EMF_xが増加する。したがって、各磁石61〜64の形成材料の使用量を抑えつつ、可動部70の操作ノブ73、ひいては操作者に作用可能な各操作反力RF_x,RF_yを高めることができる。
【0050】
次に、反発用磁石55の作用、つまり、各磁石61〜64による固定ヨーク51に対する磁気吸引力の調整作用について
図9〜
図14を用いて説明する。
【0051】
図12に示すように、磁石61と第一コイル側ヨーク部52との距離、及び磁石63と第二コイル側ヨーク部53との距離をL1とし、磁石62と第一コイル側ヨーク部52との距離、及び磁石64と第二コイル側ヨーク部53との距離をL2とする。また、磁石61による第一コイル側ヨーク部52に対する磁気吸引力をF1、磁石62による第一コイル側ヨーク部52に対する磁気吸引力をF2、磁石63による第二コイル側ヨーク部53に対する磁気吸引力をF3、磁石64による第二コイル側ヨーク部53に対する磁気吸引力をF4とする。
【0052】
反発用磁石55を設けない場合で、例えば、各コイル41、42と磁石61、63の間に設けられる摺動板50bの設定、あるいは各部の組付けバラツキ等によって、距離L1が距離L2よりも大きくなる場合であると、磁石61、63による磁気吸引力F1、F3は、磁石62、64による磁気吸引力F2、F4よりも小さくなる。よって、磁気吸引力F1、F3と、磁気吸引力F2、F4との相殺ができなくなる。この場合、トータルの磁気吸引力の合力は、上側を向く力となり、例えば、可動ヨーク71がハウジング50aに押し付けられて、移動時の摩擦力が発生してしまう。つまり、摺動抵抗が大きくなり、操作ノブ73による操作フィーリングにバラツキが発生してしまう。
【0053】
しかしながら、
図9〜
図11に示すように、本実施形態では、第一コイル側ヨーク部52、及び第二コイル側ヨーク部53に、磁気吸引力F1〜F4の合力を相殺するように、反発力を発生させる反発用磁石55を設けるようにしている。
図11に示すように、反発用磁石55によって、第一コイル側ヨーク部52では、磁石62に対して反発力RF1が発生し、また、第二コイル側ヨーク部53では、磁石64に対して反発力RF2が発生する。そして、この反発力RF1、RF2の合力によって、磁気吸引力の合力が相殺される。よって、磁石61、63と、磁石62、64との磁気吸引力の差による影響を効果的に抑制することが可能となる。
【0054】
上記内容を
図13、
図14を用いて補足説明する。
図14に示すように、可動ヨーク71と可動ヨーク72との上下方向(z軸方向)の位置のバラツキに対して、反発用磁石55を用いない場合では、下側となる可動ヨーク72の磁石62、64の磁気吸引力と、上側となる可動ヨーク71の磁石61、63の磁気吸引力との差が磁気吸引力の変動量として発生する。両ヨーク71、72の位置のバラツキが大きいほど、磁気吸引力の変動量は、大きくなる。これが摩擦力のバラツキとなり、摺動フィーリングに影響を与える。
【0055】
これに対して、
図13に示すように、反発用磁石55を用いた場合では、この反発用磁石55によって、磁気吸引力の合力を相殺するための反発力が得られるので、磁気吸引力の変動量を抑制することが可能となるのである。
【0056】
また、
図9に示すように、操作力の入力に伴う可動ヨーク71、72の可動範囲内においては、両磁石55、62、及び両磁石55、64の重なり合う面積は、常に一定となるように設定されているので、可動ヨーク71、72の可動に伴う反発力の変動をなくすことができる、どのような操作位置であっても、安定した上記効果を得ることができる。
【0057】
尚、第一実施形態において、操作入力装置100が特許請求の範囲に記載の「入力装置」に相当し、第一VCM39xが特許請求の範囲に記載の「第一アクチュエータ」に相当し、第二VCM39yが特許請求の範囲に記載の「第二アクチュエータ」に相当する。また、第一コイル41が特許請求の範囲に記載の「コイル」に相当する。また、磁石61,62が特許請求の範囲に記載の「第一磁石、第二磁石」に相当する。そして、第一コイル側ヨーク部52が特許請求の範囲に記載の「コイル側部」に相当し、可動ヨーク71、72が特許請求の範囲に記載の「第一ヨーク、第二ヨーク」に相当する。
【0058】
(その他の実施形態)
上記第一実施形態では、反力発生部39のアクチュエータとして、第一VCM39xと第二VCM39yとを備えるものとして説明したが、これに限定されることなく、第一VCM39x、第二VCM39yのうち、いずれが一方のみを備えるものとしてもよい。この場合は、2方向(x軸、y軸)のうち、一方のみの操作反力が得られるものとなるが、反発用磁石55を設けることで、上記第一実施形態と同様に、磁気吸引力の合力の影響を抑制することができる。
【0059】
また、上記第一実施形態に対して、固定ヨーク51を可動ヨークに置き換え、新たな可動ヨークに各磁石61〜64を設け、さらに、対向する可動ヨーク71,72をそれぞれ固定ヨークに置き換えたものとしてもよい。この場合、新たな固定ヨークの一方に反発用磁石55を設ける。これにより、上記第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、上記第一実施形態に対して、固定ヨーク51を可動ヨークに置き換え、さらに、対向する可動ヨーク71,72をそれぞれ固定ヨークに置き換えたものとしてもよい。そして、新たな固定ヨークに各磁石61〜64を設ける。この場合、新たな可動ヨークのいずれかの面に反発用磁石55を設ける。これにより、上記第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
また、上記第一実施形態に対して、各磁石61〜64を、各コイル41、42の収容室41a,42a内に収容して、固定ヨーク51の各対向面52a,53aそれぞれ固定したものとしてもよい。この場合、可動ヨーク71、72のいずれかの面に反発用磁石55を設ける。これにより、上記第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、上記第一実施形態の表示システム10は、ナビゲーション装置20に替えて、又はナビゲーション装置20と共に、
図2に示すヘッドアップディスプレイ装置120(参照)を備えたものとしてもよい。ヘッドアップディスプレイ装置120は、運転席の前方において車両のインスツルメントパネル内に収容されており、ウィンドウシールド内に規定された投影領域122に向けて画像を投影することにより、当該画像の虚像表示を行う。運転席に着座した操作者は、投影領域122を通して、所定の機能が関連付けられた複数のアイコン、及び任意のアイコンを選択するためのポインタ80等が視認可能となる。ポインタ80は、表示画面22に表示された場合と同様に、操作ノブ73への水平方向の操作入力により、操作力の入力方向に対応した方向に投影領域122内を移動可能である。
【0063】
また、上記第一実施形態では、ナビゲーション装置等を操作するための遠隔操作デバイスとして、センターコンソールに設置された操作入力装置に、本発明を適用した例を説明した。しかし本発明は、センターコンソールに設置されたシフトレバー等のセレクタ、及びステアリングに設けられたステアリングスイッチ等に、適用可能である。さらに、インスツルメントパネル、ドア等に設けられたアームレスト、及び後部座席の近傍等に設けられた種々の車両の機能操作デバイスにも、本発明は適用可能である。そしてさらに、車両用に限らず、各種輸送用機器及び各種情報端末等に用いられる操作系全般に、本発明を適用された操作入力装置は、採用可能である。