特許第6458588号(P6458588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458588
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】ランプ用冷却装置および光照射装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
   H05K7/20 G
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-63414(P2015-63414)
(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公開番号】特開2016-184627(P2016-184627A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】森口 繁樹
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−043374(JP,U)
【文献】 特開2014−044883(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0292970(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から給気された気体を所定方向に流す給気ダクトと、前記給気ダクトに対して前記所定方向と交差する方向に配置され前記給気ダクトから流入する前記気体によってランプを冷却する冷却ユニットとを備えるランプ用冷却装置であって、
前記給気ダクトの内方に配置され、前記気体の風量を調整する風量調整部材を備え、
前記風量調整部材は、前記気体の流れと正対する位置に配置される主面を有
前記給気ダクトの内壁面と接し前記所定方向に延びるように配置された、前記給気ダクトと前記冷却ユニットとの連通領域を一部仕切る仕切板を備える
ランプ用冷却装置。
【請求項2】
前記風量調整部材は、前記給気ダクトの流路の外側に配置される
請求項1に記載のランプ用冷却装置。
【請求項3】
前記風量調整部材は、前記給気ダクトの流路の外側のうち、前記冷却ユニットが配置される側以外の側に配置される
請求項2に記載のランプ用冷却装置。
【請求項4】
前記ランプ用冷却装置は、1つの前記冷却ユニットに対応させて、前記所定方向に離散的に配置された複数の前記風量調整部材を備えている
請求項1〜3のいずれか1項に記載のランプ用冷却装置。
【請求項5】
前記複数の風量調整部材は、前記冷却ユニットの前記所定方向における下流領域と中央領域とに対応した前記給気ダクトの内方に配置される
請求項4に記載のランプ用冷却装置。
【請求項6】
前記中央領域の風量調整部材は、前記冷却ユニットの前記所定方向における中点よりも上流側に対応した前記給気ダクトの内方に配置される
請求項5に記載のランプ用冷却装置。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載のランプ用冷却装置を備えた光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給気ダクトから流入する気体によってランプを冷却するランプ用冷却装置および光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂、塗料、インキまたは接着材等の硬化処理に用いられる直管型の紫外線ランプでは、発光時における紫外線ランプの温度上昇および温度分布が発光性能および寿命性能に大きく影響する。このため、上記紫外線ランプは、発光時には、冷却気体などを冷媒として均一に冷却される必要がある。
【0003】
特許文献1には、紫外線を放射する直管型のランプと、当該ランプの長尺方向に延びるように当該ランプの背面に設けられ、冷却気体をランプに供給するための送風路と、当該送風路およびランプを連通する送風通路とを備える紫外線照射装置が開示されている。この紫外線照射装置では、ランプの長尺方向における冷却気体の風量を均一にすべく、送風路には、送風路下流へ進むに従い送風路を縮径させる板状の傾斜板が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−91856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された紫外線照射装置は、送風路に傾斜板が設けられていない照射装置と比較して、送風路の長尺方向における風量を均一化して冷却効率を向上させることを目的としている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された紫外線照射装置では、送風路下流へ進むに従い送風路が縮径するため、送風路下流へ進むにつれて冷却気体の圧力は大きくなる。これにより、送風路下流へ進むにつれ送風通路における冷却気体の風速は増加すると考えられる。よって、送風路の入口部と終端部との風速を平滑化することは困難であり、送風路の長尺方向における風量を均一化して冷却効率を上げるという効果は必ずしも奏されない。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、供給された気体によるランプの冷却効率を向上させることが可能なランプ用冷却装置および光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るランプ用冷却装置は、外部から給気された気体を所定方向に流す給気ダクトと、前記給気ダクトに対して前記所定方向と交差する方向に配置され前記給気ダクトから流入する前記気体によってランプを冷却する冷却ユニットとを備えるランプ用冷却装置であって、前記給気ダクトの内方に配置され、前記気体の風量を調整する風量調整部材を備え、前記風量調整部材は、前記気体の流れと正対する位置に配置される主面を有する。
【0009】
これによれば、給気ダクトを所定方向に流れる気体は、給気ダクトの内方に配置された風量調整部材の主面に衝突し、当該主面で上記所定方向への流れを遮られる。このため、風量調整部材の主面付近は、相対的に気体静圧の高い状態となる。これにより、風量調整部材を起点として、給気ダクトを流れる気体を上記所定方向以外の方向へと導くことが可能となる。よって、給気ダクトを所定方向に流れる気体を、上記所定方向と交差する方向に配置された冷却ユニットに、効率よく流入させることができ、ランプの冷却効率を向上させることが可能となる。
【0010】
また、前記風量調整部材は、前記給気ダクトの流路の外側に配置されることにしてもよい。
【0011】
これによれば、給気ダクト内の流路中央部では、風量調整部材に遮られることなく上記所定方向に気体を流すことができる。よって、上記所定方向の気体の流れを阻害せずに、風量調整部材の主面付近で相対的に気体静圧の高い状態をつくることが可能となる。
【0012】
また、前記風量調整部材は、前記給気ダクトの流路の外側のうち、前記冷却ユニットが配置される側以外の側に配置されることにしてもよい。
【0013】
これによれば、風量調整部材の主面付近の気体を、選択的に冷却ユニットの方向へと導くことが可能となる。
【0014】
また、前記ランプ用冷却装置は、1つの前記冷却ユニットに対応させて、前記所定方向に離散的に配置された複数の前記風量調整部材を備えていることにしてもよい。
【0015】
これによれば、1つの冷却ユニットへの気体流入量を上記所定方向で平滑化することが可能となる。
【0016】
また、前記複数の風量調整部材は、前記冷却ユニットの前記所定方向における下流領域と中央領域とに対応した前記給気ダクトの内方に配置されることにしてもよい。
【0017】
これによれば、1つの冷却ユニットにおいて、下流領域および中央領域の気体流入量を増加させることが可能となる。よって、ランプの冷却効率を向上させることが可能となる。
【0018】
また、前記中央領域の風量調整部材は、前記冷却ユニットの前記所定方向における中点よりも上流側に対応した前記給気ダクトの内方に配置されることにしてもよい。
【0019】
一様な流路断面積を有する給気ダクトにおける気体の動的圧力は、上流側が低くなる傾向にある。上記構成によれば、1つの冷却ユニットにおいて、上流側の気体流入量を相対的に増加させることができる。よって、1つの冷却ユニット内における気体流入量を上記所定方向で平滑化することが可能となる。
【0020】
また、さらに、前記給気ダクトの内壁面と接し前記所定方向に延びるように配置された、前記給気ダクトと前記冷却ユニットとの連通領域を一部仕切る仕切板を備えることにしてもよい。
【0021】
これによれば、給気ダクトを流れる気体は、上記所定方向にわたり整流され、かつ、風量調整部材の主面付近において、効率的に気体静圧の高い状態となる。これにより、風量調整部材、および、給気ダクトと冷却ユニットとの連通領域を経由して、気体が冷却ユニットへ効率よく導入される。
【0022】
なお、本発明は、このようなランプ用冷却装置として実現することができるだけでなく、当該ランプ用冷却装置を備える光照射装置としても実現することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るランプ用冷却装置または光照射装置によれば、給気ダクトの内方に、気体の流れと正対する位置に配置された主面を有する風量調整部材を備えるので、ランプの冷却効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態に係るランプ用冷却装置の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るランプ用冷却装置の長尺方向で切断した場合の断面斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係るランプ用冷却装置の短尺方向で切断した場合の断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係るランプ用冷却装置の給気ダクトの内部構成を表す透視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る給気ダクトと冷却ユニットとの配置関係を表す断面図である。
図6】実施例および比較例に係る冷却気体の流速分布を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係るランプ用冷却装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、以下の各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0026】
(実施の形態)
[1.ランプ用冷却装置の基本構成]
まず、ランプ用冷却装置100の基本構成について、説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係るランプ用冷却装置100の外観を示す斜視図である。なお、同図では、筐体2の内部構成を、筐体2を透視して図示している。
【0028】
本実施の形態に係るランプ用冷却装置100は、例えば、樹脂、塗料、インキまたは接着材等の塗布物を硬化させるための紫外線を照射する紫外線ランプを冷却する装置である。
【0029】
ランプ用冷却装置100は、図1に示すように、筐体2と、給気ダクト3と、冷却ユニット4A、4B、4Cおよび4Dと、ランプ収容部5とを備える。なお、ランプ収容部5には、直管型のランプ1が収容されている。
【0030】
ランプ1は、例えば、波長365nmの紫外線を出射する長尺円筒形状の水銀ランプまたはメタルハライドランプであり、石英ガラス製である。また、ランプ1は、長尺方向(X軸方向)に直交する断面が円形状をなす密閉容器内に、例えば、アルゴン(Ar)ガス等の放電用ガス、ヨウ化水銀、ヨウ化鉄等が封入されており、ランプ1の長尺方向の両端に電極が設けられている。
【0031】
なお、ランプ1は、上述した紫外線波長を出射するものに限られず、可視光波長、または、赤外線波長を出射する照明デバイスであってもよい。また、ランプ1は、水銀ランプまたはメタルハライドランプに限られず、例えば、ナトリウムランプであってもよい。
【0032】
筐体2は、例えば、長尺直方体形状を有し、硬化対象のワークに紫外線を照射するための紫外線出射窓(図示せず)を下面に有する。
【0033】
給気ダクト3は、筐体2内部の上方であってランプ1の所定方向である長尺方向(X軸方向)に延びるように配置された長尺状の筒状部材である。給気ダクト3は、筐体2の外部から給気された冷却気体を、給気ダクト3の導入端部3Aから終端部3Dへと(X軸正方向へ)案内する通気口である。さらに、給気ダクト3は、上記冷却気体を導入端部3Aから終端部3Dへと案内するとともに、当該冷却気体を給気ダクト3から冷却ユニット4A、4B、4Cおよび4Dへと(Z軸負方向へ)案内する。
【0034】
冷却ユニット4A〜4Dは、給気ダクト3とランプ収容部5との間であって、給気ダクト3に対して上記長尺方向(X軸方向)と交差する方向に配置され、給気ダクト3から流入する冷却気体によってランプを冷却する筒状部材である。冷却ユニット4A〜4Dのそれぞれは、長尺方向(X軸方向)に伸びる同一の筒軸上に配置され、給気ダクト3の導入端部3A側から順に、冷却ユニット4A、4B、4C、および4Dと直列に配置されている。冷却ユニット4A〜4Dは、給気ダクト3から冷却気体を供給され、当該冷却気体を、筒形状を構成する壁の内部に設けられた通気口を経由させてランプ収容部5へと案内する。一方、冷却ユニット4A〜4Dは、ランプ収容部5から排出されたランプ冷却後の気体を導入し、当該ランプ冷却後の気体を、冷却ユニット4Dから4Aの方向へと(X軸負方向へ)案内し冷却ユニット4Aから筐体2の外部へ排出する。
【0035】
ランプ収容部5は、筐体2内部の下方に配置された、ランプ1を収容する長尺状の部材である。また、ランプ収容部5は、冷却ユニット4A〜4Dから供給された冷却気体を、ランプ1へ効率よく案内するランプ用冷却装置100の本体である。
【0036】
[2.ランプ用冷却装置の具体的構成]
ランプ用冷却装置100を構成する給気ダクト3、冷却ユニット4A〜4D、およびランプ収容部5の具体的構成について、図2および図3を用いて説明する。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態に係るランプ用冷却装置100の長尺方向で切断した場合の断面斜視図である。また、図3は、本発明の実施の形態に係るランプ用冷却装置100の長尺方向と直交する方向で切断した場合の断面図である。具体的には、図2は、図1に示されたランプ用冷却装置100をXZ平面に平行な面で切断した場合の断面図を示しており、図3は、図1に示されたランプ用冷却装置100をYZ平面に平行な面で切断した場合の断面図を示している。
【0038】
まず、冷却気体を外部から導入しランプ1へと案内する給気構造について説明する。
【0039】
給気ダクト3は、図2および図3に示すように、断面形状が八角形形状を有し長尺方向(X軸方向)に延びる筒状体である。導入端部3Aに送風機械(図示せず)が接続されることにより、導入端部3A側から終端部3D側へと冷却気体が流れる。図3に示すように、外部からの冷却気体は、給気ダクト3の導入端部3Aから導入され、その後、冷却ユニット4A〜4D(図3では4A)の壁部に形成された冷却ノズル41A〜41D(図3では41A)の流路41Lおよび41Rを経由して、ランプ収容部5へ導入される。冷却ノズル41A〜41Dの上端開口部411は、給気ダクト3の内部空間と連通している。
【0040】
冷却ノズル41A〜41Dのそれぞれは、ランプ1が長尺形状であることから、図1に示すように、細管形状ではなくランプ1の長尺方向(X軸方向)に所定の幅を有する形状となっている。つまり、冷却ノズル41A〜41Dのそれぞれは、ランプ1の長尺方向の上記幅方向(X軸方向)に延び、かつ、下方(Z軸方向)に延びている。また、冷却ノズル41A〜41Dのそれぞれは、冷却ユニット4A〜4Dの中心部に設けられた排気ダクト42の外縁に沿って配置されている。冷却ノズル41A〜41Dの上記構造により、ランプ1の長尺方向の上記幅にわたり、ランプ1に冷却気体を導入させることが可能となる。
【0041】
ランプ収容部5は、ランプ1の長尺方向に延びるようにランプ1の上方および側方に設けられた反射部材55と、ランプ1の上方に設けられた排気ノズル53とを有する。反射部材55は、ランプ1から出射された紫外線を紫外線出射窓に反射する反射位置、および、ランプ1から紫外線出射窓への紫外線を遮断する遮光位置の間を回転移動する。つまり、上記反射位置は、反射部材55の内面がランプ1から上方に出射された紫外線をワークへと照射させる位置である。また、上記遮光位置は、反射部材55が、ランプ1と紫外線出射窓との間に位置してワークへの紫外線照射を遮断する位置である。
【0042】
冷却ノズル41A〜41Dの冷却気体は、冷却ノズル41A〜41Dの下端開口部と連通するランプ収容部5の上端開口部511を経由して、反射部材55の上側領域へと導入される。反射部材55の上側領域へと導入された冷却気体は、反射部材55と排気ノズル53との間にある隙間を通過してランプ1へ流入する流路51Lおよび51Rと、反射部材55の外周に沿って下方へと流れ反射部材55を回り込み反射部材55の内周側からランプ1へ流入する流路52Lおよび52Rとに分流される。
【0043】
ここで、排気ノズル53の下端にある吸入開口部は、ランプ1の上面部に近接しているので、流路51Lおよび51Rを経由してランプ1の側面上方へと冷却気体が当たると、当該冷却気体は90度以上曲がった後に排気ノズル53へと吸入されることになる。上記冷却気体の流れにより、渦等による乱流での熱交換が行われるので、ランプ1の側面に沿って冷却気体が層流状に流れるのに比べてより熱交換が行われやすくなる。これにより、ランプ1の冷却効率を向上させることができる。また、排気ノズル53により、冷却気体を所定の流速以上でランプ1に供給することができ、また、流路方向を大幅に変更できるので、熱伝達効率もよいものとすることができる。
【0044】
次に、冷却気体をランプ1から外部へと排出する排気構造について説明する。
【0045】
冷却ユニット4A〜4Dの中心部に設けられた排気ダクト42は、図2および図3に示すように、長尺方向(X軸方向)に延びる略直方体形状の筒状体であって、冷却ユニット4Aの一端には、排風装置(図示しない)を接続するための開口部が設けられている。また、排気ダクト42の下面中央部には長尺方向(X軸方向)に延びる吸入開口部421が設けられている。
【0046】
排気ノズル53に吸入された冷却後の気体は、吸入開口部421を経由して排気ダクト42へと導入され、冷却ユニット4Dから4Aの方向(X軸負方向)へと流れ、排風装置へと排出される。
【0047】
以上の構成によれば、本実施の形態に係るランプ用冷却装置100は、筐体2の上方から冷却気体の出し入れを行わないので、ランプ用冷却装置100の高さ方向の寸法を小さくすることが可能となる。よって、設置スペースを低減することができる。
【0048】
[3.給気ダクトの構成]
次に、本実施の形態に係るランプ用冷却装置100の特徴的な構成である、給気ダクト3の構成について詳細に説明する。
【0049】
図4は、本発明の実施の形態に係るランプ用冷却装置100の給気ダクト3の内部構成を表す透視図である。同図には、給気ダクト3の内部構造を表すため、給気ダクト3の筒形状を構成する壁部を透視させている。同図に示すように、給気ダクト3は、風量調整部材31と、仕切板32とを備える。
【0050】
風量調整部材31は、互いに背向する第1主面および第2主面を有する板状の部材であり、給気ダクト3の内方であって、長尺方向(X軸方向)に沿って複数配置されている。ここで、風量調整部材31の第1主面および第2主面は、給気ダクト3に供給された冷却気体の長尺方向(X軸方向)の流れと正対する位置に配置されている。これにより、給気ダクト3を長尺方向(X軸方向)に流れる冷却気体は、風量調整部材31の主面に衝突し、当該主面で上記長尺方向への流れを一部遮られる。このため、風量調整部材31の主面付近は、相対的に冷却気体の静圧が高い状態となる。これにより、風量調整部材31を起点として、給気ダクト3を流れる冷却気体を上記長尺方向(X軸正方向)以外の方向へと導くことが可能となる。よって、給気ダクト3を長尺方向(X軸正方向)に流れる気体を、風量調整部材31が配置された箇所から、冷却ユニット4A〜4Dへと効率よく流入させることができる。
【0051】
給気ダクトに風量調整部材31が設けられていない従来のランプ用冷却装置では、給気ダクト内を流れる冷却気体は、最上流の導入端部から最下流の終端部まで、気流抵抗なく流れ、最下流の端部において最も気体の圧力が高くなる。このため、給気ダクトの下方に配置された複数の冷却ユニットのうち、上記最下流に対応する位置に設けられた冷却ユニットへの冷却気体の流入量が極端に大きくなり、ランプを長尺方向にわたり均一に冷却できない。
【0052】
これに対して、本実施の形態に係るランプ用冷却装置100では、最下流の終端部だけでなく、風量調整部材31が配置された箇所において、冷却ユニット4A〜4Dへの冷却気体の流入量を多くすることができる。つまり、冷却ユニット4A〜4Dへの冷却気体の流入量を、長尺方向において平滑化することが可能となる。よって、供給された冷却気体によりランプ1を均一に冷却することができるので、冷却効率が向上する。
【0053】
また、本実施の形態において、風量調整部材31は、給気ダクト3の内方であって流路の外側に配置されている。これにより、給気ダクト3内の流路中央部では、風量調整部材31に遮られることなく上記長尺方向(X軸正方向)に冷却気体を流すことができる。よって、上記長尺方向の冷却気体の流れを阻害せずに、風量調整部材31の主面付近で相対的に冷却気体の静圧が高い状態をつくることが可能となる。
【0054】
また、風量調整部材31は、第1主面および第2主面を平面視した場合において、矩形環状であって、当該矩形環状のうち1辺が開放されている形状(U字形状)を有している。さらに、上記矩形環状のうち1辺が開放されている部分は、冷却ユニット4A〜4Dと接する側に配置されている。言い換えると、風量調整部材31は、給気ダクト3の流路の外側のうち、冷却ユニット4A〜4Dが配置される側以外の側に配置されている。これにより、風量調整部材31の主面付近の気体を、選択的に冷却ユニット4A〜4Dの方向へと導くことが可能となる。なお、風量調整部材31は、矩形環状の1辺が開放された形状でなくてもよく、角部が丸みを帯びた矩形環状の1辺が開放された形状であってもよく、また、円環形状の一部が開放された形状であってもよい。また、矩形環状の幅および矩形環状で囲まれた開口の大きさは、外部から供給される冷却気体の流量、ランプ1にあてる冷却気体の風速などにより適宜設定される。
【0055】
仕切板32は、給気ダクト3の内壁面と接し、給気ダクト3と冷却ユニット4A〜4Dとの境界部に配置された板状部材である。より具体的には、仕切板32は、給気ダクト3の内壁面と接し、冷却気体の流れ方向から見て給気ダクト3の境界部左側に長尺方向(X軸方向)に延びるように配置された仕切板32Lと、給気ダクト3の境界部右側に長尺方向(X軸方向)に延びるように配置された仕切板32Rとを有する。なお、仕切板32Lと仕切板32Rとの間には、長尺方向に延びる仕切板開口部が設けられている。仕切板32の配置により、給気ダクト3を流れる冷却気体は、長尺方向にわたり整流され、かつ、風量調整部材31の主面付近において、効率的に気体静圧の高い状態となる。これにより、風量調整部材31、仕切板開口部、および、給気ダクト3と冷却ユニット4A〜4Dとの連通領域を経由して、冷却気体が冷却ユニット4A〜4Dへ効率よく導入される。
【0056】
また、冷却ユニット4A〜4Dが連結される連結領域に対応する給気ダクト3の領域であって、風量調整部材31が配置された箇所の下流側には、当該風量調整部材31と連続して、仕切板32Lと32Rとが接している領域(仕切板開口部がない領域)があってもよい。これにより、冷却気体が冷却ノズルのない連結領域へと流れ込むことを抑制できるので、ランプ1の冷却効率を高めることが可能となる。
【0057】
なお、仕切板32はなくてもよい。また、仕切板32が配置された構成において、上記連結領域に、仕切板32Lと32Rとが接している領域がなくてもよい。
【0058】
図5は、本発明の実施の形態に係る給気ダクト3と冷却ユニット4A〜4Dとの配置関係を表す断面図である。同図は、図1に示されたランプ用冷却装置100をXZ平面に平行な面で切断した場合の断面図を示している。
【0059】
図5に示すように、給気ダクト3は、冷却ユニット4A〜4Cのそれぞれに対応させて、複数の風量調整部材31を備えている。より具体的には、給気ダクト3は、冷却ユニット4Aの上方に2つの風量調整部材31を備え、冷却ユニット4Bの上方に2つの風量調整部材31を備え、冷却ユニット4Cの上方に2つの風量調整部材31を備えている。なお、給気ダクト3は、冷却ユニット4Dの上方に終端部3Dを有しているため、冷却ユニット4Dの上方には1つの風量調整部材31を備えている。
【0060】
また、冷却ユニット4A〜4Cのそれぞれに対応させて配置された2つの風量調整部材31は、給気ダクト3の内方であって、各冷却ユニットの長尺方向(X軸方向)における下流領域と中央領域とに配置されている。これにより、各冷却ユニット内での冷却気体の流入量を、長尺方向(X軸方向)で平滑化することが可能となる。
【0061】
ここで、冷却ユニット4Aの上方に配置された2つの風量調整部材31のうち、中央領域に配置された風量調整部材31は、冷却ユニット4Aの長尺方向(X軸方向)における中点よりも上流側に配置されている。一様な流路断面積を有する給気ダクトを流れる冷却気体の動的圧力は、上流側ほど低くなる傾向にある。これに対して、上記構成によれば、最上流に配置された冷却ユニット4Aにおいて、上記中点よりも上流側の冷却気体の流入量を増加させることができる。よって、最上流に配置された冷却ユニット4Aにおける気体の流入量を長尺方向(X軸方向)で平滑化することが可能となる。
【0062】
[4.実施例]
次に、実施例および比較例を示すことにより、上記構成を有するランプ用冷却装置100が、ランプ1の長尺方向(X軸方向)において冷却気体の流量を平滑化でき、ランプ1を均一に冷却できることについて、詳細に説明する。
【0063】
[4−1.実施例および比較例に用いた条件]
実施例および比較例において、給気ダクト3の長尺方向(X軸方向)の長さは、2350mmであり、冷却気体が流れる流路断面の寸法は、133mm×137mmである。また、冷却ユニット4A〜4Dの長尺方向の長さは、それぞれ、500mmである。
【0064】
実施例における風量調整部材31の流路方向から見た開口の寸法は、104mm×99mmであった。また、冷却ユニット4Aに対応する給気ダクト3の中央領域に配置された風量調整部材31は、冷却ユニット4Aの中点から140mm上流側に配置された。また、冷却ユニット4B〜4Dに対応する給気ダクト3の中央領域に配置された風量調整部材31は、それぞれ、冷却ユニット4B〜4Dの中央に対応する位置に配置された。また、冷却ユニット4A〜4Cに対応する給気ダクト3の下流側に配置された風量調整部材31は、それぞれ、冷却ユニット4A〜4Cの下流端部に対応する位置に配置された。
【0065】
比較例において、給気ダクト内に、風量調整部材31は配置されなかった。
【0066】
上記実施例および比較例において、給気ファンを用いて、給気ダクト3の導入端部3Aから給気ダクト3の長尺方向(X軸正方向)へ、空気を送風した。そして、ランプ収容部5内の流路52L(図3参照)上に風速計を設置し、図5に記載されたX軸方向の位置A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2における風速を測定した。なお、位置A1、B1、C1およびD1は、それぞれ、冷却ノズル41A、41B、41Cおよび41Dの上流側に対応する位置である。また、位置A2、B2、C2およびD2は、それぞれ、冷却ノズル41A、41B、41Cおよび41Dの下流側に対応する位置である。
【0067】
[4−2.実施例および比較例における気体風速の比較]
上記実施例および比較例についての気体風速およびその相対値をまとめたものを表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
また、図6は、実施例および比較例に係る気体の風速分布を比較したグラフである。具体的には、同図は、表1における測定位置を横軸とし、気体風速の相対値を縦軸として、グラフ化したものである。また、同図には、測定位置での気体風速の相対値と、各冷却ユニットにおける気体風速の相対値の平均値とが示されている。なお、気体風速の相対値は、全測定位置における風速の平均値に対する対象測定位置における風速の比率である。
【0070】
図6に示されるように、風量調整板がない比較例の場合、冷却ノズル41Dの風速が最も高く、一方、冷却ノズル41Aでは、風速がほぼ0である。つまり、給気ダクトの終端部に近い領域でランプへの風速が最も高く、給気ダクトの導入端部に近い領域でランプへほぼ冷却気体が流れていない。
【0071】
一方、風量調整部材31を有する実施例の場合、冷却ノズル41A〜41Dにおける冷却気体の風速相対値は、いずれも全体平均(100%)に近い数値であり、均一となっている。また、給気ダクト3に供給される冷却気体の風速を変化させても、同様の結果が得られた。つまり、実施例に係るランプ用冷却装置100は、冷却ユニット間における冷却気体の風速のばらつきを低減し平滑化している。よって、冷却気体によりランプ1を均一に冷却することができるので、冷却効率が向上する。
【0072】
なお、冷却ノズル内における上流側位置と下流側位置とにおいて冷却気体の風速に差異が生じているのは、風量調整部材31付近で冷却ユニットの方向(Z軸負方向)へ流れる冷却気体が、給気ダクト3内を長尺方向(X軸正方向)へ流れる冷却気体に影響されるためと考えられる。
【0073】
[5.効果など]
以上のように、本発明の実施の形態に係るランプ用冷却装置100は、外部から給気された冷却気体を長尺方向(X軸方向)に流す給気ダクト3と、給気ダクト3に対して長尺方向(X軸方向)と交差する方向に配置され給気ダクト3から流入する冷却気体によってランプ1を冷却する冷却ユニット4A〜4Dと、給気ダクト3の内方に配置され、冷却気体の風量を調整する風量調整部材31とを備える。ここで、風量調整部材31は、冷却気体の流れと正対する位置に配置される主面を有する。
【0074】
これによれば、給気ダクト3を長尺方向(X軸正方向)に流れる冷却気体は、給気ダクト3の内方に配置された風量調整部材31の主面に衝突し、当該主面で長尺方向(X軸正方向)への流れを遮られる。このため、風量調整部材31の主面付近は、相対的に気体静圧の高い状態となる。これにより、風量調整部材31を起点として、給気ダクト3を流れる冷却気体を長尺方向(X軸正方向)以外の方向へと導くことが可能となる。よって、給気ダクトを長尺方向(X軸正方向)に流れる冷却気体を、長尺方向(X軸方向)と交差する方向に配置された冷却ユニット4A〜4Dに、効率よく流入させることができ、ランプ1を冷却する冷却気体の風量を増加させることが可能となる。
【0075】
また、風量調整部材31は、給気ダクト3の内方かつ給気ダクト3の流路の外側に配置されてもよい。
【0076】
これにより、給気ダクト3内の流路中央部では、風量調整部材31に遮られることなく長尺方向(X軸正方向)に冷却気体を流すことができる。よって、長尺方向(X軸正方向)の冷却気体の流れを阻害せずに、風量調整部材31の主面付近で相対的に気体静圧の高い状態をつくることが可能となる。
【0077】
また、風量調整部材31は、給気ダクト3の流路の外側のうち、冷却ユニット4A〜4Dが配置される側以外の側に配置されてもよい。
【0078】
これにより、風量調整部材31の主面付近の冷却気体を、選択的に冷却ユニット4A〜4Dの方向へと導くことが可能となる。
【0079】
また、ランプ用冷却装置100は、1つの冷却ユニットに対応させて、長尺方向(X軸方向)に離散的に配置された複数の風量調整部材31を備えていてもよい。
【0080】
これにより、1つの冷却ユニットへの気体流入量を長尺方向(X軸方向)で平滑化することが可能となる。
【0081】
また、風量調整部材31は、各冷却ユニットの長尺方向(X軸方向)における下流領域と中央領域とに対応した給気ダクト3の内方に配置されてもよい。
【0082】
これにより、1つの冷却ユニットにおいて、下流領域および中央領域の気体流入量を増加させることが可能となる。よって、ランプの冷却効率を向上させることが可能となる。
【0083】
また、中央領域の風量調整部材31は、冷却ユニット4Aの長尺方向(X軸方向)における中点よりも上流側に対応した給気ダクト3の内方に配置されてもよい。
【0084】
一様な流路断面積を有する給気ダクトにおける気体の動的圧力は、上流側が低くなる傾向にある。上記構成によれば、冷却ユニット4Aにおいて、上流側の気体流入量を相対的に増加させることができる。よって、1つの冷却ユニット内における気体流入量を長尺方向(X軸方向)で平滑化することが可能となる。
【0085】
また、さらに、給気ダクト3の内壁面と接し長尺方向(X軸方向)に延びるように配置された、給気ダクト3と冷却ユニット4A〜4Dとの連通領域を一部仕切る仕切板32を備えてもよい。
【0086】
これにより、給気ダクト3を流れる冷却気体は、長尺方向(X軸方向)にわたり整流され、かつ、風量調整部材31の主面付近において、効率的に気体静圧の高い状態となる。これにより、風量調整部材31、仕切板開口部、および、給気ダクト3と冷却ユニット4A〜4Dとの連通領域を経由して、冷却気体が冷却ユニット4A〜4Dへ効率よく導入される。
【0087】
[6.その他の実施の形態]
以上、本発明の実施の形態に係るランプ用冷却装置100について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0088】
例えば、風量調整部材31は、各冷却ユニットに対して、少なくとも1つ配置されていればよい。これにより、各冷却ユニット内において冷却気体の風量が増加する箇所が、最下流の終端部以外に少なくとも1つ存在するので、当該冷却ユニットにおける長尺方向の中間地点において、冷却気体の風量が増加する。つまり、冷却ユニットへの冷却気体の流入量を、長尺方向において平滑化することが可能となる。よって、供給された冷却気体によりランプ1を均一に冷却することができるので、冷却効率が向上する。
【0089】
なお、本発明は、上記実施の形態に係るランプ用冷却装置100として実現することができるだけでなく、ランプ用冷却装置100を備える光照射装置としても実現することができる。これによれば、ランプ用冷却装置100の給気ダクトの内方に、気体の流れと正対する位置に配置された主面を有する風量調整部材を備えるので、ランプの冷却効率を向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、樹脂、塗料、インキまたは接着材等の硬化処理に用いられる紫外線照射装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0091】
1 ランプ
2 筐体
3 給気ダクト
3A 導入端部
3D 終端部
4A、4B、4C、4D 冷却ユニット
5 ランプ収容部
31 風量調整部材
32、32L、32R 仕切板
41A、41B、41C、41D 冷却ノズル
41L、41R、51L、51R、52L、52R 流路
42 排気ダクト
53 排気ノズル
55 反射部材
100 ランプ用冷却装置
411 上端開口部
421 吸入開口部
511 上端開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6