(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458685
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/54 20100101AFI20190121BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L21/56 J
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-169020(P2015-169020)
(22)【出願日】2015年8月28日
(65)【公開番号】特開2017-45929(P2017-45929A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平田 洋右
(72)【発明者】
【氏名】豊田 光政
【審査官】
山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−210876(JP,A)
【文献】
特表2004−524681(JP,A)
【文献】
特開2006−209057(JP,A)
【文献】
特開2010−067862(JP,A)
【文献】
特開2012−069753(JP,A)
【文献】
特開2011−192698(JP,A)
【文献】
特開2004−303549(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0087812(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/54
H01L 21/56
H01S 5/022
G02B 3/00,5/00
B29C 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスティングケースのカップ部内に樹脂を注入する工程と、
前記カップ部は側壁を有し、前記側壁の上面の高さ位置と、前記カップ部内の樹脂の上面の高さ位置と、を測定してその差分を算出する工程と、
を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記側壁の上面の高さ位置は、前記カップ部の中心に対して対称となる2以上の測定点での高さ位置の平均値である請求項1記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記側壁の上面の高さ位置は、前記上面において等間隔に位置する複数の測定点における高さ位置の平均値である請求項1記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記キャスティングケースは、前記カップ部の中心が1列に配置された複数のカップ部を備え、前記測定点は、隣接する前記カップ部に最も近い側壁の上面である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記算出された差分を、規定された量の許容範囲であるか否かを判断する工程を備える請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズを備えたLED(Light Emitting Diode)の製造方法において、キャスティングケースを用いてレンズを成形する方法が知られている。例えば、キャスティングケースのカップ内に樹脂を注入し、その樹脂中に発光素子が実装されたリードフレームの一部を挿入して硬化し、硬化後にカップから取り外す方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−310764号公報
【特許文献2】特開平6−163995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リードフレームをカップに挿入する前のカップ内の樹脂は、カップ外に漏れているものや、極端に注入量が少ないものがある。これらの樹脂量を確認するときは、目視により直接観察することが考えられるが、樹脂量のバラつきが大きい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、以下の構成を含む。
キャスティングケースのカップ部内に樹脂を注入する工程と、カップ部は側壁を有し、側壁の上面の高さ位置と、カップ部内の樹脂の上面の高さ位置と、を測定してその差分を算出する工程を含む。
【発明の効果】
【0006】
以上に開示の製造方法により、キャスティングケースのカップ内に注入された樹脂量を適切な量に制御することができ、樹脂量のバラつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るキャスティングケースを示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のX−X断面における概略断面図であり、樹脂を注入する前の状態を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すキャスティングケースに樹脂を注入した状態でのX−X断面における概略断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るキャスティングケースを示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すキャスティングケースに樹脂を注入した状態でのY−Y断面における概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置の製造方法を例示するものであって、本発明は、発光装置の製造方法を以下に限定するものではない。
【0009】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0010】
キャスティングケースのカップ部内に樹脂を注入する工程を含む発光装置の製造方法について説明する。
まず、キャスティングケースを準備する。
図1及び
図2は、砲弾型LEDの製造に用いられるキャスティングケース10を例示したものである。キャスティングケース10は、レンズとなる樹脂が注入されるカップ部12と、複数のカップ部12を支持するフレーム11と、を備える。フレーム11は長尺状であり、複数のカップ部12がフレーム11の長手方向に沿って一列に配置される。尚、カップ部は2列以上に設けられてもよい。
【0011】
カップ部12は、
図2に示すように、側壁12bと底面とを備えている。側壁12bの上面12aは、フレーム11の上側おいて開口するよう、環状に設けられている。カップ部の開口形状は、レンズの形状に応じて適宜変更することができる。このカップ部の開口形状は、円形、楕円形、四角形などを選択することができる。
【0012】
このようなキャスティングケース10は、カップ部の側壁12bの上面12aが上側に向くように固定する。次いで、ディスペンスノズル等を用いて、カップ部12内に樹脂20を注入する。ディスペンスノズルの押圧時間や圧力等を設定しておくことで、おおよそ規定した量の樹脂がカップ部内に注入される(
図3)。
【0013】
リードフレームを挿入する前(樹脂を硬化させる前)に、まず、カップ部の側壁12bの上面12aの高さ位置を測定する。測定点は、1つのカップ部12に対して、その側壁12bの上面12a上の1点のみであってもよいが、好ましくは2点以上である。測定点が2点以上の場合、その平均値をカップ部12の側壁12bの上面12aの高さとする。
【0014】
カップ部の側壁の上面の高さ位置の測定点が2点の場合、カップ部12の中心に対して対称となる2点とすることが好ましい。例えば、
図1に示すように、カップ部12の開口の中心点を通り、かつ、フレーム11の長手方向に延伸する線上に位置する2点(
図1のA1及びA2)を、測定点とすることができる。この測定点の高さ位置H
A1及びH
A2(
図3)は、カップ部12の上方に配置されたセンサーによって測定することができる。このようにして測定された高さ位置の平均値を、カップ部12の側壁12bの上面12aの高さ位置とする。
【0015】
カップ部12が一列に配置されている場合、上述のように、フレームの長手方向に隣接するカップ部に最も近い側壁12bの上面12aを測定点とすることが好ましい。このような位置とすることで、測定点間の移動距離を短くすることができ、1つのフレーム内におけるセンサーの移動距離を短くすることができる。これにより、リードタイムを短縮することができる。
【0016】
また、例えば、
図4に示すように、測定点を、カップ部12の開口の中心点を通り、かつ、フレーム11の短手方向に延伸する線上に位置する2点(
図4のA3及びA4)とすることができる。このような2点を測定点とすることで、カップ間に障害物がある場合でも測定可能となる。
【0017】
測定点を、3点以上とする場合、カップ部12の側壁12bの上面12aにおいて、等間隔に位置する複数の測定点とすることができる。例えば、カップ部12の開口形状が円形である場合、その円を120°で分割する分割線上に位置する3点を、等間隔とする測定点とすることができる。ただし、各測定点の間隔は、等間隔にしなくてもよい。例えば、カップ部12の開口の中心点を通り、かつ、フレーム11の長手方向に延伸する線上に位置する2点(
図1のA1及びA2)に、カップ部の開口の中心点を通し、かつ、短手方向に延伸する線上に位置する1点を加えた3点を測定点とすることができる。つまり、カップ部の上面を、その中心を通る中心線で2分割した際に、測定点の全てがその片方側のみに位置するのは好ましくなく、2分割された両方の上面に測定点を定めることが好ましい。
【0018】
カップ部の開口形状が楕円形である場合、その楕円を120°で分割する分割線上に位置する3点を、測定点とすることができる。あるいは、開口形状が楕円形のカップ部の開口の中心点を通り、かつ、フレームの短手方向に延伸する線上に位置する2点と長手方向に延伸する線上に位置する1点を、測定点とすることができる。
【0019】
また、カップ部の開口形状が四角形である場合、カップ部の開口の中心点を通り、かつ、フレームの短手方向に延伸する線上に位置する2点と長手方向に延伸する線上に位置する1点を、測定点とすることができる。あるいは、四角の頂点を対角に2点、フレームの長手方向に延伸する線上に位置する1点を、測定点とすることができる。
【0020】
同様に、カップ内12内の樹脂20の上面の高さ位置を測定する。樹脂20は、カップ部12の開口内で、
図3のように、上面が平らにはならないことが多い。そのため、樹脂20の上面の測定点は、カップ部12の中心とすることが好ましい。この樹脂の上面の高さ位置(H
B1)も、カップ部12の上方に配置したセンサーで測定することができる。
【0021】
上述のようにして測定した高さ位置の差分を算出し、この算出された値が、規定された許容範囲内であるか否かで、カップ部内に注入された樹脂の量が、規定された量の許容範囲であるか否か、を判断することができる。また、この算出された値を管理することで、何らかの不具合が発生した際に原因を特定し易くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
実施形態に係る発光装置の製造方法は、光源、各種インジケーター用光源、車載用光源、液晶のバックライト用光源、センサー用光源に用いられる発光装置であって、キャスティングケースを用いて製造される発光装置に使用することができる。
【符号の説明】
【0023】
10…キャスティングケース
11…フレーム
12…カップ部
12a…上面
12b…側壁
20…樹脂(レンズ樹脂)
A1、A2、A3、A4…測定点(カップ部の側壁の上面における測定点)
B1、B2…測定点(樹脂の上面における測定点)
H
A1、H
A2、H
A3、H
A4…測定値(カップ部の側壁の上面における測定点)
H
B1、H
B2…測定値(樹脂の上面における測定点)