(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、グランド160が長方形であると、
図10(B)中に示されるように、長辺160Sに沿った電流成分が残る。この電流成分によって、電波は垂直方向の偏波が強くなり、水平方向にアンテナの向けられたRFIDタグの読み書きが難しくなる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、1本のアンテナでバランス良く水平・垂直偏波を出すことができるRFID読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、アンテナを介して送受信される電波を媒介としてRFIDタグを読み取るRFID読取装置(10)である。そして、
読み取り側の正面辺と、該正面辺に接する2つの側辺とを有する矩形形状のグランド(60A、60B)と、前記グランドの前記矩形形状の
前記読み取り側の
正面辺と、該
正面辺に接する2つの
前記側辺に沿って配置された1/4波長アンテナエレメント(50)と、を備え、前記グランドは、前記1/4波長アンテナエレメントに接続された部位(60A)と、前記1/4波長アンテナエレメントに接続されない部位(60B)とに分離されることを技術的特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、1/4波長アンテナエレメントは、グランドの矩形形状の読み取り側の
正面辺と、該
正面辺に接する2つの
側辺に沿って配置される。そして、グランドは、アンテナエレメントに接続された部位と、アンテナエレメントに接続されない部位とに分離される。グランドの長手方向の長さが2つに別れるため、アンテナエレメントからの鏡像によるグランドの長手方向に沿った電流成分(垂直偏波成分)が弱まり、1本のアンテナでバランス良く水平・垂直偏波を出すことができる。
【0009】
請求項2の発明では、1/4波長アンテナエレメントの給電点は、矩形形状の読み取り側の
正面辺に接する2つの
側辺の一方の
側辺に設けられる。アンテナエレメントに生じる電流が、アンテナエレメントに対応するグランドの読み取り側の
正面辺に接する
側辺、読み取り側の
正面辺、読み取り側の
正面辺に接する
側辺に沿って生じる電流と弱め合う部分以外(水平方向)のGND端に電流を流すことで、水平垂直偏波をバランスよく出すことができる。
【0010】
請求項3の発明では、グランドの1/4波長アンテナエレメントに接続される部位は、読み取り方向に対して垂直、水平な辺を備える矩形からなる。このため、読み取り方向に対してバランス良く水平・垂直偏波を出すことができる。
【0011】
請求項4の発明では、グランドの1/4波長アンテナエレメントに接続されない部位は、RFIDモジュール基板のグランド層により構成されるため、別途グランドを設ける必要が無い。
【0012】
請求項5の発明では、1/4波長アンテナエレメントは逆Fアンテナから成るため、1/4波長のアンテナを小さな筐体内に収容することができる。
【0013】
請求項6の発明では、接続されない部位の長手側の長さは、接続された部位の読み取り側の
正面辺に接する
側辺の長さよりも長い。グランドのアンテナエレメントの鏡像が形成される部位の長手方向(垂直偏波方向)の長さが短いため、バランス良く水平・垂直偏波を出すことができる。
【0014】
請求項7の発明では、給電点からグランドの矩形形状の読み取り側の
正面辺に接する2つの
側辺の一方の
側辺に沿う部分では、グランドから徐々に離れるように配置されるため、アンテナを狭い場所に配置することが可能になる。また、読み取り側の
正面辺の全部に沿う部分では、グランドから一定距離なるように配置される。読み取り方向側では、アンテナエレメントとグランドとが一定距離になるように配置されるので、グランドに流れる電流とエレメントに流れる電流の結合を緩和し、利得の損失を抑える。
【0015】
請求項8の発明では、1/4波長アンテナエレメントはフレキシブル基板から成るため、読み取りユニット等の部品表面に容易に配置できる。
【0016】
請求項9の発明では、筐体が把持された状態で、光学読取手段の情報コードの読み取り方向と、1/4波長アンテナエレメントの通信可能方向とが同方向になるように配置される。一台のRFID読取装置で、RFIDタグと情報コードとを容易に読み取りことができる。
【0017】
請求項10の発明では、把持可能な筐体の上面であって、読取面に近接させてトリガースイッチが配置されている。トリガースイッチ配置から、該トリガースイッチが親指で操作され、他の指は筐体の側面を把持するので、手で読取面を塞ぐことが無く、読取面の前方にあるRFIDタグとの通信が適切に行い得る。
【0018】
請求項11の発明では、変更手段により無線通信手段による無線通信の範囲と、制限手段により光学読取手段による読み取り範囲とが同一になるように調整される。バーコード等の光学情報コードが付加されたRFIDタグに対して、バーコードと共にRFIDタグの読み出しができる。更に、レジ等でバーコードを読み取ろうとした際に、読み取り範囲よりも遠くにある他のRFIDタグに対して通信を行うことが無くなる。
【0019】
請求項12の発明では、情報コードの読み取り結果を基にRFIDタグを特定し、特定したRFIDダグに対して読み書きを行う。RFIDタグ読み取りの前に電力の消費の少ない情報コードで読み取りを行うことにより、RFIDタグのみの運用と比較して、電力の消費を抑えることができる。
【0020】
請求項13の発明では、マーカ照射装置により、無線通信手段による無線通信の電波エリアを視認可能なようにマーカ照射する。このため、読み取り範囲が目視できるようになる。
【0021】
請求項14の発明では、無線通信手段による送信電力が高められた際に、送信電力に合わせて照明装置が照明の輝度を高める。通信範囲が広がった際に、これに合わせて照明を遠くまで照らすようにし、RFIDタグの読み取り範囲が広がったことを認識させることができる。
【0022】
請求項15の発明では、RFタグデータが情報コードデータに変換可能な体系によって記録されているRFIDタグを読み取った場合に、RFタグデータを情報コードデータに変換し出力することができる。このため、POS等の上位機を介することなく、RFID読取装置で、光学情報コードが付加されたRFIDタグに対して迅速な読み取りができる。
【0023】
請求項16の発明では、情報コードの読み取りにあたり、情報コードの認識可能レベルを変動することができる。最初、簡易な方法で情報コードの読み取りを試みることで、簡易な方法で読み取れる際には、読み取り時間を短縮することができる。
【0024】
請求項17の発明では、最初に、光学読取手段により簡易的な情報コードの読み取りを実施し、読み取りができない場合、RFIDタグの読み取りを行う。光学情報コードが付加されたRFIDタグに対して迅速な読み取りができる。
【0025】
請求項18の発明では、簡易的な情報コードの読み取りを実施し、読み取りができず、更に、RFIDタグの読み取りが行えなかった場合、情報コードの認識可能レベルを高め、情報コードの読み取りを実施する。光学情報コードが読みにくく、RFIDタグが故障している場合も、光学情報コードを読み出すことができる。
【0026】
請求項19の発明では、読み出したRFIDタグの情報と読み取った情報コードの情報とを比較し、一致した場合、情報を出力する。光学情報コードが付加されたRFIDタグに対して誤りの無い読み取りが可能となる。
【0027】
請求項20の発明では、読み出したRFIDタグの情報と読み取った情報コードの情報とを比較し、一致しない場合、エラーを出力する。光学情報コードが付加されたRFIDタグに対して誤った読み取りを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下、本発明に係るRFID読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るRFID読取装置10の構成概要を示す図であり、
図1(A)は上面図、
図1(B)は底面図である。
図2は、RFID読取装置10の電気的構成を例示するブロック図である。
【0030】
図1(A),(B)に示すRFID読取装置10は、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられる携帯型の情報端末として構成されており、アンテナを介して送受信される電波を媒介としてRFIDタグ(無線タグ)80に記憶されている情報を読み取る無線タグリーダとしての機能に加えて、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能を備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0031】
図1(A),(B)に示すように、RFID読取装置10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される上側ケース11aおよび下側ケース11bが組み付けられて構成される縦断面が略長方形で略立方形状の筐体11によって外郭が形成されている。また、上側ケース11aには、所定の情報を入力、所定の機能を切り替える際に操作されるマルチファンクションキー25Aおよび読み取り動作の開始を指示するトリガースイッチ25Bや、所定の情報を表示するための発光部24等が配置されている。また、下側ケース11bには、前方に向けて読取面12が形成され、電池蓋11cが取り付けられている。なお、以下の説明では、筐体11のうち把持部として構成される側を長手方向一側、読取面12が配置される側を長手方向他側として説明する。
【0032】
次に、RFID読取装置10が備えている機能について説明する。
図3(A)は筐体11内の構成を示す斜視図である。RFID読取装置10の筐体11内には、各種部品(各種電気部品等)がメイン基板(RFIDモジュール基板)20等に実装されて収容される。更に、筐体11内には、バッテリ29aと、情報コードの読み取りを行う光学ユニット70と、RFIDタグとの通信を行うアンテナ(1/4波長アンテナエレメント))50と、アンテナのグランド60Aと、メイン基板20の表層に配置されたグランド(グランド層)60Bとを備える。ここでは、グランド60Bは表層に配置されているが、内層にグランドを設けることもできる。
【0033】
図2(A)に示されるように、メイン基板20には、RFID読取装置10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。また、制御部21には、発光部24、キー操作部25、バイブレータ26、ブザー27、外部インタフェース28などが接続されている。
【0034】
キー操作部25は、マルチファンクションキー25A、トリガースイッチ25Bの操作に応じて、制御部21に対して操作信号を与えるよう構成され、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。なお、制御部21は、「切替手段」、「変更手段」の一例に相当し得る。また、発光部24、バイブレータ26およびブザー27は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。外部インタフェース28は、外部機器等との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体11内には、電源部29が設けられており、この電源部29やバッテリ29aによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0035】
また、制御部21には、非接触通信部30および光学ユニット70が接続されている。
まず、非接触通信部30について、
図2(B)および
図3(A)を用いて説明する。
非接触通信部30は、同軸ケーブル33に接続されたアンテナ50を介してRFIDタグ80と非接触通信を行う。なお、非接触通信部30は「無線通信手段」の一例に相当する。アンテナ50は、逆Fアンテナとして構成されるが、逆Lアンテナ、モノポールアンテナ等の1/4波長アンテナなら用いることができる。同軸ケーブル33は、その内部導体が非接触通信部30とアンテナ50とを接続する信号線として機能し、その外部導体がメイン基板(RFIDモジュール基板)20のグランド60Bとアンテナ50のグランド60Aとを接続するグランド線として機能するように配線されている。
【0036】
非接触通信部30は、アンテナ50及び制御部21と協働してRFIDタグ80との間で電波(電磁波)による通信を行ない、RFIDタグ80に記憶されるデータの読取り、或いはRFIDタグ80に対するデータの書込みを行なうように機能するものである。
【0037】
この非接触通信部30は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、
図2(B)にて概略的に示すように、発振器34、変調器35、復調器36などを備えてなるものである。非接触通信部30には、これら以外の公知構成(例えば、増幅器、フィルタ回路、整合回路等)も設けられているが、
図2(B)ではこれらについては図示を省略している。
【0038】
次に、光学ユニット70について、
図2(C)を用いて説明する。
光学ユニット70は、情報コードを光学的に読み取るように機能するもので、
図2(C)に示すように、CCDエリアセンサからなる受光センサ43、結像レンズ42、絞り44、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部(正面装置)41、マーカ光を照射するマーカ照射部(マーカ照射装置)45などを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。
【0039】
この光学ユニット70によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部41から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取面12(
図1(B)参照)を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードC(バーコードや二次元コード)にて反射した反射光Lrは読取面12を通って装置内に取り込まれ、絞り44、結像レンズ42を通って受光センサ43に受光される。読取面12と受光センサ43との間に配される結像レンズ42は、情報コードCの像を受光センサ43上に結像させる構成をなしており、受光センサ43はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。絞り44は情報読み取りの範囲を調整する。受光センサ43から出力された受光信号は、画像データとしてメモリ22(
図2(A))に記憶され、情報コードCに含まれる情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、光学ユニット70には、受光センサ43からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0040】
次に、本実施形態に係るRFID読取装置10の特徴的構成について、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3(A)は、メイン基板20のグランド60Bと、アンテナのグランド60Aと、アンテナ50と、光学ユニット70との位置関係を示す説明図である。
図4(A)は光学ユニット70の側面70Sを示す図であり、
図4(B)は光学ユニット70の正面70Eを示す図であり、
図4(C)は光学ユニット70の側面70Nを示す図であり、
図4(D)は光学ユニット及びメイン基板20の平面図である。
【0041】
図4(B)に示されるように光学ユニット70の正面70E側には、上述した結像レンズ42、照明部41が設けられている。
図4(D)に示されるように逆Fアンテナから成るアンテナ(アンテナエレメント)50は、接続点50Gにおいてグランド60Aと接続され、給電点50Pにおいて、同軸ケーブル33の内部導体からの給電を受ける。
【0042】
アンテナ50はフレキシブル基板から成り、光学ユニット70の回りに配置される。第1実施形態では、アンテナがフレキシブル基板から成るため、読み取りユニット等の部品表面に容易に配置できる。
図4(A)に示されるように側辺(グランド60Bとグランド60Aのなす矩形形状の長辺に沿った辺)60Sの端部に沿う部分では、接続点50Gからアンテナ基部はグランド60Aから垂直に離れるようにアンテナエレメント部50SEが配置され、光学ユニット70の中心部よりもすこし下側から徐々にグランド60Aから離れるように斜めに配置される。斜めに配置されたアンテナエレメント部50Sに、給電点50Pに接続され、グランド60Aから垂直に離れるように配置されたアンテナエレメント部50SPが合流する。
【0043】
図4(B)に示されるように読み取り方向側の辺(正面辺)60Eの全部に沿う部分、光学ユニット70の正面70E側では、最もグランド60Aから遠い位置で、該グランド60Aから一定距離になるようにアンテナエレメント部50Eが配置される。
【0044】
図4(C)に示されるように、光学ユニット70の側面70N側では、アンテナエレメント部50Nは、斜めにグランド60A側に近づくように配置され、終端部ではクランク状に折り曲げられ、全体として使用電波の1/4波長の長さとなるように長さの調整が図られている。
【0045】
図3(B)に示されるように、1/4波長の逆Fアンテナ50が、グランド60Aの側辺(グランド60Bとグランド60Aのなす矩形形状の長辺に沿った辺)60Sと正面辺(辺)60Eと反対側の側辺(グランド60Bとグランド60Aのなす矩形形状の長辺に沿った辺)60Nに沿って配置される。これにより、グランド60Aの側辺60S、正面辺60E、側辺60Nに沿って逆Fアンテナ50の鏡像が作られ、逆Fアンテナ50に生じる電流が、側辺60S、正面辺60E、側辺60Nに沿って生じる電流と弱め合う部分以外(水平方向)のGND端に電流を流すことで、水平垂直偏波をバランスよく出すことができる。
【0046】
そして、グランド60Aの背面辺60Wに沿った電流と、側辺60Sの一部に沿った電流とが残る。グランド60Aの背面辺60Wに沿った電流が水平偏波(グランドと平行方向の偏波)となり、側辺60Sの一部に沿った電流が垂直偏波(グランドと垂直方向の偏波となる。これにより、偏波方向の異なる複数のアンテナを用いることなく、1本のアンテナでバランス良く水平・垂直偏波を出すことができる。
【0047】
第1実施形態のRFID読取装置では、アンテナ50は、アンテナのグランド60Aの矩形形状に沿って平面視コ字状(矩形形状の読み取り側の辺60Eと、該辺に接する2つの辺60S、60Nの端部に沿って)に配置される。そして、グランドは、アンテナに接続されたグランド60Aと、アンテナに接続されないグランド60Bとに分離される。
図3(B)中に示されるようにグランドの長手方向の長さが2つに別れるため、アンテナエレメントからの鏡像によるグランドの長手方向に沿った電流成分(垂直偏波成分)が弱まり、1本のアンテナでバランス良く水平・垂直偏波を出すことができる。
【0048】
第1実施形態のRFID読取装置では、アンテナに接続されるグランド60Aは、読み取り方向に対して垂直な辺(側辺60S、60N)、水平な辺(正面辺60E、背面辺60W)を備える矩形からなる。このため、読み取り方向に対してバランス良く水平・垂直偏波を出すことができる。
【0049】
第1実施形態のRFID読取装置では、グランドのアンテナに接続されない部位は、メイン基板20のグランド60Bにより構成されるため、別途グランドを設ける必要が無い。
【0050】
第1実施形態のRFID読取装置では、1/4波長アンテナは逆Fアンテナから成るため、1/4波長のアンテナを小さな筐体内に収容することができる。
【0051】
第1実施形態のRFID読取装置では、アンテナに接続されないグランド60Bの長手側60BSの長さは、アンテナのグランド60Aの同じ側の辺(側辺60S)の長さよりも長い。グランドのアンテナの鏡像が形成される部位の長手方向(垂直偏波方向)の長さが短いため、バランス良く水平・垂直偏波を出すことができる。
【0052】
第1実施形態のRFID読取装置では、給電点50Pからグランドの矩形形状の側辺60Sに沿うアンテナエレメント部50SE、50Sでは、グランドから徐々に離れるように配置されるため、アンテナを狭い場所に配置することが可能になる。また、読み取り方向側の正面辺60Eの全部に沿うアンテナエレメント部50Eでは、グランド60Aから一定距離なるように配置される。読み取り方向側では、アンテナエレメント部とグランドとが一定距離になるように配置されるので、グランドに流れる電流とエレメントに流れる電流の結合を緩和し、利得の損失を抑える。
【0053】
図1に示されるように、筐体11は操作者が把持容易なように断面略長方形の立方形状に形成され、長方形の短辺側に読取面12が配置される。そして、RFIDとの無線通信、情報コードの光学的読み取りを起動させるトリガースイッチ25Bは、筐体の上面であって、読取面12に近接させて配置されている。
【0054】
図5(A)、
図5(B)はRFID読取装置10が把持された状態を示す説明図である。把持可能な筐体11の上面であって、読取面12に近接させてトリガースイッチが配置されている。トリガースイッチの配置位置から、
図5中に示されるように該トリガースイッチが親指で操作され、他の指は筐体の側面を把持するので、手で読取面を塞ぐことが無く、読取面の前方にあるRFIDタグとの通信が適切に行い得る。
【0055】
上述したアンテナ50から放射される電波の読取面の反対方向の成分は、誘電体である指で把持されているため、指で反射または吸収される。アンテナ50から放射される電波の読取面方向の成分のみが利用可能であり、読取面方向側からの電波をアンテナ50は受信できる。このため、読取面12の前方に置かれたRFIDタグの読み取りが可能である。上述したように、光学ユニットは読取面12の前方に置かれた情報コードの読み取りを行う。即ち、第1実施形態のRFID読取装置では、筐体が把持された状態で、情報コードの読み取り方向と、アンテナ50の通信可能方向とが同方向になるように配置されている。このため、一台のRFID読取装置で、RFIDタグと情報コードと同時又は順次に読み取ることができる。このため、バーコード等の光学情報コードが付加されたRFIDタグ(例えば、アパレル産業で用いられるアパレルタグ)に対して、バーコードと共にRFIDタグの読み出しが同時又は順次できる。アパレルタグでは、RFIDタグ側にシリアル番号が記録されており、棚卸し作業が容易なように構成されている。
【0056】
第1実施形態では、非接触通信部30からの送信電力は制御部21からの指示で変更可能に構成されている。そして、光学ユニット70による情報コードの読み取り範囲は上述されたように絞り44により調整可能で、制御部21からの指示で調整可能に構成されている。ここでは、絞り44で読み取り範囲が調整されるが、結像レンズ42の位置を変えることで、読み取り範囲を調整することもできる。そして、第1実施形態では、
図6(A)に示されるように非接触通信部30の範囲と、光学ユニット70によるによるバーコード72の読み取り範囲とが同一になるように調整される。
【0057】
第1実施形態のRFID読取装置では、バーコード等の光学情報コードが付加されたRFIDタグに対して、バーコードと共にRFIDタグの読み出しができる。更に、レジ等でバーコードを読み取ろうとした際に、読み取り範囲よりも遠くにある他のRFIDタグに対して通信を行うことが無くなる。
【0058】
図7(A)は読み取り範囲調整の処理を示すフローチャートである。
上述されたマルチファンクションキー25Aの操作により、RFID読取装置の読み取り範囲が調整される。読み取り範囲の調整が指示されると(S52:Yes)、上述された非接触通信部30からの送信電力が制御部21からの指示で変更される(S54)。光学ユニット70による情報コードの読み取り範囲が制御部21からの指示で調整され、上述した送信電力にあわせて情報コードの読み取り範囲が制限される(S56)。なお、S56での処理は、「制限手段」の一例に相当し得る。そして、上述した送信電力にあわせて照明部(照明装置)41の輝度が調整される(S58)。即ち、送信電力が高められ、RFIDタグの読み取り範囲が広がった際には輝度が上げられ、反対に読み取り範囲が狭くされた際には輝度が下げられる。
【0059】
第1実施形態のRFID読取装置では、送信電力が高められた際に、送信電力に合わせて照明部41が照明の輝度を高める。通信範囲が広がった際に、これに合わせて照明を遠くまで照らすようにし、RFIDタグの読み取り範囲が広がったことを認識させることができる。なお、ここでは、送信電力が調整される説明が成されたが、初期設定の段階で、通信範囲と、読み取り範囲と、照明部による照明の範囲はほぼ一致するように調整されている。
【0060】
図6(B)は、バーコード72へマーカ照射が行われた状態を示す説明図である。
図2(C)中に示されるように、光学ユニット70は、マーカ光を照射するマーカ照射部45を備え、マルチファンクションキー25Aの操作に応じて、マーカ光MKの照射が出来る。
【0061】
第1実施形態のRFID読取装置では、マーカ照射部により、無線通信の電波エリアを視認可能なようにマーカ光MKを照射する。このため、RFIDタグの読み取り範囲が目視できるようになる。
【0062】
図7(B)は、情報コードからRFIDタグを特定して読み取る処理のフローチャートである。情報コードからRFIDタグを特定して読み取りの処理は、マルチファンクションキー25Aの操作に応じて選択される。
【0063】
まず、バーコードの読み取りが行われる(S62)。そして、バーコードの読み取り結果を基にRFIDのUIIが特定され(S64)、読み取り対象のRFIDタグが特定される(S66)。そして、特定されたRFIDタグに対して読み取りが行われる(S68)。
【0064】
第1実施形態のRFID読取装置では、RFIDタグ読み取りの前に電力の消費の少ない情報コードで読み取りを行うことにより、RFIDタグのみの運用と比較して、電力の消費を抑えることができる。
【0065】
なお、ここでは、RFIDタグから情報コードデータをRFID読取装置内で行ったが、例えば、サーバにアクセスして情報を得ることも、RFID読取装置のメモリ22内に記憶された変換テーブルを用いて情報を得ることも可能である。
【0066】
図8は、第1実施形態のRFID読取装置でのRFIDタグと情報コードとの読み取り処理を示すフローチャートである。第1実施形態では、RFIDタグデータをSGTIN規格に変換する例が挙げられるが、規格としては、SGTIN以外にも、SGLN、SSCC、GRAI、GIAI、GSRN、GDTI等を用いることもできる。
【0067】
先ず、情報コードの読み取りが行われる(S12)。そして、情報コードの読み取りが成功したか否かが判断され(S14)、読み取りができない場合(S14:No)、処理が修了する。一方、情報コードの読み取りが成功した場合(S14:Yes)、引き続き、RFIDタグの読み取りが行われる(S16)。そして、RFIDタグの読み取りが成功したか否かが判断され(S18)、読み取りができない場合(S18:No)、処理が修了する。一方、RFIDタグの読み取りが成功した場合(S18:Yes)、SGTIN変換が為される(S20)。そして、情報コードの情報とRFIDタグのデータが一致するか判断され(S22)、一致した場合(S22:Yes)、SGTIN変換がなされたデータが出力されると共に、正常終了が上位機(ホスト)側に報知される(S24)。他方、情報コードの情報とRFIDタグのデータが一致しない場合(S22:No)、エラー終了が上位機側に報知される(S26)。
【0068】
第1実施形態のRFID読取装置では、RFタグデータが情報コードに変換可能な体系によって記録されているRFIDを読み取った場合に、RFタグデータを情報コードに変換し、RFタグデータを情報コードとして出力することができる。このため、POS等の上位機を介することなく、RFID読取装置で、光学情報コードが付加されたRFIDタグに対して迅速な読み取りができる。
【0069】
第1実施形態のRFID読取装置では、読み出したRFIDの情報と読み取った情報コードの情報とを比較し、一致した場合、情報を出力する。光学情報コードが付加されたRFIDタグに対して誤りの無い読み取りが可能となる。一方、読み出したRFIDの情報と読み取った情報コードの情報とを比較し、一致しない場合、エラーを出力する。光学情報コードが付加されたRFIDタグに対して誤った読み取りを防止できる。
【0070】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態にRFIDタグによる情報コード及びRFIDタグの読み取り処理を示すフローチャートである。
第2実施形態では、情報コードの認識可能なレベルを変動させることができる。例えば、バーコードに対して、簡易な読み取りでは、バーコードに交差する1本の線で読み取りを行う。そして、高度な読み取りでは、複数の読み取り線を組み合わせて読み取りを行う。また、QRコード(登録商標)等の二次元コードに対しては、簡易な読み取りでは誤り訂正を行わず読み取りを行う。そして、高度な読み取りでは、誤り訂正を用いて読み取りを行う。
【0071】
先ず、情報コードの読み取りを簡易な読み取りでおこなう(S32)。情報コードの読み取りに成功したか否かを判断し(S34)、読み込みに成功した場合(S34:Yes)、処理を終了する。読み取りに成功しない場合(S34:No)、情報コードの一部の読み取りに成功したか否かを判断する(S36)。一部の読み取りにも成功しない場合(S36:No)、RFIDタグの読み取りを行う(S38)。RFIDタグの読み取りが成功したか否かが判断され(S40)、RFIDタグの読み取りが成功した場合(S40:Yes)、SGTIN変換が為され、変換結果が出力される(S42)。一方、RFIDタグの読み取りができない場合(S40:No)、或いは、上述した情報コードの一部のみの読み取りが成功した場合(S36:Yes)、上述したように情報コードの読み取りレベルを高めて再度読み取りを行う(S44)。
【0072】
第2実施形態のRFID読取装置では、情報コードの読み取りにあたり、情報コードの認識可能レベルを変動することができる。最初、簡易な方法で情報コードの読み取りを試みることで、簡易な方法で読み取れる際には、読み取り時間を短縮することができる。
【0073】
第2実施形態のRFID読取装置では、最初に、光学読取手段により簡易的な情報コードの読み取りを実施し、読み取りができない場合、RFIDの読み取りを行う。光学情報コードが付加されたRFIDタグに対して迅速な読み取りができる。
【0074】
第2実施形態のRFID読取装置では、簡易的な情報コードの読み取りを実施し、読み取りができず、更に、RFIDの読み取りが行えなかった場合、情報コードの認識可能レベルを高め、情報コードの読み取りを実施する。光学情報コードが読みにくく、RFIDタグが故障している場合も、光学情報コードを読み出すことができる。
【0075】
なお、第1実施形態のRFID読取装置のファクションキーの操作で、
図8に示される読み取り処理と、
図9に示される読み取り処理とを切替可能の構成することも可能である。