特許第6458844号(P6458844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458844
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20190121BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20190121BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20190121BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20190121BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20190121BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   F01N3/28 301V
   F01N3/08 BZAB
   F01N3/24 C
   A01D41/12 H
   B60K13/04 B
   B01D53/86 245
   B01D53/86 280
   B01D53/86 223
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-208123(P2017-208123)
(22)【出願日】2017年10月27日
(62)【分割の表示】特願2017-127143(P2017-127143)の分割
【原出願日】2017年6月29日
(65)【公開番号】特開2019-11750(P2019-11750A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2017年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上路 嘉隆
(72)【発明者】
【氏名】市丸 智之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 靖
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−177913(JP,A)
【文献】 特開2011−046320(JP,A)
【文献】 特開2016−131547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00− 3/38
F01N 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の上部左側に穀稈を脱穀する脱穀装置(4)を配置し、前記機体フレーム(1)の上部右側には脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(7)を配置し、前記グレンタンク(7)の前側にエンジン(E)を配置し、前記エンジン(E)から排出される排気ガス中の未燃焼ガスを酸化するDOC(21)と、このDOC(21)通過後の排気ガス中の窒素酸化物をアンモニアで還元して浄化するSCR触媒(22)を備えたコンバインであって、
前記グレンタンク(7)の左壁(7B)の前部の下端部から右側下方に向かって延在する第1傾斜壁(71)の下方に、前記SCR触媒(22)と前記DOC(21)の少なくとも一部を入り込ませ、
前記DOC(21)を、その排気ガス流通方向を上下方向に向けた姿勢で設け、前記SCR触媒(22)を、その排気ガス流通方向を搭載機体の前後方向に向けた姿勢で設け
前記SCR触媒(22)を前記DOC(21)の右側に配置し、側面視で、前記SCR触媒(22)の前部をDOC(21)の下部に重ねて配置し、
前記DOC(21)の後側上部に形成された流出口と前記SCR触媒(22)の後側上部に形成された流入口を第2接続管(12)によって接続して、この第2接続管(12)を右下がりに傾斜させ、前記第2接続管(12)の排気ガスの流通方向での上流側の部位に、この第2接続管(12)内に尿素水を噴射する噴射装置(23)を設けたことを特徴とするコンバイン
【請求項2】
前記DOC(21)の左側下部に前記エンジン(E)の排気ガスが流入する流入口を形成した請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記DOC(21)とSCR触媒(22)を支持部材(30)に取り付け、該支持部材(30)を機体フレーム(1)に取り付ける構成とした請求項1または請求項に記載のコンバイン
【請求項4】
前記支持部材(30)を、上下方向に延在する第1支持部材(31)と前後方向に延在する第2支持部材(32)から側面視でL字形状に形成し、前記DOC(21)を第1支持部材(31)に取り付け、前記SCR触媒(22)を第2支持部材(32)に取り付けた請求項3に記載のコンバイン
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインでは、エンジンで燃焼された排気ガス中の未燃焼ガスを酸化する触媒を有するDOCと、DOC通過後の排気ガス中の窒素酸化物を浄化するSCR触媒を備えた排気浄化装置を設ける技術が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−131547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、DOCを、脱穀装置に対向させ排気ガス流通方向を上下方向に向けた姿勢で設け、SCR触媒を、穀粒を貯留するグレンタンクの上側に排気ガス流通方向を機体幅方向(左右方向)に向けた姿勢で設けているので、高温となるDOCとSCR触媒が機体の高い位置に露出し、藁屑の堆積や操縦部への熱気の影響等において問題がある他、DOCとSCR触媒を機体へ搭載しにくくなる問題がある。
【0005】
一方、DOCとSCR触媒を脱穀装置とグレンタンクの間における機体フレーム上の低部に配置する場合、この脱穀装置とグレンタンクの間の空間が狭いために、DOCとSCR触媒を上下に並べて配置することが考えられる。
【0006】
しかしながら、この場合には、グレンタンクの下部に形成される傾斜底壁を前後方向および左右方向に大きく凹ませて、この凹部にDOCとSCR触媒を入り込ませる必要があり、この凹部の形成によってグレンタンクの容量が減少し、刈取脱穀作業の能率が低下する問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、機体へ搭載し易くすると共に、搭載機体上の占有空間を小さくすることができる排気ガス浄化装置の配置構造を備えたコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
【0009】
すなわち、請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)の上部左側に穀稈を脱穀する脱穀装置(4)を配置し、前記機体フレーム(1)の上部右側には脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(7)を配置し、前記グレンタンク(7)の前側にエンジン(E)を配置し、前記エンジン(E)から排出される排気ガス中の未燃焼ガスを酸化するDOC(21)と、このDOC(21)通過後の排気ガス中の窒素酸化物をアンモニアで還元して浄化するSCR触媒(22)を備えたコンバインであって、前記グレンタンク(7)の左壁(7B)の前部の下端部から右側下方に向かって延在する第1傾斜壁(71)の下方に、前記SCR触媒(22)と前記DOC(21)の少なくとも一部を入り込ませ、前記DOC(21)を、その排気ガス流通方向を上下方向に向けた姿勢で設け、前記SCR触媒(22)を、その排気ガス流通方向を搭載機体の前後方向に向けた姿勢で設け、前記SCR触媒(22)を前記DOC(21)の右側に配置し、側面視で、前記SCR触媒(22)の前部をDOC(21)の下部に重ねて配置し、前記DOC(21)の後側上部に形成された流出口と前記SCR触媒(22)の後側上部に形成された流入口を第2接続管(12)によって接続して、この第2接続管(12)を右下がりに傾斜させ、前記第2接続管(12)の上部に、この第2接続管(12)内に尿素水を噴射する噴射装置(23)を設けたことを特徴とするコンバインである。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記DOC(21)の左側下部に前記エンジン(E)の排気ガスが流入する流入口を形成した請求項1に記載のコンバインである。
【0011】
【0012】
【0013】
請求項記載の発明は、前記DOC(21)とSCR触媒(22)を支持部材(30)に取り付け、該支持部材(30)を機体フレーム(1)に取り付ける構成とした請求項1または請求項に記載のコンバインである。
【0014】
請求項記載の発明は、前記支持部材(30)を、上下方向に延在する第1支持部材(31)と前後方向に延在する第2支持部材(32)から側面視でL字形状に形成し、前記DOC(21)を第1支持部材(31)に取り付け、前記SCR触媒(22)を第2支持部材(32)に取り付けた請求項3に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、DOC(21)が、その排気ガス流通方向を上下方向に向けた姿勢で設けられるので、搭載機体上の占有空間を小さくすることができる。
【0016】
また、SCR触媒(22)をDOC(21)の右側に配置することで、排気浄化装置をコンパクトに構成でき、搭載機体上の占有空間を小さくすることができる。
【0017】
また、側面視で、SCR触媒(22)の部をDOC(21)の下部に重ねて配置することで、排気浄化装置をコンパクトに構成でき、搭載機体上の占有空間を小さくすることができる。
【0018】
請求項記載の発明によれば、DOC(21)の左側下部に前記エンジン(E)の排気ガスが流入する流入口を形成することで、この流入口にエンジン(E)の排気ガスを流入させることができる。
【0019】
請求項記載の発明によれば、請求項1または請求項に記載の発明の効果に加え、DOC(21)とSCR触媒(22)を支持部材(30)に取り付け、この支持部材(30)を機体フレーム(1)に取り付けることで、DOC(21)とSCR触媒(22)を機体へ容易に搭載することができる。
【0020】
請求項記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果を奏するうえで、側面視でL字形状に形成された支持部材(30)によって、排気ガス流通方向を上下方向に向けたDOC(21)と、排気ガス流通方向を前後方向に向けたSCR触媒(22)を支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】コンバインの左側面図である。
図2】コンバインの右側面図である。
図3】排気浄化装置を説明する右側面図である。
図4】排気浄化装置を説明する平面図である。
図5】排気浄化装置を説明する背面図である。
図6】DOCとSCRを説明する左側面図である。
図7図6の平面図である。
図8図6の底面図である。
図9図6の正面図である。
図10図6の背面図である。
図11】DOCとSCRを説明する右側面図である。
図12】グレンタンクの凹部を説明する左側面図である。
図13】グレンタンクの凹部を説明する背面図である。
図14】搬送螺旋用の伝動部を説明する右側面図である。
図15図14の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明について図面を参照しつつ説明する。なお、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明する。
【0023】
図1,2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後側左部に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後側右部に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0024】
操縦部5の下側にはエンジンEを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する上下方向に延在する縦排出筒8Aと前後方向に延在する横排出筒8Bからなる排出オーガ8が設けられている。
【0025】
図3〜5に示すように、脱穀装置4の右壁の下部(一番移送螺旋樋の出口)とグレンタンク7の左壁7Bの上部は、脱穀装置4で脱穀・選別処理された穀粒をグレンタンク7に搬送する揚穀筒9で連通されている。また、脱穀装置4の右壁における揚穀筒9の後側の部位には、刺さり粒等の2番物を脱穀装置4の選別装置に再搬送する二番揚穀筒10が設けられている。
【0026】
エンジンEで燃焼された排気ガスは、排気浄化装置20によって排気ガス中の不純物が浄化された後に外部に排気される。排気浄化装置20は、排気ガス中の未燃焼ガスを酸化する触媒であるDOC21と、DOC21から排気された排気ガス中の窒素酸化物を尿素水溶液(以下、尿素水と言う。)から発生するアンモニアで還元して浄化するSCR触媒22から構成され、DOC21の流出口とSCR触媒22の流入口を連通する第2接続管12内に尿素水を噴射する噴射装置(ドージングモジュール)23と、噴射装置23に尿素水を供給する供給装置(サプライモジュール)24と、供給装置24に供給される尿素水を貯留する尿素水タンク25を設けている。
【0027】
図6〜11に示すように、DOC21は、長手方向(請求項の「排気ガス流通方向」)を上下方向に向けた姿勢で配置され、SCR触媒22は、長手方向(請求項の「排気ガス流通方向」)を機体前後方向に向けた姿勢で配置され、DOC21は、SCR触媒22の前部の左側に設けられている。また、DOC21は、DOC21の右側に設けられた上下方向に延在する第1支持部材31に固定され、SCR触媒22は、SCR触媒22の下側に設けられた前後方向に延在する第2支持部材32に固定されている。
【0028】
第1支持部材31の下部は、第2支持部材32の前部における左側部位に固定され、側面視でL字形状の支持部材30を形成している。また、支持部材30は、機体フレーム1の前部における上部右側の部位にボルト等の締結手段によって着脱自在に固定されている。これにより、支持部材30を介してDOC21とSCR触媒22を機体フレーム1に容易に取付けることができる。なお、平面視において、DOC21を機体フレーム1の左右幅方向の中心線CLの右側の近傍に設けるのが好ましい。これにより、脱穀装置4とグレンタンク7の間に形成される空間を有効に活用することができる。
【0029】
機体正面視において、DOC21の右側部分の一部は、SCR触媒22の左部の上側に臨み、DOC21の下端部は、SCR触媒22の上下方向の中間部に位置している。また、機体側面視において、DOC21の下部は、SCR触媒22の前部と重なるように設けられ、DOC21の前後方向の中間部は、SCR触媒22の前端部に位置している。さらに、機体平面視において、DOC21の右側部分の一部は、SCR触媒22の左部と重なるように設けられ、DOC21の前後方向の中間部は、SCR触媒22の前端部に位置している。これにより、DOC21とSCR触媒22を支持する支持部材30を小型に形成することができ、機体フレーム1の上側における支持部材30が専有する空間を小さくすることができる。換言すると、DOC21とSCR触媒22による排気浄化装置20をコンパクトに構成でき、機体フレーム1上の占有空間を小さくして、例えばグレンタンク7の容量を増大できる。
【0030】
エンジンEの排気口とDOC21の下部おける左側部位に形成された排気ガスの流入口は、可撓性の部分を有する接続管(請求項の「第1接続管」)11で接続されている。DOC21の上部における後側部位に形成された排気ガスの流出口とSCR触媒22の後部における上側部位に形成された流入口は、両端部に可撓性の部分を有する接続管12で接続されている。また、接続管12における上流側の部位には、噴射装置23が設けられ、SCR触媒22の前部における上側部位に形成された流出口には、DOC21とSCR触媒22で浄化された排気ガスを外部に排出する排気管26が接続されている。
【0031】
図3〜5に示すように、機体側面視において、DOC21とSCR触媒22はグレンタンク7の前壁と揚穀筒9の間に設けられ、脱穀装置4の右壁の右側において、DOC21とSCR触媒22からなる排気浄化装置20のほぼ全体(請求項では「少なくともその一部」と記載)が、グレンタンク7の左壁7Bの前側下部に形成された凹部19に入り込ませて設けられている。これにより、グレンタンク7の容量の減少を抑えながらDOC21とSCR触媒22を配置でき、また、DOC21とSCR触媒22に藁屑が堆積したり、雨水や直射日光、洗車時の高圧水が直接当たることを抑制することができる。
【0032】
噴射装置23は、接続管(請求項の「第2接続管」)12の前部における上側部位に、後下がり傾斜させて固定されている。これにより、噴射装置23から後下がり傾斜させて設けられた接続管12に尿素水を効率良く噴射することができる。また、噴射装置23の給水口と供給装置24の送水口は、可撓性のホース13で接続されている。また、ホース13の前部は、噴射装置23よりも上側に配置されている。これにより、尿素水が凍結した場合においても、所定量の凍結していない尿素水を噴射装置23に供給することができる。
【0033】
供給装置24は、二番揚穀筒10の下部の右側の近傍に設けられている。これにより、揚穀筒9を迂回させて揚穀筒9の右側にホース13を容易に配置することができる。
【0034】
供給装置24の給水口と尿素水タンク25の排水口は、可撓性のホース14で接続されている。また、ホース14は、供給装置24よりも上側に配置されている。これにより、尿素水が凍結した場合においても、所定量の凍結していない尿素水を供給装置24に供給することができる。なお、供給装置24の給水口と排水口の間の内部配管には、開閉バルブが設けられ、開閉バルブには開閉バルブを操作するハーネス15が接続されている。これにより、尿素水タンク25内に貯留された尿素水が所定温度よりも低温や高温になった場合に、開閉バルブを閉じて尿素水タンク25から供給装置24への尿素水の供給を停止することができる。
【0035】
尿素水タンク25は、グレンタンク7の後壁と縦排出筒8Aの間に設けられている。また、尿素水タンク25は、グレンタンク7の左右幅方向の中心よりも右側に偏移した部位に設けられ、尿素水タンク25の給水口25Aは、尿素水タンク25の上部における右側部位に形成されている。これにより、尿素水タンク25の給水口25Aから尿素水を容易に補給することができ、また、尿素水タンク25が外部と衝突して破損するのを防止することができる。
【0036】
グレンタンク7の底部には、グレンタンク7から漏下した穀粒を後側に搬送する搬送螺旋が設けられ、搬送螺旋の後部には、前側連通部16が形成されている。また、縦排出筒8Aの下部には、後側連通部17が形成されている。グレンタンク17が機体フレーム1上の収納位置にある場合には、前側連通部16と後側連通部17は連通し、グレンタンク17の前部が機体フレーム1の右側に移動した開放位置にある場合には、前側連通部16と後側連通部17の連通は解除される。
【0037】
尿素水タンク25は、前側連通部16の上側に設けられ、また、尿素水タンク25の排水口は、供給装置24の給水口よりも上側に配置されている。これにより、前側連通部16の上側に形成された空間を有効に活用することができ、尿素水タンク25から供給装置24に尿素水を容易に供給することができる。なお、尿素水タンク25は、後側連通部17から前側上部に延在する支持部材に支持された板状の置台18に上載されている。
【0038】
排気管26は、SCR触媒22の前部に形成された流出口から上方に向かって延在してDOC21の上部の右側に至った後、DOC21の上部の右側から後側左部の上方に向かって延在して、接続管12の上側を通過して揚穀筒9の上下方向の略中間部の前側に至っている。その後、揚穀筒9の上下方向の略中間部の前側から揚穀筒9の前側に沿って前側上部に向かって延在して、排気管26の排気口26Aは揚穀筒9の上端部の穀粒吐出口9Aを超えてグレンタンク7の上部に臨んでいる。排気管26は、揚穀筒9に対して上下方向複数個所で固定される。これにより、接続管12の長さを短くでき、また、排気管26を揚穀筒9に固定して排気管26の固定用部材を削減することができる。
【0039】
脱穀装置4の後側下部には、エンジンEに供給する軽油を貯留する燃料タンク35が設けられている。燃料タンク35の給油口35Aは、燃料タンク35の上部における左側部位に形成されている。これにより、燃料タンク35の給油口35Aから軽油を容易に補給することができる。
【0040】
尿素水タンク25の給水口25Aを機体の右側に臨ませ、燃料タンク35の給油口35Aを機体の左側に臨ませて、上下方向において、尿素水タンク25の給水口25Aは、燃料タンク35の給油口35Aよりも高い位置に設けられている。これにより、尿素水タンク25に誤って軽油を補給するのを防止することができる。
【0041】
グレンタンク7の後壁における尿素水タンク25の上側の部位には、揚穀筒9からグレンタンク7内に排出される穀粒に含まれる含水率を測定する水分センサ36が設けられている。これにより、尿素水タンク25の上側に形成された空間を有効に活用することができる。
【0042】
次に、グレンタンク7の左壁7Bに形成された凹部19について説明する。図12,13に示すように、凹部19は、第1凹部70と第2凹部80から形成されている。
【0043】
グレンタンク7の左壁7Bの下部における揚穀筒9よりも前側の部位には、前側と左側が開放された第1凹部70が形成されている。第1凹部70は、左壁7Bの前部の下端部から右側下方に向かって延在する第1傾斜壁71と、第1傾斜壁71の下端部から下方に向かって延在する第1垂直壁72と、第1傾斜壁71の後端部と第1垂直壁72の後端部を連結する第1後壁73で形成されている。
【0044】
第1凹部70の後部の上側、すなわち、第1傾斜壁71の後部の上側には、第2凹部80が形成されている。これにより、グレンタンク7、特に、第1傾斜壁71の剛性が高まり、第1傾斜壁71の変形を防止することができる。
【0045】
第2凹部80は、第1傾斜壁71の後部の上端部から右側に向かって延在する第2水平壁81と、第2水平壁81の右端部から右側下方に向かって延在する第2傾斜壁82と、第2傾斜壁82の下端部から下方に向かって延在する第2垂直壁83と、第2水平壁81、第2傾斜壁82、及び第2垂直壁83の前端部を連結する第2前壁84と、第2水平壁81、第2傾斜壁82、及び第2垂直壁83の後端部を連結する第2後壁85で形成されている。これにより、第2凹部80にSCR触媒22の流出口に接続された排気管26の上下方向の中間部を入り込ませることができる。なお、第2傾斜壁82は、第1傾斜壁71と平行に形成するのが好ましく、第2傾斜壁82の右下り傾斜の傾斜角度は、安息角度に形成するのがより好ましい。
【0046】
次に、エンジンEの回転をグレンタンク7の搬送螺旋に伝動する伝動部40について説明する。
【0047】
図14,15に示すように、伝動部40のプーリ41には、エンジンEの回転が伝動される。プーリ41とギヤボックス42の入力軸に固定されたプーリ43には、ベルト44が巻回されている。
【0048】
ギヤボックス42の前側には、支持部材45が設けられ、支持部材45の下部に横設された支軸45Aには、テンションアーム46の基部が回転自在に固定されている。これにより、ギヤボックス42のメンテナンス時にテンションアーム46を同時にメンテナンスすることができる。
【0049】
テンションアーム46の前後方向の中間部は、スプリングを介してワイヤ47に接続されている。ベルト44の張力は、操縦部5に設けられた操作レバー(図示省略)によってワイヤ47を介してテンションアーム46を操作することによって調整することができる。ワイヤ47は、ワイヤロープ47Aと、ワイヤロープ47Aを外装するアウター47Bで形成されている。
【0050】
ギヤボックス42の上側には、支持部材48が設けられ、支持部材48の上部に横設された支軸48Aには、略V字形状に形成されたレバー部材49の前後方向の略中間部が摺動自在に固定されている。レバー部材49の前側部位には、アウター47Bが固定され、レバー部材49の後側部位には、操作パイプ(図示省略)を連結する連結部50が設けられている。これにより、操縦部5の操作レバーによってワイヤ47を操作することができなくなった場合に、操作パイプを連結棒50に連結してレバー部材49を回動させてワイヤ47を介してテンションプーリ46を操作してベルト44の張力を調整することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 機体フレーム
21 DOC
22 SCR触媒
30 支持部材
31 第1支持部材
32 第2支持部材
E エンジン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15