特許第6458930号(P6458930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6458930
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】汚泥焼却炉の補修方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/00 20060101AFI20190121BHJP
   F23M 5/00 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   F23G5/00 ZZAB
   F23M5/00 J
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-242318(P2014-242318)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-102633(P2016-102633A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(72)【発明者】
【氏名】中村 武志
(72)【発明者】
【氏名】下村 英理
(72)【発明者】
【氏名】松下 崇
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−179817(JP,A)
【文献】 特開2007−107812(JP,A)
【文献】 特開2014−111880(JP,A)
【文献】 特開平08−178542(JP,A)
【文献】 特開2010−215985(JP,A)
【文献】 特開2004−125343(JP,A)
【文献】 特開2004−347212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/00
F23M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の炉本体に複数のサドル部を形成するサドル部形成工程と、
前記サドル部を梁に設置されたジャッキで支持する支持工程と、
前記サドル部より下方で、前記炉本体を軸方向の複数個所で輪切り状に切断して切断箇所を除去する除去工程と、
全体として、前記切断箇所に対応する筒状をなし、周方向に複数に分割された交換用炉体を形成する交換用炉体形成工程と、
前記サドル部を前記ジャッキで支持しながら、前記切断箇所を除去することによって形成された前記炉本体の縁部に、前記縁部より径方向外周側に鍔状に突出し、且つ、前記径方向の長さが前記サドル部より短く前記ジャッキに接しない第一フランジ部を形成するフランジ部形成工程と、
前記交換用炉体を前記炉本体の前記切断箇所にそれぞれ搬入して一体の筒状に組立てる組立工程と、
前記サドル部を前記ジャッキで支持しながら、前記交換用炉体の縁部より径方向外周側に鍔状に突出し、前記径方向の長さが前記第一フランジ部と同様の第二フランジ部と前記第一フランジ部とを接合する接合工程と、
を有する汚泥焼却炉の補修方法。
【請求項2】
前記交換用炉体は、縦断方向の断面を縁取りする側面フランジ部により互いに接合されている請求項1に記載の汚泥焼却炉の補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥焼却炉の補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水処理場においては、下水汚泥を燃やすために流動床焼却炉などの汚泥焼却炉を設けて汚泥を有効利用するなどしている。流動床焼却炉は、流動媒体として砂を使用した流動層部と、燃焼室(フリーボード部)とを有する円筒状の炉本体を備えている。流動床焼却炉は、脱水ケーキ(乾燥ケーキを含む)を流動層部に供給して、脱水ケーキを高温(例えば800℃)で瞬間的に焼却する焼却炉である。
【0003】
流動層部は、脱水ケーキを流動媒体と接触させてガス化燃焼を行なう(一次燃焼)部位であり、燃焼室は、未燃焼分を含むガスを燃焼する(二次燃焼)部位である。
炉本体は、鋼製ケーシングによって形成されており、鋼製ケーシングの内周面は炉内ライニングである耐火材及び断熱材で内張りされている。
【0004】
鋼製ケーシングは、経年使用により排ガスが耐火材の裏側に回ることで鋼製ケーシングを腐食させるため、10年程度で補修を行うことが一般的である。従来の補修方法としては、炉本体の全体を交換する方法や、腐食した鋼製ケーシングに外側から当て板を溶接して強度維持を図る方法などが知られている。
【0005】
ガスタービンの燃焼器のライナーの補修方法として、特許文献1には、ライナーを軸方向へ円筒からなる複数部材に分割し、各々の部材を接合することでライナーを形成し、ライナーに損傷が生じた部分のみを交換する補修方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3915423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の補修方法のうち、炉本体の全体を交換する方法では、解体後に基礎工事を行ったうえで新規の焼却炉を設置する必要があるため、長工期、高コストとなるという課題がある。
また、腐食した鋼製ケーシングに外側から当て板を溶接して強度維持を図る方法は、鋼製ケーシングの座屈防止処置は出来るものの、既設ケーシングの肉厚腐食は進行してしまう。また、耐火物を支持しているキャスターアンカーやレンガの荷重を支持しているレンガ受け金物などの強度は保持することができないため、恒久的な対策とはならない。
【0008】
また、特許文献1に記載の補修方法は、燃焼器のライナーは、複数の円筒からなる部材に分割されるため、作業空間が制限される場合に補修作業に支障をきたすという課題がある。
【0009】
この発明は、短工期、低コストで補修を行うことができるとともに、作業空間に限りがある場合においても補修を行うことができる汚泥焼却炉の補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様によれば、汚泥焼却炉の補修方法は、筒状の炉本体に複数のサドル部を形成するサドル部形成工程と、前記サドル部を梁に設置されたジャッキで支持する支持工程と、前記サドル部より下方で、前記炉本体を軸方向の複数個所で輪切り状に切断して切断箇所を除去する除去工程と、全体として、前記切断箇所に対応する筒状をなし、周方向に複数に分割された交換用炉体を形成する交換用炉体形成工程と、前記サドル部を前記ジャッキで支持しながら、前記切断箇所を除去することによって形成された前記炉本体の縁部に、前記縁部より径方向外周側に鍔状に突出し、且つ、前記径方向の長さが前記サドル部より短く前記ジャッキに接しない第一フランジ部を形成するフランジ部形成工程と、前記交換用炉体を前記炉本体の前記切断箇所にそれぞれ搬入して一体の筒状に組立てる組立工程と、前記サドル部を前記ジャッキで支持しながら、前記交換用炉体の縁部より径方向外周側に鍔状に突出し、前記径方向の長さが前記第一フランジ部と同様の第二フランジ部と前記第一フランジ部とを接合する接合工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、経年使用により炉本体が腐食された場合においても、短工期、低コストで、炉本体を補修することができる。また、炉本体が変形した場合においても、フランジ部同士を接合することにより、炉本体の変形を吸収することができる。また、交換用炉体が周方向に分割されていることによって、作業空間に限りがある場合においても、交換用炉体の搬入、組み立てを行うことができる。
また、サドル部を梁に設置されたジャッキで支持する支持工程を有することによって、除去工程をより安全に行うことができる。
また、筒状の炉本体に複数のサドル部を形成することによって、第一フランジ部を設けた場合でも支持工程にて切断箇所より上方位置の炉本体を支持することができる。即ち、例えばジャッキを用いて炉本体を支持する際に、ジャッキをフランジ部よりも径方向外周側に設置した場合においても、支持部材を支持することができる。
【0012】
上記汚泥焼却炉の補修方法において、前記交換用炉体は、縦断方向の断面を縁取りする側面フランジ部により互いに接合されてよい。
【0013】
このような構成によれば、分割された交換用炉体の組み立てを容易に行うことができる。即ち、交換用炉体が変形した場合においても、側面フランジ部同士を接合することにより、交換用炉体の変形を吸収することができる。また、交換用炉体の強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、短工期、低コストで補修を行うことができるとともに、作業空間に限りがある場合においても補修を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態の汚泥焼却炉の補修方法が適用される流動床焼却炉の概略を説明する側断面図である。
図2図1のA部の拡大図であって、炉本体の詳細を説明する断面図である。
図3】本発明の実施形態の汚泥焼却炉の補修方法のサドル部形成工程と、支持工程と、除去工程と、を説明する概略図である。
図4】本発明の実施形態の汚泥焼却炉の補修方法のフランジ部形成工程を説明する概略図である。
図5】本発明の実施形態の交換用炉体の斜視図である。
図6】本発明の実施形態の分割された交換用炉体の斜視図である。
図7】本発明の実施形態の汚泥焼却炉の補修方法の接合工程を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の汚泥焼却炉の補修方法について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の汚泥焼却炉の補修方法が適用される流動床焼却炉1の概略を説明する側断面図である。流動床焼却炉1は、下水処理場などの施設において汚泥を濃縮して脱水した脱水ケーキを燃やすための汚泥焼却炉である。図1に示すように、流動床焼却炉1は、下方に風箱3を備えた円筒形状の炉本体2を有している。
【0020】
流動床焼却炉1の炉本体2は、中心軸が鉛直方向に沿う円筒形状をなしており、下部には、炉本体2の内部を上下方向に区分けする分散板4が設けられている。風箱3は、分散板4の下方の空間であり、風箱3には、ブロワ(図示せず)から一次空気導入口6を介して一次空気A1が供給される。
【0021】
分散板4の上方には、流動媒体として流動砂8が堆積され砂層部7が形成されている。砂層部7より上方はフリーボード部9となっている。
脱水ケーキは、投入機(図示せず)から投入口10を介して炉本体2内部の砂層部7に投入される。
【0022】
炉本体2のフリーボード部9には、少なくとも一つの二次空気導入口12を設けることができる。
炉本体2の上部は、上方に凸の円錐形状となるように、上方に向かって絞り込まれている。炉本体2の頂部、即ち、円錐形状の頂点には、排ガスEを排出する排出口13が設けられている。排出口13から排出された排ガスEは、例えば、ガス冷却塔や、バグフィルタなどの排ガス処理装置に導入される。
【0023】
上記流動床焼却炉1においては、一次空気A1を分散板4を介して砂層部7(以下、流動層部という)に導入して流動化させた後、助燃油投入口(図せず)より助燃剤を投入して流動層部を燃焼高温化させる。この状態で、流動層部に投入された脱水ケーキは、高温の流動層部において流動砂8との接触により一次空気A1により支燃されてガス化、燃焼する。この時、流動層部で発生した未燃ガスは、二次空気A2によりフリーボード部9で再燃焼する。
【0024】
炉本体2は、一般構造用圧延鋼材などの鋼材によって形成されている鋼製ケーシング15であり、鋼製ケーシング15の内周面は炉内ライニングである耐火材及び断熱材で内張りされている。具体的には、図2に示すように、炉本体2を構成する鋼製ケーシング15の内周面に断熱キャスタブルによって断熱層16が形成されている。断熱層16の内周面に耐火キャスタブルによって耐火層17が形成されている。
【0025】
ここで、流動床焼却炉1は、経年使用により、排ガスEが耐火層17の裏側に回ることによって、炉本体2が腐食される。特に、排ガスEや酸性ガスに曝されるフリーボード部9は腐食され易く、当該箇所においては、10年程度で補修が必要となる。以下、炉本体2の補修方法について具体的に説明する。
【0026】
本実施形態の炉本体2の補修方法は、炉本体2にサドル部18(図3参照)を形成するサドル部形成工程と、炉本体2を支持する支持工程と、炉本体2の一部を除去する除去工程と、炉本体2に第一フランジ部22(図4参照)を形成するフランジ部形成工程と、交換用炉体23(図5参照)を形成する交換用炉体形成工程と、交換用炉体23を一体の筒状に組立てる組立工程と、炉本体2の外周面に設けられた第一フランジ部22と交換用炉体23の外周面に設けられた第二フランジ部25とを接合する接合工程と、を有する。
【0027】
本実施形態の炉本体2の補修方法は、腐食などの不具合が確認された部分の上方及び下方を輪切り状に切断して炉本体2の一部を除去し、切断箇所C(図3参照)の代替となる交換用炉体23を切断箇所Cに取り付ける。これにより、炉本体2の全体を交換することなく、炉本体2の補修を行う。
【0028】
次に、炉本体2の補修方法の各工程について詳細に説明する。
サドル部形成工程は、炉本体2における切断箇所Cとなる箇所の上方の部位に、複数のサドル部18(支持部材)を形成する工程である。図3に示すように、炉本体2の外周面より径方向外周側に突出する部材である。サドル部18は鋼材によって形成されており、炉本体2の周方向に複数設けられている。
【0029】
支持工程は、サドル部形成工程にて形成されたサドル部18を用いて、炉本体2における切断箇所Cの上方の部位を支持する工程である。図3に示すように、支持工程においては、所定の梁19(支持構造物)に設置されたジャッキ20を用いてサドル部18を支持する。これにより、切断箇所Cより上方位置の炉本体2が支持される。
ジャッキ20は、油圧ジャッキを用いることが好ましく、また、梁19とサドル部18との間の鉛直方向の間隔が小さい場合には、爪付きのジャッキを用いることが好ましい。また、梁19は、既設の梁19を用いる場合は、適宜補強することが好ましい。
【0030】
除去工程は、炉本体2の一部、即ち、腐食などの不具合が確認された部分である切断箇所Cを除去する工程である。除去工程は、炉本体2を軸方向の二ヶ所(符号Pで示す)で輪切り状に切断して、切断箇所Cを除去する。切断は、例えば、ガスバーナーによって実施することができる。切断箇所Cよりも上方の炉本体2は、サドル部形成工程にて形成されたサドル部18によって支持されている。
【0031】
フランジ部形成工程は、切断箇所Cを除去することによって形成された炉本体2の縁部に第一フランジ部22を形成する工程である。第一フランジ部22は、炉本体2の円形の縁部より径方向外周側に鍔状に突出するように形成される。
第一フランジ部22は、軸方向から見て、円形の外形を有する板状の部材である。第一フランジ部22は、例えば、溶接によって炉本体2の縁部に接合される。
【0032】
ここで、サドル部形成工程にて形成されるサドル部18は、第一フランジ部22より径方向外方に突出している。即ち、サドル部18の径方向の長さW2は第一フランジ部22の径方向の幅W1よりも長く、サドル部18の径方向外周側の端部は、第一フランジ部22の径方向外周側の端部より径方向外周側に突出している。これにより、ジャッキ20を用いて炉本体2を支持する際に、ジャッキ20を第一フランジ部22よりも径方向外周側に設置した場合においても、サドル部18を支持することができる。
【0033】
交換用炉体形成工程は、全体として切断箇所Cに対応する筒状をなし、周方向に分割された交換用炉体23を形成する工程である。交換用炉体23は、四つに分割されており、組立工程にて、例えば溶接により筒状となるように接合される。分割箇所を図5の符号Dで示す。
まず、例えば四つに分割されている交換用炉体23を一体の筒状をなすものとして説明する。図5に示すように、交換用炉体23は、円筒形状の本体部24と、本体部24の軸方向の両端部に形成されている第二フランジ部25と、を有している。
【0034】
第二フランジ部25は、本体部24の円形の縁部より、径方向外周側に鍔状に突出して形成されている。第二フランジ部25の形状は、上述したフランジ部形成工程において形成される第一フランジ部22と略同様である。
交換用炉体23は、炉本体2と同様に、鋼材によって形成されており、本体部24の内周面は炉内ライニングである耐火材及び断熱材で内張りされていてもよい。
【0035】
次に、四つに分割された交換用炉体23の個々の部位の形状について説明する。
図6に示すように、分割された交換用炉体23である分割交換用炉体26は、縦断方向の断面を縁取りする側面フランジ部27を有している。側面フランジ部27は、交換用炉体23の分割線から径方向外周側に突出するように形成される。側面フランジ部27は、交換用炉体23の周方向から見て、矩形の外形を有する板状の部材である。側面フランジ部27の径方向の幅は、炉本体2のフランジ部22,25と同様の寸法とすることが好ましい。
【0036】
組立工程は、分割された交換用炉体23である分割交換用炉体26を、流動床焼却炉1が設置されている場所に搬入して、分割交換用炉体26を一体の筒状に組立てる工程である。
組立工程では、分割交換用炉体26同士を、側面フランジ部27を用いて、例えば、溶接によって互いに接合する。接合された側面フランジ部27同士は、例えば、六角ボルトなどの締結部材を用いて締結することが好ましい。六角ボルトを用いて締結することによって、側面フランジ部27同士の接合を強固にすることができる。
【0037】
接合工程は、図7に示すように、炉本体2の外周面に設けられた第一フランジ部22と交換用炉体23の外周面に設けられた第二フランジ部25とを接合する工程である。
ここで、フランジ部22,25の径方向の幅は、炉本体2の変形を許容する寸法とされている。即ち、炉本体2が経年使用に伴い変形した場合においても、フランジ部22,25同士を接合することにより、炉本体2の変形を吸収できる寸法とされている。
接合されたフランジ部22,25同士は、例えば、六角ボルトなどの締結部材を用いて締結することが好ましい。六角ボルトを用いて締結することによって、フランジ部22,25同士の接合を強固にすることができる。
【0038】
上記実施形態によれば、経年使用により炉本体2が腐食された場合においても、短工期、低コストで、炉本体2を補修することができる。また、交換用炉体23が、炉本体2と同様の鋼材によって形成されており、また、フランジ部22,25を介して炉本体2と交換用炉体23とを接合することによって、炉本体2の補修後の強度を新規焼却炉と同等とすることができる。
【0039】
また、交換用炉体23が周方向に分割されていることによって、作業空間に限りがある場合においても、交換用炉体23の搬入、組み立てを行うことができる。
【0040】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態の支持工程においては、切断箇所Cより上方位置の炉本体2をジャッキ20により下方より支持する構成としたが、炉本体2をクレーン等で吊り上げてもよい。
また、上記実施形態では、流動床焼却炉1の炉本体2の補修を例に説明したが、本実施形態の汚泥焼却炉の補修方法を循環型流動炉の補修に適用してもよい。
また、上記実施形態では、一ヶ所のみの切断箇所Cのみを除去する構成としたが、複数個所の切断箇所Cを除去して同時に複数個所の補修を実施してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 流動床焼却炉
2 炉本体
3 風箱
4 分散板
6 一次空気導入口
7 砂層部
8 流動砂
9 フリーボード部
10 投入口
12 二次空気導入口
13 排出口
15 鋼製ケーシング
16 断熱層
17 耐火層
18 サドル部(支持部材)
19 梁
20 ジャッキ
22 第一フランジ部
23 交換用炉体
24 本体部
25 第二フランジ部
26 分割交換用炉体
27 側面フランジ部
A1 一次空気
C 切断箇所
E 排ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7